【解決手段】 厚さ方向Zを向く素子主面111と素子主面111から露出する電極パッド112とを有し、かつ半導体素子である第1素子11と、素子主面111に対向して配置され、かつ電極パッド112に導通する配線層20と、配線層20に搭載された第2素子31と、配線層20に導通し、かつ厚さ方向Zに沿って延出するとともに、第2素子31とは離間して配置された柱状体24と、配線層20および第2素子31を覆う封止樹脂4と、を備え、柱状体24は、厚さ方向Zに沿う側面241と、側面241に交差する端面242と、を有し、側面241が封止樹脂4に覆われ、端面242が封止樹脂4から露出している。
前記絶縁層は、前記第1素子の前記素子主面に接し、かつ前記第1素子の前記電極パッドに通じる第1開口部が形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層と前記封止樹脂との双方に接し、かつ前記柱状体が貫通する第2開口部が形成された第2絶縁層と、を含む、請求項2に記載の半導体装置。
前記配線層は、前記第1素子の前記電極パッドに接し、かつ前記第1絶縁層の前記第1開口部に充填された埋込部と、前記第1絶縁層に接し、かつ前記第2絶縁層に覆われた薄膜部と、を含み、
前記第2素子は、前記薄膜部に搭載され、前記柱状体は、前記薄膜部に接している、請求項3または4に記載の半導体装置。
前記配線層を形成する工程では、前記電極パッドに接する下地層をスパッタリング法により形成する工程と、前記下地層に接するめっき層を電解めっきにより形成する工程と、を含む、請求項22に記載の半導体装置の製造方法。
前記配線層を形成する工程では、前記めっき層に接し、かつ前記素子を搭載する搭載パッドを電解めっきにより形成する工程を含む、請求項24に記載の半導体装置の製造方法。
前記電極パッドを形成する工程と、前記配線層を形成する工程との間に、前記基材の前記主面と前記下地層との双方に接する絶縁層をフォトリソグラフィにより形成する工程を備える、請求項23ないし26のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
前記配線層を形成する工程と、前記素子を搭載する工程との間に、前記絶縁層に接し、かつ前記めっき層を覆う保護層をフォトリソグラフィにより形成する工程を含む、請求項27に記載の半導体装置の製造方法。
前記封止樹脂を形成する工程の後に、前記封止樹脂から露出した前記柱状体の前記端面に接する端子を形成する工程を備える、請求項22ないし28のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
前記端子を形成する工程の後に、前記基材の厚さ方向において前記主面とは反対側に位置する前記基材の一部を除去する工程を備える、請求項29または30に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の事情に鑑み、さらなる薄型化および信頼性の向上を図ることが可能な半導体装置およびその製造方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される半導体装置は、厚さ方向を向く素子主面と前記素子主面から露出する電極パッドとを有し、かつ半導体素子である第1素子と、前記素子主面に対向して配置され、かつ前記電極パッドに導通する配線層と、前記配線層に搭載された第2素子と、前記配線層に導通し、かつ前記第1素子の厚さ方向に沿って延出するとともに、前記第2素子とは離間して配置された柱状体と、前記第2素子を覆う封止樹脂と、を備え、前記柱状体は、前記第1素子の厚さ方向に沿う側面と、前記側面に交差する端面と、を有し、前記側面が前記封止樹脂に覆われ、前記端面が前記封止樹脂から露出していることを特徴としている。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記第1素子の前記素子主面と前記封止樹脂との双方に接し、かつ前記配線層を覆う絶縁層を備える。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記絶縁層は、前記第1素子の前記素子主面に接し、かつ前記第1素子の前記電極パッドに通じる第1開口部が形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層と前記封止樹脂との双方に接し、かつ前記柱状体が貫通する第2開口部が形成された第2絶縁層と、を含む。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、ともにポリイミドから構成される。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層は、前記第1素子の前記電極パッドに接し、かつ前記第1絶縁層の前記第1開口部に充填された埋込部と、前記第1絶縁層に接し、かつ前記第2絶縁層に覆われた薄膜部と、を含み、前記第2素子は、前記薄膜部に搭載され、前記柱状体は、前記薄膜部に接している。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記薄膜部と前記第2素子との間に介在する接合層を備える。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記薄膜部には、前記薄膜部と前記接合層との間に介在し、かつ前記第2素子を搭載する搭載パッドが形成されている。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記搭載パッドは、Niから構成される。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層は、互いに積層された下地層およびめっき層から構成され、前記下地層は、前記第1絶縁層および前記第1素子の前記電極パッドに接し、かつ前記薄膜部における前記めっき層よりも厚さが薄く設定されている。