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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-98091(P2018-98091A)
(43)【公開日】2018年6月21日
(54)【発明の名称】照明装置及び照明装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21V 17/00 20060101AFI20180525BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20180525BHJP
【FI】
   F21V17/00 150
   F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-243246(P2016-243246)
(22)【出願日】2016年12月15日
(71)【出願人】
【識別番号】390040280
【氏名又は名称】株式会社オプティコン
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】大上 洋平
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011AA03
3K011EA01
3K011FA07
(57)【要約】
【課題】 低コストで製造可能なリング状の拡散板を提供する。
【解決手段】 予め定められた第1の形状を有する拡散板の板材を用意する。第1の形状を有する板材を曲げて、予め定められた第2の形状に変形させる。拡散板を照明装置内に支持する部材である拡散板ガイドが、第2の形状に変形した板材の変形を維持しながら支持する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた第1の形状を有する拡散板の板材を曲げて、予め定められた第2の形状に変形させた板材からなる拡散板、及び、
前記第2の形状に変形した板材の変形を維持しながら、前記拡散板を照明装置内に支持する部材である拡散板ガイド
を備える照明装置。
【請求項2】
前記第1の形状は円環扇形であり、
前記第2の形状は、前記板材の主面が円錐台の錐体面の一部乃至全部をなすように、前記板材を曲げてなる形状である
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記照明装置は、前記拡散板ガイドとして、第1、第2及び第3の拡散板ガイドを備え、
前記第1の拡散板ガイドは、前記第2の形状に変形した板材のうち、円錐台の一方の底面に対応する第1の開口の変形を維持すると共に、前記第1の開口の移動を抑制し、
前記第2の拡散板ガイドは、前記第2の形状に変形した板材のうち、円錐台の他方の底面に対応する第2の開口の前記変形を維持し、
前記第3の拡散板ガイドは、前記第2の開口の移動を抑制する
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
更に、予め定められた第3の形状を有するライトコントロールフィルムを備え、
前記拡散板ガイドは、前記第2の形状に変形した板材と共に、前記第3の形状を有するライトコントロールフィルムを支持する
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項5】
予め定められた第1の形状を有する拡散板の板材を用意する段階、
前記第1の形状を有する板材を曲げて、予め定められた第2の形状に変形させる段階、及び、
拡散板を照明装置内に支持する部材である拡散板ガイドが、前記第2の形状に変形した板材の変形を維持しながら支持する段階
を含む、照明装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1の形状は円環扇形であり、
前記第2の形状は、前記板材の主面が円錐台の錐体面の一部乃至全部をなすように、前記板材を曲げてなる形状である
請求項5に記載の照明装置の製造方法。
【請求項7】
前記照明装置は、前記拡散板ガイドとして、第1、第2及び第3の拡散板ガイドを備え、
前記第1の拡散板ガイドは、前記第2の形状に変形した板材のうち、円錐台の一方の底面に対応する第1の開口の変形を維持すると共に、前記第1の開口の移動を抑制し、
前記第2の拡散板ガイドは、前記第2の形状に変形した板材のうち、円錐台の他方の底面に対応する第2の開口の前記変形を維持し、
前記第3の拡散板ガイドは、前記第2の開口の移動を抑制する
請求項6に記載の照明装置の製造方法。
【請求項8】
前記拡散板ガイドは、前記第2の形状に変形した板材と共に、予め定められた第3の形状を有するライトコントロールフィルムを支持する請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の照明装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置に関し、特に、リング照明装置に用いる光拡散板に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具の一種にリング照明装置がある。リング照明装置は、ドーナツ状の筐体に複数の発光素子を配置した照明装置である。発光素子は筐体に沿って円環状に配置される。
