【課題】重合収率が高いとともに、容易に入手可能な材料を用いることができ、かつ、ポリマー構造の設計自由度が高い、工業的な製造プロセスに適した星形ポリマーの製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるモノマーを含む第1のモノマー成分を、ヨウ化物イオンを生成しうる化合物が存在する条件下で重合し、リビングラジカル重合しうる基を枝末端に持った分岐構造を有するコアポリマーを得る工程1と、コアポリマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーを含む第2のモノマー成分を、ヨウ化物イオンを生成しうる化合物が存在する条件下で重合して複数のアーム部を有する星形ポリマーを得る工程2と、を有する星形ポリマーの製造方法である。
前記第1のモノマー成分及び前記第2のモノマー成分を、それぞれ、有機アミンがさらに存在する条件下で重合する請求項1〜3のいずれか一項に記載の星形ポリマーの製造方法。
前記コアポリマーが、水酸基、酸性基、アミノ基、第四級アンモニウム塩基、芳香族環基、炭素数8〜18のアルキル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有するメタクリル酸系モノマーに由来する構成単位を含む請求項5〜7のいずれか一項に記載の星形ポリマー。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<星形ポリマーの製造方法>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明の星形ポリマーの製造方法は、コアポリマーを得る工程1と、星形ポリマーを得る工程2と、を有する。工程1は、下記一般式(1)で表されるモノマーを含む第1のモノマー成分を、ヨウ化物イオンを生成しうる化合物が存在する条件下で重合し、リビングラジカル重合しうる基を枝末端に持った分岐構造を有するコアポリマーを得る工程である。そして、工程2は、得られたコアポリマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーを含む第2のモノマー成分を、ヨウ化物イオンを生成しうる化合物が存在する条件下で重合し、コアポリマー、及びコアポリマーの枝末端に結合した、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する構成単位を含む複数のアーム部を有する星形ポリマーを得る工程である。
【0015】
(前記一般式(1)中、Yは任意の有機基を示す)
【0016】
(工程1)
一般式(1)で表されるモノマーは、ラジカル重合しうる不飽和結合と、ラジカル重合(好ましくはリビングラジカル重合)しうる、臭素原子が結合した3級炭素原子を持った重合開始基とをその分子構造中に有するモノマーである。
【0017】
重合開始基中の臭素原子は、従来公知の方法で臭素ラジカルとして脱離する。また、臭素ラジカルの脱離とともに、3級炭素原子のラジカル(炭素ラジカル)が生成する。そして、生成した炭素ラジカルに、モノマーのラジカル重合しうる不飽和結合が反応する。臭素原子を臭素ラジカルとして脱離させる方法としては、金属錯体の金属イオンの酸化還元反応を利用する原子移動ラジカル重合法や、塩基等を作用させる方法などがある。重合開始基中の臭素原子が臭素ラジカルとして脱離した後は、モノマーが挿入されて重合する場合もある。但し、系内にはヨウ化物イオンを生成しうる化合物が存在する。このため、臭素原子とヨウ素原子がハロゲン交換して、ヨウ素原子が3級炭素原子に結合した後、酸化還元反応や塩基の作用でヨウ素原子がヨウ素ラジカルとして脱離する場合もある。
【0018】
一般式(1)で表されるモノマーは、例えば下記式で表されるように、対応するモノマー(a)と酸成分(b)との反応生成物である。
【0020】
モノマー(a)は、水酸基を有するメタクリレートである。一般式(a)中のZは、任意の有機基を示す。また、一般式(b)中のXは、水酸基、ハロゲン原子、又は有機カルボン酸無水物の残基を示す。
【0021】
モノマー(a)としては、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、ポリ(n=2以上)エチレングリコールモノメタクリレート、ポリ(n=2以上)プロピレングリコールモノメタクリレート、ポリ(n=2以上)ポリブチレングリコールモノメタクリレート、ポリ(n=2以上)エチレンプロピレングリコールモノメタクリレート、メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシ−1−クロロプロパン、メタクリロイロキシジヒドロキシプロパンなどを挙げることができる。さらには、上記の水酸基を有するメタクリレートと、乳酸などのヒドロキシカルボン酸、ε−カプロラクトンなどの環状エステルとの反応生成物;上記の水酸基を有するメタクリレートと、多塩基酸(例えば、コハク酸やフタル酸)とを反応させたモノメタクリレート化合物;上記の水酸基を有するメタクリレートと、ジオールとを反応させた水酸基を有するエステル系メタクリレートなどを挙げることができる。なお、一般式(a)中のZ及び一般式(1)中のYでそれぞれ表される任意の有機基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、ブチレン、メチルプロピレン、ヘキシレン、ポリ(n=2以上)オキシアルキレン(炭素数2〜4)などを挙げることができる。
【0022】
酸成分(b)としては、イソブロモ酪酸、イソブロモ酪酸ブロマイド、イソブロモ酪酸無水物などを挙げることができる。一般式(1)で表されるモノマーは、メタクリル酸グリシジルや3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどと、上記の酸成分(b)とを反応させて得ることもできる。さらに、酸成分(b)にジオールを反応させた後、メタクリル酸、メタクリル酸クロライド、メタクリル酸無水物などを反応させても、一般式(1)で表されるモノマーを得ることができる。
【0023】
工程1では、一般式(1)で表されるモノマーを含む第1のモノマー成分を、ヨウ化物イオンを生成しうる化合物が存在する条件下、必要に応じて加温して重合する。これにより、リビングラジカル重合しうる基を枝末端に持った分岐構造を有するコアポリマーを得ることができる。ヨウ化物イオンを生成しうる化合物(ヨウ素化合物)としては、ヨウ化金属塩、第四級アンモニウムアイオダイド塩、第四級ホスホニウムアイオダイド塩、第四級アンモニウムトリヨージド塩などを用いることができる。ヨウ化金属塩としては、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウムなどを挙げることができる。第四級アンモニウムアイオダイド塩としては、テトラメチルアンモニウムアイオダイド、テトラエチルアンモニウムアイオダイド、テトラブチルアンモニウムアイオダイドなどを挙げることができる。第四級ホスホニウムアイオダイド塩としては、テトラブチルホスホニウムアイオダイド、トリブチルメチルホスホニウムアイオダイド、トリフェニルメチルホスホニウムアイオダイドなどを挙げることができる。第四級アンモニウムトリヨージド塩としては、トリブチルメチルアンモニウムトリヨージドなどを挙げることができる。
