【解決手段】流体分注装置は、外底面を有するベース壁、および内周壁を含み、前記内周壁が周縁端面を有し、前記ベース壁から延伸してチャンバを定義する本体と;本体のチップ取り付け面に取り付けられ、チップ取り付け面が第1平面を定義する吐出チップと;チャンバの周縁端面と係合するダイアフラムと;本体に取り付けられた蓋とを含み、ダイアフラムが蓋と本体の間に挟まれ、本体および蓋が蓋と本体の接合点における裂け目を定義する。
前記外底面から前記吐出チップの中心までの距離Aと前記外底面から前記裂け目の位置における前記外壁の頂点までの距離Cの比率が、20%〜80%の範囲であり、前記距離Aが、前記距離Cより少ない
請求項1または2に記載の流体分注装置。
前記蓋が、前記ダイアフラムを覆い、前記蓋と前記ダイアフラムの間にドーム通気チャンバを形成し、前記本体および前記蓋のうちの少なくとも1つが、前記ドーム通気チャンバおよび前記流体分注装置の外側の大気と流体連通する少なくとも1つの通気口を有する
請求項1〜9のいずれか1項に記載の流体分注装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、図面を参照すると、より具体的には、
図1〜
図16は、流体分注装置を示したものであり、本例においては、本発明の1つの実施形態に係る微小流体分注装置110を示したものである。
【0023】
図1〜
図5を参照すると、微小流体分注装置110は、通常、筐体112と、テープ自動ボンディング(tape automated bonding, TAB)回路114とを含む。微小流体分注装置110は、流体含有粒子材料等の流体の供給を含むよう構成され、TAB回路114は、筐体112からの流体の吐出を容易にするよう構成される。流体は、例えば、化粧品、潤滑剤、ペンキ、インク等であってもよい。
【0024】
また、
図6および
図7を参照すると、TAB回路114は、吐出チップ118が機械的および電気的に接続されたフレックス(flex)回路116を含む。フレックス回路116は、インクジェットプリンタ等の電気ドライバ装置(図示せず)に電気接続を提供し、吐出チップ118を操作して筐体112内に収容された流体を吐出するよう構成される。本実施形態において、吐出チップ118は、通常、本分野において周知のノズルプレート層およびシリコン層として形成される平面範囲を有する板状構造として構成される。吐出チップ118のノズルプレート層は、流体吐出方向120−1が吐出チップ118の平面範囲に対して実質的に直交するよう配向された複数の吐出ノズル120を有する。吐出チップ118のシリコン層において、各吐出ノズル120と関連するものは、電気ヒーター(熱)または圧電(電気機械)装置等の吐出機構である。このような吐出チップ118およびドライバの操作は、インクジェット印刷等の微小流体吐出分野において周知である。
【0025】
ここで使用したように、実質的に直交する、および実質的に垂直なという用語は、それぞれ2つの素子間の角度関係が90度±10度であることを意味するものと定義される。実質的に平行なという用語は、2つの素子間の角度関係が0度±10度であることを意味するものと定義される。
【0026】
図6および
図7に最も良く示すように、筐体112は、本体122と、蓋124と、エンドキャップ(end cap)126と、注入栓128(例えば、ボール)とを含む。筐体112内には、ダイアフラム130、撹拌子132、およびガイド部134が収容される。筐体112の構成部品、撹拌子132、およびガイド部134のそれぞれは、成形工程を使用して、プラスチックで作られる。ダイアフラム130は、適切な成形工程を使用して、ゴムまたは熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer, TPE)等のエラストマー材料で作られる。また、本実施形態において、注入栓128は、ステンレス鋼ボールベアリング(ball bearing)の形状であってもよい。
【0027】
また、
図8および
図9を参照すると、一般的に、流体(図示せず)は、本体122内の充填孔(fill hole)122−1(
図6を参照)を介して密封領域、すなわち、本体122とダイアフラム130の間にある流体リザーバ136に運ばれる。流体リザーバ136内の背圧を設定した後、注入栓128を充填孔122−1に挿入する(例えば、押圧する)ことによって背圧を維持し、空気が流体リザーバ136に浸み込む、あるいは流体リザーバ136から漏れ出るのを防ぐ。その後、エンドキャップ126を吐出チップ118の反対側にある本体122/蓋124の結合の端部に配置する。撹拌子132は、流体を収容する本体122とダイアフラム130の間の密封された流体リザーバ136内に存在する。撹拌子132を回転させて流体リザーバ136内に内部流体流動を生成することによって、流体リザーバ136の密封領域内に流体混合および微粒子の再配分を提供することができる。
【0028】
また、
図10〜
図16を参照すると、筐体112の本体122は、ベース壁138、およびベース壁138と隣接する外周壁140を有する。外周壁140は、ベース壁138からベース壁138に対して実質的に直交する方向に延伸するよう配向される。蓋124は、外周壁140を係合するよう構成される。そのため、外周壁140は、ベース壁138と蓋124の間に挟まれ、蓋124は、溶接、接着、またはスナップフィット(snap fit)やネジユニオン(threaded union)等の他の締結機構により、外周壁140の開放自由端に取り付けられる。蓋124は、本体122内にダイアフラム130、撹拌子132、およびガイド部134を設置した後、本体122に取り付けられる。
【0029】
本体122の外周壁140は、外周壁140の隣接部分である外壁140−1を含む。外壁140−1は、平面142(
図11および
図12を参照)を定義するチップ取り付け面140−2を有し、且つ外壁140−1の厚さを通過するチップ取り付け面140−2に隣接する流体開口140−3を有する。吐出チップ118は、例えば、粘着シールストリップ144(
図6および
図7を参照)によりチップ取り付け面140−2に取り付けられ、外壁140−1の流体開口140−3(
図13を参照)と流体連通している。そのため、吐出チップ118の平面範囲は、平面142に沿って配向され、複数の吐出ノズル120は、流体吐出方向120−1が平面142に対して実質的に直交するよう配向される。ベース壁138は、外壁140−1の平面142に対して実質的に直交する平面146(
図11を参照)に沿って配向される。
図6、
図15、および
図16に最も良く示すように、ベース壁138は、撹拌子132の所望の位置の周辺に、円形凹部領域138−1を含んでもよい。
【0030】
図11〜
図16を参照すると、筐体112の本体122は、また、外周壁140により定義される境界内に設置されたチャンバ148を含む。チャンバ148は、流体リザーバ136の一部を形成し、内部空間を定義するよう構成され、具体的には、ベース壁138を含み、丸い角を有するよう構成された内周壁150を有するため、チャンバ148内の流体流動を促進する。チャンバ148の内周壁150は、近位端150−1および遠心端150−2により区切られた範囲を有する。近位端150−1は、ベース壁138と隣接し、且つベース壁138と推移径(transition radius)を形成することができる。このような刃半径(edge radius)は、鋭い角の数を減らすことによって、混合効力に役に立つ。遠心端150−2は、チャンバ148の側面開口148−1において周縁端面150−3を定義するよう構成される。周縁端面150−3は、図に示すように、単一の周縁リブ、あるいは複数の周縁リブまたはうねり(undulation)を含み、ダイアフラム130と係合するための有効な密封面を提供してもよい。チャンバ148の内周壁150の範囲は、ベース壁138に対して実質的に直交し、且つ外周壁140(
図6を参照)の対応する範囲に対して実質的に平行である。
【0031】
図15および
図16に最も良く示すように、チャンバ148は、流体吸入口152および流体排出口154を有し、それぞれ内周壁150の一部の中に形成される。「入口(inlet)」および「出口(outlet)」という用語は、本実施形態の複数のポート間の区別に使用する場合に便利な用語であり、撹拌子132の特定の回転方向と相互に関係がある。しかしながら、理解すべきこととして、特定のポートが吸入口として機能するか、排出口として機能するかを決定するのは、撹拌子132の回転方向であり、撹拌子132の回転方向を反転し、それゆえにチャンバ148内の各ポートの役割が逆になることは、本発明の範囲内である。
【0032】
流体吸入口152は、内周壁150の一部に沿って流体排出口154から少し離れる。
図15および
図16に最も良く示すように、合わせて考慮すると、筐体112の本体122は、チャンバ148の内周壁150の一部と吐出チップ118を運ぶ外周壁140の外壁140−1の間に挟まれた流路156を含む。
