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特開2018-86720ドレッシングロールを用いて研削ウォームをドレッシングする方法及びドレッシングロール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-86720(P2018-86720A)
(43)【公開日】2018年6月7日
(54)【発明の名称】ドレッシングロールを用いて研削ウォームをドレッシングする方法及びドレッシングロール
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/075 20060101AFI20180511BHJP
   B23F 21/02 20060101ALI20180511BHJP
【FI】
   B24B53/075
   B23F21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-226828(P2017-226828)
(22)【出願日】2017年11月27日
(31)【優先権主張番号】10 2016 014 180.8
(32)【優先日】2016年11月28日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】515091795
【氏名又は名称】カップ ヴェルクゾイグマシーネン ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】KAPP Werkzeugmaschinen GmbH
(71)【出願人】
【識別番号】513063062
【氏名又は名称】ニレス ヴェルクゾイグマシーネン ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】NILES Werkzeugmaschinen GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】グリンコ、セルギー
【テーマコード(参考)】
3C047
【Fターム(参考)】
3C047CC10
3C047CC13
3C047CC15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ドレッシングロールと、それを用いて研削ウォームをドレッシングする方法を提供する。
【解決手段】研磨面(2)を含むドレッシングロール(1)は、研削ウォームと係合するように動いて螺旋状の研削面を切削し、ドレッシングロール(1)の研磨面(2)は、径方向断面が少なくとも部分的に歯形に設計され、根元領域(3)から先端領域(4)まで径方向(r)に延び、ドレッシングロール(1)は、a)内側表面を有する相補型(5)を作製する工程と、b)歯形表面(6)に研磨粒子(7)の層を配置し、研磨粒子(7)を固定する工程であって、担体材料が研磨粒子(7)に対する担体層(14)を形成する、工程と、c)ドレッシングロール(1)の円盤状基体(8)を作製し、円盤状基体を担体層(14)に結合させる工程と、d)基体(8)を脱型する工程と、e)基体(8)を切削する工程とによって作製される方法である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレッシングロール(1)を用いて研削ウォームをドレッシングする方法であって、
研磨面(2)を含む前記ドレッシングロール(1)は、前記研削ウォームと係合するように動いて螺旋状の研削面を切削し、
前記ドレッシングロール(1)の前記研磨面(2)は、径方向断面が少なくとも部分的に歯形に設計され、根元領域(3)から先端領域(4)まで径方向(r)に延び、
前記ドレッシングロール(1)は、
a)径方向断面が少なくとも部分的に歯形である内側表面(6)を有する相補型(5)を作製する工程と、
b)前記歯形表面(6)に研磨粒子(7)の層を配置し、担体材料を用いて前記研磨粒子(7)を固定する工程であって、前記担体材料が前記研磨粒子(7)に対する担体層(14)を形成する、工程と、
c)前記ドレッシングロール(1)の円盤状基体(8)を作製する工程であって、前記研磨粒子(7)を含む前記担体層(14)に前記基体(8)を結合させる工程と、
d)担体層(14)と研磨粒子(7)とを含む前記ドレッシングロール(1)の前記基体(8)を前記相補型(5)から脱型する工程と、
