【解決手段】流体圧シリンダ10Aのロッド組立体17Aは、ロッド部材20と、ロッド部材20の外周部に装着され、摺動孔13に沿って摺動するパッキン34とを備える。これにより、従来用いられていた硬質のピストンを廃止したため、簡単に組み立てることができる。この組立ては、専用工具を用いることなく手作業で簡単に行うことができる。従って、本発明のロッド組立体によれば、組立作業を簡素化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るロッド組立体及び流体圧装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0021】
流体圧装置の一例として
図1に示す流体圧シリンダ10Aは、中空筒状のシリンダチューブ12(ボディ)と、シリンダチューブ12の一端部に配置されたヘッドカバー14と、シリンダチューブ12の他端部に配置されたロッドカバー16と、シリンダチューブ12の軸方向に沿って往復移動可能に配置されたロッド組立体17Aとを備える。この流体圧シリンダ10Aは、例えばワークの搬送等のためのアクチュエータとして用いられる。
【0022】
シリンダチューブ12は、例えば、アルミニウム合金等の金属材料により構成され、軸方向に沿って延在した筒体からなる。本実施形態では、シリンダチューブ12は、中空円筒形に形成されている。シリンダチューブ12は、軸方向の一端側(矢印X2方向側)に設けられた第1ポート12aと、軸方向の他端側(矢印X1方向側)に設けられた第2ポート12bと、第1ポート12a及び第2ポート12bに連通する摺動孔13(シリンダ室)とを有する。
【0023】
ヘッドカバー14は、例えば、シリンダチューブ12と同様の金属材料により構成された板状体であり、シリンダチューブ12の一端部(X2方向側の端部)を閉塞するように設けられている。ヘッドカバー14により、シリンダチューブ12の一端部が気密に閉じられている。
【0024】
ロッドカバー16は、例えば、シリンダチューブ12と同様の金属材料により構成された円形リング状の部材であり、シリンダチューブ12の他端部(X1方向側の端部)を閉塞するように設けられている。ロッドカバー16の外周部には外側環状溝24が形成されている。外側環状溝24には、ロッドカバー16の外周面と摺動孔13の内周面との間をシールする弾性材料からなる外側シール部材26が装着されている。
【0025】
ロッドカバー16の内周部には内側環状溝28が形成されている。内側環状溝28には、ロッドカバー16の内周面とロッド部材20の外周面との間をシールする弾性材料からなる内側シール部材30が装着されている。なお、ロッドカバー16は、シリンダチューブ12の他端側の内周部に固定されたストッパ32により係止されている。
【0026】
ロッド組立体17Aは、摺動孔13の軸方向に沿って延在するロッド部材20と、ロッド部材20の外周部に装着されたパッキン34とを有する。ロッド部材20は、中空状(第1実施形態では中空円筒状)に形成されており、軸方向に貫通した中空部21を有する。
【0027】
ロッド部材20はロッドカバー16を貫通している。ロッド部材20の一端部20a(以下、「基端部20a」という)と反対側の端部である先端部20bは、摺動孔13の外部に露出している。ロッド部材20の構成材料としては、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属材料や、硬質樹脂等が挙げられる。
【0028】
パッキン34は、シリンダチューブ12内(摺動孔13)に軸方向に摺動可能に収容され、摺動孔13内を第1ポート12a側の第1圧力室13aと第2ポート12b側の第2圧力室13bとに仕切っている。本実施形態において、パッキン34は、ロッド部材20の基端部20aに装着されている。
【0029】
パッキン34は、ロッド部材20から径方向外側に突出した環状の部材である。パッキン34の外径は、ロッド部材20の外径よりも大きい。ロッド部材20の基端部20a近傍の外周部には、環状のストッパ装着溝50及び環状のマグネット装着溝49が軸方向に間隔を置いて設けられている。
【0030】
パッキン34は、ロッド部材20の外周部に装着された弾性体からなる円環状シール部材(例えば、Oリング)であり、ロッド部材20を囲むように配置されている。パッキン34の構成材料としては、例えば、ゴム材やエラストマー材等の弾性材料(ウレタンゴム等)が挙げられる。
