特開2018-95949(P2018-95949A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-95949(P2018-95949A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】バラスト水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C23F 13/02 20060101AFI20180525BHJP
   B63B 13/00 20060101ALI20180525BHJP
   C02F 1/46 20060101ALI20180525BHJP
   C02F 1/32 20060101ALI20180525BHJP
   C25B 1/26 20060101ALI20180525BHJP
   C25B 15/00 20060101ALI20180525BHJP
【FI】
   C23F13/02 J
   B63B13/00 Z
   C02F1/46 Z
   C02F1/32
   C25B1/26 C
   C25B15/00 303
   C23F13/02 A
   C23F13/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-253021(P2016-253021)
(22)【出願日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-239240(P2016-239240)
(32)【優先日】2016年12月9日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】丹下 智陽
【テーマコード(参考)】
4D037
4D061
4K021
4K060
【Fターム(参考)】
4D037AA06
4D037AB03
4D037BA18
4D037CA02
4D061DA09
4D061DB10
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB04
4K021AB07
4K021BA03
4K021BC06
4K021DC07
4K060AA02
4K060BA13
4K060BA45
4K060DA07
4K060EA02
4K060EA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶出した犠牲陽極による微生物殺滅手段の性能低下を抑制することのできるバラスト水処理装置の提供。
【解決手段】バラスト水を流通させる配管L1〜L8と、微生物殺滅手段3と、当該配管の腐食を抑制する犠牲陽極6とを備えたバラスト水処理装置であって、犠牲陽極6が微生物殺滅手段3の下流側に設けられる、バラスト水処理装置。微生物殺菌手段3の上流側にバラスト水を濾過するフィルタ2を設け、微生物殺菌手段が設けられる配管に清水を導入する清水導入手段7を更に備え、バラスト水の流通停止時に、微生物殺菌手段3が設けられている配管を清水で満たすように制御することが好ましい、バラスト水処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラスト水を流通させる配管と、微生物殺滅手段と、当該配管の腐食を抑制する犠牲陽極とを備えたバラスト水処理装置であって、
前記犠牲陽極が前記微生物殺滅手段の下流側に設けられる、バラスト水処理装置。
【請求項2】
前記微生物殺滅手段と前記犠牲陽極の間に第1のバルブが設けられる、請求項1に記載のバラスト水処理装置。
【請求項3】
前記バラスト水の流通及び前記バルブの開閉を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記微生物殺滅手段への前記バラスト水の流通停止時に前記バルブを閉止する、請求項2に記載のバラスト水処理装置。
【請求項4】
前記微生物殺滅手段の上流側に前記バラスト水を濾過処理するフィルタをさらに備え、当該フィルタと前記微生物殺滅手段の間に第2のバルブが設けられる、請求項3に記載のバラスト水処理装置。
【請求項5】
前記微生物殺滅手段が設けられる配管に清水を導入する清水導入手段をさらに備え、前記制御手段は、前記バラスト水の流通停止時に前記微生物殺滅手段が設けられる配管を前記清水導入手段により清水で満たすよう制御する、請求項4に記載のバラスト水処理装置。
【請求項6】
前記微生物殺滅手段が紫外線処理手段である、請求項1〜請求項5の何れかに記載のバラスト水処理装置。
【請求項7】
前記微生物殺滅手段が電解処理手段である、請求項1〜請求項5の何れかに記載のバラスト水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微生物殺滅手段を備えたバラスト水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンカー等の船舶は、積み荷の原油等を降ろした後、再度目的地に向けて航行する際、航行中の船舶のバランスを取るため、通常、バラスト水と呼ばれる水をバラストタンク内に貯留する。バラスト水は、基本的に荷上港で取水されて、荷積港で排出される。そのため、それらの場所が異なっていれば、バラスト水中に含まれるプランクトンや細菌類の微生物が世界中を移動することになる。従って、荷上港と異なる水域の荷積港でバラスト水を排出すると、その港に別の水域の微生物を放出することになり、その水域の生態系を破壊するおそれがある。
