(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-95310(P2018-95310A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】燃料油移送装置
(51)【国際特許分類】
B67D 7/78 20100101AFI20180525BHJP
B63B 11/04 20060101ALI20180525BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20180525BHJP
B67D 7/82 20100101ALI20180525BHJP
【FI】
B67D7/78 Z
B63B11/04 B
F02M37/00 P
F02M37/00 301C
B67D7/82
B67D7/78 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-244559(P2016-244559)
(22)【出願日】2016年12月16日
(71)【出願人】
【識別番号】598063041
【氏名又は名称】ホクシン産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075144
【弁理士】
【氏名又は名称】井ノ口 壽
(72)【発明者】
【氏名】千々波 孝泰
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA11
3E083AA20
3E083AH18
3E083AJ10
(57)【要約】
【課題】燃料油貯蔵タンクに貯留されている加熱済み燃料油が吸入位置から離れてしまうのを抑えることにより、吸入される燃料油の温度低下を防止して燃料油の移送効率の悪化を改善できる燃料油移送装置を提供する。
【解決手段】燃料油貯蔵タンクから繰り出される燃料油を加熱しながら戻すことができる構成を備えた燃料油移送装置において、燃料油貯蔵タンクに、その空間の一部を他の空間と隔離すると共に燃料油貯蔵タンクから燃料油を吸排する吸入管5Aを覆う小区画2Aを設け、この小区画2Aの天井2A2に燃料油の液面位置の変化に追随して昇降可能な液面検知部材LFの挿通穴2A10を形成し、挿通穴2A10には天井2A2から小区画2Aの底部に至る長さを持たせて液面検知部材LFが昇降可能な内径を有する周壁30の上部が一体化されていることを特徴としている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油貯蔵タンクと、該燃料油貯蔵タンクから吸入された燃料油を加熱する燃料油澄タンクと、加熱された燃料油を前記燃料油貯蔵タンクに戻すために一時的に貯留する燃料油サービスタンクとを備えて前記燃料油を循環させることができる燃料油移送装置において、
前記燃料油貯蔵タンクは、底部に向け開口するベルマウスを有する吸入管と、前記燃料油貯蔵タンク内で部分的に他の空間と区分けされて前記吸入管を覆うことが可能な空間を形成する小区画とを備え、
前記小区画は、燃料油の液面の変化に追随して昇降可能な液面検知部材の挿通穴を天井に形成され、該挿通穴には、前記天井から前記小区画の底部に至る長さを持たせて前記液面検知部材が昇降可能な内径を有する周壁の上部が一体化されていることを特徴とする燃料油移送装置。
【請求項2】
請求項1記載の燃料油移送装置において、前記小区画は、前記燃料油貯蔵タンク内の他の空間と連通する切り込み部が設けられ、該切り込み部の近傍には、前記底部に固定されて前記天井との間に隙間を設けて直角な方向に延びる衝立部材が備えられ、該衝立部材の前記天井側には、該天井に平行する張り出し片が形成されていることを特徴とする燃料油移送装置。
【請求項3】
請求項1記載の燃料油移送装置において、前記周壁は、前記小区画の底部側に位置する端部に、周方向に沿って複数の開口部が形成されていることを特徴とする燃料油移送装置。
【請求項4】