【0024】
第1のモノマー成分は、メタクリル酸系モノマーをさらに含むことが好ましい。メタクリル酸系モノマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−メチルプロパンメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメチルメタクリレート、イソボロニルメタクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロデシルメタクリレート、シクロデシルメチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、t−ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アリルメタクリレートなどの脂肪族、脂環族、及び芳香族アルキルメタクリレートなどを挙げることができる。
【0025】
さらに、メタクリル酸系モノマーとして、水酸基を含有するモノマー、グリコール基を有するモノマー、酸基(カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するモノマー、酸素原子を含有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、窒素原子を含有するモノマー、ポリエステル系モノメタクリル酸エステル、エステル系メタクリレート、多官能水酸基化合物のモノメタクリレート、ハロゲン原子含有メタクリレート、ケイ素原子含有モノマー、紫外線吸収基を有するモノマー、α位水酸基メチル置換アクリレート類、2個以上の付加重合性基を有するモノマーなどを用いることができる。
【0026】
次に、工程1によりコアポリマーが形成される過程について、一般式(1)で表されるモノマー(以下、便宜上「開始基モノマー」とも記す)とともに、必要に応じて用いられるメタクリル酸系モノマー(以下、便宜上「構成モノマー」とも記す)を用いた場合を例に挙げて説明する。下記式に示すように、まず、一般式(1)で表される化合物の重合開始基から、ハロゲン原子W(臭素原子又はヨウ素原子)がハロゲンラジカルとして脱離する。ハロゲンラジカルの脱離とともに炭素ラジカルが発生し、開始基モノマーの不飽和結合又は構成モノマーの不飽和結合と反応する。発生した炭素ラジカルが開始基モノマーの不飽和結合と反応すると、2つの重合開始基を有するモノマー(中間体)が形成される。また、発生した炭素ラジカルが構成モノマーの不飽和結合と反応すると、ポリマー鎖が伸長した開始基モノマー(中間体)が形成される。このような反応の繰り返しによって、ポリマー鎖が伸長するとともに、分岐した枝末端(重合開始基)の数が増加する。その結果、リビングラジカル重合しうる基を枝末端に持った分岐構造を有するコアポリマー(A)が形成される。
【0028】
コアポリマー中の一般式(1)で表されるモノマーに由来する構成単位の含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。コアポリマー中の一般式(1)で表されるモノマーに由来する構成単位の含有量が5質量%未満であると、分岐数が少ない場合があり、十分に分岐した星形構造が形成されにくくなることがある。一方、50質量%超であると、分岐数が多すぎる場合があり、粒子化しやすくなることがある。
【0029】
一般式(1)で表されるモノマーに対する、ヨウ化物イオンを生成しうる化合物の使用量は特に限定されない。具体的には、一般式(1)で表されるモノマー中の重合開始基に対し、ヨウ化物イオンを生成しうる化合物を0.1〜2倍モル用いることが好ましい。
【0030】
重合反応は、有機溶媒の存在下で行う溶液重合することが好ましい。有機溶媒としては、ヘキサン、オクタン、デカン、イソデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジプロピリングリコールジメチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルトリエチレングリコール、メチルジプロピレングリコール、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのグリコール系溶剤;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルシクロプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶剤;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセトフェノンなどのケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、カプロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル、琥珀酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルなどのエステル系溶剤;クロロホルム、ジクロロエタンなどのハロゲン化溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、カプロラクタムなどのアミド系溶剤の他、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラメチル尿素、ジメチルイミダゾリジノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジメチルなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
有機溶媒中の第1のモノマー成分の量は、10〜70質量%とすることが好ましく、30〜60質量%とすることがさらに好ましい。なお、ヨウ化物イオンを溶解すべく、極性の高い有機溶媒を用いることが好ましい。なかでも、アルコール系有機溶剤、グリコール系有機溶剤、アミド系有機溶剤、尿素系有機溶剤を用いることが好ましい。
【0032】
第1のモノマー成分は、室温以上の温度条件下で重合すればよい。但し、室温前後の温度で重合する場合、重合時間が長くなることがある。このため、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上、特に好ましくは70℃以上に加温して重合することが好ましい。
【0033】
有機アミンの存在下で第1のモノマー成分を重合することが好ましい。有機アミンの存在下で重合することで、重合速度や重合収率を向上させることができる。有機アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルブチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ドデシルジメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、N−メチルモルホリン、ピリジンなどの第3級の有機アミンを用いることが好ましい。
