特開2018-93905(P2018-93905A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-93905(P2018-93905A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】フライヤ装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20180525BHJP
【FI】
   A47J37/12 371
   A47J37/12 381
   A47J37/12 331
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-238186(P2016-238186)
(22)【出願日】2016年12月8日
(11)【特許番号】特許第6150362号(P6150362)
(45)【特許公報発行日】2017年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】506401004
【氏名又は名称】フーズテック有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 興光
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA01
4B059AB02
4B059AC04
4B059AD14
4B059AE03
4B059BC02
4B059BD03
4B059BD04
4B059BE02
4B059BE11
(57)【要約】
【課題】油槽の上面を閉鎖する油槽蓋を有する構成であっても、揚げ物籠への材料の搬入や揚げ物籠からの揚げ物の搬出を効率よく行うことのできるフライヤ装置を提供する。
【解決手段】第1の移動機構50によって揚げ物籠30及び油槽蓋20を油槽蓋の上方に移動して第2の移動機構により水平方向所定位置に移動するとともに、第1の移動機構50によって揚げ物籠30を材料搬入位置または揚げ物搬出位置まで下降して揚げ物籠30への材料の搬入または揚げ物籠30からの揚げ物の搬出を行うようにしたので、油槽10の上面を開閉する油槽蓋20を備えた構成であっても、油槽10の上方から水平方向に離れた材料搬入位置または揚げ物搬出位置で揚げ物籠30への材料の搬入または揚げ物籠30からの揚げ物の搬出を効率よく行うことができる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開口した油槽と、油槽の上面を開閉可能に閉鎖する油槽蓋と、油槽内に出し入れされる揚げ物籠とを備え、油槽内に収容した油を加熱するとともに、揚げ物の材料を収容した揚げ物籠を油槽内に配置して油槽の上面を油槽蓋によって閉鎖し、油槽内の油で材料を揚げるようにしたフライヤ装置において、
前記揚げ物籠を油槽蓋と共に上下方向に移動させる第1の移動機構と、
第1の移動機構によって上方に移動した揚げ物籠及び油槽蓋を水平方向に移動させる第2の移動機構とを備え、
第1の移動機構によって油槽の上方から揚げ物籠及び油槽蓋を下方に移動すると、油槽蓋によって油槽の上面が閉鎖されて揚げ物籠が油槽内に配置され、
第1の移動機構によって揚げ物籠及び油槽蓋を油槽の上方に移動して第2の移動機構により水平方向所定位置に移動するとともに、第1の移動機構によって揚げ物籠を所定の材料搬入位置または揚げ物搬出位置まで下降して揚げ物籠への材料の搬入または揚げ物籠からの揚げ物の搬出を行うように構成した
ことを特徴とするフライヤ装置。
【請求項2】
前記第1の移動機構によって油槽の上方から揚げ物籠及び油槽蓋を下方に移動すると、油槽蓋が油槽に係止して揚げ物籠のみが油槽内を下降し、第1の移動機構によって油槽内から揚げ物籠を上昇させると、揚げ物籠が油槽蓋に係止して油槽蓋と共に上昇するように構成した
ことを特徴とする請求項1記載のフライヤ装置。
【請求項3】
前記第2の移動機構によって前記水平方向所定位置に移動した揚げ物籠及び油槽蓋を第1の移動機構によって下降すると、油槽蓋が所定の係止部に係止して揚げ物籠のみが材料搬入位置または揚げ物搬出位置まで下降し、第1の移動機構によって材料搬入位置または揚げ物搬出位置から揚げ物籠を上昇させると、揚げ物籠が油槽蓋に係止して油槽蓋と共に上昇するように構成した
ことを特徴とする請求項1または2記載のフライヤ装置。
【請求項4】
前記材料搬入位置に移動した揚げ物籠に揚げ物の材料を搬入する材料搬入手段を備えた
ことを特徴とする請求項3記載のフライヤ装置。
【請求項5】
前記揚げ物籠は、上面を開口した籠本体と、籠本体の上面を開閉する籠蓋とを備え、
前記水平方向所定位置に移動した揚げ物籠及び油槽蓋を第1の移動機構によって下降すると、籠蓋が所定の係止部に係止して籠本体のみが下降することにより籠蓋が開放されるように構成した