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、前記下地層は、前記第1絶縁層および前記第1素子の前記電極パッドに接する第1下地層と、前記第1下地層と前記めっき層との間に介在する第2下地層と、を含み、前記第2下地層および前記めっき層は、ともに同一の材料から構成される。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記第2下地層および前記めっき層は、ともにCuから構成される。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記第1下地層は、Tiから構成される。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、前記柱状体は、前記第2下地層および前記めっき層と同一の材料から構成される。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、前記第1素子は、前記柱状体および前記封止樹脂よりも厚さが薄く設定されている。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、前記柱状体の前記端面に接し、かつ外部に露出する端子を備える。
【0023】
本発明の実施において好ましくは、前記端子は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。
【0024】
本発明の実施において好ましくは、前記柱状体の形状は、角柱状である。
【0025】
本発明の実施において好ましくは、前記端子は、はんだボールから構成される。
【0026】
本発明の実施において好ましくは、前記柱状体の形状は、円柱状である。
【0027】
本発明の実施において好ましくは、前記第2素子は、半導体素子である。
【0028】
本発明の実施において好ましくは、前記第2素子は、受動素子である。
【0029】
本発明の第2の側面によって提供される半導体装置の製造方法は、厚さ方向を向く主面を有し、かつ単結晶の半導体材料から構成された基材において、前記主面を含む部分に形成された回路に導通する電極パッドを形成する工程と、前記主面に対向し、かつ前記電極パッドに導通する配線層を形成する工程と、前記配線層に素子を搭載する工程と、前記素子を覆う封止樹脂を形成する工程と、を備え、前記配線層を形成する工程では、前記基材の厚さ方向に延出する柱状体を形成する工程を含み、前記封止樹脂を形成する工程では、前記柱状体には、前記基材の厚さ方向に交差し、かつ前記封止樹脂から露出する端面が形成されることを特徴としている。
【0030】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層を形成する工程では、前記電極パッドに接する下地層をスパッタリング法により形成する工程と、前記下地層に接するめっき層を電解めっきにより形成する工程と、を含む。
【0031】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層を形成する工程では、前記柱状体は、電解めっきにより前記めっき層に接するように形成される。
【0032】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層を形成する工程では、前記めっき層に接し、かつ前記素子を搭載する搭載パッドを電解めっきにより形成する工程を含む。
【0033】
本発明の実施において好ましくは、前記素子は、半導体素子であり、前記配線層を形成する工程では、前記搭載パッドと前記素子との双方に接する接合層を電解めっきにより形成する工程を含む。
【0034】
本発明の実施において好ましくは、前記電極パッドを形成する工程と、前記配線層を形成する工程との間に、前記基材の前記主面と前記下地層との双方に接する絶縁層をフォトリソグラフィにより形成する工程を備える。
【0035】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層を形成する工程と、前記素子を搭載する工程との間に、前記絶縁層に接し、かつ前記めっき層を覆う保護層をフォトリソグラフィにより形成する工程を含む。
【0036】
本発明の実施において好ましくは、前記封止樹脂を形成する工程の後に、前記封止樹脂から露出した前記柱状体の前記端面に接する端子を形成する工程を備える。
【0037】
本発明の実施において好ましくは、前記端子を形成する工程では、無電解めっきにより前記端子が形成される。
【0038】
本発明の実施において好ましくは、前記端子を形成する工程の後に、前記基材の厚さ方向において前記主面とは反対側に位置する前記基材の一部を除去する工程を備える。
【発明の効果】
【0039】
本発明にかかる半導体装置は、素子主面から露出する電極パッドを有する第1素子と、素子主面に対向して配置され、かつ電極パッドに導通する配線層と、配線層に搭載された第2素子と、第2素子を覆う封止樹脂を備える。また、当該半導体装置は、配線層に導通し、かつ第1素子の厚さ方向に沿って延出するとともに、第2素子とは離間して配置された柱状体を備える。柱状体は、側面と、側面に交差する端面を有し、側面が封止樹脂に覆われ、端面が封止樹脂から露出している。このような構成をとることによって、第1素子を搭載する基板が不要となり、装置のさらなる薄型化を図ることができる。また、当該半導体装置において、第1素子および第2素子と外部の回路基板との導電経路となる柱状体は、端面以外は封止樹脂に覆われているため、外部環境から保護された状態となっている。このため、当該半導体装置において、外部環境に起因した不具合が発生するおそれがなくなる。したがって、当該半導体装置によればさらなる薄型化および信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0040】
