特開2018-87708(P2018-87708A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-87708端面検査装置とその合焦画像データ取得方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-87708(P2018-87708A)
(43)【公開日】2018年6月7日
(54)【発明の名称】端面検査装置とその合焦画像データ取得方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20180511BHJP
   G02B 6/36 20060101ALI20180511BHJP
【FI】
   G01N21/88 Z
   G02B6/36
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-229889(P2016-229889)
(22)【出願日】2016年11月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】特許業務法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 太一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正幸
【テーマコード(参考)】
2G051
2H036
【Fターム(参考)】
2G051AA73
2G051AB07
2G051CA04
2G051CB01
2G051CC09
2G051CD04
2G051EA02
2G051EA14
2G051ED07
2G051ED22
2H036QA01
(57)【要約】
【課題】簡素で安価な構成で検査対象の端面の合焦画像データを取得することができる端面検査装置を提供すること。
【解決手段】所定の位置に固定されたフェルール11及び光ファイバ12の端面の像を画像センサ4の位置に結像させる光学系2と、操作者の操作により光学系2のピント位置を動かす光学系駆動機構3と、画像センサ4が出力する画像データを取得して画像メモリ6に記憶させる画像取り込み部5と、画像データを一時的に記憶しておく画像メモリ6と、予め設定された時間間隔で画像メモリ6に記憶させた画像データのピントが合っているか否かを判定し、端面の合焦画像データを取得する焦点検出部7と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に固定された部材の端面の像を画像センサ(4)の位置に結像させる光学系(2)と、
操作者の操作により前記光学系のピント位置を動かす光学系駆動機構(3)と、
予め設定された時間間隔で前記画像センサの出力する画像データを取得し、前記画像データのピントが合っているか否かを判定する焦点検出部(7)と、を備える端面検査装置。
【請求項2】
前記焦点検出部は、前記画像データの一部分によりピントが合っているか否かを判定する請求項1に記載の端面検査装置。
【請求項3】
前記焦点検出部は、前記画像データから前記部材の端面に存在する形状を検出し、当該形状が検出された場合に当該形状の周辺部分によりピントが合っているか否かを判定する請求項2に記載の端面検査装置。
【請求項4】
前記焦点検出部は、前記光学系駆動機構が操作されている間のみ、予め設定された時間間隔で前記画像センサの出力する画像データのピントが合っているか否かを判定する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端面検査装置。
【請求項5】
所定の位置に固定された部材の端面の像を画像センサ(4)の位置に結像させる光学系(2)と、
操作者の操作により前記光学系のピント位置を動かす光学系駆動機構(3)と、
を備えた端面検査装置の合焦画像データ取得方法であって、
予め設定された時間間隔で前記画像センサにより画像データを取得するステップと、
前記画像データのピントが合っているか否かを判定するステップと、を有する端面検査装置の合焦画像データ取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端面検査装置に関し、例えば、光コネクタの端面の検査を行なう光コネクタ端面検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の通信に用いられる光ファイバケーブルの末端には、中継用あるいは他機器との接続用の光コネクタが設けられている。光コネクタは、円筒状に形成されたフェルールの内周部に光ファイバが挿通され、フェルールを保持して他機器や中継用のアダプタに接続して固定させるプラグハウジングが装着されて構成されている。
【0003】
この光コネクタは、接続部であるフェルール(光ファイバを含む)の端面に傷や汚れがあると光ファイバの通信品質が低下する。このため、光ファイバケーブルを接続する際には、形成した光コネクタのフェルールの端面の状態を検査する端面検査装置が使われている。