【0033】
流路156は、吐出チップ118の流域内の微粒子の沈殿を最小化するよう構成される。流路156は、例えば、経験的データを用いて、所望の流動率を提供し、同時に、流路156を流れる流体混合に対して許容範囲の流量速度(fluid velocity)を維持する大きさに形成される。
【0034】
本実施形態において、
図15を参照すると、流路156は、チャネル入口156−1およびチャネル出口156−2を有するU字型に延長した通路として構成される。流路156の大きさ、例えば、高さと幅、および形状は、流体流動と流量速度の所望の組み合わせを提供して、チャネル内撹拌を容易にするために選択される。
【0035】
流路156は、チャンバ148の流体排出口154と流体連通しているチャンバ148の流体吸入口152を接続し、且つチャンバ148の流体吸入口152および流体排出口154の両方と流体連通している外周壁140の外壁140−1の流体開口140−3も接続するよう構成される。具体的には、流路156のチャネル入口156−1は、チャンバ148の流体吸入口152に隣接して設置され、流路156のチャネル出口156−2は、チャンバ148の流体排出口154に隣接して設置される。本実施形態において、チャンバ148の流体吸入口152および流体排出口154の構造は、対称である。
【0036】
流路156は、チャネル入口156−1とチャネル出口156−2の間に配置された凸状弓形壁156−3を有し、流路156は、チャネル中心点158に関して対称である。同様に、流路156の凸状弓形壁156−3は、チャンバ148の内部空間から内周壁150の反対側にあるチャンバ148の流体吸入口152と流体排出口154の間に配置され、凸状弓形壁156−3は、外壁140−1の流体開口140−3および吐出チップ118に面するよう配置される。
【0037】
凸状弓形壁156−3は、吐出チップ118に対して実質的に平行な流路156を流れる流体流動を生成するよう構成される。本実施形態において、凸状弓形壁156−3の縦方向範囲(longitudinal extent)は、流体開口140−3に面し、且つ吐出チップ118に対して実質的に平行な半径を有し、チャネル入口156−1およびチャネル出口156−2にそれぞれ隣接して設置された推移径156−4、156−5を有する。凸状弓形壁156−3の半径および推移径156−4、156−5は、流体流動効率に役に立つ。凸状弓形壁156−3と吐出チップ118の間の距離は、チャネル中心点158において最も狭く、吐出チップ118の縦方向範囲の中心点と一致し、同様に、外壁140−1の流体開口140−3の縦方向範囲の中心点と一致する。
【0038】
チャンバ148の流体吸入口152および流体排出口154のそれぞれは、流体吸入口152および流体排出口154のそれぞれが流路156に向かう各方向に集まるよう構成された傾斜ランプ構造を有する。具体的に説明すると、チャンバ148の流体吸入口152は、流体吸入口152が流路156のチャネル入口156−1に向かう方向に集まる、すなわち細くなる傾斜入口ランプ152−1を有し、チャンバ148の流体排出口154は、流路156のチャネル出口156−2から離れる方向に広がる、すなわち広くなる傾斜出口ランプ154−1を有する。
【0039】
図6〜
図10を再度参照すると、ダイアフラム130は、蓋124とチャンバ148の内周壁150の周縁端面150−3の間に配置される。蓋124を本体122に取り付けてダイアフラム130の周辺を圧縮することにより、ダイアフラム130と本体122の間に連続シール(continuous seal)を形成する。さらに具体的に説明すると、ダイアフラム130は、流体リザーバ136を形成する際に、チャンバ148の内周壁150の周縁端面150−3とシール係合するよう構成される。そのため、チャンバ148とダイアフラム130を組み合わせて、可変容量を有する流体リザーバ136を定義する。
【0040】
特に、
図6、
図8、および
図9を参照すると、ダイアフラム130の外表面は、蓋124の中に設置された通気口124−1を介して大気に通気されるため、制御された負圧を流体リザーバ136内で維持することができる。ダイアフラム130は、ゴムで作られ、微小流体分注装置110から流体を使い果たした時にベース壁138に向かってしぼむよう構成されたドーム部130−1を含み、チャンバ148内で所望の負圧(すなわち、背圧)を維持するため、流体リザーバ136の可変容量の有効体積を変化させる。ここで、用語「しぼむ(collapse)」とは、つぶれる(buckle)、垂れ下がる(sag)、または撓む(deflect)ことにより中へ落ちることを意味する。
【0041】
図8および
図9を参照すると、さらなる説明の目的で、以下、流体リザーバ136の可変容量(ここでは、バルク領域とも称す)は、近位連続1/3容積部136−1、および中心連続1/3容積部136−2および遠位連続1/3容積部136−3から形成された連続2/3容積部136−4を有するとみなされ、中心連続1/3容積部136−2は、近位連続1/3容積部136−1を遠位連続1/3容積部136−3から分離する。近位連続1/3容積部136−1は、中心連続1/3容積部136−2および遠位連続1/3容積部136−3から形成された連続2/3容積部136−4よりも吐出チップ118の近くに設置される。
【0042】
図6〜
図9、および
図16を参照すると、撹拌子132は、流体リザーバ136の可変容積およびチャンバ148の中に存在し、チャンバ148の内周壁150によって定義される境界内に設置される。撹拌子132は、回転軸160、および回転軸160から離れる方向に放射状に延伸する複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4を有する。撹拌子132は、外部磁場発生装置164(
図1を参照)との相互作用により撹拌子132を駆動して回転軸160の周りを回転させるよう構成された磁石162(
図8を参照)、例えば、永久磁石を有する。撹拌子132の回転原理は、外部磁場発生装置164により生成された十分強い外部磁場に磁石162を並べてから、制御された方式で外部磁場発生装置164により生成された外部磁場を回転させて、撹拌子132を回転するという原理である。外部磁場発生装置164により生成された外部磁場は、ステッパモータ(stepper motor)の操作と同様に電気的に回転させてもよく、あるいは回転シャフトを介して回転させてもよい。そのため、撹拌子132は、回転軸160を回る撹拌子132の回転によって、流体リザーバ136に流体混合を提供する効力がある。
【0043】
バルク領域における流体混合は、撹拌子132の回転によって生じる流量速度に依存し、微粒子の沈殿した境界層において剪断応力(shear stress)を生成する。剪断応力が臨界剪断応力(経験的に決定される)よりも大きく、粒子移動を開始した時、沈殿した粒子が移動中の流体内に分配されるため、再混合が起こる。剪断応力は、粘度、粒子サイズ、および密度等の流体パラメータと、容器の形状、撹拌子132の幾何学的配置、移動中の表面と静止した表面の間の流体厚、および回転速度等の機械的設計要因の両方に依拠する。
【0044】
また、流体領域内で、例えば、吐出チップ118と関連する近位連続1/3容積部136−1および流路156内で、撹拌子132を回転させて流体流動を生成することによって、混合されたバルク流体が吐出チップ118に提供されてノズル吐出を行うことを確実にするとともに、吐出チップ118に隣接する流体を流体リザーバ136のバルク領域に移動させて、流路156を流れるチャネル流体が流体リザーバ136のバルク流体と混合することを確実にすることにより、より均一な混合をもたらす。この流動は、主に、天然分布であるが、流量速度が臨界値以上の剪断応力を生成するのに十分である場合は、多少の混合が生じる。
【0045】
撹拌子132は、主に、部分的トロイダル(toroidal)流れパターンのように中心リターンパス(return pass)を持ついくつかの軸流によって、撹拌子132の回転軸160と関連する中心領域を回る流体の旋回流を引き起こす。
【0046】
図16を参照すると、撹拌子132の複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4の各パドルは、各自由端頂点132−5を有する。回転抗力を減らすため、各パドルは、上下対称対の面取り面(chamfered surface)を含み、撹拌子132の回転方向160−1に対して先頭傾斜面132−6および後端傾斜面132−7を形成してもよい。撹拌子132の複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4のそれぞれが錠剤または円筒形状を有することも考慮される。本実施形態において、撹拌子132は、2対の正反対向きのパドルを有し、正反対向きのパドルのうちの第1パドルは、第1自由端頂点132−5を有し、正反対向きのパドルのうちの第2パドルは、第2自由端頂点132−5を有する。
