(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-88558(P2018-88558A)
(43)【公開日】2018年6月7日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20180511BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20180511BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20180511BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20180511BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20180511BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/36 Z
H01L23/36 D
H01L23/28 B
H01L21/56 R
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-36131(P2018-36131)
(22)【出願日】2018年3月1日
(62)【分割の表示】特願2013-151690(P2013-151690)の分割
【原出願日】2013年7月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(72)【発明者】
【氏名】吉原 克彦
(72)【発明者】
【氏名】濟藤 匡男
【テーマコード(参考)】
4M109
5F061
5F136
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA02
4M109CA21
4M109DB02
5F061AA01
5F061BA02
5F061CA21
5F136BA30
5F136BC05
5F136EA04
5F136FA14
5F136FA16
5F136FA18
5F136FA52
5F136FA53
5F136FA63
5F136FA82
(57)【要約】
【課題】冷却性能が向上し、信頼性の向上したパワーモジュールおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】パワーモジュール20は、絶縁層と、絶縁層上に配置されたリードフレーム(金属層)1,5と、リードフレーム1上に配置された半導体チップ3とを備え、絶縁層は、リードフレーム1,5側に配置される硬質絶縁層7aと、リードフレーム1,5とは反対の側に配置される軟質絶縁層7bとを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上に配置された金属層と、
前記金属層上に配置された半導体チップと
を備え、
前記絶縁層は、前記金属層側に配置される硬質絶縁層と、前記金属層とは反対の側に配置される軟質絶縁層とを有することを特徴とするパワーモジュール。
【請求項2】
冷却体を備え、
前記軟質絶縁層は、前記冷却体側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール。
【請求項3】
前記軟質絶縁層の硬さは、デュロメータ硬さでA40よりも軟らかいことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーモジュール。
【請求項4】
前記軟質絶縁層は、有機材料で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項5】
前記軟質絶縁層は、シリコーン系樹脂で構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項6】
前記軟質絶縁層には、熱伝導率の高い充填材が充填されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項7】
前記充填材は、酸化アルミ、酸化ケイ素、窒化アルミ、窒化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、マグネシアのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載のパワーモジュール。
【請求項8】
前記硬質絶縁層の硬さは、デュロメータ硬さでA40よりも硬いことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項9】
前記硬質絶縁層は、有機材料で構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項10】
前記硬質絶縁層は、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂のうちの少なくとも1つで構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項11】
前記硬質絶縁層には、熱伝導率の高い充填材が充填されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項12】
前記充填材は、酸化アルミ、酸化ケイ素、窒化アルミ、窒化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、マグネシアのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項11に記載のパワーモジュール。
【請求項13】
前記硬質絶縁層と対峙する前記金属層の面に前記硬質絶縁層の一部が入り込む溝が形成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項14】