【0004】
この端面検査装置は、光コネクタのフェルールの端面をカメラで撮像し、撮像した画像を拡大して観察し、傷や汚れを発見していた。
【0005】
非特許文献1には、カメラで撮像した画像のピントを操作者が手動で微調整し、ピントの合った画像を取得することが開示されている。
【0006】
しかしながら、このような端面検査装置では、操作者は、ピントが合うように手動で微調整しなければならず、微調整に時間がかかっていた。また、操作者は、さらに端面検査装置の表示部に表示される画像を見ながらピントが合った画像の取得の操作をしなければならず、ピントの合った画像の取得に時間がかかっていた。
【0007】
このような課題に対応するため、特許文献1では、オートフォーカスで光コネクタのフェルールの端面にピントを合わせて撮像した画像データを画像処理することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−77376号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】村上太一、牧 達幸、福嶋大輝、山崎智英、「MT9083 アクセスマスタ Fiber Visualizerおよび光コネクタ端面検査機能の開発」、アンリツテクニカル、No.89、2014年3月http://downloadfile.anritsu.com/RefFiles/ja−JP/About−Anritsu/R_D/Technical/89/89_011.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような端面検査装置にあっては、例えば、測距センサの測距情報に基づきレンズユニットのピント位置をモータで調整するようなオートフォーカス機構を使っているため、価格が高くなるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、簡素で安価な構成で検査対象の端面の合焦画像データを取得することができる端面検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の端面検査装置は、所定の位置に固定された部材の端面の像を画像センサの位置に結像させる光学系と、操作者の操作により前記光学系のピント位置を動かす光学系駆動機構と、予め設定された時間間隔で前記画像センサの出力する画像データを取得し、前記画像データのピントが合っているか否かを判定する焦点検出部と、を備えるものである。
【0013】
この構成により、予め設定された時間間隔で画像データが取得され、ピントが合っているか否かが判定される。このため、光学系駆動機構が操作されピント位置が部材の端面付近に移動されると、ピント位置付近での画像データを取得することができ、簡素で安価な構成で検査対象の端面の合焦画像データを取得することができる。
【0014】
また、本発明の端面検査装置において、焦点検出部は、前記画像データの一部分によりピントが合っているか否かを判定するものである。
【0015】
この構成により、画像データの一部分を参照してピントが合っているか否かが判定される。このため、画像データの全体を参照して合焦の判定をするよりも、処理負荷を軽減させることができる。
【0016】
また、本発明の端面検査装置において、前記焦点検出部は、前記画像データから前記部材の端面に存在する形状を検出し、当該形状が検出された場合に当該形状の周辺部分によりピントが合っているか否かを判定するものである。
【0017】
この構成により、画像データから端面に存在する形状が検出され、その形状が検出された場合にその形状の周辺部分を参照してピントが合っているか否かが判定される。このため、画像データの全体を参照して合焦の判定をするよりも、ノイズの影響を低減させることができ、また、検査対象の部材が存在する場合のみ合焦の判定を行なうことができる。
【0018】
また、本発明の端面検査装置において、前記焦点検出部は、前記光学系駆動機構が操作されている間のみ、予め設定された時間間隔で前記画像センサの出力する画像データのピントが合っているか否かを判定するものである。
【0019】
この構成により、光学系駆動機構が操作されている間のみ、予め設定された時間間隔で画像データのピントが合っているか否かが判定される。このため、合焦の判定を行なう時間を制限することができ、処理負荷を軽減させることができる。
【0020】
また、本発明の端面検査装置の合焦画像データ取得方法は、所定の位置に固定された部材の端面の像を画像センサの位置に結像させる光学系と、操作者の操作により前記光学系のピント位置を動かす光学系駆動機構と、を備えた端面検査装置の合焦画像データ取得方法であって、予め設定された時間間隔で前記画像センサにより画像データを取得するステップと、前記画像データのピントが合っているか否かを判定するステップと、を有するものである。
