【解決手段】内燃機関1の排気通路3から吸気通路2に戻されるEGRガスを冷却する熱交換部21と、熱交換部21の排気口と吸気通路2とを連通する流出管23と、を有し、流出管23の内部に、EGRガスを旋回させる旋回流発生リボン30が配置され、且つ、排気口26c及び排水口25cが形成されている。さらに、螺旋状にねじられた板部材によって形成された旋回流発生リボン30の終端部31に、径方向外側の終端の一方に設定された第1終端点31aと、径方向外側の終端の他方に設定された第2終端点31bと、軸線O上であって第1,第2終端点31a,31bよりも熱交換部21に近い位置に設定された中心終端点31cと、を結んだ第1,第2端縁32aを設ける構成とした。
内燃機関の排気通路から吸気通路に戻されるEGRガスと冷媒との間で熱交換を行う熱交換部と、前記排気通路と前記熱交換部の吸気口とを連通する流入管と、前記吸気通路と前記熱交換部の排気口とを連通する流出管と、を備え、
前記流出管は、内周面に沿って前記EGRガスを旋回させる旋回流発生リボンが内部に配置され、且つ、前記旋回流発生リボンの下流側に排気口及び排水口が形成され、
前記旋回流発生リボンは、螺旋状にねじられた板部材によって形成され、前記排気口に向いた終端部に、前記旋回流発生リボンの径方向外側の終端の一方に設定された第1終端点と、前記旋回流発生リボンの径方向外側の終端の他方に設定された第2終端点と、前記旋回流発生リボンの軸線上であって、前記第1終端点及び前記第2終端点よりも前記熱交換部に近い位置に設定された中心終端点と、を有すると共に、前記第1終端点と前記中心終端点とを結んだ第1端縁と、前記第2終端点と前記中心終端点とを結んだ第2端縁と、が形成されている
ことを特徴とするEGRクーラ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のEGRクーラを実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1におけるEGRクーラの構成を、「適用例のシステム全体構成」、「EGRクーラの詳細構成」、「旋回流発生リボンの詳細構成」に分けて説明する。
【0011】
[適用例のシステム全体構成]
図1は、実施例1のEGRクーラを適用した内燃機関の排気還流システムを示す全体システム図である。以下、
図1に基づき、実施例1の適用例のシステム全体構成を説明する。
【0012】
実施例1のEGRクーラ20は、
図1に示す内燃機関1の排気還流システムSに適用している。ここで、
図1に示した内燃機関1は、走行用駆動源として車両に搭載されるディーゼルエンジンであり、4つの気筒(不図示)を有している。各気筒には、それぞれ吸気通路2と排気通路3が接続されている。
【0013】
吸気通路2は、端部に吸気口2aが形成され、この吸気口2a側から順に、吸気濾過用のエアクリーナー4、ターボ過給機5のコンプレッサ5a、吸気を冷却するインタークーラ6、吸入空気量を調整するためのスロットル弁7が設けられている。排気通路3には、内燃機関1側から順に、ターボ過給機5のタービン5b、排気を浄化するための排気浄化触媒8、排気流量を調整するための排気絞り弁9が設けられている。なお、排気絞り弁9の下流側にはマフラー10が設けられ、その先に排気口3aが形成されている。
【0014】
吸気通路2と排気通路3とは、低圧EGR通路11及び高圧EGR通路12によって接続されている。ここで、「EGR(Exhaust Gas Recirculation)」とは、内燃機関1において燃焼後の排気の一部を取り出して再度吸気させる技術であり、排気再循環ともいう。
【0015】
低圧EGR通路11は、コンプレッサ5aより上流の吸気通路2と排気浄化触媒8より下流の排気通路3とを接続している。一方、高圧EGR通路12は、コンプレッサ5aより下流の吸気通路2とタービン5bより上流の排気通路3とを接続している。
これにより、低圧EGR通路11では、タービン5bを通過した排気ガスを、コンプレッサ5aの吸気に戻す。また、高圧EGR通路12では、タービン5bに吸い込まれる前の排気ガスを、コンプレッサ5aを通過したエアに戻す。
【0016】
そして、低圧EGR通路11の途中位置には、吸気通路2に導かれる排気ガスを冷却するためのEGRクーラ20が設けられると共に、このEGRクーラ20の下流位置に、低圧EGR通路11を介して吸気通路2に還流される排気ガス(EGRガス)の流量を調整するための低圧EGR弁14が設けられている。高圧EGR通路12の途中位置には、高圧EGR通路12を介して吸気通路2に還流される排気ガスの流量を調整するための高圧EGR弁15が設けられている。
【0017】
[EGRクーラの詳細構成]
図2は、実施例1のEGRクーラを示す断面図である。以下、
図2に基づいて、実施例1のEGRクーラ20の詳細構成を説明する。
【0018】
実施例1のEGRクーラ20は、上述のように、低圧EGR通路11の途中位置に設けられている。ここで、低圧EGR通路11を構成するEGRパイプは、EGRクーラ20を配置する位置が分割されており、EGRクーラ20は、
