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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-94295(P2018-94295A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/475 20060101AFI20180525BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20180525BHJP
【FI】
   A61F13/475 112
   A61F13/475 111
   A61F13/494 111
   A61F13/494 115
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-244275(P2016-244275)
(22)【出願日】2016年12月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】大西 亮輔
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA12
3B200BB11
3B200CA02
3B200CA08
3B200CA09
3B200CA11
3B200CA15
3B200DA02
(57)【要約】
【課題】立体ギャザーをより確実に起立させる。
【解決手段】吸収性物品1は、長手方向に延びる略シート状の本体部2と、本体部2の両側部上に配置され、長手方向に延びる一対のサイドシート3とを備える。各サイドシート3は、長手方向に垂直な幅方向における一方の端部を基部311として、基部311が本体部2に固定されるサイドシート本体31と、幅方向において基部311とは反対側におけるサイドシート本体31の端部を自由端部313として、自由端部313において長手方向に沿って接合され、長手方向に収縮する自由端部弾性部材32と、サイドシート本体31において、自由端部弾性部材32から基部311に向かって離れた補助領域314に接合され、少なくとも幅方向に収縮する補助領域弾性部材33とを備える。吸収性物品1では、自由端部弾性部材32と補助領域314との間の領域をより確実に起立させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
バックシートとトップシートとの間に吸収コアが配置された、長手方向に延びる略シート状の本体部と、
前記本体部の両側部上に配置され、前記長手方向に延びる一対のサイドシートと、
を備え、
各サイドシートが、
前記長手方向に垂直な幅方向における一方の端部を基部として、前記基部が前記本体部に固定されるサイドシート本体と、
前記幅方向において前記基部とは反対側における前記サイドシート本体の端部を自由端部として、前記自由端部において前記長手方向に沿って接合され、前記長手方向に収縮する自由端部弾性部材と、
前記サイドシート本体において、前記自由端部弾性部材から前記基部に向かって離れた補助領域に接合され、少なくとも前記幅方向に収縮する補助領域弾性部材と、
を備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記補助領域弾性部材が、糸状の弾性要素を含み、前記幅方向における前記弾性要素の位置が前記長手方向に沿って変化することを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品であって、
前記弾性要素が、前記長手方向に延びる波状に配置されることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性物品であって、
前記弾性要素が、前記長手方向における前記サイドシート本体の中央部から端部に亘って配置され、
前記端部において前記弾性要素が示す波形の振幅が、前記中央部における前記振幅よりも小さい、または、前記端部における前記波形の周期が、前記中央部における前記周期よりも大きいことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記自由端部弾性部材と前記補助領域との間の領域に、いずれの弾性部材も配置されないことを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記長手方向に関して、前記自由端部弾性部材の存在範囲が、前記補助領域弾性部材の存在範囲の全体を含むことを特徴とする吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品では、従来、着用者の脚の付け根近傍に当接する立体ギャザーが設けられる。立体ギャザーは、吸収性本体の両側部上に配置される一対のサイドシートにより形成される。例えば、特許文献1の吸収性物品では、幅方向に並べられる一対のサイドシートに、複数の立体ギャザー伸縮部材が固定される。複数の立体ギャザー伸縮部材には、幅方向に垂直な長手方向に沿って直線状に延びる直線状伸縮部材と、長手方向に沿って波状に延びる波状伸縮部材とが含まれる。