特開2018-86648(P2018-86648A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イマージョン コーポレーションの特許一覧

特開2018-86648触覚フィードバックのための磁気応答性エラストマー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-86648(P2018-86648A)
(43)【公開日】2018年6月7日
(54)【発明の名称】触覚フィードバックのための磁気応答性エラストマー
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20180511BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20180511BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20180511BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20180511BHJP
【FI】
   B06B1/04 S
   H02N11/00 Z
   C08L21/00
   G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2017-226629(P2017-226629)
(22)【出願日】2017年11月27日
(31)【優先権主張番号】15/362,122
(32)【優先日】2016年11月28日
(33)【優先権主張国】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ヴァヒド コシュカヴァ
(72)【発明者】
【氏名】マンソーア アルゴン
【テーマコード(参考)】
4J002
5D107
5E555
【Fターム(参考)】
4J002AC001
4J002BG041
4J002CK021
4J002CP031
4J002FA047
4J002FD117
4J002FD206
4J002GR02
5D107AA12
5D107BB08
5D107CC09
5D107CD01
5D107DE02
5D107FF10
5E555AA08
5E555AA57
5E555AA58
5E555BA02
5E555BA04
5E555BA08
5E555BA20
5E555BA23
5E555BA38
5E555BA90
5E555BB02
5E555BB04
5E555BB08
5E555BB20
5E555BB23
5E555BB38
5E555BB40
5E555BC01
5E555BE10
5E555CA50
5E555CB72
5E555CB74
5E555CB75
5E555CC01
5E555DA24
5E555DD06
5E555DD08
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】装着具及び装身具において容易に実施することができる触覚フィードバックをユーザーに提供する簡易な機構を提供すること。
【解決手段】触覚フィードバックをユーザーに提供するシステムは、エラストマー材料102と、エラストマー材料内に分散された磁気粒子104と、エラストマー材料に磁界を引き起こすように方向付けられた電磁コイル106とを備える。このようなシステム及び触覚アクチュエーターは、装着具又は装身具の要素として含む構造材料に有用であり、触覚フィードバックが望まれる他の用途及びデバイスにおいて有用である。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚フィードバックをユーザーに提供するシステムであって、
a.エラストマー材料と、
b.前記エラストマー材料内に分散された磁気粒子と、
c.前記エラストマー材料に磁界を引き起こすように方向付けられた電磁コイルと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記エラストマー材料及び前記電磁コイルを収容するハウジングを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハウジングは、装着具の一部である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電磁コイルは、銅を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電磁コイルは、導電性繊維を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記磁気粒子は、磁性材料のナノ粒子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記エラストマー材料は、ゴム、ウレタン、シリコーン又はアクリル樹脂を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電磁コイルに接続された電源を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
静電フィードバックを前記ユーザーに提供するために、導体と該導体に関連付けられた絶縁体とを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記磁気粒子の磁極が整列している、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