図2に示すように、上流側のEGRパイプ11aと、下流側のEGRパイプ11bとの間に介装されている。そして、このEGRクーラ20は、熱交換部21と、流入管22と、流出管23と、を備えている。
【0019】
熱交換部21は、
図2に示すように、シェル21aと、一対のコアプレート21b,21cと、多数のチューブ21dと、を有している。
シェル21aは、両端が開放した円筒状の中空管であり、このシェル21aの端面を閉塞するように一対のコアプレート21b,21cが取り付けられている。そして、各コアプレート21b,21cには、多数のチューブ21dの両端が貫通状態で固定されており、これらの多数のチューブ21dは、シェル21aの内部を軸方向に延びている。なお、各チューブ21dは、両端が開放した中空管であり、他のチューブ21dとの間に隙間を開けた状態で配置されている。
さらに、このシェル21aの周面には、冷媒導入パイプ24aが接続された冷媒入口21eと、冷媒導出パイプ24bが接続された冷媒出口21fとが形成されている。なお、冷媒導入パイプ24a及び冷媒導出パイプ24bは、例えばエンジン冷却水(LLC:Long Life Coolant)である冷媒が流れるパイプである。また、このシェル21aの内径寸法は、低圧EGR通路11の内径寸法よりも大きくなっている。
【0020】
流入管22は、両端が開放した中空管であり、一端22aが上流側のEGRパイプ11aに接続されている。また、この流入管22の他端22bは、一方のコアプレート21bの外側端面を覆う椀形状に形成され、シェル21aのEGRガスの流入側の端部、すなわち熱交換部21の吸気口に接続されている。
これにより、流入管22は、排気通路3と熱交換部21の吸気口とを連通している。
【0021】
流出管23は、両端が開放した中空間であり、インレットパイプ25と、インナーパイプ26と、排水パイプ27と、を有している。
【0022】
インレットパイプ25は、両端が開放した中空管であり、一端25aが、他方のコアプレート21cの外側端面を覆う椀形状に形成され、シェル21aのEGRガスの流出側の端部、すなわち熱交換部21の排気口に接続されている。また、このインレットパイプ25の他端25bには、インナーパイプ26の一端26aが差し込まれている。さらに、このインレットパイプ25の他端25bの周面には、半径方向に開放した排水口25cが形成されている。
そして、インレットパイプ25の内部には、EGRガスの流れを内周面25dに沿って旋回させる旋回流発生リボン30が配置されている。また、インレットパイプ25の内周面25dには、テーパ面25eが形成されている。
なお、EGRガスに含まれる液体は、このEGRガスが旋回する際に生じる遠心力(旋回力)が作用することで排水口25cへと流れ込むことが可能である。そのため、排水口25cの開放方向は、重力方向の下方に限らず、任意の方向に開放させてよい。
【0023】
テーパ面25eは、インレットパイプ25の内径寸法を、EGRガスの流れ方向の下流側に向かって徐々に大きくする傾斜面であり、旋回流発生リボン30よりもEGRガスの流れ方向の下流側の位置に形成されている。これにより、インレットパイプ25の内径寸法は、テーパ面25eよりもEGRガスの流れ方向の上流側である第1領域25αが最も小さく、テーパ面25eが形成された第2領域25βにて徐々に大きくなり、テーパ面25eよりもEGRガスの流れ方向の下流側である第3領域25γが最も大きくなる。そして、第1領域25αに旋回流発生リボン30が配置され、第3領域25γに排水口25cが形成されている。
なお、旋回流発生リボン30が配置された第1領域25αの内径寸法は、熱交換部21の内径寸法よりも小さくなるように設定されている。
【0024】
インナーパイプ26は、インレットパイプ25の第3領域25γの最小内径寸法よりも小さい外径寸法を有する両端が開放した直管部材によって形成され、インレットパイプ25の他端25bに一端26aが差し込まれ、インレットパイプ25と同軸状態に設置される。この一端26aには、インナーパイプ26の軸線方向に開放した排気口26cが形成されている。また、このインナーパイプ26の他端26bは、下流側のEGRパイプ11bの先端に接続されている。
これにより、流出管23は、インレットパイプ25及びインナーパイプ26を介して、熱交換部21の排気口と吸気通路2とを連通している。
【0025】
そして、インレットパイプ25の他端25bには、このインレットパイプ25の内周面25dとインナーパイプ26との間に生じる間隙S1を封鎖するスペーサー28が嵌合されている。スペーサー28は、インナーパイプ26の全周を取り囲む円筒形状を呈しており、外周面がインレットパイプ25の内周面25dに気密状態で接触し、内周面がインナーパイプ26の外周面に気密状態で接触している。
さらに、このスペーサー28は、インレットパイプ25の内側に位置する端部の軸方向位置が、排水口25cの周縁部のうちの最も下流側の部分の軸方向位置と一致している。つまり、スペーサー28は、排水口25cの開口領域に重複しないものの、排水口25cの開口領域と軸方向に隙間を開けることなく設置されている。
