【解決手段】情報処理装置であって、車両の運転者の生体情報を取得する生体情報取得部と、車両の車両情報を取得する車両情報取得部と、車両に取り付けられた撮像部から、車両を含む車両の周囲画像を取得する周囲画像取得部と、事故に遭遇する前の生体情報の変化を抽出し、抽出した生体情報の変化に基づいて、運転者が事故発生の危険を察知したタイミングを推定するタイミング推定部と、生体情報、車両情報および周囲画像に基づいて、運転者の運転操作および車両の挙動を解析する運転者解析部と、タイミング、運転操作および車両の挙動に基づいて、運転者の前記事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正する過失割合修正部と、を備える。
前記運転者解析手段は、さらに、前記生体情報、前記車両情報および前記周囲画像に基づいて、前記運転者が事故発生の危険を察知してから運転操作を開始するまでの運転操作開始時間と、運転操作の操作量と、を解析する時間操作量解析手段を備え、
前記過失割合修正手段は、さらに、前記運転操作開始時間および前記操作量に基づいて、前記基本過失割合を修正する請求項1または2に記載の情報処理装置。
前記車両情報は、前記車両の速度、ハンドル舵角、アクセル開放度、エンジン回転数、ブレーキ踏力および前記車両の加速度のうち少なくとも1つを含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、生体情報を用いていないので、より正確な過失割合を導出することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理装置は、
車両の運転者の生体情報を取得する生体情報取得手段と、
前記車両の車両情報を取得する車両情報取得手段と、
前記車両に取り付けられた撮像手段から、前記車両を含む前記車両の周囲画像を取得する周囲画像取得手段と、
事故に遭遇する前の前記生体情報の変化を抽出し、抽出した前記生体情報の変化に基づいて、前記運転者が事故発生の危険を察知したタイミングを推定するタイミング推定手段と、
前記生体情報、前記車両情報および前記周囲画像に基づいて、前記運転者の運転操作および前記車両の挙動を解析する運転者解析手段と、
前記タイミング、前記運転操作および前記車両の挙動に基づいて、前記運転者の前記事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正する過失割合修正手段と、
を備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理方法は、
車両の運転者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記車両の車両情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記車両に取り付けられた撮像手段から、前記車両を含む前記車両の周囲画像を取得する周囲画像取得ステップと、
事故に遭遇する前の前記生体情報の変化を抽出し、抽出した前記生体情報の変化に基づいて、前記運転者が事故発生の危険を察知したタイミングを推定するタイミング推定ステップと、
前記生体情報、前記車両情報および前記周囲画像に基づいて、前記運転者の運転操作および前記車両の挙動を解析する運転者解析ステップと、
前記タイミング、前記運転操作および前記車両の挙動に基づいて、前記運転者の前記事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正する過失割合修正ステップと、
を含む。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る情報処理プログラムは、
車両の運転者の生体情報を取得する生体情報取得ステップと、
前記車両の車両情報を取得する車両情報取得ステップと、
前記車両に取り付けられた撮像手段から、前記車両を含む前記車両の周囲画像を取得する周囲画像取得ステップと、
事故に遭遇する前の前記生体情報の変化を抽出し、抽出した前記生体情報の変化に基づいて、前記運転者が事故発生の危険を察知したタイミングを推定するタイミング推定ステップと、
前記生体情報、前記車両情報および前記周囲画像に基づいて、前記運転者の運転操作および前記車両の挙動を解析する運転者解析ステップと、
前記タイミング、前記運転操作および前記車両の挙動に基づいて、前記運転者の前記事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正する過失割合修正ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生体情報を用いるので、より正確な過失割合を導出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明記載する。ただし、以下の実施の形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての情報処理装置100について、
図1を用いて説明する。情報処理装置100は、生体情報を利用して、事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正する装置である。
【0013】
図1に示すように、情報処理装置100は、生体情報取得部101と、車両情報取得部102と、周囲画像取得部103と、タイミング推定部104と、運転者解析部105と、過失割合修正部106と、を含む。
【0014】