e)前記ドレッシングロール(1)の前記研磨面(2)が形成されるように切削工具(10)を用いて前記研磨粒子(7)の外側部分(11)を取り除くことによって、研磨粒子(7)を含む前記基体(8)を切削する工程とによって作製される、方法において、
工程a)に従って前記相補型(5)を作製するとき、前記輪郭表面(6)に対して垂直な径方向断面で測定した前記輪郭表面(6)と前記研磨面(2)との間の距離(x)が、前記表面(6)の少なくとも一方の側部(12、13)で前記根元領域(3)から前記先端領域(4)に向かう過程で変化していくように、前記相補型に前記表面(6)を施す
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
工程a)に従った前記歯形表面(6)の作製は、前記表面(6)に対して垂直な径方向断面で測定した前記表面(6)と前記研磨面(2)との間の前記距離(x)が、前記根元領域(3)から前記先端領域(4)に向かう過程で長くなるように行われる
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)に従った前記歯形表面(6)の作製は、前記表面(6)に対して垂直な径方向断面で測定した前記表面(6)と前記研磨面(2)との間の前記距離(x)が、前記根元領域(3)から前記先端領域(4)に向かう過程で短くように行われる
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記距離(x)の増減は、前記歯形表面(6)の両側部(12、13)で等しい
請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
工程a)に従った前記歯形表面(6)の作製は、前記表面(6)に対して垂直な径方向断面で測定した前記表面(6)と前記研磨面(2)との間の前記距離(x)が、前記根元領域(3)から前記先端領域(4)に向かう過程で、前記歯形表面(6)の一方の側部(12)では長くなっていき、前記歯形表面(6)のもう一方の側部(13)では短くなっていくように行われる
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記距離(x)の増減は、前記根元領域(3)から前記先端領域(4)に向かう過程で線形に行われる
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記距離(x)の増減は、前記根元領域(3)から前記先端領域(4)に向かう過程で非線形に行われる
請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記根元領域(3)から前記先端領域(4)に向かう過程での前記距離(x)の増減は、前記歯形表面(6)に沿って前記距離(x)に対して凸状の設計になるように行われる
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記距離(x)の増減は、線形だが線の状態が異なっている区分にわたって行われる
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
径方向断面が少なくとも部分ごとに歯形になっている輪郭表面(6)を含む円盤状基体(8)を有する、研削ウォームをドレッシングするためのドレッシングロール(1)であって、
前記表面(6)は、根元領域(3)から先端領域(4)にわたって径方向(r)に広がり、前記表面(6)には研磨粒子(7)の層が設けられ、前記研磨粒子(7)の外端領域は研磨面(2)を形成する、ドレッシングロールにおいて、
前記研磨粒子(7)は、前記研磨面(2)を形成する表面領域(A)を形成し、前記表面領域のサイズは、前記根元領域(3)から前記先端領域(4)に向かう過程で変化していく
ことを特徴とするドレッシングロール(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレッシングロールを用いて研削ウォームをドレッシングする方法であって、研磨面を含むドレッシングロールは、研削ウォームと係合するように動いて螺旋状の研削面を切削し、ドレッシングロールの研磨面は、径方向断面が少なくとも部分的に歯形に設計され、根元領域から先端領域まで径方向に延び、ドレッシングロールは、
