特開2018-83553(P2018-83553A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-83553(P2018-83553A)
(43)【公開日】2018年5月31日
(54)【発明の名称】吸気ダクト
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20180427BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20180427BHJP
   B60K 1/04 20060101ALN20180427BHJP
【FI】
   B60K11/06ZHV
   B60L11/18 Z
   B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-228215(P2016-228215)
(22)【出願日】2016年11月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】三股 良平
(72)【発明者】
【氏名】保坂 考一
(72)【発明者】
【氏名】神 健志郎
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D038AA03
3D038AB01
3D038AC11
3D235AA01
3D235BB19
3D235BB22
3D235CC15
3D235HH44
5H125AA01
5H125AC12
5H125CD07
5H125FF24
(57)【要約】
【課題】液体の通過防止にかかるコストを低減する。
【解決手段】吸気ダクト10は、空気が流通する空気流通路16が内側に設けられたダクト本体12と、空気流通路16において横方向に延びる横流路18を画成するダクト本体12の底部に、該横流路18に通じるように設けられた開口部50と、ダクト本体12に、開口部50の下側に位置するように取り付けられ、該開口部50から流下する液体を受け入れ可能な受容部材40とを備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気が流通する空気流通路が内側に設けられたダクト本体と、
前記空気流通路において横方向に延びる横流路を画成する前記ダクト本体の底部に、該横流路に通じるように設けられた開口部と、
前記ダクト本体に、前記開口部の下側に位置するように取り付けられ、該開口部から流下する液体を受け入れ可能な受容部材とを備えた
ことを特徴とする吸気ダクト。
【請求項2】
前記ダクト本体と前記受容部材における該ダクト本体に接する縁部との間が、液密に封止されている請求項1記載の吸気ダクト。
【請求項3】
前記受容部材は、上方に開口する箱状に形成されると共に、上縁部が前記ダクト本体に対向配置された一対の封止部の間に嵌め込まれている請求項1または2記載の吸気ダクト。
【請求項4】
前記受容部材は、爪嵌合により前記ダクト本体に固定されている請求項1〜3の何れか一項に記載の吸気ダクト。
【請求項5】
前記受容部材は、前記ダクト本体に設けられて該受容部材に通した熱カシメ部で固定されている請求項1〜4の何れか一項に記載の吸気ダクト。
【請求項6】
前記ダクト本体の底部には、前記横流路の空気流通方向上流側から前記開口部における空気流通方向上流側の開口縁に向かうにつれて下方傾斜する傾斜部が設けられている請求項1〜5の何れか一項に記載の吸気ダクト。
【請求項7】
前記開口部は、前記横流路の空気流通方向上流側の開口縁よりも空気流通方向下流側の開口縁が上側に位置している請求項1〜6の何れか一項に記載の吸気ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車載電池の冷却などに用いられる吸気ダクトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車などの電気エネルギーを利用する自動車には、車室の底部に、二次電池が搭載されている。二次電池は、熱を発生するので、車室内から取り込んだ空気を吸気ダクトで案内して、空気を二次電池に吹き付けることで二次電池を冷却している。吸気ダクトは、例えば後部座席の下部前面に開口する取込口側に一端が繋がり、他端が後部座席の下側に配置された二次電池の電池搭載部に開口している。また、取込口と吸気ダクトの一端の間には、ブロワーが設置されて、取込口から車室の空気を取り込み、吸気ダクトを通じて、前記搭載部へ向けて空気を積極的に送り込むよう構成されている。
【0003】
前述したように、取込口は、車室の床に近い位置に開口しているので、取込口から水が入ってしまうおそれがある。このように水が吸気ダクトを通って電池搭載部に入ると、電池が故障する可能性がある。そこで、特許文献1のように、連通路内に、表面に凹凸部をもつ吸水部材を配置し、連通路に入った水を吸水部材で吸い取る吸気ダクトが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−68598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吸水部材は、コストが高いので、更なるコスト低減が求められている。