請求項1または3記載の燃料油移送装置において、前記周壁は、前記小区画の底部側に位置する端部が該底部との間に隙間ができるように離されていることを特徴とする燃料油移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料油移送装置に関し、さらに詳しくは、内燃機関などに向け供給される燃料油を貯蔵するために用いられる燃料油貯蔵タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶や発電機などのボイラに用いられる燃料油は、燃料油貯蔵タンクから内燃機関に供給される。燃料油貯蔵タンクに収容される燃料油は、例えば安価なC重油が用いられる。
燃料油は、比較的温度による粘度の変化が大きい。そこで、粘度が低くなる温度を維持することが要求される。この要求を満たすために燃料油貯蔵タンク内の燃料油が加熱される構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図4は、燃料油を加熱する構成を用いる燃料油移送装置100を説明するための配管図である。
燃料油移送装置100は、例えば、船舶の底部近傍などに複数備えられている燃料油貯蔵タンク101と、移送ポンプ102を用いて燃料油貯蔵タンク101内から吸入される燃料油を加熱する燃料油澄タンク103と、加熱された燃料油を清浄化して一時的に貯留する燃料油サービスタンク104とを備えている。
燃料油サービスタンク104と燃料油貯蔵タンク101との間の油路には燃料油貯蔵タンク101に向けて加熱済みの燃料油を戻す流下ポンプ105が備えられている。
図4中、符号106はヒータを、符号107,108はバルブを、符号109は温度センサをそれぞれ示している。
【0004】
燃料油貯蔵タンク101内の燃料油は、移送ポンプ102により導入されて燃料油澄タンク103において加熱され、清浄化されてから燃料油サービスタンク104に一時的に貯留される循環ルートを通過する。燃料油サービスタンク104に貯留されている燃料油は、内燃機関などの消費量を補填できる量を設定されて流下ポンプ105によって燃料油貯蔵タンク101に戻される。
燃料油澄タンク103およびまたは燃料油サービスタンク104から燃料油貯蔵タンク101内に戻される加熱済み燃料油は、タンク内の燃料油と混合され、タンク内の燃料油を部分的に30〜40度に加熱する。加熱により粘度が低下した燃料油は、移送効率を妨げる流動抵抗が少なくされる。
【0005】
燃料油貯蔵タンク101は、
図5に示されているように、貯蔵されている燃料の一部を対象として加熱するために他の空間を区分けされたボックス状小区画112を備えている。このボックス状小区画112は、燃料油貯蔵タンク101から燃料油澄タンク103に向けて吸入される燃料油の移送効率を下げないために設けられている。
すなわち、燃料油貯蔵タンク101に戻される加熱済み燃料油は、貯蔵されている燃料油に比べて比重が小さく、上昇して拡散しやすいが、ボックス状小区画112内に加熱済み燃料油を止めることによって拡散が防がれる。この結果、燃料油貯蔵タンク101内から吸入される位置に溜まっている燃料油は、温度低下を抑えられて流動抵抗が増加しないままに維持されるので移送効率が悪化することがない。
【0006】
図5において燃料油貯蔵タンク101に設けられたボックス状小区画112は、底部近傍に向けた開口を持つベルマウス110に連通する吸入主管111を備えている。
吸入主管111は、ボックス状小区画112によって覆われている。ボックス状小区画112は、空間を仕切る任意の一側が底面側から上方に向けて切除された切り込み部112Aを有し、切り込み部112Aを用いて燃料油貯蔵タンク101の内部とボックス状小区画内部とが連通されている。
【0007】
ボックス状小区画112は、ベルマウス110から燃料油貯蔵タンク101内に戻された加熱済み燃料油が、ベルマウス110の位置から上昇して離れた位置に向けて流れるのを防ぐ。つまり、ベルマウス110を出た燃料油は、上昇するとボックス状小区画112の天井112Bに衝突して跳ね返る。この結果、燃料油はボックス状小区画112内で乱流を起こしてボックス状小区画112の内部に止まれる。
【0008】
一方、加熱済み燃料油の流れをベルマウス110の周辺に集約させるための構成として、天井112Bとの間に隙間を設けて直角な方向に延びる断面形状がT字状の衝立113を切り込み部112Aの近傍に配置する構成が提案されている(例えば、特許文献1)。
