槽体Bの底部で排水口1aを形成する排水栓1と、上下動を行うことにより排水口1aの開閉を行う弁部材10と、押動操作に伴い、上昇状態の保持及び保持の解除を行うロック機構25を備えた排水栓装置について、前記ロック機構25は、回転ギア30が正規の方向とは異なる向きで取り付けられることを防止する誤取付防止機構を有する。誤取付防止機構はロック軸27の外周に形成された被取付部29と、回転ギア30の内周に形成された取付部32より構成されており、回転ギア30が正規の方向とは異なる向きに取り付けられた時、回転ギア30を含む1つ以上の部材が所定位置に取付不可能となるよう構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ロック機構において、回転ギアの係止歯は左右非対称形状を成している。従って、回転ギアが正規の方向とは異なる位置に取り付けられた場合、ロック機構が正常に作動しなくなってしまう。
【0006】
本発明は上記問題に鑑み発明されたものであって、排水栓装置のロック機構に関し、回転ギアが正規の方向とは異なる位置に取り付けられることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、槽体の底部で排水口を形成する排水栓と、
上下動を行うことにより排水口の開閉を行う弁部材と、
押動操作に伴い、上昇状態の保持及び保持の解除を行うロック機構を備えた遠隔操作式排水栓装置について、
前記ロック機構は、
前記押動操作に伴い進退を行うロック軸と、
ロック軸に対して回動可能に取り付けられた回転ギアと、
押動操作の都度回転ギアを回動させる傾斜歯と、
回転ギアの位置保持を行う保持歯を有し、
前記ロック機構は、回転ギアが正規の方向とは異なる向きで取り付けられることを防止する誤取付防止機構を有すること特徴とする排水栓装置である。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、前記ロック機構は、
ロック軸、回転ギア、傾斜歯、及び保持歯を内部に収納するケーシングを備えることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置である。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、前記誤取付防止機構は、
回転ギアが正規の方向とは異なる向きにある時、回転ギアを含む1つ以上の排水栓装置の部材が所定位置に取り付け不可能となるよう構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置である。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、前記誤取付防止機構は、
回転ギアが正規の方向とは異なる向きで取り付けられた際、他部材と干渉する干渉部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の排水栓装置である。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、前記干渉部は、
回転ギアの内周面とロック軸の外周面の少なくとも一方に形成されたことを特徴とする請求項4に記載の排水栓装置である。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、前記干渉部は、
ロック軸に取り付けられたギア押さえによってロック軸に対して抜脱不能となるとともに、
回転ギアが正規の方向とは異なる向きでロック軸に取り付けられた際、干渉部とギア押さえが干渉し、ギア押さえが取付不可能となることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の排水栓装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び請求項2に記載の本発明によれば、ロック機構が誤取付防止機構を備えるため、回転ギアが正規の方向とは異なる向きで取り付けられることを防ぐことが可能となる。尚、ここに言う「正規の方向」とは、ロック機構が正常に動作する方向を指すものである。
請求項3に記載の本発明によれば、誤取付防止機構によって部材の取り付けが不可能となることから、誤取付状態のまま組み立て作業が完了してしまうことを防ぐことが可能となる。
