特開2018-96154(P2018-96154A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2018096154-チュービング装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-96154(P2018-96154A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】チュービング装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/02 20060101AFI20180525BHJP
   E21B 7/20 20060101ALI20180525BHJP
【FI】
   E21B7/02
   E21B7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-243142(P2016-243142)
(22)【出願日】2016年12月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】谷田 優也
(72)【発明者】
【氏名】高山 浩司
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA00
2D129BA05
2D129BB03
2D129DC11
2D129EB29
(57)【要約】
【課題】荷台へのチュービング装置の積み降ろしを、狭い場所でも安全かつ容易に行うことができる構造を備えたチュービング装置を提供する。
【解決手段】輸送車の荷台21aに積載して運搬されるチュービング装置11において、チュービング装置の前部及び後部の荷台幅方向にそれぞれ設けられた前後左右4本の伸縮ビーム22と、各伸縮ビームの先端部にそれぞれ設けられた積み降ろし用ジャッキシリンダ23とを備え、伸縮ビームは、短縮時に積み降ろし用ジャッキシリンダを荷台幅内に収納し、伸長時に積み降ろし用ジャッキシリンダを荷台外方に突出させるストロークを有し、積み降ろし用ジャッキシリンダは、チュービング装置を地上面に接地させた下方位置と荷台より上昇させた上方位置とに昇降可能なストロークを有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送車の荷台に積載して運搬されるチュービング装置において、該チュービング装置の前部及び後部の荷台幅方向にそれぞれ設けられた前後左右4本の伸縮ビームと、各伸縮ビームの先端部にそれぞれ設けられた積み降ろし用ジャッキシリンダとを備え、前記伸縮ビームは、短縮時に前記積み降ろし用ジャッキシリンダを荷台幅内に収納し、伸長時に前記積み降ろし用ジャッキシリンダを荷台外方に突出させるストロークを有し、前記積み降ろし用ジャッキシリンダは、前記チュービング装置を地上面に接地させた下方位置と前記荷台より上昇させた上方位置とに昇降可能なストロークを有していることを特徴とするチュービング装置。
【請求項2】
前記チュービング装置は、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームとを備え、前記伸縮ビームを前記ドライブフレーム又は前記チャックフレームのいずれか一方に設けたことを特徴とする請求項1記載のチュービング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チュービング装置に関し、詳しくは、トレーラなどの輸送車の荷台に搭載して運搬されるチュービング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーシングチューブを回転させながら地中に押し込んだり、引き抜いたりするチュービング装置は、一般的に、トレーラなどの輸送車の荷台に積載して運搬され、荷台への積み降ろしには、大型クレーンが用いられている。また、荷台への積み降ろしや作業現場での移動を、クレーンを使用せずに行える機器として、走行機構に設けたアーム部材でチュービング装置を昇降可能に支持可能とした自走式チュービング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−107277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記自走式チュービング装置では、走行機構などの特別な機器を製作する必要があり、また、走行機器などを運搬するための輸送車も必要になるため、作業現場が広く、施工数が多いときには有効であるが、作業現場の広さや施工数によってはコストアップになることがあった。一方、クレーンを使用してチュービング装置を荷台に積み降ろしする際には、20〜30トンの重量物であるチュービング装置を比較的高く吊り上げた状態で位置合わせなどを行わなければならず、安全性に十分な配慮が必要であり、作業性も良好とはいえなかった。また、チュービング装置の積み降ろしには、チュービング装置と輸送車と大型クレーンとを同時に配置できる広いスペースが必要になる。