触覚フィードバックをユーザーに提供するシステムであって、
a.エラストマー材料と、
b.前記エラストマー材料内に分散された磁気粒子と、
c.前記エラストマー材料に磁界を引き起こすように方向付けられた電磁コイルと、
d.前記電磁コイルに接続された電源と、
e.前記エラストマー材料、前記電磁コイル及び前記電源を収容するハウジングと、
を備える、システム。
【請求項12】
前記磁気粒子は、磁性材料のナノ粒子を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記エラストマー材料は、ゴム、ウレタン、シリコーン又はアクリル樹脂を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記磁気粒子の磁極は、整列している、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記ハウジング内にエラストマー材料の複数の区分を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
システムを介して触覚フィードバックをユーザーに提供する方法であって、
i.システムを用意することであって、該システムは、
a.エラストマー材料と、
b.前記エラストマー材料内に分散された磁気粒子と、
c.前記エラストマー材料に磁界を引き起こすように方向付けられた電磁コイルと、
d.前記電磁コイルに接続された電源と、
を含み、
ii.起動信号を前記電源に送信することと、
iii.前記電磁コイルによって磁界を発生させることと、
iV.前記磁界に応答して前記エラストマー材料の弾性率を変更して、触覚フィードバックを前記ユーザーに提供することと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記発生させることは、振動磁界を発生させ、それにより前記ユーザーに対する振動触覚フィードバックをもたらすことを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記振動触覚フィードバックは、約100Hz〜約1kHzの周波数で生じる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ユーザーが前記エラストマー材料又は前記電磁コイルとインタラクトする結果としての起電力を測定することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記エラストマー材料の前記弾性率が増大する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム及び触覚アクチュエーター、並びに、好適にはエラストマー材料内の磁気粒子の磁界に対する応答からもたらされる触覚作動に関する。こうしたシステム及び触覚アクチュエーターは、装着具や装身具の要素として含む構造材料において有用であるとともに、触覚フィードバックが所望される他の用途及びデバイスにおいても有用である。
【背景技術】
【0002】
装着具又は装身具における使用のための触覚フィードバックは、従来、偏心回転質量(ERM)モーター及びリニア共振アクチュエーター(LRA)の使用に基づいてきた。しかしながら、これらのタイプのアクチュエーターは、通常嵩張る程に大きく、多くの場合大容量の電力を必要とし、このことが、これらのアクチュエーターを衣服若しくは他の装着具又は装身具(すなわち、宝石類等)に組み込むことを困難にしている。形状記憶合金もまた、装着具において使用されてきたが、ここでも同様に、電力消費によって、多くの場合、適応性と組み込みの容易性とが制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
装着具及び装身具において容易に実施することができる触覚フィードバックをユーザーに提供する簡易な機構が必要とされている。したがって、本発明の目的のうちの1つは、装着具及びアクセサリー物品において容易に実施することができる触覚フィードバックをユーザーに提供する簡易な機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、触覚フィードバックをユーザーに提供する磁気応答性エラストマーを備えるシステムに関する。触覚フィードバックを提供するシステムは、装着具及び装身具品等の種々の用途において使用することができる。
【0005】
例示的な実施形態において、本明細書では、触覚フィードバックをユーザーに提供するシステムが提供される。実施形態では、こうしたシステムは、エラストマー材料と、エラストマー材料内に分散された磁気粒子と、エラストマー材料において磁界を引き起こすように方向付けられた電磁コイルとを含む。
【0006】
また本明細書では、触覚フィードバックをユーザーに提供するシステムであって、エラストマー材料と、エラストマー材料内に分散された磁気粒子と、エラストマー材料に磁界を引き起こすように方向付けられた電磁コイルと、電磁コイルに接続された電源と、エラストマー材料、電磁コイル及び電源を収容するハウジングとを含むシステムもまた提供される。
【0007】
