(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-96855(P2018-96855A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】レーザー測量用ターゲット板
(51)【国際特許分類】
G01C 15/06 20060101AFI20180525BHJP
【FI】
G01C15/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-241829(P2016-241829)
(22)【出願日】2016年12月14日
(71)【出願人】
【識別番号】592159379
【氏名又は名称】株式会社カクマル
(74)【代理人】
【識別番号】100196760
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】曾根田 馨
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ターゲット板に水平及び垂直方向の回転部を設けることにより、レーザースキャンの方向に適切に対面できるようにし、さらに、ターゲット板の表裏を異なるデザインとすることにより、レーザースキャナのメーカーや性質に応じて選択的に使用可能とし、加えて、ターゲット板を金属製とすることにより、レーザーの反射率を向上させて、確実に認識可能としたレーザー測量用ターゲット板を提供する。
【解決手段】中心部を明示する配色を備えた金属製の盤面4と、盤面4を水平方向に回転可能に支える支持部と、盤面4を鉛直方向に回転可能に支える支持部を備え、盤面4は白色と黒色を交互に配した市松模様の面と、黒色背面に白色の円形模様を配した面を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部を明示する配色を備えた盤面と、
前記盤面を水平方向に回転可能に支える支持部と、
前記盤面を鉛直方向に回転可能に支える支持部を備えたことを特徴とするレーザー測量用ターゲット板。
【請求項2】
前記盤面は白色と黒色を交互に配した市松模様の面と、黒色背面に白色の円形模様を配した面を備えていることを特徴とする請求項1記載のレーザー測量用ターゲット板。
【請求項3】
前記裏面の白色の円形模様は同心円模様とされていることを特徴とする請求項2記載のレーザー測量用ターゲット板。
【請求項4】
前記盤面は金属製とされていることを特徴とする請求項1、2または3記載のレーザー測量用ターゲット板。
【請求項5】
白色の配色部分のみを金属製としたことを特徴とする請求項1、2または3記載のレーザー測量用ターゲット板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザー測量用ターゲット板に関し、特に、ターゲット板に水平及び垂直方向の回転部を設けることによって、レーザースキャンの方向に適切に対面できるようにし、さらに、ターゲット板の表裏を異なるデザインとすることによって、レーザースキャンのメーカーや性質に応じて選択的に使用可能とし、加えて、ターゲット板を金属製とすることによって、レーザーの反射率を向上させて、確実に認識可能としたレーザー測量用ターゲット板に関する。
【背景技術】
【0002】
土木・建築工事等の地形測量や急斜面の3次元形状の測量においては、パルス式レーザを使用したレーザースキャナによる測量が行われる。
このレーザースキャナによる測量は、スキャナ装置から多数のレーザパルスを対象範囲ならびに対象物に照射し,そのレーザパルスが地形・地物に反射し機器に戻ってくるレーザを認識して詳細な3次元データを得ることが可能となっている。
そして、レーザースキャナによる測量に際しては、対象範囲に予め複数のターゲット板を設置し、それらのターゲット板の位置を基準として計測の精度を高めるシステムが採用されている。
このようなターゲット板に関連する技術として特許文献1、2の技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−83748号公報
【特許文献2】実用新案登録第3170972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1、2の技術の技術はレーザー測量用ターゲット板に関する技術であるが、特許文献1,2共にターゲットに左右方向・上下方向の回転部位を備えておらず、ターゲットの位置をレーザースキャンに対面した位置に調整することが困難であり、ターゲートを明確に認識できないという問題があった。