請求項4乃至請求項6に記載の本発明によれば、干渉部が他部材と干渉することにより、誤取付を防止することが可能となる。特に、請求項5に記載の本発明によれば、干渉部が回転ギアの内周面とロック軸の外周面の少なくとも一方に形成されていることから、誤取付防止機構の構成を簡素化することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の排水栓装置を、図面を参照しつつ説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするものであって、これによって本発明が制限して理解されるものではない。又、以下の実施形態においては、特に断りの無い限り
図1に示す施工状態を基準として上下左右を説明する。
【0016】
本実施形態は
図1乃至
図9に示すように、槽体Bの底部に形成された排水口1aの開閉を、槽体Bの縁部に配置された操作部20によって遠隔的に行う排水栓装置であって、槽体B、排水栓1、弁部材10、レリースワイヤ13、操作部20、ロック機構25から構成されている。
【0017】
槽体Bは上方が開放された箱状の浴槽であり、底部には円形の孔部が開口され、当該底部の開口には排水栓1が取り付けられている。又、縁部も同様に円形の孔部が開口されており、当該開口には操作部20が取り付けられている。
【0018】
排水栓1は上端に鍔部を有する筒状部材であって、その内部において、槽体Bからの排水を排出する排水口1aが形成されており、筒状部分の外側には雄螺子が螺刻されている。又、排水栓1は内部に形成された突部にワイヤ受け2が取り付けられている。又、排水栓1の筒状部分は上記槽体Bの底面に形成された開口に挿通されており、槽体Bの裏面に配置された排水器5と螺合されている。
排水器5は上方に向けて開口する開口部を備え、当該開口内に螺刻された雌螺子によって排水栓1外周に形成された雄螺子と螺合されているとともに、その下流側には、側方に向けて排出口6と枝管部7が延設されている。排出口6は排水器5の内部に侵入した排水を更に下流側へと排出する配管(図示せず)と接続されている。枝管部7は可撓性を有するホース管を介して操作部20と連結されている。
ワイヤ受け2は爪部によって上記排水栓1の内部に形成された突部に係止されており、レリースワイヤ13端部の弁軸17を固定する軸受部を備えている。尚、ワイヤ受け2が排水栓1に取り付けられた状態において、軸受部及び軸受部に固定された弁軸17は排水口1aの中心となる位置に配置される。
【0019】
弁部材10は外周面にパッキンが嵌着された蓋部材であり、
図2に示すように、弁部材10が下降している状態において、当該パッキンが排水栓1の上面に当接することによって排水口1aを水密に閉塞している。又、弁部材10は裏面において弁軸17の先端が嵌合されており、当該弁軸17に突き上げられることによって上昇する。
【0020】
レリースワイヤ13はアウターチューブ14、インナーワイヤ15より構成された伝達部材であって、一端がロック機構25に、他端が弁軸17に接続されている。
アウターチューブ14は側面方向に可撓性を有する中空の樹脂製チューブであって、内部には側面方向に可撓性を有する金属の撚り線であるインナーワイヤ15が摺動可能に配置されている。
【0021】
弁軸17は
図2に示すように、外筒及び内筒から成る筒状部材であり、ワイヤ受け2によって排水栓1の中央に固定されている。外筒はアウターチューブ14が連結された中空の筒状体であって、内部に内筒を収納するとともに、外側が軸受部によって係止されている。内筒はインナーワイヤ15が連結された筒体であって、内部にショックアブソーバスプリングが配置されている。
上記弁軸17は、インナーワイヤ15が排水口1a側へと摺動することによって内筒が外筒より突出し、弁部材10を上昇させる。又、当該弁部材10の上昇状態において、弁部材10の上方から衝撃が加わった際には上記ショックアブソーバスプリングが収縮することで当該衝撃を吸収し、部材の破損を防ぐことができる。
【0022】
図3に示すように、操作部20は槽体Bの縁部に取り付けられ、ボタン部21、フランジ部22を有し、フランジ部22内部にはロック機構25が配置されている。
ボタン部21は平面視円形であって、使用者が直接押動を行う部材であり、フランジ部22内を上下動可能に配置されている。又、ボタン部21は裏面においてロック機構25のロック軸27の先端が嵌合されている。
フランジ部22は上端より外側に向けてフランジ部分を備える筒状体であって、槽体B縁部の裏面より取り付けられたナットによって、フランジ部分とナットが槽体B縁部に形成された開口周縁を挟持することで取り付けられている。
【0023】
図4に示すように、ロック機構25はスラストロック機構と呼ばれる弁部材10の上昇状態を保持する機構であり、筒状のケーシング26と、ケーシング26内部に配置されたロック軸27、回転ギア30、傾斜歯35、保持歯36から構成されている。又、ケーシング26は上部パーツ26aと下部パーツ26bより構成されており、上部パーツ26aが下部パーツ26bの下端に配置されることで内部に回転ギア30等を収納する空間を形成する。
