【構成】 被包装物1を上下から挟み、搬送方向の両側縁の一方がサイドシールされるとともに他方は折り曲げられた状態の筒状フィルム21を搬送する搬送路22・ベルトコンベア26と、ベルトコンベアの上方に配置される被包装物抑えベルト装置30と、ベルトコンベアの下流側に配置され、筒状フィルムを幅方向にシール・カットするトップシール装置27を備える。被包装物抑えベルト装置は、筒状フィルムの上方に接触し、筒状フィルム内の被包装物が上方に持ち上がるのを抑制するエンドレスベルトを備える。エンドレスベルトは、筒状フィルムの搬送方向に対し傾斜配置し、下流側が筒状フィルムの折り曲げられた側に向くようにした。
前記搬送経路の少なくとも前記エンドレスベルトと対向する部分は、前記搬送方向に沿って移動するベルトコンベアを配置することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の横型ピロー包装機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
三方シール包装体の場合、筒状の包装フィルムの搬送方向の左右両側縁の一方にサイドシール部が形成され、他方は包装フィルムが折り返された状態となっている。そして、通常サイドシール部は、包装フィルムの搬送路よりも高い位置で、被包装物の厚さの半分程度の位置に形成する。これにより、サイドシール部は、筒状フィルムの高さ方向の中間位置に形成される。筒状フィルムがこの状態で搬送路を進んでいくと、サイドシール部側が下方に垂れ下がって搬送路に接触するような姿勢となる。すると、上下方向で非対象な形状となり、後段のトップシール装置にて前後の被包装物のないフィルム部位を横方向にシール・カットして三方シール包装体を製造する際、垂れ下がった部分を上下から均等に挟み込んで加圧・加熱することができず、皺が寄ってしまうことがある。
【0006】
従前は、トップシール部は、包装体の端部にあってあまり目立たないこともあり、多少の皺が形成されてもそのまま良品とされていたが、製品によっては係る皺も不良品と判断されることがある。すると、良品の歩留まりが低下するため、皺等の発生を抑制したいという課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の横型ピロー包装機は、(1)被包装物を上下から挟み、搬送方向の両側縁の一方がサイドシールされるとともに他方は折り曲げられた状態の筒状フィルムを搬送する搬送経路と、その搬送経路の搬出側の上方に配置される被包装物抑えベルト装置と、前記搬送経路の下流側に配置され、前記筒状フィルムを幅方向にシール・カットするトップシール装置を備え、前記被包装物抑えベルト装置は、前記筒状フィルムの上方に接触し、前記筒状フィルム内の前記被包装物が上方に持ち上がるのを抑制するエンドレスベルトを備え、前記エンドレスベルトは、前記筒状フィルムの搬送方向に対し傾斜配置し、下流側が前記筒状フィルムの前記折り曲げられた側に向くようにした。搬送経路は、実施形態では搬送路22とベルトコンベア26に対応する。
【0008】
上側のフィルムが自重で下がることに伴って筒状フィルムの片側に形成されるサイドシール部は、搬送経路上を移動中に下方に垂れ下がる。本発明は、筒状フィルムの上面は、被包装物抑えベルト装置のエンドレスベルトに接触しており、当該筒状フィルムの上面はエンドレスベルトの移動方向に付勢される。そして、エンドレスベルトの移動方向は、搬送方向に対し所定角度傾斜しているため、当該筒状フィルムの上面は外側に引っ張られ、筒状フィルムは前進移動しながらねじれるように力が加わり、エンドレスベルトの移動方向に向かって筒状フィルムの一方の側縁側が起こされる。本発明では、傾斜配置されるエンドレスベルトが、筒状フィルムの折り曲げられた側に向くようにしているため、上述した起こされる側縁は、筒状フィルムのサイドシール部が形成された側縁となる。よって、垂れ下がったサイドシール部は、上方に持ちあげられる。その結果、その後に行われるトップシール装置におけるシール・カット処理が行われると、サイドシール部側の垂れ下がり量が少なくなっているため、筒状フィルムの幅方向の全体にわたって均一に加熱・加圧することができ、皺等の発生を抑制する。
【0009】