波状伸縮部材が直線状伸縮部材に周期的に重なるように配置されることにより、立体ギャザーに立体的な皺が形成され、立体ギャザーの肌触りや風合いが良好なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−77734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸収性物品において、立体ギャザーをより確実に防漏壁として機能させるには、吸収性物品を使用する前に、サイドシートの自由端部近傍を持ち上げる(立体ギャザーを起立させる)煩雑な作業が必要となる。また、着用者が吸収性物品を装着した状態において、その姿勢によっては、立体ギャザーの一部が押し潰されてしまう。押し潰された部分は、着用者の姿勢の変更によって押し潰されなくなっても、直ぐには起立しない場合がある。この場合、防漏壁が十分に形成されず、横漏れが生じてしまう。したがって、立体ギャザーをより確実に起立させることが可能な新規な手法が求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、立体ギャザーをより確実に起立させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、バックシートとトップシートとの間に吸収コアが配置された、長手方向に延びる略シート状の本体部と、前記本体部の両側部上に配置され、前記長手方向に延びる一対のサイドシートとを備え、各サイドシートが、前記長手方向に垂直な幅方向における一方の端部を基部として、前記基部が前記本体部に固定されるサイドシート本体と、前記幅方向において前記基部とは反対側における前記サイドシート本体の端部を自由端部として、前記自由端部において前記長手方向に沿って接合され、前記長手方向に収縮する自由端部弾性部材と、前記サイドシート本体において、前記自由端部弾性部材から前記基部に向かって離れた補助領域に接合され、少なくとも前記幅方向に収縮する補助領域弾性部材とを備える。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、前記補助領域弾性部材が、糸状の弾性要素を含み、前記幅方向における前記弾性要素の位置が前記長手方向に沿って変化する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の吸収性物品であって、前記弾性要素が、前記長手方向に延びる波状に配置される。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の吸収性物品であって、前記弾性要素が、前記長手方向における前記サイドシート本体の中央部から端部に亘って配置され、前記端部において前記弾性要素が示す波形の振幅が、前記中央部における前記振幅よりも小さい、または、前記端部における前記波形の周期が、前記中央部における前記周期よりも大きい。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記自由端部弾性部材と前記補助領域との間の領域に、いずれの弾性部材も配置されない。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記長手方向に関して、前記自由端部弾性部材の存在範囲が、前記補助領域弾性部材の存在範囲の全体を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自由端部弾性部材と補助領域との間の領域をより確実に起立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】吸収性物品を示す平面図である。
図2】吸収性物品を示す断面図である。
図3】サイドシートの一部を拡大して示す平面図である。
図4】サイドシートを示す断面図である。
図5】吸収性物品の他の例を示す図である。
図6】吸収性物品の他の例を示す図である。
図7】吸収性物品の他の例を示す図である。
図8】吸収性物品の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収性物品1を広げた状態で示す平面図である。吸収性物品1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の外装物品の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの排泄物を受ける補助吸収具である。吸収性物品1は、例えば、着用者からの尿等を受ける軽失禁用の吸収パッドである。図1では、着用時に着用者に接する側の面を手前にして吸収性物品1を描いている。
【0015】
吸収性物品1は、本体部2と、一対のサイドシート3とを備える。本体部2は、図1の上下方向である長手方向に延びる略シート状である。一対のサイドシート3は、本体部2の両側部、すなわち、長手方向に垂直な幅方向(図1の左右方向)の両端部上に配置され、長手方向に延びる。サイドシート3は、本体部2のおよそ全長に亘る。吸収性物品1の図1中における上側の部位および下側の部位のうち一方は、着用者の腹側の肌に接する前方部であり、他方は背側の肌に接する後方部である。また、前方部と後方部との間の部位は、着用者の股間部に対向する中央部である。以下の説明において、長手方向および幅方向に言及する場合は、吸収性物品1を広げた状態における長手方向および幅方向を意味する。
