【解決手段】医療用同軸コネクタ13は、相手側内部導体111に電気的に接続する内部導体131と、内部導体131に対して電気的に絶縁されているとともに内部導体131を囲む筒状に形成され、相手側外部導体113に電気的に接続する外部導体135と、外部導体135の内周側に配置され、内部導体131を囲む筒状の絶縁体133とを備える。絶縁体133は、医療用同軸コネクタ13が相手側医療用同軸コネクタ11に接続した際に相手側外部導体113の内周側に配置されるとともに、相手側医療用同軸コネクタ11への接続方向Di2の先端が内部導体131よりも接続方向Di2に突出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図13ないし
図15は、従来の医療用観察システム100の課題を説明する図である。具体的に、
図13は、医療用信号処理装置900と、表示装置700と、医療用信号処理装置900及び表示装置700を接続し、医療用信号処理装置900からの映像信号を表示装置700に伝送する医療用同軸ケーブル800を模式的に示している。また、
図13において、符号「1300」は、医療用同軸ケーブル800の両端に設けられたBNC型の医療用同軸コネクタである。さらに、
図13において、符号「1100」は、医療用信号処理装置900及び表示装置700にそれぞれ設けられ、医療用同軸コネクタ1300に接続する相手側医療用同軸コネクタである。また、
図13において、符号「901」は、医療用信号処理装置900に設けられ、医療用同軸ケーブル800を介して、映像信号を表示装置700に送信するトランスミッタである。さらに、
図13において、符号「701」は、表示装置700に設けられ、医療用同軸ケーブル800を介して、医療用信号処理装置900からの映像信号を受信するレシーバである。
図14は、相手側医療用同軸コネクタ1100に対して医療用同軸コネクタ1300を接続する状態を示す図である。
図15は、
図14を拡大した断面図である。
【0005】
ところで、医療用同軸コネクタ1300は、
図14または
図15に示すように、内部導体1310と、内部導体1310に対して電気的に絶縁され、内部導体1310を囲む筒状の外部導体1350とを備える。また、相手側医療用同軸コネクタ1100も同様に、相手側内部導体1110(
図15)と、相手側内部導体1110に対して電気的に絶縁され、相手側内部導体1110を囲む筒状の相手側外部導体1130とを備える。
そして、内部導体1310の先端は、外部導体1350の先端に対して少し奥まった位置に位置する。このため、通常、内部導体1310に指等が接触し、当該指等と内部導体1310との間に静電気放電が生じることは少ない。しかしながら、
図14または
図15に示すように、相手側医療用同軸コネクタ1100に対して医療用同軸コネクタ1300を斜め挿しすると、相手側外部導体1130が内部導体1310に接触し、相手側外部導体1130と内部導体1310との間に静電気放電が生じることがある。
【0006】
ここで、医療用信号処理装置900(相手側医療用同軸コネクタ1100)に医療用同軸ケーブル800(一方の医療用同軸コネクタ1300)が接続されている状態で、他方の医療用同軸コネクタ1300を表示装置700(相手側医療用同軸コネクタ1100)に対して斜め挿しする場合(
図13)を想定する。
この場合において、他方の医療用同軸コネクタ1300における医療用信号処理装置900内の回路(トランスミッタ901等)と同電位になっている内部導体1310に、表示装置700側の帯電している相手側外部導体1130が接触し、相手側外部導体1130と内部導体1310との間に静電気放電が生じると、医療用信号処理装置900内の回路(トランスミッタ901等)が破損する虞がある、という問題がある。
当該問題を解消するために、内部導体1310から当該回路(トランスミッタ901等)に繋がる信号線にダイオードやバリスタ等のESD(Electro-Static Discharge)保護素子を設けることが考えられる。しかしながら、当該ESD保護素子を設けた場合には、映像信号がなまってしまう。特に、4K等の高精細な映像信号を扱う場合には、当該ESD保護素子を設けることは好ましくない。