【0034】
ラジカル発生剤を併用してもよい。ラジカル発生剤としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリルなどの油性のアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルラウリン酸過エステルなどの油性の過酸化物などを挙げることができる。
【0035】
重合反応後は、揮発分を除去して固形物を取り出してもよく、そのままの状態で次工程に用いてもよい。また、反応液を貧溶剤にあけてコアポリマーを析出させた後、ろ過及び乾燥して粉末状態で取り出してもよい。但し、可能な限り、一般式(1)で表されるモノマーを除去しておくことが好ましい。具体的には、一般式(1)で表されるモノマーの含有量を5質量%未満としておくことが好ましく、1質量%未満としておくことがさらに好ましい。一般式(1)のモノマーが多量に存在していると、次工程(工程2)においてアーム部が形成されにくくなる場合がある。
【0036】
(工程2)
工程2では、工程1で得たコアポリマー及び(メタ)アクリル酸系モノマーを含む第2のモノマー成分を、ヨウ化物イオンを生成しうる化合物が存在する条件下で重合する。(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−メチルプロパン(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロデシルメチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、t−ブチルベンゾトリアゾールフェニルエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの脂肪族、脂環族、及び芳香族アルキル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
【0037】
さらに、(メタ)アクリル酸系モノマーとして、水酸基を含有するモノマー、グリコール基を有するモノマー、酸基(カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するモノマー、酸素原子を含有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、窒素原子を含有するモノマー、ポリエステル系モノ(メタ)アクリル酸エステル、エステル系(メタ)アクリレート、多官能水酸基化合物のモノ(メタ)アクリレート、ハロゲン原子含有(メタ)アクリレート、ケイ素原子含有モノマー、紫外線吸収基を有するモノマー、α位水酸基メチル置換(メタ)アリレート類、2個以上の付加重合性基を有するモノマーなどを用いることができる。
【0038】
ヨウ化物イオンを生成しうる化合物(ヨウ素化合物)としては、工程1で用いたものと同様のものを用いることができる。工程1で用いるヨウ素化合物と、工程2で用いるヨウ素化合物は、同一の化合物であっても異なる化合物であってもよい。
【0039】
また、有機アミンの存在下で第2のモノマー成分を重合することが好ましい。有機アミンの存在下で重合することで、重合速度や重合収率を向上させることができる。有機アミンとしては、工程1で用いたものと同様のものを用いることができる。工程1で用いる有機アミンと、工程2で用いる有機アミンは、同一の化合物であっても異なる化合物であってもよい。
【0040】
下記式に示すように、第2のモノマー成分を、工程1の重合反応条件と同様の反応条件下で重合することで、コアポリマー(A)、及びコアポリマー(A)の枝末端に結合した、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する構成単位を含む複数のアーム部を有する星形ポリマー(X)を形成することができる。コアポリマー(A)の枝末端には、ハロゲン原子W(臭素原子又はヨウ素原子)で封鎖された、リビングラジカル重合しうる基が存在する。ハロゲンラジカルの脱離とともに炭素ラジカルが発生し、(メタ)アクリル酸系モノマーが挿入される。脱離したハロゲンラジカルがアーム部の伸長末端に戻って安定化させた後、ハロゲンラジカルが再度脱離して炭素ラジカルが発生する。さらに(メタ)アクリル酸系モノマーが挿入される、といった反応が繰り返されることでアーム部が形成され、星形ポリマー(X)を得ることができる。なお、下記式中のR
1は水素原子又はメチル基を示し、R
2は任意の有機基を示す。
【0042】
<星形ポリマー>
本発明の星形ポリマーは、上述の星形ポリマー製造方法によって製造することができる。すなわち、本発明の星形ポリマーは、コアポリマーと、このコアポリマーの枝末端に結合した、(メタ)アクリル酸系モノマーに由来する構成単位を含む複数のアーム部とを有する。
【0043】
星形ポリマー中のコアポリマーの含有量は、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。
コアポリマーの含有量が50質量%超であると、アーム部の性能が発揮されにくいとともに、コアポリマーの性質が顕在化しすぎて粒子形状になりやすくなることがある。
【0044】
星形ポリマー中のコアポリマーの含有量が50質量%以下、すなわち、直鎖状のポリマーであるアーム部の含有量が50質量%超であると、このアーム部は有機溶媒に溶解しうる。「有機溶媒に溶解」とは、有機溶媒に星形ポリマーを添加した場合に、濁りや析出が生ずることなく、ほとんど透明な状態になることをいう。なお、有機溶媒としては、アーム部を構成するポリマー組成を変更することで、星形ポリマーの有機溶媒に対する溶解性を適宜設計することができる。このため、星形ポリマーを溶解しうる有機溶媒の種類を一概に特定することは困難である。但し、アーム部を構成するポリマー組成を設計することで、前述の種類の有機溶媒に星形ポリマーを溶解させることができる。すなわち、有機溶媒に溶解しうるアーム部を所定以上含有する星形ポリマーを有機溶媒に添加すると、ほとんど透明な状態とする(実質的に溶解させる)ことができる。
【0045】
また、アーム部は膜を形成しうる直鎖状のポリマーであることから、アーム部を所定以上含有する星形ポリマーは塗膜形成成分として用いることもできる。さらに、コアポリマーを構成する第1のモノマー成分にアミノ基を有するモノマーなどの顔料吸着性モノマーを用いることで、星形ポリマーを顔料分散剤として用いることができる。但し、顔料吸着性モノマーに由来する構成単位の含有量が多すぎると、分散性が低下することがある。
【0046】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるコアポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量は、1,000〜20,000であることが好ましく、5,000〜15,000であることがさらに好ましい。コアポリマーの数平均分子量が1,000未満であると、コアポリマーの性質が発揮されにくくなるとともに、分岐度が少なくなる傾向にある。一方、コアポリマーの数平均分子量が20,000超であると、コアポリマーが大きすぎるために粒子化しやすくなるとともに、重合中にゲル化しやすくなることがある。
