【解決手段】交流電流検出回路100は、交流電流Iinを交流電圧V11に変換するセンス抵抗110と、交流電圧V11を全波整流して全波整流電圧V12を生成する全波整流部120と、全波整流電圧V12を平滑して直流電圧Voutを生成するフィルタ部130とを有する。全波整流部120は、負電源端及び非反転入力端が基準電位端(0V)に接続されて正電源端が正電位端(VP)に接続されたオペアンプ121と、第1端が正電位端に接続されて第2端が全波整流電圧V12の出力端に接続されて制御端がオペアンプ121の出力端に接続されたトランジスタ122と、交流電圧V11の入力端とオペアンプ121の反転入力端との間に接続された抵抗123と、オペアンプ121の反転入力端と全波整流電圧V12の出力端との間に接続された抵抗124を含む。
前記全波整流電圧を増幅して増幅全波整流電圧を生成し、これを前記全波整流電圧に代えて前記フィルタ部に出力する増幅部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の交流電流検出回路。
前記全波整流電圧を増幅して増幅全波整流電圧を生成し、これを前記全波整流電圧に代えて前記フィルタ部に出力する増幅部をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の交流電流検出回路。
前記センス抵抗は、厚膜抵抗、薄膜抵抗、金属板抵抗、酸化被膜抵抗、金属皮膜抵抗、または、セメント抵抗であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の交流電流検出回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8は、交流電流検出回路の第1従来例を示す回路図である。第1従来例の交流電流検出回路300は、一次巻線311に流れる交流電流Iinに応じて二次巻線312に交流電圧V31を生成するカレントトランス310と、交流電圧V31を全波整流して全波整流電圧V32を生成する全波整流部320(いわゆるダイオードブリッジ回路)と、全波整流電圧V32を平滑して直流電圧Voutを生成するフィルタ部330と、を有する。
【0006】
しかしながら、第1従来例の交流電流検出回路300では、大きく重いカレントトランス310を必要とするので、これを搭載するアプリケーション(家電機器など)の小型化を妨げるという課題があった。
【0007】
図9は、交流電流検出回路の第2従来例を示す回路図である。第2従来例の交流電流検出回路400は、その両端間に流れる交流電流Iinを交流電圧V41に変換するセンス抵抗410と、交流電圧V41を全波整流して全波整流電圧V42を生成する全波整流部420(いわゆる絶対値回路)と、整流電圧V42を平滑して直流電圧Voutを生成するフィルタ部430と、を有する。
【0008】
なお、全波整流部420は、交流電圧V41を反転半波整流して反転半波整流電圧V41’を生成する反転半波整流回路(オペアンプ421、ダイオード423及び424、並びに、抵抗425及び426)と、交流電圧V41と反転半波整流電圧V41’を1:2の比で反転加算して全波整流電圧V42(=−(V41+2×V41’))を生成する反転加算回路(オペアンプ422、及び、抵抗427〜429)とを組み合わせて成る。
【0009】
すなわち、V41>0のときには、V41’=−V41となり、V42=V41(=−{V41+2×(−V41)})となる。一方、V41<0のときには、V41’=0となり、V42=−V41(=−(V41+2×0))となる。
【0010】
確かに、第2従来例の交流電流検出回路400であれば、大きく重いカレントトランスを必要としないので、これを搭載するアプリケーションの小型化を妨げずに済む。しかしながら、オペアンプ421及び422を駆動するためには、正電源E1と負電源E2の双方を必要とする。そのため、正電源E1と負電源E2の一方しか設けられていないアプリケーション(家電機器など)では、交流電流検出回路400のためだけに、他方の電源を別途追加しなければならず、機器の大型化やコストアップを招くという課題があった。