a)径方向断面が少なくとも部分的に歯形である内側表面を有する相補型(メス型)を作製する工程と、
b)歯形表面に研磨粒子の層を配置し、担体材料を用いて研磨粒子を固定する工程であって、担体材料が研磨粒子に対する担体層を形成する工程と、
c)ドレッシングロールの円盤状基体を作製する工程であって、特に基体を相補型の中に挿入し、研磨粒子を含む担体層に基体を結合させる工程と、
d)担体層と研磨粒子とを含むドレッシングロールの基体を相補型から脱型する工程と、
e)ドレッシングロールの研磨面が形成されるように切削工具を用いて研磨粒子の外側部分を取り除くことによって、研磨粒子を含む基体を切削する工程と
によって作製される、方法に関する。
【0002】
さらに本発明は、ドレッシングロールに関する。
【背景技術】
【0003】
歯車または形材を硬質で精巧な仕上げにするとき、特に大量生産またはライン生産の場合、ドレッシング可能な研削ウォームを研削工具として使用することが多い。作製すべき歯車に要求される品質を維持するため、すなわち研削ウォームの摩耗を埋め合わせるため、また、研削ウォームの研削領域に望まれるまたは要求される表面構造に仕上げるためにドレッシングロールが用いられ、ドレッシングロールは通常ダイヤモンドでコーティングされている。
【0004】
このようなドレッシングロールを作製するとき、精巧に研削した鋼鉄の基体を、電気めっき処理を介して通常ダイヤモンド粒子の形態である研磨粒子の層でコーティングできる。
【0005】
代替案となる一般的な方法が、相補型を用意するというものであり、この相補型は内側に、後にドレッシングロールの研磨面となる面と実質的に合致する歯形表面を有している。次に、この歯形表面には研磨粒子(多くの場合ダイヤモンド粒子またはCBN粒子)が分散され(例えばニッケルを介して)固定される。すなわち、研磨粒子は相補型の内側のこの表面に分散され、例えばニッケルの層に埋め込まれる。この場合の材料であるニッケルは、研磨粒子を包含し、研磨粒子に対する担体層を形成する。次に、ドレッシングロールの基体を(機械加工によって)作製する。基体を相補型の中に挿入し、例えば充填材を介して担体層に結合し、それによって研磨粒子と結合し、研磨粒子を基体に保持する。このようにして作製したドレッシング工具を脱型した後、ドレッシング工具の研磨面の領域を、切削工具を用いて要望通りの形状にしていく。
【0006】
研磨粒子を用いるコーティングの品質、ならびに研削すべき歯車に求められる表面の品質及び形状の精度それぞれに応じて、ドレッシングロールの輪郭を具体的に再加工しなければならない。この再加工は、それに応じて適宜、例えばダイヤモンド研削ディスクを用いて治具研削盤で行われ、ドレッシングロールの研磨粒子の包絡面には、理論上算出された輪郭が施される。
【0007】
再加工時の送り量に応じて、ドレッシングロールの側部の高さ(すなわち根元領域から先端領域まで。上記を参照)に沿って、材料割合は比較的等しい値になる。したがって、そのようにして作製されたドレッシングロールを用いて研削ウォームをドレッシングする場合、研削ウォームの側部の高さに沿って材料割合は比較的等しい値になる。
【0008】
上記の方法でドレッシングロールが完成した場合、その輪郭は、研削ウォームをドレッシングする過程で研削ウォームに反映された後、それによってワークピースを研削する過程では、創成研削プロセスで研削すべき歯形のワークピースに研削ウォームのウォーム側部の輪郭が反映される。したがって、表面粗さも歯車側部の様々な領域で比較的均等である。
【0009】
このプロセスを図1に示している。ここでは、(回転対称の)相補型5の一部の径方向断面が見えている。この相補型は、内側に空洞の内空間9を有し、内側の歯形表面6は、第1の工程において研磨粒子7でコーティングされる。その際に、粒子7は、例えばニッケル層を介して表面6に固定される。ニッケル層を本明細書では全体を通して担体層14と称し、この担体層は、研磨粒子を図示した位置に保持する層を形成する。それによって表面6は、根元領域3から先端領域4にわたって径方向rに広がっている。
【0010】
この表面6の形状は、後に所望されるドレッシングロール1の最終輪郭2と合致するが、この形状は、表面6に対して垂直に測定した距離xを置いた研磨面2の向かい側にくる。
【0011】