【0047】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定される星形ポリマーのポリスチレン換算の数平均分子量は、10,000〜1,000,000であることが好ましく、12,000〜500,000であることがさらに好ましい。星形ポリマーの数平均分子量が10,000未満であると、ポリマー分子としての大きさがやや不足することがある。一方、星形ポリマーの数平均分子量が1,000,000超であると、重合中に粘度が上昇しやすく、撹拌が困難になる場合がある。
【0048】
本発明の星形ポリマーの用途としては、塗膜形成成分となるバインダー、粘度調整剤、レオロジー制御剤、顔料分散剤などのフィラー分散剤、減粘剤、すべり剤、撥水剤、撥油剤、高機能性表面処理剤、離型剤、相溶化剤、耐衝撃改良剤、剛性改良剤、強化剤、DDS(ドラッグデリバリーシステム)の担体、屈折率調整剤、紫外線吸収剤などを挙げることができる。なお、水性、油性を問わず、塗料、インキ、文具、化粧品、テキスタイル、コーティング剤、電子材料、表示材料、光デバイス材料、光学記録材料、樹脂添加剤、自動車部品材料などに添加して用いることができる。
【0049】
本発明の星形ポリマーは、フィラー分散剤として特に有用である。例えば、各種のフィラーに吸着しうる基を有する構成単位を含むコアポリマーと、分散媒体に親和しうるアーム部とを有するポリマー構成とすることで、分散性、分散安定性、発色性、透明性、沈降安定性、沈降回復性などのフィラーの諸性質を改良することが可能なフィラー分散剤とすることができる。
【0050】
本発明の星形ポリマーをフィラー分散剤として使用する場合には、コアポリマーが、水酸基、酸性基、アミノ基、第四級アンモニウム塩基、芳香族環基、炭素数8〜18のアルキル基、及びアルコキシシリル基からなる群より選択される少なくとも一種の基を有するメタクリル酸系モノマーに由来する構成単位を含むように構成することが好ましい。水酸基や酸性基は、水素結合によりフィラーに吸着する。さらに、酸性基は、フィラーの構造中に塩基性基が存在する場合、又はフィラーが塩基性基を有する誘導体で処理されたものである場合、イオン結合によりフィラーに吸着する。第四級アンモニウム塩基は、フィラーの構造中にスルホン酸基等が存在する場合、イオン結合によりフィラーに吸着する。なお、第四級アンモニウム塩は非極性溶媒に溶解しにくいことがあるため、分散媒体に対するコアポリマーの非親和性を利用した吸着作用によりフィラーに吸着する場合もある。芳香族環基は、π−πスタッキングにてフィラーに吸着する。さらに、芳香族環基や炭素数8〜18のアルキル基は、疎水性相互作用によりフィラーに吸着する。アルコキシシリル基は、フィラー表面の水酸基との脱水縮合によって形成される共有結合により、フィラーに吸着する。
【0051】
アーム部は、分散媒体と相溶して親和するポリマー組成となるように構成すればよい。各種有機溶媒、紫外線硬化インクなどに用いられるモノマーやオリゴマー、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂を分散媒体とする場合には、これらの分散媒体と親和するポリマー組成を選択すればよい。一方、水系の溶媒を分散媒体とする場合には、酸性基又はアミノ基を有するポリマー組成、又はポリエチレングリコール基などのグリコール鎖を有するポリマー組成とすることによって、水系の溶媒に溶解させることができる。
【0052】
<フィラー分散体>
本発明のフィラー分散体は、分散媒体と、フィラーと、分散媒体中にフィラーを分散させるフィラー分散剤とを含有する。そして、フィラー分散剤が、上述の星形ポリマーである。フィラーは、特定の機能や耐久性等の特性を発揮させるために分散媒体に分散させて用いられる充填剤又は添加剤である。フィラーとしては、微細であるとともに難分散性であることが知られている、有機顔料、無機顔料、カーボンナノチューブ、ナノセルロースを用いることができる。これらのフィラーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
有機顔料としては、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料等の染料レーキ顔料;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを挙げることができる。無機顔料としては、カーボンブラック、体質顔料、酸化チタン系顔料、酸化鉄系顔料、スピネル顔料、複合金属酸化物、クレーなどの天然鉱物や磁性体材料などを挙げることができる。
【0054】
カーボンナノチューブとしては、シングルウォールナノチューブ、ダブルウォールナノチューブ、及びマルチウォールナノチューブのいずれであっても用いることができる。シングルウォールナノチューブとしては、外径0.47nm〜100nm、長さ0.5〜500μm、純度50〜100%などのものがある。マルチウォールナノチューブ及びダブルウォールナノチューブとしては、外径1〜100μm、内径0.1〜95μm、長さ0.5〜500μm、純度50〜100%などのものがある。
【0055】
ナノセルロースは、植物原料であるセルロース繊維を含む材料(木材パルプ等)をナノレベルのサイズにまで解繊処理したものである。ナノセルロースとしては、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)などがある。
【0056】
セルロースナノファイバーは、セルロース繊維を含む材料の水懸濁液又はスラリーを機械的解繊等の処理を施して得られる、繊維幅4〜200nm程度、繊維長5μm程度以上の繊維である。セルロースナノファイバーの比表面積は、通常70〜300m
2/g、好ましくは70〜250m
2/g、さらに好ましくは100〜200m
2/gである。繊維径(平均値)は、通常4〜200nm、好ましくは4〜150nm、さらに好ましくは4〜100nmである。
【0057】
セルロースナノクリスタルは、セルロース繊維を酸加水分解等の化学的処理を施して得られる、結晶幅4〜70nm程度、結晶長25〜3000nm程度の結晶である。セルロースナノクリスタルの比表面積は、通常90〜900m
2/g、好ましくは100〜500m
2/g、さらに好ましくは100〜300m
2/gである。結晶幅(平均値)は、通常10〜50nm、好ましくは10〜30nm、さらに好ましくは10〜20nmである。結晶長(平均値)は、通常500nm程度、好ましくは100〜500nm、特に好ましくは100〜200nmである。
【0058】