【0011】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、簡易な構成で交流電流を直流電圧として検出することのできる交流電流検出回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書中に開示されている交流電流検出回路は、その両端間に流れる交流電流を交流電圧に変換するセンス抵抗と、前記交流電圧を全波整流して全波整流電圧を生成する全波整流部と、前記全波整流電圧を平滑して直流電圧を生成するフィルタ部と、を有し、前記全波整流部は、負電源端及び非反転入力端がいずれも基準電位端に接続されて正電源端が前記基準電位端よりも電位の高い正電位端に接続された第1オペアンプと、第1端が前記正電位端に接続されて第2端が前記全波整流電圧の出力端に接続されて制御端が前記第1オペアンプの出力端に接続された第1トランジスタと、第1端が前記交流電圧の入力端に接続されて第2端が前記第1オペアンプの反転入力端に接続された第1抵抗と、第1端が前記第1オペアンプの反転入力端に接続されて第2端が前記全波整流電圧の出力端に接続された第2抵抗と、を含む構成(第1の構成)とされている。
【0013】
なお、上記第1の構成から成る交流電流検出回路は、前記全波整流電圧を増幅して増幅全波整流電圧を生成し、これを前記全波整流電圧に代えて前記フィルタ部に出力する増幅部をさらに有する構成(第2の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第2の構成から成る交流電流検出回路において、前記増幅部は、正電源端が前記正電位端に接続されて負電源端が前記基準電位端に接続されて非反転入力端が前記全波整流部の出力端に接続された第2オペアンプと、第1端が前記正電位端に接続されて第2端が前記増幅全波整流電圧の出力端に接続されて制御端が前記第2オペアンプの出力端に接続された第2トランジスタと、第1端が前記第2オペアンプの反転入力端に接続されて第2端が前記基準電位端に接続された第3抵抗と、第1端が前記第2オペアンプの反転入力端に接続されて第2端が前記増幅全波整流電圧の出力端に接続された第4抵抗と、を含む構成(第3の構成)にするとよい。
【0015】
また、本明細書中に開示されている交流電流検出回路は、その両端間に流れる交流電流を交流電圧に変換するセンス抵抗と、前記交流電圧を全波整流して全波整流電圧を生成する全波整流部と、前記全波整流電圧を平滑して直流電圧を生成するフィルタ部とを有し、前記全波整流部は、正電源端が基準電位端に接続されて負電源端が前記基準電位端よりも電位の低い負電位端に接続された第1オペアンプと、第1端が前記負電位端に接続されて第2端が前記全波整流電圧の出力端に接続されて制御端が前記第1オペアンプの出力端に接続された第1トランジスタと、第1端が前記交流電圧の入力端に接続されて第2端が前記第1オペアンプの反転入力端に接続された第1抵抗と、第1端が前記第1オペアンプの反転入力端に接続されて第2端が前記全波整流電圧の出力端に接続された第2抵抗と、第1端が前記基準電位端に接続されて第2端が前記第1オペアンプの非反転入力端に接続された第3抵抗と、を含む構成(第4の構成)とされている。
【0016】
なお、上記第4の構成から成る交流電流検出回路は、前記全波整流電圧を増幅して増幅全波整流電圧を生成し、これを前記全波整流電圧に代えて前記フィルタ部に出力する増幅部をさらに有する構成(第5の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第5の構成から成る交流電流検出回路において、前記増幅部は、正電源端が前記基準電位端に接続されて負電源端が前記負電位端に接続されて非反転入力端が前記全波整流部の出力端に接続された第2オペアンプと、第1端が前記負電位端に接続されて第2端が前記増幅全波整流電圧の出力端に接続されて制御端が前記第2オペアンプの出力端に接続された第2トランジスタと、第1端が前記第2オペアンプの反転入力端に接続されて第2端が前記基準電位端に接続された第4抵抗と、第1端が前記第2オペアンプの反転入力端に接続されて第2端が前記増幅全波整流電圧の出力端に接続された第5抵抗と、第1端が前記第2オペアンプの非反転入力端に接続されて第2端が前記基準電位端に接続された第6抵抗と、第1端が前記増幅全波整流電圧の出力端に接続されて第2端が前記基準電位端に接続された第7抵抗と、を含む構成(第6の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成る交流電流検出回路において、前記センス抵抗は、厚膜抵抗、薄膜抵抗、金属板抵抗、酸化被膜抵抗、金属皮膜抵抗、または、セメント抵抗である構成(第7の構成)にするとよい。