【0006】
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、液体の流通防止にかかるコストを低減し得る吸気ダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の吸気ダクトは、
空気が流通する空気流通路が内側に設けられたダクト本体と、
前記空気流通路において横方向に延びる横流路を画成する前記ダクト本体の底部に、該横流路に通じるように設けられた開口部と、
前記ダクト本体に、前記開口部の下側に位置するように取り付けられ、該開口部から流下する液体を受け入れ可能な受容部材とを備えたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、ダクト本体に取り付けた受容部材にダクト本体に設けた開口部を介して空気流通路の横流路から液体を流下させて、空気流通路から液体を排除する簡単な構成なので、液体の通過防止にかかるコストを低減することができる。また、受容部材を設けても、ダクト本体における横流路に面する壁面を空気の流れに合わせた適切な形状とすることができ、空気流通路を流通する空気の圧力損失を低減することができる。更に、空気流通路と受容部材で画成される空間とが開口部以外で通じていないので、受容部材に受けた液体を空気流通路に戻り難くすることができる。
【0008】
請求項2に係る発明では、前記ダクト本体と前記受容部材における該ダクト本体に接する縁部との間が、液密に封止されていることを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、ダクト本体とこのダクト本体に取り付けた受容部材の間が液密に封止してあるから、受容部材で受けた液体が外部に漏れ出すことを防止できる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記受容部材は、上方に開口する箱状に形成されると共に、上縁部が前記ダクト本体に対向配置された一対の封止部の間に嵌め込まれていることを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、ダクト本体に設けられた封止部の間に受容部材の上縁部を嵌め込んであるので、ダクト本体とこのダクト本体に取り付けた受容部材の間から液体を漏れ難くすることができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記受容部材は、爪嵌合により前記ダクト本体に固定されていることを要旨とする。
請求項4に係る発明によれば、受容部材をダクト本体に対して爪嵌合により簡単に固定することができる。
【0011】
請求項5に係る発明では、前記受容部材は、前記ダクト本体に設けられて該受容部材に通した熱カシメ部で固定されていることを要旨とする。
請求項5に係る発明によれば、受容部材をダクト本体に対して熱カシメ部により簡単に取り付けることができる。
【0012】
請求項6に係る発明では、前記ダクト本体の底部には、前記横流路の空気流通方向上流側から前記開口部における空気流通方向上流側の開口縁に向かうにつれて下方傾斜する傾斜部が設けられていることを要旨とする。
請求項6に係る発明によれば、傾斜部によって、空気流通路に侵入した液体を開口部に効率よく導くことができる。
【0013】
請求項7に係る発明では、前記開口部は、前記横流路の空気流通方向上流側の開口縁よりも空気流通方向下流側の開口縁が上側に位置していることを要旨とする。
請求項7に係る発明によれば、開口部の開口縁が空気流通路の空気流通方向上流側より下流側が高くなっているので、空気流通路を流通する空気などに起因して、受容部材から空気流通路に液体が戻ることを防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吸気ダクトによれば、液体の流通防止にかかるコストを低減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の好適な実施例に係る吸気ダクトを示す概略斜視図であり、(a)は上側から見た状態であり、(b)は下側から見た状態である。
図2】実施例の吸気ダクトを示す平面図である。
図3図2のA−A線端面図である。
図4】実施例の吸気ダクトを分解して示す斜視図であって、上側から見た状態を示す。
図5】実施例の吸気ダクトを分解して示す斜視図であって、下側から見た状態を示す。
図6】変更例に係る吸気ダクトを示す概略斜視図である。
図7】変更例の吸気ダクトを示す底面図である。
