【解決手段】水平方向の搬送面を有する包装機本体11と、包装機本体に包装フィルムを供給するフィルム供給装置12と、包装機本体に被包装物1を供給する被包装物搬送供給装置14を備える。被包装物搬送供給装置は、被包装物を搬送するベルトコンベア装置32と、ベルトコンベア装置の上方に配置された位置合わせ装置33を備える。位置合わせ装置は、ベルトコンベア装置の搬送面上を、被包装物の搬送方向と同一方向に移動するとともに、基準位置で離反する羽根部材46等を有する。羽根部材の移動速度は、ベルトコンベア装置の搬送速度よりも遅い設定とし、ベルトコンベア装置上を移動する被包装物は、前方に位置する羽根部材に追いつき接触して位置決めされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
縦型ピロー包装機では、単位時間当たりの製造個数をあまり多くできないという課題がある。そこで、縦型ピロー包装機に換えて処理速度の高速化に対応可能な横型ピロー包装機を用いてドリップバッグに対する包装処理を行うことを考えた。
【0005】
横型ピロー包装機は、製袋器の上流側に被包装物搬送供給装置を配置し、被包装物搬送供給装置上を一定間隔で被包装物を搬送し、当該被包装物を順次製袋器内に供給し、別途製袋器に供給される包装フィルムで包み込むように構成する。ドリップバッグを包装する場合、当該ドリップバッグが被包装物となり、被包装物搬送供給装置は、フィンガーコンベア装置やベルトコンベア装置が用いられる。
【0006】
例えばベルトコンベア装置を用いた場合、以下の問題が生じる。すなわち、ドリップバッグは不織布製の袋体であり、滑りやすい。そのため、単位時間当たりの製造個数を増加するために搬送速度を速めると、ドリップバッグはベルトコンベア上で相対的に前後に移動し、搬送距離が長くなると係る相対的な移動の距離が無視できなくなるほど位置ずれしてしまい、包装フィルム無いの所望の位置に供給できず、後段のトップシール装置での噛み込みを生じるおそれがある。
【0007】
一方、フィンガーコンベア装置を用いた場合、ドリップバッグの搬送ピッチは、前後のフィンガーピッチとなり、ドリップバッグは一定間隔毎に製袋器に供給される。しかしながら、ドリップバッグの形態として、例えば特許文献2に開示されるように不織布の袋体の側面に支持部材として厚紙製のフックが取り付けられているタイプがあり、これを開封用のミシン目が形成されている上側を上流に向けて搬送すると、フィンガーに押されたときに袋体がミシン目で曲がって、包装フィルムに対する位置ずれが発生し、ひいては包装機本体におけるシール時の噛み込みの原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の横型ピロー包装機は、(1)水平方向の搬送面を有する包装機本体と、前記包装機本体に包装フィルムを供給するためのフィルム供給装置と、前記包装機本体に被包装物を供給するための被包装物搬送供給装置を備えた横型ピロー包装機であって、前記被包装物搬送供給装置は、前記被包装物を搬送するベルトコンベア装置と、前記ベルトコンベア装置の上方に配置された位置合わせ装置を備え、前記位置合わせ装置は、前記ベルトコンベア装置の搬送面上を、前記被包装物の搬送方向と同一方向に移動するとともに、基準位置で前記搬送面から離反する羽根部材と、その羽根部材を移動させる移動機構とを有し、前記羽根部材の移動速度は、前記ベルトコンベア装置の搬送速度よりも遅い設定とし、前記ベルトコンベア装置上を移動する前記被包装物は、前方に位置する前記羽根部材に接触して位置決めされるように構成した。移動機構は、実施形態では、スプロケット44に掛け渡したエンドレスチェーン45等に対応する。
【0009】
被包装物をベルトコンベア装置で搬送するため、被包装物が周囲から押されると窪んだり変形したりしやすいものであっても、変形等することなく搬送することができる。そして、ベルトコンベア装置の搬送速度の方が、羽根部材の移動速度よりも速いため、羽根部材に追いつき、被包装物の前端が前方に位置する羽根部材に接触する。羽根部材に接触した状態では、被包装物の搬送速度は、羽根部材の移動速度になる。羽根部材は、基準位置に至ると搬送面から離反し、それに伴い被包装物からも離反する。そして基準位置以後は、被包装物の搬送速度は、ベルトコンベア装置の搬送速度に起因する。よって、羽根部材は、基準位置で離反するので、被包装物は当該基準位置において前基準で位置決めされる。そのように位置決めされた被包装物は、基準位置からはベルトコンベア装置により搬送され次段の包装機本体に所定のタイミングで順次供給される。