【0003】
そこで、バラスト水中に含まれる微生物の含有量を低減するために、バラスト水処理装置が用いられている。例えば、特許文献1に記載のバラスト水処理装置は、微生物の殺滅処理(殺菌処理)をする微生物殺滅手段として、バラスト水に紫外線を照射する紫外線処理手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−248510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、船内においてバラスト水が流通する配管は、亜鉛等によるメッキが施されているものの、海水による腐食や微生物殺滅手段との接合における異種金属腐食等によりメッキが徐々に溶出するため、配管内にメッキの溶出を抑制する犠牲陽極(亜鉛、アルミニウム等)を設けることがある。
【0006】
しかしながら、このような構成の場合、メッキに代わって溶出する犠牲陽極が微生物殺滅手段の構成要素に付着し、微生物の殺滅処理性能を低下させるおそれがあった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、溶出した犠牲陽極による微生物殺滅手段の性能低下を抑制することのできるバラスト水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、バラスト水を流通させる配管と、微生物殺滅手段と、当該配管の腐食を抑制する犠牲陽極とを備えたバラスト水処理装置であって、前記犠牲陽極が前記微生物殺滅手段の下流側に設けられる、バラスト水処理装置が提供される。
【0009】
このような構成によれば、犠牲陽極が微生物殺滅手段の下流側に設けられることから、微生物殺滅手段の近傍において犠牲陽極が溶出することを抑制でき、微生物殺滅手段の性能低下を抑制することが可能となる。
【0010】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0011】
好ましくは、前記微生物殺滅手段と前記犠牲陽極の間に第1のバルブが設けられる。
【0012】
好ましくは、前記バラスト水の流通及び前記バルブの開閉を制御する制御手段を備え、当該制御手段は、前記微生物殺滅手段への前記バラスト水の流通停止時に前記バルブを閉止する。
【0013】
好ましくは、前記微生物殺滅手段の上流側に前記バラスト水を濾過処理するフィルタをさらに備え、当該フィルタと前記微生物殺滅手段の間に第2のバルブが設けられる。
【0014】
好ましくは、前記微生物殺滅手段が設けられる配管に清水を導入する清水導入手段をさらに備え、前記制御手段は、前記バラスト水の流通停止時に前記微生物殺滅手段が設けられる配管を前記清水導入手段により清水で満たすよう制御する。
【0015】
好ましくは、前記微生物殺滅手段が紫外線処理手段である。また、好ましくは、前記微生物殺滅手段が電解処理手段である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るバラスト水処理装置の概略を示す図である。
図2】バラスト水の流路を示す説明図であり、(a)はバラスト処理時の流路、(b)はデバラスト処理時の流路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るバラスト水処理装置の実施形態について、以下図面を参照しながら説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0018】
1.バラスト水処理装置の構成
図1は、本実施形態に係るバラスト水処理装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態のバラスト水処理装置は、海水等の船外の水をシーチェストSCから船内に取り込んでバラスト水として圧送するポンプ1と、フィルタを備えバラスト水を濾過処理するバラスト水濾過装置2と、微生物殺滅手段の1つである紫外線処理手段としての紫外線リアクタ3と、バラスト水を貯留するバラストタンク4と、バラスト水処理装置の各処理の制御を行う制御手段5と、犠牲陽極6とを備える。
【0019】
ここで、紫外線リアクタ3は、内部に透明な石英保護管で覆われた紫外線ランプ(図示せず)を有しており、紫外線ランプによりバラスト水に紫外線を照射して微生物を殺菌処理するものである。
【0020】
また、犠牲陽極6は、海水等が流通し腐食環境下にある配管の腐食を防止するために設けられるイオン化傾向の高い金属(例えば、Al、Zn、Mg等)であり、配管とのイオン化傾向の高低を利用して、配管がイオン化するのに代わってこれらがイオン化することにより、配管の腐食を防ぐものである。
