【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る自動ドアの制御装置は、モータの動力に基づいて戸を開放端から閉鎖端までの間を速度指令信号に基づいて移動する自動ドアの制御装置であって、
前記モータを駆動するモータ駆動手段と、
前記速度指令信号により生成された電流指令信号に基づいて前記モータ駆動手段を制御しながら前記モータを回転するモータ制御手段と、
前記モータ駆動手段がオフの状態で、前記戸が前記閉鎖端から開放方向に第1の位置まで移動したことを検出して移動検出信号を発生する移動検出手段と、
前記第1の位置よりも前記開放端に近い第2の位置を有し、前記第1の位置と前記第2のとの間に前記戸が位置することを検出すると共に、前記戸が移動した方向を検出して移動方向検出信号を発生する移動方向検出手段と、
前記モータから前記戸の走行抵抗に対応した補助トルクを発生するために、前記移動検出信号に基づいて第1の補助電流指令信号を生成して出力すると共に、前記移動方向検出信号に基づいて第2の補助電流指令信号を生成して出力する補助電流指令生成手段と、
前記補助電流指令信号又は前記電流指令信号のいずれかを前記モータ駆動手段に入力する切換え手段と、
前記補助電流指令信号の発生に基づいて前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力すると共に、前記電流指令信号を前記モータ駆動手段への入力から切離す第1の切換え制御手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
このような自動ドアの制御装置によれば、モータ駆動手段がオフの状態で、介護スタッフ等が戸を開放方向に第1の位置まで移動したことを移動検出手段が検出すると、第1の補助電流指令信号に基づいて戸の開放方向に第1のアシスト力としての補助トルクを発生する。これにより、戸の開放方向への移動をアシストするので、介護スタッフは居室内の様子を容易に確認できる。また、このような使い方は介護者が戸を容易に開放できるので、介護者の手等の機能維持を図り得る。
一方、移動方向検出手段が第1の位置と第2の位置との間で、戸の移動した方向を検出すると、補助電流指令生成手段が生成した第2の補助電流指令信号に基づいて戸の移動した方向、つまり、閉鎖方向に移動したのであれば、閉鎖方向に、開放方向に移動したのであれば、開放方向に戸に第2のアシスト力としての補助トルクを付与する。
これにより、戸の移動した方向への移動をアシストするので、介護スタッフは、居室内を確認した後、居室内に入る必要性を感じたら戸を開放方向へ、感じなければ、戸を閉鎖方向への移動をスムーズできることになる。同様に介護者は、戸を容易に移動できるので、介護者の手等の機能維持を図り得る。
なお、モータ駆動手段がオフの状態とは、例えば速度指令信号が消滅したことにより判別できる。
また、補助電流指令生成手段は、戸の移動速度値を検出して該移動速度値に応じて変化するように補助電流指令信号を生成しても良い。好ましくは、移動速度値が高くなるにつれて補助トルクを低くするように補助電流指令信号を生成するのが良い。適切な戸の移動速度を維持することができるからである。
【0008】
第2の発明に係る自動ドアの制御装置は、前記戸が移動する速度値を検出する速度検出手段と、
前記補助トルクを前記戸に付与している状態で、前記第2の位置を越えると共に、前記開放端側に前記戸が移動している時の前記速度値が予め定められた速度値以下で、自動切換え信号を発生する第1の自動切換え手段と、
前記自動切換え信号の発生に基づいて前記戸を開放方向に移動する前記速度指令信号を生成する指令信号生成手段と、
前記自動切換え信号に基づいて前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を切離すと共に、前記速度指令信号に基づいて生成された前記電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力する第2の切換え制御手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
このような自動ドアの制御装置によれば、第2の位置を越えて戸が開放方向へ移動しても、戸の移動している速度値が所定値以下にならないと、自動切換え信号を発生しないようにしたので、戸を手で押したり、引いたりしている状態では自動に切り換わり難くなる。これにより、介護スタッフは、意思通り戸を開放し続けることができる。一方、介護者は戸に手等で力を付与し続けるので、機能維持に役立つことになる。
【0009】
第3の発明に係る自動ドアの制御装置は、前記補助トルクを前記戸に付与している状態で、前記戸が開放方向に前記第2の位置を越えて移動したことを検出して自動切換え信号を発生する信号を発生する第2の自動切換え手段と、
前記自動切換え信号の発生に基づいて前記戸を開放方向に移動する前記速度指令信号を生成する指令信号生成手段と、
前記自動切換え信号に基づいて前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を前記モータ駆動手段の入力から切離すと共に、前記速度指令信号に基づいて生成された前記電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力する第3の切換え制御手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
このような自動ドアの制御装置によれば、第2の位置を越えて戸が開放方向へ移動することにより第2の自動切換え手段が自動切換え信号を発生すると、指令信号生成手段が戸を開放方向へ移動する速度指令信号を生成して、第3の切換え制御手段が切換え手段を動作して補助電流指令信号を切離して速度指令信号に基づいて生成された電流指令信号をモータ駆動手段に入力する。これにより、モータを駆動して戸を自動で開放端まで移動する。したがって、介護スタッフが居室内の介護者の状況を確認して、居室内に入る必要性を感じると、さらに戸を開放方向に第2の位置を越えて移動することにより、自動で戸を開放端まで移動できる。したがって、介護スタッフはすみやかに居室内に入ることができる。
【0010】
第4の発明に係る自動ドアの制御装置は、前記開放端又は前記閉鎖端から予め定められた距離内に前記戸が近付くように移動して前記距離内に達すると、端部検出信号を発生する端部検出手段と、
前記補助トルクを前記戸に付与している状態で、前記端部検出信号が発生すると、前記切換え手段を動作して前記補助電流指令信号を切り離すと共に、前記電流指令信号を前記モータ駆動手段に入力して前記モータを減速して停止する前記速度指令信号を発生する停止指令生成手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
これにより、戸にアシスト力を付与している状態で、戸が開放方向に移動しながら開放端に近づくと、又は、戸が閉鎖方向に移動しながら閉散端に近づくと、端部検出手段が端部検出信号を発生して停止制御手段がモータを減速して停止するので、開放端又は閉鎖端への衝突を緩和できる。