【0026】
排水パイプ27は、第1管部材27aの軸方向中央部に第2管部材27bが直交するように接続した、いわゆるT字管によって形成され、第1管部材27aをインレットパイプ25が貫通している。また、第1管部材27aと第2管部材27bとの接続部分に形成された接続開口27cが排水口25cと対向し、この排水口25c及び接続開口27cを介して、インレットパイプ25と排水パイプ27の第2管部材27bとが連通している。つまり、後述するように、インレットパイプ25の内部においてEGRガスから分離した液体は、排水口25cから接続開口27cを介して第2管部材27bに流入する。
ここで、インレットパイプ25に形成された排水口25cの内径寸法は、排水パイプ27の接続開口27cの内径寸法と同等に設定されている。そして、第2管部材27bは、インレットパイプ25の軸方向に対して重力方向の下方に向かって延在され、先端部27dに先端開口27eが形成されている。ここで、「重力方向」とは、
図2における下方向であり、重力が作用する方向である。
なお、第1管部材27a及び第2管部材27bは、いずれも円管に限らず、角管(角パイプ)等であってもよい。また、
図2に示す第2管部材27bは、途中位置が先端部27dに向かって次第に細くなり、先端開口27eの開口面積が接続開口27cの開口面積よりも小さくなっている。しかしながら、先端開口27eと接続開口27cとは、同等の大きさであってもよく、任意に設定することができる。
【0027】
第2管部材27bの先端部27dには、
図2に示すように、貯水タンク29の重力方向の上部に形成された接続口29aが接続されている。ここで、貯水タンク29は、第2管部材27bの重力方向下方に設置されたタンクであり、第2管部材27bを流れ落ちた液体を貯留する。
なお、この貯水タンク29の重力方向の下部には、適宜開閉可能な排水開口(図示せず)が形成されている。貯水タンク29に貯留された液体が一定量に達したら、排水開口を介して貯留した液体をタンク外へ放出することができる。
【0028】
さらに、この実施例1では、インナーパイプ26のインレットパイプ25から突出した位置の側面に、通気口26dが形成されている。この通気口26dは、バイパスパイプ29bの一方の端部29cが接続する開口であり、インナーパイプ26の半径方向であって重力方向の下方に開放している。また、貯水タンク29の上部の側面には、通気口29eが形成されている。この通気口29eは、バイパスパイプ29bの他方の端部29dが接続する開口である。
ここで、バイパスパイプ29bは両端が開放した管部材であり、両端部29c,29dが、通気口26dと通気口29eにそれぞれ接続されることで、貯水タンク29の上部の空間が、インナーパイプ26の内部に連通する。
なお、
図2では、インナーパイプ26に形成された通気口26dが重力方向の下方に開放しているが、この通気口26dは、バイパスパイプ29bを介して貯水タンク29を負圧にするための開口であるため、重力方向の下方以外の方向に開放してもよい。
【0029】
[旋回流発生リボンの詳細構成]
図3は、実施例1の旋回流発生リボンを示す斜視図であり、
図4は旋回流発生リボンの側面図である。また、
図5は、
図3におけるA−A断面図である。以下、
図3〜
図5に基づき、実施例1の旋回流発生リボンの詳細構成を説明する。
【0030】
旋回流発生リボン30は、螺旋状にねじられた帯状の板部材により形成されており、インレットパイプ25の第1領域25α内に配置されている。この旋回流発生リボン30は、径方向寸法R(
図4参照)が第1領域25αの内径寸法と同等に設定されており、インレットパイプ25と同軸状態に設置されると共に、周縁がインレットパイプ25の内周面25dに接触している。
【0031】
この旋回流発生リボン30は、EGRガスの流出側の終端部31に、第1終端点31aと、第2終端点31bと、中心終端点31cと、を有すると共に、第1端縁32aと、第2端縁32bと、が形成されている。
第1終端点31aは、旋回流発生リボン30の径方向外側の終端の一方に設定されている。第2終端点31bは、旋回流発生リボン30の径方向外側の終端の他方に設定されている。ここで、第1終端点31aの軸方向位置と、第2終端点31bの軸方向位置とは一致しており、第1終端点31aと第2終端点31bを結んだ終端線Lは、旋回流発生リボン30の軸線Oと直交する。
そして、中心終端点31cは、旋回流発生リボン30の軸線O上であって、第1終端点31a及び第2終端点31bよりもEGRガスの流入側、つまり熱交換部21に近い位置に設定されている。
【0032】
第1端縁32aは、旋回流発生リボン30の終端縁のうち、第1終端点31aと中心終端点31cとを結んだ端縁である。また、第2端縁32bは、旋回流発生リボン30の終端縁のうち、第2終端点31bと中心終端点31cとを結んだ端縁である。つまり、旋回流発生リボン30の終端部31には、第1端縁32aと第2端縁32bと終端線Lにて囲まれたV字状の空間領域が設けられている。
【0033】
また、この旋回流発生リボン30は、第1端縁32a及び第2端縁32bのそれぞれに、EGRガスの流入側に折り返された折り返し構造33が形成されている。