生体情報取得部101は、車両の運転者の生体情報を取得する。車両情報取得部102は、車両の車両情報を取得する。周囲画像取得部103は、車両に取り付けられた撮像部から、車両を含む車両の周囲画像を取得する。タイミング推定部104は、事故に遭遇する前の生体情報の変化を抽出し、抽出した生体情報の変化に基づいて、運転者が事故発生の危険を察知したタイミングを推定する。運転者解析部105は、生体情報、車両情報および周囲画像に基づいて、運転者の運転操作および車両の挙動を解析する。過失割合修正部106は、タイミング、運転操作および車両の挙動に基づいて、運転者の事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正する。
【0015】
本実施形態によれば、生体情報を用いるので、基本過失割合を修正でき、より正確な過失割合を導出することができる。
【0016】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る情報処理装置について、
図2乃至
図6を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置200の動作の概要を説明するための図である。
【0017】
情報処理装置200は、
図2に示したように、車両210と相手方車両220とが事故を起こした場合の基本過失割合を修正する装置である。情報処理装置200は、車両210から車両情報を取得する。また、情報処理装置200は、車両210の運転者212が装着するウェアラブル端末から運転者212の生体情報を取得する。さらに、情報処理装置200は、車両210に取り付けられたドライブレコーダ211や運転者212の所持するスマートフォンなどの携帯端末のカメラにより撮像された車両210を含む車両210の周囲画像や周囲映像などを取得する。
【0018】
情報処理装置200は、基本過失割合の修正が必要な事故について、生体情報の変化から、運転者212が、事故発生の危険を察知したタイミングを推定する。また、情報処理装置200は、生体情報、車両情報および周囲画像から、運転者212の運転操作および車両210の挙動を解析する。そして、情報処理装置200は、推定したタイミング、運転者212の運転操作および車両210の挙動に基づいて、運転者212の事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正して、例えば、運転者212と相手方車両220の運転者との過失割合を導出する。
【0019】
例えば、車両210の運転者212が、相手方車両220の運転者が事故を回避するための運転操作(事故回避操作)をするよりも前に、事故回避操作を行っていれば、情報処理装置200は、運転者212の過失割合を低く見積もる。これとは反対に、運転者212の事故回避操作が、相手方車両220の運転者の事故回避操作よりも遅れていれば、情報処理装置200は、運転者の過失割合を高く見積もる。このように、情報処理装置200は、ドライブレコーダ211により記録された映像や運転者212の生体情報などに基づいて、運転者212の事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正して、事故の過失割合を自動的に導出する。なお、基本過失割合は、民事交通訴訟における過失相殺率の認定・判断基準により、四輪車・単車・自転車・歩行者の分類と事故発生形態から決定されるものである。また、事故の発生形態とは、事故の発生した場所の道路形状と各当事者の動きとを含む組み合わせであり、例えば、信号の無い交差点における四輪左折車と四輪直進車との事故、単車道路直進と四輪路外車とが道路に進入した事故などを含む。
【0020】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置200の構成を示すブロック図である。情報処理装置200は、生体情報取得部301と、車両情報取得部302と、周囲画像取得部303と、タイミング推定部304と、運転者解析部305と、相手方解析部306と、過失割合修正部307と、を有する。
【0021】
生体情報取得部301は、ウェアラブルデバイスから車両210の運転者212の生体情報を取得する。取得する生体情報は、例えば、脈拍や心拍数、血圧、発汗量、呼吸数、脳波、体温などであるがこれらには限定されない。
【0022】
車両情報取得部302は、運転者212が運転する車両210の車両情報を取得する。車両情報は、例えば、車両210の位置情報や速度、加速度、ハンドル舵角、残燃料、ブレーキ踏力、アクセル開放度、エンジン回転数などを含むが、これらには限定されない。車両210の位置情報は、例えば、車両210に取り付けられたGPS(Global Positioning System)機器などから取得されるが、位置情報の取得元はこれには限定されない。また、車両210の速度や、加速度、ハンドル舵角などは、例えば、OBD(On-board Diagnostics)やCAN(Controller Area Network)などから取得されるが、これらには限定されない。
【0023】
周囲画像取得部303は、運転者212の運転する車両210(自車両)を含む車両210の周囲の画像(周囲画像)を取得する。すなわち、周囲画像取得部303は、車両210に取り付けられたドライブレコーダ211などのカメラで撮像した画像を取得する。また、周囲画像取得部303は、車両210の運転者212や同乗者の所有するスマートフォンなどの携帯端末などのカメラで撮像した画像を取得してもよく、スマートフォンなどは所定の取付器具を用いて車両210に取り付けられる。なお、周囲画像取得部303は、周囲画像を常時取得するものであっても、所定のトリガーを検知したら取得を開始するものであってもよい。また、周囲画像には、自動車や自転車、歩行者などに関連する交通事故の映像や画像などが含まれる。
【0024】