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載のフライヤ装置。
【請求項6】
前記揚げ物搬出位置で揚げ物籠から搬出された揚げ物を受容して所定の搬送先に搬送する揚げ物搬送手段を備えた
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のフライヤ装置。
【請求項7】
前記揚げ物籠は底面を開閉可能に構成され、
前記材料搬出位置で揚げ物籠の底面を開放して揚げ物を下方に搬出するように構成した
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のフライヤ装置。
【請求項8】
前記揚げ物籠を油槽内の油面の上方で回転させることにより油切りを行う回転手段を備えた
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のフライヤ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフライドポテト、から揚げ、揚げ菓子、野菜チップ等の揚げ物食品を製造するフライヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のフライヤ装置としては、上面を開口した油槽と、油槽の上面を開閉する油槽蓋と、油槽内に出し入れされる揚げ物籠とを備え、油槽内に収容した油を加熱するとともに、揚げ物の材料を収容した揚げ物籠を油槽内に配置して油槽の上面を油槽蓋によって密閉し、油槽内の油で材料を揚げるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このフライヤ装置では、油槽蓋で密閉された油槽内を真空ポンプで減圧することにより、通常の温度(約170℃)よりも低い温度(例えば、約120℃)の油で材料を揚げるようにしている。このように低い温度で揚げた揚げ物は、通常の温度で揚げたものよりも酸化が抑制されるため、揚げ菓子等の賞味期限を長くすることができるとともに、揚げ物表面の焦げ付きも防止することができるので、品質の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−109905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のフライヤ装置では、揚げ物籠へ新たな材料を搬入する場合や、揚げ物籠から揚げ物を搬出する際は、揚げ物籠を油槽蓋と共に油槽から上方へ移動し、油槽の上方で作業を行わなければならない。その際、油槽の上方では作業が困難であるが、揚げ物籠と油槽蓋が上下方向に延びる支軸によって同軸状に支持されているため、揚げ物籠のみを油槽の上方から他の位置に移動させて作業することができず、揚げ物籠への材料の搬入や揚げ物籠からの揚げ物の搬出を効率よく行うことができないという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、油槽の上面を閉鎖する油槽蓋を有する構成であっても、揚げ物籠への材料の搬入や揚げ物籠からの揚げ物の搬出を効率よく行うことのできるフライヤ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、上面を開口した油槽と、油槽の上面を開閉可能に閉鎖する油槽蓋と、油槽内に出し入れされる揚げ物籠とを備え、油槽内に収容した油を加熱するとともに、揚げ物の材料を収容した揚げ物籠を油槽内に配置して油槽の上面を油槽蓋によって閉鎖し、油槽内の油で材料を揚げるようにしたフライヤ装置において、前記揚げ物籠を油槽蓋と共に上下方向に移動させる第1の移動機構と、第1の移動機構によって上方に移動した揚げ物籠及び油槽蓋を水平方向に移動させる第2の移動機構とを備え、第1の移動機構によって油槽の上方から揚げ物籠及び油槽蓋を下方に移動すると、油槽蓋によって油槽の上面が閉鎖されて揚げ物籠が油槽内に配置され、第1の移動機構によって揚げ物籠及び油槽蓋を油槽の上方に移動して第2の移動機構により水平方向所定位置に移動するとともに、第1の移動機構によって揚げ物籠を所定の材料搬入位置または揚げ物搬出位置まで下降して揚げ物籠への材料の搬入または揚げ物籠からの揚げ物の搬出を行うように構成している。
【0008】
