【解決手段】流体圧シリンダ10Aは、ピストン組立体17Aを有する。ピストン組立体17Aのピストン本体38は、ピストン側係合部40を有する。ピストンロッド20は、ピストン側係合部40に係合したロッド側係合部42を有する。ピストン側係合部40とロッド側係合部42は、一方の係合部が他方の係合部に側方から挿入されることにより、ピストン本体38とピストンロッド20との軸方向の相対変位を規制するように係合している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るピストン組立体及び流体圧装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0025】
流体圧装置の一例として
図1に示す流体圧シリンダ10Aは、中空筒状のシリンダチューブ12(ボディ)と、シリンダチューブ12の一端部に配置されたヘッドカバー14と、シリンダチューブ12の他端部に配置されたロッドカバー16と、シリンダチューブ12の軸方向に沿って往復移動可能に配置されたピストン組立体17Aとを備える。
【0026】
ピストン組立体17Aは、シリンダチューブ12内に軸方向(矢印X方向)に移動可能に配置されたピストンユニット18と、ピストンユニット18に連結されたピストンロッド20とを有する。この流体圧シリンダ10Aは、例えばワークの搬送等のためのアクチュエータとして用いられる。
【0027】
シリンダチューブ12は、例えば、アルミニウム合金等の金属材料により構成され、軸方向に沿って延在した筒体からなる。本実施形態では、シリンダチューブ12は、中空円筒形に形成されている。シリンダチューブ12は、軸方向の一端側(矢印X2方向側)に設けられた第1ポート12aと、軸方向の他端側(矢印X1方向側)に設けられた第2ポート12bと、第1ポート12a及び第2ポート12bに連通する摺動孔13(シリンダ室)とを有する。
【0028】
ヘッドカバー14は、例えば、シリンダチューブ12と同様の金属材料により構成された板状体であり、シリンダチューブ12の一端部(矢印X2方向側の端部)を閉塞するように設けられている。ヘッドカバー14により、シリンダチューブ12の一端部が気密に閉じられている。
【0029】
ロッドカバー16は、例えば、シリンダチューブ12と同様の金属材料により構成された円形リング状の部材であり、シリンダチューブ12の他端部(矢印X1方向側の端部)を閉塞するように設けられている。ロッドカバー16の外周部には外側環状溝24が形成されている。外側環状溝24には、ロッドカバー16の外周面と摺動孔13の内周面との間をシールする弾性材料からなる外側シール部材26が装着されている。
【0030】
ロッドカバー16の内周部には内側環状溝28が形成されている。内側環状溝28には、ロッドカバー16の内周面とピストンロッド20の外周面との間をシールする弾性材料からなる内側シール部材30が装着されている。なお、ロッドカバー16は、シリンダチューブ12の他端側の内周部に固定されたストッパ32により係止されている。
【0031】
ピストンユニット18は、シリンダチューブ12内(摺動孔13)に軸方向に摺動可能に収容され、摺動孔13内を第1ポート12a側の第1圧力室13aと第2ポート12b側の第2圧力室13bとに仕切っている。本実施形態において、ピストンユニット18は、ピストンロッド20の一端部20a(以下、「基端部20a」という)に連結されている。
【0032】
図1に示すように、ピストンユニット18は、ピストンロッド20に接続されたピストン本体38と、ピストン本体38に取り付けられたパッキン34及びマグネット48とを有する。
【0033】
ピストン本体38は、ピストンロッド20の基端部20aから径方向外側に突出した環状の部材である。ピストン本体38の外径は、ピストンロッド20の外径よりも大きい。ピストン本体38の中心部には、軸方向に貫通した貫通孔38aが設けられている。ピストン本体38の外周部(以下、「ピストン外周部38b」という)には、環状のパッキン装着溝36及び環状のマグネット装着溝49が軸方向に間隔を置いて設けられている。
【0034】
ピストン本体38には、ピストンロッド20の後述するロッド側係合部42と係合するピストン側係合部40が設けられている。ピストン側係合部40は、側方に開口した形状を有する。
図3において、ピストン側係合部40は、貫通孔38aを囲む円盤状壁部38cから軸方向に突出するとともに、貫通孔38aを部分的に囲む半円弧状に形成されている。
【0035】
図1に示すように、ピストン側係合部40の内周部には係合溝44が設けられている。係合溝44は、ピストン側係合部40と同様に半円弧状に延在している。係合溝44に隣接して、内方に突出した内方突起45が設けられている。ピストン側係合部40(係合溝44)は、半円弧状に限らず、C字状又はU字状に形成されてもよい。
【0036】
ピストン本体38には、ピストン側係合部40を囲むとともにピストン本体38の軸方向に深さを有する肉抜き部46が設けられている。
図1及び
図3において、肉抜き部46は、ロッドカバー16側に開口する環状に形成されるとともに、ピストン側係合部40とマグネット装着溝49との間に設けられている。なお、肉抜き部46は、周方向に間隔を置いて設けられた複数の穴により構成されてもよい。肉抜き部46は設けられなくてもよい。
【0037】
図3において、マグネット装着溝49の底部を形成する周壁49aには、周方向に延びる孔部50が設けられている。孔部50は、ピストン側係合部40の側方開口に対向する位置に設けられ、周壁49aを厚さ方向に貫通している。周壁49aには、孔部50に連通する切欠部52が設けられている。切欠部52は、周壁49aの内周部を部分的に切り欠いた円弧形状を有する。詳細は後述するが、孔部50及び切欠部52は、ピストン本体38へのピストンロッド20の組み付け時に利用される。