前記半導体チップがモールド樹脂でモールドされる前に前記軟質絶縁層及び前記硬質絶縁層が形成されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項15】
前記モールド樹脂と前記金属層との間に前記軟質絶縁層及び前記硬質絶縁層の端部が介在していることを特徴とする請求項14に記載のパワーモジュール。
【請求項16】
前記半導体チップがモールド樹脂でモールドされた後に前記軟質絶縁層及び前記硬質絶縁層が形成されることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項17】
前記モールド樹脂と前記金属層とが面一に形成されていることを特徴とする請求項16に記載のパワーモジュール。
【請求項18】
前記パワーモジュールは、ワンインワン、ツーインワン、フォーインワンもしくはシックスインワン型のいずれかに形成されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載のパワーモジュール。
【請求項19】
リードフレームにはんだを用いて半導体チップを接合する工程と、
前記半導体チップと前記リードフレームとを電気的に接続するため、アルミワイヤを用いて超音波接合を行う工程と、
前記リードフレームを金型に配置し、前記リードフレームの角部が覆われるように前記リードフレームの下面に硬質絶縁層を形成する工程と、
前記硬質絶縁層を硬化させた後、前記角部が覆われるように前記硬質絶縁層の表面に軟質絶縁層を形成する工程と、
前記軟質絶縁層を硬化させた後、前記金型を閉めてモールド樹脂を流し込み、前記リードフレーム、前記はんだ、前記半導体チップ、前記アルミワイヤ、前記リードフレームをモールディングする工程と
を有することを特徴とするパワーモジュールの製造方法。
【請求項20】
リードフレームにはんだを用いて半導体チップを接合する工程と、
前記半導体チップと前記リードフレームとを電気的に接続するため、アルミワイヤを用いて超音波接合を行う工程と、
前記リードフレームを金型に配置し、前記金型を閉めてモールド樹脂を流し込み、前記モールド樹脂と前記リードフレームとが角部において面一になるように、前記リードフレーム、前記はんだ、前記半導体チップ、前記アルミワイヤ、前記リードフレームをモールディングする工程と、
面一になった前記モールド樹脂と前記リードフレームとの面に硬質絶縁層を形成する工程と、
前記硬質絶縁層の表面に軟質絶縁層を形成する工程と
を有することを特徴とするパワーモジュールの製造方法。
【請求項21】
前記軟質絶縁層は、前記硬質絶縁層の下面に形成されることを特徴とする請求項19または20に記載のパワーモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーモジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のような半導体デバイスを含むパワーチップがリードフレーム上に搭載され、系全体が樹脂でモールドされたパワーモジュールが知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。動作状態において、半導体デバイスは発熱するため、リードフレームの裏面に絶縁層を介してヒートシンクを配置し、半導体デバイスを冷却するのが一般的である。
【0003】
このようにヒートシンクなどの冷却体にパワーモジュールを取り付ける際は、冷却体と対峙する金属面(リードフレームの面)と、この金属面と対峙する冷却体の面のどちらか一方又は両方に液状のサーマルコンパウンドを塗布する。これにより、表面の傷などの凹凸や反りによる隙間をサーマルコンパウンドで充填することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3201277号公報
【特許文献2】特開2005−109100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、サーマルコンパウンドの熱抵抗は大きく、モジュールの冷却効果を阻害する原因になっている。一方、サーマルコンパウンドをなくした場合は、ネジ留めして加圧したとしても、モジュールと冷却体との間に隙間が生じ、サーマルコンパウンドを塗布した場合よりも更に冷却効果を阻害してしまう。
【0006】
本発明の目的は、冷却性能が向上し、信頼性の向上したパワーモジュールおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、絶縁層と、前記絶縁層上に配置された金属層と、前記金属層上に配置された半導体チップとを備え、前記絶縁層は、前記金属層側に配置される硬質絶縁層と、前記金属層とは反対の側に配置される軟質絶縁層とを有するパワーモジュールが提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、リードフレームにはんだを用いて半導体チップを接合する工程と、前記半導体チップと前記リードフレームとを電気的に接続するため、アルミワイヤを用いて超音波接合を行う工程と、前記リードフレームを金型に配置し、前記リードフレームの角部が覆われるように前記リードフレームの下面に硬質絶縁層を形成する工程と、前記硬質絶縁層を硬化させた後、前記角部が覆われるように前記硬質絶縁層の表面に軟質絶縁層を形成する工程と、前記軟質絶縁層を硬化させた後、前記金型を閉めてモールド樹脂を流し込み、前記リードフレーム、前記はんだ、前記半導体チップ、前記アルミワイヤ、前記リードフレームをモールディングする工程とを有するパワーモジュールの製造方法が提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、リードフレームにはんだを用いて半導体チップを接合する工程と、前記半導体チップと前記リードフレームとを電気的に接続するため、アルミワイヤを用いて超音波接合を行う工程と、前記リードフレームを金型に配置し、前記金型を閉めてモールド樹脂を流し込み、前記モールド樹脂と前記リードフレームとが角部において面一になるように、前記リードフレーム、前記はんだ、前記半導体チップ、前記アルミワイヤ、前記リードフレームをモールディングする工程と、面一になった前記モールド樹脂と前記リードフレームとの面に硬質絶縁層を形成する工程と、前記硬質絶縁層の表面に軟質絶縁層を形成する工程とを有するパワーモジュールの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冷却性能が向上し、信頼性の向上したパワーモジュールおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】比較例に係るパワーモジュールの模式的断面構造図。