これにより、油槽の上方に移動した揚げ物籠及び油槽蓋が水平方向所定位置に移動するとともに、揚げ物籠が所定の材料搬入位置または揚げ物搬出位置まで下降し、揚げ物籠への材料の搬入または揚げ物籠からの揚げ物の搬出が行われることから、油槽の上面を開閉する油槽蓋を備えた構成であっても、油槽の上方から水平方向に離れた位置で揚げ物籠への材料の搬入または揚げ物籠からの揚げ物の搬出が行われる。その際、揚げ物籠が油槽蓋と共に移動することから、揚げ物籠及び油槽蓋が同軸状に支持された構造であっても揚げ物籠を容易に移動させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、油槽の上面を開閉する油槽蓋を備えた構成であっても、油槽の上方から水平方向に離れた材料搬入位置または揚げ物搬出位置で揚げ物籠への材料の搬入または揚げ物籠からの揚げ物の搬出を効率よく行うことができる。その際、揚げ物籠及び油槽蓋が同軸状に支持された構造であっても揚げ物籠を容易に移動させることができるので、構造が複雑化することがないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を示すフライヤ装置の一部断面正面図
図2】フライヤ装置の平面図
図3】揚げ物籠の正面図
図4】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
図5】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
図6】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
図7】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
図8】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
図9】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
図10】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
図11】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
図12】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
図13】フライヤ装置の動作を示す一部断面正面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図13は本発明の一実施形態を示すもので、例えばフライドポテト、から揚げ、揚げ菓子、野菜チップ等の揚げ物食品を製造するフライヤ装置を示すものである。
【0012】
本実施形態のフライヤ装置は、油1を収容する油槽10と、油槽10の上面を開閉する油槽蓋20と、油槽10内に出し入れされる揚げ物籠30と、揚げ物籠30及び油槽蓋20を支持する支軸40と、揚げ物籠30を油槽蓋20と共に上下方向に移動させる第1の移動機構50と、第1の移動機構50によって上方に移動した揚げ物籠30及び油槽蓋20を水平方向に移動させる第2の移動機構60と、第1及び第2の移動機構50,60によって材料搬入位置に移動した揚げ物籠30に材料を搬入する材料搬入装置70と、第1及び第2の移動機構50,60によって揚げ物搬出位置に移動した揚げ物籠30から搬出された揚げ物を所定の搬送先に搬送する搬送装置80とを備えている。
【0013】
油槽10は上面を開口した円筒状の金属製の容器からなり、上面の開講縁には外側に向かって突出するフランジ10aが設けられている。油槽10は外周面から下方に延びる複数の脚部10bを有し、各脚部10bによって床面に固定されている。また、油槽10は、油槽10内の油1を加熱する加熱装置11と、油槽10内を減圧する減圧装置12とを備えている。加熱装置11は、油槽10内に配置された熱交換器11aと、熱交換器11aに高温の蒸気を発生させるボイラ11bとを備え、蒸気配管11cを介して熱交換器11aにボイラ11bの蒸気を流通することにより、油槽10内の油1を熱交換器11aによって加熱するようになっている。減圧装置12は、油槽10内の油面上方空間の空気を吸引する真空ポンプ12aと、真空ポンプ12aに吸引される空気を冷却する放熱器12bとを備え、真空ポンプ12aによって油槽10内の空気を吸引することにより、油槽10内を減圧するようになっている。
【0014】
油槽蓋20は、上方に凸状をなすように形成され、その周縁には油槽10のフランジ10aに当接するフランジ20aが設けられている。また、油槽蓋20の中央には支軸40が上下方向に摺動自在に貫通している。尚、各フランジ10a,20aの間、油槽蓋20と支軸40との間は、図示しないパッキン等により密閉されるようになっている。
【0015】