【0031】
パッキン34の外周面は、その全周に亘って、摺動孔13の内周面と気密又は液密に密着している。パッキン34の内周面は、その全周に亘って、ロッド部材20の外周部(外周面)と気密又は液密に密着している。このため、パッキン34によって、摺動孔13内の第1圧力室13aと第2圧力室13bが気密又は液密に仕切られている。
【0032】
このように、ロッド組立体17Aでは、ロッド部材20の外周部にパッキン34が装着され、当該パッキン34が、第1圧力室13aと第2圧力室13bとを気密又は液密に仕切っているため、一般的な流体圧シリンダと異なり、硬質材料により構成されたピストン部材が設けられていないピストンレスの構成となっている。あるいは、ロッド組立体17Aでは、パッキン34がピストン機能を担っているということもできる。
【0033】
また、パッキン34は、ロッドカバー16側のストロークエンド到達時の衝撃を緩和するダンパ(第1のダンパ)を兼ねている。
【0034】
パッキン34は、ストッパ部材52を覆って、当該ストッパ部材52に装着されている。ストッパ部材52は、円環状に形成され、ロッド部材20のストッパ装着溝50に装着されている。
【0035】
パッキン34は、ストッパ部材52のロッドカバー16側(矢印X1方向側)を覆うパッキン本体部34aと、ストッパ部材52の外周部を覆う外周被覆部34bとを有し、断面L字状に形成されている。外周被覆部34bは、パッキン本体部34aの外周部から軸方向に突出している。
【0036】
図2に示すように、ストッパ部材52は、周方向に分割された複数のストッパ要素52aにより構成される。各ストッパ要素52aは、弧状に形成されている。第1実施形態では、ストッパ部材52は、半割り構造となっており、2つの半円弧状のストッパ要素52aからなる。
図1において、ストッパ部材52の内周部(ストッパ要素52aの内周部)が、ストッパ装着溝50に挿入されている。ストッパ部材52は、硬質材料、例えば、上述したロッド部材20と同様の材料により構成される。
【0037】
外周被覆部34bがストッパ部材52の外周部に装着されている。これにより、パッキン34は、ストッパ部材52によって支持されている。また、ストッパ部材52にパッキン34が装着されることで、ストッパ部材52は、ストッパ装着溝50から離脱することが阻止されている。
【0038】
外周被覆部34bの内周部には、環状係合溝35が設けられている。ストッパ部材52の外周部は、外周被覆部34bの環状係合溝35に係合している。ロッド組立体17Aが摺動孔13内に配置された状態で、外周被覆部34bは、摺動孔13を形成する内周面によって径方向内側に押圧される。このため、環状係合溝35を有する外周被覆部34bは、ストッパ部材52の外周部から離脱することが防止される。
【0039】
ロッド部材20とパッキン34とは、パッキン34の軸a1を中心に相対回転可能である。
【0040】
ロッド組立体17Aの組立工程において、ロッド部材20へのストッパ部材52及びパッキン34の装着は、次のように実施する。まず、環状のストッパ部材52を形成するように、ロッド部材20のストッパ装着溝50に2つのストッパ要素52aを個別に装着する(嵌め込む)。次に、ロッド部材20の先端部20b側から基端部20a側に向かってパッキン34を移動させて、パッキン34をストッパ部材52(2つのストッパ要素52a)に被せる。これにより、ストッパ部材52がストッパ装着溝50から離脱することが阻止されるとともに、ロッド部材20の外周部の所定位置にパッキン34が保持される。
【0041】
マグネット48は、円形リング状の部材であり、ロッド部材20の外周部(マグネット装着溝49)に装着されている。マグネット48は、弾性変形可能に構成されている。マグネット48は、プラスチックマグネットであり、周方向の一部にスリット54(切れ目)が設けられている。このため、マグネット48は、マグネット装着溝49への装着に際して弾性変形することにより容易に装着が可能である。
【0042】
マグネット48は、パッキン34に隣接した位置に配置されている。マグネット48のパッキン34側の端面は、パッキン34のマグネット48側の端面と接触している。なお、マグネット48のパッキン34側の端面は、パッキン34のマグネット48側の端面と非接触であってもよい。
【0043】
