特開2018-96032(P2018-96032A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-96032(P2018-96032A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】自動ドアの制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20180525BHJP
【FI】
   E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-238249(P2016-238249)
(22)【出願日】2016年12月8日
(71)【出願人】
【識別番号】516000321
【氏名又は名称】AMYドアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103067
【弁理士】
【氏名又は名称】神戸 真澄
(72)【発明者】
【氏名】横井 裕治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 守十樹
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052AA02
2E052BA01
2E052CA06
2E052DA01
2E052DA04
2E052DB01
2E052DB04
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA08
2E052GB12
2E052GB15
2E052GC02
2E052GC06
2E052GD06
2E052GD08
2E052GD09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】戸をアシストしながら開放して介護スタッフが居室内を確認した後、さらにドアを開放又は閉鎖することが容易な自動ドアの制御装置を提供する。
【解決手段】引戸が第1の位置と第2の位置との間にて、補助トルク指令信号によりモータ駆動部500に入力しているアシスト状態で、引戸が移動した方向を検出して移動方向検出信号を発生する移動方向検出器704を有し、アシスト指令生成部710は、移動検出器702が移動検出信号を発生すると、引戸の開放方向に補助電流指令信号を生成すると共に、移動方向検出器704が移動方向検出信号を発生により引戸の移動した方向に補助電流指令信号を生成してモータ駆動部500に入力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの動力に基づいて戸を開放端から閉鎖端までの間を速度指令信号に基づいて移動する自動ドアの制御装置であって、
前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
前記速度指令信号により生成された電流指令信号に基づいて前記モータ駆動手段を制御しながら前記モータを回転するモータ制御手段と、
前記モータ駆動手段がオフの状態で、前記戸が前記閉鎖端から開放方向に第1の位置まで移動したことを検出して移動検出信号を発生する移動検出手段と、
前記第1の位置よりも前記開放端に近い第2の位置を有し、前記第1の位置と前記第2のとの間に前記戸が位置することを検出すると共に、前記戸が移動した方向を検出して移動方向検出信号を発生する移動方向検出手段と、
前記モータから前記戸の走行抵抗に対応した補助トルクを発生するために、前記移動検出信号に基づいて第1の補助電流指令信号を生成して出力すると共に、前記移動方向検出信号に基づいて第2の補助電流指令信号を生成して出力する補助電流指令生成手段と、
前記補助電流指令信号又は前記電流指令信号のいずれかを前記モータ駆動手段に入力する切換え手段と、
前記補助電流指令信号の発生に基づいて前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力すると共に、前記電流指令信号を前記モータ駆動手段への入力から切離す第1の切換え制御手段と、
を備えたことを特徴とする自動ドアの制御装置。
【請求項2】
前記戸が移動する速度値を検出する速度検出手段と、
前記補助トルクを前記戸に付与している状態で、前記第2の位置を越えると共に、前記開放端側に前記戸が移動している時の前記速度値が予め定められた速度値以下で、自動切換え信号を発生する第1の自動切換え手段と、
前記自動切換え信号の発生に基づいて前記戸を開放方向に移動する前記速度指令信号を生成する指令信号生成手段と、
前記自動切換え信号に基づいて前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を切離すと共に、前記速度指令信号に基づいて生成された前記電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力する第2の切換え制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動ドアの制御装置。
【請求項3】
前記補助トルクを前記戸に付与している状態で、前記戸が開放方向に前記第2の位置を越えて移動したことを検出して自動切換え信号を発生する第2の自動切換え手段と、