揚げ物籠30は、円筒状に形成された籠本体31と、籠本体31の上面を開閉する籠蓋32と、籠本体31の底面を開閉す底面板33とからなり、籠本体31、籠蓋32及び底面板33は金属製の網またはパンチンググリル等、通油性の部材によって形成されている。籠本体31は油槽10内を昇降可能な大きさに形成され、支軸40の下端に固定されている。籠蓋32は籠本体31の上面に載置されることにより籠本体31の上面を閉鎖するように形成され、支軸40に上下方向に移動自在に取り付けられている。また、籠蓋32の周縁部は籠本体31の上縁部よりも外側に向かって延出している。底面板33は籠本体31の径方向二枚に分割された半円形をなし、それぞれ中心側を籠本体31に回動自在に連結されている。各底面板33の下面には籠本体31の径方向に延びる係止部材34が係止しており、係止部材34によって各底面板33の下方への回動が規制されるようになっている。この場合、係止部材34は籠本体31に対して上下方向に移動可能に設けられ、係止部材34を下方に移動すると、各底面板33が係止部材34に係止しながら下方に回動し、籠本体31の底面が開放されるようになっている。係止部材34は上下方向の延びるシャフト35の下端に連結され、シャフト35の上端に連結されたシリンダ36によってシャフト35を上下動することにより、係止部材34が上下方向に移動するようになっている。また、係止部材34は、両端に設けたローラ34aを介して各底面板33に係止するようになっている。
【0016】
支軸40は、上下方向に延びる円柱状の部材からなり、揚げ物籠30及び油槽蓋20を同軸状に支持している。この場合、油槽蓋20及び籠蓋32は支軸40に対して上下方向に移動可能になっている。支軸40の上端は、支軸40を回動自在に支持する回転手段としての駆動ユニット41に連結され、駆動ユニット41はモータ41aによって支軸40を回転させるようになっている。また、支軸40内には係止部材34のシャフト35が支軸40に対して上下方向に移動可能に挿通しており、シャフト35の上端側は支軸40の上端から上方に延出している。
【0017】
第1の移動機構50は、油槽10よりも上方に配置された移動機構本体51と、移動機構本体51に上下方向に移動可能に設けられた可動部52と、可動部52を移動機構本体51に対して上下方向に移動させるボールネジ53とから構成されている。移動機構本体51は、互いに前後方向及び幅方向に間隔をおいて配置された複数の縦部材51aと、各縦部材51aの上端間に亘って前後方向及び幅方向に延びる複数の上側横部材51bと、各縦部材51aの下端間に亘って前後方向及び幅方向に延びる複数の下側横部材51cと、下側横部材51cの下端側を前後方向に延びる幅方向一対の支持部材51dとからなり、各支持部材51dの両端側は下側横部材51cから前後方向にそれぞれ延出している。可動部52は移動機構本体51の幅方向の延びるように形成され、その両端は移動機構本体51に取り付けられた前後一対のガイドレール52aに上下方向に移動自在に係合している。可動部52には支軸40の駆動ユニット41が固定され、駆動ユニット41に支持された支軸40が可動部52と共に上下方向に移動するようになっている。ボールネジ53は外周面にネジ部が形成された周知の構成からなり、その上端側及び下端側を移動機構本体51に回動自在に支持されている。ボールネジ53は、可動部52に固定された螺合部53aに螺合しており、上端側に連結されたモータ53bによってボールネジ53を正転または逆転させることにより、可動部52が上方または下方に移動するようになっている。また、駆動ユニット41の上方には前記シリンダ36が配置され、シリンダ36は架台36aを介して駆動ユニット41に固定されている。
【0018】
第2の移動機構60は、油槽10を外側から囲むように配置された移動機構本体61を備え、移動機構本体61には第1の移動機構50が幅方向に移動自在に載置されている。移動機構本体51は、互いに前後方向及び幅方向に間隔をおいて配置された複数の縦部材61aと、各縦部材61aの上端間に亘って前後方向及び幅方向に延びる複数の横部材61bとからなり、幅方向に延びる複数の横部材61bは第1の移動機構50の移動機構本体51に対して幅方向に約二倍の長さに形成されている。各横部材61bの上面には前後一対のガイドレール61cが設けられ、各ガイドレール61cには第1の移動機構50の各支持部材51dが幅方向に移動自在に係合している。また、第2の移動機構60は、第1の移動機構50を移動機構本体51に対して幅方向に移動させるボールネジ62を備えている。ボールネジ62は外周面にネジ部が形成された周知の構成からなり、その上端側及び下端側を移動機構本体61に回動自在に支持されている。ボールネジ62は、第1の移動機構50の移動機構本体51に固定された螺合部62aに螺合しており、一端側に連結されたモータ62bによってボールネジ62を正転または逆転させることにより、第1の移動機構50が幅方向一方または他方に移動するようになっている。移動機構本体61の幅方向一端側には油槽10が配置され、移動機構本体61の幅方向他端側には、油槽蓋20及び籠蓋32が上方から係止する係止部としての係止板63が設けられている。係止板63は各横部材61bの下方に配置され、その四隅をそれぞれ上下方向に延びる連結部材63aを介して各横部材61bに連結されている。係止板63には、幅方向一側方(油槽10側)を開放したU字状の切り欠き部63bが設けられ、切り欠き部63bは、揚げ物籠30の籠本体31の外径寸法よりも大きく且つ籠蓋32の外径寸法よりも小さい前後幅に形成されている。これにより、籠本体31が係止板63の切り欠き部63bを挿通し、油槽蓋20及び籠蓋32の周縁部が係止板63の上面に係止するようになっている。