【0047】
本実施形態において、2対の正反対向きのパドルを形成する4つのパドルは、回転軸160の周りを90度単位で均等に間隔をあける。しかしながら、撹拌子132のパドルの実際の数は、2つ、またはそれ以上であり、好ましくは、3つまたは4つであり、さらに好ましくは、4つであり、各隣接する対のパドルは、回転軸160の周りに同じ角度間隔を有する。例えば、3つのパドルを有する撹拌子132の形状は、120度のパドル間隔を有し、4つのパドルを有するものは、90度のパドル間隔を有する。
【0048】
本実施形態において、流体リザーバ136の可変容積は、上述した近位連続1/3容積部136−1と連続2/3容積部136−4に分割され、近位連続1/3容積部136−1は、連続2/3容積部136−4よりも吐出チップ118の近くに設置されるため、撹拌子132の回転軸160は、吐出チップ118に近い近位連続1/3容積部136−1の中に設置されてもよい。言い換えれば、ガイド部134は、流体開口140−3に最も近いチャンバ148の内部空間の容積の1/3を構成するチャンバ148の内部空間の一部に撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成される。
【0049】
図11を再度参照すると、撹拌子132の回転軸160は、流体吐出方向120−1に対して、±45度、垂直の角度範囲内に配向される。言い換えれば、撹拌子132の回転軸160は、吐出チップ118の平面範囲(例えば、平面142)に対して、±45度、平行の角度範囲内に配向される。組み合わせると、撹拌子132の回転軸160は、流体吐出方向120−1に対して、±45度、垂直の角度範囲と、吐出チップ118の平面範囲に対して、±45度、平行の角度範囲の両方に配向される。
【0050】
より好ましくは、回転軸160は、流体吐出方向120−1に対して実質的に垂直な配向性を有するため、撹拌子132の回転軸160は、吐出チップ118の平面142、すなわち、平面範囲に対して実質的に平行であり、且つベース壁138の平面146に対して実質的に垂直な配向性を有する。また、本実施形態において、撹拌子132の回転軸160は、回転軸160の周りの全ての配向においてベース壁138の平面146に対して実質的に垂直であり、且つ流体吐出方向120−1に対して実質的に垂直な配向性を有する。
【0051】
図6〜
図9、
図11および
図12を参照すると、撹拌子132の配向は、上述したように、ガイド部134により達成され、ガイド部134は、流体リザーバ136(
図8および
図9を参照)の可変容積内のチャンバ148内に設置され、より具体的には、チャンバ148の内周壁150によって定義される境界内に設置される。ガイド部134は、所定の配向でチャンバ148の内部空間の所定の部分に撹拌子132を閉じ込め、同時に、流路156のチャネル入口156−1に向かって撹拌子132から回転流体流動を分裂させて向け直すよう構成される。返流側において、ガイド部134は、流体リザーバ136のバルク領域にある流路156のチャネル出口156−2から受け取った旋回流を再結合するのに役立つ。
【0052】
例えば、ガイド部134は、吐出チップ118の平面範囲に対して、±45度、平行の角度範囲内で撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成される。より好ましくは、ガイド部134は、吐出チップ118の平面範囲に対して実質的に平行な撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成される。本実施形態において、ガイド部134は、撹拌子132の回転軸160の配向が吐出チップ118の平面範囲に対して実質的に平行に、且つ回転軸160を回る全ての配向においてベース壁138の平面146に対して実質的に垂直になるように配置および維持するよう構成される。
【0053】
ガイド部134は、環状部材166と、複数の位置決め特徴168−1、168−2と、オフセット部材170、172と、籠構造174とを含む。複数の位置決め特徴168−1、168−2は、オフセット部材170、172から環状部材166の反対側に配置され、且つダイアフラム130によって係合されるよう配置されるため、オフセット部材170、172をベース壁138と接触した状態に保つ。オフセット部材170、172は、流体リザーバ136内にガイド部134の軸位置(撹拌子132の回転軸160に対する)を維持する。オフセット部材172は、本体122を係合する保持特徴部172−1を含み、流体リザーバ136内のガイド部134の横方向へのずれを防ぐ。
【0054】
図6および
図7を再度参照すると、ガイド部134の環状部材166は、第1環状面166−1と、第2環状面166−2と、環状閉じ込め面166−4を定義する開口166−3とを含む。環状部材166の開口166−3は、中心軸176を有する。環状閉じ込め面166−4は、中心軸176に対して撹拌子132の半径方向運動を制限するよう構成される。第2環状面166−2は、第1環状面166−1の反対側にあり、第1環状面166−1は、環状閉じ込め面166−4によって第2環状面166−2から分離される。また、
図9を参照すると、環状部材166の第1環状面166−1は、流体入口152および流体出口154の上とこれらの間において、連続した天井としても機能する。複数のオフセット部材170、172は、環状部材166に結合され、さらに具体的に説明すると、複数のオフセット部材170、172は、環状部材166の第1環状面166−1に結合される。複数のオフセット部材170、172は、中心軸176に対して第1軸方向に向かって環状部材166から延伸するよう配置される。複数のオフセット部材170、172のそれぞれは、チャンバ148のベース壁138を係合するよう構成された自由端を有し、ベース壁138から環状部材166のアキシャルオフセット(axial offset)を確立する。オフセット部材172は、また、流路156の流量バイパスを防ぐ目的で配置および構成される。
【0055】
複数のオフセット部材170、172は、環状部材166に結合され、さらに具体的に説明すると、複数のオフセット部材170、172は、環状部材166の第2環状面166−2に結合される。複数のオフセット部材170、172は、中心軸176に対して第1軸方向とは反対の第2軸方向に向かって環状部材166から延伸するよう配置される。
【0056】
そのため、組み立てた時、複数の位置決め特徴168−1、168−2のそれぞれは、ダイアフラム130の周辺部を係合する自由端を有し、複数のオフセット部材170、172のそれぞれは、ベース壁138を係合する自由端を有する。
【0057】
ガイド部134の籠構造174は、複数のオフセット部材170、172の反対側にある環状部材166に結合され、さらに具体的に説明すると、籠構造174は、環状部材166の第2環状面166−2に結合された複数のオフセット脚部178を有する。籠構造174は、第1軸方向とは反対の第2軸方向に向かって環状部材166から複数のオフセット脚部178(3つを図示する)により軸方向に変位した軸拘束部180を有する。
図12に示すように、軸拘束部180は、環状部材166内の開口166−3の少なくとも一部の上に配置され、第2軸方向における中心軸176に対する撹拌子132の軸方向運動を制限する。籠構造174は、流体リザーバ136から流体を使い果たしてダイアフラムが変位した(つぶれた)時にダイアフラム130が撹拌子132に接触しないようにするためにも使用される。
【0058】
このように、本実施形態において、撹拌子132は、環状部材166の開口166−3および環状閉じ込め面166−4によって定義される領域内に、且つ籠構造174の軸拘束部180とチャンバ148のベース壁138の間に、遊動自在(free-floating)に閉じ込められる。撹拌子132が遊動自在な範囲は、径方向の環状閉じ込め面166−4と撹拌子132の間に提供される半径方向公差(radial tolerance)、およびベース壁138と軸拘束部180の組み合わせにより提供される撹拌子132と軸方向リミット(axial limit)の間の軸方向交差(axial tolerance)により決定される。例えば、ガイド部134により提供される半径方向および軸方向の交差が厳しいほど、ベース壁138に対する垂線からの撹拌子132の回転軸160の変動が少なく、且つ流体リザーバ136内の撹拌子132の左右の動きが少ない。
【0059】
本実施形態において、ガイド部134は、筐体112に着脱可能に取り付けられた一体インサート部材(unitary insert member)として構成される。ガイド部134は、第1保持特徴部172−1を含み、筐体112の本体122は、第2保持特徴部182を含む。第1保持特徴部172−1は、第2保持特徴部182と係合され、筐体112と固定の関係でガイド部134を筐体112の本体122に取り付ける。第1保持特徴部172−1/第2保持特徴部182はそれぞれ、例えば、タブ/スロット配置、あるいは、スロット/タブ配置の形式であってもよい。