また傾斜角度・エンドレスベルトの長さなどを適宜に設定することで、例えばサイドシール部並びにそのサイドシール部が形成される筒状フィルムの側縁付近が、サイドシールした際の状態(例えば水平に延びる状態)に復帰させるようにすると良い。そして、被包装物抑えベルト装置の搬出端からトップシール装置までの距離であるが、できるだけ短くし、持ち上がったサイドシール部が再び垂れ下がる前にトップシール処理がされるようにすると良い。上述したように、被包装物抑えベルト装置を通過することでサイドシール部がサイドシールされた状態に復帰し、その直後にトップシールされるのが最も好ましいが、例えば、サイドシール部が上昇するも、サイドシールされた状態にまでは復帰しなかったり、被包装物抑えベルト装置を通過後にサイドシール部が少し下がったりするようなことがあったとしても、被包装物抑えベルト装置による対策を行わないものに比べると、皺等の発生が抑制できるので良い。
【0010】
(2)前記搬送経路上を、前記筒状フィルムが左右に並列して搬送され、それら左右の前記筒状フィルムのサイドシール部は、それぞれ他の筒状フィルム側に位置するようにし、前記エンドレスベルトを二組設け、前記左右の筒状フィルムのそれぞれに独立して接触するように配置し、その二組の前記エンドレスベルトは、下流側が外に向くように配置するとよい。このようにすると、包装体を二個同時に製造することができ、単位時間当たりの製造個数を増やすことができるので良い。
【0011】
(3)前記エンドレスベルトは、水平面内で回転可能とし、前記搬送方向に対する傾斜角度を調整可能とすると良い。このようにすると、異なる寸法サイズの包装体を製造するに際し、筒状フィルムの上側のフィルム面を折り曲げられた側にずらす量を調整し、サイドシール部を設けた側縁を水平に復帰させることができるのでよい。
【0012】
(4)前記搬送経路の少なくとも前記エンドレスベルトと対向する部分は、前記搬送方向に沿って移動するベルトコンベアを配置するとよい。このようにすると、筒状フィルムの下側のフィルム面は、搬送方向に沿う方向に付勢されるので、筒状フィルムの上下で異なる方向に力が加わり、筒状フィルムの上側のフィルム面の位置をしっかりと矯正できるので良い。
【0013】
(5)前記被包装物は、ドリップバッグとするとよい。この発明によれば、従来の縦型ピロー包装機で製造していたドリップバッグの三方シール包装体を、皺の発生を抑制しつつ横型ピロー包装機を用いて製造することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、三方包装体におけるシール部に皺などが発生するのを可及的に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0017】
図1等に示すように、本実施の形態の横型ピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルムを連続して供給するフィルム供給装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して被包装物1を所定間隔毎に供給する被包装物搬送供給装置14とを備えている。
【0018】
被包装物1は、本実施形態では、本格的なドリップ珈琲の味を手軽に飲めるようにしたドリップバッグであり、フック式の支持部材を備えている。すなわち、
図2(a)に示すように、被包装物1は、内部にコーヒーの粉2が充填された袋体3と、その袋体3の側面に取り付けられたフック部材4を備える。袋体3は、不織布から構成され、一辺(使用時における上部で、
図2中左側)が開口された状態でコーヒーの粉2が充填され、その状態で当該一辺の部分が熱シール等してシール部3aが形成されて封がされる。さらに、当該シール部3aに沿った未シール部位には、開封用のミシン目5が形成される。また、袋体3内にコーヒーの粉2を充填する場合、開口する一辺を上にした状態で当該開口部位から袋体3内に供給する。そのため、供給時の姿勢、すなわち、使用時における袋体3の底部3b側にはコーヒーの粉2が比較的密に充填される。その結果、
図2(b)に示すように当該底部3b側は比較的厚みがあるとともに、ある程度の硬さを有し、比較的潰れにくくなる。一方、袋体3のミシン目5側の厚みは薄くなるとともにコーヒーの粉2も相対的に疎の状態で存在し、外部から付勢力が加わると比較的容易につぶされ、変形する。そして使用時には、ドリップに先立ちミシン目5を切断することで袋体を開封するとともに、フック部材4を用いてコップにセットした状態にする。このように、被包装物1は、その全体形状は、平面が矩形状で扁平な形状となる。
【0019】
係る被包装物1は、