【0016】
図2は、吸収性物品1を図1中に示すII−IIの位置で長手方向に垂直な面で切断した断面図である。図2では、図示の都合上、吸収性物品1の各構成を厚さ方向(図2の上下方向)に離して描いている。また、サイドシート3の構造を判りやすくするため、後述するサイドシート本体31において生じる皺を伸ばした状態を示している。
【0017】
図1および図2に示すように、本体部2は、透液性のトップシート21と、撥水性または不透液性のバックシート23と、トップシート21とバックシート23との間に配置された略シート状の吸収コア22とを備える。図1では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太い破線にて描いている。図1に示すように、吸収コア22および本体部2はそれぞれ、平面視において長手方向に長い略長方形である。本体部2は吸収コア22より一回り大きく、吸収コア22の全体が本体部2の外周縁よりも内側に位置する。トップシート21およびバックシート23の長手方向の長さおよび幅方向の幅は、吸収コア22の長さおよび幅よりも大きい。図2に示すように、トップシート21は、吸収コア22の着用者側の主面を覆う。バックシート23は、吸収コア22のもう一方の主面、すなわち、着用者とは反対側の主面を覆う。トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤等によりバックシート23に接合される。
【0018】
トップシート21は、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。吸収コア22は、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。バックシート23は、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すことを防止する。
【0019】
各サイドシート3において幅方向における外側の部位311(他方のサイドシート3とは反対側の部位)は、本体部2に固定される基部である。基部311は、長手方向の全長に亘ってトップシート21の側端部にホットメルト接着剤等により接合される。また、長手方向におけるサイドシート3の両端部(以下、「端固定部312」という。)も、トップシート21の両端部にホットメルト接着剤等により接合される。基部311および端固定部312は、バックシート23の一部にも接合されてよい。図1では、サイドシート3と本体部2とが接合される領域に平行斜線を付している(後述の図3、並びに、図5ないし図8において同様)。サイドシート3の構造の詳細については後述する。
【0020】
上述のホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。トップシート21とバックシート23との接合、および、サイドシート3と本体部2との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。ホットメルト接着剤を用いて接合を行う他の部分において同様である。
【0021】
トップシート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布が利用される。当該不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布である。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0022】
吸収コア22は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に、粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成される。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および高吸収性材料とホットメルト接着剤により接合され、親水性繊維の型崩れ、および、高吸収性材料の脱落(特に、吸水後における脱落)が防止される。本実施の形態では、吸収コア22はパルプ繊維およびSAPを含む。
【0023】
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シート等が利用される。吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、バックシート23にて利用されるプラスチックフィルムは、透湿性(通気性)を有するものが好ましい。
【0024】
図3は、サイドシート3の一部を拡大して示す平面図であり、図4は、サイドシート3を図3中に示すIV−IVの位置で長手方向に垂直な面で切断した断面図である。図4では、本体部2の一部も示している。各サイドシート3は、サイドシート本体31と、自由端部弾性部材32と、補助領域弾性部材33とを備える。サイドシート本体31は、例えば、長手方向の全長に亘る折り曲げ線319にて2つ折りにされた構造を有する。折り曲げ線319が長手方向に平行となり、かつ、サイドシート本体31の他の部位よりも幅方向内側に位置する(すなわち、他の部位よりも他方のサイドシート3に近くなる)ように、サイドシート本体31が本体部2上に配置される。