更なる実施形態において、本明細書では、エラストマー材料と、エラストマー材料内に分散された磁気粒子と、エラストマー材料に磁界を引き起こすように方向付けられた電磁コイルと、電磁コイルに接続された電源とを含むシステムを介して、触覚フィードバックをユーザーに提供する方法が提供される。本方法は、好適には、起動信号を電源に送信することと、電磁コイルによって磁界を発生させることと、磁界に応答してエラストマー材料の弾性率を変更して、触覚フィードバックをユーザーに提供することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本発明の実施形態による、触覚フィードバックを提供するシステムを示す図である。
図1B】本発明の実施形態による、図1Aに示すシステムの線B−Bを通る断面図である。
図2A】本発明の実施形態による、触覚フィードバックを提供するシステムの向きを示す図である。
図2B】本発明の実施形態による、触覚フィードバックを提供するシステムの向きを示す図である。
図2C】本発明の実施形態による、触覚フィードバックを提供するシステムの向きを示す図である。
図3】本発明の実施形態による、システム内の磁気粒子の磁極性の整列を示す図である。
図4A】本発明の実施形態による、触覚フィードバックをユーザーに提供する更なるシステムの断面図である。
図4B】本発明の実施形態による、触覚フィードバックをユーザーに提供する更なるシステムの断面図である。
図5A】本発明の実施形態による、触覚フィードバックをユーザーに提供する本明細書に記載されるようなシステムを示す図である。
図5B】本発明の実施形態による、センサーとして作動する本明細書に記載されるようなシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本技術の前述の特徴及び態様並びに他の特徴及び態様は、添付図面に示される実施形態の以下の記載からより良く理解することができる。本明細書に組み込まれて本明細書の一部をなす添付図面は、本技術の原理を説明する役割を更に果たす。図面内の構成要素は、必ずしも縮尺どおりではない。
【0010】
一部は図面を参照しながら、種々の実施形態を詳細に記載する。種々の実施形態の参照によって、本明細書に添付の特許請求の範囲が限定されることはない。さらに、本明細書に記載されているいかなる実施形態も、限定を意図しておらず、添付の特許請求の範囲に関する多くの可能な実施形態のうちの一部を説明するだけのものである。
【0011】
適切な場合は常に、単数の物を指すように用いられる用語は、複数の物を含み、その逆もまた然りである。本明細書における数量を特定しない物を修飾する語の使用(The use of "a")は、別様に述べられない限り、又は「1つ以上(one or more)」という語の使用が明らかに不適切な場合ではない限り、「1つ以上」を意味する。「又は」の使用は、別様に述べられない限り、「及び/又は」を意味する。「含む」、「備える」及び「有する」の使用は、置き換え可能であり、限定を意図していない。「等の(such as)」という語もまた、限定を意図していない。例えば、「を含む(including)」は、「を含むが、これに限定されない(including, but not limited to)」を意味するものとする。
【0012】
実施形態において、本明細書には、触覚フィードバックをユーザーに提供するシステムが提供される。本明細書において用いられる場合、「触覚フィードバック」又は「触覚フィードバック信号」という用語は、本明細書に記載のシステムから触覚によってユーザーに伝えられる振動、手触り、及び/又は熱等の情報を指す。
【0013】
例示的な実施形態では、図1Aに示すように、触覚フィードバックをユーザーに提供するシステム100は、磁気粒子104が分散されているエラストマー材料102を含む。また、システム100には、電磁コイル106(図1Bを参照)も含まれる。電磁コイル106は、エラストマー材料102に磁界を提供するように配向される。
【0014】
実施形態では、システム100は、エラストマー材料102及び電磁コイル106を収容するハウジング108を更に備える。本明細書で用いられる「ハウジング」は、エラストマー材料102を、電磁コイル106によって作用させることができるように、所望の形状、構成及び位置で維持するように使用することができる、容器、デバイス、材料(本明細書で定義するような構造材料を含む)等を指す。
【0015】
本明細書で用いられる「エラストマー材料」又は「エラストマー」という用語は、内部に分散されている磁気粒子の状態及び磁界とのそれらの相互作用に応じて、粘弾性とともに弾性特性を示す天然ポリマー又は合成ポリマーを指す。本明細書に記載されるようなエラストマー材料は、非永久的に変形して、歪みの後に元のサイズ及び形状に戻ることができる。一般に、エラストマーは、他の材料と比較して、弱い分子間力、低いヤング率及び高い破壊歪みを有する。本明細書で使用される例示的なエラストマー材料としては、様々なゴム(天然及び合成の両方)とともに、ウレタン、シリコン系材料及びアクリル樹脂を含むことができる2成分材料が挙げられる。ポリマー材料は、例えば、シリコーン、天然ゴム及び合成ゴム等の軟質ポリマー材料、又は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)ポリエチレンナフタレン(PEN)、シリコン系ポリマー、ポリウレタン、熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、及び天然フィラー又は合成フィラーを充填されるポリマー複合材等の材料を含む、本明細書に記載されるものから選択することができる。
【0016】
