【課題】安全在庫数量および発注点数量の算出を、卸売業界(特に、多品種の在庫を保持する必要のある日用雑貨の卸売業界)に導入し易い形で実現することができる安全在庫等算出装置、安全在庫等算出方法及び安全在庫等算出プログラムの提供を課題とする。
【解決手段】本実施形態では、(1)取得した各仕入先に対応する安全在庫日数及び発注点日数、並びに、取得した発注元から各仕入先へ発注する対象商品に適用する掛率に基づいて、前記対象商品の安全在庫日数及び発注点日数を算出し、(2)前記対象商品の一日当たりの必要出荷数量を算出し、(3)算出した安全在庫日数及び発注点日数並びに算出した必要出荷数量に基づいて、前記対象商品の安全在庫数量及び発注点数量を算出する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る安全在庫等算出装置、安全在庫等算出方法および安全在庫等算出プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
多くのパッケージシステムは、安全在庫数量および発注点数量を基に適正な発注処理を行うように構築されている。しかし、多品種の在庫を必要とし且つ適正な在庫数の維持に課題を抱えている業界(例えば卸売業界(特に、多品種の在庫を保持する必要のある、日用雑貨を取り扱う卸売業界)など)にとって、適正な安全在庫数量および発注点数量を把握・維持することは困難であり、適正な安全在庫日数および発注点日数を把握・維持することの方が、困難さが無く馴染み易いといえる。
【0016】
そこで、本実施形態においては、例えば、予め設定されている安全在庫日数および発注点日数を基に、直近の受注実績数量および出荷実績数量を加味して、必要な安全在庫数量および発注点数量を適宜自動算出すること、および、この算出結果を利用して自動発注処理を行うことができる安全在庫等算出装置、安全在庫等算出方法および安全在庫等算出プログラムを提供している。
【0017】
また、本実施形態においては、例えば、安全在庫日数および発注点日数の初期値を、仕入先の分類および商品の回転率ランクを参照して設定することができる安全在庫等算出装置、安全在庫等算出方法および安全在庫等算出プログラムを提供している。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0018】
[2.構成]
本実施形態に係る安全在庫等算出装置100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、安全在庫等算出装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
安全在庫等算出装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、安全在庫等算出装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0020】
安全在庫等算出装置100は、
図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。安全在庫等算出装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0021】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、安全在庫等算出装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、安全在庫等算出装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバ200に格納されてもよい。
【0022】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0023】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0024】
記憶部106は、商品取引条件に応じた安全在庫日数および発注点日数を記憶しているマスタとしての発注パターンマスタ106aと、出荷実績データ106bと、回転率に応じた掛率を記憶しているマスタとしての商品ランクマスタ106cと、受注実績データ106dと、発注予定データ106eと、を備えている。これらのうち、出荷実績データ106b、受注実績データ106dおよび発注予定データ106eは、任意の構成要素であるが、記憶部106に含まれることが好ましい。なお、各データおよび各マスタが含む内容の概略は以下のとおりであるが、各データおよび各マスタが含む項目の詳細は、以下[3.処理の具体例]で説明する。
【0025】
以下の説明においては、多品種の商品を扱う卸業者等の発注元が、メーカー等の仕入先から対象商品を仕入れて商品を保持し、小売業者から受注を受けると、前記小売業者に対して出荷を行うという場面を想定している。