ロック軸27は円筒状であって、ケーシング26上面を貫通し、その先端がボタン部21の裏面に嵌合されており、操作部20への押動操作に連動してケーシング26内を上下動可能となっている。又、ロック軸27は外側へと延出する鍔部28を有し、当該鍔部28の上方において回転ギア30が取り付けられる被取付部29を有するとともに、被取付部29の上方には平面視略C字状のギア押さえ41が取り付けられる凹部が形成されている。ここで、
図5に示すように、上記被取付部29は段状に形成されており、下方(鍔部28側)が大径となるよう構成されている。又、被取付部29の形状は後述する回転ギア30の内径形状と略同一となっている。又、ロック軸27の下端は前記インナーワイヤ15が接続されており、ロック軸27の上下動に応じてインナーワイヤ15がアウターチューブ14内を摺動する。尚、ロック軸27は戻りスプリング40によって常に上方へと付勢されている。
回転ギア30は
図6(a)に示すように、平面視リング状の筒状部材であって、ロック軸27に対して回動可能且つロック軸27の上下動に追従するよう、ロック軸27に挿通されている。又、回転ギア30は側面より外側に向けて突出するようにして係止歯31が形成されている。係止歯31は回転ギア30の側面より90°毎に形成され、
図6(b)に示すように、正面視略三角形状であり、左右非対称形状を成している。即ち、回転ギア30を上下反転させた場合、係止歯31の傾斜方向も反転する形状を成している。
本実施形態では、回転ギア30は、その係止歯31が、後述する動作の為に、略三角形状の傾斜面が傾斜歯35や保持歯36の傾斜面にそれぞれ合致するように配置されるのが、正規な方向である。
回転ギア30の内側は上記ロック軸27の被取付部29と対応する段状の取付部32を成しており、正規の取付方向において、下方側が上方側に比べて大径となっている。尚、取付部32の小径部分の径は、被取付部29の大径部分よりも小径である。又、回転ギア30は大径側端部より軸方向に向けて突出する凸状の干渉部33を有している。尚、当該干渉部33は回転ギア30が正規の取付方向において取り付けられている場合、他のいかなる部材にも干渉しない。
傾斜歯35はケーシング26の内周全周に亘って形成された鋸歯状であって、ケーシング26の下部パーツ26bの上端であり、ロック軸27が下限まで下降した際に回転ギア30(係止歯31)が当接する位置に形成されている。即ち、傾斜歯35は操作部20に対する押動操作の都度、回転ギア30を回動させる。
保持歯36はケーシング26の内周において、溝部37を挟んで所定の間隔で形成されており、上記傾斜歯35と対向する位置に傾斜面を形成されてなり、
この傾斜面により、保持歯36に回転ギア30が押し当てられる都度、回転ギア30が回動する。尚、溝部37は上記回転ギア30が内部に配置可能な程度の幅を有している。
【0024】
ここで、上記ロック機構25は、回転ギア30が正規の方向とは異なる向きで取り付けられることを防止する誤取付防止機構を備えている。本実施形態において、誤取付防止機構はロック軸27の外周に形成された被取付部29と、回転ギア30の内周に形成された取付部32より構成されている。当該誤取付防止機構について以下に詳述する。
まず、回転ギア30が正規の方向に取り付けられた場合、
図5に示すように、回転ギア30の小径部分は被取付部29の小径部分の外側に配置され、回転ギアの大径部分は被取付部29の大径部分の外側に配置される。又、干渉部33は上方を向いて突出するように配置されるため、他の部材と干渉することなく所定の位置に取り付けることが可能となる。そして、凹部に対して取り付けられたギア押さえ41によって回転ギア30は抜脱が防止され、装置を作動させることが可能となる。
次に、回転ギア30が正規の方向とは異なる方向に取り付けられた場合、
図7に示すように、回転ギア30の取付部32の小径部分は被取付部29の大径部分よりも小径となっているため、回転ギア30は所定の位置よりも上方に配置されるとともに、干渉部33は上方を向いて突出する様に配置される。又、上記状態においてギア押さえ41を取り付けようとしても、干渉部33がギア押さえ41に干渉し、ギア押さえ41を凹部に配置することができない。従って、組み立てを行う際、作業者はギア押さえ41が取付不可能であることを確認することによって、回転ギア30が正規とは異なる方向にて取り付けられていることを知ることができる。尚、
