(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-94598(P2018-94598A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】金枠上面清掃方法及び金枠上面清掃装置
(51)【国際特許分類】
B22D 43/00 20060101AFI20180525BHJP
B22C 23/00 20060101ALI20180525BHJP
【FI】
B22D43/00 G
B22C23/00 D
B22C23/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-242037(P2016-242037)
(22)【出願日】2016年12月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰嗣
(72)【発明者】
【氏名】白井 利典
【テーマコード(参考)】
4E014
4E094
【Fターム(参考)】
4E014PA03
4E014PA05
4E094EE03
4E094EE04
4E094EE11
(57)【要約】
【課題】隣接する金枠間に形成される凹部に堆積、付着している付着物を、確実に清掃することができる金枠上面清掃方法及び金枠上面清掃装置を提供する。
【解決手段】直列方向に搬送される定盤台車1上に載置された金枠群の上方位置に、ピストンの移動物体固定部7にスクレーパ8とエアブローノズル9とを取り付けたロッドレスシリンダ5を配置し、ロッドレスシリンダ5を金枠搬送方向に対して直角方向に往復運動させることにより、隣接する金枠2,2間に形成される凹部10に堆積、付着している付着物11を清掃する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列配置され、直列方向に搬送される定盤台車上に載置された金枠群の上方位置に、ピストンの移動物体固定部にスクレーパとエアブローノズルとを取り付けたロッドレスシリンダを配置し、このロッドレスシリンダを金枠搬送方向に対して直角方向に往復運動させることにより、隣接する金枠間に形成される凹部に堆積、付着している付着物を清掃することを特徴とする金枠上面清掃方法。
【請求項2】
付着物をスクレーパにより掻き落とし、エアブローノズルから噴出する圧縮空気により吹き飛ばすことを特徴とする請求項1に記載の金枠上面清掃方法。
【請求項3】
直列配置され、直列方向に搬送される定盤台車上に載置された金枠群の上方位置に、金枠搬送方向に対して直角方向に往復運動するロッドレスシリンダを配置し、このロッドレスシリンダのピストンの移動物体固定部に、隣接する金枠間に形成される凹部に堆積、付着している付着物を清掃するスクレーパとエアブローノズルとを取り付けたことを特徴とする金枠上面清掃装置。
【請求項4】
ロッドレスシリンダのピストンに、ピストンを往復運動させる圧縮空気をエアブローノズルに供給する連通孔を、行き側、帰り側、それぞれ別々に形成したことを特徴とする請求項3に記載の金枠上面清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金枠の上面に堆積、付着している付着物(例えば、鋳物砂や湯こぼれ)を清掃する金枠上面清掃方法及び金枠上面清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋳型造型ラインにおいては、直列配置された定盤台車上に金枠群が載置され、直列方向に搬送される。金枠の上面には鋳物砂や湯こぼれが付着しているため、従来から金枠の上方位置に設置されたスクレーパにより清掃が行われている。その一例は特許文献1に記載されており、ゴムバネを備えたスクレーパにより、金枠搬送方向に沿って金枠上面を清掃している。
【0003】
この装置は、金枠の搬送方向に沿って金枠上面を清掃する場合には十分な清掃効果を得ることができる。しかし、金枠搬送方向に対して直交する方向(直角方向)においては、隣接する金枠間に凹部が形成され、その凹部内に鋳物砂や湯こぼれが堆積、付着している場合には、清掃することができないという問題があった。
【0004】
このような清掃できない鋳物砂や湯こぼれが金枠搬送中に鋳物工場の床面に落下すると、飛散して環境悪化の原因となる。昨今の鋳物工場の環境改善指向により、上述した隣接する金枠間に形成される凹部の鋳物砂や湯こぼれについても、清掃除去効果を更に高めることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−268064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、隣接する金枠間に形成される凹部に堆積、付着している付着物を、確実に清掃することができる金枠上面清掃方法及び金枠上面清掃装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するためになされた本発明の金枠上面清掃方法は、直列配置され、直列方向に搬送される定盤台車上に載置された金枠群の上方位置に、ピストンの移動物体固定部にスクレーパとエアブローノズルとを取り付けたロッドレスシリンダを配置し、このロッドレスシリンダを金枠搬送方向に対して直角方向に往復運動させることにより、隣接する金枠間に形成される凹部に堆積、付着している付着物を清掃することを特徴とするものである。なお、付着物をスクレーパにより掻き落とし、エアブローノズルから噴出する圧縮空気により吹き飛ばすことができる。
【0008】
また上記の課題を解決するためになされた本発明の金枠上面清掃装置は、直列配置され、直列方向に搬送される定盤台車上に載置された金枠群の上方位置に、金枠搬送方向に対して直角方向に往復運動するロッドレスシリンダを配置し、このロッドレスシリンダのピストンの移動物体固定部に、隣接する金枠間に形成される凹部に堆積、付着している付着物を清掃するスクレーパとエアブローノズルとを取り付けたことを特徴とするものである。なお、ロッドレスシリンダのピストンに、ピストンを往復運動させる圧縮空気をエアブローノズルに供給する連通孔を、行き側、帰り側、それぞれ別々に形成した構造とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金枠搬送方向に対して直角方向に形成される隣接する金枠間に形成される凹部に堆積、付着している付着物を、確実に清掃することができる。
【0010】