【
図2】比較例に係る別のパワーモジュールの模式的断面構造図。
【
図3】
図1に示されるパワーモジュールの使用例を示す模式的断面構造図。
【
図4】
図2に示されるパワーモジュールの使用例を示す模式的断面構造図。
【
図5】実施の形態に係るパワーモジュールの模式的断面構造図。
【
図6】実施の形態に係るパワーモジュールの使用例を示す模式的平面構造図。
【
図7】実施の形態に係るパワーモジュールの製造方法を示す工程図であって、(a)半導体チップを接合する前の状態を示す断面図、(b)半導体チップを接合した後の状態を示す断面図、(c)アルミワイヤを接続した状態を示す断面図、(d)硬質絶縁層を形成した状態を示す断面図、(e)軟質絶縁層を形成した状態を示す断面図、(f)モールドした状態を示す断面図。
【
図8】実施の形態に係るパワーモジュールの別の製造方法を示す工程図であって、(a)半導体チップを接合する前の状態を示す断面図、(b)半導体チップを接合した後の状態を示す断面図、(c)アルミワイヤを接続した状態を示す断面図、(d)モールドした状態を示す断面図、(e)硬質絶縁層を形成した状態を示す断面図、(f)軟質絶縁層を形成した状態を示す断面図。
【
図9】実施の形態に係るパワーモジュールの更に別の製造方法を示す工程図であって、(a)半導体チップを接合する前の状態を示す断面図、(b)半導体チップを接合した後の状態を示す断面図、(c)アルミワイヤを接続した状態を示す断面図、(d)硬質絶縁層を形成した状態を示す断面図、(e)軟質絶縁層を形成した状態を示す断面図、(f)モールドした状態を示す断面図。
【
図10】実施の形態に係るパワーモジュールの更に別の製造方法を示す工程図であって、(a)半導体チップを接合する前の状態を示す断面図、(b)半導体チップを接合した後の状態を示す断面図、(c)アルミワイヤを接続した状態を示す断面図、(d)硬質絶縁層を形成した状態を示す断面図、(e)モールドした状態を示す断面図、(f)軟質絶縁層を形成した状態を示す断面図。
【
図11】実施の形態に係るパワーモジュールの変形例を示す模式的断面構造図。
【
図13】実施の形態に係るパワーモジュールであって、ワンインワンモジュールの模式的回路表現図。
【
図14】実施の形態に係るパワーモジュールであって、ワンインワンモジュールの詳細回路表現図。
【
図15】実施の形態に係るパワーモジュールであって、ツーインワンモジュールの模式的回路表現図。
【
図16】実施の形態に係るパワーモジュールに適用する半導体デバイスの例であって、SiC MOSFETの模式的断面構造図。
【
図17】実施の形態に係るパワーモジュールに適用する半導体デバイスの例であって、ソースパッド電極SP、ゲートパッド電極GPを含むSiC MOSFETの模式的断面構造図。
【
図18】実施の形態に係るパワーモジュールを用いて構成した3相交流インバータの模式的回路構成において、電源端子PL、接地端子NL間にスナバコンデンサを接続した回路構成例。
【
図19】実施の形態に係るパワーモジュールを用いて構成した3相交流インバータの模式的回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0013】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0014】
(比較例)
比較例に係るパワーモジュール20aの模式的断面構造は、
図1に示すように表される。
図1に示すように、まず、リードフレーム1にはんだ2を用いて半導体チップ3を接合する。この後、半導体チップ3とリードフレーム5とをアルミワイヤ4を用いて電気的に接続する。この後、リードフレーム1とリードフレーム5とを図示しない金型に配置し、リードフレーム1及びリードフレーム5の半導体チップ3が搭載されている面とは逆の面(以下、「下面」という場合がある。)に絶縁層7を配置する。この後、金型を閉めてモールド樹脂6を流し込むと、モールド樹脂6によってモールドされたパワーモジュール20aが形成される。
【0015】
比較例に係る別のパワーモジュール20bの模式的断面構造は、
図2に示すように表される。
図2に示すように、絶縁層7の下面に金属板8を貼り付けた構造を採用しても良い。このように最外層に金属板8を配置すれば、絶縁層7を金属板8でカバーして外傷から防ぐことができる。その他の構成は、パワーモジュール20aと同様である。
【0016】
図1に示されるパワーモジュール20aの使用例を示す模式的断面構造は、
図3に示すように表され、
図2に示されるパワーモジュール20bの使用例を示す模式的断面構造は、
図4に示すように表される。
図3及び
図4に示すように、比較例に係るパワーモジュール20a,20bは、液状のサーマルコンパウンド9を介してヒートシンク10にネジ留めされて使用される。
【0017】
しかしながら、サーマルコンパウンド9の熱抵抗は大きく、モジュールの冷却効果を阻害する原因になっている。一方、サーマルコンパウンド9をなくした場合は、ネジ留めして加圧したとしても、モジュールとヒートシンク10との間に隙間が生じ、サーマルコンパウンド9を塗布した場合よりも更に冷却効果を阻害してしまう。
