(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-86805(P2018-86805A)
(43)【公開日】2018年6月7日
(54)【発明の名称】タイヤ加硫成型金型及び空気入りタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 33/02 20060101AFI20180511BHJP
B29C 33/10 20060101ALI20180511BHJP
B29C 35/02 20060101ALI20180511BHJP
B29L 30/00 20060101ALN20180511BHJP
【FI】
B29C33/02
B29C33/10
B29C35/02
B29L30:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-231699(P2016-231699)
(22)【出願日】2016年11月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】藤木 邦子
【テーマコード(参考)】
4F202
4F203
【Fターム(参考)】
4F202AA45
4F202AH20
4F202AM32
4F202CA21
4F202CB01
4F202CU02
4F202CU07
4F203AA45
4F203AB03
4F203AH20
4F203AM32
4F203AR07
4F203DA11
4F203DB01
4F203DC01
4F203DL10
4F203DL12
(57)【要約】
【課題】スプリングベントが下孔から抜け落ちにくいタイヤ加硫成型金型を提供する。
【解決手段】金型内部と金型外部とを連通する下孔20と、下孔20の内径側に設けられたスプリングベント30とを備え、スプリングベント30が、筒状でその内径側に金型内部から金型外部への通気孔32を有するハウジング40と、ハウジング40の内径側に挿入され通気孔32を開閉するステム50とを備えるタイヤ加硫成型金型において、下孔20の内径面にめねじ部25が設けられ、ハウジング40の外径面におねじ部48が設けられ、ハウジング40が下孔20に螺合されたことを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内部と金型外部とを連通する下孔と、前記下孔の内径側に設けられたスプリングベントとを備え、前記スプリングベントが、筒状でその内径側に金型内部から金型外部への通気孔を有するハウジングと、前記ハウジングの内径側に挿入され前記通気孔を開閉するステムとを備えるタイヤ加硫成型金型において、
前記下孔の内径面にめねじ部が設けられ、前記ハウジングの外径面におねじ部が設けられ、前記ハウジングが前記下孔に螺合された、タイヤ加硫成型金型。
【請求項2】
前記ハウジングの金型内側の端部に、前記螺合のための工具が入る凹部が設けられた、請求項1に記載のタイヤ加硫成型金型。
【請求項3】
前記ハウジングの前記おねじ部の金型内側の端部が、前記ハウジングの前記凹部よりも金型外側にあり、前記下孔のめねじ部の金型内側の端部と同位置にある、請求項2に記載のタイヤ加硫成型金型。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ加硫成型金型の内部に未加硫タイヤをセットし、その未加硫タイヤに加熱及び加圧を施して加硫成型を行う工程を含むタイヤ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤ加硫成型金型及び空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの加硫成型に用いられるタイヤ加硫成型金型であって、金型内部と金型外部とを連通する下孔が設けられ、その下孔に金型内部の空気を金型外部へ排出するスプリングベントが嵌合されたものが存在する。スプリングベントは、筒状で内径側に金型内部から金型外部への通気孔を有するハウジングと、ハウジングの内径側に挿入され通気孔を開閉するステムとを備える。このスプリングベントでは、ステムが弾性部材によって金型内側に付勢されてハウジングとステムとの隙間が開き通気孔が開状態となっている。しかし加硫成型時にゴムがベントプラグに到達して金型内側からステムを押すと、ハウジングとステムとの隙間が閉じ通気孔が閉状態となる。
【0003】