なお、シリンダチューブ12の外面には、パッキン34及びマグネット48のストローク両端に相当する位置に図示しない磁気センサが取り付けられている。マグネット48が発生する磁気を磁気センサによって感知することで、ロッド組立体17Aの動作位置が検出される。
【0044】
ロッド部材20の基端部20aには、ヘッドカバー14側のストロークエンド到達時の衝撃を緩和するダンパ部材40(第2のダンパ)が配置されている。ダンパ部材40は、ロッド部材20の基端部20aの内周部に装着されるとともに、ロッド部材20の基端部20a側の端面20cからヘッドカバー14側(矢印X2方向側)に突出している。第1実施形態において、ダンパ部材40は円形に形成されている。
【0045】
ダンパ部材40は、径方向外側に突出した環状(円環状)の鍔部40aが設けられている。鍔部40aは、ロッド部材20の基端部20aの内周部に設けられた環状係合凹部58と係合している。鍔部40aと環状係合凹部58との係合により、ダンパ部材40がロッド部材20の基端部20aから離脱することが防止されている。
【0046】
ロッド部材20の基端部20aの内周部には段差部60が設けられている。支持部材62が段差部60に配置されている。支持部材62は、円形状の板状部材であり、段差部60とダンパ部材40との間に保持されている。支持部材62は、ダンパ部材40を支持し、圧力流体から受ける圧力によってダンパ部材40が撓むことを防止する。このため、支持部材62は、ダンパ部材40よりも硬質に構成されている。支持部材62は、硬質材料、例えば、上述したロッド部材20と同様の材料により構成される。
【0047】
図1において、ダンパ部材40の外周部は、全周に亘って、ロッド部材20の内周部と密着しており、これにより、ロッド部材20の基端部20a側の開口が気密又は液密に閉じられている。すなわち、ダンパ部材40は、ロッド部材20の中空部21を気密又は液密に閉塞するシール部材を兼ねている。
【0048】
次に、上記のように構成された
図1に示す流体圧シリンダ10Aの作用及び効果を説明する。流体圧シリンダ10Aは、第1ポート12a又は第2ポート12bを介して導入される圧力流体(例えば、圧縮空気)の作用によって、ロッド組立体17Aを軸方向に往復移動させる。
【0049】
具体的に、ロッド組立体17Aを前進させる(矢印X1方向に移動させる)には、第2ポート12bを大気開放状態とし、図示しない圧力流体供給源から第1ポート12aを介して圧力流体を第1圧力室13aへと供給する。そうすると、圧力流体によってロッド組立体17Aがロッドカバー16側へと押される。これにより、ロッド組立体17Aが前進動作する。
【0050】
そして、パッキン34がロッドカバー16の端面に当接することで、ロッド組立体17Aの前進動作が停止する。この場合、パッキン34が弾性材料で構成されているため、ロッド組立体17Aが前進位置(ロッドカバー16側のストロークエンド)へと到達することに伴う衝撃及び衝撃音の発生を効果的に防止又は抑制することができる。
【0051】
一方、ロッド組立体17Aを後退させる(矢印X2方向に移動させる)には、第1ポート12aを大気開放状態とし、図示しない圧力流体供給源から第2ポート12bを介して圧力流体を第2圧力室13bへと供給する。そうすると、圧力流体によってロッド組立体17Aがヘッドカバー14側へと押される。これにより、ロッド組立体17Aが後退動作(復帰動作)する。
【0052】
そして、ダンパ部材40がヘッドカバー14に当接することで、ロッド組立体17Aの後退動作が停止する。この場合、弾性材料で構成されたダンパ部材40により、ロッド部材20とヘッドカバー14とが直接当接することが回避される。これにより、ロッド組立体17Aが後退位置(ヘッドカバー14側のストロークエンド)へと到達することに伴う衝撃及び衝撃音の発生を効果的に防止又は抑制することができる。
【0053】
この場合、本実施形態に係るロッド組立体17Aでは、ロッド部材20の外周部にパッキン34が装着されているため、従来用いられていた硬質のピストン部材を廃止し、ロッド組立体17Aを簡単に組み立てることができる。この組立ては、専用工具を用いることなく手作業で簡単に行うことができる。従って、本発明のロッド組立体17Aによれば、組立作業を簡素化することができる。また、ロッド部材20の外径を大きくすることで、摺動孔13内での往復動作のうち少なくとも一方側への移動時(第1実施形態では、ヘッドカバー14側への移動時(後退時))の圧力流体(空気等)の消費量を削減することができる。