【0018】
(実施の形態)
実施の形態に係るパワーモジュール20は、
図5に示すように、絶縁層と、絶縁層上に配置されたリードフレーム(金属層)1,5と、リードフレーム1上に配置された半導体チップ3とを備え、絶縁層は、リードフレーム1,5側に配置される硬質絶縁層7aと、リードフレーム1,5とは反対の側に配置される軟質絶縁層7bとを有する。
【0019】
具体的には、ヒートシンク(冷却体)10を備え、軟質絶縁層7bは、ヒートシンク10側に配置されても良い。
【0020】
また、軟質絶縁層7bの硬さは、デュロメータ硬さでA40よりも軟らかくても良い。
【0021】
また、軟質絶縁層7bは、有機材料で構成されていても良い。
【0022】
また、軟質絶縁層7bは、シリコーン系樹脂で構成されていても良い。
【0023】
また、軟質絶縁層7bには、熱伝導率の高い充填材が充填されていても良い。
【0024】
また、充填材は、酸化アルミ、酸化ケイ素、窒化アルミ、窒化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、マグネシアのうちの少なくとも1つであっても良い。
【0025】
また、硬質絶縁層7aの硬さは、デュロメータ硬さでA40よりも硬くても良い。
【0026】
また、硬質絶縁層7aは、有機材料で構成されていても良い。
【0027】
また、硬質絶縁層7aは、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂のうちの少なくとも1つで構成されていても良い。
【0028】
また、硬質絶縁層7aには、熱伝導率の高い充填材が充填されていても良い。
【0029】
また、充填材は、酸化アルミ、酸化ケイ素、窒化アルミ、窒化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、マグネシアのうちの少なくとも1つであっても良い。
【0030】
また、硬質絶縁層7aと対峙するリードフレーム1,5の面に硬質絶縁層7aの一部が入り込む溝11が形成されていても良い。
【0031】
また、半導体チップ3がモールド樹脂6でモールドされる前に軟質絶縁層7b及び硬質絶縁層7aが形成されても良い。
【0032】
また、モールド樹脂6とリードフレーム1,5との間に軟質絶縁層7b及び硬質絶縁層7aの端部が介在していても良い。
【0033】
また、半導体チップ3がモールド樹脂6でモールドされた後に軟質絶縁層7b及び硬質絶縁層7aが形成されても良い。
【0034】
また、モールド樹脂6とリードフレーム1,5とが面一に形成されていても良い。
【0035】
(パワーモジュール)
以下、
図5を用いて、実施の形態に係るパワーモジュール20の構成を更に詳しく説明する。すなわち、実施の形態に係るパワーモジュール20では、ヒートシンク(冷却体)10と対峙する面に有機材料からなる熱伝導性樹脂を塗布して硬化させる。この後、熱伝導性樹脂が塗布されたパワーモジュール20をヒートシンク10に締結する。このとき、比較例のように、絶縁層7とヒートシンク10との間に隙間充填用のサーマルコンパウンド9は塗布しない。すなわち、本実施の形態では、モジュール取り扱いの際のスクラッチに対して傷が付かないように、デュロメータ硬さでA40以上の熱伝導性樹脂(硬質絶縁層7a)を用いる。
【0036】
このような硬質絶縁層7aを用いた場合、傷に対しては強くなる。一方、その硬さ故に、ヒートシンク10の表面における傷や反りによる隙間に入り込むことができず、熱抵抗が増大してしまうことがある。
【0037】
そこで、硬質絶縁層7aの表面に、更に柔軟性のある樹脂(軟質絶縁層7b)を塗布する。これにより、ヒートシンク10の表面における傷や反りによる隙間に柔軟性のある軟質絶縁層7bが入り込むため、熱抵抗が増大することがなくなる。また、表面の軟質絶縁層7bは柔らかく傷が付く可能性があるが、その下地として硬質絶縁層7aが存在するため、絶縁性能が損なわれることがない。
【0038】
硬質絶縁層7aの材料としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などを用いることができる。また、硬質絶縁層7aに用いる樹脂には、熱伝導率の高い充填材が充填される。充填材としては、酸化アルミ、酸化ケイ素、窒化アルミ、窒化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、マグネシアなどを用いることができる。その他、硬質絶縁層7aの材料としては、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、グラファイトを用いても良い。
【0039】
軟質絶縁層7bの材料としては、シリコーン系樹脂などを用いることができる。このシリコーン系樹脂にも、高熱伝導性の充填材が充填される。この充填材としても、酸化アルミ、酸化ケイ素、窒化アルミ、窒化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、マグネシアなどを用いることができる。
【0040】
従来のサーマルコンパウンド9はシリコーン系であり、その熱伝導率は約1W/mK程度であった。それに対して、実施の形態に係るパワーモジュール20では、サーマルコンパウンド9の代わりに、例えば約1〜20W/mK程度の熱伝導率が高い樹脂を塗布するようにしているため、熱抵抗を下げることが可能であり、冷却性能を向上し、信頼性を向上することができる。
【0041】
(使用例)
実施の形態に係るパワーモジュール20の使用例を示す模式的平面構造は、
図6に示すように表される。
図6に示すように、リードフレーム1,5は、ネジ61,62によりヒートシンク10にネジ留めされる。もちろん、ネジ留めする位置やネジの数は、適宜変更することが可能である。このような構成によれば、軟質絶縁層7bに柔軟性のある樹脂を用いても、パワーモジュール20をヒートシンク10に強固に接合することができる。