【0026】
発注パターンマスタ106aは、商品取引条件に応じた安全在庫日数および発注点日数を記憶している。出荷実績データ106bは、前記発注元から前記仕入先へ発注する対象商品についての所定期間での出荷実績数量を記憶している。
【0027】
商品ランクマスタ106cは、回転率に応じた掛率を記憶している。受注実績データ106dは、前記対象商品についての所定期間での受注実績数量を記憶している。発注予定データ106eは、作成された発注予定データを記憶している。
【0028】
制御部102は、安全在庫等算出装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0029】
制御部102は、機能概念的に、(1)発注元と仕入先との間で取り決めされた商品取引条件に基づいて、前記仕入先に対応する安全在庫日数および発注点日数を、商品取引条件に応じた安全在庫日数および発注点日数を記憶しているマスタから取得する日数取得手段としての日数取得部102aと、(2)前記発注元から前記仕入先へ発注する対象商品についての所定期間での出荷実績数量および前記対象商品の最低発注数量に基づいて、前記対象商品の回転率を算出する回転率算出手段としての回転率算出部102bと、(3)前記回転率算出手段で算出した回転率に基づいて、前記対象商品に適用する掛率を、回転率に応じた掛率を記憶しているマスタから取得する掛率取得手段としての掛率取得部102cと、(4)前記日数取得手段で取得した安全在庫日数および発注点日数ならびに前記掛率取得手段で取得した掛率に基づいて、前記対象商品の安全在庫日数および発注点日数を算出する日数算出手段としての日数算出部102dと、(5)前記対象商品についての所定期間での受注実績数量に基づいて、前記対象商品の一日当たりの必要出荷数量を算出する出荷数量算出手段としての出荷数量算出部102eと、(6)前記日数算出手段で算出した安全在庫日数および発注点日数ならびに前記出荷数量算出手段で算出した必要出荷数量に基づいて、前記対象商品の安全在庫数量および発注点数量を算出する在庫数量等算出手段としての在庫数量等算出部102fと、(7)前記在庫数量等算出手段で算出した安全在庫数量および発注点数量に基づいて、前記対象商品の発注予定データを作成する作成手段としての作成部102gと、を備えている。作成部102gは、任意の構成要素であるが、制御部102に含まれることが好ましい。なお、各部が実行する処理の詳細については、以下の[3.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0030】
[3.処理の具体例]
以下、本実施形態に係る処理の具体例について、
図2〜
図10を用いて詳細に説明する。
図2は、安全在庫等算出装置による処理を実行するための画面の一例を示す図である。
図3は、発注パターンマスタ等の一例を示す図である。
図4は、各仕入先について取得された安全在庫日数および発注点日数の表示画面の一例を示す図である。
図5は、商品ランクマスタ等の一例を示す図である。
図6は、各対象商品について算出された安全在庫日数および発注点日数の表示画面の一例を示す図である。
図7は、各対象商品の一日当たりの必要出荷数量を算出する際に用いられる、受注実績数量の集計日数を設定するための画面の一例を示す図である。
図8は、各対象商品について算出された安全在庫数量および発注点数量の表示画面の一例を示す図である。
図9は、発注予定データの作成処理を実行するための画面の一例を示す図である。
図10は、作成された発注予定データの一例を示す図である。
【0031】
本実施形態に係る処理の概要は以下のとおりである。すなわち、日数取得部102aで取得した各仕入先に対応する安全在庫日数および発注点日数、ならびに、掛率取得部102cで取得した発注元から各仕入先へ発注する対象商品に適用する掛率に基づいて、日数算出部102dが、前記対象商品の安全在庫日数および発注点日数を算出する。一方、出荷数量算出部102eが、前記対象商品の一日当たりの必要出荷数量を算出する。そして、在庫数量等算出部102fが、日数算出部102dで算出した安全在庫日数および発注点日数ならびに出荷数量算出部102eで算出した必要出荷数量に基づいて、前記対象商品の安全在庫数量および発注点数量を算出する。
【0032】
以下、本実施形態に係る処理の詳細を説明するが、以下においては、発注元である卸業者が、テスト用仕入先1(仕入先)へ発注するテスト商品3(対象商品)の安全在庫数量および発注点数量を算出する場合を想定して説明する。
【0033】
(日数取得処理)
日数取得部102aは、発注元とテスト用仕入先1との間で取り決めされた商品取引条件に基づいて、テスト用仕入先1に対応する安全在庫日数および発注点日数を、発注パターンマスタ106aから取得する日数取得処理を行う。
【0034】