このようなスプリングベントを備えるタイヤ加硫成型金型では、空気入りタイヤの加硫成型中の下孔の拡大等が原因となって、スプリングベントが下孔から抜け落ちてしまうことがあった。スプリングベントが下孔から抜け落ちることを防ぐために、下孔の内径を小さくしてスプリングベントを高圧で圧入することも考えられるが、そうするとスプリングベントのハウジングが収縮してステムの動作不良が起こってしまう。
【0004】
そこで、特許文献1に記載のように、スプリングベントと下孔とを接着剤で接着することが提案されている。また特許文献2及び特許文献3に記載のように、スプリングベントとは異なる構造で金型内部の空気を金型外部へ排出するベントピースにおいて、その外径面にアヤ目ローレット又はリッジと呼ばれる細かい凹凸を設けることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−24501号公報
【特許文献2】特開2015−71251号公報
【特許文献3】特開2006−334872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、スプリングベントが下孔から抜け落ちにくいタイヤ加硫成型金型及び空気入りタイヤの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のタイヤ加硫成型金型は、金型内部と金型外部とを連通する下孔と、前記下孔の内径側に設けられたスプリングベントとを備え、前記スプリングベントが、筒状でその内径側に金型内部から金型外部への通気孔を有するハウジングと、前記ハウジングの内径側に挿入され前記通気孔を開閉するステムとを備えるタイヤ加硫成型金型において、前記下孔の内径面にめねじ部が設けられ、前記ハウジングの外径面におねじ部が設けられ、前記ハウジングが前記下孔に螺合されたことを特徴とする。
【0008】
また、実施形態の空気入りタイヤの製造方法は、前記タイヤ加硫成型金型の内部に未加硫タイヤをセットし、その未加硫タイヤに加熱及び加圧を施して加硫成型を行う工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
実施形態のタイヤ加硫成型金型では、下孔の内径面にめねじ部が設けられ、ハウジングの外径面におねじ部が設けられ、ハウジングが下孔に螺合されているので、スプリングベントが下孔から抜け落ちにくい。
【0010】
また、実施形態の空気入りタイヤの製造方法では上記のタイヤ加硫成型金型を用いるため、加硫成型中にスプリングベントが下孔から抜け落ちにくい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態のタイヤ加硫成型金型10の軸方向の断面図。
【
図2】サイドプレート14の成形面18を金型内側から見た図。
【
図4】(a)スプリングベント30を金型内側から見た図。(b)スプリングベント30の軸方向の断面図。
【
図5】下孔20に螺合されたスプリングベント30の軸方向の断面図。
【
図6】変更例のスプリングベント130の軸方向の断面図。
【
図7】(a)他の変更例のスプリングベント230を金型内側から見た図。(b)他の変更例のスプリングベント230の軸方向の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態について図面に基づき説明する。なお、本実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。また図面は、説明の都合上、長さや形状等が誇張されて描かれたり、模式的に描かれたりする場合がある。しかしこのような図面はあくまでも一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0013】
図1に本実施形態のタイヤ加硫成型金型10を示す。タイヤ加硫成型金型10は、周上に並べられた複数のセクター12と、複数のセクター12が形成する円周の軸方向両側に設けられた一対のサイドプレート14と、サイドプレート14の内径側に設けられた一対のビードリング16とを備える。加硫成型時にはタイヤ加硫成型金型10内に未加硫タイヤがセットされる。セクター12、サイドプレート14、ビードリング16は、空気入りタイヤを成型する成型部材であり、これらの金型内側の面はタイヤ表面を成型する成型面18である。複数のセクター12は主に空気入りタイヤのトレッド部を、一対のサイドプレート14は空気入りタイヤのサイド部を、一対のビードリング16は空気入りタイヤのビード部を、それぞれ成型する。セクター12の材料は、限定されないが、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金(例えばAl−Cu系、Al−Mg系、Al−Mn系、Al−Si系の合金)である。またサイドプレート14及びビードリング16の材料は、限定されないが、例えば、一般構造用圧延鋼材(例えばSS400)等の鋼材である。サイドプレート14の材料とビードリング16の材料とは同じであっても良いし異なっても良い。