分散媒体は、液体及び固体のいずれであってもよい。液体の分散媒体としては、水、有機溶媒、モノマー成分、イオン液体、液状ポリマーなどを挙げることができる。また、固体の分散媒体としては、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、スチレンブタジエン樹脂、スチレンブタジエンスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などの熱可塑性樹脂;メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂などを挙げることができる。
【0059】
フィラー分散剤としての星形ポリマー、フィラー、及び分散媒体を使用し、従来公知の方法にしたがって混合及び分散させることで、フィラー分散体を得ることができる。例えば、液体状のフィラー分散体を製造する場合には、例えば、混練機、超音波分散機、高圧ホモジナイザー、ビーズメディアを利用する分散機などを使用することができる。また、固体状のフィラー分散体を製造する場合には、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ニーダールーダー、単軸押出機、多軸押出機などを使用することができる。
【0060】
フィラー分散体に含有させる各成分の量(組成比)については特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。また、フィラー分散剤の量は、フィラーの形状、粒子径、及び吸着性等の特性に応じて適宜設定することができる。一例を挙げると、フィラー100質量部に対して、フィラー分散剤を3〜100質量部含有させることが好ましく、5〜50質量部含有させることがさらに好ましい。
【0061】
フィラー分散体には、従来公知の機能性材料をさらに含有させることができる。機能性材料としては、耐久性向上剤(紫外線吸収剤、抗酸化剤、光安定剤など)、剥離剤、剥離性向上剤、抗菌剤、防黴剤、可塑剤、帯電防止剤、乾燥防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、遠赤外線吸収剤、熱線反射剤、難溶性無機塩などを挙げることができる。
【0062】
液体状のフィラー分散体は、例えば、塗料、インク、コーティング剤、接着剤、文具の着色剤や添加剤などとして用いることができる。また、液体状のフィラー分散体のうち、水性の顔料分散体は、水性塗料、水性グラビアインク、インクジェットインク、水性文具用インク、水性コーティング剤、水性接着剤等の着色剤として用いることができる。さらに、液体状のフィラー分散体のうち、油性の分散体は、塗料、グラビアインキ、油性文具、コーティング材、接着剤として用いることができる。また、固体状のフィラー分散体は、例えば、各種容器、フィルム、シート、ブリスター、パイプ、ホース、チューブ、ビーズ、繊維、自動車部品、電気機器部品、文具、おもちゃ、家具、日用品などの成形品の構成材料として用いることができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0064】
<星形ポリマーの製造(1)>
(実施例1)
撹拌機、逆流コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を取り付けた2Lのセパラブルフラスコ(反応容器)に、有機溶剤(アミド系溶剤、商品名「エクアミドM100」、出光興産社製、以下「M100」と記す)400部、2−(2−ブロモイソブチリロキシ)エチルメタクリレート(BEMA)20部、メタクリル酸メチル(MMA)180部、及びトリブチルアンモニウムアイオダイド(TBAI)29.1部を入れ、撹拌して75℃に加温した。TBAIが溶解して均一になった後、トリエチルアミン(TEA)1.4部を添加し、75℃で7時間重合してコアポリマー溶液を得た。サンプリングして測定した固形分(35.9%)に基づき算出した重合率は、約100%であった。また、テトラヒドロフラン(THF)を展開溶媒とするGPCにて測定したコアポリマーの数平均分子量(Mn)は16,100であり、分散度(PDI)は1.59であった。
【0065】
10Lビーカーにメタノール5,000部を入れ、ディスパーを使用して1,500rpmで撹拌しながらコアポリマー溶液を添加し、コアポリマーを析出させてポリマースラリーを得た。得られたポリマースラリーをろ過した後、メタノール及び水で洗浄した。70℃の乾燥機で24時間乾燥させて、コアポリマーCP−1を得た。
【0066】
前述の反応容器と同様の反応容器に、M100 600部、及びコアポリマーCP−1 40部を入れ、80℃に加温してコアポリマーCP−1を溶解させた。TBAI7.3部を添加して溶解させた後、MMA360部及びTEA0.4部をさらに添加し、80℃で6時間重合して星形ポリマーS−1の溶液を得た。固形分は39.8%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定した星形ポリマーS−1のMnは35,000であり、PDIは1.61であった。分子量が増大するとともに、コアポリマーCP−1のピークが消失したことから、コアポリマーCP−1の枝末端からポリマーが伸長していること(コアポリマーCP−1の枝末端にアーム部が結合していること)がわかる。
【0067】
(実施例2)
実施例1で使用した反応容器と同様の反応容器に、M100 400部、BEMA40部、MMA160部、及びTBAI58.2部を入れ、撹拌して75℃に加温した。TBAIが溶解して均一になった後、TEA2.8部を添加し、75℃で7時間重合してコアポリマー溶液を得た。固形分は38.6%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定したコアポリマーのMnは7,500であり、PDIは1.54であった。
【0068】
10Lビーカーにメタノール5,000部を入れ、ディスパーを使用して1,500rpmで撹拌しながらコアポリマー溶液を添加し、コアポリマーを析出させてポリマースラリーを得た。得られたポリマースラリーをろ過した後、メタノール及び水で洗浄した。70℃の乾燥機で24時間乾燥させて、コアポリマーCP−2を得た。
【0069】
前述の反応容器と同様の反応容器に、M100 600部、及びコアポリマーCP−2 40部を入れ、80℃に加温してコアポリマーCP−2を溶解させた。TBAI14.6部を添加して溶解させた後、MMA360部及びTEA0.8部をさらに添加し、80℃で6時間重合して星形ポリマーS−2の溶液を得た。固形分は39.9%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定した星形ポリマーS−2のMnは15,300であり、PDIは1.59であった。分子量が増大するとともに、コアポリマーCP−2のピークが消失したことから、コアポリマーCP−2の枝末端からポリマーが伸長していること(コアポリマーCP−2の枝末端にアーム部が結合していること)がわかる。
【0070】
(実施例3)