被包装物は、ベルトコンベア装置上における基準位置に位置決めされるため、包装機本体ひいては包装フィルムに対して位置ずれすること無く供給され、包装機本体における包装処理で、噛み込み等の発生を未然に防止できる。特に、基準位置をベルトコンベア装置の搬出側の近傍に設定し、基準位置から包装機本体の搬入位置までの距離を短くすると、その効果はさらに向上するので良い。また、ベルトコンベア装置を移動する被包装物は、その先端が前方の羽根部材に接触する際に外部からの力が加わるものの、その力は、羽根部材の移動速度とベルトコンベア装置の搬送速度との速度差に基づくものであり、例えば押送フィンガー等で被包装物を後方から押す場合に比べて小さく、当該接触の際に被包装物が潰れることはないか、仮にあったとしてもごくわずかな量である。よって、被包装物が変形等することなく搬送される。
【0010】
(2)前記羽根部材の移動方向の後面の下方に、後方に向けて突出する第一ストッパー部材を設け、前記羽根部材に接触する前記被包装物の先端の上面が、前記第一ストッパー部材の下面に接触した状態となり、それ以上に前記被包装物の先端が上方に持ち上がるのを抑止可能に構成するとよい。第一ストッパー部材は、実施形態では、ストッパー部材53に対応する。このようにすると、例えばベルトコンベア装置により搬送された被包装物が、前方の羽根部材に接触した際に、勢いよくぶつかったり、或いは、接触した後にさらにベルトコンベア装置からの搬送力を受けたりして被包装物の前端が羽根部材に沿って持ち上がろうと移動しようとしても、第一ストッパー部材によりその移動を抑止でき、被包装物の位置決めを精度良く行えるので良い。
【0011】
(3)前記羽根部材の下端は、前記ベルトコンベア装置のベルト面よりも外側に位置する部分を有し、当該部分に前記ベルト面よりも下方に突出する突部を設けるとよい。このようにすると、当該突部を設けた部位は、ベルト面の上下に羽根部材が存在する。よって、被包装物が、当該ベルト面の上下に羽根部材が存在する部分に接触することで、確実に位置決めが行えるので良い。被包装物の形状が、例えば扁平状など薄い場合であって、ベルト面と羽根部材の下端との間に隙間があり、当該隙間内に入り込むおそれがあるものであっても、本発明では係る隙間内への入り込みを阻止し、位置決めを行うことができる。
【0012】
(4)前記ベルトコンベア装置の上流側にフィンガーコンベア装置を設け、前記被包装物は、その後面に接触する前記フィンガーコンベア装置の押送フィンガーで搬送され、前記ベルトコンベア装置上に受け渡されるようにするとよい。
【0013】
(5)前記被包装物は、ドリップバッグであり、そのドリップバッグの袋体に形成した開封用のミシン目を上流側に向けた姿勢で搬送するようにすると良い。このようにすると、羽根部材には、内容物がしっかりと充填され比較的変形しにくい袋体の底部側が当たるため、より確実に被包装物の変形を防止でき、位置決めがなされるので良い。
【0014】
(6)前記袋体の表面には、前記ドリップバッグの使用時に当該ドリップバッグをコップに支持するための支持部材が貼り付けられており、前記羽根部材の移動方向の後面の下方に、後方に向けて突出する第二ストッパー部材を設け、前記第二ストッパー部材に前記支持部材が接触した状態で、それ以上に前記被包装物が前記羽根部材に接近するのを抑止可能に構成するとよい。支持部材は、実施形態のフック部材4に対応する。第二ストッパー部材は、実施形態では、ストッパー部材53に対応する。(2)の発明の第一ストッパー部材と、本発明の第二ストッパー部材を両方とも実装する場合、実施形態に示すように一つのストッパー部材53で実現しても良いし、別部材で形成しても良い。本発明のように第二ストッパー部材を設けると、支持部材が第二ストッパー部材に接触すると被包装物はそれ以上に羽根部材に接近しないため、位置決めが行える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被包装物が例えば外部からの付勢力により変形しやすく不安定な製品であっても包装フィルムに対し正確な位置に供給することができ、包装機本体におけるシール時等の製品の噛み込みを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
図1等に示すように、本実施の形態の横型ピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して被包装物1を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置14とを備えている。
【0019】
被包装物1は、本実施形態では、コーヒーのドリップバッグであり、フック式の支持部材を備えている。すなわち、