【0003】
図13の撮影システム50を例に挙げて説明する。撮影システム50は、リング照明装置51、カメラ3、ワーク4を備える。リング照明装置51は円柱の中心に円形の開口を有するドーナツ状の装置である。図では円柱を側面から眺めているので長方形に描かれている。カメラ3は撮像装置である。撮像装置の種類は問わず、ビデオカメラ、デジタルカメラ、銀塩カメラであってもよい。ワーク4は、リング照明装置51が光を照射する対象物であり、カメラが撮像する対象物である。ワーク4は撮影台6に載っている。カメラ3の光軸7は開口を通過してワーク4に至る。
【0004】
リング照明装置51はワーク4の頭上に複数の発光素子を円環状に配置する。これら複数の発光素子を全て点灯することにより、ワーク4に様々な方向から光を照射し、ワーク4の全体を均一に照らす。このためカメラ3はワーク4表面を明瞭に撮像することができる。
【0005】
すべての発光素子を点灯する代わりに、発光素子を例えばひとつずつ順番に発光させて、発光毎に撮像して複数の画像データを生成した後、これら複数の画像データに対してコンピュータで画像処理を行うこともある。このようにすれば、特定の方向から光を当てないと陰影がはっきりしないような形状がワークにあったとしても、複数の画像データのどれかにはっきりと映っている公算が高く、これら画像データを合成してより明瞭なワークの画像を得ることができる。
【0006】
リング照明装置51の発光素子は例えばLED(Light Emitting Diode)である。一般にLEDは指向性の強い光を発する。指向性の強い光をワーク4に照射すると、発光素子の輪郭がワーク4上に現れて、ワーク4上の光が不均一になる場合がある。これを避けるため、発光素子を拡散板で覆うタイプのリング照明装置が用いられている。
【0007】
この種のリング状の拡散板を備えるリング照明装置が特許文献1に記載されている。同文献によれば、投稿部材5は円環状の形状を有し(同文献第0020段落)、「透光性及び光拡散性を有する」(同文献第0024段落)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−315839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
リング状乃至円環状の拡散板を製造する一般的な製造方法では、まず金型を製作し、次に、その金型を用いてリング状の拡散板を成形する。一般に金型の製作には高いコストがかかるので、こうした製造方法によって製造した拡散板を備えるリング照明装置の製造コストは高くなりやすい。
【0010】
こうした金型を用いた製造コストは大量生産により圧縮することができる。しかし、生産量が少ない場合、こうした製造コストの圧縮効果を得ることができない。このため、大きさの異なるリング照明装置を少量ずつ製造する場合等には製造コストを抑制するのは難しい。
【0011】
また、金型を用いて拡散板を製造する場合、特に、大型のワークのためのリング照明装置の製造コストを抑えるのが難しい。一般に、リング照明装置では、ワークを取り囲むように発光素子を配置する。このため、ワークが大型化すると、リング照明装置も大型化し、必然的に拡散板も大型化する。大型の拡散板を成形するには、大型の金型が必要になるが、一般に大型の金型の製造コストは特に高額である。その結果、従来、大型のワークに対応するリング照明装置は特に高価になりやすかった。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、低コストで製造可能なリング状の拡散板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題を解決するため、本発明は、その一態様として、予め定められた第1の形状を有する拡散板の板材を曲げて、予め定められた第2の形状に変形させた板材からなる拡散板、及び、第2の形状に変形した板材の変形を維持しながら、拡散板を照明装置内に支持する部材である拡散板ガイドを備える照明装置を提供する。
【0014】
第1の形状は円環扇形であり、第2の形状は、板材の主面が円錐台の錐体面の一部乃至全部をなすように、板材を曲げてなる形状であることが好ましい。
【0015】
照明装置は、拡散板ガイドとして、第1、第2及び第3の拡散板ガイドを備えることとしてもよい。第1の拡散板ガイドは、第2の形状に変形した板材のうち、円錐台の一方の底面に対応する第1の開口の変形を維持すると共に、第1の開口の移動を抑制する。第2の拡散板ガイドは、第2の形状に変形した板材のうち、円錐台の他方の底面に対応する第2の開口の変形を維持する。第3の拡散板ガイドは、第2の開口の移動を抑制する。
【0016】
更に、予め定められた第3の形状を有するライトコントロールフィルムを備え、拡散板ガイドは、第2の形状に変形した板材と共に、第3の形状を有するライトコントロールフィルムを支持することとしてもよい。
【0017】