本発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、基材の主面に対向し、かつ基材に形成された電極パッドに導通するとともに、素子を搭載する配線層を形成する工程を備え、配線層を形成する工程では、基材の厚さ方向に延出する柱状体を形成する工程を含む。このような工程をとることによって、当該半導体装置において、第1素子を搭載する基板を不要とすることができる。また、当該半導体装置の製造方法によれば、上述の工程にあわせて、素子を覆う封止樹脂を形成する工程を備える。封止樹脂を形成する工程では、柱状体には、基材の厚さ方向に交差し、かつ封止樹脂から露出する端面が形成される。このような工程をとることによって、当該半導体装置において、端面を除く柱状体が封止樹脂に覆われた構成とすることができる。
【0041】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、添付図面に基づいて説明する。
【0044】
〔第1実施形態〕
図1〜
図7に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、第1素子11、絶縁層12、配線層20、柱状体24、第2素子31、接合層32、封止樹脂4および端子5を備える。これらのうち絶縁層12は、第1絶縁層121および第2絶縁層122を含む。
【0045】
図1は、半導体装置A10の斜視図である。
図2は、半導体装置A10の平面図である。
図1および
図2は、理解の便宜上、第2素子31および封止樹脂4を透過している。
図3は、
図2から第2絶縁層122、第2素子31、接合層32および封止樹脂4を除いた平面図である。
図4は、半導体装置A10の第1素子11および第1絶縁層121の平面図である。
図5は、
図2のV−V線に沿う断面図である。
図6は、
図2のVI−VI線に沿う断面図である。
図7は、
図5の部分拡大図である。なお、
図1において透過した第2素子31および封止樹脂4と、
図2において透過した第2素子31とのそれぞれの外形を想像線(二点鎖線)で示している。
【0046】
これらの図に示す半導体装置A10は、様々な電子機器の回路基板に表面実装される樹脂パッケージ形式のものである。
図1および
図2に示すように、半導体装置A10の第1素子11の厚さ方向Z視(以下「平面視」という。)の形状は矩形状である。ここで、説明の便宜上、第1素子11の厚さ方向Zに対して直角である半導体装置A10の長辺方向を第1方向Xと呼ぶ。また、第1素子11の厚さ方向Zおよび第1方向Xに対していずれも直角である半導体装置A10の短辺方向を第2方向Yと呼ぶ。
【0047】
第1素子11は、半導体装置A10の機能中枢となる素子であり、かつ半導体素子である。第1素子11は、たとえば集積回路(IC)である。第1素子11は、半導体装置A10に要求される機能に応じて様々な半導体素子を採ることができる。
図1、
図5および
図6に示すように、第1素子11は、素子主面111、電極パッド112および素子裏面113を有する。素子主面111は、第1素子11の厚さ方向Zを向く、
図5および
図6に示す第1素子11の上面である。素子主面111は、その全面が第1絶縁層121に覆われている。電極パッド112は、素子主面111から露出する第1素子11の電極である。電極パッド112は、素子主面111を含む部分に形成された回路(図示略)と配線層20とに導通している。電極パッド112は、たとえばAlから構成される。素子裏面113は、第1素子11の厚さ方向Zにおいて素子主面111とは反対側を向く、
図5および
図6に示す第1素子11の下面である。素子裏面113は、その全面が半導体装置A10の外部に露出している。第1素子11の厚さは、50〜100μmである。
【0048】
絶縁層12は、
図1、
図5および
図6に示すように、第1素子11の素子主面111と封止樹脂4との双方に接し、かつ配線層20を覆う絶縁体である。本実施形態にかかる絶縁層12は、素子主面111に接する第1絶縁層121と、第1絶縁層121と封止樹脂4との双方に接する第2絶縁層122とを含み、第1絶縁層121と第2絶縁層122とは、互いに積層されている。また、本実施形態にかかる第1絶縁層121および第2絶縁層122は、ともにポリイミドから構成される。
【0049】
図3〜
図6に示すように、第1絶縁層121には、第1開口部121aが形成されている。第1開口部121aは、第1絶縁層121を貫通し、かつ第1素子11の電極パッド112に通じている。第1開口部121aから電極パッド112の一部が露出し、第1開口部121aにおいて配線層20が電極パッド112に接している。
【0050】
図2および
図5に示すように、第2絶縁層122には、第2開口部122aが形成されている。第2開口部122aには、柱状体24が貫通している。第2開口部122aから配線層20の一部が露出し、第2開口部122aにおいて柱状体24が配線層20に接している。また、
図2、
図5および
図6に示すように、本実施形態にかかる第2絶縁層122には、第2開口部122aと同様に、配線層20の一部が露出する第3開口部122bが形成されている。第3開口部122bから配線層20に形成された後述する搭載パッド23が露出している。なお、第2絶縁層122は省略することができる。この場合において、配線層20は、第1絶縁層121に接し、かつ封止樹脂4に覆われた構成となる。
【0051】
配線層20は、
図1、
図5および
図6に示すように、第1素子11の素子主面111に対向して配置され、かつ第1素子11の電極パッド112に導通する導電部材である。本実施形態にかかる配線層20は、第1絶縁層121に接して配置されている。配線層20は、互いに積層された下地層201およびめっき層202から構成される。下地層201は、第1絶縁層121および第1素子11の電極パッド112に接し、かつめっき層202に覆われている。また、めっき層202は、第2絶縁層122の第2開口部122aおよび第3開口部122bから露出する部分を除き、第2絶縁層122に覆われている。本実施形態においては、下地層201の厚さは200〜300nmであり、後述する薄膜部22(配線層20の一部)におけるめっき層202の厚さは3〜10μmである。このため、下地層201は、薄膜部22におけるめっき層202よりも厚さが薄く設定されている。