加熱済み燃料油は、ボックス状小区画112の天井112Bに加えて天井112Bと平行する衝立113の張り出し片である水平片113Aに衝突して乱流となり、ボックス状小区画112内での燃料油との混合性が高められる。この結果、ベルマウス110に吸入される燃料油と加熱済み燃料油との混合率が高められて燃料油の加熱効率が高められる。
【0009】
燃料油貯蔵タンク101に設けられているボックス状小区画112は、内部に溜まるエアを排出して燃料油の流入を許容するためのエア抜き穴112B1を天井に設けている。
エア抜き穴112B1は、外部に流れ出る燃料油の量を少なくしてボックス状小区画112内に貯蔵されている燃料油の温度低下を抑えるために、小サイズにされることが望ましい部分である。
【0010】
一方、エア抜き穴112B1と同様にボックス状小区画112に穿たれる穴には、
図6に示すように、燃料油の液面の変化に追随して昇降可能な液面検知部材として用いられるレベルゲージLGをセットするための穴112B2がある。
レベルゲージLGは、油面位置に応じて昇降可能なフロートLFを備えている(
図6は、便宜上、任意位置にフロートLFが示されている)。フロートLFは、エア抜き穴112B1と違って大きな外径を持つ。従って、フロートLFを挿通させる穴112B2はエア抜き穴112B1よりも燃料油が外部に流れ出やすくなる。
ボックス状小区画112から加熱済み燃料油が流れ出やすくなると、ボックス状小区画112には、流れ出た加熱済み燃料油に代わって未加熱のために比重が大きい燃料油が切り込み部112Aから流れ込みやすくなる。結果として、ボックス状小区画112内に溜まっている燃料油に対する加熱不足が発生し、粘度上昇が原因して燃料油の移送効率が悪化しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第3807596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、燃料油貯蔵タンクに貯留されている加熱済み燃料油が吸入位置から離れてしまうのを抑えることにより、吸入される燃料油の温度低下を防止して燃料油の移送効率の悪化を改善できる燃料油移送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために本発明は、燃料油貯蔵タンクから繰り出される燃料油を加熱しながら戻すことができる構成を備えた燃料油移送装置において、燃料油貯蔵タンクに、その空間の一部を他の空間と隔離すると共に燃料油貯蔵タンクから燃料油を吸排する吸入管を覆う小区画を設け、この小区画の天井に燃料油の液面位置の変化に追随して昇降可能な液面検知部材の挿通穴を形成し、挿通穴には天井から前記小区画の底部に至る長さを持たせて前記液面検知部材が昇降可能な内径を有する周壁の上部が一体化されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ボックス状小区画の天井に形成されている穴は周壁の一部によりボックス状小区画内部と隔絶される。これにより、穴からボックス状小区画内の燃料油が流れ出るのを抑えることができ、ボックス状小区画内の燃料油の温度が低下するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る燃料油移送装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示した燃料油移送装置の燃料油貯蔵タンクの構成を説明するための模式図である。
【
図3】
図2に示した燃料油貯蔵タンクの一部の構成を説明するための模式図である。
【
図4】従来の燃料油移送装置の構成を示す模式図である。
【
図5】
図4に示した燃料油貯蔵タンクに用いられる構成を説明するための斜視図である。
【
図6】
図5に示した燃料油貯蔵タンクの一部の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明を実施するための形態に係る燃料油移送装置1の構成を示している。
燃料油移送装置1は、燃料油貯蔵タンク2に連通する燃料油澄タンク3,燃料油サービスタンク4を備えている。
燃料油澄タンク3は、燃料油を加熱するために用いられるタンクであり、図示しないヒータにより、一例として70〜80℃の温度に燃料油が加熱される。
【0017】