次に、ドレッシングロール1の基体を、円盤状部分ができるまで具体的に機械加工によって作製し、この円盤状部分を相補型5の内側に挿入する。次に基体を、充填材を介して担体層14に結合させ、それによって研磨粒子7と結合させる。この充填材を含み、担体層14と結合している基体を、この図でも後述の実施形態でも符号8で示している。このように、研磨粒子7は、ドレッシングロール1の基体に結合される。
【0012】
一般に、その他の基体の作製方法及び基体を担体層に結合させる方法も検討でき、例えば基体の鋳造を検討できる。
【0013】
このように作製した円盤状ドレッシングロール1を脱型した後、ドレッシングロールの研磨面2を、この面2を切削工具10(ダイヤモンド研削ホイール)で研削することによって精巧に作製する。この工程では、ドレッシングロール1はその回転軸a周りを回転し、切削工具はその(図示していない)回転軸周りを回転する。
【0014】
切削工具10を用いる上記の切削プロセスでは、研磨粒子7の外側部分11を取り除き、それによって所望の輪郭2を作製する。このようにして、輪郭2の両方の側部12及び13ならびにドレッシングロール1をそれぞれ仕上げる。概略的に示したのは、研磨粒子の表面領域Aであり、この表面領域は、仕上がったドレッシングロールに見られるか、あるいはドレッシングプロセスで利用可能なものである(「A」で示しているのは径方向断面での幅であり、突出平面に垂直な方向がそれに対応する研磨粒子の深さである。よってこの2つから面積ができる)。
【0015】
概念として、実質的に、ドレッシングロールの同じ均等な表面粗さは、輪郭2の径方向延長部全体にわたって広がっているため、研削ウォームのドレッシング及びその研削ウォームを用いた歯車の研削を介して仕上がったワークピースにも同じことが当てはまる。ただし、これはあらゆる場合に望まれることではない。
【0016】
時には、研削した歯の側部の歯の高さに沿った表面粗さにばらつきがあることが望まれることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、このような一般的な方法をさらに発展させ、それに応じたドレッシングロールを提供し、そのドレッシングロールによって、研削した歯の側部の歯の高さに沿った表面粗さに選択的に影響を与えることを可能にし、これを、ドレッシングロールの側部の高さに沿って、使用する研磨材料の材料割合に選択的に影響を与えることによって達成するものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によるこの課題の解決策は、工程a)に従って相補型を作製するときに、輪郭表面に対して垂直な径方向断面で測定した輪郭表面と研磨面との間の距離が、表面の少なくとも一方の側部で根元領域から先端領域に向かう過程で変化していくように、この相補型に表面を施すことを想定している。
【0019】
それによって、上記の工程a)に従った歯形表面の作製を、表面に対して垂直な径方向断面で測定した表面と研磨面との間の距離が根元領域から先端領域に向かう過程で長くなったり短くなったりするように行うことを想定できる。それによって、距離の増減は歯形表面の両側部で等しくてなり得る。
【0020】
上記の工程a)に従った歯形表面の作製を、表面に対して垂直な径方向断面で測定した表面と研磨面との間の距離が、根元領域から先端領域に向かう過程で、歯形表面の一方の側部では長くなっていき、歯形表面のもう一方の側部では短くなっていくように行うことも可能である。
【0021】
その場合のこの距離の増減は、根元領域から先端領域に向かう過程で線形に行うことができる。
【0022】
ただし、非線形に行うこともでき、その場合は特に、根元領域から先端領域に向かう過程での距離の増減を、輪郭表面に沿って距離に対して凸状(放物線状)の設計になるように行うことを想定できる。また、距離の増減を線形だが線の状態が異なっている区分にわたって行うことも想定できる。
【0023】
径方向断面が少なくとも部分ごとに歯形になっている輪郭表面を含む円盤状基体を有する、研削ウォームをドレッシングするためのドレッシングロールであって、表面が根元領域から先端領域にわたって径方向に広がり、表面には研磨粒子の層が設けられ、研磨粒子の外端領域が研磨面を形成する、ドレッシングロールは、研磨粒子が表面領域を形成して研磨面を形成し、この表面領域のサイズが、(歯形表面の少なくとも一方の側部で)根元領域から先端領域に向かう過程で変化していくことを本発明の特徴とする。
【0024】
