特開2018-95583(P2018-95583A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-95583(P2018-95583A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/97 20170101AFI20180525BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180525BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20180525BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20180525BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20180525BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20180525BHJP
【FI】
   A61K8/97
   A61Q19/00
   A61K8/67
   A61K8/81
   A61K8/63
   A61K8/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-240467(P2016-240467)
(22)【出願日】2016年12月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 美和
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC442
4C083AD052
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD641
4C083AD642
4C083CC02
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】
アスコルビン酸塩やアスコルビン酸誘導体塩を含有する、安定性が高く、使用感に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
下記の(A)〜(D)を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
(A)アスコルビン酸塩及び/又はアスコルビン酸誘導体塩
(B)タマリンドガム
(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマー
(D)リン脂質及びフィトステロール
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)〜(D)を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
(A)アスコルビン酸塩及び/又はアスコルビン酸誘導体塩
(B)タマリンドガム
(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマー
(D)リン脂質及びフィトステロール
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸の塩やアスコルビン酸誘導体の塩は、しみ、シワ、ニキビ等に対して、有効な効果を示すため、化粧品や医薬部外品等の成分として、多くの商品に配合されている。しかし、アスコルビン酸の塩やアスコルビン酸誘導体の塩は、電解質であるため、ゲル構造を破壊し、経時的に粘度低下を生じたり、また、乳化粒子を凝集させ、クリーミングや分離を起こすといった安定性上の問題が生じていた。
【0003】
これらのアスコルビン酸塩やアスコルビン酸誘導体塩の安定性上の問題を解決するため、スクレロチウムガムと併用した例(特許文献1)、カラギーナンと併用した例(特許文献2)があるが、いずれも問題解決には不十分であり、また、その用いた水溶性高分子のため、べたつきを生じ、使用感が悪いといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−293714号公報
【特許文献2】特開2005−120051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題を解決した、アスコルビン酸塩やアスコルビン酸誘導体塩を含有する、安定性が高く、使用感に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記の(A)〜(D)を含有することを特徴とする皮膚外用剤を提供する。
(A)アスコルビン酸塩及び/又はアスコルビン酸誘導体塩
(B)タマリンドガム
(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマー
(D)リン脂質及びフィトステロール
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、安定性が高く、使用感に優れた皮膚外用剤を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いられる成分(A)のアスコルビン酸塩は、アスコルビン酸の塩をいい、アスコルビン酸誘導体塩はアスコルビン酸誘導体の塩をいう。いずれも、塩であれば、塩基は、有機、無機の制限なく使用することができ、具体的には、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩等を挙げることができる。アスコルビン酸誘導体としては、硫酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル等のエステル類、エチルエーテル、ヘキシルデシルエーテル、グリセリルエーテル等のエーテル類、また、これらの複数で誘導化したものを挙げることができる。これらの中でも、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(化粧品表示名称)を用いるのが好ましい。
【0009】
成分(A)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の皮膚外用剤全量に対し、0.05〜1質量%の配合量が好ましい。配合量が0.05質量%未満であると、成分(A)の有効成分としての効果が十分でない場合があり、1質量%を超えると、使用感に影響を及ぼす場合がある。
【0010】
本発明で用いられる成分(B)タマリンドガムは、タマリンドの種子を由来とするもので、グルコースを主鎖とし、キシロース、ガラクトースを側鎖に持つキシログルカンと呼ばれる水溶性高分子多糖類であり、特に制限されずに使用することができる。
【0011】