【0060】
図7および
図15を参照すると、ガイド部134は、さらに、流動制御部184を含んでもよく、本実施形態では、オフセット172としても使用される。
図15を参照すると、流動制御部184は、分流特徴部184−1と、再結合流特徴部184−2と、凹型円弧状表面184−3とを含む。凹型円弧状表面184−3は、分流特徴部184−1および再結合流特徴部184−2のそれぞれと同一の範囲を持ち、且つこれらの間に延伸する。分流特徴部184−1および再結合流特徴部184−2のそれぞれは、角のある、すなわち、傾斜した壁によって定義される。分流特徴部184−1は、流体入口152に隣接して配置され、再結合流特徴部184−2は、流体出口154に隣接して配置される。
【0061】
チャンバ148の流体入口152に隣接して配置された分流特徴部184−1の傾斜壁は、チャンバ148の流体入口152の傾斜入口ランプ152−1と協働して、流路156のチャネル入口156−1に向かって流体を案内する。分流特徴部184−1は、流体の直接バイパスをチャネル出口156−2から出る流出口に入れる代わりに、旋回流をチャネル入口156−1に向かって導くよう構成される。また、
図9および
図14を参照すると、反対側に配置された傾斜入口ランプ152−1は、環状部材166の第1環状面166−1により提供される流体の天井である。分流特徴部184−1は、環状部材166の連続した天井およびチャンバ148の流体入口152の傾斜入口ランプ152−1によって提供される傾斜ランプ壁と結合して、流体流動を流路156のチャネル入口156−1に導くのに役立つ。
【0062】
同様に、
図9、
図14、および
図15を参照すると、チャンバ148の流体出口154に隣接して配置された結合流特徴部184−2の傾斜壁は、流体出口154の傾斜出口ランプ154−2と協働して、流路156チャネル出口156−2から流体を遠ざけるよう案内する。反対側に配置された傾斜出口ランプ154−1は、環状部材166の第1環状面166−1により提供される流体の天井である。
【0063】
本実施形態において、流動制御部184は、ガイド部134のオフセット部材172として形成された一体構造である。あるいは、流動制御部184の全てまたは一部を筐体112の本体122のチャンバ148の内周壁150に合体させてもよい。
【0064】
本実施形態において、
図15に最も良く示すように、撹拌子132が回転軸160の周りを回転した時、撹拌子132は、複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4が流動制御部184の凹型円弧状表面184−3に周期的に面するように向けられる。撹拌子132は、回転軸160から各パドルの自由端頂点132−5に向かう撹拌子半径を有する。撹拌子半径対自由端頂点132−5と流動制御部184の間の空間距離の比率は、5:2〜5:0.025であってもよい。さらに具体的に説明すると、ガイド部134は、チャンバ148の内部空間の所定の部分に撹拌子132を閉じ込めるよう構成される。本例において、各自由端頂点132−5が凹型円弧状表面184−3に面している時、複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4の各自由端頂点132−5と流動制御部184の凹型円弧状表面184−3の間の距離は、2.0ミリメートル〜0.1ミリメートルの範囲内であり、より好ましくは、1.0ミリメートル〜0.1ミリメートルの範囲内である。また、撹拌子132を吐出チップ118のできるだけ近くに配置して、流路156を流れる流動を最大限度にするのが好ましいこともわかっている。
【0065】
また、ガイド部134は、流体リザーバ136の一部に撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成されるため、撹拌子132の複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4のそれぞれの自由端頂点132−5は、吐出チップ118に比較的近い近位連続1/3容積部136−1に回転して進入し、退出する。言い換えると、ガイド部134は、内部空間の一部に撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成されるため、複数のパドル132−1、132−2、132−3、132−4のそれぞれの自由端頂点132−5は、流体入口152および流体出口154を含むチャンバ148の内部空間の近位連続1/3容積部136−1に回転して進入し、退出する。
【0066】
さらに具体的に説明すると、本実施形態において、撹拌子132は、4つのパドルを有し、ガイド部134は、内部空間の一部に撹拌子132の回転軸160を配置するよう構成されるため、2対の正反対向きのパドル132−1、132−3および132−2、132−4のそれぞれの第1および第2自由端頂点132−5は、流体入口152および流体出口154を含むチャンバ148の内部空間の近位連続1/3容積部136−1内に、および吐出チップ118から最も遠い内部空間の遠位連続1/3容積部136−3を有する連続2/3容積部136−4内に、交互にそれぞれ配置される。
【0067】
図6〜
図10を再度参照すると、ダイアフラム130は、蓋124とチャンバ148の内周壁150の周縁端面150−3の間に配置される。
図16および
図17も参照すると、ダイアフラム130は、流体リザーバ136を形成する際に、チャンバ148の内周壁150の周縁端面150−3とシール係合するよう構成される(
図8および
図9を参照)。
【0068】
図10および
図17を参照すると、ダイアフラム130は、ドーム部130−1および外周リム130−2を含む。ドーム部130−1は、ドーム撓み部130−3、ドーム側壁130−4、ドーム移行部130−5、ドーム頂部130−6、および4つのウェブ部を含み、4つのウェブ部は、それぞれ中央角部ウェブ130−7、中央角部ウェブ130−8、中央角部ウェブ130−9、および中央角部ウェブ130−10として識別される。ドーム撓み部130−3および4つのウェブ部130−7、130−8、130−9、130−10は、ドーム部130−1を外周リム130−2に接合する。
図10に示した向きにおいて、ドーム頂部130−6は、ドーム頂部130−6の最も右側の部分において、ダイアフラム130の成形中に生成される製造特徴であり、ダイアフラム130の操作に影響を与えない僅な円形凹部130−11を含む。
【0069】
以下、さらなる詳細について説明するが、本実施形態において、ダイアフラム130の外側から見ると、ダイアフラム130は、流体リザーバ136から流体を使い果たしてダイアフラム130がつぶれている間は、ドーム部130−1の変位がダイアフラム130のドーム頂部130−6と同形で凹状になるよう構成され、ドーム部130−1のつぶれる、すなわち、変位する方向は、流体吐出方向120−1に対して実質的に垂直であり(
図11を参照)、ベース壁138の平面146に対して実質的に垂直であり、且つチップ取り付け面140−2の平面142に対して実質的に平行である撓み軸188に沿っている。本実施形態において、撓み軸188の位置は、実質的に、ドーム部130−1の中心領域に対応する。言い換えると、流体リザーバ136から流体を使い果たしてダイアフラム130がつぶれている間は、ダイアフラム130のドーム部130−1のドーム頂部130−6の移動方向がベース壁138に向かって撓み軸188に沿っており、流体吐出方向120−1に対して実質的に垂直であり、ベース壁138の平面146に対して実質的に垂直であり、且つチップ取り付け面140−2の平面142に対して実質的に平行である。
【0070】
また、
図6〜
図10、および
図17に示すように、流体分注装置110は、流体リザーバ136を形成する際に、ダイアフラム130がチャンバ148の最も広い表面積に広がるように配向される構成となっている。そのため、流体リザーバ136で所望の背圧を維持するのに必要なダイアフラム130のドーム頂部130−6の移動量は、ダイアフラムが本体122の側壁の位置に取り付けられた場合に必要な量よりも少ないのが好ましい。
【0071】
図18および
図19は、ダイアフラム130の底部、すなわち、内部の図を示したものであり、内周位置決めリム131−2、ドーム撓み部130−3の内部、および内周位置決めリム131−2とドーム撓み部130−3の間に挟まれた中間内部凹み領域131−4が示されている。内周位置決めリム131−2は、本体122に相対してダイアフラム130を設置するのに役立つ。中間内部凹み領域131−4の基部は、連続した周縁密封面131−6を定義する。
図16〜