図2(a)に示すように、被包装物1は、内部にコーヒーの粉2が充填された袋体3と、その袋体3の側面に取り付けられたフック部材4を備える。袋体3は、不織布から構成され、一辺(使用時における上部で、
図2中左側)が開口された状態でコーヒーの粉2が充填され、その状態で当該一辺の部分が熱シール等してシール部3aが形成されて封がされる。さらに、当該シール部3aに沿った未シール部位には、開封用のミシン目5が形成される。また、袋体3内にコーヒーの粉2を充填する場合、開口する一辺を上にした状態で当該開口部位から袋体3内に供給する。そのため、供給時の姿勢、すなわち、使用時における袋体3の底部3b側にはコーヒーの粉2が比較的密に充填される。その結果、
図2(b)に示すように当該底部3b側は比較的厚みがあるとともに、ある程度の硬さを有し、比較的潰れにくくなる。一方、袋体3のミシン目5側の厚みは薄くなるとともにコーヒーの粉2も相対的に疎の状態で存在し、外部から付勢力が加わると比較的容易につぶされ、変形する。そして使用時には、ドリップに先立ちミシン目5を切断することで袋体を開封するとともに、フック部材4を用いてコップにセットした状態にする。このように、被包装物1は、その全体形状は、平面が矩形状で扁平な形状となる。
【0020】
係る被包装物1は、
図2(c)に示すように扁平な外袋6内に密封収納されて包装体28が製造される。外袋6は、アルミ蒸着フィルム等の包装フィルムから形成され、矩形状の一辺が折り畳まれ、残りの三辺がシール(サイドシール部6a,トップシール部6b)されて密封される。また、本実施形態では、横型ピロー包装機におけるカット寸法、すなわち、外袋6の長さt1と、被包装物1(ドリップバッグ)の長さt2の差があまりなく、トップシール部6bを考慮すると包装紙処理時における前後方向・搬送方向についての寸法の余裕がない。
【0021】
フィルム供給装置12は、アルミ蒸着フィルム等の帯状フィルム15をロール状に巻き取った原反ロール16に対し、図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール16の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体11に供給する。また、原反ロール16から包装機本体11に至る所定位置に各種のローラ17を配置し、原反ロール16から送り出された帯状フィルム15は、そのローラ17に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導かれる。本発明では、必ずしも原反ロール16に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。
【0022】
被包装物搬送供給装置14は、具体的な構成は後述するが、上述した被包装物1を横二列に並べた状態で搬送し、係る横に並んだ2個の被包装物1を、同時に次段の包装機本体11に供給する。
【0023】
包装機本体11は、その上流側に供給される帯状フィルム15を筒状に整袋する製袋器20を備えている。帯状フィルム15は、この製袋器20を通過することで、両側端が製袋器に沿って上方に湾曲されるように持ち上げられ、筒状に製袋される。この時、帯状フィルム15の両側端縁15aは、それぞれ上方中央側に位置するとともに、互いに非接触で近接するように設定される(
図4参照)。つまり、通常のピロー包装機の場合、筒状に製袋された帯状フィルム15の両側端縁は、シール可能な面同士を互いに重ね合わせるが、本実施の形態では、両側端縁15aはそれぞれ筒状に製袋された帯状フィルム15の中央部位に対向するようにしている。また、被包装物搬送供給装置14は、2列で搬送する被包装物1を順次製袋器20に供給する。これにより、帯状フィルム15の折り返された両側端が、それぞれ各被包装物1の上方を被うようになる。
【0024】
製袋器20の下流側には、被包装物1を内包する筒状フィルム21の搬送面を構成する搬送路22が配置される。そして、この搬送路22の中央の適宜位置に、上流側からピンチローラ23,サイドシール装置24,縦カッター装置25が配置される。ピンチローラ23は、上下一対のローラからなり、筒状に製袋された帯状フィルム15の両側端縁15aと、それに対向する帯状フィルム15の中央部位を上下から所定の圧力で挟み込み、筒状に製袋された帯状フィルム15に対し、搬送力を与えるようになっている。
【0025】