【0052】
図7に示すように、下地層201は、第1絶縁層121および第1素子11の電極パッド112に接する第1下地層201aと、第1下地層201aとめっき層202との間に介在する第2下地層211bを含む。本実施形態においては、第1下地層201aはTiから構成され、第2下地層201bはCuから構成される。また、めっき層202は、Cuから構成される。このため、第2下地層201bおよびめっき層202は、ともに同一の材料から構成される。
【0053】
本実施形態にかかる配線層20は、
図1、
図3、
図5および
図6に示すように、埋込部21および薄膜部22を含む。
図3、
図5および
図6に示すように、埋込部21は、第1素子11の電極パッド112に接し、かつ第1絶縁層121の第1開口部121aに充填された部分である。第1素子11の厚さ方向Zにおいて、埋込部21は、電極パッド112と薄膜部22との間に位置する。
【0054】
図2、
図3、
図5および
図6に示すように、薄膜部22は、第1絶縁層121に接し、かつ第2絶縁層122に覆われた部分である。薄膜部22は、埋込部21を介して第1素子11の電極パッド112に導通している。本実施形態においては、第2素子31は薄膜部22に搭載され、柱状体24は薄膜部22に接している。また、本実施形態にかかる薄膜部22には、薄膜部22と接合層32との間に介在し、かつ第2素子31を搭載する搭載パッド23が形成されている。搭載パッド23は、導電性を有する。搭載パッド23は、第2絶縁層122に第3開口部122bに充填され、かつ薄膜部22のめっき層202に接している。本実施形態にかかる搭載パッド23は、Niから構成される。
【0055】
柱状体24は、
図1〜
図3および
図5に示すように、配線層20に導通し、かつ第1素子11の厚さ方向Zに沿って延出するとともに、第2素子31とは配置された導電部材である。柱状体24は、配線層20の第2下地層201bおよびめっき層202と同一の材料から構成される。このため、本実施形態にかかる柱状体24は、Cuから構成される。柱状体24の厚さ(高さ)は、100〜300μmである。このため、第1素子11は、柱状体24よりも厚さが薄く設定されている。また、本実施形態にかかる柱状体24は複数により構成される。各々の柱状体24の形状は、いずれも角柱状で、かつ同一である。
【0056】
図1〜
図3および
図5に示すように、柱状体24は、第1素子11の厚さ方向Zに沿う側面241と、側面241に交差する端面242を有する。側面241は、封止樹脂4に覆われている。端面242は、後述する封止樹脂4の実装面41から露出し、かつ第1素子11の素子主面111と同方向を向く。本実施形態にかかる端面242は、矩形状である。端面242は、端子5に接している。また、第1素子11の厚さ方向Zにおいて、端面242とは反対側に位置する柱状体24の部分は、第2絶縁層122の第2開口部122aにおいて薄膜部22のめっき層202に接している。なお、第2絶縁層122を省略した場合、柱状体24の側面241は、全て封止樹脂4に覆われた構成となる。
【0057】
第2素子31は、
図1、
図2、
図5および
図6に示すように、配線層20の搭載パッド23に搭載される素子である。本実施形態にかかる第2素子31は、集積回路などの半導体素子である。第1素子11および第2素子31を集積回路とする場合、第1素子11を論理素子(ロジックIC)、第2素子31を記憶素子(メモリIC)とすることができる。これに限られず、第2素子31は、半導体装置A10に要求される機能に応じて様々な半導体素子を採ることができる。本実施形態にかかる第2素子31は、いわゆるフリップチップ型の半導体素子である。
図5および
図6に示す第2素子31の下面には、複数の電極バンプ311が配置されている。各々の電極バンプ311は、接合層32に接している。本実施形態にかかる電極バンプ311は、Alから構成される。
【0058】
接合層32は、
図1、
図2および
図5〜
図7に示すように、配線層20の薄膜部22に形成された搭載パッド23と、第2素子31の電極バンプ311との間に介在する導電部材である。第2素子31は、接合層32により搭載パッド23に固着されることによって、搭載パッド23に搭載された構成となっている。あわせて、接合層32により搭載パッド23と第2素子31との導通が確保される。本実施形態にかかる接合層32は、互いに積層されたNi層およびSnを含む合金層から構成される。当該Ni層は、電極バンプ311に接する部分である。このため、本実施形態にかかるSnを含む合金層は、搭載パッド23と当該Ni層との間に挟まれた構成となっている。当該合金層は、たとえばSn−Sb系合金またはSn−Ag系合金などの鉛フリーはんだである。また、本実施形態においては、接合層32の平面視の形状は、搭載パッド23の平面視の形状と同一である。
【0059】
封止樹脂4は、
図1、
図5および
図6に示すように、柱状体24の側面241および第2素子31を覆う絶縁体の部材である。本実施形態にかかる封止樹脂4は、エポキシ樹脂を主剤とした黒色の合成樹脂である。封止樹脂4は、実装面41および接合面42を有する。
図5および
図6に示すように、実装面41は、第1素子11の素子裏面113とは反対側を向き、かつ素子裏面113とともに半導体装置A10の外部に露出する面である。半導体装置A10を回路基板に実装したとき、実装面41は当該回路基板に対向する。なお、柱状体24の端面242は、実装面41から露出する構成となっている。
図5および
図6に示すように、接合面42は、実装面41とは反対側を向き、かつ第2絶縁層122に接する面である。封止樹脂4の厚さは、100〜300μmである。このため、第1素子11は、封止樹脂4よりも厚さが薄く設定されている。
【0060】
端子5は、
図1〜
図3および