前記自動切換え信号の発生に基づいて前記戸を開放方向に移動する前記速度指令信号を生成する指令信号生成手段と、
前記自動切換え信号に基づいて前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を前記モータ駆動手段の入力から切離すと共に、前記速度指令信号に基づいて生成された前記電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力する第3の切換え制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の自動ドアの制御装置。
【請求項4】
前記開放端又は前記閉鎖端から予め定められた距離内に前記戸が近付く方向に移動して前記距離内に達すると、端部検出信号を発生する端部検出手段と、
前記補助トルクを前記戸に付与している状態で、前記端部検出信号が発生すると、前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を切り離すと共に、前記電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力して前記モータを減速して停止する前記速度指令信号を発生する停止指令生成手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の自動ドアの制御装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドアの制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動ドア装置は、下記特許文献1に記載のように、ドアの位置を検出する位置検出手段と、ドアを開閉させる開閉駆動部と、開閉駆動部の駆動制御をする制御部とを備えており、制御部は、ドアが全閉位置にある場合において、開閉駆動部によってドアが開方向に移動しない程度の大きさの予備付勢力をドアに付与するように開閉駆動部を制御し、かつ、位置検出手段によってドアが全閉位置から所定距離以上移動したことが検知されたときには、ドアが開方向へ移動するように開閉駆動部を制御する。
【0003】
これにより、ドアが全閉位置にあるときに初期動作として手でドアを所定距離だけ開けるときに、開閉駆動部によりドアに予備付勢力があらかじめ付勢されているので、力が弱い者でもドアを容易に開けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−31600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、老人ホームなどの施設に適用される自動ドアでは、介護スタッフと老人、車椅子利用者などの介護者と共存を図る自動ドアが求められている。すなわち、発明者は、自動ドアが取り付けられた居室の内部を確認するために、ドアを手動で開いて、居室内部を確認してから、居室内の介護者の様子によっては、ドアをさらに手動で開放して居室内に入り、介護者に問題がないようであれば、ドアを手動により閉鎖する、という使い方が成されることが煩雑にあることに気付き、このような特定の使い方に対して、介護スタッフの負担を軽減し得る課題が有ることを見出したのである。
一方、上記の使い方を別言すれば、介護者の手・腕などの動作を通じてドアを開閉することにより、介護者の手等の機能維持等を図りつつ、介護者に負担をかけずに戸を自動開閉するという新たな使い方を提供し得るものである。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ドアをアシスト力により補助しながら開放したり、閉鎖したりして介護スタッフ及び介護者にとって利便性の高い自動ドアの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る自動ドアの制御装置は、モータの動力に基づいて戸を開放端から閉鎖端までの間を速度指令信号に基づいて移動する自動ドアの制御装置であって、
前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
前記速度指令信号により生成された電流指令信号に基づいて前記モータ駆動手段を制御しながら前記モータを回転するモータ制御手段と、
前記モータ駆動手段がオフの状態で、前記戸が前記閉鎖端から開放方向に第1の位置まで移動したことを検出して移動検出信号を発生する移動検出手段と、
前記第1の位置よりも前記開放端に近い第2の位置を有し、前記第1の位置と前記第2のとの間に前記戸が位置することを検出すると共に、前記戸が移動した方向を検出して移動方向検出信号を発生する移動方向検出手段と、
前記モータから前記戸の走行抵抗に対応した補助トルクを発生するために、前記移動検出信号に基づいて第1の補助電流指令信号を生成して出力すると共に、前記移動方向検出信号に基づいて第2の補助電流指令信号を生成して出力する補助電流指令生成手段と、
前記補助電流指令信号又は前記電流指令信号のいずれかを前記モータ駆動手段に入力する切換え手段と、