サイドシール装置24は、筒状に製袋された帯状フィルム15の上方側に位置し、大径の円盤状の1個のサイドシーラ24aと、筒状に製袋された帯状フィルム15の下方側に位置し、小径の円盤状の2個の抑えローラ24b(前後に配置される)とから構成される。上下に配置されたサイドシーラ24aと、抑えローラ24bとで、筒状に製袋された帯状フィルム15の両側端縁15aと、それに対向する帯状フィルム15の中央部位を上下から所定の圧力で挟み込むとともに、所定温度で加熱する。これにより、両側端縁15aは、それぞれ対向するフィルム部位に熱シールされ、当該シールされた部分がサイドシール部6aとなる。また、サイドシール部6aにより両側端縁15aがそれぞれシールされることにより、1つの大きな筒状に整袋された帯状フィルム15から、左右につながった2本の筒状フィルム21が形成されることになる。そして、この2本の筒状フィルム21には、それぞれ被包装物1が内包される。
【0026】
縦カッター装置25は、サイドシール部6aの中央部位、すなわち、左右に繋がった2本の筒状フィルム21の間を切断するもので、筒状フィルム21の上方側に位置するスリットカッター25aと、筒状フィルム21の下方側に位置する受け刃25bとから構成される。上下に配置されたスリットカッター25aと、受け刃25bとで、サイドシール部6aを上下から所定の圧力で挟み込む。これにより、サイドシール部6aは、フィルムの進行方向に沿ってカットされ、左右の筒状フィルム21は分離される。
【0027】
縦カッター装置25の下流側には、分離された2本の筒状フィルム21を支えるとともに、搬送するベルトコンベア26と、そのベルトコンベア26の上方に被包装物抑えベルト装置30が配置され、さらにそれらの下流側にはトップシール装置27,搬出コンベア29が配置されている。
【0028】
トップシール装置27は、筒状フィルム21に対し、進行方向と直交する方向、つまり、横断する方向にシールすると共にカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の被包装物1の間の所定位置であり、当該部位にトップシール部6bが形成される。これにより、トップシール装置27を通過することで、筒状フィルム21の先頭部分は、後続から分離され、包装体28が製造される。この製造された包装体28は、搬出コンベア29にて搬出される。また、トップシール装置27には、左右2つの筒状フィルム21が供給されるため、包装体28は2個ずつ製造されることになる。
【0029】
被包装物抑えベルト装置30は、トップシール装置27の上流側の直近に配置されており、筒状フィルム21内の被包装物1が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。被包装物抑えベルト装置30は、前後に配置されたプーリ61にエンドレスベルト62を掛け渡した構成をとる。
【0030】
包装機本体11に対し、所望のタイミングで2つの被包装物1を供給する被包装物搬送供給装置14は、フィンガーコンベア装置31と、そのフィンガーコンベア装置31の下流側に配置されたベルトコンベア装置32と、そのベルトコンベア装置32の上方に配置された位置合わせ装置33を備える。フィンガーコンベア装置31は、前後その他の所定位置に配置されたスプロケット34と、その複数のスプロケット34に掛け渡されたエンドレスチェーン35と、そのエンドレスチェーン35に一定間隔で取り付けられた押送フィンガー36を備える。エンドレスチェーン35の上方には、搬送路38が配置され、押送フィンガー36の先端側は、搬送路38の上方に突出した状態で、エンドレスチェーン35の回転に伴い搬送路38に沿って前進移動する。また、図示省略する被包装物供給装置により、前後の押送フィンガー36間の搬送路38上に、被包装物1を1つずつ供給する。このとき、被包装物1は、ミシン目5がある方を上流側に向けて搬送路38上にセットされる。
【0031】
これにより、搬送路38の上に置かれた被包装物1は、
図5に示すように、搬送方向の後ろ側に位置する押送フィンガー36にミシン目5側の周縁であるシール部3aが付勢され、当該押送フィンガー36の前進移動に伴い、被包装物1も前方に押され、下流側に向けて袋体3の底部3bを前にした姿勢で、二列で前進移動する。
【0032】
また、
図6に拡大して示すように、搬送路38の下流側先端は、次段のベルトコンベア装置32の上流側端部近傍に位置させる。これにより、押送フィンガー36により押送される被包装物1は、フィンガーコンベア装置31の下流側搬出端に至ると、押送フィンガー36に押し出されるようにして先端側がベルトコンベア装置32側に移り、当該ベルトコンベア装置32側からの搬送力も受けるようになる。そして、押送フィンガー36は、フィンガーコンベア装置31の下流側端に至ると、徐々に下降移動し、被包装物1から離反する。離反した際には、被包装物1は、ベルトコンベア装置32に移し替えられており、ベルトコンベア装置32からの搬送力を受けて前進移動する。