【0019】
また、本明細書中に開示されている位相角制御装置は、負荷に流れる交流電流を直流電圧として検出する上記第1〜第7いずれかの構成から成る交流電流検出回路と、前記直流電圧をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換器と、前記デジタル信号に応じてゲート信号を生成するマイコンと、前記ゲート信号に応じて前記交流電流をオン/オフする双方向サイリスタと、を有する構成(第8の構成)とされている。
【0020】
また、本明細書中に開示されている電子機器は、負荷と、前記負荷に流れる交流電流を直流電圧として検出する上記第1〜第7いずれかの構成から成る交流電流検出回路、または、前記交流電流の位相角制御を行う上記第8の構成から成る位相角制御装置と、を有する構成(第9の構成)とされている。
【0021】
なお、上記第9の構成から成る電子機器において、前記負荷は、発熱体またはモータである構成(第10の構成)にするとよい。
【発明の効果】
【0022】
本明細書中に開示されている発明によれば、簡易な構成で交流電流を直流電圧として検出することのできる交流電流検出回路を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<交流電流検出回路(正電源型)>
図1は、交流電流検出回路の第1実施形態を示す回路図である。本図の電子機器1は、商用交流電源PWから電力供給を受けて動作する負荷RLと、負荷RLに流れる交流電流Iinを直流電圧Vout(=検出信号に相当)として検出する交流電流検出回路100と、を有する。なお、負荷RLとしては、発熱体やモータなどが挙げられる。
【0025】
交流電流検出回路100は、正電源E1から電力の供給を受けて動作する正電源型であり、センス抵抗110と、全波整流部120と、フィルタ部130を有する。
【0026】
センス抵抗110は、負荷RLと基準電位端(0V)との間に接続されており、その両端間に流れる交流電流Iinを交流電圧V11(=センス抵抗110の両端間電圧Iin×RL)に変換する。なお、大電流を検出するためには、センス抵抗110として、抵抗値が小さく(数mΩ〜数Ω)、かつ、熱容量の大きいものを用いる必要があり、例えば、厚膜抵抗、薄膜抵抗、金属板抵抗、酸化被膜抵抗、金属皮膜抵抗、または、セメント抵抗を好適に用いることができる。なお、複数の抵抗素子を並列に接続して、低抵抗値のセンス抵抗110を得てもよい。
【0027】
全波整流部120は、交流電圧V11を全波整流して全波整流電圧V12を生成する。なお、全波整流部120の構成及び動作については後述する。
【0028】
フィルタ部130は、抵抗131とキャパシタ132を含む1次CRローパスフィルタ(fc=1/2πRC)であり、全波整流電圧V12を平滑して直流電圧Voutを生成する。ただし、フィルタ部130の構成(次数など)は任意である。
【0029】
<全波整流部(正電源型)>
引き続き、
図1を参照しながら、全波整流部120の構成及び動作について説明する。全波整流部120は、オペアンプ121と、トランジスタ122と、抵抗123及び124(抵抗値:R123及びR124)とを含む。なお、本図の例では、トランジスタ122として、NMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor]を用いているが、npn型バイポーラトランジスタを用いることもできる。
【0030】
オペアンプ121の負電源端と非反転入力端(+)は、いずれも基準電位端(0V)に接続されている。オペアンプ121の正電源端は、基準電位端(0V)よりも電位の高い正電位端VP(=正電源E1の正極端、例えば、VP=+5V)に接続されている。正電源E1の負極端は、基準電位端(0V)に接続されている。
【0031】
トランジスタ122のドレインは、正電位端VPに接続されている。トランジスタ122のソースとバックゲートは、全波整流電圧V12の出力端に接続されている。トランジスタ122のゲートは、オペアンプ121の出力端(=ゲート信号G11の出力端)に接続されている。
【0032】
抵抗123の第1端は、交流電圧V11の入力端に接続されている。抵抗123の第2端と抵抗124の第1端は、いずれもオペアンプ121の反転入力端(−)に接続されている。抵抗124の第2端は、全波整流電圧V12の出力端に接続されている。
【0033】
次に、