【0038】
図1及び
図2において、ピストン本体38のヘッドカバー14側の面38dには、ピストンロッド20側に凹む肉抜き部53が設けられている。肉抜き部53は、環状に形成されるとともに、パッキン装着溝36と貫通孔38aとの間に設けられている。なお、肉抜き部53は、周方向に間隔を置いて設けられた複数の穴により構成されてもよい。肉抜き部53は設けられなくてもよい。
【0039】
ピストン本体38は、硬質樹脂により構成されている。例えば、射出成形により、樹脂製のピストン本体38を作製することができる。なお、ピストン本体38は、樹脂製に限らず、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属材料により構成されてもよい。
【0040】
パッキン34は、ピストン外周部38b(パッキン装着溝36)に装着された弾性体からなる円環状シール部材(例えば、Oリング)である。パッキン34の構成材料としては、ゴム材やエラストマー材等の弾性材料が挙げられる。パッキン34は、その全周に亘って、摺動孔13の内周面及びピストン外周部38b(パッキン装着溝36)と気密又は液密に密着している。パッキン34によりピストンユニット18の外周面と摺動孔13の内周面との間がシールされ、摺動孔13内の第1圧力室13aと第2圧力室13bが気密又は液密に仕切られている。
【0041】
マグネット48は、円形リング状の部材であり、ピストン外周部38b(マグネット装着溝49)に装着されている。マグネット48は、弾性変形可能に構成されている。マグネット48は、プラスチックマグネットであり、周方向の一部にスリット54(切れ目)が設けられている。このため、マグネット48は、マグネット装着溝49への装着に際して弾性変形することにより容易に装着が可能である。
【0042】
なお、シリンダチューブ12の外面には、ピストンユニット18のストローク両端に相当する位置に図示しない磁気センサが取り付けられている。マグネット48が発生する磁気を磁気センサによって感知することで、ピストンユニット18の動作位置が検出される。
【0043】
ピストンロッド20は、摺動孔13の軸方向に沿って延在する柱状(円柱状)の部材である。ピストンロッド20の基端部20aにピストン本体38が接続されている。ピストンロッド20の基端部20aには、ピストン側係合部40に係合したロッド側係合部42が設けられている。ピストン側係合部40とロッド側係合部42は、一方の係合部が他方の係合部に側方から挿入されることにより、ピストン本体38とピストンロッド20との軸方向の相対変位を規制するように係合している。
【0044】
ピストンロッド20の軸方向に沿った断面において、ロッド側係合部42は、T字状の形状を有する。具体的に、ロッド側係合部42は、係合溝44に挿入された環状の係合突起56を有する。係合突起56は、周方向に円環状に延在する。ピストンロッド20の外周部には、係合突起56に隣接して、周方向に円環状に延在する環状溝58が設けられている。
【0045】
図1に示すピストン組立体17Aの組立状態において、ロッド側係合部42の係合突起56がピストン側係合部40の係合溝44に挿入されており、ピストン側係合部40の内方突起45がロッド側係合部42の環状溝58に挿入されている。これにより、ピストン本体38とピストンロッド20とは軸方向の相対移動が阻止された状態で接続されている。従って、流体圧によるピストン本体38の推力は、ピストンロッド20に良好に伝達される。
【0046】
なお、ピストン側係合部40の構造とロッド側係合部42の構造を互いに置換してもよい。すなわち、ピストン側係合部40が、上記係合突起56を有する構造とされ、ロッド側係合部42が、上記係合溝44を有する構造とされてもよい。
【0047】
ピストン側係合部40及びロッド側係合部42は、ピストン本体38の軸a1を中心に相対回転可能に係合している。従って、ピストン本体38とピストンロッド20とは、ピストン本体38の軸a1を中心に相対回転可能である。
【0048】
ピストンロッド20はロッドカバー16を貫通している。ピストンロッド20の基端部20aと反対側の端部である先端部20bは、摺動孔13の外部に露出している。ピストンロッド20の構成材料としては、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属材料や、硬質樹脂等が挙げられる。
【0049】
ピストン組立体17Aは、ストロークエンド到達時の衝撃を緩和するダンパ機構60を備える。
図1〜
図3において、ダンパ機構60は、ピストンロッド20の外周部に配置された外周側ダンパ62と、ピストンロッド20の端面に配置された端部側ダンパ64とを有する。外周側ダンパ62及び端部側ダンパ64は、例えば、ゴム材やエラストマー材等の弾性材料(ウレタンゴム等)により構成されている。
【0050】
外周側ダンパ62は、ロッドカバー16側のストロークエンド到達時の衝撃を緩和する。外周側ダンパ62は、ピストン本体38よりもロッドカバー16側で、ピストン本体38の近傍箇所に配置されている。外周側ダンパ62は、円環状に形成されており、ピストンロッド20を囲むように配置されている。
【0051】
ピストンロッド20の外周部には、ピストン本体38の近傍箇所に、円環状のストッパ装着溝70が設けられている。ストッパ装着溝70に、円環状のストッパ部材72が装着されている。ストッパ部材72は、周方向に分割された複数のストッパ要素72aにより構成される。各ストッパ要素72aは、弧状に形成されている。
【0052】
図2及び
図3において、ストッパ部材72は、半割り構造となっており、2つの半円弧状のストッパ要素72aからなる。ストッパ部材72の内周部(ストッパ要素72aの内周部)が、ストッパ装着溝70に挿入されている。ストッパ部材72は、硬質材料、例えば、上述したピストンロッド20と同様の材料により構成される。