図19を参照すると、連続した周縁密封面131−6は、チャンバ148を取り囲む平面範囲を有し、平面範囲は、ベース壁138の平面146に対して実質的に平行であり、且つ平面142に対して実質的に垂直である(
図11を参照)。そのため、流体リザーバ136から流体を使い果たしてダイアフラム130がつぶれている間、ダイアフラム130のドーム頂部130−6の移動方向は、連続した周縁密封面131−6の平面範囲に対して実質的に垂直である。ドーム撓み部130−3は、ドーム側壁130−4と連続した周縁密封面131−6の間の波状移行を定義する。以下、さらなる詳細について説明する。
【0072】
本実施形態において、例えば、内周位置決めリム131−2、中間内部凹み領域131−4/連続した周縁密封面131−6、およびドーム撓み部130−3は、互いに相対して同心円状に配置される。本実施形態において、
図19を参照すると、連続した周縁密封面131−6の外周OP1の外周形状は、内周位置決めリム131−2の外周形状と一致する。
図17および
図19を参照すると、外周リム130−2の内周IP1の内周形状は、連続した周縁密封面131−6の内周形状に対応するが(
図19)、それぞれの湾曲した角部は、例えば、異なる半径を有することによって、異なる曲線形状を有するため、内周IP1は、ドーム撓み部130−3の外周OP2の外周形状と一致しない。そのため、
図17を参照すると、連続した周縁密封面131−6の内周の内周形状とドーム撓み部130−3の外周の外周形状の間の各湾曲した角部において、ダイアフラム130の中央角部ウェブ130−7、130−8、130−9、および130−10のうちのそれぞれが定義される。
【0073】
図16、および
図23〜
図26も参照すると、本体122は、下部流路122−2、内部凹面122−3、および外部リム122−4を含む段差配置を含む。外部リム122−4は、図示した向きにおいて、下方に延伸し、内部凹面122−3の外縁で垂直に終わる上部内側壁122−5を有する。流路122−2は、図示した向きにおいて、上方に延伸し、内部凹面122−3の内縁で垂直に終わる下部内側壁122−6を有する。そのため、上部内側壁122−5および下部内側壁122−6のそれぞれは、内部凹面122−3に対して実質的に垂直であり、上部内側壁122−5は、内部凹面122−3の幅により下部内側壁122−6から横方向にオフセットされ、上部内側壁122−5および下部内側壁122−6は、内部凹面122−3により垂直にオフセットされる。
【0074】
流路122−2は、さらに、内周壁150の外周面も形成し、且つ下部内側壁122−6から内部へ横方向に間隔を保つ内周側壁122−7を含むため、内周側壁122−7は、流路122−2の最も内側の側壁であり、下部内側壁122−6は、流路122−2の最も外側の側壁である。詳しく説明すると、下部内側壁122−6および内周側壁122−7を有する流路122−2は、本体122の周縁端面150−3の周囲で本体122の凹路を定義し、内周側壁122−7は、本体122の周縁端面150−3の外縁で垂直に終わる。
【0075】
図23〜
図26を参照すると、本体122の流路122−2は、ダイアフラム130の内周位置決めリム131−2を受け取って案内するサイズおよび形状にされ、内周位置決めリム131−2が内周側壁122−7に接触し、本体の流路122−2の下部内側壁122−6がダイアフラム130の外周リム130−2の周縁によって断続的に係合されることにより、ダイアフラム130を本体122と適切な位置に案内する。また、ダイアフラム130の連続した周縁密封面131−6を本体122の周縁端面150−3を係合するサイズおよび形状にすることにより、ダイアフラム130と本体122の閉鎖したシール係合を容易にする。そのため、ダイアフラム130が内周位置決めリム131−2および流路122−2によって本体122に対して適切に配置された時、ダイアフラム130の連続した周縁密封面131−6は、周縁端面150−3の全体の周囲で本体122の周縁端面150−3を係合するよう配置される。本実施形態において、周縁端面150−3は、単一の周縁リブ、あるいは図に示すように、複数の周縁リブまたはうねりを含み、ダイアフラム130の連続した周縁密封面131−6と係合するための有効な密封面を提供してもよい。
【0076】
図20および
図21は、ダイアフラム130のドーム部130−1の完全な(つぶれていない)高さを収容するよう構成された凹部領域124−3を定義する凹状の内部天井124−2を有する蓋124の内部、または下側を示したものである。
図23〜
図26も参照すると、蓋124は、さらに、内部位置決めリップ190、ダイアフラム押圧面192、および外部位置決めリップ194を含み、
図20および
図21に最も良く示すように、これらのそれぞれは、凹部領域124−3を横方向に取り囲む。ダイアフラム押圧面192は、内部位置決めリップ190と外部位置決めリップ194の間で凹むよう形成される。
【0077】
外部位置決めリップ194は、蓋124を本体1122に相対して配置するために使用される。詳しく説明すると、組み立て中に、本体122の内部凹面122−3と接触する外部リム122−4の上部内側壁122−5により、外部位置決めリップ194を受け取って案内する(
図16も参照)。また、超音波溶接プロセス(ultrasonic welding process)中に、内部凹面122−3において外部位置決めリップ194のアペックスリム(apex rim)(犠牲材料218、
図23〜
図26を参照)を本体122に溶融および接合して、蓋124を本体122に取り付ける。本実施形態において、超音波溶接は、現在、蓋124を本体122に取り付けるための好ましい方法であるが、いくつかの応用において、例えば、レーザー溶接(laser welding)、機械的連結(mechanical attachment)、接着剤付着(adhesive attachment)等の別の取り付け方法が望ましいことも考えられる。
【0078】
図20、
図21、および
図23〜
図26を参照すると、蓋124の内部位置決めリップ190は、ダイアフラム130を蓋124に相対して配置するために使用され、ダイアフラム130の内周位置決めリム131−2は、ダイアフラム130を本体122に相対して配置するために使用される。
図17も参照して、詳しく説明すると、蓋124の内部位置決めリップ190を外周リム130−2の内周IP1をその上に受け取るサイズおよび形状にすることにより、ダイアフラム130の外周リム130−2を蓋124のダイアフラム押圧面192の反対側に配置する。
【0079】
また、
図20および
図21を再度参照すると、本実施形態は、外部位置決めリップ194から内部に延伸する複数のダイアフラム位置決め特徴194−1を含んでもよい。複数のダイアフラム位置決め特徴194−1は、ダイアフラム130の外周リム130−2の外周を係合して、ダイアフラム130を蓋124に相対して配置するのに役立つ位置にある。さらに詳しく説明すると、本実施形態において、ダイアフラム130の外周リム130−2は、蓋124の内部位置決めリップ190と蓋124の複数のダイアフラム位置決め特徴194−1の間の領域において受け取られ、ダイアフラム130の内周位置決めリム131−2は、本体122の流路122−2内に配置されるため、それにより、ドーム部130−1の組み立て中、または負圧ドーム撓み(negative pressure dome deflections)中に、ドーム撓み部130−3等のドーム屈曲特徴および連続した周縁密封面131−6が過度に歪むのを防ぐ、あるいは連続した周縁密封面131−6が漏れるのを防ぐのに役立つ。また、組み立て中に流体分注装置110の流体リザーバ136に真空が生成された時、蓋124の内部位置決めリップ190およびダイアフラム130の内周位置決めリム131−2は、共同でダイアフラム130がつぶれている間にシール歪み(seal distortion)の量を制限する。
【0080】
図20および
図21を再度参照すると、蓋124のダイアフラム押圧面192は、均一の高さを有する平面であるため、ドーム部130−1の周囲の連続した周縁密封面131−6でダイアフラム130の実質的に均一な外周圧縮を提供する(
図17、
図19、および
図23〜
図26を参照)。詳しく説明すると、蓋124のダイアフラム押圧面192は、蓋124を本体122に取り付けた時に、ダイアフラム130の連続した周縁密封面131−6を本体122の周縁端面150−3の全体の周囲で本体122の周縁端面150−3と強制的にシール係合させるサイズおよび形状にされる。
【0081】
図22も参照すると、可変容積を有するドーム通気チャンバ196は、ダイアフラム130のドーム部130−1と蓋124の間の領域内に定義される。流体リザーバ136から流体を使い果たすと、それに従ってダイアフラム130のドーム部130−1がつぶれるため、ドーム通気チャンバ196の容積を増やして、流体リザーバ136の容積を減らすことにより、流体リザーバ136において所望の背圧を維持する。