前記補助電流指令信号の発生に基づいて前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力すると共に、前記電流指令信号を前記モータ駆動手段への入力から切離す第1の切換え制御手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
このような自動ドアの制御装置によれば、モータ駆動手段がオフの状態で、介護スタッフ等が戸を開放方向に第1の位置まで移動したことを移動検出手段が検出すると、第1の補助電流指令信号に基づいて戸の開放方向に第1のアシスト力としての補助トルクを発生する。これにより、戸の開放方向への移動をアシストするので、介護スタッフは居室内の様子を容易に確認できる。また、このような使い方は介護者が戸を容易に開放できるので、介護者の手等の機能維持を図り得る。
一方、移動方向検出手段が第1の位置と第2の位置との間で、戸の移動した方向を検出すると、補助電流指令生成手段が生成した第2の補助電流指令信号に基づいて戸の移動した方向、つまり、閉鎖方向に移動したのであれば、閉鎖方向に、開放方向に移動したのであれば、開放方向に戸に第2のアシスト力としての補助トルクを付与する。
これにより、戸の移動した方向への移動をアシストするので、介護スタッフは、居室内を確認した後、居室内に入る必要性を感じたら戸を開放方向へ、感じなければ、戸を閉鎖方向への移動をスムーズできることになる。同様に介護者は、戸を容易に移動できるので、介護者の手等の機能維持を図り得る。
なお、モータ駆動手段がオフの状態とは、例えば速度指令信号が消滅したことにより判別できる。
また、補助電流指令生成手段は、戸の移動速度値を検出して該移動速度値に応じて変化するように補助電流指令信号を生成しても良い。好ましくは、移動速度値が高くなるにつれて補助トルクを低くするように補助電流指令信号を生成するのが良い。適切な戸の移動速度を維持することができるからである。
【0008】
第2の発明に係る自動ドアの制御装置は、前記戸が移動する速度値を検出する速度検出手段と、
前記補助トルクを前記戸に付与している状態で、前記第2の位置を越えると共に、前記開放端側に前記戸が移動している時の前記速度値が予め定められた速度値以下で、自動切換え信号を発生する第1の自動切換え手段と、
前記自動切換え信号の発生に基づいて前記戸を開放方向に移動する前記速度指令信号を生成する指令信号生成手段と、
前記自動切換え信号に基づいて前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を切離すと共に、前記速度指令信号に基づいて生成された前記電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力する第2の切換え制御手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
このような自動ドアの制御装置によれば、第2の位置を越えて戸が開放方向へ移動しても、戸の移動している速度値が所定値以下にならないと、自動切換え信号を発生しないようにしたので、戸を手で押したり、引いたりしている状態では自動に切り換わり難くなる。これにより、介護スタッフは、意思通り戸を開放し続けることができる。一方、介護者は戸に手等で力を付与し続けるので、機能維持に役立つことになる。
【0009】
第3の発明に係る自動ドアの制御装置は、前記補助トルクを前記戸に付与している状態で、前記戸が開放方向に前記第2の位置を越えて移動したことを検出して自動切換え信号を発生する信号を発生する第2の自動切換え手段と、
前記自動切換え信号の発生に基づいて前記戸を開放方向に移動する前記速度指令信号を生成する指令信号生成手段と、
前記自動切換え信号に基づいて前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を前記モータ駆動手段の入力から切離すと共に、前記速度指令信号に基づいて生成された前記電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力する第3の切換え制御手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
このような自動ドアの制御装置によれば、第2の位置を越えて戸が開放方向へ移動することにより第2の自動切換え手段が自動切換え信号を発生すると、指令信号生成手段が戸を開放方向へ移動する速度指令信号を生成して、第3の切換え制御手段が切換え手段を動作して補助電流指令信号を切離して速度指令信号に基づいて生成された電流指令信号をモータ駆動手段に入力する。これにより、モータを駆動して戸を自動で開放端まで移動する。したがって、介護スタッフが居室内の介護者の状況を確認して、居室内に入る必要性を感じると、さらに戸を開放方向に第2の位置を越えて移動することにより、自動で戸を開放端まで移動できる。したがって、介護スタッフはすみやかに居室内に入ることができる。
【0010】
第4の発明に係る自動ドアの制御装置は、前記開放端又は前記閉鎖端から予め定められた距離内に前記戸が近付くように移動して前記距離内に達すると、端部検出信号を発生する端部検出手段と、