図1Aに示すように、ハウジング108は、エラストマー材料102の2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50等の個々の領域又はセクションを含む2つ以上のエラストマー材料102を含むことができ、又は、ハウジング108の表面積及び/又は容積の大部分(すなわち、50%を超える)をカバーするか又は包含することができる、エラストマー材料102のより大きいセクションを含むことができる。エラストマー材料102は、ハウジング108内に収容されているように示されているが、全ての実施形態において、ハウジングを利用することは必須ではなく、本明細書において記載されるように、ハウジング108の使用なしにエラストマー材料が機能することができることが理解されるべきである。
【0017】
図1Bは、線B−Bを通るシステム100の断面図を示す。図示するように、エラストマー材料102は、ハウジング108内に位置することができ、ハウジング108の上縁120の上方に突出する場合がある。しかしながら、更なる実施形態では、エラストマー材料102は、ハウジング108内に完全に収容されることができ、又はハウジングの上縁120と同一平面又は同じ高さの上部を有することができる。図1Bに示すように、ハウジング108は、好適には、エラストマー材料に対し構造及び形状を提供する、エラストマー材料102のための或る種のホルダー又は容器を提供する。
【0018】
図1Bに示すように、エラストマー材料102の下方に電磁コイル106を配置することができ、それにより、(例えば、電源110によって)電力が供給されると、エラストマー材料において又はエラストマー材料を通して、磁界(図1BにおけるF1)が生じる。本明細書に記載されるように、エラストマー材料の方向において又はエラストマー材料において磁界が生成されることにより、エラストマー材料内に分散される磁気粒子が磁界と相互作用するため、エラストマー材料の機械的特性及び材料特性が変化することになる。
【0019】
本明細書で用いられる「磁気粒子」は、磁界が作用して、磁界の方向に応じて引力又は反発力をもたらすことができる、材料の粒子を指す。本発明の実施形態によるエラストマー材料は、好適には、材料内に分散した複数の磁気粒子を含む。本明細書で用いられる「複数の」磁気粒子104は、エラストマー材料内に分散した、1を超える、好適には5を超える、10を超える、50を超える、100を超える、1000を超える、例えば、数十から数十万、数百万程度の磁気粒子を指す。本明細書で用いられる「分散した」とは、好適には、エラストマー材料102における磁気粒子104の均質な混合を指すが、不均質な混合も使用することができ、それにより、実施形態では、エラストマー材料は、エラストマー材料の体積を通して均一に(すなわち、均質に)分配された磁気粒子を含む。図1A及び図1Bに例示的に示すように、磁気粒子104は、好適には、均一に、均質に分配されている。エラストマー材料内に含まれる磁気粒子104の量又は数は、エラストマー材料102の体積の百分率(パーセンテージ)として表現するか又は具現化することもできる。例えば、磁気粒子104は、例えば、エラストマー材料102の体積の約10%〜約65%、約20%〜約60%、約30%〜約50%、約30%〜約40%、又は約20%、約30%、約40%、約50%、約60%若しくは約65%を含む、エラストマー材料102の体積の約5%〜約70%で存在することができる。
【0020】
例示的な実施形態では、磁気粒子は、磁性材料のマイクロサイズ又はナノサイズの粒子を含むことができる。例えば、磁気粒子104は、鉄、ニッケル、コバルト、炭素鉄、酸化鉄及び希土類材料(例えば、ネオジム)等の磁性材料のナノ粒子とすることができる。「ナノ粒子」という用語は、最大約1μmを含む、約5nm〜500nmのサイズを有するが、好適には、約50nm〜300nmの範囲、又は約50nm〜200nmの範囲にある磁気粒子を含む。「マイクロ」サイズの磁性材料は、好適には、約1μm〜約50μm又は約1μm〜約20μm又は約1μm〜約10μmのサイズを有する。
【0021】
電磁コイル106は、好適には、例えば、銅コイルを含むワイヤ等の導電性繊維のコイルである。電磁コイル106は、空芯コイル(air coil)とすることができ、この空芯コイルは、中空の中心部(air center)を含む非磁性の中心部の周囲にある導電性材料の巻線を指す。電磁コイルは、当該技術分野において、コイル、渦巻又は螺旋の形状に作製される電気導体を指すことが知られており、この電気導体は、コイルを通過する電流の結果として磁界を生成する。
【0022】
電磁コイル106は、任意の適当な導電性材料を含むことができ、実施形態において、導電性材料のワイヤを含む。導電性材料の例として、金属(アルミニウム、銅、金及びクロム等)、透明導電性酸化物(「TCO」、例えば、スズドープ酸化インジウム(「ITO」)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(「AZO」))、透明カーボンナノチューブ(CNT)、透明導電ポリマー(ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)、ポリ(3、4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(「PEDOT:PSS」)、及びポリ(4、4−ジオクチルシクロペンタジチオフェン)等)及び種々の導電性繊維が挙げられる。さらに、電磁コイル106は、導電性のナノ粒子又はナノワイヤを用いて形成することができ、例えば、本質的に透明導電体として機能することができる銀ナノワイヤを含む、任意の好適なナノ形状又はナノ幾何形状を有することができる。コイルの他の実施形態は、ナノスケール以外のスケールを有することができる。