図7においては、正規とは異なる方向にて取り付けられた回転ギア30とギア押さえ41とがどのように干渉するかを理解し易くするため、ギア押さえ41が取り付けられた場合に占める空間を二点鎖線で記載している。又、組み立てを行う際に作業者は回転ギア30の取付位置や干渉部33の突出方向によって、回転ギア30が正規とは異なる方向に取り付けられていることが視認可能となる。
【0025】
上記排水栓装置は以下のように施工される。
まず、槽体B底部に形成された開口に排水栓1及び排水器5を取り付けるとともに、操作部20を槽体B縁部に形成された開口に取り付け、排水器5と操作部20をホース管で接続する。
次にレリースワイヤ13の弁軸17側を、フランジ部22から排水口1a側へと挿通させる。この時、レリースワイヤ13はホース管によってガイドされて、弁軸17が枝管部7より排水器5内に到達する。そして、ペンチや治具等を使用し、当該弁軸17を排水口1aより槽体B内へと引き上げ、弁軸17をワイヤ受け2の軸受部に固定した後、ワイヤ受け2を排水栓1内に取り付ける。
最後に、弁軸17に弁部材10を嵌合させるとともに、ロック軸27にボタン部21を嵌合させることで施工が完了する。
【0026】
上記排水栓装置は以下のように作動する。
まず、弁部材10が下降している状態において、弁部材10の周囲に嵌着されたパッキンが排水栓1の上面と水密に当接しており、槽体B内に湯水を貯留可能となっている。この時、ボタン部21の上面はフランジ部22の上面と面一となっているとともに、ボタン部21下方に配置されたロック軸27及び回転ギア30は上限位置に配置されている。又、この時回転ギア30の係止歯31は保持歯36の間に形成された溝部37内に配置されている。
上記弁部材10の下降状態より、使用者がボタン部21に対して押動操作を加えると、ロック軸27が下降し、インナーワイヤ15が排水口1a側に向けてアウターチューブ14内を摺動する。そして、インナーワイヤ15の摺動によって内筒が上昇し、弁部材10を下方から突き上げる。この時、
図8(a)に示すように、ロック軸27の下降に伴い回転ギア30も下降し、回転ギア30の係止歯31は下限まで下降した際に傾斜歯35と当接し、傾斜歯35の傾斜面に沿って所定角度回転する。そして、使用者による押動操作が終了すると、戻りスプリング40によってロック軸27は上方へと付勢され、ロック軸27及び回転ギア30が上昇する。しかし、上述の通り、回転ギア30は傾斜歯35によって所定角度回転されており、回転ギア30の係止歯31は保持歯36の直下に位置している。従って、
図8(b)に示すように、戻りスプリング40の付勢により上昇した係止歯31は保持歯36に形成された傾斜面によって所定角度回動した後に保持歯36と噛合し、回転ギア30及びロック軸27の高さ位置が保持される。この時、インナーワイヤ15は排水口1a側へ摺動した状態のまま保持されることから、弁部材10は上昇状態のままの高さ位置にて保持される。
弁部材10の上昇状態より再びボタン部21に対して押動操作が加えられると、
図9(a)に示すように、ロック軸27の下降に伴い回転ギア30が再び下降する。下限まで下降した回転ギア30は係止歯31と傾斜歯35の当接によって所定角度回転し、係止歯31が保持歯36との噛合位置から変位する。そして、押動操作が終了すると、
図9(b)に示すように、戻りスプリング40の付勢によって係止歯31は保持歯36の傾斜面によって所定角度回動した後に溝部37内に配置され、ロック軸27及び回転ギア30は上限位置まで上昇し、弁部材10を下降させる。
以上のように、ロック機構25は操作部20に加えられた押動操作の都度、傾斜歯35が回転ギア30を回動させることにより弁部材10の高さ位置を保持する機構である。
【0027】
ここで、上記ロック機構25において、ロック軸25に対して上下を誤って回転ギア30が取り付けられた場合、操作部20の操作に伴いロック軸27が下降した際、係止歯31と傾斜歯35と当接する傾斜面の向きが逆となるため、所定角度回転することが無く、正常に動作しなくなる。
そこで、上記本発明においては、ロック機構25が回転ギア30の誤取付防止機構を備えるため、回転ギア30が正規の方向とは異なる向きで取り付けられることを防ぐことが可能となる。従って、施工不良による誤作動等を防止することが可能となる。
【0028】
本実施形態は以上であるが、本発明は上記実施形態の形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形状変更を加えても良いものである。
例えば、上記第一実施形態において、誤取付防止機構は段状部分を有する被取付部29と、段状部分を有する取付部32より構成されていたが、