【0082】
図20および
図21を再度参照すると、蓋124の内部天井124−2の上にリブ198およびリブ200が設置され、リブ198は、リブ200から間隔を開ける。通気孔124−1は、リブ198、200間にある蓋124の中に設置される。リブ198、200は、通気孔124−1の周囲の領域において蓋124の内部天井124−2とダイアフラム130のドーム部130−1の間に間隔を提供する(
図17および
図22を参照)。そのため、リブ198、200は、ダイアフラム130のドーム部130−1と蓋124の内部天井124−2の間の粘着接触(sticking contact)を回避するのに役立つ。粘着接触は、インクをチャンバ148から使い果たした時にドーム部130−1がつぶれるのを妨げるため、吐出チップ118の望ましくないデプライム(de-priming)が生じる可能性がある。
【0083】
図20および
図21に示すように、内部位置決めリップ190の反対側に、横方向に延伸して、ドーム通気路124−4およびドーム通気路124−5を含み、ダイアフラム130のドーム部130−1と蓋124の間の領域を通気する際に蓋124の中心部分に形成される通気孔124−1を補う。蓋124は、さらに、微小流体分注装置110の外にある空気と流体連通している側面通気開口124−6および側面通気開口124−7を含む。ドーム通気路124−4、124−5は、側面通気開口124−6、124−7のうちの1つまたは両方と流体連通している。
【0084】
通気孔124−1、および1つまたはそれ以上のドーム通気路124−4およびドーム通気路124−5と1つまたはそれ以上の側面通気開口124−6および124−7の組み合わせは、微小流体分注装置110を完全に組み立てた時、すなわち、蓋124を本体122に取り付けた時、微小流体分注装置110の外の空気とドーム部130−1の外部の伝達を容易にする。
【0085】
通気孔124−1、ドーム通気路124−4、およびドーム通気路124−5は、ダイアフラム130のドーム部130−1と蓋124の内部天井124−2の間の領域に通気の冗長性を提供するため、1つまたはそれ以上の(ただし、全てではない)通気孔124−1および側面通気開口124−6、124−7が遮断されても、微小流体分注装置110から流体を使い果たした時にドーム部130−1がつぶれやすいようにする。例えば、製品表示等により通気孔124−1が遮断されても、1つまたはそれ以上の側面通気開口124−6、124−7を介して1つまたはそれ以上のドーム通気路124−4およびドーム通気路124−5によりドーム部130−1と蓋124の間の領域の通気が維持される。
【0086】
図22を再度参照すると、微小流体分注装置110は、本体122と蓋124の接合点において外部の割れ目202(水平の破線で示す)で構成される。蓋124を本体122に超音波溶接している間、本体122と蓋124の接合点において材料が溶融して変形するにつれ、割れ目202における本体122と蓋124の間の外周ギャップ204が減少する。
【0087】
割れ目202は、チップ取り付け面140−2および吐出チップ118の配向に対して垂直である。割れ目202の位置は、本体122(蓋124ではない)がチップ取り付け面140−2、流路156、流体リザーバ136、および周縁端面150−3(ダイアフラム130の連続した周縁密封面131−6に接触する)を定義するよう設計される。割れ目202は、チップ取り付け面140−2および流路156から離れて配置され、溶接やチップ取り付け等のプロセス中のチップポケットおよび流路領域における歪みの問題を最小化する。また、割れ目202は、チップ取り付け面140−2および流路156から離れて配置され、取り扱いに対する鋭敏性やチップ応力(chip stress)等の後の製造問題を最小化する。
【0088】
割れ目202の位置は、また、蓋124がダイアフラム130の連続した周縁密封面131−6の均一な圧縮を可能にするのに十分な構成を有するように配置される。ダイアフラム130は、連続した周縁密封面131−6の領域において十分な材料厚を有し、微小流体分注装置110の寿命中にシール圧縮(seal compression)の損失を防ぐ。蓋124は、ドーム通気チャンバ196およびダイアフラム130のドーム部130−1を収容する隆起部(凹部領域124−3、
図20および
図21を参照)を定義するため、本体122の周縁端面150−3の上方に位置し、ダイアフラム130の連続した周縁密封面131−6に接触する変位可能な容積(すなわち、流体リザーバ136の一部)がある。
【0089】
上述した利点を達成するため、微小流体分注装置110の1つの好ましい設計において、設計の特定の構成要素の位置に対する距離範囲を定義する設計基準が確立されている。
【0090】
図22を参照すると、
図17〜
図21と合わせて、4つの距離範囲:距離206、距離208、距離210、および距離212を定義する。
【0091】
距離206は、本体122のベース壁138の外部ベース表面214から吐出チップ118の上下中央までの距離(長さ、例えば、高さ)であり、チップ取り付け面140−2の中央、すなわち、吐出チップを保持するチップポケット(
図27を参照)に対応する。あるいは、別の定義として、距離206は、本体122のベース壁138の外部ベース表面214から流路156の上下中央までの距離である。
【0092】
距離208は、本体122のベース壁138の外部ベース表面214から本体122の内周壁150の周縁端面150−3までの距離(長さ、例えば、高さ)であり、内周壁150は、流体リザーバ136の一部およびチャンバ148の高さを定義する。
【0093】
距離210は、本体122のベース壁138の外部ベース表面214から割れ目202の位置における本体122の外壁140−1の頂点までの距離(長さ、例えば、高さ)である。
【0094】
距離212は、本体122のベース壁138の外部ベース表面214からダイアフラム130のドーム部130−1を収容する凹部領域124−3の周囲の蓋124の部分216の頂点、例えば、ダイアフラム130のドーム頂部130−6の移動によりダイアフラム130の隣接するドーム頂部130−6から内部で可変的に間隔を開けた蓋124の部分216までの距離(長さ、例えば、高さ)である。
【0095】
距離206、208、210、212間の関係は、下記の数式表現で定義される。
【0096】
[数1]
A<B<D;A<C<D;
20%<(A/C)<80%;20%<(A/B)<80%;
40%<(C/D)<95%;および40%<(B/D)<95%
【0097】
式中、A=距離206;B=距離208;C=距離210;およびD=距離212である。
【0098】
言い換えると、
図22を参照すると、距離206と距離210の比率は、20%〜80%の範囲内にあり、距離206と距離208の比率は、20%〜80%の範囲内にあり、距離210と距離212の比率は、40%〜95%の範囲内にあり、距離208と距離212の比率は、40%〜95%の範囲内にあり、距離206は、距離208よりも少なく、距離208は、距離212よりも少なく;距離206は、距離210よりも少なく、距離210は、距離212よりも少ない。
【0099】
図23〜
図26を参照すると、蓋124を本体122に取り付けてダイアフラム130の周囲を圧縮することにより、ダイアフラム130と本体122の間に連続シールを生成する。
図23〜
図26は、例えば、超音波溶接により蓋124を本体122に取り付けた時に、ダイアフラム130の周囲を圧縮する4段階の例をそれぞれ示したものであり、
図23は、蓋124を本体122に溶接する前の構成要素の位置を示し、
図26は、蓋124を本体122に完全に取り付けた溶接プロセスの終わりの構成要素の位置を示す。
【0100】
図23〜
図26を参照すると、超音波溶接プロセスの間、犠牲材料218を外部位置決めリップ194から溶融して蓋124を本体122に接合する際に再配分するにつれ、外周ギャップ204が徐々に減少する。この時、蓋124のダイアフラム押圧面192によってダイアフラム130の外周リム130−2に圧縮力が印加される。言い換えると、ダイアフラム130の外周リム130−2を蓋124のダイアフラム押圧面192と本体122の周縁端面150−3の間に圧縮することにより、ダイアフラム130の連続した周縁密封面131−6を係合して、本体122の周縁端面150−3とシール係合させる。
【0101】
溶接プロセスの間、蓋124の内部位置決めリップ190と外部位置決めリップ194(
図20および
図21に示したダイアフラム位置決め特徴194−1を含む)、およびダイアフラム130の内周位置決めリム131−6は、合わせて、ドーム撓み部130−3等のドーム屈曲特徴および連続した周縁密封面131−6が過度に歪むのを防ぐ、あるいは連続した周縁密封面131−6が漏れるのを防ぐのに役立つ。
【0102】
また、例として、
図23〜