図2(c)に示すように扁平な外袋6内に密封収納されて包装体28が製造される。外袋6は、アルミ蒸着フィルム等の包装フィルムから形成され、矩形状の一辺が折り畳まれ、残りの三辺がシール(サイドシール部6a,トップシール部6b)されて密封される。
【0020】
この種のドリップバッグは、従来から三方シール包装体を用いて包装されているが、縦型ピロー包装機を用いて製造されていた。しかし、縦型ピロー包装機では、単位時間当たりの製造個数をあまり多くできないという課題がある。そこで、縦型ピロー包装機に換えて処理速度の高速化に対応可能な横型ピロー包装機を用いてドリップバッグに対する包装処理を行うようにした。そして、従前の縦型ピロー包装機で製造していた包装体と同じ寸法形状の包装体を製造すべく、本実施形態では、横型ピロー包装機におけるカット寸法、すなわち、外袋6の長さt1と、被包装物1(ドリップバッグ)の長さt2の差があまりなく、トップシール部6bを考慮すると包装紙処理時における前後方向・搬送方向についての寸法の余裕がなくなっている。
【0021】
フィルム供給装置12は、アルミ蒸着フィルム等の帯状フィルム15をロール状に巻き取った原反ロール16に対し、図示省略する駆動モータ(サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反ロール16の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体11に供給する。また、原反ロール16から包装機本体11に至る所定位置に各種のローラ17を配置し、原反ロール16から送り出された帯状フィルム15は、そのローラ17に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導かれる。本発明では、必ずしも原反ロール16に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルムの搬送経路上にフィードローラを設け、引き出すようにしても良い。
【0022】
被包装物搬送供給装置14は、具体的な構成は後述するが、上述した被包装物1を横二列に並べた状態で搬送し、係る横に並んだ2個の被包装物1を、同時に次段の包装機本体11に供給する。
【0023】
包装機本体11は、その上流側に供給される帯状フィルム15を筒状に整袋する製袋器20を備えている。帯状フィルム15は、この製袋器20を通過することで、両側端が製袋器に沿って上方に湾曲されるように持ち上げられ、筒状に製袋される。この時、帯状フィルム15の両側端縁15aは、それぞれ上方中央側に位置するとともに、互いに非接触で近接するように設定される(
図4参照)。つまり、通常のピロー包装機の場合、筒状に製袋された帯状フィルム15の両側端縁は、シール可能な面同士を互いに重ね合わせるが、本実施の形態では、両側端縁15aはそれぞれ筒状に製袋された帯状フィルム15の中央部位に対向するようにしている。また、被包装物搬送供給装置14は、2列で搬送する被包装物1を順次製袋器20に供給する。これにより、帯状フィルム15の折り返された両側端が、それぞれ各被包装物1の上方を被うようになる。
【0024】
製袋器20の下流側には、被包装物1を内包する筒状フィルム21の搬送面を構成する搬送路22が配置される。そして、この搬送路22の中央の適宜位置に、上流側からピンチローラ23,サイドシール装置24,縦カッター装置25が配置される。ピンチローラ23は、上下一対のローラからなり、筒状に製袋された帯状フィルム15の両側端縁15aと、それに対向する帯状フィルム15の中央部位を上下から所定の圧力で挟み込み、筒状に製袋された帯状フィルム15に対し、搬送力を与えるようになっている。
【0025】
サイドシール装置24は、筒状に製袋された帯状フィルム15の上方側に位置し、大径の円盤状の1個のサイドシーラ24aと、筒状に製袋された帯状フィルム15の下方側に位置し、小径の円盤状の2個の抑えローラ24b(前後に配置される)とから構成される。上下に配置されたサイドシーラ24aと、抑えローラ24bとで、筒状に製袋された帯状フィルム15の両側端縁15aと、それに対向する帯状フィルム15の中央部位を上下から所定の圧力で挟み込むとともに、所定温度で加熱する。これにより、両側端縁15aは、それぞれ対向するフィルム部位に熱シールされ、当該シールされた部分がサイドシール部6aとなる。サイドシーラ24aと抑えローラ24bでフィルムを挟み込む高さ位置は、搬送路22よりも高い位置で、被包装物1の厚さの半分程度の位置にする。これにより、サイドシール部6aは、筒状フィルム21の高さ方向の中間位置に形成される。また、サイドシール部6aにより両側端縁15aがそれぞれシールされることにより、1つの大きな筒状に整袋された帯状フィルム15から、左右につながった2本の筒状フィルム21が形成されることになる。そして、この2本の筒状フィルム21には、それぞれ被包装物1が内包される。