【0019】
材料搬入装置70は、第2の移動機構60の幅方向他端側に設けられたシュート71を備え、図示しない搬送装置によって搬送された材料をシュート71によって揚げ物籠30に投入するようになっている。シュート71は材料搬入位置に移動した揚げ物籠30の斜め上方に位置し、上下方向に移動する揚げ物籠30と干渉しないようになっている。
【0020】
搬送装置80は、揚げ物搬出位置に移動した揚げ物籠30の下方に配置されるホッパー81と、ホッパー81の下方に配置されたコンベア82とを備え、揚げ物籠30から搬出された揚げ物をホッパー81で受容するとともに、コンベア82によって所定位置に搬送するようになっている。この場合、コンベア82はホッパー81の下方から斜め上方に向かって揚げ物を搬送するようになっている。
【0021】
以上のように構成されたフライヤ装置においては、油槽10内に配置された揚げ物籠30を第1の移動機構50によって上方に移動すると、所定の高さ位置で揚げ物籠30が油槽蓋20に係止し、揚げ物籠30が油槽蓋20と共に上昇する。また、第1の移動機構50によって油槽10の上方に揚げ物籠30及び油槽蓋20を移動した後、第2の移動機構60によって第1の移動機構50を第2の移動機構60の幅方向一端側から他端側まで水平方向に移動し、第1の移動機構50によって揚げ物籠30及び油槽蓋20を下方に移動すると、揚げ物籠30の籠蓋32及び油槽蓋20が係止板63に係止し、揚げ物籠30の籠本体31のみが揚げ物搬出位置及び材料搬入位置まで下降する。
【0022】
ここで、フライヤ装置による揚げ物製造工程を説明する。まず、図4に示すように揚げ物籠30を材料搬入位置に移動する。その際、揚げ物籠30の籠蓋32及び油槽蓋20は上方の係止板63に係止しているので、揚げ物籠30の籠本体31の上面は開放されている。次に、図中白抜き矢印で示すように材料搬入装置70によって揚げ物籠30の籠本体31に材料(例えば、フライドポテト用の食材)を搬入する。
【0023】
続いて、図5に示すように第1の移動機構50によって籠本体31を上方に移動すると、係止板63に係止していた籠蓋32によって籠本体31の上面が閉鎖されるとともに、揚げ物籠30の上端が油槽蓋20に係止し、揚げ物籠30が油槽蓋20と共に上昇する。
【0024】
次に、図6に示すように第2の移動機構60によって第1の移動機構50を第2の移動機構60の幅方向他端側から一端側まで水平方向に移動し、揚げ物籠30及び油槽蓋20を油槽10の上方に位置させる。
【0025】
この後、図7に示すように第1の移動機構50によって揚げ物籠30と共に油槽蓋20を下方に移動すると、油槽蓋20が油槽10の上端に係止して油槽10の上面が油槽蓋20により閉鎖されるとともに、揚げ物籠30のみが下降し、油槽10の油面の上方まで移動する。その際、油槽蓋20で密閉された油槽10内を減圧装置12によって所定の圧力(例えば、0〜31.3kPa)まで減圧するとともに、油槽10内の油1を加熱装置11によって所定温度(例えば、120℃)まで加熱する。
【0026】
次に、図8に示すように揚げ物籠30を更に下方に移動し、油槽10の油1の中まで移動することにより、揚げ物籠30内の材料を油1で加熱し、材料を油1で揚げる。
【0027】
続いて、図9に示すように油槽蓋20によって密閉された油槽10内で揚げ物籠30を油面の上方まで移動し、駆動ユニット41によって支軸40を回転する。これにより、揚げ物籠30が支軸40を中心に回転し、遠心力により揚げ物籠30内の揚げ物の油切りが行われる。
【0028】
この後、油槽10内を大気圧に戻し、図10に示すように第1の移動機構50によって揚げ物籠30を上方に移動する。これにより、油槽10を閉鎖していた油槽蓋20に揚げ物籠30の上端が係止し、揚げ物籠30が油槽蓋20と共に上昇する。
【0029】
次に、図11に示すように第2の移動機構60によって第1の移動機構50を第2の移動機構60の幅方向一端側から他端側まで水平方向に移動し、揚げ物籠30及び油槽蓋20を係止板63の上方に位置させる。
【0030】
この後、図12に示すように第1の移動機構50によって揚げ物籠30と共に油槽蓋20を下方に移動すると、揚げ物籠30の籠蓋32及び油槽蓋20が係止板63の上面に係止し、揚げ物籠30の籠本体31のみが下降し、揚げ物搬出位置まで移動する。
【0031】
そして、図13に示すようにシリンダ36によってシャフト35を駆動し、係止部材34を下方に移動すると、揚げ物籠30の各底面板33が開いて籠本体31が開放される。これにより、図中白抜き矢印に示すように揚げ物籠30内から揚げ物が搬出されて搬送装置80のホッパー81に受容されるとともに、コンベア82によって所定の搬送先に搬送される。