【0014】
成型部材の例えばサイドプレート14には下孔20が設けられている。下孔20は断面円形で金型内側から金型外側に向かって延びている孔である。
図1に例示するように、下孔20はサイドプレート14の成型面18及び金型外側の面に開口している。従って下孔20によって金型内部と金型外部とが連通している。
【0015】
下孔20が設けられる場所は、限定されないが、加硫成型時に最後まで空気が残り易い場所であることが望ましい。例えば、
図2に示すようにサイドプレート14の金型内側に、サイドプレート14の周方向等に延びる凹溝22が設けられている場合は、その凹溝22と重なるように下孔20が設けられていても良い。また、サイドプレート14の金型内側に、空気入りタイヤの外面に文字や模様等を形成するための凹部23が設けられている場合は、その凹部23の角部付近や端部付近の場所に下孔20が設けられていても良い。
【0016】
図3に示すように、下孔20の内径面には、金型内側(図の上側)の大径部24と、大径部24よりも金型外側(図の下側)のねじが切られためねじ部25と、めねじ部25よりも金型外側の小径部26とが設けられている。大径部24は金型内部に開口し、小径部26は金型外側に開口している。大径部24は小径部26よりも内径が大きい。また、めねじ部25のねじ溝の谷底の位置で測定されるめねじ部25の径は、大径部24の内径と一致する。めねじ部25は後述するようにスプリングベント30を螺合するための部分である。
【0017】
これらの下孔20にはスプリングベント30が螺合されている。
図4に示すように、スプリングベント30は、筒状で内径側に通気孔32を有するハウジング40と、ハウジング40の内径側に挿入され通気孔32を開閉するステム50とを備える。
【0018】
図4(b)に示すように、ハウジング40の外径面には、金型内側(図の上側)の大外径部47と、大外径部47よりも金型外側(図の下側)のねじが切られたおねじ部48と、おねじ部48よりも金型外側の小外径部49とが設けられている。大外径部47の外径は小外径部49の外径よりも大きい。また、おねじ部48のねじ山の頂の位置で測定される外径は、大外径部47の外径と一致する。ハウジング40の大外径部47の外径は下孔20の大径部24の内径とほぼ一致する。そのため、ハウジング40が下孔20に螺合された状態において、ハウジング40の大外径部47と下孔20の大径部24とが接触する。また、ハウジング40のおねじ部48は下孔20のめねじ部25と螺合する。また、ハウジング40の小外径部49の外径は下孔20の小径部26の内径とほぼ一致する。そのため、ハウジング40が下孔20に螺合された状態において、ハウジング40の小外径部49と下孔20の小径部26とが接触する。
【0019】
図4に示すように、ハウジング40の金型内側(図の上側)の端部には通気孔32を跨ぐ溝状の凹部41が設けられている。作業者が下孔20にハウジング40を入れ、ハウジング40の凹部41にマイナスドライバを入れて回すことにより、
図5のようにハウジング40を下孔20に螺合させることができる。
【0020】
ここで、ハウジング40のおねじ部48の金型内側(図の上側)の端部60が、ハウジング40の凹部41よりも金型外側(図の下側)にあることが望ましい。従っておねじ部48が凹部41と重ならないことが望ましい。
図4に示すように、おねじ部48の金型内側の端部60と凹部41の底部61とが一致していても良い。この望ましい形態において、
図5のようにハウジング40が下孔20に螺合した状態で、ハウジング40のおねじ部48の金型内側の端部60は、下孔20のめねじ部25の金型内側の端部63と同位置にある。
【0021】