【0054】
本実施形態では、ロッド部材20の外周部には、周方向に延在するストッパ装着溝50が設けられ、ストッパ装着溝50には、周方向に複数に分割されたストッパ部材52が装着されている。そして、パッキン34はストッパ部材52を覆っており、これにより、パッキン34がストッパ部材52により支持されるとともにストッパ部材52がストッパ装着溝50から離脱することが阻止されている。この構成により、パッキン34をロッド部材20の外周部に簡単に装着できるとともに、装着状態を安定的に維持することができる。
【0055】
パッキン34は、一方(第1実施形態ではロッドカバー16側)のストロークエンド到達時の衝撃を緩和するダンパを兼ねる。このため、一方のストロークエンド到達時にロッド部材20に衝撃荷重が伝達されることを良好に阻止することができる。
【0056】
本実施形態では、ロッド部材20は中空状に形成されている。このため、ロッド組立体17Aの軽量化が図られる。そして、ロッド組立体17Aの軽量化により、圧力流体の消費量が削減され、省エネルギー化を図ることができる。
【0057】
本実施形態では、ロッド部材20及びパッキン34は、パッキン34の軸a1を中心に相対回転可能である。このため、設備への流体圧シリンダ10Aの据え付けの際に、ロッド部材20を容易に回転させることができ、便利である。また、ロッド部材20が回転可能である点は、後述する多角形のパッキン34Aを備えたロッド組立体17B(
図3)についても同様である。
【0058】
本実施形態では、ダンパ部材40は、ロッド部材20の中空部21を気密又は液密に閉塞するシール部材を兼ねている。このため、ダンパとシール部材とを別々の部品として設ける構成と比較して、部品点数の削減が図られる。
【0059】
本発明は、上述した円形のパッキン34に限らず、多角形のパッキン34Aにも適用可能である。従って、流体圧シリンダ10Aでは、円形のパッキン34を備えたロッド組立体17Aに代えて、
図3〜
図5に示す多角形のパッキン34Aを備えたロッド組立体17Bが採用されてもよい。
【0060】
図4及び
図5に示すように、ロッド組立体17Bのパッキン34Aは、外周部形状が八角形に形成されている。パッキン34Aの内周部形状は、円形に形成されている。
図5に示すように、パッキン34Aには、周方向に間隔を置いて複数のマグネット装着溝70が設けられている。具体的に、複数のマグネット装着溝70は、パッキン34Aの一方側の面に設けられるとともに、パッキン34Aの軸方向に深さを有する。1つのマグネット装着溝70にマグネット72が装着されている。マグネット72は、例えば、フェライト磁石、希土類磁石等である。
【0061】
ロッド組立体17Bの他の部分は、ロッド組立体17Aと同様に構成されている。
【0062】
ロッド組立体17Bによっても、専用工具を用いることなく手作業で簡単に組立てを行うことができる等、ロッド組立体17Aと同様の効果が得られる。
【0063】
上述したロッド組立体17A(
図1)では中空構造のロッド部材20が採用されているが、
図6A〜
図6Cに示すロッド組立体17C〜17Eのように、中実構造のロッド部材20A、20Bが採用されてもよい。
【0064】
図6Aのロッド組立体17Cは、ロッド組立体17A(
図1)のロッド部材20に代えて、中実構造に改変したロッド部材20Aを採用したものである。
【0065】
図6Bのロッド組立体17Dのパッキン34Aは、ロッド組立体17A(
図1)のパッキン34の外周被覆部34bを軸方向に延長して、マグネット48A(
図1に示したマグネット48よりも外径が小さく内径が大きいマグネット)を保持するマグネット保持部74を設けたものである。
【0066】
マグネット保持部74とロッド部材20Bの外周部との間にマグネット48Aが保持されている。マグネット保持部74の内周面には、マグネット保持用環状溝74aが形成されている。マグネット保持用環状溝74aにマグネット48Aの外周部が嵌合(係合)している。ロッド組立体17Dでは、外周部にマグネット装着溝が設けられていないロッド部材20Bが採用されている。
【0067】
図6Cのロッド組立体17Eのように、外周部にマグネット装着溝49が設けられたロッド部材20Aと、マグネット保持部74が設けられたパッキン34Aとを組み合わせてもよい。この場合、マグネット48B(
図1に示したマグネット48よりも外径が小さいマグネット)がマグネット保持部74とマグネット装着溝49との間に保持される。