【0032】
この後、揚げ物籠30の各底面板33を閉鎖するとともに、図4と同様に新たな材料を揚げ物籠30に搬入することにより、前述の揚げ物製造工程が繰り返し行われる。
【0033】
このように、本実施形態のフライヤ装置によれば、第1の移動機構50によって油槽10の上方から揚げ物籠30及び油槽蓋20を下方に移動すると、油槽蓋20によって油槽10の上面が閉鎖されて揚げ物籠30が油槽10内に配置され、第1の移動機構50によって揚げ物籠30及び油槽蓋20を油槽蓋の上方に移動して第2の移動機構により水平方向所定位置に移動するとともに、第1の移動機構50によって揚げ物籠30を材料搬入位置または揚げ物搬出位置まで下降して揚げ物籠30への材料の搬入または揚げ物籠30からの揚げ物の搬出を行うようにしたので、油槽10の上面を開閉する油槽蓋20を備えた構成であっても、油槽10の上方から水平方向に離れた材料搬入位置または揚げ物搬出位置で揚げ物籠30への材料の搬入または揚げ物籠30からの揚げ物の搬出を効率よく行うことができる。その際、第1及び第2の移動機構50,60によって揚げ物籠30を油槽蓋20と共に移動させるようにしたので、揚げ物籠30及び油槽蓋20が同軸状に支持された構造であっても揚げ物籠30を容易に移動させることができ、構造が複雑化することがないという利点がある。
【0034】
また、第1の移動機構50によって油槽10の上方から揚げ物籠30及び油槽蓋20を下方に移動すると、油槽蓋20が油槽10に係止して揚げ物籠30のみが油槽10内を下降し、第1の移動機構50によって油槽10内から揚げ物籠30を上昇させると、揚げ物籠30が油槽蓋20に係止して油槽蓋20と共に上昇するようにしたので、油槽蓋20の上下方向の移動量を少なくすることができ、装置全体を高さ方向に小型化することができる。
【0035】
更に、第2の移動機構60によって水平方向所定位置に移動した揚げ物籠30及び油槽蓋20を第1の移動機構50によって下降すると、油槽蓋20が係止板63に係止して揚げ物籠30のみが材料搬入位置及び揚げ物搬出位置まで下降し、第1の移動機構50によって材料搬入位置及び揚げ物搬出位置から揚げ物籠30を上昇させると、揚げ物籠30が油槽蓋20に係止して油槽蓋20と共に上昇するようにしたので、材料搬入位置及び揚げ物搬出位置まで下降した揚げ物籠30の上方と油槽蓋20との間に広いスペースを形成することができ、揚げ物籠30への材料の搬入を容易に行うことができる。
【0036】
また、材料搬入位置に移動した揚げ物籠30に材料搬入装置70によって揚げ物の材料を搬入するようにしたので、材料の搬入工程を自動化することができる。
【0037】
更に、揚げ物籠30は、上面を開口した籠本体31と、籠本体31の上面を開閉する籠蓋32とを備えているので、油槽10の油1の中に配置された揚げ物籠30から材料が外部に飛散することがないという利点がある。この場合、水平方向所定位置に移動した揚げ物籠30及び油槽蓋20を第1の移動機構50によって下降すると、籠蓋32が所定の係止板63に係止して籠本体31のみが下降することにより籠蓋32が開放されるようにしたので、揚げ物籠30が籠蓋32を有する構造であっても、籠蓋32の開閉を自動化することができる。
【0038】
また、揚げ物搬出位置で揚げ物籠30から搬出された揚げ物を搬送装置80によって所定の搬送先に搬送するようにしたので、揚げ物の搬送工程を自動化することができる。
【0039】
更に、揚げ物籠30の底面板33を開閉可能に構成し、材料搬出位置で底面板33を開放して揚げ物を下方に搬出するようにしたので、揚げ物籠30からの揚げ物の搬出を自動化することができる。
【0040】
また、揚げ物籠30を油槽10内の油面の上方で回転させることにより油切りを行うようにしたので、油切りを短時間で行うことができ、製造工程に要する時間の短縮を図ることができる。
【0041】
本実施形態によれば、前述のように揚げ工程のみならず、材料の搬入工程から揚げ物の搬送工程まで全自動で行うことができるので、揚げ物の生産効率の向上を図ることができ、例えば揚げ菓子を工場で量産する場合に極めて有利である。
【0042】
尚、前記実施形態では、材料搬入位置及び揚げ物搬出位置を同一位置にしたものを示したが、これらは互いに異なった高さ位置であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…油、10…油槽、20…油槽蓋、30…揚げ物籠、31…籠本体、32…籠蓋、33…底面板、40…支軸、50…第1の移動機構、60…第2の移動機構、70…材料搬入装置、80…搬送装置。
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