【0053】
外周側ダンパ62は、ストッパ部材72を覆って、当該ストッパ部材72に装着されている。具体的には、外周側ダンパ62は、ストッパ部材72のロッドカバー16側(矢印X1方向側)を覆うダンパ本体部62aと、ストッパ部材72の外周部を覆う外周被覆部62bとを有する。外周被覆部62bがストッパ部材72の外周部に装着されている。これにより、外周側ダンパ62は、ストッパ部材72によって支持されている。また、ストッパ部材72に外周側ダンパ62が装着されることで、ストッパ部材72は、ストッパ装着溝70から離脱することが阻止されている。
【0054】
端部側ダンパ64は、ヘッドカバー14側のストロークエンド到達時の衝撃を緩和する。端部側ダンパ64は、ピストン本体38とピストンロッド20との間に保持されるとともに、ピストン本体38の中心部に設けられた貫通孔38aから突出している。
図1において、端部側ダンパ64は、ピストン本体38のヘッドカバー14側の面38dよりもヘッドカバー14側(矢印X2方向側)に突出している。
【0055】
なお、端部側ダンパ64の突出端面は、ピストン本体38のヘッドカバー14側の端面よりもロッドカバー16側に位置していてもよいが、この場合には、ヘッドカバー14に、ピストン組立体17A側に突出する突起が設けられる。
【0056】
図2及び
図3において、端部側ダンパ64は、円筒形状(又は円盤形状)を有する。具体的に、端部側ダンパ64のピストンロッド20側の端部には、径方向外側に突出した環状の鍔部64aが設けられている。
図1において、鍔部64aは、ピストン本体38の内周部に設けられた段差部38e(縮径部)と、ピストンロッド20の端面20cとの間に保持されている。
【0057】
図1において、端部側ダンパ64は、ピストン本体38の内周部及びピストンロッド20の端面20cと密着しており、これにより、ピストン本体38とピストンロッド20との間を気密又は液密にシールしている。
【0058】
端部側ダンパ64の鍔部64aが設けられた側の端部は、組立前の状態(ピストンロッド20とピストン本体38との間に保持される前の状態)で、軸方向に膨出した膨出部64b(
図1の仮想線を参照)を有する。これにより、端部側ダンパ64は、組立状態(ピストンロッド20とピストン本体38との間に保持された状態)でピストンロッド20の端面20cを弾性的に押圧している。このため、ピストンロッド20とピストン本体38とのガタツキが抑制されている。
【0059】
なお、流体圧シリンダ10Aにおいて、外周側ダンパ62及び端部側ダンパ64のいずれか一方をなくしてもよく、あるいは、外周側ダンパ62及び端部側ダンパ64の両方をなくしてもよい。
【0060】
次に、上記のように構成されるピストン組立体17Aの組立方法の一例を説明する。
【0061】
まず、
図4Aのように、ピストン本体38、ピストンロッド20及び端部側ダンパ64を用意する。次に、ピストン側係合部40が設けられた側からピストン本体38の貫通孔38aに端部側ダンパ64を挿入する。そして、ピストン本体38とピストンロッド20とを軸方向に相対変位させて、
図4Bのように、ピストンロッド20の基端部20a(ピストン側係合部40)を、ピストン側係合部40とピストン外周部38bとの間(肉抜き部46)に挿入する。
【0062】
この場合、ピストン本体38の切欠部52が、ピストンロッド20の係合突起56の通過を許容するとともに、孔部50が係合突起56の周方向の一部を受け入れる。すなわち、係合突起56の周方向の一部が、ピストン本体38の切欠部52を通過するとともに孔部50に挿入される。このように切欠部52及び孔部50は、ピストンロッド20の係合突起56がピストン外周部38bと干渉することを避けるための逃げ部として機能する。
【0063】
図4Bにおいて、ピストン本体38の軸a1とピストンロッド20の軸a2とは互いにずれており、ロッド側係合部42は、ピストン側係合部40の側方に位置している。そこで、
図4Cのように、ピストン本体38の軸a1とピストンロッド20の軸a2とを一致させるように、ピストン本体38の軸a1と垂直な方向に、ピストン本体38とピストンロッド20とを相対移動させて、係合突起56を係合溝44に挿入する。これにより、ピストン側係合部40とロッド側係合部42とが係合状態となり、ピストン本体38とピストンロッド20とが接続された状態となる。
【0064】
次に、ピストン本体38にパッキン34及びマグネット48を装着するとともに、ストッパ部材72及び外周側ダンパ62をピストンロッド20に装着する。なお、ピストン本体38へのパッキン34及びマグネット48の装着は、ピストン本体38への端部側ダンパ64及びピストンロッド20の装着前に行ってもよい。
【0065】
ピストンロッド20へのストッパ部材72及び外周側ダンパ62の装着に際しては、まず、環状のストッパ部材72を形成するように、ピストンロッド20のストッパ装着溝70に2つのストッパ要素72aを個別に装着する(嵌め込む)。次に、ピストンロッド20の先端部20b側から基端部20a側に向かって外周側ダンパ62を移動させて、外周側ダンパ62をストッパ部材72(2つのストッパ要素72a)に被せる。これにより、ストッパ部材72がストッパ装着溝70から離脱することが阻止されるとともに、ピストンロッド20の外周部の所定位置に外周側ダンパ62が保持される。
【0066】
以上により、
図1に示したピストン組立体17Aが得られる。
図1のようにピストン組立体17Aが流体圧シリンダ10Aに組み込まれた状態では、ピストン本体38を含むピストンユニット18はシリンダチューブ12によって支持され、ピストンロッド20はロッドカバー16によって支持される。このため、ピストン本体38の軸a1とピストンロッド20の軸a2とが一致した状態が維持される。従って、ピストン側係合部40とロッド側係合部42との係合は維持される。