【0042】
(製造方法1)
実施の形態に係るパワーモジュール20の製造方法を示す工程は、
図7に示すように表される。
図7では、リードフレーム1側の一部分だけを示しているが、その他の部分は、
図5に示した通りである。
【0043】
まず、
図7(a)(b)に示すように、Cu、AL、又はこれらの合金でできたリードフレーム1にはんだ2を用いて半導体チップ3を接合する。はんだ層2としては、熱伝導率が高い銀ペーストを用いても良い。
【0044】
次に、
図7(c)に示すように、半導体チップ3とリードフレーム5とを電気的に接続するため、アルミワイヤ4を用いて超音波接合を行う。このとき、リードフレーム1とリードフレーム5とは図示しない連結バーに連結されており、超音波接合時に各々の相対位置が変わらないようにしておく。この連結バーは、超音波接合が終わったら除去される。
【0045】
次に、
図7(d)に示すように、リードフレーム1とリードフレーム5とを図示しない金型に配置し、リードフレーム1及びリードフレーム5の下面に硬質絶縁層7aを形成する。硬質絶縁層7aの厚さは例えば約0.5mm程度である。硬質絶縁層7aの形成方法はスクリーン印刷などで良い。このとき、リードフレーム1,5の角部Pが覆われるように硬質絶縁層7aを形成しておく。
【0046】
次に、硬質絶縁層7aを硬化させた後、
図7(e)に示すように、硬質絶縁層7aの表面に軟質絶縁層7bを形成する。軟質絶縁層7bの厚さは例えば約0.5mm程度である。軟質絶縁層7bの形成方法もスクリーン印刷などで良い。このときも、リードフレーム1,5の角部Pが覆われるように軟質絶縁層7bを形成しておく。
【0047】
最後に、軟質絶縁層7bを硬化させた後、
図7(f)に示すように、金型を閉めてモールド樹脂6を流し込み、リードフレーム1、はんだ2、半導体チップ3、アルミワイヤ4、リードフレーム5をモールディングする。これにより、モールド樹脂6によってモールドされたパワーモジュール20が製造される。
【0048】
このような製造方法によれば、モールド樹脂6とリードフレーム1,5との間に硬質絶縁層7a及び軟質絶縁層7bの端部が介在することになる。そのため、リードフレーム1,5の角部Pにおいて短絡する可能性を低減することができる。
【0049】
(製造方法2)
実施の形態に係るパワーモジュール20の別の製造方法を示す工程は、
図8に示すように表される。製造方法1(
図7)と異なる点は、モールドする工程と硬質絶縁層7a及び軟質絶縁層7bを形成する工程とが逆になっている点である。
【0050】
まず、
図8(a)〜
図8(c)までは、
図7(a)〜
図7(c)と同様である。すなわち、リードフレーム1に半導体チップ3を接合し、半導体チップ3とリードフレーム5とをアルミワイヤ4を用いて接続する。ここで、
図8(d)に示すように、金型を閉めてモールド樹脂6を流し込む。このとき、モールド樹脂6とリードフレーム1とが角部Pにおいて面一になるようにしておく。次に、
図8(e)に示すように、面一になったモールド樹脂6とリードフレーム1,5との面に硬質絶縁層7aを形成する。最後に、
図8(f)に示すように、硬質絶縁層7aの表面に軟質絶縁層7bを形成する。このような製造方法でも、リードフレーム1,5の角部Pが硬質絶縁層7a及び軟質絶縁層7bに覆われるため、角部Pにおいて短絡する可能性を低減することができる。
【0051】
(製造方法3)
実施の形態に係るパワーモジュール20の更に別の製造方法を示す工程は、
図9に示すように表される。製造方法1(
図7)と異なる点は、軟質絶縁層7bを形成する領域だけである。すなわち、
図9(e)に示すように、軟質絶縁層7bは、硬質絶縁層7aの下面だけに形成されている。この場合でも、リードフレーム1,5の角部Pは硬質絶縁層7aに覆われているため、角部Pにおいて短絡する可能性を低減することができる。
【0052】
(製造方法4)
実施の形態に係るパワーモジュール20の更に別の製造方法を示す工程は、
図10に示すように表される。製造方法3(
図9)と異なる点は、モールドする工程と軟質絶縁層7bを形成する工程とが逆になっている点である。これらの工程を逆にすることができる点は、製造方法2(
図8)で説明した通りである。このような製造方法でも、リードフレーム1,5の角部Pは硬質絶縁層7aに覆われているため、角部Pにおいて短絡する可能性を低減することができる。
【0053】
(パワーモジュールの変形例)
実施の形態に係るパワーモジュールの変形例を示す模式的断面構造は、
図11に示すように表わされる。
図11に示すように、硬質絶縁層7aと対峙するリードフレーム1,5の面に硬質絶縁層7aの一部が入り込む溝11が形成されていても良い。このような構成によれば、溝11中に硬質絶縁層7aが隙間なく入り込むため、熱抵抗を上昇させることなく、硬質絶縁層7aをリードフレーム1及びリードフレーム5と強固に接合することができる(アンカー効果)。
【0054】
図11中の要部Bに示すように、溝11は、はんだ2の下端部から下方向に角度Cだけ延長した領域より外に形成している。半導体チップ3から発生する熱は約45°に広がって伝導するため、この角度Cは45°以下とするのが望ましい。これにより、熱が伝導される領域には溝11がないため、熱抵抗が大きくなる不具合を回避することができる。
【0055】
図11に示されるI−I線に沿う別の模式的断面構造は、
図12に示すように表される。ここでは、パワーモジュール20の長手方向(横方向)に複数の溝11を形成した場合を例示している。溝11の断面形状は矩形である(
図11参照)。もちろん、溝11の形成方向や断面形状、その他の細部の構成は、適宜変更することが可能である。
【0056】