【0025】
既述の基部311は、幅方向におけるサイドシート本体31の外側の端部であり、折り曲げ線319とは反対側の端部である。基部311は、本体部2に固定される。2つ折り構造を有するサイドシート本体31では、基部311において互いに重なる部位同士も、ホットメルト接着剤等により固定される。サイドシート本体31において、長手方向における2つの端固定部312間の位置に着目すると、基部311が固定端部となり、折り曲げ線319近傍の部位が自由端部313となる。このように、基部311は、幅方向におけるサイドシート本体31の一方の端部であり、自由端部313は、サイドシート本体31の他方の端部、すなわち、幅方向における基部311とは反対側の端部である。
【0026】
自由端部弾性部材32は、直線状に延びる糸状の自由端部弾性要素321を含む。自由端部弾性要素321は、自由端部313において、一方の端固定部312から他方の端固定部312まで長手方向に沿って配置される(図1参照)。自由端部弾性要素321は、ホットメルト接着剤等によりサイドシート本体31に伸張状態にて接合され、長手方向に収縮する。図4に示す2つ折りのサイドシート本体31では、自由端部313において互いに重なる2つの部位の間に自由端部弾性要素321が配置されており、当該2つの部位の一方または双方に、自由端部弾性要素321が接合される。自由端部弾性部材32が収縮することにより、長手方向におけるサイドシート本体31の中央部において、自由端部313を含む部位が、本体部2から着用者に向かって起立する(すなわち、トップシート21から離間する)。
【0027】
補助領域弾性部材33は、糸状の補助領域弾性要素331を含み、補助領域弾性要素331は、長手方向に沿って延びる波状に配置される。図1の例では、補助領域弾性要素331が示す波形の振幅および周期(距離の周期であり、波長に相当する。)は長手方向において一定である。サイドシート3の製造では、例えば、サイドシート本体31となる不織布を、長手方向に対応する方向に連続的に移動しつつ、糸状の弾性要素を送り出す部材を、当該方向に垂直な方向に振動させることにより、波状の補助領域弾性要素331が容易に形成可能である。図3の補助領域弾性要素331では、幅方向の一方側および他方側に交互に凸となる複数の湾曲部が長手方向に沿って配列されるが、補助領域弾性要素331は、複数の屈曲部が長手方向に沿って配列される波状(いわゆる、ジグザグ形状)であってもよい。複数の屈曲部も、複数の湾曲部と同様に、凸となる向きが交互に切り替わる。
【0028】
補助領域弾性要素331は、サイドシート本体31において、自由端部弾性部材32と基部311との間に配置される。以下、補助領域弾性要素331が配置される領域314を、「補助領域314」という。補助領域314は、例えば、幅方向に関して補助領域弾性要素331が存在する範囲と、長手方向に関して補助領域弾性要素331が存在する範囲とで定められる矩形領域である。図3では、幅方向における補助領域314の範囲を、同じ符号314を付す矢印にて示す。
【0029】
補助領域314は、自由端部弾性部材32と重ならない。すなわち、補助領域314は、幅方向において自由端部弾性部材32から基部311に向かって離れた領域であり、補助領域弾性部材33は、自由端部弾性部材32と交わらない。また、補助領域314は、長手方向において一方の端固定部312近傍から他方の端固定部312近傍まで連続する(図1参照)。詳細には、長手方向における補助領域弾性要素331の両端、すなわち、補助領域314の両端は、双方の端固定部312から離れており、補助領域弾性要素331の長手方向における長さは、自由端部弾性要素321よりも僅かに短い。
【0030】
補助領域弾性要素331は、ホットメルト接着剤等によりサイドシート本体31に伸張状態にて接合される。図4に示す2つ折りのサイドシート本体31では、補助領域314において互いに重なる2つの部位の間に補助領域弾性要素331が配置されており、当該2つの部位の一方または双方に、補助領域弾性要素331が接合される。長手方向に伸張した状態の吸収性物品1において、波状の補助領域弾性要素331では、幅方向における位置が長手方向に沿って変化するため、補助領域弾性要素331は、長手方向のみならず、幅方向にも収縮する。図3では、補助領域弾性要素331による収縮力が生じる方向を符号A1を付す矢印にて示している。
【0031】
自由端部弾性部材32と補助領域314との間の領域315(以下、「中間領域315」という。)では、長手方向における収縮力が自由端部313よりも小さく、かつ、幅方向における収縮力が補助領域314よりも小さい。典型的には、中間領域315は、いずれの弾性部材も配置されない、弾性部材の非存在領域である。図3では、幅方向における中間領域315の範囲を、同じ符号315を付す矢印にて示す。なお、長手方向における補助領域弾性部材33の収縮力と、自由端部弾性部材32の収縮力との関係は任意に決定されてよい。すなわち、補助領域弾性部材33の当該収縮力が、自由端部弾性部材32の収縮力以上であってよく、自由端部弾性部材32の収縮力未満であってもよい。