【0067】
次に、上記のように構成された
図1に示す流体圧シリンダ10Aの作用及び効果を説明する。流体圧シリンダ10Aは、第1ポート12a又は第2ポート12bを介して導入される圧力流体(例えば、圧縮空気)の作用によって、ピストンユニット18を摺動孔13内で軸方向に移動させる。これにより、当該ピストンユニット18に連結されたピストンロッド20が進退移動する。
【0068】
具体的に、ピストンユニット18をロッドカバー16側へと変位(前進)させるには、第2ポート12bを大気開放状態とし、図示しない圧力流体供給源から第1ポート12aを介して圧力流体を第1圧力室13aへと供給する。そうすると、圧力流体によってピストンユニット18がロッドカバー16側へと押される。これにより、ピストンユニット18がピストンロッド20とともにロッドカバー16側へと変位(前進)する。
【0069】
そして、外周側ダンパ62がロッドカバー16の端面に当接することで、ピストンユニット18の前進動作が停止する。この場合、弾性材料で構成された外周側ダンパ62により、ピストン本体38とロッドカバー16とが直接当接することが回避される。これにより、ピストン本体38が前進位置(ロッドカバー16側のストロークエンド)へと到達することに伴う衝撃及び衝撃音の発生を効果的に防止又は抑制することができる。
【0070】
一方、ピストンユニット18をヘッドカバー14側へと変位(後退)させるには、第1ポート12aを大気開放状態とし、図示しない圧力流体供給源から第2ポート12bを介して圧力流体を第2圧力室13bへと供給する。そうすると、圧力流体によってピストンユニット18がヘッドカバー14側へと押される。これにより、ピストンユニット18がヘッドカバー14側へと変位する。
【0071】
そして、端部側ダンパ64の端面64cがヘッドカバー14に当接することで、ピストンユニット18の後退動作が停止する。この場合、弾性材料で構成された端部側ダンパ64により、ピストン本体38とヘッドカバー14とが直接当接することが回避される。これにより、ピストンユニット18が後退位置(ヘッドカバー14側のストロークエンド)へと到達することに伴う衝撃及び衝撃音の発生を効果的に防止又は抑制することができる。
【0072】
この場合、本実施形態に係るピストン組立体17Aでは、ピストン本体38は、ピストン側係合部40を有し、ピストンロッド20は、ピストン側係合部40に係合したロッド側係合部42を有する。そして、ピストン側係合部40とロッド側係合部42は、一方の係合部が他方の係合部に側方から挿入されることにより、ピストン本体38とピストンロッド20との軸方向の相対変位を規制するように係合している。
【0073】
このため、ピストン本体38とピストンロッド20とを接続する組立工程において、ピストン側係合部40とロッド側係合部42とを、ピストン本体38の軸a1に対して垂直な方向に変位させて係合させることにより、ピストン本体38とピストンロッド20とを簡単に接続することができる。また、この組立ては、専用工具や設備や装置を用いることなく手作業で簡単に行うことができる。従って、本発明のピストン組立体17Aによれば、組立作業を簡素化することができる。
【0074】
本実施形態では、ピストン側係合部40及びロッド側係合部42の一方の係合部は、U字状、C字状又は半円弧状の係合溝44を有し、ピストン側係合部40及びロッド側係合部42の他方の係合部は、係合溝44に挿入された環状の係合突起56を有する。このため、一方の係合部が他方の係合部に側方から挿入されることにより、ピストン本体38とピストンロッド20との軸方向の相対変位を規制するように係合する構造を、簡素な構成で実現することができる。またこの構造によれば、ピストン本体38とピストンロッド20との十分な軸方向接続強度が得られる。
【0075】
本実施形態では、ピストン側係合部40及びロッド側係合部42は、ピストン本体38の軸a1を中心に相対回転可能に係合している。このため、設備への流体圧シリンダ10Aの据え付けの際に、ピストンロッド20を容易に回転させることができ、便利である。また、ピストンロッド20が回転可能である点は、後述する多角形のピストン本体38Aを備えたピストン組立体17B(
図5及び
図6)についても同様である。
【0076】
本実施形態では、ストロークエンド到達時の衝撃を緩和するダンパ機構60を備え、ダンパ機構60は、ストロークエンド到達時にピストン本体38に衝撃荷重を伝達しないようにピストン本体38に支持されている。このため、ピストン本体38は、作動流体からの圧力に耐えられる程度の強度を持つように設計されていればよく、樹脂製とすることが可能である。すなわち、樹脂製のピストン本体38の場合でも実用的な耐久性が得られやすい。ピストン本体38を樹脂製とすることにより、ピストン組立体17Aの軽量化を図ることができる。
【0077】
本実施形態では、ダンパ機構60は、ピストンロッド20の外周部に配置された外周側ダンパ62を有し、ピストンロッド20の外周部には、周方向に延在するストッパ装着溝70が設けられている。ストッパ装着溝70には、周方向に複数に分割されたストッパ部材72が装着されている。そして、外周側ダンパ62はストッパ部材72を覆っており、これにより、外周側ダンパ62がストッパ部材72により支持されるとともにストッパ部材72がストッパ装着溝70から離脱することが阻止されている。このような構成の外周側ダンパ62により、一方のストロークエンド到達時にピストン本体38に衝撃荷重が伝達されることを良好に阻止することができる。
【0078】
本実施形態では、ダンパ機構60は、ピストンロッド20の端面20cに配置された端部側ダンパ64を有し、端部側ダンパ64は、ピストン本体38とピストンロッド20との間に保持されるとともに、ピストン本体38の中心部に設けられた貫通孔38aから突出している。このような構成の端部側ダンパ64により、他方のストロークエンド到達時にピストン本体38に衝撃荷重が伝達されることを良好に阻止することができる。