また、ターゲット板の模様が一種類であることから、レーザースキャナのメーカーや性質によっては、認識されないおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ターゲット板に水平及び垂直方向の回転部を設けることによって、レーザースキャンの方向に適切に対面できるようにし、さらに、ターゲット板の表裏を異なるデザインとすることによって、レーザースキャンのメーカーや性質に応じて選択的に使用可能とし、加えて、ターゲット板を金属製とすることによって、レーザーの反射率を向上させて、確実に認識可能としたレーザー測量用ターゲット板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための手段として本発明請求項1記載のレーザー測量用ターゲット板では、中心部を明示する配色を備えた盤面と、前記盤面を水平方向に回転可能に支える支持部と、前記盤面を鉛直方向に回転可能に支える支持部を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載のレーザー測量用ターゲット板では、請求項1記載のレーザー測量用ターゲット板において、前記盤面は白色と黒色を交互に配した市松模様の面と、黒色背面に白色の円形模様を配した面を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載のレーザー測量用ターゲット板では、請求項2記載のレーザー測量用ターゲット板において、前記裏面の白色の円形模様は同心円模様とされていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載のレーザー測量用ターゲット板では、請求項1、2または3記載のレーザー測量用ターゲット板において、前記盤面は金属製とされていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載のレーザー測量用ターゲット板では、請求項1、2または3記載のレーザー測量用ターゲット板において、白色の配色部分のみを金属製としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のレーザー測量用ターゲット板では、中心部を明示する配色を備えた盤面を備えているので、レーザースキャンによる測量に際し、ターゲット板の中心位置が確実に認識され、高い精度の測量が可能である。
また、盤面を水平方向に回転可能に支える支持部と、盤面を鉛直方向に回転可能に支える支持部を備えているので、レーザースキャンの方向に対して、ターゲット板の方向を適切に調整可能である。
つまり、水平方向に回転可能に支える支持部を回転させてターゲット板の対面方向を調整することが可能であり、鉛直方向の支持部を回転させて、仰角・俯角を調整可能である。
【0012】
請求項2記載のレーザー測量用ターゲット板では、盤面は白色と黒色を交互に配した市松模様の面と、黒色背面に白色の円形模様を配した面を備えているので、レーザースキャンに応じて、認識可能な盤面の表裏を選択して適用することができる。
【0013】
請求項3記載のレーザー測量用ターゲット板では、裏面の白色の円形模様は同心円模様とされているので、単なる円形とは異なる、特徴のある模様としてレーザースキャンに認識される。
【0014】
請求項4記載のレーザー測量用ターゲット板では、盤面は金属製とされているので、樹脂等に比較してレーザーを反射効率が高く、ターゲットが確実に認識される。
【0015】
請求項5記載のレーザー測量用ターゲット板では、白色の配色部分のみを金属製としたので、金属製部分のレーザーの反射率が向上する。そのため、ターゲット板の濃淡が強く認識される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】レーザー測量用ターゲット板の正面図である。
【
図2】レーザー測量用ターゲット板の背面図である。
【
図3】レーザー測量用ターゲット板の左側面図である。
【
図4】レーザー測量用ターゲット板の右側面図である。
【
図5】レーザー測量用ターゲット板の平面図である。
【
図6】レーザー測量用ターゲット板の底面図である。
【
図7】レーザー測量用ターゲット板の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
第1実施例に係るレーザー測量用ターゲット板は、
図1〜
図7に示すように、整準台1に取り付けられる基部2と(
図7参照)、その基部2から左右上方に伸びるアーム3と、そのアーム3に回転自在に支えられた盤面4を主要な構成としている。
前記アーム3、基部2及び盤面4は金属によって構成されており、金属の一例としては、鉄、アルミ、ニッケル、チタン、タングステン、銅等が挙げられる。
【0018】
前記整準台1は、測量に際して三脚に取り付けられる機器であり、測量時に整準台上に固定された各種測量機によって測量が行われる。この整準台1には測量機を固定する台座5が設けられており、この台座に形成された円筒形の穴6に本発明の測量用ターゲット板が取り付けられる。