【0068】
上述したロッド組立体17A(
図1)では、パッキン34から一方側のみに長く突出するロッド部材20が採用されているが、
図7A及び
図7Bに示すロッド組立体17F、17Gのように、パッキン34、34Bの両側に突出するロッド部材20C、20Dが採用されてもよい。
【0069】
図7Aに示すロッド組立体17Fは、外周部に2つのストッパ装着溝50及び1つのマグネット装着溝49が設けられた中空状のロッド部材20Cと、ロッド部材20Cの外周部に装着された2つのパッキン34とを備える。マグネット装着溝49は、2つのストッパ装着溝50間に設けられている。2つのストッパ装着溝50には、それぞれストッパ部材52が装着されている。2つのストッパ部材52にそれぞれパッキン34が取り付けられている。2つのパッキン34間にマグネット48が配置されている。
【0070】
図7Bに示すロッド組立体17Gでは、外周部にマグネット装着溝が設けられていない中空状のロッド部材20Dが採用されている。ロッド部材20Dの外周部には、パッキン34(
図7A)の外周被覆部34bを軸方向に延長した構成の外周被覆部34cを有するパッキン34Bが2つ装着されている。
【0071】
各パッキン34Bの外周被覆部34cは、マグネット保持用段部34dを有する。2つのパッキン34Bは、マグネット保持用段部34d間でマグネット48C(
図7Aに示したマグネット48よりも外径が小さく内径が大きいマグネット)を保持することでマグネット48Cの軸方向移動を規制しているとともに、外周被覆部34cでマグネット48Cの外周部を覆っている。
【0072】
図8A及び
図8Bに示すロッド組立体17H、17Iのように、パッキン34、34Bの両側に突出する中実構造のロッド部材20E、20Fが採用されてもよい。
【0073】
ロッド組立体17A(
図1)では、ロッド部材20の基端部20aにダンパ部材40が設けられているが、
図9Aに示すロッド組立体17Jのように、ロッド部材20の基端部20aにはダンパ部材が設けられなくてもよい。この場合、ロッド部材20の基端部20a側の開口は、シール部材76によって気密又は液密に閉じられる。
【0074】
ロッド組立体17A(
図1)においてマグネット48を省略し、
図9Bに示すロッド組立体17Kのように構成されてもよい。ロッド組立体17Kでは、外周部にマグネット装着溝が設けられていないロッド部材20Gが採用されている。
【0075】
図10Aに示すロッド組立体17Lのように、外周部に環状のウエアリング装着溝86が設けられたロッド部材20Hが採用され、ウエアリング装着溝86に低摩擦材からなるウエアリング88が装着されてもよい。ウエアリング88は、マグネット48の外周面が摺動孔13を形成する内周面に接触することを防止するための環状部材である。
【0076】
ウエアリング88は低摩擦材からなる。低摩擦材としては、例えば、四フッ化エチレン(PTFE)のような低摩擦性と耐摩耗性とを兼ね備えた合成樹脂材料や、金属材料(例えば、軸受鋼)等が挙げられる。
【0077】
図10Bに示すロッド組立体17Mのように、マグネット、ダンパ部材及びウエアリングが装着されないロッド部材20Iが採用されてもよい。
【0078】
図11Aに示すロッド組立体17Nのように、ロッド部材20の先端部には、ロッド先端部材90が装着されてもよい。
図11A及び
図11Bに示すように、ロッド先端部材90は、外周にネジ部90a(雄ネジ)が形成された軸部90bと、軸部90bの先端側に設けられたヘッド部90cとを有する。軸部90bとヘッド部90cは一体成形されている。ネジ部90aが、中空状のロッド部材20の先端内周部に螺合している。ヘッド部90cの外周部には、締付工具によって把持される多角形状の工具把持部90dが設けられている。この場合、ロッド部材20にも工具把持部が設けられている。
【0079】
ロッド先端部材90に代えて、
図11Cに示すロッド先端部材92がロッド部材20の先端部に装着されてもよい。ロッド先端部材92は、外周にネジ部92a(雄ネジ)が形成された軸部92bと、軸部92bの端部に設けられた多角形状の工具挿入穴92cとを有する。
【0080】