【0079】
本実施形態では、端部側ダンパ64は、ピストン本体38とピストンロッド20との間をシールしている。従って、端部側ダンパ64が、ピストン本体38とピストンロッド20との間のシール部材を兼ねるため、ダンパとシール部材とを別々の部品として設ける構成と比較して、部品点数の削減が図られる。
【0080】
本実施形態では、端部側ダンパ64は、ピストンロッド20の端面20cを弾性的に押圧している。この構成により、ピストン本体38とピストンロッド20との間のガタツキを防止することができる。
【0081】
本実施形態では、ピストン本体38には、ピストン側係合部40を囲むとともにピストン本体38の軸方向に深さを有する肉抜き部46が設けられている。このため、ピストン本体38を含むピストン組立体17Aの軽量化が図られる。そして、ピストン組立体17Aの軽量化により、圧力流体の消費量が削減され、省エネルギー化を図ることができる。
【0082】
本発明は、上述した円形のピストン本体38に限らず、多角形のピストン本体38にも適用可能である。従って、流体圧シリンダでは、円形のピストン本体38を備えたピストン組立体17Aに代えて、
図5及び
図6に示す多角形のピストン本体38Aを備えたピストン組立体17Bが採用されてもよい。
【0083】
ピストン組立体17Bのピストン本体38Aは、八角形に構成されている。ピストン本体38Aには、周方向に間隔を置いて複数のマグネット装着溝74が設けられている。具体的に、複数のマグネット装着溝74は、ピストン本体38Aの一方側の面に設けられるとともに、ピストン本体38Aの軸方向に深さを有する。1つのマグネット装着溝74にマグネット76が装着されている。マグネット76は、例えば、フェライト磁石、希土類磁石等である。
【0084】
ピストン本体38Aの外周部には、環状のパッキン装着溝78が設けられている。パッキン装着溝78の底部は周方向に円環状に延在する。パッキン装着溝78に、弾性部材からなるパッキン79が装着されている。パッキン79の外周部形状は、ピストン本体38と同じ多角形(
図6の場合、八角形)に形成されている。パッキン34の内周部形状は、円形に形成されている。
【0085】
ピストン組立体17Bの他の部分は、ピストン組立体17Aと同様に構成されている。
【0086】
ピストン組立体17Bによっても、専用工具や設備や装置を用いることなく手作業で簡単に組立てを行うことができる等、ピストン組立体17Aと同様の効果が得られる。
【0087】
上述したピストン組立体17A(
図1)では中実構造のピストンロッド20が採用されているが、
図7に示すピストン組立体17Cのように、中空構造のピストンロッド20Aが採用されてもよい。この構成により、一層の軽量化及び省エネルギー化が図られたピストン組立体17Cが得られる。なお、ピストンロッド20Aの一端側の開口は端部側ダンパ64により気密又は液密に閉塞されている。
【0088】
上述したピストン組立体17A(
図1)では、ピストン本体38の一方側のみに突出するピストンロッド20が採用されているが、
図8A及び
図8Bに示すピストン組立体17D、17Eのように、ピストン本体38Bの両側に突出するピストンロッド82、84が採用されてもよい。
【0089】
図8Aに示すピストン組立体17Dは、パッキン装着溝36及びマグネット装着溝49が設けられたピストン本体38Bと、ピストン本体38Bに接続されたピストンロッド82とを有する。ピストン本体38Bは、軸方向の両側にそれぞれピストン側係合部40(以下、「第1ピストン側係合部40A」、「第2ピストン側係合部40B」という)を有する。
【0090】
ピストンロッド82は、第1ピストン側係合部40Aに係合する第1ロッド82Aと、第2ピストン側係合部40Bに係合する第2ロッド82Bとを有する。第1ロッド82A及び第2ロッド82Bは、上述したピストンロッド20と同様に構成されており、中実構造を有する。第1ロッド82Aと第2ロッド82Bとの間には、中間部材83が介装されている。
【0091】
中間部材83は、上述した外周側ダンパ62と同様の弾性材料により構成されるとよい。これにより、中間部材83が第1ロッド82Aの端面82A1及び第2ロッド82Bの端面82B1を押圧し、ピストン本体38Bと第1ロッド82Aとの間のガタツキが抑制されるとともに、ピストン本体38Bと第2ロッド82Bとの間のガタツキが抑制される。中間部材83は、ピストン本体38B、第1ロッド82A及び第2ロッド82Bと密着しており、これにより、第1ロッド82A側と第2ロッド82B側のエアシールを兼ねている。
【0092】
ピストンロッド20(
図1)と同様に、第1ロッド82A及び第2ロッド82Bの外周部にはそれぞれ外周側ダンパ62が配置されるとともに、第1ロッド82A及び第2ロッド82Bに装着されたストッパ部材72により外周側ダンパ62がそれぞれ支持されている。
【0093】
図8Bに示すピストン組立体17Eは、
図8Aに示したピストン組立体17Dにおける第1ロッド82A、第2ロッド82B及び中間部材83を中空構造に変更したものである。すなわち、ピストン組立体17Eは、ピストン本体38Bと、ピストン本体38Bに接続された中空状のピストンロッド84(第1ロッド84A及び第2ロッド84B)とを有し、第1ロッド84Aと第2ロッド84Bとの間には中空状の中間部材83aが介装されている。
【0094】
ピストン組立体17A(
図1)では、外周側ダンパ62と端部側ダンパ64の両方が設けられているが、
図9Aに示すピストン組立体17Fのように、ダンパ機構としては外周側ダンパ62のみが設けられてもよい。ピストン組立体17Fのピストン本体38Cは、軸方向に貫通した貫通孔が設けられていないこと以外は、ピストン組立体17Aのピストン本体38と同様に構成されている。あるいは、ダンパ機構としては端部側ダンパ64のみが設けられてもよい(ピストン組立体17Aにおいて外周側ダンパ62が省略されてもよい)。