ここで、発注パターンマスタ106aについて説明する。発注パターンマスタ106aは、前述のとおり、商品取引条件に応じた安全在庫日数および発注点日数を記憶している。商品取引条件は、前記発注元からテスト用仕入先1への商品の発注の仕方に関する条件および前記発注元からテスト用仕入先1への商品の返品に関する条件を含むことが好ましい。具体的には、商品の注文単位がケース単位・ボール単位・バラ単位のいずれか、商品の返品が可能か不可能か、金額ありか無しか等の条件の組合せのことである。金額ありか無しかとは、発注条件に発注単位および最低発注数量だけでなく最低発注金額も有る(含まれる)か無い(含まれない)かを意味する。
【0035】
発注パターンマスタ106aの一例を、
図3の上図に示す。この表に示すように、各発注パターンにランク付け(ア〜セ)してもよい。また、この表に示すように、商品の返品が不可能な場合は、返品が可能な場合に比べて、リスクが大きいため、日数は短めに設定される。
図3の上図において、「返品」の項目における、1は、返品不可能であることを示し、0は、返品可能であることを示している。以下、日数取得処理の処理内容を具体的に説明する。
【0036】
日数取得部102aは、
図2の画面の「処理選択」の欄に設けられている、「発注パターンより発注点・安全在庫日数算出」と題した項目(1)に対応するチェックボックスが選択されると、以下の処理を行う。すなわち、例えば、発注元とテスト用仕入先1との間で取り決めされた商品取引条件が、「ケース単位(返品可)」であるとする。ここで、
図3の上図の発注パターンマスタ106aを参照すると、「ケース単位(返品可)」という商品取引条件に対応する安全在庫日数および発注点日数は、それぞれ、ランクAの14日および10日であることがわかる。このため、日数取得部102aは、テスト用仕入先1に対応する安全在庫日数および発注点日数として、それぞれ、14日および10日を取得する。そして、日数取得部102aは、取得結果を、
図4の左図(仕入先名:テスト用仕入先1)に示すように、画面に表示してもよい。日数取得部102aは、他の各仕入先についても、同様に、各仕入先に対応する安全在庫日数および発注点日数を取得し、また、取得結果を、
図4の右図(仕入先名:テスト用仕入先2)に示すように、画面に表示してもよい。
【0037】
このように取得した、テスト用仕入先1に対応する安全在庫日数および発注点日数(仕入先のランクに基づく日数)を、そのままテスト商品3の安全在庫日数および発注点日数としてもよいが、本実施形態においては、テスト商品3の出荷実績を考慮して、以下の回転率算出処理および掛率取得処理を行うことにより、テスト商品3の安全在庫日数および発注点日数を算出する。
【0038】
(回転率算出処理)
回転率算出部102bは、前記発注元からテスト用仕入先1へ発注するテスト商品3についての所定期間での出荷実績数量およびテスト商品3の最低発注数量に基づいて、テスト商品3の回転率(「月間出荷実績数量」/「仕入(発注)の最小ロット数」)を算出する回転率算出処理を行う。
【0039】
具体的には、回転率算出部102bは、
図2の画面の「処理選択」の欄に設けられている、「商品ランク及び発注点・安全在庫日数算出」と題した項目(2)に対応するチェックボックスが選択されると、以下の処理を行う。すなわち、例えば、テスト商品3についての1カ月間での小売業者に対する出荷実績数量が、60個であり、テスト商品3の最低発注数量(発注の最小単位)が、100個であるとする。この場合、回転率算出部102bは、テスト商品3の回転率を、60/100=0.6と算出する。
【0040】
(掛率取得処理)
掛率取得部102cは、回転率算出部102bで算出した回転率に基づいて、テスト商品3に適用する掛率を、商品ランクマスタ106cから取得する掛率取得処理を行う。
【0041】
ここで、商品ランクマスタ106cについて説明する。商品ランクマスタ106cは、前述のとおり、回転率に応じた掛率(安全在庫掛率:求められた安全在庫日数に乗ずる掛率)を記憶している。商品ランクマスタ106cの一例を、
図5の上図に示す。この表において、「不可」の項目は、テスト商品3の返品が不可能である場合に参照する回転率(返品不可回転率:返品不可設定の仕入先の場合に適用する回転率)を意味し、「可」の項目は、テスト商品3の返品が可能である場合に参照する回転率(返品可能回転率:返品可能設定の仕入先の場合に適用する回転率)を意味する。例えば、テスト商品3の返品が不可能である場合には、回転率が2以上のときは掛率=1.0となり、回転率が1より大きくて2より小さいときは掛率=0.8となり、回転率が0.5より大きくて1以下のときは掛率=0.2となり、回転率が0.5以下のときは掛率=0.0となる。以下、掛率取得処理の処理内容を具体的に説明する。
【0042】
掛率取得部102cは、