折り返し構造33は、
図5に示すように、第1端縁32a及び第2端縁32bの先端を旋回流発生リボン30の一方の螺旋面30a側に折り返した第1折返片33aと、第1端縁32a及び第2端縁32bの先端を反対側の螺旋面30b側に折り返した第2折返片33bと、を有している。
この折り返し構造33は、中心終端点31cから第1終端点31aの手前までの間と、中心終端点31cから第2終端点31bの手前までの間に形成されている。これにより、折り返し構造33の径方向両端部と、インレットパイプ25の内周面25dとの間には隙間S2が生じている(
図2参照)。
【0034】
さらに、この旋回流発生リボン30は、第1領域25αに配置されているものの、終端部31の少なくとも第1終端点31a及び第2終端点31bは、内周面25dにテーパ面25eが形成された領域、すなわち第2領域25βに挿入されている。
【0035】
なお、旋回流発生リボン30のEGRガスの流入側の始端部34は、第1始端点34a、第2始端点34b、中心始端点34cと、を有している。
第1始端点34aは、旋回流発生リボン30の径方向外側の始端の一方に設定されている。第2始端点34bは、旋回流発生リボン30の径方向外側の始端の他方に設定されている。中心始端点34cは、旋回流発生リボン30の軸線O上であって、第1始端点34a及び第2始端点34bと軸方向位置が一致している。すなわち、中心始端点34cは、第1始端点34aと第2始端点34bを結んだ始端線と軸線Oとの交点上に設定され、第1,第2始端点34a,34b及び中心始端点34cは、旋回流発生リボン30の半径方向に沿って並んでいる。さらに、この旋回流発生リボン30の始端部34は、重力方向に沿って立設している。
【0036】
次に、実施例1のEGRクーラにおける作用を、「EGRガスの冷却作用」と、「気液分離及び液体再飛散防止作用」と、「装置のコンパクト化作用」に分けて説明する。
【0037】
[EGRガスの冷却作用]
図6は、実施例1のEGRクーラにおける気液二相流体及び分離した気体・液体の流れを示す説明図である。以下、
図6に基づき、実施例1のEGRクーラ20におけるEGRガスの冷却作用を説明する。
【0038】
図1に示す排気還流システムSでは、低圧EGR通路11を介して内燃機関1から排出された排気ガスの一部を排気通路3から還流させ、吸気口2aから吸い込んだ外気に合流させてターボ過給機5のコンプレッサ5aに供給する。このとき、高温のEGRガスを還流すると内燃機関1におけるEGRガスの充填効率が低下するため、NOx排出量の低減が難しい。そのため、EGRガスと外気とを合流させる前に、エンジン冷却水等の冷媒とEGRガスとの間で熱交換を行い、還流するEGRガスを冷却する必要がある。
【0039】
これに対し、実施例1のEGRクーラ20では、
図6に示すように、排気通路3を流れる排気ガスの一部が低圧EGR通路11に流れると、この排気ガスの一部であるEGRガスは、上流側のEGRパイプ11aからEGRクーラ20の流入管22へと流れ込む。この流入管22は、他端22bが熱交換部21のシェル21aのEGRガスの流入側の端部に接続されているが、このシェル21aのEGRガスの流入側の端部は、一方のコアプレート21bで閉塞されていると共に、この一方のコアプレート21bを多数のチューブ21dが貫通している。そして、この多数のチューブ21dは、シェル21aの内部を軸方向に延びて、シェル21aのEGRガスの流出側の端部を閉塞する他方のコアプレート21cを貫通している。
そのため、流入管22へと流れたEGRガスは、多数のチューブ21dの中を通ることでシェル21a内を通過し、このシェル21aのEGRガスの流出側の端部から流出管23のインレットパイプ25へと排出される。
【0040】
一方、シェル21aには、冷媒導入パイプ24aが接続された冷媒入口21eと、冷媒導出パイプ24bが接続された冷媒出口21fとが形成されている。そのため、冷媒導入パイプ24aを流れる冷媒が、冷媒入口21eからシェル21a内に流れ込み、このシェル21aの内部を流れて、冷媒出口21fを介して冷媒導出パイプ24bへと流れ出る。
【0041】
このように、多数のチューブ21d内をEGRガスが流れる一方、このチューブ21dを内蔵したシェル21aの内部を冷媒が流れるので、EGRガスは、多数のチューブ21dを通る間にこのチューブ21dの外側を流れる冷媒との熱交換によって冷却される。これにより、内燃機関1でのEGRガスの充填効率の低下を防止し、空気比率を低減することができる。また、内燃機関1における燃焼温度を低下させることができる。この結果、NOx排出量の低減を図ることができる。
【0042】
[気液分離及び液体再飛散防止作用]
以下、
図6に基づき、実施例1のEGRクーラ20における気液分離及び液体再飛散防止作用を説明する。
【0043】
上述のように、熱交換部21にて高温のEGRガスを冷却する。しかしながら、EGRガスを冷却すると、このEGRガスに含まれていた水分が凝縮水として液体になり、吸気通路2へと還流するEGRガスは、気体と液体とが混ざり合った気液二相流体になる。特に、熱交換部21における熱交換効率が高く、冷却性能が良い場合では、凝縮水の発生が多くなる。