図9Bに示すピストン組立体17Gのように、ダンパ機構が設けられていなくてもよい。
【0095】
ピストン組立体17A(
図1)において、マグネット48は省略されてもよい。この場合、
図10Aに示すピストン組立体17Hのように、ピストン本体38にマグネット装着溝49を残したままとしてもよい。あるいは、
図10Bに示すピストン組立体17Iのように、マグネット装着溝を省略したピストン本体38Dが採用されてもよい。
【0096】
ピストン組立体17A(
図1)では、ピストン本体38が低摩擦材からなる場合、ピストン外周部38bがウエアリングとして機能する。これと異なり、
図11に示すピストン組立体17Jのように、環状のウエアリング装着溝86が設けられたピストン本体38Eが採用され、ウエアリング装着溝86に低摩擦材からなるウエアリング88が装着されてもよい。
【0097】
ウエアリング88は、ピストン本体38Eの外周面が摺動孔13(
図1)の内周面に接触することを防止するための環状部材である。ウエアリング88の外径は、ピストン本体38Eの外形よりも大きい。低摩擦材としては、例えば、四フッ化エチレン(PTFE)のような低摩擦性と耐摩耗性とを兼ね備えた合成樹脂材料や、金属材料(例えば、軸受鋼)等が挙げられる。
【0098】
図12に示すピストン組立体17Kのように、マグネット及びウエアリングが装着されないピストン本体38Fが採用されるとともに、ダンパ機構が省略されてもよい。
【0099】
図13に示す流体圧シリンダ10Bは、中空筒状のシリンダチューブ102(ボディ)と、シリンダチューブ102の一端部に配置されたヘッドカバー104と、シリンダチューブ102の他端部に配置されたロッドカバー106とを備える。流体圧シリンダ10Bは、さらに、シリンダチューブ102に対して往復移動可能に配置されたピストン組立体17Lと、ダンパ機構60Aと、ピストンユニット18の一方及び他方のストロークエンドにおける衝撃を緩和するクッション機構110とを備える。ピストン組立体17Lは、シリンダチューブ102内に軸方向(矢印X方向)に移動可能に配置されたピストンユニット18と、ピストンユニット18に連結されたピストンロッド108とを有する。
【0100】
シリンダチューブ102は、円筒体からなり、その内部にはピストンユニット18が収容されヘッドカバー104及びロッドカバー106によって閉塞された摺動孔103(シリンダ室)が形成されている。
【0101】
ヘッドカバー104の第1段付き部112が、シリンダチューブ102の矢印X2方向側の端部に挿入されている。ヘッドカバー104には、第1中央空洞部116と、この第1中央空洞部116と連通した第1ポート118が形成されている。第1ポート118を介して、圧力流体の供給・排出が行われる。
【0102】
ロッドカバー106の第2段付き部120が、シリンダチューブ102の矢印X1方向側の端部に挿入されている。ロッドカバー106には、第2中央空洞部124と、この第2中央空洞部124と連通した第2ポート126が形成されている。第2ポート126を介して、圧力流体の供給・排出が行われる。ロッドカバー106の内周部にはリング状のブッシュ130及びパッキン132が配置されている。
【0103】
ピストンユニット18は、ピストン組立体17A(
図1)のピストンユニット18と同様に構成されている。
【0104】
ダンパ機構60Aは、ピストンロッド108の外周部に配置された外周側ダンパ62(
図1に示す外周側ダンパ62と同一構成)と、ピストンロッド108の端面108aに配置された端部側ダンパ64Aとを有する。外周側ダンパ62は、第2クッション部材142のピストン本体38側の端部に位置している。端部側ダンパ64Aは、端部側ダンパ64(
図1)を中空状に改変したものであり、ピストンロッド108の端面108aとピストン本体38の内周部との間に保持されている。
【0105】
クッション機構110は、可動部(ピストンロッド108)側に設けられた第1クッション部材140及び第2クッション部材142(クッションリング)と、固定部(ヘッドカバー104及びロッドカバー106)側に設けられた弾性部材からなるリング状の第1クッションシール144及び第2クッションシール146とを有する。
【0106】
第1クッション部材140は、ピストンロッド108の矢印X2方向側の端部においてピストンロッド108と同軸状に設けられている。具体的に、第1クッション部材140は、ピストンロッド108よりも小径に形成されるとともに、ピストンロッド108の端面108a及び端部側ダンパ64Aの端面から矢印X2方向に突出している。第1クッション部材140は、中空又は中実の円筒状に形成されている。第1クッション部材140の外径は、端部側ダンパ64Aの外径よりも小さい。
【0107】
第1クッション部材140は、ピストンロッド108と一体成形された部分であってもよく、あるいは、ピストンロッド108と接合された別部品であってもよい。第1クッション部材140がピストンロッド108と別部品の場合、第1クッション部材140は、例えば、溶接、接着、螺合等の接合手段によって、ピストンロッド108と接合され得る。
【0108】
第1クッションシール144は、リング状の第1ホルダ148の内周部に保持されている。第1ホルダ148は、ヘッドカバー104の第1段付き部112の内周部に固定されている。第1ホルダ148の孔部148aに第1クッション部材140が挿入されていない状態では、摺動孔103と第1中央空洞部116は、孔部148aを介して連通している。第1ホルダ148の孔部148aに第1クッション部材140が挿入される際に、第1クッションシール144は、全周に亘って第1クッション部材140の外周面に摺接する。