タイミング推定部304は、事故に遭遇する前の生体情報の変化を抽出し、抽出した生体情報の変化に基づいて、運転者212が事故発生の危険を察知したタイミングを推定する。タイミング推定部304は、例えば、脈拍や心拍数、血圧、呼吸数などが上昇したタイミングを運転者212が危険などを察知したタイミングと推定するが、タイミングの推定方法はこれには限定されない。例えば、運転者212が一定のリズムでまばたきをしていたものが、このリズムが崩れた場合などを、タイミング推定部304は、危険察知のタイミングと推定してもよい。また、例えば、タイミング推定部304は、脳波の変化、運転者212の腕や足の筋肉の動きなどから、危険察知のタイミングを推定してもよい。また、タイミング推定部304は、生体情報の変化が起こった時から所定時間前を危険察知のタイミングと推定してもよい。
【0025】
運転者解析部305は、生体情報、車両情報および周囲画像に基づいて、運転者212の運転操作および車両210の挙動を解析する。すなわち、運転者212がどのような運転操作をしたことにより、車両210がどのような挙動をし、事故発生に至ったのかなどが解析される。
【0026】
相手方解析部306は、取得した周囲画像に基づいて、事故の相手方車両220の挙動を解析する。相手方解析部306は、例えば、取得した周囲画像から、相手方車両220の進行方向や加速度、速度などを解析する。
【0027】
過失割合修正部307は、推定したタイミング、解析した運転者212の運転操作、車両210の挙動および相手方車両220の挙動に基づいて、運転者212の事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正する。そして、修正した基本過失割合に基づいて、車両210の運転者212と事故の相手方である相手方車両220の運転者との過失割合を算出する。
【0028】
図4は、本実施形態に係る情報処理装置200の備える修正過失割合テーブル401の一例を示す図である。修正過失割合テーブル401は、分類410および事故発生形態411に関連付けて、基本過失割合412、車両情報・周囲画像413、生体情報(タイミング)414、操作・挙動415、相手方車両挙動416および修正過失割合417を記憶する。分類410は、交通事故における当事者を、例えば、四輪車、単車、自転車、歩行者などという基準で区分したものである。事故発生形態411は、事故の発生した場所の道路形状と各当事者の動きとを含む組み合わせである。基本過失割合412は、事故発生形態411に応じて決定される運転者212と相手方車両220の運転者との過失割合である。車両情報・周囲画像413は、取得した、車両210の車両情報および周囲画像である。生体情報(タイミング)414は、生体情報を用いて推定された、運転者212が事故発生の危険を察知したタイミングである。操作・挙動415は、運転者212の運転操作、車両210の挙動、運転操作開始時間および運転操作の操作量である。相手方車両挙動416は、事故の相手方車両220の挙動である。修正過失割合417は、発生した交通事故の態様に応じた基本過失割合を修正した過失の割合である。そして、情報処理装置200は、例えば、修正過失割合テーブル401を参照して、基本過失割合を修正する。
【0029】
図5は、本実施形態に係る情報処理装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit)510は演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図3の情報処理装置200の機能構成部を実現する。ROM(Read Only Memory)520は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース530は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU510は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース530は、CPU510とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)540の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM540とストレージ550との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、入出力インタフェース560は、CPU510とは独立したCPUを有して、RAM540の領域に入出力データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。したがって、CPU510は、RAM540にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU510は、処理結果をRAM540に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース530やDMAC、あるいは入出力インタフェース560に任せる。
【0030】
RAM540は、CPU510が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM540には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。分類データ・事故発生形態データ541は、事故の発生形態に関するデータである。基本過失割合データ542は、事故の発生形態に応じた基本過失割合に関するデータである。車両情報・周囲画像データ543は、車両210から取得された車両情報およびドライブレコーダ211などで撮像された画像に関するデータである。生体情報(タイミング)データ544は、運転者212の生体情報から推定した、運転者212が危険を察知したタイミングを示すデータである。操作・挙動データ545は、運転者212の運転操作、車両210の挙動を示すデータである。相手方車両挙動データ546は、相手方車両220の挙動を示すデータである。これらのデータは、例えば、修正過失割合テーブル401から展開されたデータである。そして、情報処理装置200は、これらのデータに基づいて、基本過失割合を修正する。