【0005】
そこで本発明は、荷台へのチュービング装置の積み降ろしを、狭い場所でも安全かつ容易に行うことができる構造を備えたチュービング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のチュービング装置は、輸送車の荷台に積載して運搬されるチュービング装置において、該チュービング装置の前部及び後部の荷台幅方向にそれぞれ設けられた前後左右4本の伸縮ビームと、各伸縮ビームの先端部にそれぞれ設けられた積み降ろし用ジャッキシリンダとを備え、前記伸縮ビームは、短縮時に前記積み降ろし用ジャッキシリンダを荷台幅内に収納し、伸長時に前記積み降ろし用ジャッキシリンダを荷台外方に突出させるストロークを有し、前記積み降ろし用ジャッキシリンダは、前記チュービング装置を地上面に接地させた下方位置と前記荷台より上昇させた上方位置とに昇降可能なストロークを有していることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明のチュービング装置は、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームとを備え、前記伸縮ビームを前記ドライブフレーム又は前記チャックフレームのいずれか一方に設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のチュービング装置によれば、大型クレーンでチュービング装置を高く吊り上げることなく、輸送車の荷台へのチュービング装置の積み降ろしを安全かつ容易に行うことができる。特に、チュービング装置と輸送車と大型クレーンとを同時に配置できない狭い現場でも、大型クレーンを待避させたりすることにより、チュービング装置の積み降ろしが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のチュービング装置の一形態例を示すものであって、積み降ろし用ジャッキシリンダにより上昇させたチュービング装置の下方に荷台を進入させた状態を示す側面図である。
図2】同じく平面図である。
図3】同じく正面図である。
図4】同じくチュービング装置を荷台に積載した状態を示す平面図である。
図5】同じく側面図である。
図6図5のVI−VI矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図6は、本発明のチュービング装置の一形態例を示している。チュービング装置11は、地上に据え付けられるベースフレーム12と、該ベースフレーム12の上方に昇降シリンダ13を介して昇降可能に設けられたドライブフレーム14と、該ドライブフレーム14の上方にチャックシリンダ15を介して昇降可能に設けられたチャックフレーム16とを備え、各フレーム12,14,16は、平面視長方形状にそれぞれ形成されており、短辺の最大寸法は、輸送制限の範囲内、例えば2.5m以下に設定されている。
【0011】
また、各フレーム12,14,16の中央部には、鉛直方向に貫通したケーシングチューブ挿通孔17がそれぞれ形成されている。さらに、ドライブフレーム14には、ケーシングチューブ挿通孔17に挿通したケーシングチューブ(図示せず)を回転させるための複数の油圧モータ18が設けられており、最上部のチャックフレーム16の周囲には、安全柵19や梯子20が設けられている。
【0012】
そして、チュービング装置11を輸送車21の荷台21aに積み降ろしするための手段として、ドライブフレーム14の前部及び後部の荷台幅方向にそれぞれ設けられた前後左右4本の伸縮ビーム22と、各伸縮ビーム22の先端部にそれぞれ設けられた鉛直方向の4本の積み降ろし用ジャッキシリンダ23と、該積み降ろし用ジャッキシリンダ23を伸縮作動させるためのバルブユニット(図示せず)を備えている。
【0013】
伸縮ビーム22は、ドライブフレーム14の前部及び後部に設けられた矩形断面の筒状の収納部14aに入れ子式に組み合わされて、荷台幅方向に伸縮動自在に構成されている。また、伸縮ビーム22は、短縮時に積み降ろし用ジャッキシリンダ23を荷台21aの幅内に収納し、伸長時に荷台21aの外方に突出させるストロークを有している。さらに、収納部14aの上面には、伸縮ビーム22を短縮位置又は伸長位置で固定する固定ピン24が設けられている。
【0014】
積み降ろし用ジャッキシリンダ23は、鉛直方向に起立した状態で、中間部を伸縮ビーム22の先端部に設けられたフランジ22aにボルト締結され、ロッド先端部には接地板25が設けられている。また、積み降ろし用ジャッキシリンダ23は、短縮時に接地板25をベースフレーム12の下面以上の高さに上昇させ、接地板25を接地させて伸長させたときにベースフレーム12を荷台21aの上方に上昇させるストロークを有している。さらに、積み降ろし用ジャッキシリンダ23の側面には、油圧ホース26を接続する油圧ホース接続部23aが設けられており、上端には、クレーンにより吊り上げるための吊り金具23bが設けられている。