実施例1で使用した反応容器と同様の反応容器に、M100 600部、及び実施例1で得たコアポリマーCP−1 40部を入れ、80℃に加温してコアポリマーCP−1を溶解させた。TBAI7.3部を添加して溶解させた後、メタクリル酸ベンジル(BzMA)360部及びTEA0.4部をさらに添加し、80℃で6時間重合して星形ポリマーS−3の溶液を得た。固形分は39.8%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定した星形ポリマーS−3のMnは38,000であり、PDIは1.63であった。分子量が増大するとともに、コアポリマーCP−1のピークが消失したことから、コアポリマーCP−1の枝末端からポリマーが伸長していること(コアポリマーCP−1の枝末端にアーム部が結合していること)がわかる。
【0071】
(実施例4)
実施例1で使用した反応容器と同様の反応容器に、M100 600部、及び実施例1で得たコアポリマーCP−1 40部を入れ、80℃に加温してコアポリマーCP−1を溶解させた。TBAI21.9部を添加して溶解させた後、MMA280部及びTEA8.4部をさらに添加し、80℃で6時間重合して星形ポリマーS−4の溶液を得た。固形分は41.7%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定した星形ポリマーS−4のMnは25,300であり、PDIは1.58であった。分子量が増大するとともに、コアポリマーCP−1のピークが消失したことから、コアポリマーCP−1の枝末端からポリマーが伸長していること(コアポリマーCP−1の枝末端にアーム部が結合していること)がわかる。
【0072】
実施例1〜4で製造した星形ポリマーの組成及び物性を表1に示す。
【0073】
【0074】
<星形ポリマーの製造(2)>
(実施例5)
実施例1で使用した反応容器と同様の反応容器に、M100 400部、BzMA100部、BEMA40部、メタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)40部、MMA20部、及びTBAI58.2部を入れ、撹拌して75℃に加温した。TBAIが溶解して均一になった後、TEA2.8部を添加し、75℃で7時間重合してコアポリマー溶液を得た。固形分は39.1%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定したコアポリマーのMnは7,800であり、PDIは1.68であった。
【0075】
10Lビーカーにメタノール5,000部を入れ、ディスパーを使用して1,500rpmで撹拌しながらコアポリマー溶液を添加し、コアポリマーを析出させてポリマースラリーを得た。得られたポリマースラリーをろ過した後、メタノール及び水で洗浄した。70℃の乾燥機で24時間乾燥させて、コアポリマーCP−3を得た。
【0076】
前述の反応容器と同様の反応容器に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)600部、及びコアポリマーCP−3 120部を入れ、80℃に加温してコアポリマーCP−3を溶解させた。TBAI43.8部を添加して溶解させた後、BzMA200部、メタクリル酸(MAA)80部、及びTEA2.4部をさらに添加し、80℃で6時間重合して星形ポリマーS−5の溶液を得た。固形分は41.5%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定した星形ポリマーS−5のMnは17,700であり、PDIは1.75であった。分子量が増大するとともに、コアポリマーCP−3のピークが消失したことから、コアポリマーCP−3の枝末端からポリマーが伸長していること(コアポリマーCP−3の枝末端にアーム部が結合していること)がわかる。次いで、28%アンモニア水15.5部及びイオン交換水289.8部を星形ポリマーS−5の溶液に添加して中和し、星形ポリマーS−5の透明な水溶液(固形分:30.4%)を得た。
【0077】
(実施例6)
実施例1で使用した反応容器と同様の反応容器に、M100 400部、BEMA40部、BzMA110部、MAA50部、及びTBAI58.2部を入れ、撹拌して75℃に加温した。TBAIが溶解して均一になった後、TEA2.8部を添加し、75℃で7時間重合してコアポリマー溶液を得た。固形分は39.2%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定したコアポリマーのMnは7,200であり、PDIは1.68であった。
【0078】
10Lビーカーにメタノール5,000部を入れ、ディスパーを使用して1,500rpmで撹拌しながらコアポリマー溶液を添加し、コアポリマーを析出させてポリマースラリーを得た。得られたポリマースラリーをろ過した後、メタノール及び水で洗浄した。70℃の乾燥機で24時間乾燥させて、コアポリマーCP−4を得た。
【0079】
前述の反応容器と同様の反応容器に、M100 600部、及びコアポリマーCP−4 120部を入れ、80℃に加温してコアポリマーCP−4を溶解させた。TBAI43.8部を添加して溶解させた後、MMA80部、メタクリル酸ブチル(BMA)160部、メタクリル酸2−エチルヘキシル(EHMA)40部、及びTEA2.4部をさらに添加し、80℃で6時間重合して星形ポリマーS−6の溶液を得た。固形分は40.1%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定した星形ポリマーS−6のMnは18,400であり、PDIは1.85であった。分子量が増大するとともに、コアポリマーCP−4のピークが消失したことから、コアポリマーCP−4の枝末端からポリマーが伸長していること(コアポリマーCP−4の枝末端にアーム部が結合していること)がわかる。エタノール/トルエンを溶媒とした0.1N KOHエタノール溶液を用い、フェノールフタレインを指示薬とする滴定にて測定した星形ポリマーS−6の酸価は46.5mgKOH/gであった。
【0080】
(実施例7)
実施例1で使用した反応容器と同様の反応容器に、M100 400部、BEMA40部、BzMA110部、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル(DMAEMA)50部、及びTBAI58.2部を入れ、撹拌して75℃に加温した。TBAIが溶解して均一になった後、TEA2.8部を添加し、75℃で7時間重合してコアポリマー溶液を得た。固形分は39.4%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定したコアポリマーのMnは7,300であり、PDIは1.65であった。
【0081】
10Lビーカーにメタノール5,000部を入れ、ディスパーを使用して1,500rpmで撹拌しながらコアポリマー溶液を添加し、コアポリマーを析出させてポリマースラリーを得た。得られたポリマースラリーをろ過した後、メタノール及び水で洗浄した。70℃の乾燥機で24時間乾燥させて、コアポリマーCP−5を得た。
【0082】