図8】(a)は図7のB−B線端面図であり、(b)は図7のC−C線断面図である。
図9】変更例の吸気ダクトを分解して示す斜視図であって、斜め上側から見た状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る吸気ダクトにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0017】
図1および図2に示すように、実施例に係る吸気ダクト10は、空気が流通する空気流通路16が内側に設けられた筒状のダクト本体12によって外殻が主に構成され、一端に1つの開口があくと共に、途中から2つに分岐して他端に2つの開口があいている。また、吸気ダクト10は、ダクト本体12と別体に形成された受容部材40がダクト本体12の下部に取り付けられ、ダクト本体12の底部に設けられた開口部50から流下する液体を受容部材40に受け入れ可能に構成されている。なお、吸気ダクト10は、一端の開口が車室に開口する取込口側に繋がる空気入口10aであり、他端の開口が二次電池が設置される電池搭載部側に繋がる空気出口10bとなっている。ダクト本体12は、上方に向けて開口する空気入口10aから縦向きに延在する縦部分13から屈曲し、横向きに延在する横部分14が設けられている。ダクト本体12の横部分14は、縦部分13に連なる単独部14aの途中から左右に分岐して、2股に分岐した分岐部14b,14bの終端のそれぞれに空気出口10bが横向きに開口している。
【0018】
図3に示すように、ダクト本体12の内側には、空気入口10aから縦向きに延在する縦部分13に、空気流通路16における縦方向に延びる縦流路17が設けられている。また、ダクト本体12の内側には、該ダクト本体12の屈曲部から空気出口10bに亘る横向きに延在する横部分14に、空気流通路16における横方向に延びる横流路18が設けられている。なお、以下の説明において、横流路18は、屈曲部から分岐部14bの前までを単独横流路18aといい、分岐部14bから空気出口10bまでを分岐横流路18bと区別する場合がある。このように、実施例の吸気ダクト10は、空気入口10aから流入した空気を縦流路17で下方へ案内した後に、屈曲部で曲げて単独横流路18aで横方向へ案内し、2つの分岐横流路18b,18bに分けて横方向へ案内するようになっている。
【0019】
図1に示すように、ダクト本体12は、複数の分体20,30を組み合わせて構成され、実施例では、空気流通路16における空気流通方向に沿って分割して形成された第1分体20と第2分体30とを組み合わせて筒状になっている。ダクト本体12は、屈曲部の凸側に連なる縦部分13の前側から横部分14の下部が第1分体20で構成され、屈曲部の凹側に連なる縦部分13の後側から横部分14の上部が第2分体30で構成されている。
【0020】
図4および図5に示すように、第1分体20は、第1基壁部22とこの第1基壁部22の左右の側縁からそれぞれ立ち上がる第1周壁部24とによって、空気流通方向に交差する断面形状が略U字状に形成された角溝形状の部材である。第1分体20には、第1周壁部24の縁に溝部26が設けられ、この溝部26に係合孔28が形成されている(図4参照)。第2分体30は、第2基壁部32とこの第2基壁部32の左右の側縁からそれぞれ垂下する第2周壁部34とによって、空気流通方向に交差する断面形状が略U字状に形成された角溝形状の部材である。第2分体30における第2周壁部34の縁には、突部36と係合爪38とが設けられている。そして、第1分体20および第2分体30は、溝部26に突部36を嵌め合わせると共に、係合孔28に係合爪38を嵌め合わせて組み付けられる。なお、各分体20,30は、例えばポリプロピレン(PP)または高密度ポリエチレン(HDPE)などのソリッド樹脂(ソリッドの合成樹脂)を材質とし、インジェクション成形等によって得られる成形品である。
【0021】
図3に示すように、ダクト本体12の底部には、横流路18に通じる開口部50が設けられ、開口部50を介して横流路18から液体を排出可能になっている。具体的には、開口部50は、単独横流路18aの下側を画成する第1基壁部22に、上下に貫通するように形成され、左右方向に長手が延在する長孔形状である(図4および図5参照)。開口部50は、縦流路17の下側から空気流通方向下流側に外れた位置に配置され、実施例では単独横流路18aの空気流通方向中間部に、左右方向のほぼ全域に亘って開口している。
【0022】
図3および図4に示すように、ダクト本体12の底部をなす第1基壁部22には、横流路18の空気流通方向上流側から開口部50における空気流通方向上流側の開口縁に向かうにつれて下方傾斜する傾斜部22aが設けられている。実施例の傾斜部22aは、空気入口10a(縦流路17)の下側に対応する位置を起点として空気流通方向下流側に向かうにつれて下方傾斜している。また、開口部50は、横流路18の空気流通方向上流側の開口縁よりも空気流通方向下流側の開口縁が上側に位置するように形成され、空気流通方向に並ぶ開口縁が段違いになっている。