そして、この気液二相流体に含まれている液体がある程度の大きさの液滴となった状態で下流へと流れていくと、ターボ過給機5のコンプレッサ5aの回転翼に衝突し、衝撃を与えることがある。
これに対し、実施例1のEGRクーラ20は、気液二相流体の状態になったEGRガスが流れる流出管23のインレットパイプ25の内部に旋回流発生リボン30が配置されている。
【0044】
そのため、
図6に示すように、インレットパイプ25に流入したEGRガスは、旋回流発生リボン30が設置された第1領域25αを通過する際、この旋回流発生リボン30に沿って流れることで旋回流となる。そして、この旋回流によって付与される遠心力により、EGRガスに含まれている質量の大きい液体は、インレットパイプ25の内周面25dに向かって誘導される。
【0045】
そして、インレットパイプ25の内周面25dへ向かって誘導された液体は、凝集して液滴となり、気体から分離して内周面25dに付着したまま、旋回流の流れによって第2領域25βから第3領域25γへと流れていく。そして、第3領域25γに流れ込んだ液体は、この第3領域25γに形成された排水口25cに流れ込み、自重によって排水パイプ27の接続開口27cを介して第2管部材27bを流れ落ちる。その後、先端開口27eから貯水タンク29内に流れて貯留される。
【0046】
なお、この実施例1では、インナーパイプ26と貯水タンク29とがバイパスパイプ29bを介して連通している。そのため、インナーパイプ26を流れる気流により、貯水タンク29の内部を負圧にすることができ、排水パイプ27を流下する液体の流れを円滑にすることができる。さらに、液体と共に貯水タンク29へと流れ込んだ気体を、このバイパスパイプ29b及びインナーパイプ26を介して低圧EGR通路11へと戻すことができる。
【0047】
また、インレットパイプ25を流れる気体は、軸方向に開放した排気口26cからインナーパイプ26に流れ込む。そして、この気体は、インナーパイプ26を介してターボ過給機5のコンプレッサ5aへと流れていく。
ここで、インナーパイプ26の外径寸法は、インレットパイプ25に差し込まれるためにインレットパイプ25の第3領域25γの内径寸法よりも小さくなっている。そのため、インレットパイプ25の内周面25dに付着した液体がインナーパイプ26内に入り込むことを防止できる。さらに、インレットパイプ25の他端25bには、インナーパイプ26との間に生じる間隙S1を封鎖するスペーサー28が嵌合されている。そのため、インレットパイプ25の他端25bから気体が漏れ出ることを防止し、気液二相流体から分離した気体を円滑にインナーパイプ26へと流入させることができる。
【0048】
一方、旋回流発生リボン30の螺旋面30a,30bは、EGRガスの流れ方向に対して角度を有している。そのため、EGRガスに含まれる液体がこの螺旋面30a,30bに衝突し、液滴となって螺旋面30a,30bに付着する。この旋回流発生リボン30の螺旋面30a,30bに付着した液滴状態の液体は、螺旋面30a,30bに付着したまま、旋回流の流れによって、EGRガスの流れ方向の下流側に押し流されつつ、旋回流発生リボン30の径方向外側に向かって流れていく。また、液滴状態の液体の一部は、螺旋面30a,30bに付着したまま旋回流発生リボン30の終端部31まで移動する。
【0049】
そして、螺旋面30a,30bに付着したまま旋回流発生リボン30の終端部31まで移動した液滴状態の液体は、第1端縁32a又は第2端縁32bに達したら、
図7に矢印で示すように、第1端縁32a又は第2端縁32bに沿って旋回流発生リボン30の径方向外側に向かって流れ、インレットパイプ25の内周面25dへ向かって誘導される。
【0050】
このとき、第1端縁32aは、旋回流発生リボン30の径方向外側に位置する第1終端点31aが、旋回流発生リボン30の軸線O上に位置する中心終端点31cよりも、EGRガスの流れ方向の下流側に位置している。また、第2端縁32bは、旋回流発生リボン30の径方向外側に位置する第2終端点31bが、旋回流発生リボン30の軸線O上に位置する中心終端点31cよりも、EGRガスの流れ方向の下流側に位置している。
これに対し、旋回流発生リボン30の螺旋面30a,30bに付着した液体は、旋回流によってEGRガスの流れ方向の下流側に押し流されつつ、旋回流発生リボン30の径方向外側に向かって流れる。
【0051】
そのため、第1,第2端縁32a,32bの延在方向が、旋回流発生リボン30に付着したまま旋回流で押し流される液体の流れ方向(移動方向)とほぼ一致することになる。これにより、旋回流発生リボン30の終端部31において、螺旋面30a,30bに付着した液体は、第1,第2端縁32a,32bに付着した状態を維持したまま、旋回流発生リボン30の径方向外側に向かって移動し、インレットパイプ25の内周面25dへと誘導される。