【0021】
この構成により、予め設定された時間間隔で画像データが取得され、ピントが合っているか否かが判定される。このため、光学系駆動機構が操作されピント位置が部材の端面付近に移動されると、ピント位置付近での画像データを取得することができ、簡素で安価な構成で検査対象の端面の合焦画像データを取得することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、簡素で安価な構成で検査対象の端面の合焦画像データを取得することができる端面検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る端面検査装置の概略構成図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る端面検査装置の合焦度合判定方法を示す図である。
図3図3は、従来の端面検査装置の合焦度合判定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る端面検査装置について詳細に説明する。
【0025】
図1において、本発明の一実施形態に係る端面検査装置1は、光学系2と、光学系駆動機構3と、画像センサ4と、画像取り込み部5と、画像メモリ6と、焦点検出部7と、画像解析部8と、表示部9とを含んで構成される。
【0026】
本実施形態の端面検査装置1は、不図示のコネクタ保持部に保持された光コネクタ付きの光ファイバケーブル10の、フェルール11及びフェルール11に内包された光ファイバ12の端面を、光学系2で拡大して画像センサ4で撮像するようになっている。
【0027】
光学系2は、レンズ21と、ハーフミラー22と、照明用LED(Light Emitting Diode)23と、を備えている。
【0028】
レンズ21は、コネクタ保持部に保持された光ファイバケーブル10のフェルール11及び光ファイバ12の端面に対向するように設置され、その光軸がフェルール11及び光ファイバ12の中心軸と略同軸上に位置するように設置される。
【0029】
レンズ21は、光学系駆動機構3が操作者に操作されることにより、その光軸と平行な方向に移動して、画像センサ4に結像する像のピントを調節できるようになっている。
【0030】
ハーフミラー22は、レンズ21の後方に配置され、レンズ21を通して照明用LED23からの照明光をフェルール11及び光ファイバ12の端面に照射する。フェルール11及び光ファイバ12の端面に照射された照明光は、フェルール11及び光ファイバ12の端面で反射し、その反射光は、レンズ21、ハーフミラー22を通って画像センサ4に照射される。画像センサ4は、照射された反射光を画像データに変換して出力する。
【0031】
画像取り込み部5は、画像センサ4が出力する画像データを取得し、画像メモリ6に記憶させる。画像メモリ6は、画像データを一時的に記憶しておく。
【0032】
焦点検出部7は、画像メモリ6から画像データを読み出して、焦点が合っているか否かを検出する。焦点検出部7は、画像取り込み部5に画像取り込み命令を送信し、画像メモリ6に画像データを記憶させる。
【0033】
焦点検出部7は、予め設定された時間間隔(例えば、33ms間隔)で画像取り込み部5に画像データを画像メモリ6に記憶させ、記憶させた画像データそれぞれについて焦点が合っているか否かを判定する合焦度合判定処理を行なう。
【0034】
焦点検出部7は、図2に示すような画像データをフィルタ処理によりエッジ変換する。焦点検出部7は、エッジ変換した画像データから、検査対象となる光ファイバ12の端面形状である円を、パターンマッチングなどの処理により検出する。
【0035】
焦点検出部7は、検査対象となる光ファイバ12の端面形状である円を検出した場合は、図2の枠Aのように、検出した円の周辺部分に限定して、図2の矢印のように、元の画像データに対し隣接ピクセルとの輝度差を算出し、輝度差が閾値を超えた画像データを焦点が合った合焦画像データとする。なお、図2の升目の1升が1ピクセルを表している。
【0036】
従来の合焦度合判定処理では、図3に示すように、取得した画像データの横軸方向に、図3の矢印のように隣り合うピクセル間の輝度差を算出していた。焦点が合っている場合は、隣り合うピクセル間の輝度値の変化が大きくなる。焦点がずれている場合は、像がぼやけることから、隣り合うピクセルの輝度差が小さくなる。従来は、取得した画像データの全てのピクセルについて隣接ピクセルとの輝度差を算出し、輝度差が閾値を超えていれば合焦したと判定していた。
【0037】
このような処理では、周辺雑音(ノイズ)や、画像データのファイル形式に依存した圧縮画像を展開する際に生じるブロックノイズなどの影響で誤検出する場合があった。
【0038】
また、端面検査装置1に光ファイバケーブル10が挿入されているか否かを検出できない構成の場合、光ファイバケーブル10が挿入されていないのにも関わらず合焦度合判定処理を行ない、誤検出してしまう。