【0026】
縦カッター装置25は、サイドシール部6aの中央部位、すなわち、左右に繋がった2本の筒状フィルム21の間を切断するもので、筒状フィルム21の上方側に位置するスリットカッター25aと、筒状フィルム21の下方側に位置する受け刃25bとから構成される。上下に配置されたスリットカッター25aと、受け刃25bとで、サイドシール部6aを上下から所定の圧力で挟み込む。これにより、サイドシール部6aは、フィルムの進行方向に沿ってカットされ、左右の筒状フィルム21は分離される。
【0027】
左右の筒状フィルム21は、分離された状態で搬送路22上を前進移動する。この移動に伴い、サイドシール部6aは、例えば
図9(a)に示すように下方に垂れて搬送路22に接触するような姿勢となる。
【0028】
縦カッター装置25の下流側には、分離された2本の筒状フィルム21を支えるとともに、搬送するベルトコンベア26と、そのベルトコンベア26の上方に被包装物抑えベルト装置30が配置され、さらにそれらの下流側にはトップシール装置27,搬出コンベア29が配置されている。
【0029】
被包装物抑えベルト装置30は、トップシール装置27の上流側の直近に配置されており、筒状フィルム21内の被包装物1が上方に持ち上がるのを抑制し、水平状態を保持しながら搬送できるようにしている。被包装物抑えベルト装置30は、前後に配置されたプーリ61にエンドレスベルト62を掛け渡した構成を基本構成とした。そして、プーリ61とエンドレスベルト62を二組設け、分離した左右の筒状フィルム21に対し、それぞれ独立して上から抑えるようにしている。左右のエンドレスベルト62は、筒状フィルム21の搬送方向に対し所定角度傾斜させ、下流側が外に向くように配置する。これにより、左右のエンドレスベルト62は、下流側に行くにつれて両者の間隔が広がり、平面図で搬送方向に沿って逆ハの字に配置する。
【0030】
一方、上述したように、ベルトコンベア26は、搬送方向と平行に配置する。その結果ベルトコンベア26上で搬送される被包装物1は、その下面がベルトコンベア26に接触し搬送方向と平行な方向に付勢され、被包装物1の上面が被包装物抑えベルト装置30のエンドレスベルト62の回転移動方向と平行で、搬送方向に対し前方斜め外側(左側の筒状フィルムの左側縁)に向けて付勢される。これにより、被包装物1を構成する袋体3の上面側のフィルム部位が、搬送方向の外側に引っ張られる。すると、サイドシール部6aが上方に引き上げられ、例えば
図9(b)に示すようにサイドシール部6aが被包装物1の厚さ方向の半分の位置に復帰して水平になり、上下方向で対象な姿勢となり、当該姿勢で次段のトップシール装置27に到る。
【0031】
また、図示省略するが、本実施の形態では、被包装物抑えベルト装置30の駆動源は、ベルトコンベア26と同一のものを用いる。すなわち、サーボモータその他の駆動モータの出力を、動力伝達ベルト(チェーン)を含む動力伝達機構により、被包装物抑えベルト装置30とベルトコンベア26に伝達する。これにより、被包装物抑えベルト装置30とベルトコンベア26を等速度で回転移動させることが容易に行え、筒状フィルム21を上下から挟んだ状態で安定して搬送することができる。
【0032】
さらに本実施形態では、エンドレスベルト62の傾斜角度を調整可能としている。傾斜角度の調整は、例えばエンドレスベルト62の長手方向の中心位置を回転中心として所定角度範囲内で正逆回転し、例えば傾斜角度が0度(搬送方向と平行)な基準姿勢から、下流側が外に開く傾斜姿勢に変化するようにし、傾斜姿勢の傾斜角度が徐々に大きくなるようにする。このように傾斜角度が変更しても、最大角度が数度であるので、角度の変位は動力伝達ベルトが許容し、駆動モータの出力を被包装物抑えベルト装置30に伝達される。なお、傾斜角度を調整可能とする場合、回転中心は本実施形態のように長手方向の中心に限ることはなく、任意の位置に設定して良い。
【0033】