すなわち、旋回流発生リボン30の螺旋面30a,30bに付着して気体から分離し、そのまま終端部31へと移動したときに軸線O付近に付着している液体であっても、第1,第2端縁32a,32bに付着した状態でインレットパイプ25の内周面25dへと誘導することができる。これにより、気体から分離した液体が終端部31から気体中に再飛散してしまうことを防止することができる。そして、液体の分離性能を向上すると共に、液体の捕集率を向上することができる。なお、液体の分離にバッフルやフィルタ等を用いることがないので、気体の流れが阻害されず、通気抵抗の上昇を抑制することができる。
【0052】
しかも、この実施例1では、第1端縁32a及び第2端縁32bのいずれにも、EGRガスの流入側に折り返された折り返し構造33が形成されている。
そのため、螺旋面30a,30bに付着したまま第1端縁32a又は第2端縁32bにまで移動した液体は、この折り返し構造33により、螺旋面30a,30bから離れてEGRガスの流れ方向の下流側に飛散することが阻止される。つまり、液体は、第1端縁32aと第1折返片33aとの隙間、又は、第2端縁32bと第2折返片33bとの隙間に沿って、旋回流発生リボン30の径方向外側に向かって流れていく。
これにより、第1,第2端縁32a,32bから液体が離間することを防止しつつ、この液体をインレットパイプ25の内周面25dへと誘導することができ、EGRガスからの液体の分離性能をさらに向上することができる。
【0053】
さらに、この実施例1では、折り返し構造33が、旋回流発生リボン30の一方の螺旋面30a側に折り返された第1折返片33aと、反対側の螺旋面30b側に折り返された第2折返片33bと、を有している。
そのため、液体が旋回流発生リボン30の螺旋面30a,30bのどちらに付着していても、第1,第2端縁32a,32bから離間することを防止できる。
【0054】
また、この折り返し構造33は、中心終端点31cから第1終端点31aの手前までの間と、中心終端点31cから第2終端点31bの手前までの間に形成されており、折り返し構造33の径方向の両端部とインレットパイプ25の内周面25dとの間には隙間S2が生じている。
そのため、折り返し構造33によってEGRガスの流れ方向の下流側に向かうことが阻止された液体は、折り返し構造33の径方向の両端部において、隙間S2を介してEGRガスの流れ方向の下流側に向かって流れ出すことが可能になる。
これにより、第1端縁32aと第1折返片33aとの隙間や、第2端縁32bと第2折返片33bとの隙間に液体が溜まってしまうことを防止しつつ、インレットパイプ25の内周面25dに向けて液体を速やかに誘導することができる。
【0055】
そして、この実施例1では、インレットパイプ25の内周面25dに、EGRガスの流れ方向の下流側に向かって徐々に内径寸法を大きくするテーパ面25eが形成された第2領域25βを有しており、旋回流発生リボン30の終端部31の少なくとも第1終端点31a及び第2終端点31bが、テーパ面25eが形成された領域である第2領域25βに挿入されている。
そのため、第1,第2端縁32a,32bに沿って第1終端点31aや第2終端点31bまで流れた液体は、テーパ面25e上に流れ出ることになる。これにより、第1,第2端縁32a,32bに沿って内周面25dへと誘導された液体を、排水口25cに向けて円滑に排出することができ、液体の誘導・分離を促進することができる。
【0056】
[装置のコンパクト化作用]
以下、
図6に基づき、実施例1のEGRクーラ20における装置のコンパクト化作用を説明する。
【0057】
実施例1のEGRクーラ20は、
図2に示すように、EGRガスと冷媒との間で熱交換を行うことで、吸気通路2に還流されるEGRガスを冷却する熱交換部21を有する。また、このEGRクーラ20は、熱交換部21の排気口であるシェル21aのEGRガスの流出側の端部に接続された流出管23のインレットパイプ25の内部に旋回流発生リボン30を配置し、この旋回流発生リボン30の下流側の位置に、排水口25cが形成されると共に排気口26cが形成されたインナーパイプ26の一端26aが差し込まれている。
すなわち、実施例1のEGRクーラ20は、高温のEGRガスを冷却する熱交換機能と、冷却されて気液二相流体となったEGRガスから気体と液体を分離する気液分離機能とを備えている。
【0058】
そのため、EGRガスの冷却を行うEGRクーラ20の流出管23の内部において、気液二相流体となったEGRガスから液体を分離する気液分離を行うことが可能になる。これにより、EGRクーラに対して気液分離装置を独立して設ける際に必要となる配管を不要にすることができると共に、気液分離装置を設置するスペースを確保する必要がなくなり、装置の大型化を抑制してコンパクト化を図ることができる。
【0059】
さらに、このEGRクーラ20では、流出管23の内部でEGRガスから液体を分離することができるため、熱交換部21で冷却されて凝縮水となった液体を速やかに気体から分離させて捕集することができる。これにより、EGRガスから凝縮して生じた液体が再蒸気化することを防止して、EGRガスからの液体の除去率の向上を図ることができる。
【0060】
次に、効果を説明する。