図12に示す流体圧シリンダ10Bは、中空筒状のシリンダチューブ102(ボディ)と、シリンダチューブ102の一端部に配置されたヘッドカバー104と、シリンダチューブ102の他端部に配置されたロッドカバー106とを備える。流体圧シリンダ10Bは、さらに、シリンダチューブ102に対して往復移動可能に配置されたロッド組立体17Oと、一方及び他方のストロークエンドにおける衝撃を緩和するクッション機構110とを備える。ロッド組立体17Oは、ロッド部材108と、ロッド部材108に装着されたパッキン34とを備える。
【0081】
シリンダチューブ102は、円筒体からなり、その内部にはヘッドカバー104及びロッドカバー106によって閉塞された摺動孔103(シリンダ室)が形成されている。
【0082】
ヘッドカバー104の第1段付き部112が、シリンダチューブ102の矢印X2方向側の端部に挿入されている。ヘッドカバー104には、第1中央空洞部116と、この第1中央空洞部116と連通した第1ポート118が形成されている。第1ポート118を介して、圧力流体の供給・排出が行われる。
【0083】
ロッドカバー106の第2段付き部120が、シリンダチューブ102の矢印X1方向側の端部に挿入されている。ロッドカバー106には、第2中央空洞部124と、この第2中央空洞部124と連通した第2ポート126が形成されている。第2ポート126を介して、圧力流体の供給・排出が行われる。ロッドカバー106の内周部にはリング状のブッシュ130及びパッキン132が配置されている。
【0084】
ロッド部材108の一端部(以下、「基端部108a」という)の外周部にパッキン34が装着されている。パッキン34は、後述する第1クッション部材140のヘッドカバー104側の端部に配置されている。パッキン34の外周面は、全周に亘って、摺動孔103を形成する内周面と接触している。パッキン34の内周面は、全周に亘って、第1クッション部材140の外周面に接触している。ロッド部材108の外周部には、ストッパ装着溝50及びマグネット装着溝49が設けられている。ストッパ装着溝50にストッパ部材52が装着されている。マグネット装着溝49にマグネット48が装着されている。
【0085】
ロッド部材108の基端部108aには、ダンパ部材40Aが装着されている。ダンパ部材40Aは、ダンパ部材40(
図1)を中空状に改変したものである。
【0086】
クッション機構110は、可動部(ロッド部材108)側に設けられた第1クッション部材140及び第2クッション部材142(クッションリング)と、固定部(ヘッドカバー104及びロッドカバー106)側に設けられた弾性部材からなるリング状の第1クッションシール144及び第2クッションシール146とを有する。
【0087】
第1クッション部材140は、ロッド部材108の矢印X2方向側の端部においてロッド部材108と同軸状に設けられている。具体的に、第1クッション部材140は、ロッド部材108よりも小径に形成されるとともに、支持部材62及びダンパ部材40Aから矢印X2方向に突出している。第1クッション部材140は、中空又は中実の円筒状に形成されている。第1クッション部材140の外径は、ダンパ部材40Aの外径よりも小さい。
【0088】
第1クッション部材140は、ロッド部材108と一体成形された部分であってもよく、あるいは、ロッド部材108と接合された別部品であってもよい。第1クッション部材140がロッド部材108と別部品の場合、第1クッション部材140は、例えば、溶接、接着、螺合等の接合手段によって、ロッド部材108と接合され得る。
【0089】
第1クッションシール144は、リング状の第1ホルダ148の内周部に保持されている。第1ホルダ148は、ヘッドカバー104の第1段付き部112の内周部に固定されている。第1ホルダ148の孔部148aに第1クッション部材140が挿入されていない状態では、摺動孔103と第1中央空洞部116は、孔部148aを介して連通している。第1ホルダ148の孔部148aに第1クッション部材140が挿入される際に、第1クッションシール144は、全周に亘って第1クッション部材140の外周面に摺接する。
【0090】
第2クッション部材142は、パッキン34に隣接して、ロッド部材108と同軸状に設けられている。第2クッション部材142は、ロッド部材108よりも大径且つパッキン34よりも小径に形成されたリング状の部材であり、ロッド部材108の外周面に、例えば、溶接、接着等により接合されている。
図12において、第2クッション部材142の外径は、ロッド部材108の外径よりも若干大きい程度である。
【0091】