【0023】
例示的な実施形態において、電磁コイル106は、構造的に平面(すなわち、実質的に平坦)とすることもできるし、概して数百ミクロンからミリメートル、数センチメートル程度の厚さを有することもできる。実施形態において、電磁コイル106は、各巻線が電磁コイル106の中心部分から、先行する巻線よりも漸次的に大きい距離を有する、平面渦巻パターンで導電性ワイヤによって形成することができる。
【0024】
電磁コイル106は、任意の好適な方法によって形成することができる。例えば、マスキング技術を使用することができ、この場合、導電性材料が堆積する領域を曝露させるが残りの領域は覆われる/マスキングされるように、マスクが基材上に施される。マスキングは、接着テープ若しくは現像されたフォトレジスト、又は任意の他の好適な方法を用いて達成することができる。次に、導電性材料の層を、化学/物理蒸着又は任意の他の好適な技術によって、マスキングされた基材に堆積させる。堆積した金属の厚さは、特定の用途において使用される電流の大きさに基づいて、ナノメートルからマイクロメートルのスケール、又はそれ以上の範囲に及ぶ可能性がある。別の例において、導電性フィルムを基材上に堆積させることができる。これに後続して、フィルムの一部分を、例えば、マイクロ電子産業においてよく知られているフォトリソグラフィー技術を用いる選択性エッチングによって除去して、所望のコイルを残すことができる。更なる例において、電磁コイル106は、3次元印刷(「3D印刷」)技術を用いて基材上に印刷することができる。更なる実施形態では、電磁コイル106は、単に、導電性材料(例えば、ワイヤ)を巻きまわすか、又は所望の形状、構成及びサイズにすることによって用意することができる。
【0025】
例示的な実施形態では、図1Bに示すように、電磁コイル106はエラストマー材料102の真下に配置することができるが、電磁コイル106からの磁界がエラストマー材料102に作用するか又はエラストマー材料102と相互作用することができる限り、本明細書では、他の配向も具現化される。例えば、図2Aに示すように、電磁コイル106は、エラストマー材料102の上方に配置することができ(図2Aは、エラストマー材料102の上面図を表す)、又は、図2Bにおいて、エラストマー材料102と並んで(その任意の側部に)配置することができる。電磁コイル106及びエラストマー材料102のサイズは、単に例示の目的で示されており、それらのサイズ及び素子のサイズの関係は限定的ではないということが留意されるべきである。更なる実施形態では、例えば図2Cに示すように、電磁コイル106は、エラストマー材料102の周囲に巻き付けるか、又は他の方法でエラストマー材料102の周囲に入れることができる。更なる実施形態では、本明細書に記載されるように磁界を提供するように、電磁コイルは、エラストマー材料102内に又はハウジング108内に直接組み込むか又は成形することができる。磁界がエラストマー材料102に作用することができる限り、電磁コイル106の向きを、要求又は必要に応じて任意の方法で提供することができる。
【0026】
ハウジング108は、例えば、シリコーン、天然ゴム及び合成ゴム等の軟質ポリマー材料、又は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)及びポリエチレンナフタレン(PEN)等の剛性材料を含む、様々なゴム、プラスチック、金属、布地及びポリマーを含む、任意の適当な材料から作製することができる。ハウジング108は、具体的な用途に対して適当な任意の厚さとすることができる。例えば、ハウジング108は、数ミリメートルから数センチメートル、数十又は数百センチメートルまでの範囲の厚さを有することができる。概して、ハウジング108の厚さは、本明細書に記載されるシステムの最終的な所望の用途によって決まる。本発明の実施形態によるハウジング108は、作製される材料が「剛性」として特徴付けられる可能性があっても、十分に薄い場合、可撓性があるものとすることができることが留意される。用途に応じて、ハウジングに対して透明な材料又は不透明な材料を用いることができる。ハウジングは、具体的な用途及び/又は環境に適切な他の特性を有するようにすることができる。例えば、電磁コイル106又は電源110が熱を発生させるか又は高温環境に配置されることが予期される場合、ハウジング108として、長鎖ポリアミド(LCPA)であるZytel(商標)等の耐高温性材料を使用することができる。
【0027】
本明細書に記載されているように、電磁コイル106からの磁界が作用すると、磁気粒子は、エラストマー材料におけるそれらのマイクロ構造又は分散状態が変化する。外部磁界に応答して、磁気粒子は整列し、エラストマー材料のレオロジーを変化させることができる。エラストマー材料のこの磁気応答性特性、磁気エラストマー特性又は磁気レオロジー特性により、ユーザーに対して触覚フィードバックがもたらされる。エラストマー材料は、例えば、粘性材料からより弾性率の高い材料に変化して、より堅い材料となることができる。この弾性率の変化は、例えば、バンド又はブレスレットの要素としてのエラストマー材料(エラストマー材料が含まれるハウジング108を含む)の堅さの増大として、ユーザーが感知することができ、又は、エラストマー材料を収容するハウジング又は構造体からのエラストマー材料の突出若しくは押出しとして観察することができる。
【0028】