図5に示すように、柱状体24の端面242に接し、かつ半導体装置A10の外部に露出する導電部材である。端子5は、半導体装置A10を回路基板に実装する際に、クリームはんだなどの接合部材が付着する部分である。本実施形態にかかる端子5は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。Ni層が端面242に接し、Pd層がNi層に接し、Au層がPd層に接する構成となっている。
【0061】
次に、
図8および
図9に基づき、半導体装置A10の変形例である半導体装置A11について説明する。
図8は、半導体装置A10の平面図であり、理解の便宜上、第2素子31および封止樹脂4を透過している。
図9は、
図8のIX−IXに沿う断面図である。なお、
図8において透過した第2素子31の外形を想像線で示している。
【0062】
半導体装置A11は、柱状体24および端子5の構成が半導体装置A10と異なる。
図8および
図9に示すように、半導体装置A11の端子5は、はんだボールから構成される。はんだボールの形状は球状であることに対応して、柱状体24の端面242の形状は円形である。このため、柱状体24の形状は円柱状である。
【0063】
次に、
図10〜
図27に基づき、半導体装置A10の製造方法の一例について説明する。
【0064】
図10〜
図26は、半導体装置A10の製造工程を説明する断面図である。
図27は、半導体装置A10の製造工程を説明する平面図である。
図10〜
図26の断面位置は、半導体装置A10を示す
図5の断面位置に対応している。なお、
図10〜
図27において示される後述する基材80の厚さ方向Z、第1方向Xおよび第2方向Yは、
図1〜
図9において示される第1素子11の厚さ方向Z、第1方向Xおよび第2方向Yに対応している。
【0065】
最初に、
図10に示すように、厚さ方向Zを向く主面801を有し、かつ単結晶の半導体材料から構成された基材80を準備する。本実施形態にかかる基材80は、シリコンウエハである。基材80の厚さは、たとえば725μmである。基材80において、主面801を含む部分に形成された回路に導通する電極パッド802を形成する。当該回路および電極パッド802は、一般的な半導体装置製造の前工程において形成される。電極パッド802は、たとえばAlから構成される。電極パッド802が形成された基材80は、半導体装置A10の第1素子11の集合体に対応する。
【0066】
次いで、
図11に示すように、基材80の主面801と後述する下地層821との双方に接する絶縁層811をフォトリソグラフィにより形成する。絶縁層811が半導体装置A10の第1絶縁層121に対応する。絶縁層811は、主面801および電極パッド802の全面を覆うように基材80に感光性ポリイミドを塗布した後、当該感光性ポリイミドに対して露光・現像を行うことにより形成される。当該感光性ポリイミドは、たとえばスピンコータ(回転式塗布装置)を用いて塗布される。このとき、絶縁層811には、開口部811aが形成され、開口部811aから電極パッド802の一部が露出する。本実施形態にかかる開口部811aの平面視の形状は、矩形状(図示略)である。
【0067】
次いで、
図12〜
図21に示すように、基材80の主面801に対向し、かつ電極パッド802に導通する配線層82を形成する。配線層82が半導体装置A10の配線層20に相当する。配線層82を形成する工程では、電極パッド802および絶縁層811に接する下地層821を形成する工程と、下地層821に接するめっき層822を形成する工程を含む。また、配線層82を形成する工程では、めっき層822に接する搭載パッド823を形成する工程と、同じくめっき層822に接する柱状体824を形成する工程を含む。さらに本実施形態においては、配線層82を形成する工程では、搭載パッド823および後述する素子831の双方に接する接合層832を形成する工程を含む。配線層82、搭載パッド823、柱状体824および接合層832は、次の手順により形成される。なお、本実施形態にかかるめっき層822は、第1めっき層822aおよび第2めっき層822bを含む。
【0068】
まず、
図12に示すように、電極パッド802および絶縁層811に接する下地層821を形成する。下地層821が半導体装置A10の配線層20の下地層201に対応する。下地層821は、スパッタリング法によって、絶縁層811と、絶縁層811に形成された開口部811aから露出する電極パッド802とを覆うように形成される。このとき、開口部811aの内面も下地層821に覆われる。本実施形態にかかる下地層821は、互いに積層されたTi層およびCu層から構成され、全体の厚さは200〜300nmである。下地層821の形成にあたっては、絶縁層811に接するTi層を形成した後に、当該Ti層に接するCu層を形成する。
【0069】
次いで、
図13に示すように、めっき層822のうち第1めっき層822aを形成するための第1マスク層891を、下地層821に対するフォトリソグラフィにより形成する。下地層821の全面を覆うように基材80に感光性レジストを塗布した後、当該感光性レジストに対して露光・現像を行うことにより第1マスク層891が形成される。当該感光性レジストは、たとえばスピンコータを用いて塗布される。このとき第1マスク層891には、絶縁層811に形成された開口部811aに連通し、かつ下地層821の一部が露出する空洞部891aが形成される。本実施形態にかかる空洞部891aの形状は、直方体状(図示略)である。
【0070】
次いで、
図14に示すように、第1マスク層891から露出した下地層821に接する第1めっき層822aを形成する。第1めっき層822aは、下地層821を導電経路とした電解めっきにより形成される。本実施形態にかかる第1めっき層822aは、Cuから構成される。第1めっき層822aを形成した後、第1マスク層891を全て除去する。このとき、絶縁層811に形成された開口部811aは、下地層821および第1めっき層822aにより充填された状態となる。
【0071】
次いで、