第2クッションシール146は、リング状の第2ホルダ150の内周部に保持されている。第2ホルダ150は、ロッドカバー106の第2段付き部120の内周部に固定されている。第2ホルダ150の孔部150aに第2クッション部材142が挿入されていない状態では、摺動孔103と第2中央空洞部124は、孔部150aを介して連通している。第2ホルダ150の孔部150aに第2クッション部材142が挿入される際に、第2クッションシール146は、全周に亘って第2クッション部材142の外周面に摺接する。
【0092】
次に、上記のように構成された流体圧シリンダ10Bの作用を説明する。なお、以下の説明では、圧力流体としてエア(圧縮エア)を用いる場合を説明するが、エア以外の気体を用いてもよい。
【0093】
流体圧シリンダ10Bでは、第1ポート118又は第2ポート126を介して導入される圧力流体の作用によって、ロッド組立体17Oが摺動孔103に沿って軸方向に進退動作する。
【0094】
具体的に、ロッド組立体17Oが
図12に示す後退位置に位置している状態で、第2ポート126を大気開放状態とし、図示しない圧力流体供給源から第1ポート118及び第1中央空洞部116及び孔部148aを介して、エアを第1圧力室103aへと供給する。これにより、ロッド組立体17Oがロッドカバー106側へと変位(前進)する。この場合、第2圧力室103b内のエアは、第2ホルダ150の孔部150a及び第2中央空洞部124を介して、第2ポート126から排出される。
【0095】
そして、パッキン34が第2ホルダ150に当接することで、ロッド組立体17Oの前進動作が停止する。
【0096】
ロッド組立体17Oが前進位置へと近づく際、第2クッション部材142は第2ホルダ150の孔部150aに挿入される。これに伴い、第2クッションシール146の内周部が第2クッション部材142の外周面に接触して、この接触部分に気密シールが形成される。
【0097】
この結果、第2圧力室103bにエアクッションが形成される。第2圧力室103bのエアクッションは、ロッド組立体17Oの変位抵抗となることで、ロッドカバー106側のストロークエンド付近でロッド組立体17Oの変位を減速させる。従って、ロッド組立体17Oがストロークエンドに到達した際の衝撃が一層緩和される。なお、エアは、図示しない小さな孔部を介して第2ポート126へ少量ずつ排気される。
【0098】
一方、ロッド組立体17Oが前進位置(ロッドカバー106側のストロークエンド)に位置している状態で、第1ポート118を大気開放状態とし、図示しない圧力流体供給源から第2ポート126、第2中央空洞部124及び孔部150aを介して、エアを第2圧力室103bへと供給する。これにより、ロッド組立体17Oがヘッドカバー104側へと変位(後退)する。この場合、第1圧力室103a内のエアは、第1ホルダ148の孔部148a及び第1中央空洞部116を介して、第1ポート118から排出される。そして、ダンパ部材40Aが第1ホルダ148に当接することで、ロッド組立体17Oの後退動作が停止する。
【0099】
ロッド組立体17Oが後退位置へと近づく際、第1クッション部材140は第1ホルダ148の孔部148aに挿入される。これに伴い、第1クッションシール144の内周部が第1クッション部材140の外周面に接触して、この接触部分に気密シールが形成される。
【0100】
この結果、第1圧力室103aにエアクッションが形成される。第1圧力室103aのエアクッションは、ロッド組立体17Oがヘッドカバー104側に変位する際の変位抵抗となることで、ヘッドカバー104側のストロークエンド付近でロッド組立体17Oの変位を減速させる。従って、ロッド組立体17Oがストロークエンドに到達した際の衝撃が一層緩和される。
【0101】
図13Aに示す流体圧シリンダ10Cは、いわゆる単動型シリンダとして構成されている。具体的に、この流体圧シリンダ10Cは、流体圧シリンダ10A(
図1)において、パッキン34とロッドカバー16との間にスプリング154を配置したものである。この場合、第2ポート12bは大気開放されている。
【0102】
流体圧シリンダ10Cにおいて、第1ポート12aを介して第1圧力室13aに圧力流体を供給すると、圧力流体によってロッド組立体17Aがロッドカバー16側へと変位(前進)し、前進位置のストロークエンドへと到達する。そして、第1ポート12aへと圧力流体の供給を停止するとともに、第1ポート12aを大気開放すると、ロッド組立体17Aはスプリング154の弾性付勢力によってヘッドカバー14側へと変位(後退)し、後退位置のストロークエンドへと到達する。