また、本発明ではロッドレスシリンダを用いたことにより、金枠上面清掃装置をコンパクト化することができる。
【0011】
更に、ロッドレスシリンダのピストンに、ピストンを往復運動させる圧縮空気をエアブローノズルに供給する連通孔を形成した構造とすれば、エアブロー用の外部配管等を削減することができ、設備の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1a】実施形態の金枠上面清掃装置を示す正面図である。
【
図1b】実施形態の金枠上面清掃装置を示す側面図である。
【
図2】実施形態の金枠上面清掃装置の空圧回路図である。
【
図3a】他の実施形態の金枠上面清掃装置を示す正面図である。
【
図3b】他の実施形態の金枠上面清掃装置を示す側面図である。
【
図4】他の実施形態の金枠上面清掃装置の空圧回路図である。
【
図5a】実施形態のロッドレスシリンダの正面断面図(ピストンが右行き)である。
【
図5b】実施形態のロッドレスシリンダの正面断面図(ピストンが左行き)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1a、
図1bにおいて、1は搬送経路上に直列配置され、直列方向に間欠的に搬送される定盤台車であり、2はこれらの定盤台車1の上に載置された金枠である。
図1bに示されるように、隣接する金枠2、2間に形成された凹部10内には、付着物11(例えば、鋳物砂や湯こぼれ)が堆積、付着していることがある。
【0014】
図1bに示されるように、搬送経路上において、凹部10が停止する位置には門型フレーム17が設けられており、その下面に、金枠搬送方向(矢印3)に対して直角方向(矢印4)に往復運動するロッドレスシリンダ5が配置されている。
【0015】
図5〜
図7にロッドレスシリンダ5の断面図を示す。なおこれらの図のロッドレスシリンダ5は、上下反転させた姿勢で図示されている。これらの図中、18はシリンダ本体、6はこのシリンダ本体18の内部で往復動するピストンである。
図6に示されるように、ピストン6の中央部はシリンダ本体18の上部に形成されたスリットを通じて上方に延び、移動物体固定部7が設けられている。
【0016】
12はピストン6の両側の受圧面であり、シリンダ本体18の両端に形成されたシリンダポート15から交互に吹き込まれる圧縮空気13により、ピストン6を行き側、帰り側に往復移動させる。なお、19、20は可撓性材料からなるシールバンドであり、シリンダ本体18の内部に供給された圧縮空気13が外部に漏れないようにシールしている。
【0017】
このピストン6には、受圧面12の中央部から供給された圧縮空気13を移動物体固定部7の上面に導く連通孔14が形成されている。連通孔14は行き側、帰り側、それぞれ別々に形成されており、ピストン6がいずれの方向に移動する際にも圧縮空気13を移動物体固定部7に導くことができるようになっている。
【0018】
このような構造のロッドレスシリンダ5が、
図1a、
図1bに示されるように、門型フレーム17の下面に移動物体固定部7が下側となるように取り付けられている。そして移動物体固定部7には、スクレーパ8と、一対のエアブローノズル9とが取り付けられている。エアブローノズル9は上記した連通孔14の端部に接続されている。
図1bに示されるように、一対のエアブローノズル9の先端部は、互いに反対方向から凹部10に向かって圧縮空気13を吹き付けることができるように屈曲されている。
【0019】
図2にロッドレスシリンダ5の空気回路図を示す。圧縮空気13は3ポジションの電磁弁16を経由して、シリンダ本体18の両端に形成されたシリンダポート15から交互に供給され、ピストン6を往復動させるとともに、エアブローノズル9から噴射される。これによって、隣接する金枠2、2間に形成される凹部10に堆積、付着している付着物11をスクレーパ8により掻き落とし、さらにエアブローノズル9から噴出する圧縮空気13により確実に吹き飛ばすことができる。
【0020】
なお、ピストン6を停止中にエアブローノズル9からの圧縮空気13の噴射を停止するために3ポジションの電磁弁16を使用し、圧縮空気13の供給を停止できるようにしている。なお本発明の金枠上面清掃装置は圧縮空気13の供給を停止するとシリンダ本体18の内部の残圧がゼロになる構造であるが、ロッドレスシリンダ5が水平配置され、しかも外部から負荷が加わらない構造であるので支障を生じない。
【0021】
上記した実施形態の金枠上面清掃装置は、受圧面12の中央部から供給された圧縮空気13を移動物体固定部7の上面に導く連通孔14をピストン6に形成したので、エアブロー用の外部配管、ホース、エアブロー用の電磁弁などを削減することができる利点がある。
【0022】
しかし、
図3a、
図3bに示す実施形態のように、ロッドレスシリンダ5の移動物体固定部7に取り付けられたエアブローノズル9への圧縮空気13の供給を、外部配管23を用いて行うこともできる。この場合には
図4に示されるように、2ポジションの電磁弁21を用いてシリンダポート15への圧縮空気13の供給を切り替える一方、別の電磁弁22を用いてエアブローノズル9への圧縮空気13の供給を制御する。
【0023】
このように外部配管23を用いた場合には、先の実施形態よりも装置構成がやや煩雑化するが、ロッドレスシリンダ5を用いて設備の小型化を図りながら、先の実施形態と同様に、隣接する金枠2、2間に形成される凹部10に堆積、付着している付着物11をスクレーパ8により掻き落とし、エアブローノズル9から噴出する圧縮空気により吹き飛ばすことができる。また、エアブローノズル9からの圧縮空気13の噴出を、ロッドレスシリンダ5の動作から独立して行うことができる利点がある。
【0024】
以上に説明したように、本発明によれば、隣接する金枠2、2間に形成される凹部10に堆積、付着している付着物11を、確実に清掃することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 定盤台車
2 金枠
3 金枠搬送方向
4 金枠搬送方向に対して直角方向
5 ロッドレスシリンダ
6 ピストン
7 移動物体固定部
8 スクレーパ
9 エアブローノズル
10 凹部
11 付着物
12 受圧面
13 圧縮空気
14 連通孔
15 シリンダポート
16 3ポジションの電磁弁
17 門型フレーム
18 シリンダ本体
19 シールバンド
20 シールバンド
21 2ポジションの電磁弁
22 別の電磁弁
23 外部配管