【0021】
なお、本明細書において「バラスト水」については、バラストタンク4に導入(流入)される前又はバラストタンク4から排出(流出)された後に拘わらず、また、バラスト水濾過装置2に導入(流入)される前又はバラスト水濾過装置2から排出(流出)された後に拘わらず、更には、紫外線リアクタ3に導入(流入)される前又は紫外線リアクタ3から排出(流出)された後に拘わらず、船内に取り込まれた水を全て「バラスト水」と表現し、これは、海水、淡水、汽水等を含む。
【0022】
また、本実施形態に係るバラスト水処理装置は、上記各構成要素を流通する複数のラインL1〜L8を備える。「ライン」とは、配管により形成される、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0023】
具体的には、図1に示すように、ラインL1はシーチェストSCとポンプ1を接続するラインであり、開閉弁V1を有する。ラインL2はポンプ1とバラスト水濾過装置2を接続するラインであり、ラインL3はバラスト水濾過装置2と紫外線リアクタ3を接続するラインである。ラインL3は、第2のバルブとしての開閉弁V2を備え、開閉弁V2の後流側には清水導入手段7が接続される。また、ラインL4は、紫外線リアクタ3とバラスト水を船外へ排出する船外排出口DPを接続するラインであり、第1のバルブとしての開閉弁V3、犠牲陽極6、開閉弁V4をこの順に備える。なお、ラインL1〜ラインL4は、これらを合わせて、シーチェストSCと船外排出口DPとを接続する主管とも呼ばれる。
【0024】
次に、ラインL5は、一端がラインL2と接続され、他端がバラスト水濾過装置2と開閉弁V2の間の位置においてラインL3と接続されて、バラスト水濾過装置2をバイパスするラインであり、開閉弁V5を有する。ラインL6は、一端が犠牲陽極6と開閉弁V4の間の位置においてラインL4と接続され、他端がバラストタンク4に接続されて、紫外線リアクタ3とバラストタンク4を接続するラインであり、開閉弁V6を有する。そして、ラインL7は、一端が開閉弁V6とバラストタンク4の間の位置においてラインL6と接続され、他端が開閉弁V1とポンプ1の間の位置においてラインL1と接続されて、バラストタンク4とポンプ1を接続するラインであり、開閉弁V7を有している。
【0025】
また、本実施形態において、バラスト水濾過装置2は、濾過処理中にフィルタの洗浄を行うフィルタ洗浄手段(図示せず)を備えており、フィルタ洗浄手段により排出される洗浄汚水を船外へ排出するラインL8が接続される。ラインL8には、開閉弁V8が設けられる。
【0026】
制御手段5は、バラスト水のバラストタンク4への漲水(バラスト処理)制御及びバラストタンク4からの排水(デバラスト処理)制御等を行う。これらの制御は、ポンプ1及び、上述した開閉弁V1〜V8の開閉を制御することにより行われる。
【0027】
2.バラスト水処理装置の動作
次に、以上のように構成された本実施形態のバラスト水処理装置の動作を説明する。図2(a)及び図2(b)は、本実施形態に係るバラスト水処理装置のバラスト動作(漲水)時及びデバラスト動作(排水)時にバラスト水が流れる経路を示している。
【0028】
まず、図2(a)に示すバラスト動作時には、制御手段5は、開閉弁V1,V2,V3,V6,V8を開き、開閉弁V4,V5,V7を閉じて、ポンプ1を起動するとともに、紫外線ランプに通電する。ポンプ1の起動により、シーチェストSCから船外の水(海水等)が取り込まれ、ラインL1,L2を通ってバラスト水濾過装置2へと通水される。バラスト水濾過装置2へ通水されたバラスト水は、フィルタにより濾過処理された後、ラインL3を通って紫外線リアクタ3へと流れる。ここで、上述したバラスト水濾過装置2のフィルタ洗浄手段により、バラスト水濾過装置2へ流入したバラスト水の一部は、フィルタ洗浄の汚水としてラインL8を通って船外へと排出される。紫外線リアクタ3を通過するバラスト水には紫外線ランプにより紫外線が照射され、殺菌処理がなされる。そして、殺菌処理がなされたバラスト水はラインL4の一部とラインL6を通過してバラストタンク4へと送り込まれる。
【0029】
一方、図2(b)に示すデバラスト動作時には、開閉弁V7,V5,V2,V3,V4を開き、開閉弁V1,V6,V8を閉じて、ポンプ1を起動するとともに紫外線ランプに通電する。ポンプ1の起動により、バラストタンク4の水がラインL7、ラインL1の一部、ラインL5、ラインL3の一部を通って紫外線リアクタ3へと流れ、その後、ラインL4を通って船外排出口DPから船外へと排出される。船外へ排出するバラストタンク4内のバラスト水がバラスト水濾過装置2を通らず、ラインL5によりバイパスされているのは、バラストタンク4内のバラスト水は上述したバラスト処理時にすでに一度濾過処理を行っているためである。
【0030】
なお、バラストタンク4内のバラスト水の残量が少なくなってからは、ポンプ1がキャビテーションを起こさないよう開閉弁V1を開き、船外から取り込んだ水と一緒にバラストタンク4内のバラスト水を排水するのが好ましい。この場合は、開閉弁V3を閉じて開閉弁V6を開きバラスト水濾過装置2による濾過処理を行ってから排水しても良い。