以上のように、実施の形態に係るパワーモジュール20は、半導体チップ/金属層/絶縁層の縦構造を有してなる樹脂封止形半導体モジュールであり、このような構造における絶縁層として硬質絶縁層7aと軟質絶縁層7bとを積層している。これにより、ヒートシンク10とモジュールとの間に柔らかい軟質絶縁層7bが隙間なく充填される。そのため、サーマルコンパウンド9が不要となり、冷却効果を阻害しにくいパワーモジュールを提供することが可能となる。また、サーマルコンパウンド9は液状であり、これをユーザ側で塗布する必要がなくなるため、モジュールが扱いやすくなる。更に、表面の軟質絶縁層7bは柔らかく傷が付く可能性があるが、その下地として硬質絶縁層7aが存在するため、絶縁性能が損なわれることがない。
【0057】
なお、ここでは、硬質絶縁層7aと軟質絶縁層7bとが積層された構造を例示しているが、絶縁層は少なくとも2層あれば良い。すなわち、3層以上の場合でも硬質絶縁層7aと軟質絶縁層7bとが含まれていれば、同様の効果を得ることができる。
【0058】
(パワーモジュールの具体例)
以下、実施の形態に係るパワーモジュール20の具体例を説明する。もちろん、以下に説明するパワーモジュール20でも、絶縁層として硬質絶縁層7aと軟質絶縁層7bとを積層することができる。これら絶縁層の材料や形状、その他の細部の構成は上記した通りである。
【0059】
実施の形態に係るパワーモジュール20であって、ワンインワンモジュール(1 in 1 Module)の模式的回路表現は、
図13に示すように表される。また、実施の形態に係るパワーモジュール20であって、ワンインワンモジュールの詳細回路表現は、
図14に示すように表される。
【0060】
実施の形態に係るパワーモジュール20は、ワンインワンモジュールの構成を備える。すなわち、1個のMOSFETQが1つのモジュールに内蔵されている。一例として5チップ(MOSトランジスタ×5)搭載可能であり、それぞれのMOSFETQは、5個まで並列接続可能である。尚、5チップの内、一部をダイオードDI用として搭載することも可能である。
【0061】
図13には、MOSFETQに逆並列接続されるダイオードDIが示されている。MOSFETQの主電極は、ドレイン端子DTおよびソース端子STで表される。
【0062】
さらに詳細には、
図14に示すように、MOSFETQに並列にセンス用MOSFETQsが接続される。センス用MOSFETQsは、MOSFETQと同一チップ内に、微細トランジスタとして形成されている。
図14において、SSは、ソースセンス端子、CSは、電流センス端子であり、Gは、ゲート信号端子である。なお、実施の形態においても半導体デバイスQには、センス用MOSFETQsが同一チップ内に、微細トランジスタとして形成されている。
【0063】
また、実施の形態に係るパワーモジュール20であって、ツーインワンモジュールの模式的回路表現は、
図15に示すように表される。
図15に示すように、2個のMOSFETQ1,Q4が1つのモジュールに内蔵されている。G1は、MOSFETQ1のゲート信号端子であり、S1は、MOSFETQ1のソースセンス端子である。G4は、MOSFETQ4のゲート信号端子であり、S4は、MOSFETQ4のソースセンス端子である。Pは、正側電源入力端子であり、Nは、負側電源入力端子であり、Oは、出力端子である。
【0064】
(半導体デバイスの構成例)
実施の形態に係るパワーモジュール20に適用する半導体デバイス100(Q)の例として、SiC MOSFETの模式的断面構造は、
図16に示すように、n
-高抵抗層からなる半導体基板26と、半導体基板26の表面側に形成されたpベース領域28と、pベース領域28の表面に形成されたソース領域30と、pベース領域28間の半導体基板26の表面上に配置されたゲート絶縁膜32と、ゲート絶縁膜32上に配置されたゲート電極38と、ソース領域30およびpベース領域28に接続されたソース電極34と、半導体基板26の表面と反対側の裏面に配置されたn
+ドレイン領域24と、n
+ドレイン領域24に接続されたドレインパッド電極36とを備える。
【0065】
図16では、半導体デバイス100は、プレーナゲート型nチャネル縦型SiC MOSFETで構成されているが、トレンチゲート型nチャネル縦型SiC MOSFETなどで構成されていても良い。
【0066】
また、実施の形態に係るパワーモジュール20に適用する半導体デバイス100(Q)には、SiC MOSFETの代わりに、GaN系FETなどを適用することもできる。
【0067】
実施の形態に係るパワーモジュール20に適用する半導体デバイス100には、SiC系、GaN系、若しくはAlN系のいずれかのパワーデバイスを適用可能である。
【0068】
更には、実施の形態に係るパワーモジュール20に適用する半導体デバイス100には、バンドギャップエネルギーが、例えば、1.1eV〜8eVの半導体を用いることができる。
【0069】
実施の形態に係るパワーモジュール20に適用する半導体デバイス100の例であって、ソースパッド電極SP、ゲートパッド電極GPを含むSiC MOSFETの模式的断面構造は、
図17に示すように表される。ゲートパッド電極GPは、ゲート絶縁膜32上に配置されたゲート電極38に接続され、ソースパッド電極SPは、ソース領域30およびpベース領域28に接続されたソース電極34に接続される。
【0070】
また、ゲートパッド電極GPおよびソースパッド電極SPは、
図17に示すように、半導体デバイス100の表面を覆うパッシベーション用の層間絶縁膜44上に配置される。尚、ゲートパッド電極GPおよびソースパッド電極SPの下方の半導体基板26内には、
図16或いは、
図17の中央部と同様に、微細構造のトランジスタ構造が形成されていても良い。
【0071】
さらに、
図17に示すように、中央部のトランジスタ構造においても、パッシベーション用の層間絶縁膜44上にソースパッド電極SPが延在して配置されていても良い。
【0072】
実施の形態に係るパワーモジュール20において、電源端子PLと接地端子NL間にスナバコンデンサCを接続した回路構成は、