図26は、超音波溶接により蓋124を本体122に取り付けた時にダイアフラム130の外周リム130−2の段階圧縮(progressive compression)内の4段階の例をそれぞれ示したものである。
図23は、蓋124を本体122に溶接する前の構成要素の位置を示したものであり、本例において、外周ギャップ204は、850ミクロンである。ここで、溶接距離は、0.0ミクロンであり、ダイアフラム130の外周リム130−2のエラストマー材料圧縮は、−312ミクロンである。エラストマー材料圧縮に関する負の値は、蓋124のダイアフラム押圧面192とダイアフラム130の外周リム130−2の間に間隙があることを意味する。
図24は、蓋124を本体122に溶接する初期中間段階における構成要素の位置を示したものであり、外周ギャップ204は、538ミクロンである。ここで、溶接距離は、312ミクロンであり、ダイアフラム130の外周リム130−2のエラストマー材料圧縮は、0.0ミクロンである。すなわち、蓋124のダイアフラム押圧面192とダイアフラム130の外周リム130−2の最初の接触である。
図25は、蓋124を本体122に溶接する後期中間段階における構成要素の位置を示したものであり、外周ギャップ204は、388ミクロンである。ここで、溶接距離は、462ミクロンであり、ダイアフラム130の外周リム130−2のエラストマー材料圧縮は、150ミクロンである。すなわち、蓋124のダイアフラム押圧面192が本体122の周縁端面150−3に対してダイアフラム130の外周リム130−2と係合し、圧縮している。
図26は、蓋124を本体122に溶接し終わった時の構成要素の位置を示したものであり、外周ギャップ204は、238ミクロンである。ここで、溶接距離は、612ミクロンであり、ダイアフラム130の外周リム130−2のエラストマー材料圧縮は、300ミクロンである。すなわち、蓋124のダイアフラム押圧面192がダイアフラム130の外周リム130−2の最大圧縮にある。
【0103】
図27は、
図23〜
図26に示した設計に変更を加えたものであり、
図23〜
図26の蓋124のダイアフラム押圧面192は、断面において円錐形(cone-like)である下向きの周縁突出部222を有する蓋220を形成するよう変更され、ダイアフラム130の外周リム130−2を係合して、外周リム130−2を本体122の周縁端面150−3と強制的にシール係合させる。本実施形態において、本体122の周縁端面150−3は、平坦であってもよく、あるいは1つまたはそれ以上の複数の周縁リブまたはうねりを含み、ダイアフラム130と係合するための有効な密封面を提供してもよい。
【0104】
上述したように、流体リザーバ136内のいくつかの背圧を維持して、吐出チップ118から流体が滴り落ちるのを防ぐのが望ましい。しかしながら、背圧が高くなりすぎると、ノズルからの空気摂取が生じて、不十分な量の流体が吐出チップ118に供給されるため、あるとすれば、吐出チップ118からある不規則な流体の排出が生じる。
【0105】
上記の例において、背圧(負圧)は、流体リザーバ136において生成され、ダイアフラム130は、力と動作領域のバランスを保ち、所望の背圧を達成するよう構成される。
【0106】
ダイアフラム130は、エラストマー材料で作られるため、この力は、ドーム部130−1および/またはドーム撓み部130−3において、エラストマー材料の変形、例えば、エラストマー材料の屈曲および/または伸長によりダイアフラム130によって生じる。ダイアフラム130を形成するエラストマー材料の変形は、ダイアフラム130の壁厚、ダイアフラム130の領域の断面輪郭形状(例えば、うねり、直線状、曲線状等)、および/またはエラストマー材料のデュロメータ(durometer)等の要因によって決まる。この力が印可される有効領域は、本体122の周縁端面150−3によって提供される固定サポートから横方向に内側に離れるよう設置されたエラストマー材料の移動可能部分、すなわち、ダイアフラム130のドーム部130−1および/またはドーム撓み部130−3である。
【0107】
図28は、ガイド部134(
図1および
図6を参照)等の撹拌子ガイドを有する微小流体分注装置110の理想の背圧範囲230を示したグラフである。本例において、理想の背圧範囲230は、
図28のグラフにおいて垂直の破線で示したように、供給可能な流体の範囲を通して−5〜−15inch/H
2Oの範囲、すなわち、微小流体分注装置110の寿命232の終わりまでである。本分野における技術者であれば認識できるように、所定の流体分注装置設計の理想の背圧範囲230は、流体分注装置のサイズの多様性、流体リザーバの容量、および/またはリザーバ内の流体の量に応じて、上記で証明した範囲と異なってもよい。
【0108】
図28において、曲線234は、微小流体分注装置110において使用するダイアフラムの初期設計を示したものであり、曲線236は、微小流体分注装置110の寿命232に対する理想の背圧範囲230を達成するための初期設計からダイアフラムを改良したものである。一般的なダイアフラム、例えば、ダイアフラム130の構成では、ドーム撓み部130−3および/またはドーム部130−1のドーム側壁130−4においてエラストマー材料が回転するにつれ、ドーム背圧が増加し、(例えば、本例では、0.5cc(cubic centimeter)の流体喪失において)より一定になり始める。
【0109】
曲線234および236のそれぞれは、寿命232における各微小流体分注装置の有効寿命の終わりを示したものであり、本例では、背圧の大幅増(圧力の大幅減)によって特徴づけられる流体喪失が1.25ccにおいて生じている。例えば、
図22も参照すると、ドーム部130−1、例えば、ドーム頂部130−6が流体リザーバ136の内部の特徴(例えば、撹拌子ガイドまたは撹拌子)に接触し始める箇所までダイアフラム130がつぶれた時、流体リザーバ136からのさらなる流体喪失(流体排出)によりダイアフラム130の設計が背圧の増加に十分に対抗できなくなるため、背圧変化の割合が増加することが観察される。
【0110】
撹拌子ガイドの除去により寿命232を少し伸ばすことは可能であるが、注意すべきこととして、ガイド部134等の撹拌子ガイドは、ドーム部130−1、例えば、ドーム頂部130−6が撹拌子、例えば、撹拌子132と接触するのを有利に防ぐため、それにより、ダイアフラム130がつぶれて撹拌子132の回転が遅れ、混合能力を喪失するのを防ぐ。言い換えると、ガイド部134を有する本例において、寿命232に対応する撓み軸188に沿ったドーム部130−1の撓みの有効範囲は、ベース壁138上のドーム頂部130−6の最大高度からベース壁138上のガイド部134の高度までの距離、すなわち、ドーム部130−1がガイド部134に接触する位置までの距離である。
【0111】
図28において、曲線234は、微小流体分注装置110において使用するダイアフラムの初期設計を示したものであり、0.25ccの流体喪失後に、背圧が理想の背圧範囲230の最大背圧、例えば、本例では、−15inch/H
2Oよりも大きい背圧を超過するため、理想の背圧範囲230に対して望ましくない結果を提供するために示した曲線である。実際、曲線236で示されるように、通常、微小流体分注装置110ができるだけ迅速に理想の背圧範囲230に入り、微小流体分注装置110の寿命232を通して理想の背圧範囲230内に留まるのが望ましい。そのため、所望の背圧基準に達しない初期設計については、曲線234で示されるように、ダイアフラムの設計改良は、現在の設計の微小流体分注装置110の背圧対流体喪失特徴が寿命232中に曲線236をより密接に模倣するようにするのが望ましい。
【0112】
本発明に係る流体分注装置の構造は、サイズおよび流体容量において変わる可能性があるが、一般的な構造および操作原理は、同じである。そのため、本分野における技術者であれば認識できるように、
図28の例で示した理想の背圧範囲230および曲線236は、微小流体分注装置110等の微小流体分注装置に特定されるとともに、他の理想の背圧範囲および/または操作曲線を設けて、様々な流体分注装置のサイズおよび流体容量の差を考慮に入れてもよい。
【0113】
図29A〜C、
図30A〜C、および
図31A〜Cを参照すると、操作曲線236に近づけるために使用されるダイアフラム設計の3つの変化例を示したものであり、
図28に示すように、寿命232の間は、理想の背圧範囲230の最大背圧、例えば、本例では、−15inch/H
2Oよりも小さい背圧を超過する背圧を有さない。
図29A〜C、
図30A〜C、および
図31A〜Cのそれぞれは、休止状態、すなわち、背圧がない状態の各ダイアフラム130、260、280を示す。
【0114】
各ダイアフラム130、260、280は、最初に、連続した周縁密封面131−6に向かい、その後、連続した周縁密封面131−6から離れる方向に撓み軸188に沿ってつぶれるよう構成され、撓み軸188は、連続した周縁密封面131−6の平面に対して実質的に垂直である。また、各ダイアフラム130、260、280は、