実施形態では、本明細書に記載されるシステムは、例えば図1Bに示すように、電磁コイル106に(すなわち、電気接続又は無線電源接続によって)接続された電源110を更に含む。電磁コイル106に電力を提供すると、エラストマー材料において磁界F1が生成されるか又は引き起こされ、方向付けられる。実施形態において、電源110は、電磁コイル106に永久的に接続することもできるし、他の実施形態において電磁コイル106から分離して後に接続することもできる。電源110は、電磁コイル106との一体コンポーネントとすることもできるし、別個に提供することもできるし、電磁コイル106に電力を供給するために後から提供することもできる。電源110によって供給される電力量は、好適には、約0.1ワット(W)〜約10W、若しくはより好適には約0.5W〜約5W、若しくは約1W〜約5W、又は、約0.5W、約1W、約2W、約3W、約4W、若しくは約5W程度である。
【0029】
更なる実施形態では、電磁コイル106及び/又は電源110は、封入材料、例えば、耐水材料又はポリマーで密封することができ、それにより、装着具の洗浄中、又は水が存在し得る場所での装着具物品の装着中等に、電磁コイル106及び/又は電源が水と接することが可能になる。封入材料として使用される例示的な材料としては、ゴム、シリコーン、シリコーンエラストマー、Teflon、ポリ(エチレンテレフタレート)等の様々なポリマーが挙げられる。
【0030】
全体を通して記載されるように、実施形態では、システム100及び/又はハウジング108は、構造材料の一部とすることができ、好適には、装着具の一部とすることができる。本明細書で用いられる「構造材料」は、装着具、個人用装身具、手荷物等を構成するのに用いられる材料を意味する。構造材料の例としては、綿、シルク、ウール、ナイロン、レーヨン、合成繊維、フランネル、リネン、ポリエステル等の布及び織物、織布又はそのような布の交織布等、皮革、スエード、箔等の柔軟な金属、ケブラー等が挙げられる。装着具の例としては、衣類、履物、義肢等の補綴物、帽子及びヘルメット等の被り物、身に付ける運動器材、防弾ベスト、ヘルメット、及び他の身体装備等の保護具が挙げられる。個人用装身具としては、眼鏡、ネクタイ及びスカーフ、ベルト及びサスペンダー、ブレスレット、ネックレス、及び腕時計(腕時計のバンド及びストラップを含む)等の宝飾品、財布、札入れ、及び手荷物用タグ等が挙げられる。手荷物としては、ハンドバッグ、小銭入れ、旅行かばん、スーツケース、バックパック(そのような物品の持ち手を含む)等が挙げられる。
【0031】
装着具及び構造材料に加えて、本明細書に記載されるシステムは、例えば、携帯電話、タブレット、タッチパッド、ゲームシステム及びゲームコンソール、コンピューター、車等を含む様々なデバイスに組み込むか又はそれらと組み合わせて使用することができる。例えば、システムは、キーボード又はタッチパッドに組み込むことができ、それにより、ユーザーのタッチ又は押付けに応じて、エラストマー材料は、材料特性が変化し、例えば、ユーザーのタッチに応じてゲル状から固体状に、又はユーザーインタラクションの一定の閾値又は時間に達した後、固体状からゲル状に変化する。エラストマー材料の複数のセクション又は領域が使用される実施形態では、所望の効果及び用途に応じて、エラストマー材料は、それらの材料特性を個々に変化させることができ、又は、複数のセクションを一纏めに変化させることができる。
【0032】
例示的な実施形態では、磁気粒子104を含むエラストマー材料102は、適切な溶剤にポリマーマトリックスを溶解することによって準備することができる。磁性ナノ粒子又はマイクロスケール磁気粒子等の磁気粒子104は、その後、溶液内に添加することができる。必要な場合、磁気粒子は、凝固しないように安定化することができる。例えば、或る特定の分子を、磁気粒子間の引力に打ち勝つように磁気粒子表面に付着させるか又は繋げることができる。その後、溶剤を乾燥させて、磁気粒子をそれらの適所に維持させることができる。
【0033】
ポリプロピレン及びポリエチレン等の不溶性ポリマー材料の場合、溶融混合技法を用いてエラストマー材料102を準備することができる。溶融混合では、ポリマーは、最初に混合チャンバーに加えられ、その溶融温度まで加熱される。このポリマー溶融物は、液体のように挙動する。次に、高温において磁気粒子104がこの溶融物に加えられる。磁気粒子が分散しているポリマー溶融物は、後にホットプレス機を用いて任意の所望の形状に成形することができる。単成分エラストマーが利用される実施形態では、硬化剤、可塑剤、促進剤、触媒等の追加の添加剤を含める必要がある場合がある。
【0034】
本明細書に記載される実施形態では、製造方法は、例えば図3に示すように、磁気粒子104の磁極302を配向するステップを必要とする場合もある。これは、好適には、磁極を整列させるため等、硬化前に又は硬化中に行われ(矢印は負電荷を示し、プラス記号は正電荷を示す)、それにより、磁極は、最終的なエラストマー材料において互いを打ち消さない。整列は、概して、永久磁石、又は極を整列させる他の磁界を用いて行うことができる。
【0035】
更なる実施形態では、例えば、図4A及び図4Bに示すように、本明細書に記載されるシステムは、静電フィードバック又は静電インタラクションをユーザーに提供する素子を更に備えることができる。
【0036】