図15に示すように、めっき層822のうち第2めっき層822bを形成するための第2マスク層892を、下地層821に対するフォトリソグラフィにより形成する。下地層821および第1めっき層822aの全面を覆うように基材80に感光性レジストを塗布した後、当該感光性レジストに対して露光・現像を行うことにより第2マスク層892が形成される。第2マスク層892の形成に用いる感光性レジストと、第2マスク層892の形成方法とは、ともに第1マスク層891のそれらと同一である。このとき、第2マスク層892から下地層821の一部および第1めっき層822aが露出する。
【0072】
次いで、
図16に示すように、第2マスク層892から露出した下地層821および第1めっき層822aに接する第2めっき層822bを形成する。第2めっき層822bは、下地層821および第1めっき層822aを導電経路とした電解めっきにより形成される。本実施形態にかかる第2めっき層822bはCuから構成され、その厚さは3〜10μmである。第2めっき層822bを形成した後、第2マスク層892を全て除去する。このとき、第1めっき層822aおよび第2めっき層822bが一体となっためっき層822が現れる。めっき層822が半導体装置A10の配線層20のめっき層202に対応する。
【0073】
次いで、
図17および
図18に示すように、めっき層822に接し、かつ後述する素子831を搭載する搭載パッド823と、搭載パッド823および素子831の双方に接する接合層832を形成する。搭載パッド823が半導体装置A10の搭載パッド23に対応し、接合層832が半導体装置A10の接合層32に対応する。
【0074】
図17に示すように、搭載パッド823および接合層832を形成するための第3マスク層893を、下地層821およびめっき層822に対するフォトリソグラフィにより形成する。下地層821およびめっき層822の全面を覆うように基材80に感光性レジストを塗布した後、当該感光性レジストに対して露光・現像を行うことにより第3マスク層893が形成される。第3マスク層893の形成に用いる感光性レジストと、第3マスク層893の形成方法とは、ともに第1マスク層891のそれらと同一である。このとき第3マスク層893には、めっき層822の一部が露出する空洞部893aが形成される。本実施形態にかかる空洞部893aの形状は、直方体状(図示略)である。
【0075】
第3マスク層893を形成した後、
図18に示すように、搭載パッド823および接合層832を形成する。搭載パッド823および接合層832は、ともに下地層821およびめっき層822を導電経路とした電解めっきにより形成される。本実施形態においては、まず、電解めっきにより第1Ni層を形成する。第1Ni層が搭載パッド823である。その後、電解めっきによりSnを含む合金層を形成してから、同じく電解めっきにより第2Ni層を形成する。互いに積層された当該合金層および第2Ni層が接合層832である。当該合金層は、たとえばSn−Sb系合金またはSn−Ag系合金などの鉛フリーはんだである。このとき、第3マスク層893に形成された空洞部893aは、搭載パッド823および接合層832により充填された状態となる。搭載パッド823および接合層832を形成した後、第3マスク層893を全て除去する。
【0076】
次いで、
図19および
図20に示すように、めっき層822に接し、かつ基材80の厚さ方向Zに沿って延出する柱状体824を形成する。柱状体824が半導体装置A10の柱状体24に対応する。
【0077】
図19に示すように、柱状体824を形成するための第4マスク層894を、下地層821、めっき層822および接合層832に対するフォトリソグラフィにより形成する。下地層821、めっき層822および接合層832の全面を覆うように基材80に感光性レジストを塗布した後、当該感光性レジストに対して露光・現像を行うことにより第4マスク層894が形成される。第4マスク層894の形成に用いる感光性レジストと、第4マスク層894の形成方法とは、ともに第1マスク層891のそれらと同一である。このとき第4マスク層894には、めっき層822の一部が露出する空洞部894aが形成される。本実施形態にかかる空洞部894aの形状は、角柱状(図示略)である。
【0078】
第4マスク層894を形成した後、
図20に示すように、柱状体824を形成する。本実施形態にかかる柱状体824は、搭載パッド823および接合層832と同様に下地層821およびめっき層822を導電経路とした電解めっきにより形成される。本実施形態にかかる柱状体824は、Cuから構成される。このとき、第4マスク層894に形成された空洞部894aは、柱状体824により充填された状態となる。柱状体824を形成した後、第4マスク層894を全て除去する。
【0079】
次いで、
図21に示すように、めっき層822に覆われていない下地層821を全て除去する。下地層821は、たとえばウェットエッチングにより除去される。当該ウェットエッチングでは、たとえばH
2SO
4(硫酸)およびH
2O
2(過酸化水素)の混合溶液が用いられる。下地層821が除去された部分から、絶縁層811の一部が露出する。この状態において、互いに積層された下地層821およびめっき層822が配線層82である。以上の手順により配線層82、搭載パッド823、柱状体824および接合層832が形成される。
【0080】
次いで、
図22に示すように、絶縁層811に接し、かつめっき層822を覆う保護層812を形成する。保護層812が半導体装置A10の第2絶縁層122に対応する。保護層812は、絶縁層811およびめっき層822の全面を覆うように基材80に感光性ポリイミドを塗布した後、当該感光性ポリイミドに対して露光・現像を行うことにより形成される。当該感光性ポリイミドは、たとえばスピンコータを用いて塗布される。このとき、少なくとも接合層832は保護層812から露出した状態となるようにする。柱状体824は、保護層812に覆われた状態であってもよい。
【0081】
次いで、