【0019】
前記基部2は、中間部分に括れを有する円柱形状をなしており、この円柱形状の基部2が整準台の上面の穴6に嵌合して取り付けられる。
使用時には整準台1の円筒形の穴6に密接した状態で嵌り込み、穴6に嵌り込んだ状態で左右方向に摺動自在に保持される。そして、盤面4をレーザースキャンに対面させる方向に位置決めされネジ留め固定される。
【0020】
前記アーム3は基部2から左右両側に向かって広がる幅数mmの板状部材であり、アーム3は盤面4下半分の外周に沿った状態で円弧を描いて左右に広がり、その先端に接続片7を介して盤面4が取り付けられている。
接続片7は盤面4の左右端の拡幅面を一部挟み込んだ状態でネジ止め固定されており、その盤面4を固定した接続片7がアーム3に水平ネジ8によって取り付けられている。そのため、水平ネジ8を介して、盤面4がアーム3に対して回転自在とされている。
この水平ネジ8の取り付け部位は、盤面4を任意の角度で保持する機能を有しており、手動により所定の角度に回転させた後は、盤面4の自重、あるいは多少の風圧程度では傾かない状態に保持される。
【0021】
前記盤面4は直径数十cmの広さ、厚さ数mm幅の金属製円盤である。
盤面4の左右両端は回転自在に支持されているために、仰角・俯角の調整が可能である。また、盤面4は基部2が水平方向に回転自在とされているので、レーザースキャンに対して方向調整が可能である。
【0022】
前記盤面4の一面側(表側)は、2本の直交した直径ラインが描かれ、そのラインにより盤面が4分割されており、その4分割された区画にそれぞれ、白色と黒色が交互に配色された市松模様とされている。
直交した直径のラインにより中心が示され、同時に白色と黒色の塗り分けによって中心が明確に表されている。
また、盤面4の他面側(裏側)には、黒色の背景に、盤面表側と中心を同一とする直径数cmの小さな白色円が描かれている。
【0023】
次に本発明のレーザー測量用ターゲット板の使用方法を説明する。
レーザースキャンを設置し、対象域にレーザー測量用ターゲット板を設置する。
レーザー測量用ターゲット板の設置に際しては、レーザー測量用ターゲット板を整準台1を介して三脚上に取り付け、この三脚上に取り付けたレーザー測量用ターゲット板を、測量地の面積、形状等の状況に応じて複数の場所に設置する。
また、レーザー測量用ターゲット板は、レーザースキャンの位置・方向に合わせて盤面4の水平方向及び垂直方向の回転部を回転させて位置を調整する。
レーザースキャンを作動し、ターゲット板と共に対象域をスキャンする。
対象物に照射されたレーザーは白色に反射し、黒色は透過する性質を有しているので、白色と黒色の模様を有するターゲット板が認識される。
ここで、本実施例ではターゲット板は、金属によって構成されているのでレーザーの反射効率に優れており、ターゲット板の模様及び中心が明確に認識される。
また、本実施例では、盤面が表裏異なる模様に設定されているので、レーザースキャンの性質に応じて、盤面を回転させて、レーザースキャンに対して認識効率の高い面を使用することができる。
【実施例2】
【0024】
次に第2実施例に係る測量用ターゲットを説明する。
前記第1実施例の測量用ターゲットは基部2、アーム3及び盤面4を金属製としたが、本実施例に係る測量用ターゲットは、盤面4を樹脂製として、白色模様に相当する部位を金属製としたものである。
盤面4の白色部位を金属製とする方法としては、樹脂製の盤面に白色の金属板を貼付する方法、あるいは、貼付した金属板に白色塗料を塗布する方法、若しくは、樹脂製の盤面に金属粉末によるコーティングを施す方法等による。
レーザーの光波を測定対象物に照射すると、対象物の性質により一部は反射し、一部は透過する。金属は樹脂に比較してレーザーの反射効率に優れており、白色の金属が光波を反射させるので、ターゲット板が明確に認識される。
盤面4の模様は第1実施例に係るレーザー測量用ターゲット板と同一であり、盤面4の表裏には異なる模様の金属が配置されることになるが、盤面は表裏共に同一の中心位置を有するものであり、レーザースキャンは正確に盤面及びその中心位置を認識する。
本実施例のその他の作用については前記第1実施例と同様である。
【0025】
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
たとえば、盤面4の大きさについては、使用するレーザースキャン、測定対象域等に応じて適宜設定することができる。
また、本実施例では、盤面4を円形としたが、その他の形状に適用する場合であっても本発明に含まれる。
また、本実施例で説明した盤面4の円形模様については、同心円とする場合であっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
1 整準台
2 基部
3 アーム
4 盤面
5 台座
6 穴
7 接続片
8 水平ネジ