【0023】
図3に示すように、ダクト本体12には、受容部材40が開口部50の下側に位置するように取り付けられ、空気流通路16から開口部50を介して流下する液体を受容部材40に受け入れ可能になっている。また、受容部材40は、開口部50から流下した液体を貯留し得る空間をダクト本体12との間に画成している。このように、受容部材40は、横流路18とは別に設けられて、横流路18の下側に配置されている。なお、実施例の受容部材40は、横部分14における単独部14aの上流側から分岐部14bの上流側にかけて配置されている。受容部材40は、例えばポリプロピレン(PP)または高密度ポリエチレン(HDPE)などのソリッド樹脂(ソリッドの合成樹脂)を材質とし、ダクト本体12とは別に、インジェクション成形等によって得られる成形品である。
【0024】
図4に示すように、受容部材40は、ダクト本体12の第1基壁部22に相対する底板部40aとこの底板部40aの外縁に立ち上がる縦板部40bとからなる上方に開口する箱状に形成されている。受容部材40は、縦板部40bの上縁部を第1基壁部22に固定して取り付けられる(図3参照)。受容部材40は、底板部40aが第1基壁部22から間隔をあけて開口部50の下側に延在し、縦板部40bで開口部50の四方を囲んでいる。実施例の受容部材40は、底板部40aの空気流通方向下流側が上流側と比べて下方へ凹んでおり、空気流通方向下流側が上流側と比べて深くなるように形成されている。なお、実施例の受容部材40は、開口部50の下側で底板部40aが曲がって深さが切り替わり、開口部50より空気流通方向上流側と比べて開口部50より空気流通方向下流側が深くなっている。
【0025】
前記吸気ダクト10は、ダクト本体12と受容部材40におけるダクト本体12に接する上縁部との間が、液密に封止されている。図3に示すように、実施例の封止構造は、ダクト本体12における第1基壁部22の下面から下方に突出するように形成された一対の封止部52,52の間に、受容部材40における縦板部40bの上縁部が挟まれて、封止部52と縦板部40bの上縁部との当接により封水している。縦板部40bの上縁部は、外方へ開く段状に形成されると共に、上端に外方へ向けて突出する干渉部42が形成されている。干渉部42は、対向配置された一対の封止部52,52の間に挿入され、封止部52の一方(実施例では外方の封止部52)に強干渉するように構成されている。また、一対の封止部52,52は、内側の封止部52と比べて外側の封止部52が下端が下側に位置しており、内側の封止部52の下端面が縦板部40bの上縁部に形成された段部41に接する。このように実施例の封止構造は、外側の封止部52および縦板部40bの干渉部42の強干渉と、内側の封止部52の下端面および縦板部40bの段部41の当接とによる内外で2重に封水するようになっている。
【0026】
図1(b)に示すように、前記受容部材40は、ダクト本体12に設けられた爪部54と、受容部材40に設けられ、爪部54が嵌まる爪受部44との爪嵌合によって、ダクト本体12に対して取り付けられる。爪部54は、第1基壁部22において、外側の封止部52と並んで内側の封止部52と対向するように配置され、外側の封止部52より下方に突出すると共に下端に爪受部44の開口縁に引っ掛かる返しが設けられている(図5参照)。爪受部44は、受容部材40における縦板部40bの上縁部に、外方へ突出する枠状に形成された部分であり、爪部54を挿入可能になっている。受容部材40の取り付け構造は、爪受部44に挿入した爪部54の返しが爪受部44の開口縁に引っ掛かって抜け止めされて、受容部材40がダクト本体12に固定される。
【0027】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る吸気ダクト10の作用について説明する。吸気ダクト10は、ダクト本体12に取り付けられた受容部材40に、ダクト本体12に設けた開口部50を介して空気流通路16の横流路18から液体を流下させて、空気流通路16から液体を排除する簡単な構成なので、液体の通過防止にかかるコストを低減することができる。また、液体を受けるための受容部材40がダクト本体12と別体であるから、ダクト本体12が空気を案内することに最適な形状から外れてしまうこともなく、空気流通路16を流通する空気の圧力損失を抑えることができる。更に、ソリッド樹脂からなるダクト本体12によって横流路18を画成する構成であるから、横流路18に面する壁面を空気の流れに合わせた適切な形状とすることができ、空気流通路16を流通する空気の圧力損失を低減することができる。更にまた、横流路18の底面を画成する第1分体20は、吸水させる必要がないので、不織布や発泡体などの吸水部材と比べて横流路18に臨む面をなめらかにすることができ、空気の流通への悪影響をより低減できる。