図28のグラフで示される所定の背圧において各ドーム部130−1、260−1、280−1の撓みを制御する、すなわち、つぶれるよう選択される断面輪郭(例えば、形状および/またはテーパー(taper)および/または厚さ)を有する。
【0115】
図29A〜
図29Cは、上述したように、水平な向きにおけるダイアフラム130を示したものであり、すなわち、連続した周縁密封面131−6の平面範囲は、図に示すように、水平である。
図29Bおよび
図29Cに最も良く示すように、流体喪失中にダイアフラム130のつぶれる特徴に影響を与えるダイアフラム130の部分は、ドーム撓み部130−3、ドーム側壁130−4、およびドーム頂部130−6である。
【0116】
ドーム撓み部130−3は、曲線範囲(curved extent)240を有する断面において湾曲したS状構造を有する。ドーム側壁130−4は、テーパー状の断面輪郭を有し、すなわち、ドーム撓み部130−3からドーム移行部130−5に向かう方向に壁厚が増加し、且つドーム移行部130−5とドーム頂部130−6の接合点における垂直軸に対して22±3度の偏垂直(off-vertical)角度244において直線範囲(straight extent)242を有する。ドーム移行部130−5は、72±3度の偏垂直角度248において直線範囲246を有する断面において実質的に均一な厚さ(すなわち、±5%の均一な厚さ)を有する。ドーム頂部130−6は、直線範囲250を有する断面において実質的に均一な厚さを有し、且つ水平である、すなわち、90度の偏垂直角度を有するため、ドーム頂部130−6の平面範囲は、連続した周縁密封面131−6の平面に対して実質的に垂直である。ダイアフラム130を構成するエラストマー材料の硬度は、40±3デュロメータである。この構造は、±5%の背圧変動範囲を有する
図28の圧力対供給可能な流体曲線236を達成できることがわかった。
【0117】
図30A〜
図30Cは、上述したダイアフラムの適切な置き換えとして設計されたダイアフラム260を示したものである。ダイアフラム260は、外周リム130−2;ドーム撓み部130−3;4つのウェブ部130−7、130−8、130−9、130−10;内周位置決めリム131−2、中間内部凹み領域131−4;および連続した周縁密封面131−6に関して、ダイアフラム130と共通する。説明の目的のため、ダイアフラム260は、水平の向きにあり、すなわち、連続した周縁密封面131−6の平面範囲は、図に示すように、水平である。
図30Bおよび
図30Cに最も良く示すように、流体喪失中にダイアフラム260のつぶれる特徴に影響を与えるダイアフラム260の部分は、ドーム撓み部130−3、ドーム側壁260−4を有するドーム部260−1、ドーム移行部260−5、およびドーム頂部260−6である。
【0118】
ドーム撓み部130−3は、曲線範囲240を有する断面において湾曲したS状構造を有し、ダイアフラム130の対応する断面と一致する。
【0119】
ドーム側壁260−4は、テーパー状の断面輪郭を有し、すなわち、ドーム撓み部130−3からドーム移行部260−5に向かう方向に壁厚が増加し、且つドーム移行部260−5とドーム頂部260−6の接合点における垂直軸に対して17±3度の偏垂直角度264において直線範囲262を有する。ドーム側壁260−4は、ダイアフラム130のドーム側壁130−4と断面輪郭が類似しているが、注意すべきこととして、ドーム側壁260−4のテーパー量は、ダイアフラム130のドーム側壁130−4よりも少ない。そのため、ドーム側壁260−4は、ダイアフラム130のドーム側壁130−4よりも薄い断面輪郭を有する。ドーム部のドーム側壁の厚さが変化すると、長さ、例えば、高さに沿ったドーム側壁の弾性、すなわち、伸縮性の変化に影響を与えるため、撓み軸188に沿った各ドーム部の撓みに影響を与える。
【0120】
ドーム移行部130−5は、厚さが広がる断面においてベル状のフレア部(flared portion)268を有する曲線範囲266を有する断面において不均一な厚さを有する。曲線範囲266は、80±3度の偏垂直角度270において配向される。
【0121】
ドーム頂部260−6は、直線範囲272を有する断面において実質的に均一な厚さを有し、且つ水平であり、すなわち、90度の偏垂直角度を有する。ダイアフラム260を構成するエラストマー材料の硬度は、50±3デュロメータである。この構造は、±5%の背圧変動範囲を有する
図28の圧力対供給可能な流体曲線236を達成できることがわかった。
【0122】
そのため、ダイアフラム130およびダイアフラム260のそれぞれは、
図28の圧力対供給可能な流体曲線236を達成することができる。しかしながら、ダイアフラム130と比較して、ダイアフラム260は、ドーム側壁260−4の側壁の量を減らすことによって、およびドーム移行部260−5の厚さを減らして湾曲したベル形状を適用することによって、より高いデュロメータのエラストマー材料を使用して達成することができる。しかしながら、ダイアフラム260の形状が複雑になればなるほど、ダイアフラム130よりも製造の複雑性が増える可能性がある。
【0123】
そのため、各ダイアフラムの断面形状の変化は、ドーム移行部の形状の変化、ドーム移行部に向かう方向におけるドーム側壁のテーパー量の変化、およびドーム側壁の厚さの変化のうちの少なくとも1つに影響される。さらに、ドーム側壁の断面輪郭のテーパー/厚さ、およびドーム移行部の形状のうちの少なくとも1つは、各ダイアフラムの製造に使用するために選択されたエラストマー材料のデュロメータの少なくとも一部に基づいて選択される。さらに注意すべきこととして、ドーム側壁とドーム移行部の角度関係の差は、断面輪郭のテーパー/厚さ、および/または形状の変化を収容するために実現される。
【0124】
図31A〜
図31Cは、上述したダイアフラム130および/またはダイアフラム260の適切な置き換えとして設計されたダイアフラム280を示したものである。ダイアフラム280は、より高いデュロメータのエラストマー材料を使用すること、およびより薄いドーム側壁280−4を有するドーム部280−1を使用すること以外は、多くの点でダイアフラム130と類似している。説明の目的のため、ダイアフラム280は、水平の向きにあり、すなわち、連続した周縁密封面131−6の平面範囲は、図に示すように、水平である。
図31Bおよび
図31Cに最も良く示すように、流体喪失中にダイアフラム280のつぶれる特徴に影響を与えるダイアフラム280の部分は、ドーム撓み部130−3、ドーム側壁280−4を有するドーム部280−1、ドーム移行部280−5、およびドーム頂部280−6である。
【0125】
ドーム撓み部130−3は、曲線範囲240を有する断面において湾曲したS状構造を有する。
【0126】
ドーム側壁280−4は、テーパー状の断面輪郭を有し、すなわち、ドーム撓み部130−3からドーム移行部280−5に向かう方向に壁厚が増加し、且つドーム移行部280−5とドーム頂部280−6の接合点における垂直軸に対して17±3度の偏垂直角度284において直線範囲282を有する。ドーム側壁280−4は、ダイアフラム130のドーム側壁130−4またはダイアフラム260のドーム側壁260−4と断面輪郭が類似しているが、注意すべきこととして、ドーム側壁280−4のテーパー量は、ダイアフラム130のドーム側壁130−4またはダイアフラム260のドーム側壁260−4のいずれよりも少ない。そのため、ドーム側壁280−4は、ダイアフラム130のドーム側壁130−4またはダイアフラム260のドーム側壁260−4よりも薄い断面輪郭を有する。
【0127】
ドーム移行部280−5は、77±3度の偏垂直角度288において直線範囲286を有する断面において実質的に均一な厚さを有する。
【0128】
ドーム頂部280−6は、直線範囲290を有する断面において実質的に均一な厚さを有し、且つ水平であり、すなわち、90度の偏垂直角度を有する。
【0129】
ダイアフラム280を構成するエラストマー材料の硬度は、50±3デュロメータである。この構造は、±5%の背圧変動範囲を有する
図28の圧力対供給可能な流体曲線236を達成できることがわかった。
【0130】
そのため、ダイアフラム130、ダイアフラム260、およびダイアフラム280のそれぞれは、
図28の圧力対供給可能な流体曲線236を達成することができる。しかしながら、ダイアフラム130と比較して、ダイアフラム280は、ドーム側壁280−4の壁厚を減らすことにより、より高いデュロメータのエラストマー材料を使用して、それを達成することができる。したがって、ダイアフラム280の構成は、ダイアフラム130の設計の製造簡易性を維持しながら、ダイアフラム130よりも高いデュロメータ材料を使用することができる。
【0131】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。