【0032】
サイドシート本体31の材料としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が例示される。自由端部弾性要素321および補助領域弾性要素331としては、例えば、ポリウレタン糸、糸状の天然ゴム等が利用される。なお、サイドシート本体31が、独立した複数のシートを積層したものであってもよい。
【0033】
吸収性物品1を内部に取り付けた外装物品を着用者が装着した状態(以下、単に「吸収性物品1を装着した状態」という。)では、長手方向に伸びる一対のサイドシート本体31において、基部311および端固定部312を除く部位が、自由端部弾性部材32の収縮により着用者に向かって起立し、一対の立体ギャザーとなる。立体ギャザーは、着用者の脚の付け根近傍に当接する。
【0034】
ここで、サイドシート本体31において、2つの端固定部312から長手方向に離れた位置(例えば中央部)に注目する。当該位置では、自由端部弾性部材32と補助領域314との間の中間領域315において、補助領域314側の部位は、補助領域弾性部材33の収縮により補助領域314側に引っ張られる(図3参照)。また、中間領域315において自由端部弾性部材32側の部位は、自由端部弾性部材32の収縮により補助領域314とは反対側に引っ張られる。したがって、図4に示すように、長手方向に垂直なサイドシート本体31の断面では、自由端部弾性部材32と補助領域314との間で、中間領域315をピンと張った状態が形成される。すなわち、サイドシート本体31における中間領域315がしっかりと(真っ直ぐな状態で)起立し、中間領域315により防漏壁としての機能が確保される。また、着用者が吸収性物品1を装着した状態において、長手方向における中間領域315の一部分が押し潰されている場合でも、着用者の姿勢の変更によって当該部分が押し潰されなくなると、自由端部弾性部材32および補助領域弾性部材33の収縮力により、当該部分が直ぐに起立する。
【0035】
また、中間領域315の土台となる補助領域314では、補助領域弾性部材33が長手方向および幅方向の双方、実際には様々な方向に収縮する。これにより、補助領域314において様々な方向の皺が形成され、補助領域314の部分の剛性が全体として比較的高くなる。したがって、補助領域314が起立した状態が維持されやすくなり、立体ギャザーが高く立ち上がった状態が維持される。さらに、補助領域314では、基部311を下側、自由端部313を上側として捉えた場合に、補助領域弾性要素331における山状の部分の内部、および、谷状の部分の内部において収縮が生じないため、ポケット部316が形成される。ポケット部316は、他方のサイドシート3とは反対側(外側)に窪んで、着用者からの排泄物を収容することが可能である。
【0036】
幅方向に関して、基部311の補助領域314側のエッジと自由端部弾性部材32との間の幅を、「基部−自由端部間幅」として、中間領域315の幅は、例えば、基部−自由端部間幅の10%以上かつ60%以下(好ましくは40%以下)である。これにより、補助領域314を容易に設定可能としつつ、防漏壁として機能する中間領域315のある程度の高さが確保される。この場合、基部311から、補助領域314における中間領域315側のエッジまでの距離は、基部−自由端部間幅の40%以上(好ましくは60%以上)かつ90%以下である。また、補助領域314の幅は、例えば基部−自由端部間幅の30%以上かつ90%以下である。これにより、幅方向におけるある程度の収縮力を容易に確保することができる。なお、補助領域314の一部が基部311と重なってもよい。
【0037】
以上に説明したように、吸収性物品1では、長手方向に収縮する自由端部弾性部材32が、サイドシート本体31の自由端部313に設けられる。また、サイドシート本体31において、自由端部弾性部材32から基部311に向かって離れた補助領域314に、幅方向に収縮する補助領域弾性部材33が設けられる。これにより、自由端部弾性部材32と補助領域314との間の中間領域315をより確実に起立させる、すなわち、立体ギャザーをより確実に起立させることができる。その結果、吸収性物品1により受けられた排泄物が、吸収性物品1の側部からその外部領域に漏れ出す横漏れを防止することができる。また、補助領域弾性部材33の補助領域弾性要素331が、長手方向に延びる波状に配置される。これにより、排泄物を収容可能なポケット部316を補助領域314に形成することができ、横漏れをさらに防止することができる。
【0038】
仮に、長手方向におけるサイドシート本体31の中央部のみに自由端部弾性部材32が設けられる場合、サイドシート本体31における端固定部312の近傍では、補助領域弾性部材33による収縮力のみが作用する。この場合、端固定部312の近傍において、本体部2からの自由端部313の高さが過度に低くなる可能性がある。これに対し、図1の吸収性物品1では、長手方向に関して、自由端部弾性部材32の存在範囲が、補助領域弾性部材33の存在範囲の全体を含む。これにより、サイドシート本体31において自由端部313の高さが過度に低くなる部分が生じることを防止することができる。
【0039】