前記補助トルクを前記戸に付与している状態で、前記端部検出信号が発生すると、前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を切り離すと共に、前記電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力して前記モータを減速して停止する前記速度指令信号を発生する停止指令生成手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
これにより、戸にアシスト力を付与している状態で、戸が開放方向に移動しながら開放端に近づくと、又は、戸が閉鎖方向に移動しながら閉散端に近づくと、端部検出手段が端部検出信号を発生して停止制御手段がモータを減速して停止するので、開放端又は閉鎖端への衝突を緩和できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドアをアシスト力により補助しながら開放したり閉鎖したりして介護スタッフ及び介護者にとって利便性の高い自動ドアの制御装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態による自動ドアの制御装置の全体正面図である。
図2図1に示す自動ドアの制御装置の電気系統の全体図である。
図3図1に示す自動ドアの動作を示す模式図である。
図4図3による模式図に対応する自動ドアの制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態を図1及び図2によって説明する。図1において、住居内には、床、上枠8、二つの側枠にて形成された開口9に上吊り型で、長方形の板状の引戸3が設けられている。戸(ドア)としての引戸3の上端部に軸5aを有する二つの吊車5がレール7内を移動することにより、図中の矢印のように引戸3を左右、つまり、水平方向に移動することにより、開口9を引戸3により開閉するように形成されている。
【0014】
自動ドアの制御装置100は、上枠8の上部に固定するベース板12を有しており、モータ14の回転を引戸3の開閉方向へ駆動部材22を移動するための駆動機構と、駆動部材22を開閉方向に円滑に案内するための案内機構30とを備えている。
【0015】
駆動機構は、モータ14の回転を主プーリ16の回転を従動プーリ20に伝達するタイミングベルト18を備えている。上側と下側とから成るタイミングベルト18の下側に連結固定された駆動部材22が引戸3の開閉方向に移動するように形成されている。
駆動部材22は板状で、一端部がタイミングベルト18の下側に固定されると共に、他端部が引戸3に連結固定されている。
なお、ベース板12には、モータ14、主プーリ16、従動プーリ20が回転可能に連結固定されている。
【0016】
案内機構30は、軸と軸受とを有すると共に、リング状の溝が形成された回転可能な三つのローラ31を有しており、駆動部材22に固定されると共に、軸を回転可能に固定するローラ固定部材33を備えている。
案内部材35は、ベース板12に固定されると共に、側面視略C形状で、このC形状の先端部にローラ31の溝と摺動しながら係合するように形成されている。
【0017】
図1及び図2おいて、自動ドアの制御装置100は、交流の電源101に接続されたモータ駆動部500を備え、モータ駆動部500を制御するモータ制御部600を有しており、指令発生部900からの開閉指令信号がモータ制御部600に入力され、モータ制御部600では、開閉指令信号に基づいて速度指令信号を生成して、速度指令信号から電流指令信号を得るように形成されている。
【0018】
モータ駆動部500は、交流を直流に変換するコンバータ503を有しており、コンバータ503の出力にはコンデンサ509が接続されている。コンデンサ509の両端には直流を可変電圧可変周波数の交流に変換するインバータ511を有しており、インバータ511の出力にはモータ14が接続されている。そして、電流指令信号などによりインバータ511を動作させる電力変換指令部513をも有している。
【0019】
モータ制御部600は、インバータ511への加速、一定速、減速、停止等の戸開閉指令信号を発生する指令信号生成手段として開閉指令部602を有しており、開閉指令信号としての速度指令信号が減算器604を介して得られた速度偏差信号を速度制御部606に入力して、速度制御部606の出力となる電流指令信号が切換え手段としてのスイッチ610のa端子に接続されている。スイッチ610の中央端子cがインバータ511に電流指令を与える電力変換指令部513に接続されて、インバータ511を駆動してモータ14を回転制御するように形成されている。
また、モータ14の回転位置に応じて回転位置信号としてのパルス信号を発生する位置検出手段としてエンコーダ52を有している。なお、エンコーダ52はモータ14の回転方向が時計方向であれば、インクリメントし、反時計方向であれば、デクリメントすることにより引戸3が開放方向又は閉鎖方向に移動していることを検出し得るように形成されている。
【0020】
モータ制御部600には、エンコーダ52からのパルス信号によりモータ14の回転速度となる速度検出信号を発生する速度検出部620を有しており、速度検出信号が減算器604とに入力されている。なお、モータ14の回転速度を検出することは、引戸3の移動している速度となる移動速度を検出できることになる。