成分(B)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の皮膚外用剤全量に対し、0.1〜1質量%の配合量が好ましい。配合量が0.1質量%未満であると、安定性及び使用感に影響を及ぼす場合があり、1質量%を超えると、使用感に影響を及ぼす場合がある。
【0012】
本発明で用いられる成分(C)アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸と、アクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキルとの共重合体をいい、架橋したもの、架橋していないもののいずれでも使用することができる。これらの中でも、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー(化粧品表示名称)を用いるのが好ましい。
【0013】
成分(C)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の皮膚外用剤全量に対し、0.1〜1質量%の配合量が好ましい。配合量が0.1質量%未満であると、安定性に影響を及ぼす場合があり、1質量%を超えると、使用感に影響を及ぼす場合がある。
【0014】
本発明で用いられる成分(D)リン脂質及びフィトステロールは、特に制限されずに使用することができる。リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸やこれらを水素添加したもの等を挙げることができる。フィトステロールは、植物に含まれるステロール類であり、カンペステロール、シトステロール等を挙げることができる。リン脂質及びフィトステロールは、それぞれを単独で配合してもよいし、あらかじめ混合したものを用いてもよい。また、複合化したものを用いることもできる。これらの中でも、水添レシチン(化粧品表示名称)とフィトステロールズ(化粧品表示名称)の複合体を用いるのが好ましい。市販品としては、「PHYTOCOMPO−PP」(日本精化株式会社製)等を挙げることができる。
【0015】
成分(D)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の皮膚外用剤全量に対し、0.1〜1質量%の配合量が好ましい。配合量が0.1質量%未満又は1質量%を超えると、安定性に影響を及ぼす場合がある。
【0016】
本発明の皮膚外用剤は、成分(A)〜(D)に加え、さらに成分(E)ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル又はジプロピレングリコールを含有させることが好ましい。
【0017】
本発明で用いられる成分(E)ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルは、グリセリンのアルキレンオキシド誘導体であり、グリセリンに、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが共重合したものである。共重合の順番や形態には、特に制限はなく、形態としては、ブロック共重合、ランダム共重合又はこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの中でもPEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン(化粧品表示名称)を用いるのが好ましい。本発明で用いられる成分(E)ジプロピレングリコールは、特に制限なく使用することができる。
【0018】
成分(E)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルを含有させる場合は、本発明の皮膚外用剤全量に対し、0.5〜5質量%の配合量が好ましい。配合量が0.5質量%未満であると、安定性及び使用感に影響を及ぼす場合があり、5質量%を超えると、使用感に影響を及ぼす場合がある。ジプロピレングリコールを含有させる場合は、本発明の皮膚外用剤全量に対し、0.5〜5質量%の配合量が好ましい。配合量が0.5質量%未満又は5質量%を超えると使用感に影響を及ぼす場合がある。
【0019】
本発明の皮膚外用剤は、上述の成分の他に、通常の化粧料等に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、油剤、増粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0020】
本発明の皮膚外用剤は、常法により製造することができる。剤型としては、液状、乳液状、ジェル状、クリーム状等の剤型とすることができ、皮膚に外用されるものであれば、化粧料、医薬部外品、医薬品等の形態は問わない。
【実施例】
【0021】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は、特に断りのない限り質量%である。
【0022】
表の実施例及び比較例の皮膚外用剤を、下記の製造方法で製造した。
<製造方法>
(1)成分(D)とその他成分1を80℃〜85℃で、均一に混合した。
(2)上記(1)以外の成分を80℃〜85℃で、均一に混合した。
(3)上記(1)に上記(2)を加え、80℃〜85℃に加温後、ホモミキサーで均一に混合し、室温まで冷却して、表の各実施例及び比較例の皮膚外用剤を製造した。製造した皮膚外用剤はO/W型乳化物であった。
【0023】
そして、各実施例及び比較例の皮膚外用剤について、下記の方法で、安定性及び使用感の評価を行った。その結果を表に示す。
【0024】
a)安定性
専門評価員3名に、表の皮膚外用剤を5℃、25℃、40℃で3カ月保管した際の外観の状態を下記の判定基準により判定した。

<判定基準>
◎:変化がない
○:変化がほとんどない
△:粘度が低下し、外観に変化が見られる
×:粘度が大きく低下する又はクリーミングを起こす又は分離を起こす
【0025】
b)使用感(べたつき感、しっとり感)
専門パネラー5名による使用テストを行い、下記の評価基準に従って、べたつき感及びしっとり感について、絶対評価をし、更にその5人の評点の平均点を下記判定基準により判定した。判定基準は、べたつき感としっとり感で共通のものとした。

<評価基準>
3点:べたつき感がない/しっとり感が非常に良い
2点:べたつき感がほとんどない/しっとり感が良い
1点:ややべたつき感がある/しっとり感がやや悪い
0点:べたつく/しっとり感がない

<判定基準>
◎:2.5点以上
○:1.8点以上2.5点未満
△:1.0点以上1.8点未満
×:1.0点未満
【0026】
表に示された結果から明らかなように、各実施例の皮膚外用剤は、安定性及び使用感すべての面で優れていた。一方、各比較例の皮膚外用剤は、安定性及び使用感の面で劣っていた。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】