図18に示すように表される。実施の形態に係るパワーモジュール20を電源Eと接続する際、接続ラインの有するインダクタンスLによって、SiC系デバイスのスイッチング速度が速いため、大きなサージ電圧Ldi/dtを生ずる。例えば、電流変化di=300A、スイッチングに伴う時間変化dt=100nsecとすると、di/dt=3×10
9(A/s)となる。インダクタンスLの値により、サージ電圧Ldi/dtの値は変化するが、電源Vにこのサージ電圧Ldi/dtが重畳される。電源端子PLと接地端子NL間に接続されるスナバコンデンサCによって、このサージ電圧Ldi/dtを吸収することができる。
【0073】
(パワーモジュールを適用した応用例)
次に、
図19を参照して、実施の形態に係るパワーモジュール20を用いて構成した3相交流インバータ40について説明する。
【0074】
図19に示すように、3相交流インバータ40は、ゲートドライブ部50と、ゲートドライブ部50に接続されたパワーモジュール部52と、3相交流モータ部54とを備える。パワーモジュール部52は、3相交流モータ部54のU相、V相、W相に対応して、U相、V相、W相のインバータが接続されている。ここで、ゲートドライブ部50は、
図19では、SiC MOSFETQ1・Q4に接続されているが、図示は省略するが、同様に、SiC MOSFETQ2・Q5、およびSiC MOSFETQ3・Q6にも接続されている。
【0075】
パワーモジュール部52は、蓄電池(E)46の接続されたコンバータ48が接続されたプラス端子(+)とマイナス端子(−)間に、インバータ構成のSiC MOSFETQ1・Q4、Q2・Q5、およびQ3・Q6が接続されている。さらに、SiC MOSFETQ1〜Q6のソース・ドレイン間には、ダイオードD1〜D6がそれぞれ逆並列に接続されている。
【0076】
実施の形態に係るパワーモジュール20では、
図19のU相部分に対応する単相インバータの構造について説明されていたが、V相、W相に対応しても同様に形成して、3相パワーモジュール部52を形成することもできる。
【0077】
本実施の形態に係るパワーモジュールは、ワンインワン、ツーインワン、フォーインワンもしくはシックスインワン型のいずれにも形成可能である。
【0078】
以上説明したように、本発明によれば、冷却性能が向上し、信頼性の向上したパワーモジュールおよびその製造方法を提供することができる。
【0079】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0080】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。例えば、
図5や
図11では、リードフレーム1,5の間にも軟質絶縁層7bを形成しているが、軟質絶縁層7bは、リードフレーム1,5の間には形成せず、リードフレーム1,5(硬質絶縁層7a)の下面のみに形成するようにしてもかまわない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るパワーモジュールは、IGBTモジュール、ダイオードモジュール、MOSモジュール(Si、SiC、GaN)等の半導体モジュールに利用することができる。また、ケース型モジュールでDBC(Direct Copper Bond)等の絶縁基板を使用しない構造に利用することも可能である。
【符号の説明】
【0082】
1,5…金属層(リードフレーム)
3…半導体チップ
6…モールド樹脂
7a…硬質絶縁層
7b…軟質絶縁層
10…冷却体(ヒートシンク)
11…溝
20…パワーモジュール
【手続補正書】
【提出日】2018年3月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に、少なくとも一箇所の曲げ部を有するように形成された第1リードフレームと、
前記第1絶縁層上に、少なくとも一箇所の曲げ部を有するように形成された第2リードフレームと、
前記第1絶縁層と前記第1リードフレームの間および前記第1絶縁層と前記第2リードフレームの間に挟まれるように形成された第2絶縁層と、
前記第1リードフレーム上に配置された半導体チップと、
前記半導体チップを覆い、前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを部分的に露出させるように形成されたモールド樹脂と
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
平面視において、前記第1リードフレームの曲げ部および前記第2リードフレームの曲げ部は、それぞれ、前記モールド樹脂の外周周辺に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2絶縁層の側面と前記第1リードフレームの側面および前記第2絶縁層の側面と前記第2リードフレームの側面がそれぞれ面一となるように形成された開口部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記モールド樹脂が前記開口部に充填されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
平面視において、前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームは、前記モールド樹脂から、それぞれ対向する方向に延びていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
断面視において、前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームは、同じ厚さであることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