そこで、相手側医療用同軸コネクタ1100に医療用同軸コネクタ1300を接続する際に相手側外部導体1130が内部導体1310に接触することを回避することができる技術が要望されている。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、相手側医療用同軸コネクタに接続する際に相手側外部導体が内部導体に接触することを回避することができる医療用同軸コネクタ、医療用同軸ケーブル、及び医療用観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る医療用同軸コネクタは、相手側医療用同軸コネクタに接続し、当該相手側医療用同軸コネクタとの間で被検体の検査結果に応じた映像信号を伝送するBNC型の医療用同軸コネクタであって、前記相手側医療用同軸コネクタは、相手側内部導体と、前記相手側内部導体に対して電気的に絶縁され、当該相手側内部導体を囲む筒状の相手側外部導体とを備え、当該医療用同軸コネクタは、当該医療用同軸コネクタが前記相手側医療用同軸コネクタに接続した際に前記相手側内部導体に電気的に接続する内部導体と、前記内部導体に対して電気的に絶縁されているとともに当該内部導体を囲む筒状に形成され、当該医療用同軸コネクタが前記相手側医療用同軸コネクタに接続した際に前記相手側外部導体に電気的に接続する外部導体と、前記外部導体の内周側に配置され、前記内部導体を囲む筒状の絶縁体とを備え、前記絶縁体は、当該医療用同軸コネクタが前記相手側医療用同軸コネクタに接続した際に前記相手側外部導体の内周側に配置されるとともに、前記相手側医療用同軸コネクタへの接続方向の先端が前記内部導体よりも当該接続方向に突出していることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る医療用同軸コネクタでは、上記発明において、前記外部導体は、当該医療用同軸コネクタが前記相手側医療用同軸コネクタに接続した際に、前記相手側外部導体の外周側に配置されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る医療用同軸ケーブルは、被検体の検査結果に応じた映像信号を伝送する医療用同軸ケーブルであって、前記映像信号を伝送する同軸ケーブル本体と、前記同軸ケーブル本体の両端にそれぞれ設けられた上述した医療用同軸コネクタとを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る医療用観察システムは、被検体の検査結果に応じた映像信号を出力する医療用信号処理装置と、前記映像信号に基づく画像を表示する表示装置とを備えた医療用観察システムであって、前記医療用信号処理装置及び前記表示装置を接続し、前記医療用信号処理装置からの前記映像信号を前記表示装置に伝送する上述した医療用同軸ケーブルを備え、前記医療用信号処理装置及び前記表示装置には、前記医療用同軸ケーブルの両端に設けられた各前記医療用同軸コネクタにそれぞれ接続する前記相手側医療用同軸コネクタがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る医療用同軸コネクタでは、内部導体と外部導体との間には、内部導体を囲む筒状の絶縁体が設けられている。また、絶縁体は、医療用同軸コネクタが相手側医療用同軸コネクタに接続した際に相手側外部導体の内周側に配置されるとともに、相手側医療用同軸コネクタへの接続方向の先端が内部導体よりも当該接続方向に突出している。
このため、相手側医療用同軸コネクタに対して医療用同軸コネクタを斜め挿しした場合には、相手側外部導体は、内部導体ではなく、絶縁体に接触する。すなわち、絶縁体は、相手側外部導体が内部導体に接触することを妨げる障害物となる。したがって、本発明に係る医療用同軸コネクタによれば、相手側医療用同軸コネクタに接続する際に相手側外部導体が内部導体に接触することを回避することができる、という効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る医療用同軸ケーブル及び医療用観察システムは、上述した医療用同軸コネクタを備えるため、上述した医療用同軸コネクタと同様の作用及び効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0016】
(実施の形態1)
〔医療用観察システムの概略構成〕