トップシール装置27は、筒状フィルム21に対し、進行方向と直交する方向、つまり、横断する方向にシールすると共にカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の被包装物1の間の所定位置であり、当該部位にトップシール部6bが形成される。これにより、トップシール装置27を通過することで、筒状フィルム21の先頭部分は、後続から分離され、包装体28が製造される。この製造された包装体28は、搬出コンベア29にて搬出される。また、トップシール装置27には、左右2つの筒状フィルム21が供給されるため、包装体28は2個ずつ製造されることになる。
【0034】
そして本実施形態では、被包装物抑えベルト装置30により被包装物1のサイドシール部6aが水平で、筒状フィルムが上下で対象な形態となっているため、きれいにシールすることができ、トップシール部6bも波打ったり、皺が形成されたりすることなく、綺麗なトップシール部6bを形成することができる。
【0035】
包装機本体11に対し、所望のタイミングで2つの被包装物1を供給する被包装物搬送供給装置14は、フィンガーコンベア装置31と、そのフィンガーコンベア装置31の下流側に配置されたベルトコンベア装置32と、そのベルトコンベア装置32の上方に配置された位置合わせ装置33を備える。すなわち本実施形態では、被包装物1であるドリップバッグの形態として、
図2に示したように不織布の袋体の側面に支持部材として厚紙製のフック部材4が取り付けられているタイプのものを用いている。係るドリップバッグを開封用のミシン目5が形成されている上側を上流に向けて搬送すると、フィンガーに押されたときに袋体3がミシン目5で曲がってしまい、包装フィルムに対する位置ずれが発生し、ひいては包装機本体11におけるシール時の噛み込みの原因となる。そこで、本実施形態では、フィンガーコンベア装置31の下流側にベルトコンベア装置32を配置するとともに、その上方に位置合わせ装置33を配置し、係る問題が発生しないようにした。
【0036】
フィンガーコンベア装置31は、前後その他の所定位置に配置されたスプロケット34と、その複数のスプロケット34に掛け渡されたエンドレスチェーン35と、そのエンドレスチェーン35に一定間隔で取り付けられた押送フィンガー36を備える。エンドレスチェーン35の上方には、搬送路38が配置され、押送フィンガー36の先端側は、搬送路38の上方に突出した状態で、エンドレスチェーン35の回転に伴い搬送路38に沿って前進移動する。また、図示省略する被包装物供給装置により、前後の押送フィンガー36間の搬送路38上に、被包装物1を1つずつ供給する。このとき、被包装物1は、ミシン目5がある方を上流側に向けて搬送路38上にセットされる。
【0037】
これにより、搬送路38の上に置かれた被包装物1は、
図5に示すように、搬送方向の後ろ側に位置する押送フィンガー36にミシン目5側の周縁であるシール部3aが付勢され、当該押送フィンガー36の前進移動に伴い、被包装物1も前方に押され、下流側に向けて袋体3の底部3bを前にした姿勢で、二列で前進移動する。
【0038】
また、
図6に拡大して示すように、搬送路38の下流側先端は、次段のベルトコンベア装置32の上流側端部近傍に位置させる。これにより、押送フィンガー36により押送される被包装物1は、フィンガーコンベア装置31の下流側搬出端に至ると、押送フィンガー36に押し出されるようにして先端側がベルトコンベア装置32側に移り、当該ベルトコンベア装置32側からの搬送力も受けるようになる。そして、押送フィンガー36は、フィンガーコンベア装置31の下流側端に至ると、徐々に下降移動し、被包装物1から離反する。離反した際には、被包装物1は、ベルトコンベア装置32に移し替えられており、ベルトコンベア装置32からの搬送力を受けて前進移動する。
【0039】
ベルトコンベア装置32は、前後の適宜位置に設けたプーリ40と、そのプーリ40に掛け渡されたエンドレスベルト41を備える。被包装物1であるドリップバッグは、エンドレスベルト41の回転とともに開封用のミシン目5がある方を上流側に向けた姿勢で搬送される。また、ベルトコンベア装置32の搬送速度は、後段の包装機本体11におけるフィルムの搬送速度(製袋器20に供給される帯状フィルム15の移動速度)に比べてほぼ等しいか、若干高速に設定している。例えば、フィルムの搬送速度とベルトコンベア装置32における被包装物1の搬送速度を等しくすると、ベルトコンベア装置32から製袋器20内を移動中の帯状フィルム15に被包装物1を受け渡す際に被包装物1にストレスをかけることなくスムーズに行えるので良いが、本実施形態では、ベルトコンベア装置32における搬送速度を若干速くすることで、より確実に被包装物1を包装機本体11側に受け渡すようにした。