前述の反応容器と同様の反応容器に、BDG600部、及びコアポリマーCP−5 120部を入れ、80℃に加温してコアポリマーCP−5を溶解させた。TBAI43.8部を添加して溶解させた後、MMA80部、BMA160部、EHMA40部、及びTEA2.4部をさらに添加し、80℃で6時間重合して星形ポリマーS−7の溶液を得た。固形分は40.0%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定した星形ポリマーS−7のMnは17,900であり、PDIは1.81であった。分子量が増大するとともに、コアポリマーCP−5のピークが消失したことから、コアポリマーCP−5の枝末端からポリマーが伸長していること(コアポリマーCP−5の枝末端にアーム部が結合していること)がわかる。2−プロパノール/トルエンを溶媒とした0.1N塩酸2−プロパノール溶液を用い、ブロモクレゾールグリーンを指示薬とする滴定にて測定した星形ポリマーS−7のアミン価は25.8mgKOH/gであった。
【0083】
(実施例8)
実施例1で使用した反応容器と同様の反応容器に、M100 400部、BEMA40部、HEMA160部、及びTBAI58.2部を入れ、撹拌して75℃に加温した。TBAIが溶解して均一になった後、TEA2.8部を添加し、75℃で7時間重合してコアポリマー溶液を得た。固形分は36.0%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定したコアポリマーのMnは7,000であり、PDIは1.63であった。
【0084】
10Lビーカーにメタノール5,000部を入れ、ディスパーを使用して1,500rpmで撹拌しながらコアポリマー溶液を添加し、コアポリマーを析出させてポリマースラリーを得た。得られたポリマースラリーをろ過した後、メタノール及び水で洗浄した。70℃の乾燥機で24時間乾燥させて、コアポリマーCP−6を得た。
【0085】
前述の反応容器と同様の反応容器に、BDG600部、及びコアポリマーCP−6 40部を入れ、80℃に加温してコアポリマーCP−6を溶解させた。TBAI14.6部を添加して溶解させた後、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル(日立化成社製:FA−512M、以下、FA512Mと略記)360部、及びTEA0.8部をさらに添加し、80℃で6時間重合して星形ポリマーS−8の溶液を得た。固形分は40.4%であり、重合率は約100%であった。また、GPCにて測定した星形ポリマーS−8のMnは19,500であり、PDIは1.88であった。分子量が増大するとともに、コアポリマーCP−6のピークが消失したことから、コアポリマーCP−6の枝末端からポリマーが伸長していること(コアポリマーCP−6の枝末端にアーム部が結合していること)がわかる。
【0086】
実施例5〜8で製造した星形ポリマーの組成及び物性を表2に示す。
【0087】
【0088】
<応用例1:水性顔料インクへの応用>
(a)黄色水性顔料分散液の調製
実施例5で得た星形ポリマーS−5の水溶液345.4部、BDG105部、及びイオン交換水599.6部を混合して青白半透明の溶液を得た。得られた溶液にアゾ系黄色顔料(PY−74、商品名「セイカファーストイエロー2016G」、大日精化工業社製)350部を添加し、ディスパーを使用して30分撹拌してミルベースを調製した。横型媒体分散機(商品名「ダイノミル0.6リットルECM型」、シンマルエンタープライゼス社製、ジルコニア製ビーズ:径0.5mm)を使用し、調製したミルベースを周速10m/sで分散処理して顔料を十分に分散させた後、水544.4部を添加して顔料濃度を18%とした。分散機から取り出したミルベースを遠心分離処理(7,500回転、20分間)した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過した後、水で希釈して、顔料濃度14%の黄色水性顔料分散液を得た。
【0089】
得られた黄色水性顔料分散液中の顔料の数平均粒子径は121nmであり、顔料が微分散されていることを確認した。分散液中の顔料の数平均粒子径は、粒度測定器「NICOMP 380ZLS−S」(インターナショナル・ビジネス社製)を使用して測定した。また、黄色水性顔料分散液の粘度は3.2mPa・sであり、pHは8.8であった。分散液の粘度は、E型粘度計を使用して測定した。70℃で一週間保存後の黄色水性顔料分散液中の顔料の数平均粒子径は120nmであり、黄色水性顔料分散液は粘度3.1mPa・sであった。これにより、黄色水性顔料分散液の保存安定性が非常に良好であることがわかる。
【0090】
(b)黄色水性顔料インクの調製
表3に示す配合にしたがって各成分を混合するとともに、十分撹拌した後、ポアサイズ10μmのメンブレンフィルターでろ過して、インクジェット用の黄色水性顔料インクを調製した。
【0091】
【0092】
(c)黄色水性顔料インクの吐出性評価
調製した黄色水性顔料インクをカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ(商品名「EM930C」、セイコーエプソン社製)に装着した。このインクジェットプリンタを使用し、専用写真用光沢紙(PGPP)、ゼロックス紙(4024、米国ゼロックス社製)、及び専用フォトマット紙にフォト720dpiの印刷モードでそれぞれ印刷した。その結果、調製した黄色水性顔料インクをインクジェットのノズルから問題なく吐出可能であることを確認した。
【0093】
<応用例2:紫外線硬化型顔料インクへの応用>
(a)白色顔料分散液の調製
実施例6で得た星形ポリマーS−6の水溶液24.9部、イソボルニルアクリレート66.7部、及び酸化チタン(商品名「JR−405」、テイカ社製、数平均粒子径240nm)100部を混合し、ディゾルバーを使用して2時間撹拌した。顔料(酸化チタン)の塊がなくなったことを確認した後、横型メディア分散機を使用して分散処理し、白色顔料分散液を得た。得られた白色顔料分散液を10μmのフィルター及び5μmのフィルターに通した。この際、フィルターの「つまり」はまったく生じなかった。得られた白色顔料分散液中の顔料の数平均粒子径は223nmであった。また、白色顔料分散液の粘度は10.2mPa・sであった。
【0094】
(b)白色顔料分散液の沈降性評価
得られた白色顔料分散液を遮光したガラス瓶に入れ、60℃に設定された恒温槽内に1ヶ月放置した。放置後の白色顔料分散液中の顔料の数平均粒子径は201nmであり、白色顔料分散液の粘度は10.1mPa・sであった。また、上澄みはまったく生じていなかった。すなわち、保存による物性の変化は認められず、高度な分散安定性が保持されていることを確認した。なお、若干粘稠な沈降物が観察されたが、振とうしたところ、元の白色顔料分散液の状態へと戻った。沈降物の数平均粒子径は204nmであったが、再度分散して良好な分散状態に戻ることを確認した。
【0095】
(c)紫外線硬化型顔料インクの調製