また、本発明は、他の一態様として、予め定められた第1の形状を有する拡散板の板材を用意する段階、第1の形状を有する板材を曲げて、予め定められた第2の形状に変形させる段階、及び、拡散板を照明装置内に支持する部材である拡散板ガイドが、第2の形状に変形した板材の変形を維持しながら支持する段階を含む、照明装置の製造方法を提供する。
【0018】
第1の形状は円環扇形であり、第2の形状は、板材の主面が円錐台の錐体面の一部乃至全部をなすように、板材を曲げてなる形状であることが好ましい。
【0019】
照明装置は、拡散板ガイドとして、第1、第2及び第3の拡散板ガイドを備えることとしてもよい。第1の拡散板ガイドは、第2の形状に変形した板材のうち、円錐台の一方の底面に対応する第1の開口の変形を維持すると共に、第1の開口の移動を抑制する。第2の拡散板ガイドは、第2の形状に変形した板材のうち、円錐台の他方の底面に対応する第2の開口の変形を維持する。第3の拡散板ガイドは、第2の開口の移動を抑制する。
【0020】
拡散板ガイドは、第2の形状に変形した板材と共に、予め定められた第3の形状を有するライトコントロールフィルムを支持することとしてもよい。
【0021】
尚、円環とは、同一平面上にあり、互いに半径が異なる2つの同心の円で挟まれた領域がなす形状である。円錐台とは、円錐を底面と平行な平面で切って小円錐の部分を除いた形状である。錐体面とは、平面上にない点と、その平面上の閉曲線上の各点を結ぶ直線の軌跡がなす面である。
【0022】
第1の形状は、例えば実施の形態にいう円環扇形23に対応する。第2の形状は、例えば実施の形態にいう拡散板16がなす円錐台の錐体面に対応する。第3の形状は、例えば実施の形態にいうライトコントロールフィルム片32の形状である、円環扇形に対応する。第1の拡散板ガイドは例えば実施の形態にいう拡散板ガイド14に対応する。第2の拡散板ガイドは例えば実施の形態にいう拡散板ガイド17に対応する。第3の拡散板ガイドは例えば実施の形態にいう拡散板ガイド18に対応する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、例えば拡散板を備えるリング照明装置を製造するために、金型を用意して拡散板を製造する必要がない。このため、同一仕様のリング照明装置を少量だけ製造する場合であっても、低いコストで拡散板を生産することができる。
【0024】
また、金型を用いて拡散板を製造する場合、大型の拡散板を製造するためには大型の金型が必要になり、生産コストが大きくなりやすく、また、技術的に製造が困難だが、本発明によれば、板材を曲げて拡散板を成形するので、大型の拡散板であっても容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施の形態である撮影システム1の模式図である。
図2図1に図示したリング照明装置2を斜め上から見下ろした状態を図示した斜視図である。
図3図1に図示したリング照明装置2を斜め下から見上げた状態を図示した斜視図である。
図4】リング照明装置2の分解斜視図である。
図5】板材から切り出した直後の拡散板16の平面図である。
図6】板材から切り出した拡散板16を曲げて円錐台を形成するまでの過程を説明するための図である。
図7】板材から切り出した拡散板16を曲げて円錐台を形成するまでの過程を説明するための図であり、板材から切り出した直後の円環扇形23を示す平面図である。
図8】板材から切り出した拡散板16を曲げて円錐台を形成するまでの過程を説明するための図であり、円環扇形23を少し丸めた状態を示す斜視図である。
図9】板材から切り出した拡散板16を曲げて円錐台を形成するまでの過程を説明するための図であり、円環扇形23を丸めて、円錐台状の拡散板16を成形した状態を示す斜視図である。
図10】リング照明装置2の一変形である、ライトコントロールフィルム31を備えるリング照明装置30の分解斜視図である。
図11】ライトコントロールフィルム31を構成するライトコントロールフィルム片32の平面図である。
図12】リング照明装置2の一変形が備える拡散板40について説明するための斜視図である。
図13】従来のリング照明装置51を用いた撮影システム50の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態である撮影システム1について説明する。図1を参照すると、撮影システム1は、リング照明装置2、カメラ3、ワーク4を備える。リング照明装置2は円柱の中心に円形の開口5を有するドーナツ状の装置である。図1では円柱を側面から眺めた状態なので長方形に描かれている。カメラ3は撮像装置である。カメラの種類は問わず、ビデオカメラ、デジタルカメラ、銀塩カメラであってもよい。ワーク4は、リング照明装置2が光を照射する対象物であり、カメラ3が撮像する対象物である。ワーク4は撮影台6に載っている。カメラ3の光軸7は開口5を通過してワーク4に到達する。
【0027】
図2、3、4を参照して説明する。以下、図1の撮影システム1において、光軸7のカメラ3の側をリング照明装置2の下側或いはボトム側と呼び、ワーク4の側をリング照明装置2の上側或いはトップ側と呼ぶものとする。
【0028】