そのため、本発明は、ドレッシングロールを作製する方法と、このドレッシングロールを用いて歯車状のワークピースの歯の高さに沿ってばらつきのある表面粗さを生み出すことが可能になるように、このドレッシングロールを用いてドレッシング可能な研削ウォームをドレッシングするためのドレッシングロールとを提供する。
【0025】
それによって、ドレッシング可能な研削ウォームをドレッシングするための、側部の高さに沿って材料割合にばらつきがある工具(ドレッシングロール)を提供することが可能になり、その結果、ドレッシング可能な研削ウォームも、側部の高さに沿って材料割合にばらつきがある状態に作製され、またそうすることによってさらに、研削する必要のあるワークピースの歯の高さに沿ってばらつきがある表面粗さを生み出すことができる。
【0026】
そのため、提案する解決策により、歯の側部の表面に関する特定の所望及び仕様をそれぞれ満たすことが可能になる。すなわち、歯の高さに沿った表面粗さが所望通りに仕上がるように歯の側部を機械加工できる。そのようにするために、本発明による方法及びドレッシングロールは、側部の高さに沿ってばらつきのある材料割合を具体的に決定した状態で用いられる。
【0027】
要約すると、本発明による構想を再度以下のようにまとめることができる。
【0028】
ドレッシングロールを作製するために相補型の歯形表面を設計するときは、このように、意図的に「間違った」工具の輪郭を基準として使用する。基体を研磨粒子(すなわち、特にサイズ及び/または粒状が均等である窒化ホウ素粒子(CBN)またはダイヤモンド粒子)の層で作製した後、ドレッシング工具(ドレッシングロール)を(ダイヤモンド)研削ホイールで前述したように再加工する。ただし、この再加工は、(相補型の)歯形表面の輪郭と形成すべき研磨面との間の距離が等しい状態では行わず、特定の「正しい」輪郭に従って行う。そのため、プロセス終了時に、研磨粒子から一定(等距離)の量が歯の高さに沿って取り除かれることはなく、むしろ取り除かれる量は、研磨面の径方向の高さに沿って変化する。基体に層を形成している研磨粒子すべてのサイズは同じである、すなわちおよそ同じ寸法であると仮定すれば、個々の研磨粒子は、再加工過程でそれぞれが適宜異なる形で取り除かれる。
【0029】
明瞭にするために言及しておかなければならないことは、基体をコーティングするのに所定の粒子の直径を選んだ場合であっても、その粒子の直径は必ずある特定の範囲内にあるというだけである、すなわちその粒子はすべてが同じ直径には決してならないということである。ただし、これが問題になることはない。逆に、直径がある特定の範囲内である粒子を含んでいる混合粒子を使用することが有益となることもある。
【0030】
そうすることによって、側部の高さに沿ったドレッシングロール表面の様々な領域では、切削エッジを形成している材料割合の値が様々になる。
【0031】
その結果、次に研削ウォームをドレッシングするとき、ドレッシング工具の輪郭は、それに応じて、研削ウォームの各ねじ山の材料割合がばらつきのある状態に再現される。次に、研削するときに、そのばらつきのある材料割合を研削すべきワークピースの歯車の歯の側部にさらに反映させるということを行う。
【0032】
当然ながら、提案した構想は、ねじ山が単数の研削ウォームのドレッシングにもねじ山が複数の研削ウォームのドレッシングにも用いることができる。
【0033】
図面に本発明の実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】相補型と、この相補型で作製された、研削ウォームをドレッシングするためのドレッシングロールとの径方向断面の概略図であり、先行技術による方法を示した説明図
図2】相補型と、研削ウォームをドレッシングためのドレッシングロールとの径方向断面の概略図であり、本発明及び第1の実施形態による方法を示した説明図
図3図2に示した本発明による第2の実施形態を示す説明図
図4図2に示した本発明による第3の実施形態を示す説明図
図5図2に示した本発明による第4の実施形態を示す説明図
図6図2に示した本発明による第5の実施形態を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の原理は、図1(先行技術による対策)と図2(本発明による実施形態)とを比較することで説明できる。
【0036】