実施例1のEGRクーラ20にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0061】
(1) 内燃機関1の排気通路3から吸気通路2に戻されるEGRガスと冷媒との間で熱交換を行う熱交換部21と、前記排気通路3と前記熱交換部21の吸気口(シェル21aのEGRガスの流入側の端部)とを連通する流入管22と、前記吸気通路2と前記熱交換部21の排気口(シェル21aのEGRガスの流出側の端部)とを連通する流出管23と、を備え、
前記流出管23は、内周面25dに沿って前記EGRガスを旋回させる旋回流発生リボン30が内部に配置され、且つ、前記旋回流発生リボン30の下流側に排気口26c及び排水口25cが形成され、
前記旋回流発生リボン30は、螺旋状にねじられた板部材によって形成され、前記排気口26cに向いた終端部31に、前記旋回流発生リボン30の径方向外側の終端の一方に設定された第1終端点31aと、前記旋回流発生リボン30の径方向外側の終端の他方に設定された第2終端点31bと、前記旋回流発生リボン30の軸線O上であって、前記第1終端点31a及び前記第2終端点31bよりも前記熱交換部21に近い位置に設定された中心終端点31cと、を有すると共に、前記第1終端点31aと前記中心終端点31cとを結んだ第1端縁32aと、前記第2終端点31bと前記中心終端点31cとを結んだ第2端縁32bと、が形成されている構成とした。
これにより、装置の大型化を抑制しつつ、EGRガスに含まれる液体の分離性能の向上を図ることができる。
【0062】
(2) 前記旋回流発生リボン30は、前記第1端縁32a及び前記第2端縁32bに、前記EGRガスの流入側に向けて折り返された折り返し構造33が形成されている構成とした。
これにより、上記(1)の効果に加え、第1,第2端縁32a,32bから液体を離れにくくすることができ、旋回流発生リボン30に付着した液体が気体中に再飛散することを防止できる。
【0063】
(3) 前記折り返し構造33は、前記中心終端点31cから前記第1終端点31aの手前までの間と、前記中心終端点31cから前記第2終端点31bの手前までの間に形成されている構成とした。
これにより、上記(2)の効果に加え、第1端縁32aと第1折返片33aとの隙間や、第2端縁32bと第2折返片33bとの隙間に液体が溜まってしまうことを防止しつつ、インレットパイプ25の内周面25dへと液体を適切に誘導することができる。
【0064】
(4) 前記流出管23の内周面25dには、前記EGRガスの流れ方向に沿って内径寸法が徐々に大きくなるテーパ面25eが形成され、
前記旋回流発生リボン30は、少なくとも前記第1終端点31a及び前記第2終端点31bが、前記テーパ面25eが形成された領域(第2領域25β)に挿入されている構成とした。
これにより、上記(1)〜(3)のいずれかの効果に加え、第1,第2端縁32a,32bに沿って内周面25dへと誘導された液体を、排水口25cに向けて円滑に排出することができ、液体の誘導・分離を促進することができる。
【0065】
(5) 前記流出管23は、前記旋回流発生リボン30が内部に配置されると共に、一端25aが前記熱交換部21の排気口(シェル21aのEGRガスの流出側の端部)に接続され、且つ、前記排水口25cが形成されたインレットパイプ25と、前記インレットパイプ25の他端25bに一端26aが差し込まれると共に、前記排気口26cが形成されたインナーパイプ26と、を備えた構成とした。
これにより、上記(1)〜(4)のいずれかの効果に加え、インレットパイプ25の内周面25dに付着した液体がインナーパイプ26内に入り込むことを防止でき、気体と液体との分離性能の向上を図ることができる。
【0066】
以上、本発明のEGRクーラを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
【0067】
実施例1では、旋回流発生リボン30の終端部31の第1端縁32a及び第2端縁32bに折り返し構造33を形成した例を示した。しかしながら、これに限らず、終端部31に折り返し構造を形成しなくてもよい。
この場合であっても、第1,第2端縁32a,32bの延在方向は、旋回流発生リボン30に付着したまま旋回流で押し流される液体の流れ方向とほぼ一致する。このため、旋回流発生リボン30の終端部31において、螺旋面30a,30bに付着させたままインレットパイプ25の内周面25dへ向かって液体を誘導することができる。
【0068】
さらに、この実施例1では、インレットパイプ25の内周面25dにテーパ面25eを形成し、このテーパ面25eが形成された第2領域25βに、少なくとも旋回流発生リボン30の第1,第2終端点31a,31bを挿入した例を示した。しかしながら、内周面25dにテーパ面を形成していないインレットパイプであってもよい。
この場合であっても、気液二相流体から分離した液体は、旋回流の流れによって排水口25cに流れ込むことができる。
【0069】
さらに、第1領域25α内に配置した旋回流発生リボン30の終端部31を、インレットパイプ25の第3領域25γに挿入するまで延長し、この終端部31をインナーパイプ26の排気口26cに近接させてもよい。