【0031】
そして、上記のようなバラスト動作又はデバラスト動作が完了した後は、制御手段5は、ポンプ1を停止させてバラスト水の流通を停止し、清水導入手段7によりラインL3に清水を導入して、開閉弁V2及び開閉弁V3を閉止して紫外線リアクタ3が清水で満たされるよう制御する。
【0032】
3.作用効果
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
(イ)バラスト動作時及びデバラスト動作時には、流路を形成する配管内を海水等であるバラスト水が流通するため、配管は腐食環境下に置かれるが、本実施形態のバラスト水処理装置では流路中に犠牲陽極6が設けられていることから、犠牲陽極6がイオン化することにより、配管や配管に施されたメッキの腐食が抑制される。
(ロ)流路中にSUS等により形成される紫外線リアクタ3が設けられているため、配管と紫外線リアクタ3の接合により異種金属腐食が生じるおそれがあるが、犠牲陽極6を紫外線リアクタ3の後流側に隣接して設けることで、異種金属腐食による配管の溶出も抑制することができる。
(ハ)バラスト動作時においてもデバラスト動作時においても、図2(a)の矢印A1及び図2(b)の矢印A2に示すように、犠牲陽極6は紫外線リアクタ3よりも下流側となるよう配置されていることから、犠牲陽極6から溶出した金属(亜鉛やアルミニウム等)が紫外線リアクタ3に流入し、紫外線ランプの保護管に付着して紫外線照射が妨げられることを防止することが可能となっている。
(ニ)制御手段5がバラスト動作又はデバラスト動作完了後に、紫外線リアクタ3が清水で満たされるよう制御することから、紫外線リアクタ3と、紫外線リアクタ3前後の配管及び犠牲陽極6とが切り離され、溶出した金属が紫外線リアクタ3の石英保護管に付着して紫外線ランプによる紫外線照射が妨げられることを防止することができる。また、紫外線リアクタ3を清水で満たすことで、紫外線ランプを冷却することもできる。
【0033】
4.変形例
本発明に係るバラスト水処理装置は、以下の形態においても実施することができる。
・上述した実施形態においては、バラスト水処理装置はバラスト水濾過装置2を備えていたが、紫外線リアクタ3のみとすることや、バラスト水を浄化する他の装置を有していても良い。
・上述した実施形態においては、制御手段5はバラスト水の流通停止時に紫外線リアクタ3のみを清水で満たすよう制御していたが、バラスト水濾過装置2及び配管も清水で満たすよう制御しても良い。
・上述した実施形態では、バラスト水処理時に、バラスト水濾過装置2及び紫外線リアクタ3を共に通過させてバラスト水を処理する制御のみを説明したが、バラスト水の状態等に応じて、バラスト水濾過装置2及び紫外線リアクタ3のいずれか一方の処理のみを行うことも可能である。この点、バラスト水濾過装置2のみの処理を行う場合には、バラスト水処理装置に紫外線リアクタ3をバイパスするライン(図示せず)を別途設け、制御手段5が、開閉弁V2及び開閉弁V3を閉止して紫外線リアクタ3へのバラスト水の流通を停止し、清水導入手段7によりラインL3に清水を導入して、紫外線リアクタ3が清水で満たされるよう制御することが好ましい。
【0034】
また、上述した実施形態においては、微生物の殺滅処理をする微生物殺滅手段として紫外線リアクタ3(紫外線処理手段)を用いた例を説明したが、微生物殺滅手段として電解処理手段を用いるものも、本発明の適用範囲である。ここで、電解処理手段は、例えば、バラスト水を流通させるチャンバ内に電極を備えて構成され、バラスト水を電気分解してバラスト水に含まれる塩化ナトリウム(NaCl)等から殺菌作用のある次亜塩素酸ナトリウムを発生させることで、流し込まれたバラスト水に含まれる微生物を殺滅するものである。
【0035】
このような電解処理手段を用いたバラスト水処理装置では、配管の腐食を防止するために犠牲陽極6を設けることで、犠牲陽極6から溶出した犠牲陽極の成分が電解電極に付着して、適切な性能を発揮できなくなるおそれがある。しかしながら、本願発明では、犠牲陽極6を紫外線リアクタ3の後流側に設けていることで、犠牲陽極6から溶出した金属(亜鉛やアルミニウム等)の電解電極への付着を抑制することができる。また、バラスト水の処理後には、電解処理手段のチャンバ内を清水で満たされるよう制御することによって、電解電極と犠牲陽極6とが切り離されるため、金属の電解電極への付着を一層抑制することができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。特に、発明の均等な範囲において開閉弁やポンプの上流下流に係る順序を一部入れ替えたり、新たなライン、開閉弁、ポンプ等を追加したりしてもかまわない。
【符号の説明】
【0037】
1 :ポンプ
2 :バラスト水濾過装置
3 :紫外線リアクタ(紫外線処理手段、微生物殺滅手段)
4 :バラストタンク
5 :制御手段
6 :犠牲陽極
7 :清水導入手段
L1〜L8 :ライン
DP :船外排出口
SC :シーチェスト
V1〜V8 :開閉弁
図1
図2