【0028】
前記吸気ダクト10は、開口部50以外で受容部材40で画成される空間と空気流通路16とが通じていないので、車体の傾きや振動等によっても、受容部材40で受けた液体が空気流通路16に戻り難くすることができる。このように、吸気ダクト10は、空気流通路16に受容部材40から液体を戻り難く構成されているので、受容部材40の上部位置まで液体の貯留空間として有効に利用することができ、受容部材40を小型化することができる。また、吸気ダクト10は、受容部材40の空気流通方向中間部に開口部50が開口しているので、車体が空気流通方向上流または下流側の何れに傾いても受容部材40から開口部50を介して液体が戻り難い。
【0029】
前記吸気ダクト10は、ダクト本体12に設けられた一対の封止部52,52の間に受容部材40における縦板部40bの上縁部を嵌め込んであるので、ダクト本体12とこのダクト本体12に取り付けた受容部材40の間から液体を漏れ難くすることができる。しかも、吸気ダクト10は、外側の封止部52と受容部材40の干渉部42とが強く押し付けられた状態で接すると共に、内側の封止部52と受容部材40の段部41とが接するよう構成されているので、ダクト本体12と受容部材40との間から液体をより漏れ難くすることができる。このように、吸気ダクト10は、ダクト本体12とこのダクト本体12に取り付けた受容部材40の間が液密に封止してあるから、受容部材40で受けた液体が外部に漏れ出すことを防止できる。このように、吸気ダクト10は、ダクト本体12と受容部材40との間から液体が漏れ難く構成されているので、受容部材40の上部位置まで液体の貯留空間として有効に利用することができ、受容部材40を小型化することができる。
【0030】
前記吸気ダクト10は、ダクト本体12に設けられた爪部54を受容部材40に設けられた爪受部44に挿入して引っ掛けることで、ダクト本体12に受容部材40を取り付けている。このように、吸気ダクト10は、受容部材40をダクト本体12に対して爪嵌合により簡単に固定することができる。
【0031】
前記吸気ダクト10は、開口部50に向かって下方傾斜する傾斜部22aをダクト本体12の底部に備えているので、傾斜部22aによって、空気流通路16に侵入した液体を開口部50に効率よく導くことができる。また、吸気ダクト10は、ダクト本体12の底部に開口する開口部50の開口縁が空気流通路16の空気流通方向上流側より下流側が高くなっているので、空気流通路16を流通する空気などに起因して、受容部材40から空気流通路16に液体が戻ることを防止できる。
【0032】
(変更例)
前述した実施例に限らず、例えば以下のようにも変更することができる。なお、変更例においても、実施例と同様の構成に実施例と同じ符号を用いて説明する。
【0033】
(1)実施例では、ダクト本体に対して受容部材を爪嵌合により取り付けたが、これに限らず、熱カシメや接着やその他の方法で取り付けてもよい。
図6図9に示す変更例の吸気ダクト60は、ダクト本体12に設けた熱カシメ部56で受容部材40を固定している。変更例の吸気ダクト60は、ダクト本体12の底部をなす第1基壁部22の下面から突出する熱カシメ部56を有している(図9参照)。熱カシメ部56は、熱可塑性樹脂からなる第1分体20と一体的に形成され、第2分体30との組み付け前は棒状となっている。受容部材40は、縦板部40bの上縁部から外方へ突出するリブ45に上下に貫通する挿入孔46を有している(図9参照)。第1分体20および受容部材40は、熱カシメ部56を挿入孔46に挿入した後に、熱カシメ部58の突出端を溶融して挿入孔46よりも大きく拡開して組み付けられる(図8参照)。変更例の吸気ダクト60は、熱カシメ部56の突出端に溶融形成された拡開部分がリブ45に引っ掛かって、第1分体20に対して受容部材40が固定される。このように、変更例の吸気ダクト60によれば、受容部材40をダクト本体12に対して熱カシメ部56により簡単に取り付けることができる。
【0034】
(2)ダクト本体と受容部材との間の封止構造は、実施例に限らず、ゴムや発泡体などの弾性体からなるシール材をダクト本体と受容部材との間に配置する構成など、その他の構成であってもよい。
(3)開口部の位置や数や大きさは、実施例に限らず、ダクトの形状などに応じて適宜に設定することができる。
(4)第1分体と第2分体との組み付け構造は、実施例のような爪嵌合に限らず、カシメや、接着や、溶着などであってもよい。
(5)ダクト本体の分割数は、実施例のように2つに限らず、3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
12 ダクト本体,16 空気流通路,18 横流路,40 受容部材,50 開口部,
52 封止部,56 熱カシメ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9