【0040】
位置合わせ装置33は、ベルトコンベア装置32の上方空間の前後の所定位置に設けたスプロケット44と、そのスプロケット44に掛け渡したエンドレスチェーン45と、そのエンドレスチェーン45に一定間隔で取り付けた羽根部材46を備える。
図8に示すように、エンドレスチェーン45は、被包装物1の搬送方向の左右両側にそれぞれ配置し、左右一対のエンドレスチェーン45に掛け渡すようにベースバー50の両端を連結する。ベースバー50は、細長なプレートであり、そのベースバー50にL字プレート51を介して羽根部材46を連結する。羽根部材46は、平板状で、被包装物1の搬送方向に沿って移動する区間では、垂直面に位置し垂下した姿勢をとる。
【0041】
羽根部材46の下端の左右両端は、下方に向けて突出する突片46aが形成され、その左右の突片46a間に底浅の凹部46bが形成される。凹部46bの幅はエンドレスベルト41のベルト幅よりも広くする。そして、羽根部材46がエンドレスベルト41に沿って移動する区間では、エンドレスベルト41は凹部46b内に入り、左右の突片46aはエンドレスベルト41のベルト面すなわち被包装物1の搬送面よりも下方に位置した状態を維持しながら前進移動する。
【0042】
さらに羽根部材46の下端の中央部位には、上方に向けて凹状の切り欠き部46cを設けている。この切り欠き部46cは、フィンガーコンベア装置31の押送フィンガー36と干渉するのを避けるためのものである。すなわち、例えばフィンガーコンベア装置31の押送フィンガー36が、被包装物1をベルトコンベア装置32に受け渡す際に、
羽根部材46が押送フィンガー36と前後に重なるようなことがあっても、押送フィンガー36は羽根部材46の切り欠き部46c内に位置し、接触しないようにしている。
【0043】
さらに、位置合わせ装置33における羽根部材46の移動速度は、ベルトコンベア装置32における被包装物1の搬送速度よりも遅くしている。これにより、
図6に示すように、被包装物1は、ベルトコンベア装置32上に受け渡された直後は、前方の羽根部材46から所定距離だけ離れており、ベルトコンベア装置32を搬送するにつれて前方の羽根部材46との距離が近づき、ベルトコンベア装置32の搬出側付近に至ると、被包装物1の搬送方向の先端(ドリップバッグの袋体3の底部3b側)が前方の羽根部材46に接触する。羽根部材46に接触した状態では、被包装物1は羽根部材46の移動速度で搬送される。
【0044】
図7に示すように、羽根部材46が上昇移動して被包装物1から離反すると、被包装物1は、ベルトコンベア装置32の搬送速度で移動し、包装機本体11(製袋器20)に供給される。エンドレスチェーン45の回転に伴い羽根部材46が上昇して被包装物1から離れるので、当該羽根部材46が被包装物1から離反する位置(基準位置)は決まっており、製袋器20との位置関係も一義的に決定される。よって、羽根部材46が離反する位置にある被包装物1は、例えば製袋器20までの距離は一定であり、その位置からベルトコンベア装置32の搬送速度で移動し製袋器20に至り、帯状フィルム15内に供給される。このことは、前後に次々と搬送されてくる被包装物1において、いずれも同じである。
【0045】
従って、被包装物1は、羽根部材46に一度接触することで、前基準で位置合わせがされ、位置合わせされた後同じタイミングで包装機本体11に供給される。そこで、当該羽根部材46が被包装物1から離れる位置・タイミングに、包装機本体11における例えばトップシール装置27の動作タイミングや、包装機本体11へ供給する帯状フィルム15の位置などを合わせることで、被包装物1が位置ずれ等すること無く、被包装物1を噛み込みすること無く包装体28を製造することができる。
【0046】
特に、本実施形態では、コーヒーの粉2が充填され形状が安定している袋体3の底部3b側を羽根部材46に接触するようにしたため、被包装物1が羽根部材46に接触した際に被包装物1が変形しづらく、当該変形による位置ずれが起きにくい。
【0047】
さらに本実施形態では、突片46aがエンドレスベルト41のベルト面よりも下方に位置することで、確実に被包装物1を羽根部材46に接触させ、位置決めをすることができる。すなわち、被包装物1の搬送方向に対する横幅は、エンドレスベルト41のベルト幅よりも広くしている。仮に凹部46bとエンドレスベルト41との間に隙間が生じたとしても、被包装物1は少なくとも羽根部材46の左右両端部分と接触し、位置決めがなされる。