図2の画面の「処理選択」の欄に設けられている、「商品ランク及び発注点・安全在庫日数算出」と題した項目(2)に対応するチェックボックスが選択されると、前述した回転率算出処理に引き続いて、以下の処理を行う。すなわち、例えば、前述の回転率算出処理で説明したように、テスト商品3の回転率が0.6であり、且つ、テスト商品3が返品不可能である場合、
図5の上図の商品ランクマスタ106cを参照すると、回転率0.6に対応する掛率は、0.2であることがわかる。このため、掛率取得部102cは、テスト商品3に適用する掛率として、0.2を取得する。
【0043】
(日数算出処理)
日数算出部102dは、日数取得部102aで取得した安全在庫日数(14日)および発注点日数(10日)ならびに掛率取得部102cで取得した掛率(0.2)に基づいて、テスト商品3の安全在庫日数(「仕入先ランクの安全在庫日数」×「商品ランクの掛率」)および発注点日数(「仕入先ランクの発注点日数」×「商品ランクの掛率」)を算出する。
【0044】
具体的には、日数算出部102dは、テスト商品3の安全在庫日数を、14日×0.2=2.8日と算出するが、この2.8日は、四捨五入して、3日としてもよい。一方、日数算出部102dは、テスト商品3の発注点日数を、10日×0.2=2日と算出する。そして、日数算出部102dは、算出結果を、
図6の右図(品番名:テスト商品3)に示すように、画面に表示してもよい。日数算出部102dは、他のテスト商品についても同様に、回転率算出処理、掛率取得処理および日数算出処理を行い、また、算出結果を、
図6の左図(品番名:テスト商品1)および
図6の真ん中の図(品番名:テスト商品2)に示すように、画面に表示してもよい。
【0045】
(出荷数量算出処理)
出荷数量算出部102eは、テスト商品3についての所定期間での受注実績数量に基づいて、テスト商品3の一日当たりの必要出荷数量(「所定期間に相当する日数分の受注実績数量の集計値」/「所定期間に相当する日数」)を算出する。
【0046】
具体的には、出荷数量算出部102eは、
図2の画面の「処理選択」の欄に設けられている、「日当たり必要数量算出」と題した項目(3)に対応するチェックボックスが選択されると、以下の処理を行う。すなわち、例えば、テスト商品3についての直近10日間での小売り業者からの受注数量が10個であるとする。この場合、出荷数量算出部102eは、テスト商品3の一日当たりの必要出荷数量を、10個/10日=1個/日と算出する。この必要出荷数の値を、つぎの在庫数量算出処理においては、「日当り出荷数」としてセットして用いる。
【0047】
なお、出荷数量算出部102eにおける前記所定期間は、テスト商品3が定番商品か季節商品かを踏まえて設定されたものであることが好ましい。例えば、テスト商品3が、年間を通じて出荷数がそれほど変わらない定番商品である場合には、前記所定期間を長めとして、受注データの出荷日が算出基準日含む10日間の商品別受注数量を集計し、この集計値/10を、一日当たりの必要出荷数量(日当り必要数量)としてもよい。これに対して、季節に応じて出荷数が変わる季節商品である場合には、前記所定期間を短めとして、受注データの出荷日が算出基準日含む5日間の商品別受注数量を集計し、この集計値/5を、一日当たりの必要出荷数量(日当り必要数量)としてもよい。
【0048】
(在庫数量等算出処理)
在庫数量等算出部102fは、日数算出部102dで算出した安全在庫日数(3日)および発注点日数(2日)ならびに出荷数量算出部102eで算出した必要出荷数量(1個)に基づいて、テスト商品3の安全在庫数量(「日当り出荷数」×「テスト商品3の安全在庫日数」)および発注点数量(「日当り出荷数」×「テスト商品3の発注点日数」)を算出する。
【0049】
具体的には、在庫数量等算出部102fは、
図2の画面の「処理選択」の欄に設けられている、「日当たり必要数量算出」と題した項目(3)に対応するチェックボックスが選択されると、出荷数量算出処理に引き続いて、以下の処理を行う。すなわち、在庫数量等算出部102fは、テスト商品3の安全在庫数量を、3日×1個=3個と算出し、テスト商品3の発注点数量を、2日×1個=2個と算出する。そして、在庫数量等算出部102fは、算出結果を、
図8の右図(品番名:テスト商品3)に示すように、画面に表示してもよい。在庫数量等算出部102fは、他のテスト商品についても、同様に算出を行い、算出結果を、
図8の左図(品番名:テスト商品1)および
図8の真ん中の図(品番名:テスト商品2)に示すように、画面に表示してもよい。
【0050】
(作成処理)
作成部102gは、在庫数量等算出部102fで算出した安全在庫数量および発注点数量に基づいて、前記発注元から前記仕入先へ発注する対象商品の発注予定データを作成する作成処理を行ってもよい。
【0051】
具体的には、作成部102gは、
図9に示すように、画面の「処理選択」の欄に設けられている、「発注予定データ作成」と題した項目に対応するチェックボックスが選択されると、以下(1)〜(4)の処理により、発注する対象商品の選定を行い、発注予定データを作成する。