図1は、本実施の形態1に係る医療用観察システム1の概略構成を示す図である。
医療用観察システム1は、医療分野において用いられ、生体内等の被検体を観察する装置である。この医療用観察システム1は、
図1に示すように、挿入部2と、光源装置3と、ライトガイド4と、カメラヘッド5と、第1伝送ケーブル6と、表示装置7と、第2伝送ケーブル8と、制御装置9と、第3伝送ケーブル10とを備える。
【0017】
本実施の形態1では、挿入部2は、硬性内視鏡で構成されている。すなわち、挿入部2は、硬質または少なくとも一部が軟質で細長形状を有し、生体内に挿入される。この挿入部2内には、1または複数のレンズを用いて構成され、被写体像を集光する光学系が設けられている。
光源装置3は、ライトガイド4の一端が接続され、制御装置9による制御の下、当該ライトガイド4の一端に生体内を照明するための光を供給する。
ライトガイド4は、一端が光源装置3に着脱自在に接続されるとともに、他端が挿入部2に着脱自在に接続される。そして、ライトガイド4は、光源装置3から供給された光を一端から他端に伝達し、挿入部2に供給する。挿入部2に供給された光は、当該挿入部2の先端から出射され、生体内に照射される。生体内に照射された光(被写体像)は、挿入部2内の光学系により集光される。
【0018】
カメラヘッド5は、挿入部2の基端(接眼部21(
図1))に着脱自在に接続される。そして、カメラヘッド5は、制御装置9による制御の下、挿入部2にて集光された被写体像を撮像し、当該撮像による画像信号(RAW信号)を出力する。本実施の形態1では、当該画像信号は、4K以上の画像信号である。
第1伝送ケーブル6は、一端がコネクタCN1(
図1)を介して制御装置9に着脱自在に接続され、他端がコネクタCN2(
図1)を介してカメラヘッド5に着脱自在に接続される。そして、第1伝送ケーブル6は、カメラヘッド5から出力される画像信号を制御装置9に伝送するとともに、制御装置9から出力される制御信号、同期信号、クロック、及び電力等をカメラヘッド5にそれぞれ伝送する。
なお、第1伝送ケーブル6を介したカメラヘッド5から制御装置9への画像信号の伝送は、当該画像信号を光信号で伝送してもよく、あるいは、電気信号で伝送しても構わない。第1伝送ケーブル6を介した制御装置9からカメラヘッド5への制御信号、同期信号、クロックの伝送も同様である。
【0019】
表示装置7は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いた表示ディスプレイを用いて構成され、制御装置9にて処理された映像信号に基づく画像を表示する。
この表示装置7には、外装筐体70(
図2参照)の外面から露出するように、ジャックコネクタ11が設けられている(
図1)。このジャックコネクタ11は、BNC型の同軸コネクタであり、本発明に係る相手側医療用同軸コネクタとしての機能を有する。
なお、ジャックコネクタ11の詳細な構成については後述する。
第2伝送ケーブル8は、BNC型の同軸ケーブルであり、本発明に係る医療用同軸ケーブルとしての機能を有する。この第2伝送ケーブル8は、
図1に示すように、同軸ケーブル本体12と、当該同軸ケーブル本体12の両端にそれぞれ設けられたプラグコネクタ13とを備える。
ここで、プラグコネクタ13は、BNC型の同軸コネクタであり、本発明に係る医療用同軸コネクタとしての機能を有する。
なお、プラグコネクタ13の詳細な構成については後述する。
【0020】
制御装置9は、本発明に係る医療用信号処理装置としての機能を有する。
この制御装置9には、表示装置7と同様に、外装筐体90(
図2参照)の外面から露出するように、ジャックコネクタ11が設けられている(
図1)。そして、第2伝送ケーブル8は、各プラグコネクタ13が各ジャックコネクタ11にそれぞれ接続することで、表示装置7及び制御装置9を接続し、制御装置9からの映像信号を表示装置7に伝送する。
また、制御装置9は、CPU(Central Processing Unit)等を含んで構成され、光源装置3、カメラヘッド5、及び表示装置7の動作を統括的に制御する。
具体的に、制御装置9は、第1伝送ケーブル6を介してカメラヘッド5から取得した画像信号に対して所定の処理を施すことで映像信号を生成し、第2伝送ケーブル8を介して当該映像信号を表示装置7に出力する。そして、表示装置7は、当該映像信号に基づく画像を表示する。また、制御装置9は、第1,第3伝送ケーブル6,10を介して、カメラヘッド5や光源装置3に対して制御信号等を出力する。