【0070】
また、テーパ面25eが形成された第2領域25βに旋回流発生リボン30の第1,第2終端点31a,31bを挿入すると共に、この旋回流発生リボン30の第1,第2端縁32a,32bに設けた折り返し構造33の径方向の両端部を、インレットパイプ25の内周面25dに沿って延長してもよい。つまり、折り返し構造33の径方向の両端部に、インレットパイプ25の第3領域25γ内に挿入される延長部を設けてもよい。この延長部は、第1,第2折返片33a,33bによって断面V字状に形成される。
このとき、延長部の先端がインナーパイプ26の排気口26cよりも下流位置に至るまで延長することで、折り返し構造33の第1折返片33aと第2折返片33bの間に流れ込んだ液体を、インナーパイプ26内に飛散させることなくインレットパイプ25の内周面25dへ誘導することができる。
また、折り返し構造33の延長部と、インレットパイプ25の内周面25dとの間に生じる隙間S2を維持することで、折り返し構造33に沿って流れる液体を内周面25dへ円滑に誘導することができる。
【0071】
また、この実施例1では、旋回流発生リボン30の始端部34が、重力方向に沿って立設している。しかしながら、例えば始端部34を重力方向に対して水平になるように旋回流発生リボン30を設置してもよい。
この場合では、インレットパイプ25の内部で内周面25dへと誘導した液体が、自重でパイプ下側に流れやすくすることができ、気体から分離した液体が再飛散することを効果的に防止することができる。
【0072】
さらに、この実施例1では、熱交換部21のシェル21aが円筒状の中空管である。しかしながら、これに限らず、シェル21aは、積層した扁平なチューブを内蔵する矩形状の中空管であってもよい。なお、この場合では、流入管22の他端22b及び流出管23のインレットパイプ25の一端25aは、シェル21aとの接合部分を矩形状にする。特に、インレットパイプ25では、旋回流発生リボン30が配置された第1領域25αから下流側は、EGRガスを旋回流とするために円筒状である必要がある。そのため、一端25aは、シェル21aに接合する部分を矩形状にする一方、断面積を次第に小さくしつつ円筒形状になるように形成する。
【0073】
また、実施例1では、排水パイプ27に貯水タンク29を接続し、気液二相流体となったEGRガスから分離した液体を貯留する例を示したが、排水パイプ27や貯水タンク29は、必ずしも設置しなくてもよい。インレットパイプ25内で分離し、排水口25cから排出した液体は貯留しなくてもよい。
【0074】
また、実施例1では、第1端縁32a及び第2端縁32bがいずれも直線状に形成され、旋回流発生リボン30の終端部31にV字状の空間領域が生じている例を示したが、これに限らない。第1終端点31a及び第2終端点31bに対し、中心終端点31cが気液二相流体の流入側に設定されていればよいので、第1,第2端縁32a,32bが湾曲し、旋回流発生リボン30の終端部31がU字状になっていてもよい。
【0075】
さらに、第1終端点31aの軸方向位置と、第2終端点31bの軸方向位置は、必ずしも一致していなくてもよく、いずれか一方が、他方よりも気液二相流体の流入側に設定されていてもよい。また、このときには、終端線Lが旋回流発生リボン30の軸線Oと直交しなくてもよい。そして、中心終端点31cは、第1終端点31a及び第2終端点31bよりも気液二相流体の流入側に設定されていればよいので、旋回流発生リボン30の軸線Oから径方向にずれた位置(軸線O付近の位置)に設定されていてもよい。
すなわち、旋回流発生リボン30の形状については、実施例1に示すものに限らない。旋回流発生リボン30の径方向外側の終端のそれぞれに設定された第1,第2終端点31a,31bと、それよりも気液二相流体の流入側に設定された中心終端点31cと、これらを結んだ端縁である第1,第2端縁32a,32bと、を有していれば、各終端点や始端点等の設定位置や各端縁の形状等は任意に設定することができる。
【0076】
そして、この実施例1では、重力方向に対してEGRガスの流れ方向が水平になるような、いわゆる横置き方向にEGRクーラ20を設置する例を示した。しかしながら、本発明のEGRクーラ20の設置方向はこれに限らず、排気還流システムS内でのレイアウト等の影響により、設置方向を適宜設定してもよい。
さらに、実施例1において、旋回流発生リボン30の始端部34を重力方向に沿って立設した例を示したが、この始端部34の立設方向についてもこれに限らず、EGRクーラ20のレイアウトに応じて適宜設定される。
【0077】
さらに、実施例1では、内燃機関1が車両に搭載されるディーゼルエンジンである例を示したが、これに限らず、内燃機関1はガソリンエンジンであっても、本発明のEGRクーラを適用することが可能である。
【0078】
また、各配管(インレットパイプ25等)や、熱交換部21のシェル21a等の形状、径の寸法、各部材の接続箇所等についても、実施例1に示すものに限らず、任意に設定することができる。