【0033】
ベルトコンベア装置32は、前後の適宜位置に設けたプーリ40と、そのプーリ40に掛け渡されたエンドレスベルト41を備える。被包装物1であるドリップバッグは、エンドレスベルト41の回転とともに開封用のミシン目5がある方を上流側に向けた姿勢で搬送される。また、ベルトコンベア装置32の搬送速度は、後段の包装機本体11におけるフィルムの搬送速度(製袋器20に供給される帯状フィルム15の移動速度)に比べてほぼ等しいか、若干高速に設定している。例えば、フィルムの搬送速度とベルトコンベア装置32における被包装物1の搬送速度を等しくすると、ベルトコンベア装置32から製袋器20内を移動中の帯状フィルム15に被包装物1を受け渡す際に被包装物1にストレスをかけることなくスムーズに行えるので良いが、本実施形態では、ベルトコンベア装置32における搬送速度を若干速くすることで、より確実に被包装物1を包装機本体11側に受け渡すようにした。
【0034】
位置合わせ装置33は、ベルトコンベア装置32の上方空間の前後の所定位置に設けたスプロケット44と、そのスプロケット44に掛け渡したエンドレスチェーン45と、そのエンドレスチェーン45に一定間隔で取り付けた羽根部材46を備える。
図8に示すように、エンドレスチェーン45は、被包装物1の搬送方向の左右両側にそれぞれ配置し、左右一対のエンドレスチェーン45に掛け渡すようにベースバー50の両端を連結する。ベースバー50は、細長なプレートであり、そのベースバー50にL字プレート51を介して羽根部材46を連結する。羽根部材46は、平板状で、被包装物1の搬送方向に沿って移動する区間では、垂直面に位置し垂下した姿勢をとる。
【0035】
羽根部材46の下端の左右両端は、下方に向けて突出する突片46aが形成され、その左右の突片46a間に底浅の凹部46bが形成される。凹部46bの幅はエンドレスベルト41のベルト幅よりも広くする。そして、羽根部材46がエンドレスベルト41に沿って移動する区間では、エンドレスベルト41は凹部46b内に入り、左右の突片46aはエンドレスベルト41のベルト面すなわち被包装物1の搬送面よりも下方に位置した状態を維持しながら前進移動する。
【0036】
さらに羽根部材46の下端の中央部位には、上方に向けて凹状の切り欠き部46cを設けている。この切り欠き部46cは、フィンガーコンベア装置31の押送フィンガー36と干渉するのを避けるためのものである。すなわち、例えばフィンガーコンベア装置31の押送フィンガー36が、被包装物1をベルトコンベア装置32に受け渡す際に、
羽根部材46が押送フィンガー36と前後に重なるようなことがあっても、押送フィンガー36は羽根部材46の切り欠き部46c内に位置し、接触しないようにしている。
【0037】
さらに、位置合わせ装置33における羽根部材46の移動速度は、ベルトコンベア装置32における被包装物1の搬送速度よりも遅くしている。これにより、
図6に示すように、被包装物1は、ベルトコンベア装置32上に受け渡された直後は、前方の羽根部材46から所定距離だけ離れており、ベルトコンベア装置32を搬送するにつれて前方の羽根部材46との距離が近づき、ベルトコンベア装置32の搬出側付近に至ると、被包装物1の搬送方向の先端(ドリップバッグの袋体3の底部3b側)が前方の羽根部材46に接触する。羽根部材46に接触した状態では、被包装物1は羽根部材46の移動速度で搬送される。
【0038】
図7に示すように、羽根部材46が上昇移動して被包装物1から離反すると、被包装物1は、ベルトコンベア装置32の搬送速度で移動し、包装機本体11(製袋器20)に供給される。エンドレスチェーン45の回転に伴い羽根部材46が上昇して被包装物1から離れるので、当該羽根部材46が被包装物1から離反する位置(基準位置)は決まっており、製袋器20との位置関係も一義的に決定される。よって、羽根部材46が離反する位置にある被包装物1は、例えば製袋器20までの距離は一定であり、その位置からベルトコンベア装置32の搬送速度で移動し製袋器20に至り、帯状フィルム15内に供給される。このことは、前後に次々と搬送されてくる被包装物1において、いずれも同じである。
【0039】
従って、被包装物1は、羽根部材46に一度接触することで、前基準で位置合わせがされ、位置合わせされた後同じタイミングで包装機本体11に供給される。そこで、当該羽根部材46が被包装物1から離れる位置・タイミングに、包装機本体11における例えばトップシール装置27の動作タイミングや、包装機本体11へ供給する帯状フィルム15の位置などを合わせることで、被包装物1が位置ずれ等すること無く、被包装物1を噛み込みすること無く包装体28を製造することができる。