図4に示すように、ハウジング40の通気孔32は、下孔20と同方向へ延びており、金型内部と金型外部とを連通している。ハウジング40の内径面すなわち通気孔32を形成する面のうち、ハウジング40の金型内側端面42からハウジング40の深さ方向へ(すなわち金型外側へ)連続する面は、金型外側に向かって径が小さくなるようにテーパ面となっている。このテーパ面は通気孔32の閉塞時にステム50と接触する接触面44である。また、ハウジング40の内径面のうち接触面44から金型外側へ連続する面(中間内径面45とする)は、径が一定となっている。さらに、ハウジング40の金型外側の端部付近では、中間内径面45よりも内径が小さくなった小内径部46が設けられている。
【0022】
図4に示すように、ステム50は、その金型内側端面52を備える頭部54と、頭部54から金型外側へ連続する第一胴部56と、第一胴部56からさらに金型外側へ連続する第二胴部57と、第二胴部57から連続する先端部58とを備える。頭部54の外径面53は金型外側に向かって径が小さくなるようにテーパ面となっている。この外径面53は通気孔32の閉塞時にハウジング40の接触面44と接触する面である。
【0023】
第一胴部56及び第二胴部57の外径はハウジング40の中間内径面45の内径より小さく、第一胴部56及び第二胴部57の外径面とハウジング40の中間内径面45との間に隙間ができている。また、第二胴部57は、第一胴部56よりも外径が小さく、その一部がハウジング40の小内径部46の内径側に位置している。第二胴部57と小内径部46との間には通気部が存在する。このような構造のため、ステム50の頭部54の外径面53とハウジング40の接触面44との間に入った空気は、第一胴部56及び第二胴部57の外径面と中間内径面45との間を通過し、さらに第二胴部57と小内径部46との間の通気部を通過し、スプリングベント30より金型外側へ排出される。
【0024】
ステム50の先端部58はハウジング40の小内径部46よりも外径が大きくなっている。そして先端部58は、ハウジング40の小内径部46より金型外側にあるため、小内径部46より金型内側へ移動することができない。これによりステム50がハウジング40から金型内側へ抜け落ちないようになっている。
【0025】
なお図示しないが、ハウジング40には、金型外側(図の下側)の端部からハウジング40の軸方向に所定長さのスリットが入っている。このスリットは大きな力により開く。そのため、作業者が大きな力でステム50を引っ張ることにより、ハウジング40からステム50を抜き出すことができる。また反対に、作業者が一度抜き出したステム50を、ハウジング40内に押し込んで、再びこれらを一体化させることもできる。
【0026】
ハウジング40の小内径部46とステム50の第一胴部56との間にはスプリングベント30の一部としてバネ34が設けられている。バネ34はステム50を金型内側に向かって付勢している。そのため常時、ステム50の頭部54の金型内側端面52はハウジング40の金型内側端面42よりも金型内側へ突出しており、ハウジング40の接触面44とステム50の頭部54の外径面53との間に隙間ができ、通気孔32が開放状態となっている。通気孔32の開放状態では金型内部の空気が通気孔32を通過して金型外部へ排出される。
【0027】
一方、ステム50がバネ34の付勢力に抗して金型外側へ押されると、ハウジング40の接触面44とステム50の頭部54の外径面53とが接触してこれらの間の隙間が閉じ、通気孔32が閉塞状態となる。すると、金型内部の空気が金型外部へ排出されなくなる。
【0028】
なお、ハウジング40及びステム50の材料は、限定されないが、例えば一般構造用圧延鋼材(例えばSS400)等の鋼材や銅等が用いられる。ハウジング40の材料とステム50の材料とは同じであっても良いし異なっても良い。
【0029】
スプリングベント30が設けられたタイヤ加硫成型金型10で空気入りタイヤの加硫成型が行われる際は、まず、作業者がマイナスドライバ等の工具を用いてスプリングベント30のハウジング40のみを下孔20に螺合させる。次に、作業者がハウジング40の内径側にバネ34及びステム50を入れてスプリングベント30を完成させる。こうしてタイヤ加硫成型金型10の準備が完了する。
【0030】
次に、タイヤ加硫成型金型10の内部に未加硫タイヤがセットされ、サイドプレート14等の成型部材が加硫成型温度に保持される。そして、セットされた未加硫タイヤの内側に配置されている図示しないブラダーが膨張し、未加硫タイヤの表面が成型面18に押し当てられる。すると、成型面18と未加硫タイヤの表面との間に残っていた空気は、スプリングベント30を通過して金型外部へ排出される。未加硫タイヤのゴムがステム50を金型外側へ押すと、通気孔32が閉塞状態になり、空気の金型外部への排出が終わる。その後、未加硫タイヤに所定時間の加熱及び加圧が施される。