【0052】
(1)対象仕入先商品の抽出
まず、在庫管理がある商品または一般定番品(季節定番品も含む)を抽出する。
【0053】
(2)対象商品の抽出
前記(1)で抽出した商品の中から、「現在在庫数+発注残数量(入荷予定数量)<算出した発注点数量」を満たす商品を抽出する。
【0054】
(3)商品単位発注数量の算出
前記(2)で抽出した商品について、「算出した安全在庫数量−(現在在庫数+発注残数量(入荷予定数量))」という式で得られる数量をAとし、「A/発注単位数」という式で得られる数量をBとする(但し、計算結果Bは切り上げる)。なお、発注単位数は、バラの場合=1、ボール単位の場合=ボール入数、ケース単位の場合=ケース入数とする。
【0055】
(4)仕入先単位発注数量の算出
「仕入先単位で合計された前記B(または、B×商品単価により算出できる発注金額)≧仕入先の最低発注数(発注単位)(または最低発注金額)」という式が成り立てば、抽出した商品について、発注予定データを作成する。一方、「前記B(または、B×商品単価により算出できる発注金額)<仕入先の最低発注数(発注単位)(または最低発注金額)」の時は、仕入先情報の最低発注数(発注単位)(または最低発注金額)を満たすまで、他の発注候補となる商品を以下のようにして求める。すなわち、前記(1)および(2)の条件だけでなく、「現在在庫数+発注残数量(入荷予定数量)<算出した安全在庫数」という商品抽出の条件も加えて商品の抽出を行い、その後、前記(3)および(4)の処理を再び行うという繰り返し処理を、前記式が成り立つまで行い、発注予定データを作成する。このようにして作成される発注予定データの一例を、
図10に示す。
【0056】
このように、本実施形態によれば、安全在庫数量および発注点数量の算出を、卸売業界(特に、多品種の在庫を保持する必要のある日用雑貨の卸売業界)に導入し易い形で実現することができる。具体的には、本実施形態によれば、安全在庫数量および発注点数量の算出を、卸売業界にとって把握・維持し易い安全在庫日数および発注点日数をベースに実現することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、前記対象商品について算出した安全在庫数量および発注点数量に基づいて発注予定データを作成し、これにより、対象商品の自動発注を行うことができる。
【0058】
そして、本実施形態によれば、前記対象商品の安全在庫日数および発注点日数を、仕入先の分類および商品の回転率を参照して設定することができる。このため、本実施形態によれば、仕入先への発注条件や商品の取引状態を考慮した上で、前記対象商品の安全在庫数量および発注点数量を算出することができる。
【0059】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0060】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0061】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0062】
また、安全在庫等算出装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0063】
例えば、安全在庫等算出装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて安全在庫等算出装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0064】
また、このコンピュータプログラムは、安全在庫等算出装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0065】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム商品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明したような処理又は処理方法を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0066】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0067】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0068】
また、安全在庫等算出装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、安全在庫等算出装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0069】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。