【0031】
入出力データ547は、入出力インタフェース560を介して入出力されるデータである。送受信データ548は、ネットワークインタフェース530を介して送受信されるデータである。また、RAM540は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域549を有する。
【0032】
ストレージ550には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ550は、修正過失割合テーブル401を格納する。修正過失割合テーブル401は、
図4に示した、事故発生形態411と基本過失割合412などとの関係を管理するテーブルである。また、ストレージ550には、生体情報、車両情報および周囲画像をそれぞれ対応付けた複数の組を記憶してもよい。
【0033】
ストレージ550は、さらに、生体情報取得モジュール551と、車両情報取得モジュール552と、周囲画像取得モジュール553と、タイミング推定モジュール554と、を格納する。また、ストレージ550は、運転者解析モジュール555と、相手方解析モジュール556と、過失割合修正モジュール557と、を格納する。
【0034】
生体情報取得モジュール551は、車両の運転者212の生体情報を取得するモジュールである。車両情報取得モジュール552は、車両210の車両情報を取得するモジュールである。周囲画像取得モジュール553は、車両210を含む車両210の周囲画像を取得するモジュールである。タイミング推定モジュール554は、生体情報の変化を抽出して、抽出した生体情報に基づいて、運転者212が事故発生の危険を察知したタイミングを推定する。運転者解析モジュール555は、生体情報、車両情報および周囲画像に基づいて、運転者212の運転操作および車両210の挙動を解析するモジュールである。相手方解析モジュール556は、周囲画像に基づいて、事故の相手方車両220の挙動を解析するモジュールである。過失割合修正モジュール557は、推定したタイミング、運転操作、車両210の挙動および相手方車両220の挙動などに基づいて、運転者212の事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正するモジュールである。これらのモジュール551〜557は、CPU510によりRAM540のアプリケーション実行領域549に読み出され、実行される。制御プログラム558は、情報処理装置200の全体を制御するためのプログラムである。
【0035】
入出力インタフェース560は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース560には、表示部561、操作部562、が接続される。また、入出力インタフェース560には、さらに、記憶媒体564が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ563や、音声入力部であるマイク、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、
図5に示したRAM540やストレージ550には、情報処理装置200が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0036】
図6は、本実施形態に係る情報処理装置200の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU510がRAM540を使用して実行し、
図3の情報処理装置200の機能構成部を実現する。
【0037】
ステップS601において、情報処理装置200は、車両210の運転者212の生体情報を、例えば、運転者212の装着しているウェアラブル端末などから取得する。ステップS603において、情報処理装置200は、車両210の車両情報を取得する。ステップS605において、情報処理装置200は、車両210を含む車両210の周囲画像を取得する。なお、ステップS601〜S605の順序は
図6に示した順序には限定されず、順序を適宜入れ替えて実行してもよいし、これらのステップを同時に実行してもよい。
【0038】
ステップS607において、情報処理装置200は、事故に遭遇する前の生体情報の変化を抽出し、抽出した生体情報の変化に基づいて、運転者212が事故発生の危険を察知したタイミングを推定する。
【0039】
ステップS609において、情報処理装置200は、生体情報、車両情報および周囲画像に基づいて、運転者212の運転操作および車両210の挙動を解析する。ステップS611において、情報処理装置200は、周囲画像に基づいて、相手方車両220の挙動を解析する。ステップS613において、情報処理装置200は、推定したタイミング、運転者212の運転操作、車両210の挙動および相手方車両220の挙動に基づいて、運転者212の事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正する。
【0040】
本実施形態によれば、生体情報を用いるので、基本過失割合を修正することができ、より正確な過失割合を導出できる。また、事故時の映像の他に、生体情報を用いて危険察知のタイミングを推定するので、運転者は、事故後の交渉において、交渉を有利に進めることができる。
【0041】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る情報処理装置について、
図7乃至
図10を用いて説明する。
図7は、本実施形態に係る情報処理装置700の構成を説明するための図である。本実施形態に係る情報処理装置700は、上記第2実施形態と比べると、時間操作量解析部および外部情報取得部を有する点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0042】