最初に(空洞の)内空間9を有する相補型5を用意する。空間9の境界は歯形表面6である。ただし、この歯形表面6は、後に所望されるドレッシングロール1の研磨面2に正確に合致するものではない。根元領域3から先端領域4にわたって径方向rに広がっている表面6に研磨粒子7を備え、この粒子を(例えば電気的または化学的に堆積させたニッケル層を介して)表面6に固定する。この固定は担体層14を用いて行い、この担体層は、本発明の実施形態ではニッケル製のものである。個々の研磨粒子7は、実質的に同一サイズであり、したがって、表面6上に厚みが一定の層を形成する。
【0037】
次に、ドレッシングロールの基体を、具体的に機械加工によって作製する。基体を、具体的に軸方向にスライドさせて相補型5の中に挿入し、次に、充填材を入れて基体を担体層14と結合させる。充填材を含んでいる基体を符号8と表記している。そうすることによって研磨粒子を基体に結合する。
【0038】
そのように作製したドレッシングロール1を脱型した後、ドレッシングロールの研磨面2の領域を切削工具10を用いて要望通りの形状にしていく。切削工具10を用いてドレッシングロール1を所望の研磨面2に切削することは、このように行う。その際、研削ウォームをドレッシングするのに必要な研磨面2ができるように研磨粒子7の外側部分11を取り除く。
【0039】
その際、歯形表面6及び研磨面2の前述の作製を、歯形表面6及びドレッシングロールそれぞれの側部12及び13それぞれの少なくとも一方で、輪郭表面6に対して垂直な径方向断面内で測定した歯形表面6と研磨面2(最終輪郭)との間の距離xが根元領域3から先端領域4に向かう過程で変化していくように行うことが重要である。これは図2から極めて容易にわかることである。なぜなら、この図で例示している表面6の直線及び研磨面2の直線は径方向断面では平行ではなく、互いにある一定の角度を保って構成されているからである。これは先行技術による解決策には該当しないことである。先行技術では、表面6と面2は互いに平行である。
【0040】
この処理によって、研磨粒子7の切削領域には、ドレッシングロール1を切削した後の歯の高さに沿って異なる表面領域Aができるという結果になる。図2による実施形態では、この表面領域は、径方向内側の研磨粒子7の方が径方向外側の粒子よりも大きい。
【0041】
他の図面には、図2による実施形態の変形例を示している。
【0042】
図3による解決策では、同じく表面6と面2との間には角度のある線幅ができるように構想されているが、この場合の表面領域Aは、径方向外側方向に向かう過程で大きくなっている(図2では小さくなっている)。
【0043】
図4は、提案した測定を必ずしも両方の側部12及び13で同じように適用する必要がないことを示している。さらに正確に言えば、側部12のみが本発明による設計になっており、一方、側部13は先行技術通りに設計されている(図1を参照)。
【0044】
図5では、表面領域Aが大きくなる向きと小さくなる向きとをそれぞれ側部12と側部13の両方で異なるように設定できることが見てとれる。つまり、側部12では、表面領域Aは回転軸からの径方向距離が長くなるにつれて小さくなり(図2を参照)、側部13では大きくなる。
【0045】
最後に図6は、輪郭表面6と研磨面2との間の距離xが必ずしも線形に長くなったり短くなったりする必要はないことを示している。側部12には、距離xに対して歯の高さに沿って球形(放物状)の線が設けられている。側部13には、区切られた領域が設けられ、その領域内で、距離xが長くなっていく直線と短くなっていく直線とがそれぞれ描かれているが、両直線は逆向きに構成されている。
【0046】
図2から図6の実施形態による個々の解決策を任意に組み合わせて用いることも可能であることを明記する必要がある。
【符号の説明】
【0047】
1 ドレッシングロール
2 ドレッシングロールの研磨面
3 根元領域
4 先端領域
5 相補型
6 相補型の歯形表面
7 研磨粒子(ダイヤモンド粒子/CBN粒子)
8 ドレッシングロールの基体(充填材を含む)
9 相補型の内空間
10 切削工具
11 研磨粒子の外側部分
12 表面の側部
13 表面の側部
14 担体層
r 径方向
x 歯形表面と研磨面との間の距離
A 表面領域
a 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6