【0109】
第2クッション部材142は、ピストンユニット18のロッドカバー106側(矢印X1方向側)に隣接して、ピストンユニット18の近傍において、ピストンロッド108と同軸状に設けられている。第2クッション部材142は、ピストンロッド108よりも大径且つピストンユニット18よりも小径に形成されたリング状の部材であり、ピストンロッド108の外周面に、例えば、溶接、接着等により接合されている。
図13において、第2クッション部材142の外径は、ピストンロッド108の外径よりも若干大きい程度である。
【0110】
第2クッションシール146は、リング状の第2ホルダ150の内周部に保持されている。第2ホルダ150は、ロッドカバー106の第2段付き部120の内周部に固定されている。第2ホルダ150の孔部150aに第2クッション部材142が挿入されていない状態では、摺動孔103と第2中央空洞部124は、孔部150aを介して連通している。第2ホルダ150の孔部150aに第2クッション部材142が挿入される際に、第2クッションシール146は、全周に亘って第2クッション部材142の外周面に摺接する。
【0111】
次に、上記のように構成された流体圧シリンダ10Bの作用を説明する。なお、以下の説明では、圧力流体としてエア(圧縮エア)を用いる場合を説明するが、エア以外の気体を用いてもよい。
【0112】
流体圧シリンダ10Bは、第1ポート118又は第2ポート126を介して導入される圧力流体の作用によって、ピストンユニット18を摺動孔103内で軸方向に移動させる。これにより、当該ピストンユニット18に連結されたピストンロッド108が進退移動する。
【0113】
具体的に、ピストンユニット18が
図13に示す後退位置に位置している状態で、第2ポート126を大気開放状態とし、図示しない圧力流体供給源から第1ポート118及び第1中央空洞部116及び孔部148aを介して、エアを第1圧力室103aへと供給する。これにより、ピストンユニット18がピストンロッド108とともにロッドカバー106側へと変位(前進)する。この場合、第2圧力室103b内のエアは、第2ホルダ150の孔部150a及び第2中央空洞部124を介して、第2ポート126から排出される。
【0114】
そして、外周側ダンパ62が第2ホルダ150に当接することで、ピストンユニット18の前進動作が停止する。なお、外周側ダンパ62は、ピストンユニット18が前進位置に来た際にロッドカバー106(及び第2ホルダ150)に当接する大きさに形成されてもよい。
【0115】
ピストンユニット18が前進位置へと近づく際、第2クッション部材142は第2ホルダ150の孔部150aに挿入される。これに伴い、第2クッションシール146の内周部が第2クッション部材142の外周面に接触して、この接触部分に気密シールが形成される。
【0116】
この結果、第2圧力室103bにエアクッションが形成される。第2圧力室103bのエアクッションは、ピストンユニット18がロッドカバー106側に変位する際の変位抵抗となることで、ロッドカバー106側のストロークエンド付近でピストンユニット18の変位を減速させる。従って、ピストンユニット18がストロークエンドに到達した際の衝撃が一層緩和される。なお、エアは、図示しない小さな孔部を介して第2ポート126へ少量ずつ排気される。
【0117】
一方、ピストンユニット18が前進位置(ロッドカバー106側のストロークエンド)に位置している状態で、第1ポート118を大気開放状態とし、図示しない圧力流体供給源から第2ポート126、第2中央空洞部124及び孔部150aを介して、エアを第2圧力室103bへと供給する。これにより、ピストンユニット18がヘッドカバー104側へと変位(後退)する。この場合、第1圧力室103a内のエアは、第1ホルダ148の孔部148a及び第1中央空洞部116を介して、第1ポート118から排出される。そして、端部側ダンパ64Aが第1ホルダ148に当接することで、ピストンユニット18の後退動作が停止する。
【0118】
ピストンユニット18が後退位置へと近づく際、第1クッション部材140は第1ホルダ148の孔部148aに挿入される。これに伴い、第1クッションシール144の内周部が第1クッション部材140の外周面に接触して、この接触部分に気密シールが形成される。
【0119】
この結果、第1圧力室103aにエアクッションが形成される。第1圧力室103aのエアクッションは、ピストンユニット18がヘッドカバー104側に変位する際の変位抵抗となることで、ヘッドカバー104側のストロークエンド付近でピストンユニット18の変位を減速させる。従って、ピストンユニット18がストロークエンドに到達した際の衝撃が一層緩和される。
【0120】
図14Aに示す流体圧シリンダ10Cは、いわゆる単動型シリンダとして構成されている。具体的に、この流体圧シリンダ10Cは、流体圧シリンダ10A(
図1)において、ピストンユニット18とロッドカバー16との間にスプリング154を配置したものである。この場合、第2ポート12bは大気開放されている。
【0121】
流体圧シリンダ10Cにおいて、第1ポート12aを介して第1圧力室13aに圧力流体を供給すると、圧力流体によってピストンユニット18がロッドカバー16側へと変位(前進)し、前進位置のストロークエンドへと到達する。そして、第1ポート12aへの圧力流体の供給を停止するとともに、第1ポート12aを大気開放すると、ピストンユニット18はスプリング154の弾性付勢力によってヘッドカバー14側へと変位(後退)し、後退位置のストロークエンドへと到達する。
【0122】
図14Bに示す流体圧シリンダ10Dも、いわゆる単動型シリンダとして構成されている。具体的に、この流体圧シリンダ10Dは、流体圧シリンダ10A(