【0021】
図3も参照して説明する。引戸3が閉鎖端に位置して停止しているとすると、アシスト制御部700には、モータ駆動部500がオフであることを後述するスイッチ切換え信号Scが発生していないことで検知できる。この状態で、介護スタッフが引戸3を開放方向に僅かに第1の位置まで移動すると、この移動をエンコーダ52の位置検出信号により検知して、第1の位置を越えると、移動検出信号を発生する移動検出器702を有している。
また、引戸3の移動位置として第1の位置よりも開放端方向となる第2の位置を有している。第1の移動検出器702が移動検出信号を発生した後、アシスト状態であることをスイッチ切換え信号Scにより判断して、第1の位置と第2の位置の間で引戸3が閉鎖方向又は開放方向に移動したことをエンコーダ52の位置検出信号により検知すると、移動方向検出信号Mdを発生する移動方向検出器704を有している。ここで、移動方向検出信号は、引戸3が開放方向と閉鎖方向とを識別し得る信号を発生することになる。
【0022】
補助電流指令信号生成手段としてのアシスト指令生成部710は、移動検出信号により引戸3の開放方向への補助トルクとしてのアシスト力Aτを発生する第1の補助電流指令信号を生成するように形成されており、移動方向検出信号により引戸3を移動していた方向へのアシスト力を発生する第2の補助電流指令信号を生成するように形成されている。アシスト力は、引戸3の走行抵抗に対応して走行抵抗を軽減したり、低速度で移動したりし得る補助トルクを生成するための補助電流指令信号を発生している。
そして、アシスト指令生成部710は、補助電流指令信号の発生している間、アシスト発生信号Apを発生するように形成されている。
【0023】
また、引戸3の開放端又は閉散端から予め定められた距離の端部に近づくように達すると、端部検出信号を発生する端部検出器706を有している。端部検出器706は、エンコーダ52の位置検出信号が入力されている。これにより、端部検出器706は、位置検出信号を積算して距離として、引戸3の移動可能量から積算した距離を差し引くことで、引戸3が端部に達したか否かを判断すると共に、位置検出信号により引戸3が端部に近づく方向に移動してきたか否かを判断して、引戸3が近付く方向に端部に達すると、端部検出信号を発生するように形成されている。
【0024】
この端部検出信号が発生すると共に、補助電流指令信号が発生している状態で、すなわち、アシスト状態とすると、スイッチ切換え部800は、スイッチ610をb側からa側に投入して補助電流指令信号を切り離すと共に、電流指令信号をモータ駆動部500に入力し得るようになり、停止指令生成手段としての開閉指令部602は、モータ14を減速して停止する速度指令信号を発生するように形成されている。
【0025】
さらに、引戸3が開放方向へ第2の位置を越えて移動すると共に、引戸3の検出速度Vsが予め定められた速度値以下になると、自動切換え信号を発生する第1の自動切換え検出器720を有している。自動切換え信号を開閉指令部602に入力すると、開閉指令部602では、引戸3を開放端まで移動させる開放指令信号としての速度指令信号を生成してこの速度指令信号をモータ制御部600と、スイッチ切換え部800に入力し、スイッチ610をc側からa側に投入するように形成されており、このスイッチ610の切換えにより補助電流指令信号を切り離すと共に、電流指令信号をモータ駆動部500に入力するようになる。モータ制御部600では、速度指令信号に基づく電流指令信号を生成して、この電流指令信号がスイッチ610を介してモータ駆動部500に入力し、モータ14を動作して引戸3を開放端まで移動するように形成されている。
【0026】
切換え制御手段としてのスイッチ切換え部800は、補助電流指令信号に基づくアシスト発生信号Ap又は速度指令信号Vrの入力によりスイッチ切換え信号Scを発生するように形成されており、アシスト発生信号Apの入力によりスイッチ610をa側からb側に倒してアシスト指令生成部710の出力となる補助電流指令信号を電力変換指令部513に入力し、速度指令信号の発生によりスイッチ610をb側からa側に倒して電流指令信号を電力変換指令部513に入力するように形成されている。そして、アシスト発生信号及び速度指令信号の消滅によりa側とb側との間、中立状態に位置してモータ駆動部500をオフするように形成されている。
すなわち、スイッチ610は、補助電流指令信号及び電流指令信号をモータ駆動部500から切離したり、補助電流指令信号又は電流指令信号のいずれか一方をモータ駆動部500に入力したりするように形成されている。
【0027】
指令発生部900は、引戸3に対して表側と裏側にそれぞれ設けられると共に、押すことにより戸開指令を発生する開放釦スイッチ901と、押すことにより戸閉指令を発生する閉鎖釦スイッチ902と、が開閉指令部602に入力されるように形成されている。
【0028】
このように構成された自動ドアの制御装置の動作を図1から図4を参照して説明する。
<通常動作>