図2を適宜参照しながら、全波整流部120の動作説明を行う。
図2は、全波整流部120各部の電圧波形図であり、上から順に、交流電圧V11、ゲート信号G11、及び、全波整流電圧V12が描写されている。
【0034】
交流電流Iinが正方向(=負荷RLからセンス抵抗110を介して基準電位端に至る方向)に流れるときには、時刻t11〜t12で示したように、交流電圧V11が正電位(>0V)となる。従って、オペアンプ121の非反転入力端(+)が反転入力端(−)よりも低電位となるので、ゲート信号G11がローレベル(0V)となる。その結果、トランジスタ122がオフするので、V12=V11となる。
【0035】
一方、交流電流Iinが負方向(=基準電位端からセンス抵抗110を介して負荷RLに至る方向)に流れるときには、時刻t12〜t13で示したように、交流電圧V11が負電位(<0V)となる。従って、オペアンプ121は、非反転入力端(+)と反転入力端(−)がイマジナリショートするように、トランジスタ122のゲート信号G11を生成する。その結果、全波整流部120が利得α(=−R124/R123)の反転増幅器として機能するので、R123=R124であれば、V12=−V11となる。なお、ゲート信号G11は、トランジスタ122のオンスレッショルド電圧Vthよりも高くなるので、全波整流電圧V12を0Vから出力することができる。
【0036】
このように、本実施形態の交流電流検出回路100であれば、大きく重いカレントトランスを必要としないので、これを搭載する電子機器1の小型化を妨げずに済む。また、オペアンプ121の電源は、片側電源(正電源E1)のみで足りるので、電子機器1の小型化やコストダウンを図ることが可能となる。
【0037】
図3は、第1実施形態における入出力特性図(Iin−Vout特性図)である。本図で示したように、直流電圧Voutは、交流電流Iinの電流値(例えばピーク値)に対して直線的に変動する。より具体的に述べると、直流電圧Voutは、交流電流Iinが大きくなるにつれて直線的に高くなり、逆に、交流電流Iinが小さくなるにつれて直線的に低くなる。
【0038】
<増幅部(正電源型)>
図4は、第1実施形態の一変形例を示す回路図である。本変形例の交流電流検出回路100では、
図1の構成をベースとしつつ、全波整流部120とフィルタ部130との間に増幅部140が追加されている。そこで、
図1と同様の構成要素については、先と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、増幅部140の構成及び動作について重点的に説明する。
【0039】
増幅部140は、全波整流電圧V12を増幅して増幅全波整流電圧V12aを生成し、これを全波整流電圧V12に代えてフィルタ部130に出力する非反転増幅器であり、オペアンプ141と、トランジスタ142(本図の例ではNMOSFET)と、抵抗143及び144(抵抗値:R143及びR144)と、を含む。
【0040】
オペアンプ141の正電源端は、正電位端VPに接続されている。オペアンプ141の負電源端は、基準電位端に接続されている。オペアンプ141の非反転入力端(+)は、全波整流部120の出力端(=全波整流電圧V12の出力端)に接続されている。
【0041】
トランジスタ142のドレインは、正電位端VPに接続されている。トランジスタ142のソース及びバックゲートは、増幅全波整流電圧V12aの出力端に接続されている。トランジスタ142のゲートは、オペアンプ141の出力端(=ゲート信号G12の出力端)に接続されている。
【0042】
抵抗143及び144それぞれの第1端は、オペアンプ141の反転入力端(−)に接続されている。抵抗143の第2端は、基準電位端(0V)に接続されている。抵抗144の第2端は、増幅全波整流電圧V12aの出力端に接続されている。
【0043】
上記構成から成る増幅部140は、利得β(=(R143+R144)/R143)の非反転増幅器として機能する。従って、交流電流Iinに対して全波整流電圧V12が小さい場合(例えばIin=10AのときにV12=数十mVとなる場合)であっても、これを増幅してから平滑することができるので、直流電圧Voutを後段回路(アナログ/デジタル変換器など)の入力ダイナミックレンジに収めることが可能となる。
【0044】
<交流電流検出回路(負電源型)>