第3伝送ケーブル10は、一端が光源装置3に着脱自在に接続され、他端が制御装置9に着脱自在に接続される。そして、第3伝送ケーブル10は、制御装置9からの制御信号を光源装置3に伝送する。
【0021】
〔ジャックコネクタの構成〕
次に、ジャックコネクタ11の構成について説明する。
図2及び
図3は、ジャックコネクタ11の構成を示す図である。具体的に、
図2は、表示装置7や制御装置9の外装筐体70,90に取り付けられた状態のジャックコネクタ11を先端側から見た斜視図である。
図3は、ジャック側外部コンタクト113の中心軸Ax1を含む切断面にて当該ジャックコネクタ11を切断した断面図である。
ジャックコネクタ11は、
図2または
図3に示すように、ジャック側中心コンタクト111と、ジャック側絶縁基体112と、ジャック側外部コンタクト113とを備える。
【0022】
ジャック側中心コンタクト111は、導電性材料で構成され、本発明に係る相手側内部導体としての機能を有する。このジャック側中心コンタクト111は、
図2または
図3に示すように、円筒形状を有し、中心軸Ax1と同軸となる姿勢で配置される。そして、ジャック側中心コンタクト111は、表示装置7内または制御装置9内の回路に電気的に接続される。
このジャック側中心コンタクト111には、
図2に示すように、プラグコネクタ13への接続方向Di1の先端から基端に向けて延びるスリット1111が周方向に複数設けられている。そして、当該スリット1111により、ジャック側中心コンタクト111の先端側は、基端側を支点として中心軸Ax1に対して近接隔離する方向に弾性変形可能とする。
【0023】
ジャック側絶縁基体112は、絶縁性材料で構成され、
図3に示すように、ジャック側中心コンタクト111の外径寸法と略同一の内径寸法を有する円筒状に形成されている。そして、ジャック側絶縁基体112には、ジャック側中心コンタクト111が嵌合される。この状態では、ジャック側中心コンタクト111における接続方向Di1の先端は、ジャック側絶縁基体112よりも接続方向Di1に突出している。
【0024】
ジャック側外部コンタクト113は、導電性材料で構成され、本発明に係る相手側外部導体としての機能を有する。このジャック側外部コンタクト113は、
図2または
図3に示すように、円筒形状を有し、ジャック側中心コンタクト111が中心軸Ax1と同軸となるように、基端側の内周面にてジャック側絶縁基体112を介して当該ジャック側中心コンタクト111を支持する。すなわち、ジャック側外部コンタクト113は、ジャック側絶縁基体112により、ジャック側中心コンタクト111と電気的に絶縁されている。この状態では、ジャック側外部コンタクト113における接続方向Di1の先端は、ジャック側中心コンタクト111よりも接続方向Di1に突出している。
【0025】
このジャック側外部コンタクト113の内周面は、基端側よりも先端側の径寸法が大きくなるように形成されている。すなわち、ジャック側外部コンタクト113の内周面には、
図3に示すように、中心軸Ax1に直交する平坦状の段差部1131が形成されている。以下、段差部1131よりも基端側の内周面を内周面1132(
図3)と記載し、先端側の内周面を内周面1133(
図3)と記載する。
また、ジャック側外部コンタクト113の外周面において、互いに対向する位置には、
図2に示すように、外部に向けてそれぞれ突出する2つの突出部1134がそれぞれ形成されている。なお、
図2では、2つの突出部1134のうち、1つのみが見えている。
さらに、ジャック側外部コンタクト113の外周面には、外部に向けて張り出し、ネジSc(
図2)により、外装筐体70,90に対して固定するためのフランジ(図示略)が形成されている。
【0026】
〔プラグコネクタの構成〕
次に、プラグコネクタ13の構成について説明する。
図4及び
図5は、プラグコネクタ13の構成を示す図である。具体的に、
図4は、第2伝送ケーブル8の一端に設けられたプラグコネクタ13を示す斜視図である。
図5は、プラグコネクタ13を第2伝送ケーブル8の中心軸Ax2を含む切断面にて切断した断面図である。
プラグコネクタ13は、
図4または