例えば、ハウジング108と、電磁コイル106に接続された電源110と、分散された磁気粒子104を含むエラストマー材料102とを含むシステム400の断面図を示す図4Aに示すように、システムはまた、静電フィードバックをユーザーに提供するために、導体402(電源110又は他の電源に好適に接続されている)、及び導体402に関連付けられた絶縁体404も含むことができる。ユーザーが、絶縁体404に近接するか又は絶縁体404と接触すると、ユーザーによって、例えば振動(例えば、約数Hz〜数十kHzの範囲)の形態で静電相互作用が感知される。
【0037】
図4Bは、更なる実施形態を示し、そこでは、システム406は、ハウジング108と、電磁コイル106に接続された電源110と、分散された磁気粒子104を含むエラストマー材料102とを含み、システムはまた、静電フィードバックをユーザーに提供するために、導体402と導体402に関連付けられた絶縁体404とを含む。図4Bに示す実施形態では、絶縁体及び導体は、電磁コイル106の近くに又は電磁コイル106に隣接して配置され、それにより、ユーザーがエラストマー材料102と接触するか又は近接すると、エラストマー材料102を通して静電フィードバック又は相互作用が感知される。
【0038】
例示的な実施形態では、導体402は、エラストマー材料102と同じか又はこれに類する材料で、例えば、カーボンナノチューブ、グラファイト、カーボンブラック、グラフェン等の導電性材料を含む材料から準備することができる。導体402及び絶縁体404は、好適には、本明細書に記載されるシステムのエラストマー材料102とのユーザーインタラクションを妨げないように、非常に薄い層(数百ミクロンから数十ミリメートル程度)となる。
【0039】
更なる実施形態では、本明細書に記載されるシステムを介して触覚フィードバックをユーザーに提供する方法も提供される。図示するように、システム100は、好適には、内部に磁気粒子が分散されているエラストマー材料と、エラストマー材料において磁界を引き起こすように方向づけられた電磁コイルとを含む。実施形態では、電源は、電磁コイルに接続される。本方法は、図5Aに示すように、起動信号502を電源に送信することを含む。起動信号502は、好適には、例えば、携帯電話、タブレット、コンピューター、自動車インターフェース又はゲームコンソール等から発生する無線起動信号である。起動信号502は、例えば、電話の呼出、テキストメッセージ、電子メール、ゲームコンソールからの信号、及び/又は車からのコンピューターメッセージ等を受け取ったことを示すことができる。起動信号を受け取ると、電磁コイル106によって磁界が生成される。磁界は、エラストマー材料102内の磁気粒子104と相互作用し、それにより、例えば、エラストマー材料の弾性率を増減させることを含む、エラストマー材料の機械的特性又は材料特性の変更又は変化がもたらされる。例えば、エラストマー材料の弾性率を増大させることを含むエラストマー材料の機械的特性の変更により、触覚フィードバック504がユーザーに提供される。
【0040】
付加的な例として、ゲームコントローラー、ゲームシステム又はゲームコンソール、コンピューター、タブレット、自動車又はトラックインターフェース又はコンピューター、自動決済マシン又はキオスク、種々のキーパッドデバイス、テレビ、種々の機械類等のデバイスに関連付けられる、本明細書に記載のシステムが挙げられる。そのような実施形態において、起動信号をアクチュエーター駆動回路に提供して、外部デバイスによって又は外部デバイスから発信される信号に応じてユーザーに触覚フィードバックを提供することができる。デバイスは、本明細書に記載の触覚フィードバックシステムの種々のコンポーネントが格納される装着具の一部とすることもできる。デバイスが提供することができる例示的なフィードバック又は信号として、例えば、着信メッセージ又は第三者からの通信、警告信号、ゲーミングインタラクション、ドライバー意識向上(driver awareness)信号、コンピュータープロンプト等のインジケーションが挙げられる。
【0041】
更なる実施形態では、本明細書に記載のシステムは、仮想現実システム又は拡張現実システムと統合することもできるし、これらの一部とすることもできる。そのような実施形態において、スマート材料は、ユーザーが仮想現実システム又は拡張現実システムとインタラクトする際に、触覚フィードバックをユーザーに提供して、仮想現実又は拡張現実コンポーネント及びデバイスによって開始された応答又はフィードバックを提供することができる。
【0042】
更なる実施形態では、本明細書に記載されるように、システムとデバイスとの間にインターフェースを提供するように、コントローラーをまた好適に含めることができる。コントローラーのコンポーネントは、本技術分野において既知であり、好適には、例えば、バス、プロセッサ、入出力(I/O)コントローラー及びメモリを含む。バスは、I/Oコントローラー及びメモリを含む、コントローラーの様々なコンポーネントをプロセッサに結合する。バスは、典型的には、制御バス、アドレスバス及びデータバスを含む。しかしながら、バスは、コントローラーのコンポーネントの間でデータを転送するのに好適な任意のバス又はバスの組み合わせとすることができる。
【0043】
プロセッサは、情報を処理するように構成された任意の回路を備えることができ、任意の好適なアナログ回路又はデジタル回路を備えることができる。プロセッサは、命令を実行するプログラマブル回路を備えることもできる。プログラマブル回路の例として、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は命令を実行するのに好適な任意の他のプロセッサ若しくはハードウェアが挙げられる。種々の実施形態において、プロセッサは、単一のユニットを備えることもできるし、単一のコントローラー内に又は別個のデバイス内に物理的に配置される、2つ以上のユニットの組み合わせを備えることもできる。