図1)において、ピストンユニット18とヘッドカバー14との間にスプリング154を配置したものである。この場合、第1ポート12aは大気開放されている。
【0123】
流体圧シリンダ10Dにおいて、第2ポート12bを介して第2圧力室13bに圧力流体を供給すると、圧力流体によってピストンユニット18がヘッドカバー14側へと変位(後退)し、後退位置のストロークエンドへと到達する。そして、第2ポート12bへの圧力流体の供給を停止するとともに、第2ポート12bを大気開放すると、ピストンユニット18はスプリング154の弾性付勢力によってロッドカバー16側へと変位(前進)し、前進位置のストロークエンドへと到達する。
【0124】
上述した流体圧シリンダ10A〜10Dでは、
図15及び
図16に示すピストン組立体17Mが採用されてもよい。ピストン組立体17Mは、ピストンユニット18aと、ピストンユニット18aに連結されたピストンロッド160とを有する。
【0125】
ピストンユニット18aは、ピストンロッド160に接続されたピストン本体162と、ピストン本体162の外周部に装着されたパッキン34及びマグネット48とを有する。ピストン本体162の構成材料は、上述したピストン本体38(
図1等)の構成材料として例示した材料から選択し得る。ピストン本体162とピストンロッド160との間には端部側ダンパ64が配置されている。端部側ダンパ64は、ピストン本体162に設けられた貫通孔162aに装着されている。
【0126】
ピストン本体162には、ピストン側係合部166が一体成形により設けられている。ピストン側係合部166は、側方に開口した形状を有する。
図16において、ピストン側係合部166は、ピストン本体162の端面162bから軸方向(矢印X方向)に膨出するとともに軸方向から見てU字状に構成されている。ピストン側係合部166の内周面に、U字状係合溝166aが設けられている。
【0127】
ピストン側係合部166は、貫通孔162aの外周形状に沿って円弧状に延在した湾曲部167と、湾曲部167の両端からそれぞれ直線状に且つ互いに平行に延出した2つのアーム部168とを有する。ピストン本体162の軸方向から見て、2つのアーム部168の先端は、貫通孔162aよりも径方向外側に位置する。
【0128】
このように、ピストン本体162には、U字状に構成されたピストン側係合部166が設けられている。このため、ピストン側係合部166が補強リブとして機能し、ピストン本体162が補強される。これにより、ピストン組立体17Mが組み込まれた流体圧シリンダの作動時に発生する静圧に対するピストン本体162の強度を向上させることができる。
【0129】
ピストンロッド160の基端部160aには、ピストン側係合部166のU字状係合溝166aに係合したロッド側係合部42が設けられている。ロッド側係合部42は、環状の係合突起56により構成されている。係合突起56に隣接して環状溝58が形成されている。係合突起56がU字状のピストン側係合部166に側方から挿入されることにより、ピストン本体162とピストンロッド160との軸方向の相対変位が規制されている。ピストンロッド160の構成材料は、上述したピストンロッド20(
図1等)の構成材料として例示した材料から選択し得る。
【0130】
ピストンロッド160の外周部には、矢印X1方向側のストロークエンド到達時の衝撃を緩和する弾性材料からなるリング状の外周側ダンパ170が配置されている。ピストン本体162と外周側ダンパ170との間には、リング状のスペーサ172が介装されている。スペーサ172はピストン側係合部166と当接している。
【0131】
ピストン本体162、スペーサ172及び外周側ダンパ170は軸方向に積層されている。スペーサ172は、外周側ダンパ170よりも硬質な材料により構成されている。スペーサ172の構成材料は、上述したピストンロッド20(
図1等)の構成材料として挙げた材料から選択され得る。
【0132】
ピストン組立体17Mの構造では、矢印X1方向側のストロークエンド到達時の荷重は外周側ダンパ170を介してピストン本体162に伝わる。従って、ピストン本体162がストロークエンド到達時の荷重を受ける。ピストン本体162が金属材料により構成される場合、樹脂材料よりも強度が高いため、ピストン本体162の強度を十分に確保することができる。
【0133】
その際、ピストン本体162と外周側ダンパ170との間には、外周側ダンパ170よりも硬質なリング状のスペーサ172が介装されているため、外周側ダンパ170は、U字状のピストン側係合部166ではなくリング状のスペーサ172により、全周に亘って支持される。従って、弾性材料により構成される外周側ダンパ170がストロークエンド到達時の荷重で破損することを防止することができる。
【0134】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。例えば、本発明は、ピストンユニット及びシリンダチューブの断面形状が非円形(四角形状や、楕円形状等の長円形状等)の流体圧シリンダにも適用可能である(
図5のピストン組立体17Bはその一例である)。また、本発明は、複数のピストン及びピストンロッドを備えた多ロッド型(デュアルロッド型等)の流体圧シリンダにも適用可能である。
【0135】
また、本発明は、アクチュエータ等として用いられる流体圧シリンダに限らず、ピストンを有する他の形態の流体圧装置にも適用可能である。本発明を適用できるピストンを有する他の形態の流体圧装置としては、例えば、ピストンによって弁体を移動させて流路の切り換えをするバルブ装置、ピストンロッドを入力軸としてこれに連結されたピストンを変位させて測長を行う測長シリンダ、ピストンを変位させることによりピストンロッドを介してピストンと連結されたテーブルを変位させるスライドテーブル、ピストンを変位させこのピストン変位を変換することで開閉動作する把持部によってワークを把持するチャック装置、等が挙げられる。