図5に示すように、プラグ側中心コンタクト131と、プラグ側絶縁基体132(
図5)と、絶縁壁133と、円筒部134と、プラグ側外部コンタクト135とを備える。
【0027】
プラグ側中心コンタクト131は、導電性材料で構成され、本発明に係る内部導体としての機能を有する。このプラグ側中心コンタクト131は、ジャックコネクタ11への接続方向Di2の先端が先細りとなり、ジャック側中心コンタクト111の内径寸法よりも若干大きい外径寸法を有する略円柱状のピンで構成されている。そして、プラグ側中心コンタクト131は、第2伝送ケーブル8に対して中心軸Ax2と同軸となる姿勢で固定されるとともに、第2伝送ケーブル8における信号線に電気的に接続する。
【0028】
プラグ側絶縁基体132は、絶縁性材料で構成され、プラグ側中心コンタクト131の外径寸法と略同一の内径寸法を有するとともに、ジャック側外部コンタクト113における内周面1133の内径寸法よりも小さい外径寸法を有する円筒状に形成されている。そして、プラグ側絶縁基体132は、プラグ側中心コンタクト131が挿通(嵌合)された状態で、第2伝送ケーブル8に対して固定される。この状態では、プラグ側中心コンタクト131における接続方向Di2の先端は、プラグ側絶縁基体132よりも接続方向Di2に突出している。
【0029】
絶縁壁133は、絶縁性材料で構成され、本発明に係る絶縁体としての機能を有する。この絶縁壁133は、ジャック側中心コンタクト111の外径寸法よりも大きい内径寸法を有するとともに、プラグ側絶縁基体132の外径寸法よりも小さい外径寸法を有する円筒状に形成されている。そして、絶縁壁133は、プラグ側中心コンタクト131が挿通され(プラグ側信号コンタクト131を囲み)、当該プラグ側中心コンタクト131と同軸となる姿勢で、プラグ側絶縁基体132における接続方向Di2の先端に固定される。この状態では、絶縁壁133における接続方向Di2の先端は、プラグ側中心コンタクト131よりも接続方向Di2に突出している。
【0030】
円筒部134は、導電性材料で構成され、プラグ側絶縁基体132の外径寸法と略同一の内径寸法を有するとともに、ジャック側外部コンタクト113における内周面1133の内径寸法と略同一の外径寸法を有する円筒状に形成されている。また、円筒部134は、プラグ側絶縁基体132が挿通(嵌合)され、内周側にプラグ側中心コンタクト131、プラグ側絶縁基体132、及び絶縁壁133が配置された状態で、第2伝送ケーブル8に対して固定される。この状態では、円筒部134における接続方向Di2の先端は、絶縁壁133における接続方向Di2の先端と略同一の突出位置となる。そして、円筒部134は、プラグ側絶縁基体132及び絶縁壁133によりプラグ側中心コンタクト131と電気的に絶縁された状態で、第2伝送ケーブル8におけるシールド外皮(グランド線)に電気的に接続する。
【0031】
この円筒部134には、
図4に示すように、接続方向Di2の先端から基端に向けてプラグ側絶縁基体132の先端と略同一の位置まで延びるスリット1341が周方向に複数(本実施の形態1では6つ)設けられている。そして、当該スリット1341により、円筒部134における接続方向Di2の先端側は、基端側を支点として中心軸Ax2に近接隔離する方向に弾性変形可能とする6つの板バネ部1342として機能する。
これら6つの板バネ部1342で構成される円筒状の内径寸法は、接続方向Di2の先端側に向かうにしたがって、ジャック側外部コンタクト113における内周面1133の内径寸法よりも若干大きくなり、さらに、屈曲して当該内径寸法よりも若干小さくなるように形成されている。
【0032】
プラグ側外部コンタクト135は、導電性材料で構成され、本発明に係る外部導体としての機能を有する。このプラグ側外部コンタクト135は、ジャック側外部コンタクト113の外径寸法よりも大きい内径寸法を有する円筒状に形成されている。また、プラグ側外部コンタクト135は、内周側にプラグ側中心コンタクト131、プラグ側絶縁基体132、絶縁壁133、及び円筒部134が配置され(プラグ側中心コンタクト131を囲み)、中心軸Ax2と同軸となる姿勢で、第2伝送ケーブル8に対して当該中心軸Ax2を中心として回動可能に取り付けられる。この状態では、プラグ側外部コンタクト135における接続方向Di2の先端は、円筒部134よりも接続方向Di2に突出している。そして、プラグ側外部コンタクト135は、円筒部134と同様に、プラグ側絶縁基体132及び絶縁壁133によりプラグ側中心コンタクト131と電気的に絶縁された状態で、第2伝送ケーブル8におけるシールド外皮(グランド線)に電気的に接続する。