【0044】
I/Oコントローラーは、コントローラーと周辺デバイス又は外部デバイスとの動作を監視する回路部を備える。I/Oコントローラーは、コントローラーと周辺デバイス又は外部デバイスとの間のデータフローの管理も行う。I/Oコントローラーがインターフェースすることができる周辺デバイス又は外部デバイスの例として、スイッチと、センサーと、外部記憶デバイスと、モニターと、キーボード、マウス又はプッシュボタン等の入力デバイスと、外部コンピューティングデバイスと、移動デバイスと、送信機/受信機とが挙げられる。
【0045】
メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)等の揮発性メモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気メモリ、光学メモリ又は任意の他の好適なメモリ技術を含むことができる。メモリは、揮発性メモリと不揮発性メモリとの組み合わせを含むこともできる。
【0046】
メモリは、プロセッサによって実行するための複数のプログラムモジュールを記憶するように構成される。このモジュールは、例えば、イベント検出モジュール、効果決定モジュール、及び効果制御モジュールを含むことができる。各プログラムモジュールは、データと、ルーチンと、オブジェクトと、呼び出しと、1つ以上の特定のタスクを実行する他の命令との集合体である。或る特定のプログラムモジュールが本明細書において開示されているが、種々の実施形態において、各モジュールについて記載される種々の命令及びタスクは、単一のプログラムモジュール、異なるモジュールの組み合わせ、本明細書において開示されるモジュール以外のモジュール、又はコントローラーと通信する遠隔デバイスによって実行されるモジュールによって実行することができる。
【0047】
本明細書に記載される実施形態では、無線送受信機(Bluetooth(登録商標)又は赤外線送受信機を含む)を含むことができるコントローラーは、本明細書に記載される構造材料に組み込むことができ、又は構造材料とは別個とすることができる。更なる実施形態では、コントローラーは、構造材料から別個のデバイス上にあることができるが、本明細書に記載されるシステムの様々な構成要素及びスマート材料に起動信号を提供するように、好適には有線を介して、又はより好適には無線信号を介して接続される。
【0048】
例示的な実施形態では、電磁コイルは、交流電源で動作することができ、それによって生成される磁界の迅速な変化をもたらす。一方の極性から他方の極性に迅速に変化するこのような振動する磁界により、エラストマー材料をしてその特性を迅速に(数ミリ秒から数十ミリ秒程度で1つの材料状態から別の材料状態に)変化させることができ、それにより、ユーザーに対して振動触覚フィードバックが生成される。この振動触覚フィードバックの周波数は、約10Hz〜約1kHz、又は約100Hz〜約1kHz等の程度とすることができる。
【0049】
更なる実施形態では、図5Bに示すように、ユーザーインタラクション560により、磁気粒子104を含むエラストマー材料102は、(例えば、図5Aにおける元の形状510から図5Bにおける変更された圧縮形状520に)圧縮されるか又は形状を変更することができる。この形状の変化又は圧縮により、システムに関連する起電力の測定可能な変化をもたらすことができ、それにより、ユーザーインタラクションを測定するセンサーとしてシステムを使用することができる。ユーザーインタラクションはまた、電磁コイル106の位置も変更することができ、それは、起電力のスケール又はサイズに影響を与える。起電力の変化は、電磁コイルと磁気粒子を含むエラストマー材料との間の電圧又は磁束の変化として測定することができる。この「逆」起電力、すなわち、ユーザーのインタラクションに応答する起電力は、圧力センサーとして使用されるために、圧力測定値に変換することができる。さらに、本明細書においてセンサーとして記載されるシステムを用いることは、様々な電子回路と更に統合することができる。こうした電子回路を通して、ユーザー入力又はデバイス(例えば、電話、ゲームシステム、コンピューター等)とのインタラクションは、起電力の変化を通して測定することができ、次いで、ユーザーフィードバックとしてデバイスに中継することができる。追加のセンサー素子、例えば、抵抗センサー、容量センサー、紫外線センサー又は光ベースのセンサーもまた、システムと統合することができ、それにより、本明細書におけるシステムは、合わせて、アクチュエーター及びセンサーの両方として機能することができる。
【0050】
上記で記載された種々の実施形態は、例示によってのみ提供されており、添付の特許請求の範囲を制限するものと解釈するべきではない。当業者であれば、本明細書において図示及び記載された例示の実施形態及び応用形態に従うことなく、また、添付の特許請求の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる種々の改変及び変更を容易に認識するであろう。
【0051】
本出願は、2016年11月28日に出願された米国特許出願第15/362,122号の利益を主張し、その開示内容は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
【外国語明細書】