図5は、交流電流検出回路の第2実施形態を示す回路図である。本実施形態の交流電流検出回路200は、負電源E2から電力の供給を受けて動作する負電源型であり、センス抵抗210と、全波整流部220と、フィルタ部230と、増幅部240と、を有する。なお、増幅部240については、先出の
図1と同じく、これを省略することもできる。
【0045】
センス抵抗210は、負荷RLと基準電位端(0V)との間に接続されており、その両端間に流れる交流電流Iinを交流電圧V21(=センス抵抗210の両端間電圧Iin×RL)に変換する。
【0046】
全波整流部220は、交流電圧V21を全波整流して全波整流電圧V22を生成する。なお、全波整流部220の構成及び動作については後述する。
【0047】
増幅部240は、全波整流電圧V22を増幅して、増幅全波整流電圧V22aを生成する。なお、増幅部240の構成及び動作については後述する。
【0048】
フィルタ部230は、抵抗231とキャパシタ232を含む1次CRローパスフィルタであり、増幅全波整流電圧V22aを平滑して直流電圧Voutを生成する。
【0049】
<全波整流部(負電源型)>
引き続き、
図5を参照しながら、全波整流部220の構成及び動作について説明する。全波整流部220は、オペアンプ221と、トランジスタ222と、抵抗223〜225(抵抗値:R223〜R225)と、を含む。なお、本図の例では、トランジスタ222として、PMOSFET[P-channel type MOSFET]を用いているが、pnp型バイポーラトランジスタを用いることもできる。
【0050】
オペアンプ221の正電源端は、基準電位端(0V)に接続されている。オペアンプ221の負電源端は、基準電位端(0V)よりも電位の低い負電位端VN(=負電源E2の負極端、例えば、VN=−5V)に接続されている。なお、負電源E2の正極端は、基準電位端(0V)に接続されている。
【0051】
トランジスタ222のドレインは、負電位端VNに接続されている。トランジスタ222のソースとバックゲートは、全波整流電圧V22の出力端に接続されている。トランジスタ222のゲートは、オペアンプ221の出力端(=ゲート信号G21の出力端)に接続されている。
【0052】
抵抗223の第1端は、交流電圧V21の入力端に接続されている。抵抗223の第2端と抵抗224の第1端は、いずれもオペアンプ221の反転入力端(−)に接続されている。抵抗224の第2端は、全波整流電圧V22の出力端に接続されている。抵抗225の第1端は、基準電位端(0V)に接続されている。抵抗225の第2端は、オペアンプ221の非反転入力端(+)に接続されている。
【0053】
次に、
図6を適宜参照しながら、全波整流部220の動作説明を行う。
図6は、全波整流部220各部の電圧波形図であり、上から順に、交流電圧V21、ゲート信号G21、及び、全波整流電圧V22が描写されている。
【0054】
交流電流Iinが正方向(=負荷RLからセンス抵抗210を介して基準電位端に至る方向)に流れるときには、時刻t21〜t22で示したように、交流電圧V21が正電位(>0V)となる。従って、オペアンプ221は、その非反転入力端(+)と反転入力端(−)がイマジナリショートするように、トランジスタ222のゲート信号G21を生成する。その結果、全波整流部220が利得γ(=−R224/R223)の反転増幅器として機能するので、R223=R224であれば、V22=−V21となる。
【0055】
一方、交流電流Iinが負方向(=基準電位端からセンス抵抗210を介して負荷RLに至る方向)に流れるときには、時刻t22〜t23で示したように、交流電圧V21が負電位(<0V)となる。従って、オペアンプ221の非反転入力端(+)が反転入力端(−)よりも高電位となるので、ゲート信号G21がハイレベル(0V)となる。その結果、トランジスタ222がオフするので、V22=V21となる。
【0056】
このように、本実施形態の交流電流検出回路200であれば、正電源型(
図1、
図4)と同様、大きく重いカレントトランスを必要としないので、これを搭載する電子機器1の小型化を妨げずに済む。また、オペアンプ221の電源は、片側電源(負電源E2)のみで足りるので、電子機器1の小型化やコストダウンを図ることが可能となる。
【0057】
<増幅部(負電源型)>
図5に戻り、増幅部240の構成及び動作について説明する。増幅部240は、オペアンプ241と、トランジスタ242(本図の例ではPMOSFET)と、抵抗243〜246(抵抗値:R243〜R246)と、を含む。