このプラグ側外部コンタクト135の側面において、互いに対向する位置には、
図4または
図5に示すように、中心軸Ax2を中心として螺旋状に延びる2つの切り溝1351がそれぞれ形成されている。なお、
図2では、2つの切り溝1351のうち、1つのみが見えている。
また、プラグ側外部コンタクト135の内周面において、互いに対向する位置には、
図4または
図5に示すように、接続方向Di2の先端から基端に向けて延び、2つの切り溝1351にそれぞれ連通する2つの凹条溝1352がそれぞれ形成されている。
【0033】
〔ジャックコネクタに対するプラグコネクタの接続操作〕
図6は、ジャックコネクタ11及びプラグコネクタ13が互いに接続した状態の断面を示す図である。具体的に、
図6は、
図3及び
図5にそれぞれ対応した断面図である。
以上説明したジャックコネクタ11に対するプラグコネクタ13の接続操作は、以下のようにして行われる。
先ず、作業者は、2つの突出部1134に2つの凹条溝1352を合わせて、プラグコネクタ13を接続方向Di2に挿し込む。
これにより、プラグ側中心コンタクト131は、ジャック側中心コンタクト111を外周側に弾性変形させながら、当該ジャック側中心コンタクト111内に挿し込まれる。また、6つの板バネ部1342は、ジャック側外部コンタクト113により内周側に弾性変形しながら、接続方向Di2の先端が段差部1131に当接するまで、ジャック側外部コンタクト113内に挿し込まれる。
一方、2つの突出部1134は、2つの凹条溝1352に沿って挿し込まれ、2つの切り溝1351内に進入する。また、ジャック側外部コンタクト113は、プラグ側外部コンタクト135と円筒部134との隙間に挿し込まれる。
【0034】
次に、作業者は、2つの突出部1134が2つの切り溝1351の側壁に当接してプラグコネクタ13の接続方向Di2への挿し込みが係止されたら、プラグ側外部コンタクト135を回転操作する。
これにより、2つの突出部2234が2つの切り溝1351に沿って移動し、プラグコネクタ13は、ジャックコネクタ11に接続される。
以上のようにプラグコネクタ13及びジャックコネクタ11が互いに接続されると、
図6に示すように、プラグ側中心コンタクト131は、ジャック側中心コンタクト111に電気的に接続する。また、プラグ側外部コンタクト135及び円筒部134は、ジャック側外部コンタクト113に電気的に接続する。
【0035】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
図7及び
図8は、本実施の形態1の効果を説明する図である。
図7は、
図14に対応した図であって、ジャックコネクタ11に対してプラグコネクタ13を接続する状態を示す図である。
図8は、
図15に対応した図であって、
図7を拡大した断面図である。
本実施の形態1に係るプラグコネクタ13では、プラグ側中心コンタクト131とプラグ側外部コンタクト135との間には、プラグ側中心コンタクト131を囲む筒状の絶縁壁133が設けられている。また、絶縁壁133は、プラグコネクタ13がジャックコネクタ11に接続した際にジャック側外部コンタクト113の内周側に配置されるとともに、接続方向Di2の先端がプラグ側中心コンタクト131よりも接続方向Di2に突出している。
このため、
図7または
図8に示すように、プラグコネクタ13を接続方向Di1,Di2が互いに交差した状態でジャックコネクタ11に対して挿し込んだ場合(斜め挿しした場合)には、ジャック側外部コンタクト113は、プラグ側中心コンタクト131ではなく、絶縁壁133に接触する。すなわち、絶縁壁133は、ジャック側外部コンタクト113がプラグ側中心コンタクト131に接触することを妨げる障害物となる。したがって、本実施に係るプラグコネクタ13によれば、ジャックコネクタ11に接続する際にジャック側外部コンタクト113がプラグ側中心コンタクト131に接触することを回避することができる、という効果を奏する。すなわち、制御装置9(ジャックコネクタ11)に第2伝送ケーブル8(一方のプラグコネクタ13)が接続されている状態で、他方のプラグコネクタ13を表示装置7(ジャックコネクタ11)に対して斜め挿しした場合であっても、ジャック側外部コンタクト113とプラグ側中心コンタクト131との接触を回避することができるため、静電気放電による制御装置9内の回路が破損する虞がない。