【0039】
本実施形態の合焦度合判定処理では、ノイズの影響を受けずに、また確実に光ファイバケーブル10が挿入されているときのみ判定を行なうことができる。
【0040】
焦点検出部7は、焦点の合った合焦画像データを検出すると、その画像データを画像解析部8に出力する。
【0041】
画像解析部8は、焦点検出部7が検出した合焦画像データに基づき、フェルール11や光ファイバ12に傷や汚れ、ゴミ等の要素がどの程度含まれるかを調べ、端面の良否判定を行なう。
【0042】
表示部9は、画像解析部8の出力するフェルール11や光ファイバ12の端面の画像や、端面の良否判定の結果などを表示する。表示部9は、液晶ディスプレイ等の画像表示機器で構成される。
【0043】
ここで、端面検査装置1は、図示しないコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置と、入出力ポートと、操作入力装置(ハードキー、タッチパネルなど)とを有する。
【0044】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を端面検査装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、端面検査装置1として機能する。
【0045】
このように、本実施の形態において、焦点検出部7、画像解析部8は、CPUによって構成される。
【0046】
このような構成の端面検査装置1において、光ファイバケーブル10のフェルール11及び光ファイバ12の端面を検査する場合、端面検査装置1の電源が投入されると(検査対象は未取付)、焦点検出部7は、予め設定された時間間隔で画像取り込み部5に画像データを画像メモリ6に記憶させ、記憶させた画像データそれぞれについて合焦度合判定処理を開始する。この場合、焦点検出部7は、画像データ中に検査対象となる光ファイバ12の端面形状である円を検出できないため、輝度差の算出などの処理は行なわない一方、画像解析部8に画像データを出力する。なお、順次取り込まれる当該画像データは、後述の判定結果と合焦画像データとが一緒に表示されているときを除き、そのまま表示部9に送られて表示されるようになっている。
【0047】
このような状態から、光コネクタ付きの光ファイバケーブル10がコネクタ保持部に保持され、光学系駆動機構3が操作者に操作される。例えば、レンズ21の可動範囲の端から端までを光学系駆動機構3により移動される。この間、焦点検出部7は、画像データ中に検査対象となる光ファイバ12の端面形状である円の検出を行ない、光ファイバケーブル10のフェルール11及び光ファイバ12の端面にピントが合うレンズ21の位置付近では、画像データ中に円が検出される。
【0048】
焦点検出部7は、画像データ中に検査対象となる光ファイバ12の端面形状である円が検出され、合焦度合判定処理で焦点が合っていると判定すると、画像データを画像解析部8に出力するとともに、画像解析部8に画像解析命令を送信する。画像解析部8は、焦点検出部7から画像解析命令を受信すると、焦点検出部7が入力した画像データに基づいて端面の合否判定を行ない、結果とともに合焦画像データを表示部9に表示させる。
【0049】
このように、予め設定された時間間隔で取り込んだ画像データそれぞれについて焦点が合っているか否かを判定する合焦度合判定処理を行なっているため、光学系駆動機構3により検査対象の端面にピントが合う付近でレンズ21を移動させるだけで、検査対象の端面にピントの合った画像データを取得し、合否判定結果を得ることができる。
【0050】
なお、上述の例では、レンズ21の可動範囲の端から端までを移動させたが、画像センサ4で取り込んだ画像データを表示部9で参照しながらピントの合っている近傍を移動させるようにしてもよい。
【0051】
また、上述の例では、端面検査装置1の電源投入時から焦点検出部7は、画像データを取得し、合焦判定処理を行なうようにしたが、合焦判定処理を行なわせるスイッチ等を設け、スイッチがオンになっているときのみ画像データの取得や合焦判定処理などを行なうようにしてもよい。また、光学系駆動機構3が操作されているか否かを検出するセンサを設け、光学系駆動機構3が操作されている間だけ画像データの取得や合焦判定処理などを行なうようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態においては、フェルール11及び光ファイバ12端面を検査する場合について示したが、これに限定されるものではなく、例えば、固形部材の端面を検査する場合にも用いることができる。
【0053】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0054】
1 端面検査装置
2 光学系
3 光学系駆動機構
4 画像センサ
7 焦点検出部
21 レンズ
22 ハーフミラー
23 照明用LED
図1
図2
図3