【0048】
さらに本実施形態では、被包装物1が羽根部材46に接触している時間は短くし、瞬間的に位置決めをし、ベルトコンベア装置32による搬送に戻すようにしている。これを行うためには、ベルトコンベア装置32の搬送速度と、羽根部材46の移動速度の速度差等を適宜に調整し、羽根部材46が離反する位置の直前で、ベルトコンベア装置32で搬送される被包装物1が羽根部材46に追いついて先端が接触するようにする。
【0049】
さらに本実施形態では、ベルトコンベア装置32の駆動モータを、位置合わせ装置33や包装機本体11側の駆動モータと別に設け、独立した駆動源に基づき動作するようにした。これは、上述したように、速度差の調整は微調整が必要となるため、ギヤ比などの機構的な調整では対応が煩雑となるため、別の駆動モータを用い最適な設定にしやすくしている。
【0050】
さらにまた、羽根部材46が被包装物1から離反する位置は、製袋器20の近く、すなわちベルトコンベア装置32の搬出側近くとし、離反したならばその後すぐに被包装物1が製袋器20内に供給されるようにすると良い。
【0051】
羽根部材46の移動速度よりもベルトコンベア装置32による搬送速度を速くしているが、好ましくは、速度差はあまりないようにすることである。速度差を少なくすることで、被包装物1が羽根部材46に接触したときに被包装物1に加わるストレスを低減できるので良い。ただし、速度差が少ないと、ベルトコンベア装置32の移動距離を長くする必要があり、装置の大型化を招くため、速度差はそれを考慮して適宜に設定する。
【0052】
さらに本実施形態では、羽根部材46の後面の下方に、後方に向けて突出するストッパー部材53を設けている。このストッパー部材53は、肉厚のL字型部材で構成し、下端が後方に向けて突出した形状となる。そして、その突出した部分の下面が第一係止面53aとなり、後面が第二係止面53bとなる。
【0053】
第一係止面53aは、ベルトコンベア装置32のエンドレスベルトのベルト面との間で一定の隙間を形成し、被包装物1の先端が羽根部材46に接触した状態では、被包装物1の先端、すなわち袋体3の底部3bがその隙間内に位置するようにしている。これにより、当該袋体3の底部3bが上方に持ち上がろうとした場合、その底部3bは第一係止面53aに接触し、持ち上がりを防止する。
【0054】
第二係止面53bは、前進移動してきた被包装物1のフック部材4が接触可能としている。つまり、例えばベルトコンベア装置32からの搬送力が大きく、被包装物1の先端が羽根部材46に接触した後も羽根部材46に対して相対的に前進移動し、被包装物1の先端が潰れようとした場合、フック部材4が第二係止面53bに接触し、それ以上の相対的な前進移動を抑止する。これにより、袋体3の底部3b側が潰れることを可及的に抑止する。
【0055】
上述した実施形態では、袋体3の底部3b側を前側にして被包装物1を搬送したが、被包装物1の搬送姿勢を前後反転し、ミシン目5を形成した側を前側にして搬送するようにしても良い。
【0056】
上述した実施形態では、被包装物は、コーヒーのドリップバッグとし、袋体3の側面にフック部材4が貼り付けられ、搬送状態で袋体3の周縁にはフック部材4が位置せず不織布が存在するタイプで、周縁を内方に押すとその押した部分が窪んだり変形したりしやすいものとしたが、本発明はこれに限ることはなく、被包装物はそれ以外のタイプのドリップバッグとしても良いし、ドリップバッグ以外の物品でも良い。ただし、後方から押すと変形しやすい構造のものに有効に機能する。
【0057】
本実施形態によれば、シール部に皺などの発生を抑制しつつ、被包装物と袋体の寸法差が少なくても噛み込みすること無く、横型ピロー包装機を用いて高速に製造しつつ、ドリップバッグの従来の包装方法である縦型ピロー包装機を用いた場合と同様の包装形態をとることができる。
【0058】
上述した実施形態では、被包装物1はドリップバッグとしたが、本発明はこれに限ることはなく、各種の物品に適用することができる。また、上述した実施形態では、分離した左右の筒状フィルムを形成し、包装体を2個ずつ製造するタイプの横型ピロー包装機について説明したが、通常の包装体を1個ずつ製造する横型ピロー包装機についても適用できる。この場合、被包装物抑えベルト装置30は、エンドレスベルト62の下流側端部がサイドシール部の未形成側に位置するように傾斜配置する。
【0059】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。