【0036】
ところで、プラグ側外部コンタクト135は、ジャック側外部コンタクト113よりも径寸法が大きい。このため、ジャックコネクタ11にプラグコネクタ13を接続する際に、プラグ側外部コンタクト135は、ジャック側中心コンタクト111に接触し難いものとなる。一方で、ジャック側外部コンタクト113は、プラグ側中心コンタクト131に接触し易いものとなる。
本実施の形態1では、プラグコネクタ13に絶縁壁133を設けている。このため、プラグ側外部コンタクト135及びジャック側中心コンタクト111と、ジャック側外部コンタクト113及びプラグ側中心コンタクト131とのうち、接触し易いジャック側外部コンタクト113及びプラグ側中心コンタクト131の当該接触を絶縁壁133にて効果的に回避することができる。
【0037】
ところで、第2伝送ケーブル8において、同軸ケーブル本体12の両端にそれぞれ設けられたプラグコネクタ13のうち、一方にのみ絶縁壁133を設けた場合を想定する。この場合には、例えば、作業者が誤って、絶縁壁133が設けられたプラグコネクタ13を制御装置9(ジャックコネクタ11)に接続し、この状態で、絶縁壁133が設けられていないプラグコネクタ13を表示装置7(ジャックコネクタ11)に接続すると、ジャック側外部コンタクト113がプラグ側中心コンタクト131に接触してしまう虞がある、という問題がある。
これに対して、本実施の形態1に係る第2伝送ケーブル8では、同軸ケーブル本体12の両端にそれぞれ設けられたプラグコネクタ13には、絶縁壁133がそれぞれ設けられている。このため、上述した問題が生じることがない。
【0038】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
上述した実施の形態1では、硬性内視鏡(挿入部2)を用いた医療用観察システム1に本発明を適用していた。
これに対して、本実施の形態2では、挿入部の先端側に撮像部を有する所謂ビデオスコープを用いた医療用観察システムに本発明を適用している。
【0039】
図9は、本実施の形態2に係る医療用観察システム1Aの概略構成を示す図である。
本実施の形態2に係る医療用観察システム1Aは、
図9に示すように、生体内に挿入部2Aを挿入することによって観察部位の体内画像を撮像して画像信号を出力する内視鏡14と、内視鏡14の先端から出射する照明光を発生する光源装置3と、内視鏡14から出力された画像信号を処理して映像信号を生成及び出力する制御装置9と、当該映像信号に基づく画像を表示する表示装置7と、各ジャックコネクタ11及び各プラグコネクタ13にて制御装置9及び表示装置7を接続し、制御装置9からの映像信号を表示装置7に伝送する第2伝送ケーブル8とを備える。
【0040】
内視鏡14は、
図9に示すように、可撓性を有する細長形状をなす挿入部2Aと、挿入部2Aの基端側に接続され、各種の操作信号の入力を受け付ける操作部141と、操作部141から挿入部2Aが延びる方向と異なる方向に延び、光源装置3及び制御装置9に接続する各種ケーブルを内蔵するユニバーサルコード142とを備える。
挿入部2Aは、
図9に示すように、生体内を撮像して画像信号を生成する撮像部(図示略)を内蔵した先端部22と、先端部22の基端側に接続され、複数の湾曲駒によって構成された湾曲自在な湾曲部23と、湾曲部23の基端側に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部24とを備える。そして、先端部22(撮像部)にて撮像された画像信号は、操作部141及びユニバーサルコード142を介して、制御装置9に出力される。
【0041】
以上説明した本実施の形態2のように軟性内視鏡(内視鏡14)を用いた場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0042】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