燃料油貯蔵タンク2と燃料油澄タンク3とは移送管5によって連通されており、その途中には、移送ポンプ6、温度センサ7および圧力センサ8が配置されている。
温度センサ7は、例えば、移送ポンプ6の燃料油入り口側の温度を計測している。
圧力センサ8は、移送ポンプ6内に吸入される燃料油の圧力変化を監視するために設けられている。圧力変化は、燃料油の粘度変化に応じた流動抵抗の変化を判断するために用いられる。特に、粘度が高くなり流動抵抗が増加した場合には、移送ポンプ6の入り口側の圧力が真空化傾向となる。従って、真空化傾向の圧力変化が検知されると燃料油の粘度を下げるための加熱が必要となる。
燃料油澄タンク3には、移送ポンプ6によって吸入された燃料油の液面を検知するためのレベルセンサ9が設けられている。
レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたときの液面を検知できるセンサである。レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に燃料油が所定量導入されたことを検知すると、移送ポンプ6の駆動を停止させるために用いられる。
【0018】
燃料油サービスタンク4は、加熱された燃料油を清浄化した後、一時的に貯留し、内燃機関等に向け燃料油を供給するために用いられるタンクである。燃料油貯蔵タンク2と燃料油サービスタンク4とは吸入管10により連通されており、その途中には、流下ポンプ11が配置されている。燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4に貯留されている燃料油の一部は流下ポンプ11によって燃料油貯蔵タンク2に流下されて燃料油貯蔵タンク2内の燃料油の温度を高める。
この場合にいう流下ポンプ11の名称は、燃料油サービスタンク4が燃料油貯蔵タンク2よりも高い位置に配置されている構成を前提としていることが理由である。つまり、上位の燃料油サービスタンク4から、これよりも下位の燃料油貯蔵タンク2に燃料油を流れ落とすように繰り出すことを意味させて流下という表現としている。
【0019】
図1に示す構成では、燃料油澄タンク3および燃料油サービスタンク4がそれぞれ吸入管10に連通された構成を採用している。従って、これら両方のタンク3,4あるいは何れかのタンクから燃料油貯蔵タンク2に向けた燃料油の流路が設定できるように各タンク3,4燃料油の出口の流路に弁12が設けられている。
【0020】
以上の燃料油移送装置1は、移送ポンプ6によって燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3に吸入された燃料油が加熱され、加熱された燃料油が清浄化されたうえで燃料油サービスタンク4に導入され、貯留された燃料油が内燃機関等への供給に備えられる。
燃料油澄タンク3およびまたは燃料油サービスタンク4において一時的に貯留されている燃料油の一部は、流下ポンプ11によって燃料油貯蔵タンク2に戻される。この結果、燃料油貯蔵タンク2内の燃料油は加熱された燃料油と混合されることにより部分的に36〜40℃に加熱される。
【0021】
本実施形態においては、ポンプ同士の稼働時間として、例えば、移送ポンプ6が15分程度そして流下ポンプ11が45分程度を選択されて交互に稼働される。この時間のうちで移送ポンプ6の稼働時間は、例えば、前述した燃料油澄タンク3内のレベルセンサ9によって燃料油の液面が検知されるまでの時間に対応させることができる。つまり、移送ポンプ6の回転数、駆動電流等の定格に基づいた流量で燃料油を流したときの稼働時間内に燃料油の液面がレベルセンサ9によって検知されると燃料油の流動抵抗を生じない燃料油の粘度であると判断でき、この稼働時間を超える場合には燃料油の粘度が高く流動性が悪いと判断できる。また、レベルセンサ9は、燃料油澄タンク3内に導入される燃料油が所定量に達したことを検知すると、移送ポンプ6の稼働を停止させて燃料油が溢れるのを防止する。
なお、停泊中などのように燃料油の消費がないときは、移送ポンプ6の稼働時間が短く、レベルセンサ9が作動するまでの時間が例えば6分程度となる。
【0022】
移送ポンプ6を用いて燃料油貯蔵タンク2から燃料油澄タンク3に向けて燃料油を吸入するルートは、
図1において符号F1〜F5で示されている。流下ポンプ11を用いて燃料油サービスタンク4から燃料油貯蔵タンク2に向け燃料油を流下させるルートは、