いま、引戸3が閉鎖端に位置している状態で、開放釦スイッチ901が押されると、開閉指令部602では、戸開指令信号としての速度指令信号Vrを生成して、スイッチ切換え部700に速度指令信号を入力してスイッチ610をa側に投入する。同時に、速度指令信号が減算器604、速度制御部606、電力変換指令部513を介してインバータ511を動作してモータ14を回転して引戸3を閉鎖端から開放端まで移動して停止する。
【0029】
引戸3が開放端に位置している状態で、閉鎖釦スイッチ902が押されると、開閉指令部602では、戸閉指令信号としての速度指令信号を生成して、速度制御部606、電力変換指令部513を介してインバータ511を動作してモータ14を回転して引戸3を開放端から閉鎖端まで移動して停止する。
【0030】
<アシスト動作>
いま、引戸3が閉鎖端で停止しているとすると、モータ14が停止しており、開閉指令部602から開閉指令信号としての速度指令信号が発生していない。又、アシスト発生信号も発生していないので、スイッチ610はa側、b側にも投入されていない中立状態にあるので、モータ駆動部500はオフとなっている。
【0031】
この状態で、介護スタッフが居室内の介護者の様子を確認するために、引戸3を手動により開放方向へ僅かに移動すると(ステップS101)、移動検出器702は、エンコーダの52の位置検出信号により引戸3が第1の位置を越えて開放方向へ移動したことを検知して移動検出信号を発生し、アシスト指令生成部710に入力する。アシスト指令生成部710では、アシスト力発生信号をスイッチ切換え部800に入力することによりスイッチ610を中立状態からb端子に倒すと共に、第1の補助電流指令信号をスイッチ610を介して電力変換指令部513に入力する。これにより、インバータ511を駆動してモータ14に開放方向の回転に対応するアシスト力を引戸3に加える(ステップS103)。これにより、介護スタッフ又は介護者は引戸3を容易に開放方向に移動できるようになり、居室内の様子を確認し得る。介護者にとっては、手等の機能維持にも役立つことになる。
【0032】
引き続いて引戸3が手動により開放方向へ移動して第2の位置を越えるか否かを自動切換え検出器720が判断し(ステップS105)、第2の位置を越えていると判断すると、自動切換え検出器720は引戸3の移動速度が所定値以下か判断し(ステップS107)、所定値以下であれば、自動切換え検出器720が自動切換え信号を発生して開閉指令部602を介して速度指令信号を発生し、スイッチ切換え部800によりスイッチ610をa側に倒して、速度指令信号により速度制御部606、電力変換指令部513を介して自動により引戸3を開放端まで移動して(ステップS109)、終了する。
【0033】
一方、ステップS105において、第1の位置と第2の位置との間で、引戸3がアシスト力を付与しながら移動したことを移動方向検出器704が移動方向検出信号を発生したか否かで判断し(ステップS121)、引戸3が移動すると、移動方向検出信号をアシスト指令生成部710に入力する。アシスト指令生成部710では、第2の補助電流指令信号をスイッチ610を介して電力変換指令部513入力してモータ14を回転して、引戸3が移動した方向にアシスト力を与える(ステップS123)。これにより、介護スタッフ等は引戸3を移動した方向に継続して容易に移動できるようになる。やがて、引戸3が第2の位置を越えると、上記ステップS105〜ステップS109を実行する。
【0034】
アシスト力が付与された状態で、引戸3が端部まで近づくように移動するか否かを端部検出器706が判断し(ステップS111)、引戸3が近づく方向に移動して端部に達すると、端部検出信号を発生してスイッチ切換え部800によりスイッチ610をb側からa側に倒して、開閉指令部602からの速度指令信号によりモータ14を減速して停止する(ステップS113)。
【0035】
また、介護スタッフが居室内の介護者の様子を確認するために、引戸3を手動により開放方向へ僅かに移動して第1の位置を越えてから(ステップS101)、所定時間、例えば60秒経過すると、開閉指令部602等及びモータ駆動部500を介してモータ14を回転して引戸3を閉鎖方向に自動で移動して閉鎖端で停止する。
【0036】
上記実施の形態では、第1の自動切換え検出器720は、引戸3が開放方向へ第2の位置を越えて移動すると共に、引戸3の検出した速度値Vsが予め定められた速度値以下になると、自動切換え信号を発生するように形成したが、第1の自動切換え検出器720の代わりに、引戸3が開放方向へ第2の位置を越えて移動すると自動切換え信号を発生するように第2の自動切換え検出器を設けても良い。速やかに引戸3を開放端まで移動し得るからである。
【0037】
本発明は、上記発明の実施の形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
100 自動ドアの制御装置、52 エンコーダ(位置検出手段)、500 モータ駆動部(モータ駆動手段)、600 モータ制御部(モータ制御手段)、620 速度検出部(速度検出手段)、702 移動検出器(移動検出手段)、704 移動方向検出器(移動方向検出手段)、720 自動切換え検出器(自動切換え手段)。
図1
図2
図3
図4