平面視において、前記半導体チップは、前記第1リードフレームの中央寄り部分に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁層は、樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2絶縁層は、樹脂であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、同じ樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、異なる樹脂であることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1絶縁層は、前記第2絶縁層より軟らかいことを特徴とする請求項9に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1絶縁層の厚さは、約0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2絶縁層の厚さは、約0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1絶縁層の熱伝導率は、約1〜20W/mKであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項16】
断面視において、前記半導体チップと前記第1リードフレームの主面とを接合する金属接合部と、
前記第1リードフレームの裏面に形成された複数の凹部と、
前記複数の凹部とそれぞれかみ合うように前記第2絶縁層の主面に形成された複数の凸部と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記金属接合部は、はんだであることを特徴とする請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
断面視において、前記金属接合部および前記第1リードフレームの主面の接合部分を上面として前記第1リードフレームの裏面に向かって幅広となるような等脚台形状の熱伝導領域が形成されていることを特徴とする請求項16に記載の半導体装置。
【請求項19】
断面視において、前記熱伝導領域と前記第1リードフレームの裏面のなす角は、45°以下であることを特徴とする請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
断面視において、前記複数の凹部および前記複数の凸部は、前記熱伝導領域に形成されていないことを特徴とする請求項19に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記第2絶縁層は、前記モールド樹脂の一部であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記半導体チップは、
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に形成された制御電極と、
前記制御電極と接続されないように前記半導体基板上に形成された出力電極と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記半導体基板は、第1導電型を有し、
前記半導体チップは、
前記半導体基板の表面付近に第2導電型を有するように形成された第1不純物領域と、
第1導電型を有し、前記第1不純物領域に含まれるように形成された第2不純物領域と
をさらに備えることを特徴とする請求項22に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記第1導電型はn型であり、前記第2導電型はp型であることを特徴とする請求項23に記載の半導体装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、
半導体装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の目的は、冷却性能が向上し、信頼性の向上した
半導体装置を提供することにある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一態様によれば、
第1絶縁層と、前記
第1絶縁層上に
、少なくとも一箇所の曲げ部を有するように形成された第1リードフレームと、
前記第1絶縁層上に、少なくとも一箇所の曲げ部を有するように形成された第2リードフレームと、前記第1絶縁層と前記第1リードフレームの間および前記第1絶縁層と前記第2リードフレームの間に挟まれるように形成された第2絶縁層と、前記
第1リードフレーム上に配置された半導体チップと
、前記半導体チップを覆い、前記第1リードフレームおよび前記第2リードフレームを部分的に露出させるように形成されたモールド樹脂とを
備える半導体装置が提供される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明によれば、冷却性能が向上し、信頼性の向上した
半導体装置を提供することができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0078
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0078】
以上説明したように、本発明によれば、冷却性能が向上し、信頼性の向上した
半導体装置を提供することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
本発明に係る
半導体装置は、IGBTモジュール、ダイオードモジュール、MOSモジュール(Si、SiC、GaN)等の半導体モジュールに利用することができる。また、ケース型モジュールでDBC(Direct Copper Bond)等の絶縁基板を使用しない構造に利用することも可能である。