【0015】
このような積み降ろし用ジャッキシリンダ23を備えたチュービング装置11を荷台21a上に積載する手順を説明する。まず、チュービング装置11は、クレーンを使用して所定の積載位置に所定の方向を向くように配置し、その後、クレーンを輸送車21の走行に差し障りのない位置に待避させる。
【0016】
次に、固定ピン24を抜き取り、伸縮ビーム22の固定を解除した後、積み降ろし用ジャッキシリンダ23を収納位置から外方に引き出す。続いて、固定ピン24を再度挿入して伸縮ビーム22を伸長状態で固定する。残り全ての積み降ろし用ジャッキシリンダ23についても同様に引き出して固定する。
【0017】
チュービング装置11を上昇させるときは、チュービング装置11に付帯する油圧ユニット(図示せず)とチュービング装置11とを油圧ホースで接続する。油圧ユニットから供給された作動油は、バルブユニットで分配されて油圧ホース26により各積み降ろし用ジャッキシリンダ23に供給される。このように構成することで、4本の積み降ろし用ジャッキシリンダ23をバランスよく伸長させることができる。
【0018】
接地板25を装着した積み降ろし用ジャッキシリンダ23をそれぞれ伸長させ、チュービング装置11を荷台21aより上方に上昇させた後、輸送車21をバックさせてトレーラの荷台21aを左右の積み降ろし用ジャッキシリンダ23の間に進入させる。チュービング装置11を積載する位置に荷台21aを進入させたら、積み降ろし用ジャッキシリンダ23を短縮させ、チュービング装置11を荷台21aの上に載置する。
【0019】
チュービング装置11が荷台幅内に収容されていることを確認した後、接地板25を分離して、固定ピン24を抜き取り、積み降ろし用ジャッキシリンダ23を収納位置に押し込む。続いて、固定ピン24を再度挿入して伸縮ビーム22を短縮状態で固定する。残り全ての積み降ろし用ジャッキシリンダ23についても同様に収納して固定する。
【0020】
最後に、チュービング装置11と油圧ユニットとを接続している油圧ホースを取り外すことで、輸送車21でチュービング装置11を輸送可能な状態にすることができる。また、この手順を逆に行うことにより、荷台21aからチュービング装置11を地上に降ろすことができる。なお、チュービング装置11の積み降ろし位置への移動や、作業現場内での移動は、従来と同様に、クレーンを用いて行えばよい。
【0021】
このように、大型のクレーンを使用せずに、チュービング装置11に付帯する油圧ユニットを用いてチュービング装置11を昇降させることで、チュービング装置11を荷台21aの上に積載することができ、大型のクレーンでチュービング装置11を吊り上げる場合に比べて安全かつ容易に積載作業を行うことができる。特に、チュービング装置11と、輸送車21と、大型のクレーンとを同時に配置できないような狭い現場でも、クレーンを適宜に待避させることによってチュービング装置11の積み降ろしを行うことができ、狭い現場でも比較的大型のチュービング装置11が使用可能となる。
【0022】
なお、積み降ろし用ジャッキシリンダ23を収納したときの幅寸法は、通常の最大幅である2500mm以下に設定すればよく、幅広車体の荷台上にチュービング装置11を積載する場合には、積み降ろし用ジャッキシリンダ23とフランジ22aとの間に、荷台幅の差に応じた寸法のスペーサを取り付けて対応することもできる。また、チュービング装置11の昇降を安定して行えるように、接地板25を幅広のものに交換することもできる。この場合、図4乃至図6に示すように、輸送中は、接地板をロッド先端部から取り外しておけばよい。
【0023】
また、伸縮ビーム22をドライブフレーム14又はチャックフレーム16のいずれか一方に設けているので、ベースフレーム12に取り付ける施工治具、例えば、回転反力を受けるためのブラケット等の装着を妨げることはない。さらに、施工中に積み降ろし用ジャッキシリンダ23の推力を利用してケーシングチューブの引き抜き操作を補助することもできる。
【0024】
本形態例では、積み降ろし用ジャッキシリンダ23を手動で引き出す例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、油圧シリンダで伸縮ビーム22を伸縮作動させる構造とすれば、複数の積み降ろし用ジャッキシリンダ23を同時に引き出せるので、さらに安全かつ容易に積載作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0025】
11…チュービング装置、12…ベースフレーム、13…昇降シリンダ、14…ドライブフレーム、14a…収納部、15…チャックシリンダ、16…チャックフレーム、17…ケーシングチューブ挿通孔、18…油圧モータ、19…安全柵、20…梯子、21…輸送車、21a…荷台、22…伸縮ビーム、22a…フランジ、23…積み降ろし用ジャッキシリンダ、23a…油圧ホース接続部、23b…吊り金具、24…固定ピン、25…接地板、26…油圧ホース
図1
図2
図3
図4
図5
図6