【0103】
図13Bに示す流体圧シリンダ10Dも、いわゆる単動型シリンダとして構成されている。具体的に、この流体圧シリンダ10Dは、流体圧シリンダ10A(
図1)において、パッキン34とヘッドカバー14との間にスプリング154を配置したものである。この場合、第1ポート12aは大気開放されている。
【0104】
流体圧シリンダ10Dにおいて、第2ポート12bを介して第2圧力室13bに圧力流体を供給すると、圧力流体によってロッド組立体17Aがヘッドカバー14側へと変位(後退)し、後退位置のストロークエンドへと到達する。そして、第2ポート12bへの圧力流体の供給を停止するとともに、第2ポート12bを大気開放すると、ロッド組立体17Aはスプリング154の弾性付勢力によってロッドカバー16側へと変位(前進)し、前進位置のストロークエンドへと到達する。
【0105】
図13Cに示す流体圧シリンダ10Eも、いわゆる単動型シリンダとして構成されている。流体圧シリンダ10Eは、ロッド組立体17Pを備える。ロッド組立体17Pにおいて、ロッド部材20の基端部に装着されたダンパ部材40Bは、円環状に形成されている。
【0106】
ロッド部材20の先端部には、ロッド先端部材94が装着されている。ロッド先端部材94は、上述したロッド先端部材90(
図11B)又はロッド先端部材92(
図11C)と同様に構成されてよい。ロッド部材20の中空部にはスプリング156が挿入されている。スプリング156は、ロッド先端部材94とヘッドカバー14との間に配置されている。このように構成された流体圧シリンダ10Eは、上述した流体圧シリンダ10Dと同様に動作する。
【0107】
図14Aに示す流体圧シリンダ10Fのロッド組立体17Qは、内周面に雌ネジ部160が形成された中空状のロッド部材20Jと、ロッド部材20Jの外周部に装着されたパッキン34と、ロッド部材20Jに挿入されるとともにロッド部材20Jに螺合した調整ボルト162とを備える。調整ボルト162の外周部には、雌ネジ部160に螺合する雄ネジ部163が形成されている。調整ボルト162は、ロッド部材20Jから先端方向(矢印X1方向)に突出している。ロッド部材20Jよりも先端側で、調整ボルト162には調整ナット164が螺合している。ロッド部材20Jの基端部には、ダンパ部材40が装着されている。
【0108】
このように構成されたロッド組立体17Qによれば、ロッド部材20Jからヘッドカバー14側に突出する調整ボルト162の突出長さを調整することで、ロッド部材20Jのシリンダチューブ12内への引き込み量を調整することができる。
【0109】
図14Bに示す流体圧シリンダ10Gのロッド組立体17Rでは、上述した調整ボルト162(
図14A)よりも短い調整ボルト166が採用されている。調整ボルト166がロッド部材20Jよりもヘッドカバー14側に突出した状態では、調整ボルト166の先端部166aは、ロッド部材20Jの中空部内に位置する。調整ボルト166の先端部166aには雄ネジ部163が形成されておらず、当該先端部166aの外径は、雄ネジ部163が設けられた部分の外径よりも小さい。
【0110】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。例えば、本発明は、ピストンユニット及びシリンダチューブの断面形状が非円形(四角形状や、楕円形状等の長円形状等)の流体圧シリンダにも適用可能である(
図3のロッド組立体17Bはその一例である)。また、本発明は、複数のピストン及びピストンロッドを備えた多ロッド型(デュアルロッド型等)の流体圧シリンダにも適用可能である。
【0111】
また、本発明は、アクチュエータ等として用いられる流体圧シリンダに限らず、ピストンを有する他の形態の流体圧装置にも適用可能である。本発明を適用できるピストンを有する他の形態の流体圧装置としては、例えば、ピストンによって弁体を移動させて流路の切り換えをするバルブ装置、ピストンロッドを入力軸としてこれに連結されたピストンを変位させて測長を行う測長シリンダ、ピストンを変位させることによりピストンロッドを介してピストンと連結されたテーブルを変位させるスライドテーブル、ピストンを変位させこのピストン変位を変換することで開閉動作する把持部によってワークを把持するチャック装置、等が挙げられる。