情報処理装置700は、さらに、時間操作量解析部701および外部情報取得部702を備える。時間操作量解析部701は、運転者212が事故発生の危険を察知してから、危険回避のためにブレーキを踏むなどの運転操作を開始するまでの時間である運転操作開始時間を、生体情報、車両情報および周囲画像に基づいて解析する。また、時間操作量解析部701は、危険回避ための運転操作の操作量を解析する。運転操作の操作量は、例えば、ブレーキ踏力やアクセル開放度、ハンドル舵角などについての操作量である。
【0043】
時間操作量解析部701は、生体情報の変化から推定した危険察知のタイミングと、例えば、ブレーキ踏力から判定したブレーキを踏み始めたタイミングから、運転操作開始時間を解析する。また、時間操作量解析部701は、例えば、車両情報などからブレーキ踏力やアクセル開度、ハンドル舵角などを解析する。
【0044】
外部情報取得部702は、気象情報を含む外部情報を取得する。そして、運転者解析部305および相手方解析部306は、例えば、外部情報としての気象情報と、生体情報、車両情報および周囲画像と、に基づいて、運転者212の運転操作や車両210の挙動、相手方車両220の挙動を解析する。気象情報として、例えば、雨天という情報を取得すれば、運転者解析部305および相手方解析部306は、雨天という天候を考慮して、車両210や相手方車両220のスリップ量や制動距離などを解析する。
【0045】
なお、外部情報は、例えば、渋滞情報、混雑予測情報、故障車両情報などのプローブデータであるが、これらには限定されない。なお、周囲画像取得部303は、周囲画像の撮影日時や撮影時間帯(例えば、朝昼夜など)、地域、自車および相手車の車体形状や車高などを合わせて記憶してもよい。
【0046】
図8は、本実施形態に係る情報処理装置700の備える修正過失割合テーブル801の一例を示す図である。修正過失割合テーブル801は、事故発生形態411に関連付けて、さらに、操作・挙動(時間・操作量)811および外部情報812を記憶する。そして、過失割合修正部307は、例えば、修正過失割合テーブル801を参照して、運転者212の事故の発生形態に応じた基本過失割合を修正した修正過失割合を導出する。そして、情報処理装置700は、車両210の運転者212と相手方車両220の運転者との過失割合を導出する。
【0047】
図9は、本実施形態に係る情報処理装置700のハードウェア構成を示すブロック図である。RAM940は、CPU510が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM940には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。時間・操作量データ941は、運転者212が事故発生の危険を察知してから事故発生を回避するための運転操作を開始するまでの時間およびその運転操作の操作量のデータである。外部情報データ942は、気象情報や渋滞情報などに関するデータである。これらのデータは、例えば、修正過失割合テーブル801から展開されたデータである。
【0048】
ストレージ950には、データベースや各種のパラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ950は、修正過失割合テーブル801を格納する。修正過失割合テーブル801は、
図8に示した、事故発生形態411と操作・挙動(時間・操作量)811などとの関係を管理するテーブルである。
【0049】
ストレージ950は、さらに、時間操作量解析モジュール951および外部情報取得モジュール952を格納する。時間操作量解析モジュール951は、生体情報、車両情報および周囲画像に基づいて、運転者212が運転操作を開始するまでの時間およびその運転操作の操作量を解析するモジュールである。外部情報取得モジュール952は、気象情報を含む外部情報を取得するモジュールである。これらのモジュール951〜952は、CPU510によりRAM940のアプリケーション実行領域549に読み出され、実行される。
【0050】
図10は、本実施形態に係る情報処理装置700の処理手順を説明するフローチャートである。このフローチャートは、CPU510がRAM940を使用して実行し、
図7の情報処理装置700の機能構成部を実現する。ステップS1001において、情報処理装置700は、気象情報などを含む外部情報を取得する。そして、例えば、ステップS607において、情報処理装置700は、取得した生体情報、車両情報、周囲画像および外部情報に基づいて、運転者212が事故発生の危険を察知したタイミングを推定する。
【0051】
ステップS1003において、情報処理装置700は、取得した生体情報、車両情報、周囲画像および外部情報に基づいて、運転者212が事故発生の危険を察知してから運転操作を開始するまでの時間およびその運転操作の操作量を解析する。そして、例えば、ステップS613において、情報処理装置700は、運転操作開始時間および運転操作量を加味して基本過失割合を修正する。
【0052】
本実施形態によれば、生体情報を用いるので、基本過失割合を修正することができ、より正確な過失割合を導出できる。また、事故時の映像の他に、生体情報を用いて危険察知のタイミングを推定するので、運転者は、事故後の交渉において、交渉を有利に進めることができる。さらに、相手方車両の挙動も解析して基本過失割合を修正するので、さらに正確な過失割合を導出することができる。また、運転操作開始時間および運転操作量を加味して基本過失割合を修正するので、さらに正確な過失割合を導出することができる。
【0053】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0054】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。