【0031】
以上のように、本実施形態のタイヤ加硫成型金型10では、下孔20の内径面にめねじ部25が設けられ、ハウジング40の外径面におねじ部48が設けられ、ハウジング40が下孔20に螺合されているので、スプリングベント30が下孔20から抜け落ちにくい。また、本実施形態のタイヤ加硫成型金型10を用いたタイヤ製造方法では、加硫成型中に熱で下孔20の内径が拡大したり、加硫成型が何度も繰り返された結果として下孔20の内径が徐々に拡大していったりしても、スプリングベント30が下孔20から抜け落ちにくい。
【0032】
また、ハウジング40に凹部41が設けられているため、作業者が凹部41にマイナスドライバ等の工具を入れて回すことにより容易にハウジング40を下孔20に螺合させることができる。
【0033】
また、ハウジング40のおねじ部48の金型内側(図の上側)の端部60が、ハウジング40の凹部41よりも金型外側(図の下側)にあり、下孔20のめねじ部25の金型内側の端部63と同位置にあれば、加硫成型中にハウジング40の凹部41に侵入したゴムがおねじ部48とめねじ部25との隙間に侵入しにくい。そのため加硫成型後の空気入りタイヤの表面に余計な突起が出来にくい。
【0034】
以上の実施形態に対し、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な変更を行うことができる。
【0035】
図6に変更例のスプリングベント130を示す。
図6には、ハウジング140のおねじ部48の金型内側(図の上側)の端部60が凹部41よりも金型外側(図の下側)にある別の形態が示されている。この変更例のハウジング140では、おねじ部48の金型内側の端部60と凹部41の底部61とが離れている。そして、おねじ部48の金型内側の端部60と凹部41の底部61との間には、大外径部47の一部として密着部62が設けられている。密着部62は下孔20の内径面の大径部24に密着可能である。この変更例においても、ハウジング140が下孔20に螺合した状態で、ハウジング140のおねじ部48の金型内側の端部60は、下孔20のめねじ部25の金型内側の端部63と同位置にある。
【0036】
この変更例によれば、ハウジング140の凹部41とおねじ部48との間に、下孔20の内径面に密着する密着部62が設けられているため、加硫成型中にハウジング140の凹部41に侵入したゴムがおねじ部48とめねじ部25との隙間に侵入できない。そのため加硫成型後の空気入りタイヤの表面に余計な突起が出来ない。
【0037】
図7に他の変更例のスプリングベント230を示す。このスプリングベント230では、ハウジング240の金型内側の端部の2箇所にそれぞれ穴状の凹部241が設けられている。作業者が、専用の工具等をこれらの凹部241に入れてハウジング240を回すことにより、スプリングベント230を下孔20に螺合させることができる。
【0038】
スプリングベント230がハウジング240からステム50を抜き出すことができないタイプのものである場合は、作業者がハウジング40からステム50を抜き出してハウジング40だけをマイナスドライバで回して下孔20に螺合させるということができない。しかしこの変更例によれば、ハウジング240内にステム50が挿入されたままであっても、作業者がハウジング240を回して下孔20に螺合させることができる。
【符号の説明】
【0039】
10…タイヤ加硫成型金型、12…セクター、14…サイドプレート、16…ビードリング、18…成型面、20…下孔、22…凹溝、23…凹部、24…大径部、25…めねじ部、26…小径部、30…スプリングベント、32…通気孔、34…バネ、40…ハウジング、41…凹部、42…金型内側端面、44…接触面、45…中間内径面、46…小内径部、47…大外径部、48…おねじ部、49…小外径部、50…ステム、52…金型内側端面、53…外径面、54…頭部、56…第一胴部、57…第二胴部、58…先端部、60…おねじ部48の金型内側の端部、61…凹部41の底部、62…密着部、63…めねじ部25の金型内側の端部、130…スプリングベント、140…ハウジング、230…スプリングベント、240…ハウジング、241…凹部