上述した実施の形態1では、硬性内視鏡(挿入部2)を用いた医療用観察システム1に本発明を適用していた。
これに対して、本実施の形態3では、被検体内部(生体内)や被検体表面(生体表面)の所定の視野領域を拡大して撮像する手術用顕微鏡を用いた医療用観察システムに本発明を適用している。
【0043】
図10は、本実施の形態3に係る医療用観察システム1Bの概略構成を示す図である。
本実施の形態3に係る医療用観察システム1Bは、
図10に示すように、被写体を観察するための画像を撮像して画像信号を出力する手術用顕微鏡15と、手術用顕微鏡15から出力された画像信号を処理して映像信号を生成及び出力する制御装置9と、当該映像信号に基づく画像を表示する表示装置7と、各ジャックコネクタ11及び各プラグコネクタ13にて制御装置9及び表示装置7を接続し、制御装置9からの映像信号を表示装置7に伝送する第2伝送ケーブル8とを備える。
【0044】
手術用顕微鏡15は、
図10に示すように、被写体の微小部位を拡大して撮像し、画像信号を出力する顕微鏡部151と、顕微鏡部151の基端部に接続し、顕微鏡部151を回動可能に支持するアームを含む支持部152と、支持部152の基端部を回動可能に保持し、床面上を移動可能なベース部153とを備える。
そして、制御装置9は、
図10に示すように、ベース部153に設置されている。また、支持部152には、当該支持部152に沿って第1伝送ケーブル6が配線されている。すなわち、顕微鏡部151にて撮像された画像信号は、当該第1伝送ケーブル6を介して、制御装置9に出力される。
なお、ベース部153は、床面上に移動可能に設けるのではなく、天井や壁面等に固定して支持部152を支持する構成としてもよい。また、ベース部153は、手術用顕微鏡15から被写体に照射する照明光を生成する光源部を備えていてもよい。
【0045】
以上説明した本実施の形態3のように手術用顕微鏡15を用いた場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0046】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1〜3によってのみ限定されるべきものではない。
図11及び
図12は、本実施の形態1〜3の変形例を示す図である。具体的に、
図11は、
図2に対応した図である。
図12は、
図6に対応した断面図である。
上述した実施の形態1〜3において、
図11ないし
図13に示すように、ジャックコネクタ11に絶縁スリーブ114を設けても構わない。
絶縁スリーブ114は、絶縁性材料で構成され、
図11または
図12に示すように、ジャック側中心コンタクト111の外径寸法よりも若干大きい内径寸法を有するとともに、絶縁壁133の内径寸法よりも小さい外径寸法を有する円筒状に形成されている。そして、絶縁スリーブ114は、ジャック側中心コンタクト111が挿通(嵌合)された状態で、ジャック側絶縁基体112における接続方向Di1の先端に固定される。この状態では、絶縁スリーブ114における接続方向Di1の先端は、ジャック側中心コンタクト111における接続方向Di1の先端と略同一の突出位置となる。そして、絶縁スリーブ114は、ジャックコネクタ11に対してプラグコネクタ13が挿し込まれた際に、絶縁壁133内に挿し込まれる。
以上説明した本変形例によれば、上述した実施の形態1〜3と同様の効果を奏する他、絶縁スリーブ114により、ジャック側中心コンタクト111の折れ及び曲がりを防止することができる。
【0047】
上述した実施の形態1〜3において、プラグコネクタ13におけるプラグ側中心コンタクト131をジャック側中心コンタクト111と同様の形状とし、ジャックコネクタ11におけるジャック側中心コンタクト111をプラグ側中心コンタクト131と同様の形状としても構わない。
上述した実施の形態1〜3において、絶縁壁133をジャックコネクタ11に設けても構わない。この際でも、当該絶縁壁133における接続方向Di1の先端は、ジャック側中心コンタクト111よりも接続方向Di1に突出することが好ましい。
【0048】
上述した実施の形態1〜3において、ジャックコネクタ11やプラグコネクタ13として、当該コネクタ内にケーブルドライバやイコライザ等を内蔵した所謂、アクティブBNCを採用しても構わない。