図10及び
図11に示す第二実施形態のように、段状部分に代えて被取付部29と取付部32に形成された傾斜面によって誤取付防止機構を構成しても良い。尚、以下に本発明の第二実施形態について説明するが、誤取付防止機構以外の箇所については上記第一実施形態と同一であるため、その他の箇所については第一実施形態と同じ番号を付してその説明を省略する。
【0029】
図10に記載する第二実施形態において、誤取付防止機構はロック軸27の外周に形成された被取付部29と、回転ギア30の内周に形成された取付部32より構成されている。当該誤取付防止機構について以下に詳述する。
被取付部29はロック軸27の外周に形成された傾斜面であり、下方が大径となるよう構成されている。又、被取付部29の形状は後述する回転ギア30の内径形状と略同一となっている。
取付部32は回転ギア30の内側に形成され、上記ロック軸27の被取付部29と対応する傾斜面であって、正規の取付方向において、下方側が上方側に比べて大径となっている。尚、取付部32の小径部分の径は、被取付部29の大径部分よりも小径である。又、回転ギア30は大径側端部より軸方向に向けて突出する凸状の干渉部33を有している。尚、当該干渉部33は回転ギア30が正規の取付方向において取り付けられている場合、他のいかなる部材にも干渉しない。
【0030】
上記第二実施形態において、回転ギア30が正規の方向に取り付けられた場合、回転ギア30の小径部分は被取付部29の小径部分の外側に配置され、回転ギアの大径部分は被取付部29の大径部分の外側に配置される。又、干渉部33は下方を向いて突出するように配置されるため、他の部材と干渉することなく所定の位置に取り付けることが可能となる。そして、凹部に対して取り付けられたギア押さえ41によって回転ギア30は抜脱が防止され、装置を作動させることが可能となる。
次に、回転ギア30が正規の方向とは異なる方向に取り付けられた場合、
図11に示すように、回転ギア30の取付部32の小径部分は被取付部29の大径部分よりも小径となっているため、回転ギア30の取付部32の大径部分をロック軸27の被取付部29の大径部分の外側に配置することができない。従って、回転ギア30は所定の位置よりも上方に配置されるとともに、干渉部33が上方を向いて突出する様に配置される。ここで、上記状態においてギア押さえ41を取り付けようとすると、干渉部33がギア押さえ41に干渉し、ギア押さえ41を凹部に配置することができない。従って、組み立てを行う際、作業者はギア押さえ41が取付不可能であることを確認することによって、回転ギア30が正規とは異なる方向にて取り付けられていることを知ることができる。尚、
図11においては、正規とは異なる方向にて取り付けられた回転ギア30とギア押さえ41とがどのように干渉するかを理解し易くするため、ギア押さえ41が取り付けられた場合に占める空間を二点鎖線で記載している。又、作業者は回転ギア30の取付位置や干渉部33の突出方向によって、回転ギア30が正規とは異なる方向に取り付けられていることが視認可能となる。
【0031】
本発明の実施形態は以上であるが、本発明は上記各実施形態の形状に限られるものではない。例えば、第一実施形態と第二実施形態を組み合わせ、取付部32を段状、被取付部29を傾斜面より構成しても良く、逆に、取付部32を傾斜面、被取付部29を段状に構成しても良い。又、取付部32や被取付部29を凸部や凸条より構成しても良く、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の形状変更を加えても良いものである。
又、各実施形態において、操作部20は槽体Bの縁部に配置されていたが、
図12に示すように、操作部20やロック機構25が槽体Bの側面に取り付けられる構造であっても良い。又、ロック機構25の構造に関し、傾斜歯35がケーシング26以外に形成されているなど、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられていても良い。
又、上記各実施形態における排水栓装置は、操作部に押動操作を加えることで弁部材の昇降操作を行う構造であったが、弁部材の内部にロック機構が配置されており、弁蓋を直接押動することによって弁部材の昇降を行う構造の排水栓装置に採用しても良い。
又、上記各実施形態においては、回転ギア30が正規の方向とは異なる向きで取り付けられた際、ギア押さえ41が取付不可能となるよう構成していたが、本発明の排水栓装置はこれに限るものではない。即ち、回転ギア30が正規の方向とは異なる向きで取り付けられた際、ロック軸27やその他の部材が正規の位置に取付不可能となるよう構成しても良い。