図23に示すように、配線層82に素子831を搭載する。素子831が半導体装置A10の第2素子31に対応する。このため、本実施形態にかかる第2素子31は、半導体素子である。また、本実施形態においては、配線層82のめっき層822に接して形成された搭載パッド823に素子831を搭載する。素子831の搭載は、FCB(Flip Chip Bonding)により行う。素子831の電極パッド831aにフラックスを塗布した後、フリップチップボンダを用いて素子831を接合層832に仮付けする。このとき接合層832は、搭載パッド823と電極パッド831aとの双方に挟まれた状態となる。その後、リフローにより接合層832を溶融させた後、冷却により接合層832を固化させることによって、素子831の搭載が完了する。
【0082】
次いで、
図24に示すように、素子831を覆う封止樹脂84を形成する。封止樹脂84が半導体装置A10の封止樹脂4に対応する。本実施形態にかかる封止樹脂84は、エポキシ樹脂を主剤とした黒色の合成樹脂である。封止樹脂84の形成にあたっては、まず、コンプレッション成形によって、柱状体824および素子831の全面を覆うように封止樹脂84を形成する。その後、基材80の厚さ方向Zにおいて、基材80とは反対側に位置する柱状体824および封止樹脂84の双方の端部を機械研削により除去する。このとき柱状体824には、基材80の厚さ方向Zに交差し、かつ封止樹脂84から露出する端面824aが形成される。
【0083】
次いで、
図25に示すように、封止樹脂84から露出した柱状体824の端面824aに接する端子85を形成する。端子85が半導体装置A10の端子5に対応する。本実施形態にかかる端子85は、無電解めっきによりNi層、Pd層、Au層の順に各層を析出させることで形成される。なお、半導体装置A11の製造にかかる端子85の形成にあたっては、柱状体824の端面824aにはんだボールを接合させる。
【0084】
次いで、
図26に示すように、基材80の厚さ方向Zにおいて主面801とは反対側に位置する基材80の一部を機械研削により除去する。このとき、基材80の厚さは50〜100μmまで縮小される。
【0085】
最後に、
図27に示すように、切断線CLに沿って基材80、絶縁層811、保護層812および封止樹脂84を切断し、封止樹脂84に覆われた素子831を構成単位とする個片に分割する。切断にあたっては、たとえばプラズマダイシングにより基材80、絶縁層811、保護層812および封止樹脂84を切断する。当該工程において分割された個片が半導体装置A10となる。以上の工程を経ることによって、半導体装置A10が製造される。
【0086】
次に、半導体装置A10およびその製造方法の作用効果について説明する。
【0087】
半導体装置A10は、素子主面111から露出する電極パッド112を有する第1素子11と、素子主面111に対向して配置され、かつ電極パッド112に導通する配線層20と、配線層20に搭載された第2素子31と、第2素子31を覆う封止樹脂4を備える。また、半導体装置A10は、配線層20に導通し、かつ第1素子11の厚さ方向Zに沿って延出するとともに、第2素子31とは離間して配置された柱状体24を備える。柱状体24は、側面241と、側面241に交差する端面242を有し、側面241が封止樹脂4に覆われ、端面242が封止樹脂4から露出している。このような構成をとることによって、第1素子11を搭載する基板が不要となり、装置のさらなる薄型化を図ることができる。また、半導体装置A10において、第1素子11および第2素子31と外部の回路基板との導電経路となる柱状体24は、端面242以外は封止樹脂4に覆われているため、外部環境から保護された状態となっている。このため、半導体装置A10において、外部環境に起因した不具合が発生するおそれがなくなる。したがって、半導体装置A10によればさらなる薄型化および信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0088】
ここで、半導体装置A10の製造方法によれば、基材80の主面801に対向し、かつ基材80に形成された電極パッド802に導通するとともに、素子831を搭載する配線層82を形成する工程を備える。配線層82を形成する工程では、基材80の厚さ方向Zに延出する柱状体824を形成する工程を含む。このような工程をとることによって、半導体装置A10において、第1素子11を搭載する基板を不要とすることができる。また、半導体装置A10の製造方法によれば、上述の工程にあわせて、素子831を覆う封止樹脂84を形成する工程を備える。封止樹脂84を形成する工程では、柱状体824には、基材80の厚さ方向Zに交差し、かつ封止樹脂84から露出する端面824aが形成される。このような工程をとることによって、半導体装置A10において、端面242を除く柱状体24が封止樹脂4に覆われた構成とすることができる。
【0089】
半導体装置A10は、第1素子11の素子主面111と封止樹脂4との双方に接し、かつ配線層20を覆う絶縁層12を備える。本実施形態にかかる絶縁層12は、第1絶縁層121および第2絶縁層122を含み、これらはともにポリイミドから構成される。絶縁層12を備えることによって、外部環境から配線層20を強固に保護し、かつ第1素子11と配線層20との間の電気絶縁性を向上させることができる。また、第2絶縁層122を備えることによって、半導体装置A10の製造にかかる素子831を搭載する工程において、溶融した接合層832により配線層82に意図しない導電経路が形成されることを防ぐことができる。なお、第2絶縁層122を省略した場合は、配線層20は封止樹脂4により保護された状態となる。また、第1絶縁層121は、素子主面111と配線層20との間の電気絶縁性をさらに向上させる効果がある。
【0090】
半導体装置A10の配線層20は、互いに積層された下地層201およびめっき層202から構成され、下地層201が第1絶縁層121に接している。また、下地層201は、Tiから構成され、かつ第1絶縁層121に接する第1下地層201aと、Cuから構成され、かつ第1下地層201aとめっき層202との間に介在する第2下地層201bを含む。このような構成をとることによって、第2下地層201bおよびめっき層202が第1素子11に拡散することと、第1絶縁層121から第2下地層201bが剥離することの両者を防ぐことができる。また、第2下地層201bによって、半導体装置A10の製造にかかる配線層82を形成する工程において、電解めっきによりめっき層822、搭載パッド823、柱状体824および接合層832を効率良く形成することができる。