図1の例では、補助領域弾性部材33が1本の補助領域弾性要素331を含むが、2本以上の補助領域弾性要素331を含んでもよい。図5では、補助領域弾性部材33が2本の補助領域弾性要素331を含む吸収性物品1を示している。図5の吸収性物品1では、中間領域315をさらにしっかりと起立させることができる。なお、自由端部弾性部材32が、2本以上の自由端部弾性要素321を含んでもよい。
【0040】
図1の吸収性物品1では、補助領域弾性要素331が示す波形の振幅および周期が長手方向に一定であるが、当該波形の振幅または周期が長手方向の位置に応じて変化してもよい。例えば、図6に示す吸収性物品1では、長手方向におけるサイドシート本体31の中央部から端部(端固定部312近傍)に向かうに従って、補助領域弾性要素331が示す波形の振幅が漸次小さくなる。また、図7に示す吸収性物品1では、長手方向におけるサイドシート本体31の中央部から端部に向かうに従って、補助領域弾性要素331が示す波形の周期が漸次大きくなる。
【0041】
このように、図6および図7の吸収性物品1では、補助領域弾性要素331が、長手方向におけるサイドシート本体31の中央部から端部に亘って配置される。そして、当該端部において補助領域弾性要素331が示す波形の振幅が、当該中央部における振幅よりも小さくされる、または、当該端部における波形の周期が、当該中央部における周期よりも大きくされる。これにより、サイドシート本体31において中間領域315をより確実に起立させつつ、長手方向の端部において補助領域314が嵩高になるのを抑制して、着用者において当該端部における違和感を低減することができる。
【0042】
上記吸収性物品1では様々な変形が可能である。
【0043】
補助領域弾性要素331は、波状以外の形状であってもよい。例えば、図8の吸収性物品1では、1つの山状の補助領域弾性要素331が、長手方向における中央部に設けられる。図8の補助領域弾性要素331も、伸張状態にてサイドシート本体31に接合される。同様に、1つの谷状の補助領域弾性要素331(図8の補助領域弾性要素331を左右に反転させた形状の補助領域弾性要素331)が設けられてもよい。また、複数の山状の補助領域弾性要素331が、長手方向に不連続に配置されてもよい。いずれの場合も、幅方向における補助領域弾性要素331の位置が長手方向に沿って変化することにより、補助領域弾性要素331が幅方向に収縮する(すなわち、補助領域弾性要素331による収縮力が幅方向の成分を含む。)。その結果、自由端部弾性部材32と補助領域314との間の中間領域315をより確実に起立させることができる。
【0044】
また、吸収性物品1の設計によっては、補助領域弾性部材33において、糸状の補助領域弾性要素331に代えて、帯状の弾性要素が補助領域314に設けられてもよい。当該帯状の弾性要素は、幅方向に伸張した状態でサイドシート本体31に接合される。この場合も、補助領域弾性部材33および自由端部弾性部材32の収縮力を利用して、中間領域315をより確実に起立させることができる。以上のように、吸収性物品1では、少なくとも幅方向に収縮する補助領域弾性部材33を補助領域314に設けることが重要である。一方、サイドシート3において補助領域弾性部材33を容易に設けるという観点では、自由端部弾性部材32と同様の糸状の弾性要素を、幅方向における位置が長手方向に沿って変化するように配置しつつサイドシート本体31に接合することが好ましい。
【0045】
立体ギャザーの防漏壁としての機能は、股間部に対向する中央部において特に要求される場合が多いため、図8の補助領域弾性要素331と同様に、自由端部弾性部材32が長手方向における中央部のみに設けられてもよい。換言すると、自由端部弾性部材32は、少なくとも長手方向における中央部に設けられることが好ましい。同様に、補助領域弾性部材33も、少なくとも長手方向における中央部に設けられることが好ましい。また、自由端部弾性部材32として、帯状のポリウレタンフィルム、帯状の天然ゴム等が利用されてもよい。
【0046】
サイドシート本体31において幅方向における内側の端部が、基部として本体部2に固定されてもよい。この場合、幅方向における外側の端部が自由端部となる。このように、サイドシート本体31では、幅方向における一方の端部が、本体部2に固定される基部であり、基部とは反対側の端部が、自由端部弾性部材32が設けられる自由端部であればよい。
【0047】
上述の吸収性物品1および吸収コア22は、必ずしも略長方形状には限定されず、例えば、長手方向の両端部の幅が中央部の幅よりも大きい略砂時計型であってもよい。
【0048】
上述のサイドシート3は、補助吸収具以外の吸収性物品、例えば、パンツタイプやテープタイプの使い捨ておむつ等に利用されてもよい。
【0049】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0050】
1 吸収性物品
2 本体部
3 サイドシート
21 トップシート
22 吸収コア
23 バックシート
31 サイドシート本体
32 自由端部弾性部材
33 補助領域弾性部材
311 基部
313 自由端部
314 補助領域
315 中間領域
331 補助領域弾性要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8