【0058】
オペアンプ241の正電源端は、基準電位端に接続されている。オペアンプ241の負電源端は、負電位端VNに接続されている。オペアンプ241の非反転入力端(+)は、全波整流部220の出力端(=全波整流電圧V22の出力端)に接続されている。
【0059】
トランジスタ242のドレインは、負電位端VNに接続されている。トランジスタ242のソース及びバックゲートは、増幅全波整流電圧V22aの出力端に接続されている。トランジスタ242のゲートは、オペアンプ241の出力端(=ゲート信号G22の出力端)に接続されている。
【0060】
抵抗243及び244それぞれの第1端は、オペアンプ241の反転入力端(−)に接続されている。抵抗243の第2端は、基準電位端(0V)に接続されている。抵抗244の第2端は、増幅全波整流電圧V22aの出力端に接続されている。抵抗245の第1端は、全波整流部220の出力端に接続されている。抵抗245の第2端は、基準電位端(0V)に接続されている。抵抗246の第1端は、増幅全波整流電圧V22aの出力端に接続されている。抵抗246の第2端は、基準電位端(0V)に接続されている。
【0061】
上記構成から成る増幅部240は、利得δ(=(R243+R244)/R243)の非反転増幅器として機能する。従って、交流電流Iinに対して全波整流電圧V22が小さい場合(例えばIin=10AのときにV22=−数十mVとなる場合)であっても、これを増幅してから平滑することができるので、直流電圧Voutを後段回路(アナログ/デジタル変換器など)の入力ダイナミックレンジに収めることが可能となる。
【0062】
<位相角制御装置>
図7は、電子機器1に搭載される位相角制御装置の一構成例を示すブロック図である。本構成例の位相角制御装置Aは、交流電流検出回路A1と、アナログ/デジタル変換器A2と、マイコンA3と、双方向サイリスタA4(いわゆるトライアック)と、を含み、負荷RLに流れる交流電流Iinの位相角制御を行う。なお、交流電流Iinの位相角制御により、例えば、負荷RLが発熱体であるときには、その温度制御が可能となり、また、負荷RLがモータであるときには、その回転速度制御が可能となる。
【0063】
交流電流検出回路A1は、負荷RLに流れる交流電流Iinを直流電圧Vout(=検出信号に相当)として検出する。なお、交流電流検出回路A1としては、これまでに説明してきた交流電流検出回路100または200を好適に用いることができる。
【0064】
アナログ/デジタル変換器A2は、直流電圧VoutをマイコンA3への入力に適したデジタル信号SDに変換する。
【0065】
マイコンA3は、デジタル信号SDに応じてゲート信号VGを生成することにより、交流電流Iinの位相角を可変制御する。
【0066】
双方向サイリスタA4は、2つのサイリスタを逆向きに並列接続したものであり、ゲート信号VGに応じて交流電流Iinをオン/オフする。なお、双方向サイリスタA4は、正、負いずれのゲート信号VGを印加してもターンオンさせることができる。また、双方向サイリスタA4には、順バイアス状態と逆バイアス状態の区別がなく、いずれのバイアス状態においてもターンオンさせることができる。
【0067】
すなわち、双方向サイリスタA4のトリガモードとしては、第1モード(T1<T2、VG>T1)、第2モード(T1<T2、VG<T1)、第3モード(T1>T2、VG<T1)、及び、第4モード(T1>T2、VG>T1)の4種類が存在する。
【0068】
なお、商用交流電源PWに接続される双方向サイリスタA4では、そのノード電位T1及びT2の高低関係が周期的に反転する。従って、双方向サイリスタA4のターンオン状態は、第1モードと第4モード(VG>T1)、若しくは、第2モードと第3モード(VG<T1)のいずれかとなる。
【0069】
ただし、市販されている双方向サイリスタの中には、第4モードを保障していない製品もある。これを鑑みると、ゲート信号VGをノード電位T1(=0V)よりも低い負電位とし、双方向サイリスタA4を第2モードまたは第3モードで駆動することが望ましい。このように、ゲート信号VGを負電位とする場合には、交流電流検出回路A1として、負電源型の交流電流検出回路200(
図5)を好適に用いることができる。
【0070】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。