表4に示す配合にしたがって各成分を混合するとともに、十分撹拌した後、ポアサイズ10μmのメンブレンフィルター及びポアサイズ5μmのメンブレンフィルターで順次ろ過して、インクジェット用の紫外線硬化型白色顔料インクを調製した。得られたインク中の顔料の数平均粒子径は176nmであり、インクの粘度は5.7mPa・sであった。得られたインクを褐色サンプル瓶に入れ、60℃に設定された恒温槽内に1ヶ月放置した。放置後のインク中の顔料の数平均粒子径は177nmであり、インクの粘度は5.7mPa・sであった。また、上澄み及び沈降物は確認されなかった。以上より、紫外線硬化型白色顔料インクの保存安定性も良好であることがわかった。
【0096】
【0097】
(d)紫外線硬化型顔料インクの吐出性評価
調製した紫外線硬化型白色顔料インクをカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ(商品名「EB100」、コニカミノルタ社製)に装填した。このインクジェットプリンタを使用し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに1時間連続してベタ画像を印刷した。その結果、ヘッドのつまりがなくスムーズに印刷することができるとともに、ベタ画像に筋やよれなどがまったく生ずることがなく、良好な吐出安定性を示すことを確認した。
【0098】
<応用例3:カラーフィルター(CF)用顔料インクへの応用>
(a)緑色顔料分散液の調製
実施例7で得た星形ポリマーS−7の水溶液150部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)416.7部、及びピグメントグリーン58(商品名「FASTOGEN GREEN A110」、DIC社製)100部を混合し、ディゾルバーを使用して2時間撹拌した。顔料(ピグメントグリーン58)の塊がなくなったことを確認した後、横型メディア分散機を使用して分散処理し、顔料分散液を得た。得られた顔料分散液を10μmのフィルター及び5μmのフィルターで順次ろ過して緑色顔料分散液を得た。なお、フィルターの「つまり」は全く生じなかった。得られた緑色顔料分散液の顔料濃度は15%であった。また、緑色顔料分散液中の顔料の数平均粒子径は30nmであり、緑色顔料分散液の粘度は5.8mPa・sであった。
【0099】
(b)CF用緑色顔料インクの調製
表5に示す配合にしたがって各成分を混合するとともに、十分撹拌して、CF用緑色顔料インクを調製した。表5中の「感光性アクリル樹脂ワニス」は、BzMA/MAA共重合物にメタクリル酸グリシジルを反応させて得られたアクリル樹脂を含むワニスである。このアクリル樹脂のMnは6,000であり、PDIは2.38であり、酸価は110mgKOH/gであった。
【0100】
【0101】
(c)緑色ガラス基板の作製
シランカップリング剤で処理したガラス基板をスピンコーターにセットした。調製したCF用緑色顔料インクをガラス基板上に300rpmで5秒間の条件でスピンコートした後、80℃で10分間プリベークした。次いで、超高圧水銀灯を使用して100mJ/cm
2の光量で露光して、緑色ガラス基板を作製した。作製した緑色ガラス基板(カラーガラス基板)は、優れた分光カーブ特性を有するとともに、耐光性や耐熱性等の堅牢性に優れていた。また、このカラーガラス基板は、光透過性やコントラスト比等の光学特性にも優れていた。
【0102】
<応用例4:カーボンナノチューブ(CNT)水性分散液への応用>
(a)CNT水性分散液の調製
CNT(平均径:10nm、平均長:1.5μm、MWNTを使用)、水とBDGの混合溶液(水:BDG=75:25)、分散剤としてS−5を用いたCNT水性分散液の作成を実施した。200mLのポリカップに、CNT(平均径:10nm、平均長:1.5μm、MWNTを使用)2.0部、イオン交換水70.1部、BDG23.4部、及び実施例5で得た星形ポリマーS−5の水溶液(樹脂固形分:30.4%)6.6部を入れた。なお、星形ポリマーS−5の量は、CNTに対する質量比率で100%となる量とした。この段階では、CNTは湿潤していたがポリカップの底に沈んでおり、上部は透明であった。ポリカップに撹拌子を入れてマグネチックスターラーで撹拌した後、出力1200Hzの超音波分散機を使用して超音波を60分間照射した。超音波を照射したことで液は均一に黒くなり、CNTの凝集状態が解れた状態となった。その後、遠心分離処理して、十分に分散しきれなかったCNTを沈降分離(除去)してCNT水性分散液を得た。
【0103】
(b)CNT水性分散液の物性評価
吸光度を測定可能な濃度となるようにCNT水性分散液を希釈して測定用試料を調製した。一方、分光光度計を使用してCNTの濃度既知のサンプルの吸光度を測定して検量線を作成した。そして、調製した測定用試料の吸光度を測定するとともに、作成した検量線からCNT濃度(実測値;%)を算出した。また、CNT水性分散液を1ヶ月静置した後の状態を目視にて確認した。結果を表6に示す。
【0104】
【0105】
表6に示すように、実施例で製造した星形ポリマーを用いることで、長期間静置しても凝集物が生ずることなく安定してCNTが分散した、高濃度のCNT水性分散液を得ることができた。
【0106】
<応用例5:セルロースナノファイバー(CNF)分散樹脂組成物への応用>
(a)CNFの調製
針葉樹漂白クラフトパルプ(リファイナー処理済み、固形分25%)600部に水19,400部を添加して、パルプスラリー濃度0.75%の水懸濁液(スラリー)を調製した。ビーズミルを用いて、調製したスラリーについて機械的解繊処理を行った。フィルタープレスで脱水して、含水状態のCNF−1(固形分:25%)570部を得た。
【0107】
(b)CNF分散樹脂組成物の調製
実施例8で得た星形ポリマーS−8の水溶液24.8部をDMDG25部に溶解させた。カチオン性界面活性剤(オレイルアミン酢酸塩)0.2部を添加した後、均一に撹拌しながらイオン交換水50部を滴下して、水性分散処理剤100部を得た。得られた水性分散処理剤中の星形ポリマーS−8の濃度は10%であった。
CNF−1(固形分:25%)40部に水性分散処理剤100部を添加し、十分に混合して、易分散性セルロース組成物(CNS−1)を得た。
【0108】
得られたCNS−1 40部に、微粒子状ポリエチレン(商品名「フロービーズHE3040」、住友精化社製、以下「PE」と記す)80部をイオン交換水50部で湿潤させた状態のものを添加して混合物を得た。得られた混合物をろ過及び乾燥して、水及びDMDGを除去した。これにより、星形ポリマーS−8で処理されたCNF−1と、PEとの混合組成物であるCNF分散樹脂組成物95部を得た。
【0109】
(c)CNF分散樹脂組成物の評価
混練温度140℃の条件でCNF分散樹脂組成物を二軸押出混練し、ストランド状に吐出した。冷却後、ペレタイザーでカッティングして、CNF−1が分散したPE樹脂ペレットを得た。得られたPE樹脂ペレットを射出成型し、ダンベル片(ダンベル厚:2mm)を作製した。作製したダンベル片を評価用サンプルとし、引張試験機(商品名「万能試験機5900」シリーズ、インストロン社製)を使用して、10mm/minの引張速度で引張試験を実施して引張弾性率及び引張強度を測定した。その結果、実施例で製造した星形ポリマーをフィラー分散剤として用いて製造したCNF分散樹脂組成物は、機械的特性に優れているとともに、CNFがPE中に高分散されていることがわかった。