【0091】
半導体装置A10は、配線層20の薄膜部22と第2素子31との間に介在する接合層32を備える。接合層32を備えることによって、半導体装置A10の製造にかかる素子831を搭載する工程において、素子831をFCBにより配線層82に精度良く搭載することができる。ワイヤボンディングにより素子831を配線層82に搭載する場合と比較して、平面視における半導体装置A10の大きさを縮小することができる。このことは、半導体装置A10の小型化に寄与する。
【0092】
また、半導体装置A10の配線層20の薄膜部22には、薄膜部22と接合層32との間に介在し、かつ第2素子31を搭載する搭載パッド23が形成されている。本実施形態にかかる搭載パッド23は、Niから構成されている。薄膜部22に搭載パッド23が形成されていることによって、半導体装置A10の製造にかかる素子831を搭載する工程において、リフローにより接合層832を溶融する際、熱衝撃から配線層82を保護することができる。
【0093】
半導体装置A10は、柱状体24の端面242に接し、かつ外部に露出する端子5を備える。本実施形態にかかる端子5は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。このような構成をとることによって、Ni層およびPd層により半導体装置A10の実装時の熱衝撃から柱状体24を保護することができる。また、半導体装置A10の実装時に、Au層により端子5に対する鉛フリーのクリームはんだの濡れ性を改善することができる。なお、半導体装置A10の変形例である半導体装置A11の端子5は、はんだボールから構成される。このような構成の場合、半導体装置A11の実装においてクリームはんだは不要となる。
【0094】
半導体装置A10の製造方法において、端子85を形成する工程の後に、基材80の厚さ方向Zにおいて主面801とは反対側に位置する基材80の一部を除去する工程を備える。当該工程において、基材80において回路が形成されていない部分が除去される。このような工程をとることによって、半導体装置A10の第1素子11の厚さを極力薄くすることができるため、半導体装置A10のより一層の薄型化を図ることができる。
【0095】
〔第2実施形態〕
図28〜
図31に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0096】
図28は、半導体装置A20の平面図であり、理解の便宜上、封止樹脂4を透過している。
図29は、
図28から第2絶縁層122、第2素子31、接合層32および封止樹脂4を除いた平面図である。
図30は、半導体装置A20の第1素子11および第1絶縁層121の平面図である。
図31は、
図28のXXXI−XXXI線に沿う断面図である。
【0097】
半導体装置A20は、たとえばDC−DCコンバータのモジュールの回路基板に表面実装される装置である。
図28に示すように、半導体装置A20の平面視の形状は矩形状である。
【0098】
本実施形態にかかる第1素子11は、たとえばパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などを作動させるための回路(ゲートドライバなど)が形成された集積回路である。
【0099】
本実施形態にかかる第2素子31は、受動素子であり、たとえばインダクタである。当該インダクタは、薄膜チップインダクタである。第2素子31は、インダクタの他に、抵抗器、コンデンサおよび水晶振動子など、第1素子11との組み合わせに応じて様々な素子を採ることができる。また、本実施形態にかかる接合層32は、Sn−Sb系合金またはSn−Ag系合金などの鉛フリーのクリームはんだから構成される。
【0100】
図28〜
図31に示すように、第1素子11および第2素子31によって構成される半導体装置A20の回路に対応して、電極パッド112、配線層20、柱状体24および端子5の配置形態が半導体装置A10と異なる。ただし、電極パッド112、配線層20、柱状体24および端子5について、配置形態を除いた他の構成は半導体装置A10と同一である。また、
図28および
図29に示すように、本実施形態にかかる搭載パッド23は、第2素子31の形状に対応して第2方向Yに延出している。なお、本実施形態においても、半導体装置A11と同様に端子5の構成をはんだボールとすることができる。
【0101】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0102】
半導体装置A20は、半導体装置A10と同様の構成をとる第1素子11、配線層20、第2素子31および封止樹脂4を備える。また、半導体装置A20は、配線層20に導通し、かつ第1素子11の厚さ方向Zに沿って延出するとともに、第2素子31とは離間して配置された柱状体24を備える。柱状体24は、側面241が封止樹脂4に覆われ、端面242が封止樹脂4から露出している。このため、半導体装置A20においても、第1素子11を搭載する基板が不要となり、装置のさらなる薄型化を図ることができる。また、柱状体24は、端面242以外は封止樹脂4に覆われているため、外部環境から保護された状態となっている。このため、半導体装置A20においても、外部環境に起因した不具合が発生するおそれがなくなる。したがって、半導体装置A20によっても、さらなる薄型化および信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0103】
半導体装置A20の第2素子31は受動素子であるため、装置内に半導体装置A10よりも大きな電流を流す必要がある場合などの用途に対応することができる。
【0104】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。