図1において矢印F10〜F12で示されている。
このような構成を用いる燃料油移送装置1は、その主要部の構成が本出願人の先願である特開2012−17123号公報に開示されている。
【0023】
以上の構成を備えた本実施形態による燃料油移送装置1の特徴は、燃料油貯蔵タンクの構造にある。特に、加熱済み燃料が吸引口付近から遠ざかるのを防止して燃料油の温度低下を抑える構造に特徴がある。
図2は、本実施形態にかかる燃料油移送装置1に用いられる燃料油貯蔵タンク2の内部構造を説明するための模式図である。
同図において、燃料油貯蔵タンク2の内部には、
図5において符号112で示した構成と同様にボックス状小区画2Aが設けられている。
ボックス状小区画2Aには、
図5に示した構成と同様に、空間を仕切る任意の一側に切り込み部2A1が形成され、内部には、断面形状がT字状を成す衝立部材2Bが設けられている。
ボックス状小区画2Aの側部において切り込み部2A1と反対側の側部には、移送管5に連通する吸入主管5Aが貫通されており、吸入主管5Aの先端にはボックス状小区画2Aの底部に向け開口して吸引口として用いられるベルマウス2Cが接続されている。
【0024】
ボックス状小区画2Aの天井2A2には、燃料油の液面検知部材であるレベルゲージ(便宜上、符号LGにより示す)のフロート(便宜上、符号LFにより示されている)を挿入できる挿通穴2A10が形成されている。
挿通穴2A10には、ボックス状小区画2Aの天井2A2から底部に至る長さを持たせてフロートLFが昇降可能な内径を有する周壁30の上部が一体化されている。従って、挿通穴2A10は、
図6に示した場合と違って、ボックス状小区画2Aの内部と隔絶されているので、近辺の燃料油が外部に流れ出すことができない。
【0025】
周壁30は、挿通穴2A10からボックス状小区画2Aの底部に向けて延長されているが、底部側に位置する端部がボックス状小区画2Aの底部に接触、あるいは底部との間に隙間ができるように離されている。
ボックス状小区画2Aの底部側に位置する周壁30の端部には、
図3に示されるように、周方向に沿って複数の開口部30A、30A’が備えられている。
図3の(A)に示す開口部30Aは、端部に達する切り込みが用いられ、
図3の(B)に示す開口部30A’は、矩形の開口が用いられている。
開口部30A,30A’は、燃料油貯蔵タンク2内のエア抜きと共にフロートLFによる液面検知の際の燃料油が導入される部分である。
上述したボックス状小区画2Aの底部側端部がボックス状小区画2Aの底部との間に隙間ができるように離されている場合には、上記開口部30A、30A’を必ずしも必要としない。なお、エア抜き穴の機能を挿通穴2A10に含ませることや挿通穴2A10とは別にエア抜き穴を設けることとのいずれも選択可能である。
【0026】
以上の構成を備えた本実施形態にかかる燃料油移送装置1によれば、燃料油貯蔵タンク2の天井に設けられる穴、つまりレベルゲージLG挿通のための挿通穴がボックス状小区画内部と隔絶されている。これにより、従来のように、ボックス状小空間2Aの天井近傍の燃料油が挿通穴から外部に流れ出すことがない。しかも、開口部30A、30A’あるいはボックス状小区画2Aの底部との間に隙間を設けることによりボックス状小区画2A内のエアを抜くための部分としても用いられるので、構成の簡略化が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ボックス状の小区画に既存構造部として用いられるレベルゲージのフロートを挿通する穴を小区画の内部と隔絶することにより加熱済み燃料油が流れ出るのを阻止できる。隔絶可能な周壁を設けるという簡単な構成を用いるだけで加熱済み燃料油を小区画内に止めることができ、燃料油貯蔵タンクから取り出される燃料油の粘度品質の低下を抑えて移送効率の悪化を防止できる点で利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0028】
1 燃料油移送装置
2 燃料油貯蔵タンク
2A ボックス状小区画
2A2 天井
2A10 挿通穴
3 燃料油澄タンク
4 燃料油サービスタンク
5 移送管
6 移送ポンプ
30 周壁
30A、30A’ 開口部