【0040】
特に、本実施形態では、コーヒーの粉2が充填され形状が安定している袋体3の底部3b側を羽根部材46に接触するようにしたため、被包装物1が羽根部材46に接触した際に被包装物1が変形しづらく、当該変形による位置ずれが起きにくい。
【0041】
さらに本実施形態では、突片46aがエンドレスベルト41のベルト面よりも下方に位置することで、確実に被包装物1を羽根部材46に接触させ、位置決めをすることができる。すなわち、被包装物1の搬送方向に対する横幅は、エンドレスベルト41のベルト幅よりも広くしている。仮に凹部46bとエンドレスベルト41との間に隙間が生じたとしても、被包装物1は少なくとも羽根部材46の左右両端部分と接触し、位置決めがなされる。
【0042】
さらに本実施形態では、被包装物1が羽根部材46に接触している時間は短くし、瞬間的に位置決めをし、ベルトコンベア装置32による搬送に戻すようにしている。これを行うためには、ベルトコンベア装置32の搬送速度と、羽根部材46の移動速度の速度差等を適宜に調整し、羽根部材46が離反する位置の直前で、ベルトコンベア装置32で搬送される被包装物1が羽根部材46に追いついて先端が接触するようにする。
【0043】
さらに本実施形態では、ベルトコンベア装置32の駆動モータを、位置合わせ装置33や包装機本体11側の駆動モータと別に設け、独立した駆動源に基づき動作するようにした。これは、上述したように、速度差の調整は微調整が必要となるため、ギヤ比などの機構的な調整では対応が煩雑となるため、別の駆動モータを用い最適な設定にしやすくしている。
【0044】
さらにまた、羽根部材46が被包装物1から離反する位置は、製袋器20の近く、すなわちベルトコンベア装置32の搬出側近くとし、離反したならばその後すぐに被包装物1が製袋器20内に供給されるようにすると良い。
【0045】
羽根部材46の移動速度よりもベルトコンベア装置32による搬送速度を速くしているが、好ましくは、速度差はあまりないようにすることである。速度差を少なくすることで、被包装物1が羽根部材46に接触したときに被包装物1に加わるストレスを低減できるので良い。ただし、速度差が少ないと、ベルトコンベア装置32の移動距離を長くする必要があり、装置の大型化を招くため、速度差はそれを考慮して適宜に設定する。
【0046】
さらに本実施形態では、羽根部材46の後面の下方に、後方に向けて突出するストッパー部材53を設けている。このストッパー部材53は、肉厚のL字型部材で構成し、下端が後方に向けて突出した形状となる。そして、その突出した部分の下面が第一係止面53aとなり、後面が第二係止面53bとなる。
【0047】
第一係止面53aは、ベルトコンベア装置32のエンドレスベルトのベルト面との間で一定の隙間を形成し、被包装物1の先端が羽根部材46に接触した状態では、被包装物1の先端、すなわち袋体3の底部3bがその隙間内に位置するようにしている。これにより、当該袋体3の底部3bが上方に持ち上がろうとした場合、その底部3bは第一係止面53aに接触し、持ち上がりを防止する。
【0048】
第二係止面53bは、前進移動してきた被包装物1のフック部材4が接触可能としている。つまり、例えばベルトコンベア装置32からの搬送力が大きく、被包装物1の先端が羽根部材46に接触した後も羽根部材46に対して相対的に前進移動し、被包装物1の先端が潰れようとした場合、フック部材4が第二係止面53bに接触し、それ以上の相対的な前進移動を抑止する。これにより、袋体3の底部3b側が潰れることを可及的に抑止する。
【0049】
上述した実施形態では、袋体3の底部3b側を前側にして被包装物1を搬送したが、被包装物1の搬送姿勢を前後反転し、ミシン目5を形成した側を前側にして搬送するようにしても良い。
【0050】
上述した実施形態では、被包装物は、コーヒーのドリップバッグとし、袋体3の側面にフック部材4が貼り付けられ、搬送状態で袋体3の周縁にはフック部材4が位置せず不織布が存在するタイプで、周縁を内方に押すとその押した部分が窪んだり変形したりしやすいものとしたが、本発明はこれに限ることはなく、被包装物はそれ以外のタイプのドリップバッグとしても良いし、ドリップバッグ以外の物品でも良い。ただし、後方から押すと変形しやすい構造のものに有効に機能する。
【0051】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。