リング照明装置2は円柱の中心に円形の開口5を有する。リング照明装置2は、ベースプレート11、LED(Light Emitting Diode)ブラケット12、熱伝導シート13−1〜13−16、拡散板ガイド14、LED基板15−1〜15−16、拡散板16、拡散板ガイド17、18を備える。
【0029】
ベースプレート11は、アルミニウム等からなる円環状の金属板である。ベースプレート11はねじ穴11A、11B、11Cを備える。ねじ穴11Aは拡散板ガイド14を固定するためのねじ穴である。ねじ穴11BはLEDブラケット12を固定するためのねじ穴である。ねじ穴11Cは拡散板ガイド17を固定するためのねじ穴である。
【0030】
ベースプレート11は、LEDブラケット12、熱伝導シート13−1〜13−16を介してLED基板15−1〜15−16を支持する。また、ベースプレート11は、LEDブラケット12、熱伝導シート13−1〜13−16を介してLED基板15−1〜15−16から伝導した熱を放熱する。ベースプレート11の材質、形状は、これら支持、放熱の観点から適宜選択することが好ましい。
【0031】
LEDブラケット12はアルミニウム等の金属板を折り曲げたものである。図示したように内側には開口5に対応する円孔を有する。また、LEDブラケット12はベースプレート11のねじ穴11Bに対応するねじ穴12Bを有する。LEDブラケット12の外側は正十六角形を描き、その各辺から、支持板12−1〜12−16がベースプレート11から斜めに立ち上がる。LEDブラケット12は熱伝導シート13−1〜13−16を介してLED基板15−1〜15−16を支持する。また、LEDブラケット12は、熱伝導シート13−1〜13−16を介してLED基板15−1〜15−16から伝導した熱を放熱すると共に、熱をベースプレート11に伝導する。LEDブラケット12の材質、形状は、これら支持、放熱、伝熱の観点から適宜選択することが好ましい。
【0032】
熱伝導シート13−1〜13−16は16枚の熱伝導シートである。熱伝導シート13−1〜13−16は、LED基板15−1〜15−16が発生する熱を素早くLEDブラケット12の支持板12−1〜12−16に伝えるために設けられている。熱伝導シート13−1〜13−16は例えばシリコーン系部材、アクリル系部材、多孔質セラミック等からなる。尚、以下では熱伝導シート13−1〜13−16を総称して熱伝導シート13と記すこともある。
【0033】
拡散板ガイド14は例えばABS樹脂、即ち、アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂からなる円環状の部品である。拡散板ガイド14はベースプレート11のねじ穴11Aに対応する不図示のねじ穴14Aを有する。
【0034】
図4に示したように拡散板ガイド14は上側に溝14Bを有する。この溝に、拡散板16がなす円錐台の2つの底面のうち、下側の底面の円周を嵌め込むことにより、拡散板ガイド14は拡散板16を支持する。
【0035】
LED基板15−1〜15−16は、発光素子であるLEDと、LEDを発光させるために必要な回路を組み込んだ基板である。LED基板15−1〜15−16は、それぞれ順に、熱伝導シート13−1〜13−16を介して、LEDブラケット12の支持板12−1〜12−16に支持される。以下、LED基板15−1〜15−16を総称してLED基板15と記すこともある。
【0036】
拡散板16は、アクリル樹脂等の透明材料の中に、拡散剤と呼ばれる透明材料と屈折率の異なる粒子を分散させた板材を、予め定められた形状に切り出した後で、丸めて円錐台状にしたものである。透明材料は例えばガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等であってもよい。拡散剤は例えばシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリコーン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂の微粒子を用いる。
【0037】
拡散板16は、LED基板15のLEDが発する光を拡散し、光が当たった範囲内の明るさを一様にする機能を有する。LED基板15上のLEDはそれぞれ実質的に点光源として作用するので、そのままではワーク4の表面に照明ムラが生じる恐れがある。拡散板16は、点光源が放射した光を拡散して、光が当たる範囲を拡大すると共に、その範囲内の明るさを均一化する。このため、ワーク4の表面で照明ムラが発生するのを抑制することができる。
【0038】
拡散板ガイド17は、例えばABS樹脂、即ち、アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂からなる。図5を参照すると、拡散板ガイド17は中空の円筒部17A、円筒部17Aの一方の開口に配置された円環部17B、ベースプレート11のねじ穴11Cに対応するねじ穴17Cを備える。また、拡散板ガイド17は拡散板ガイド18を固定するためのねじ穴17Dを備える。
【0039】
円環部17Bの開口17Eには傾斜が設けられている。開口部17Eの直径は上側と下側とで異なる。上側、即ち、図1におけるワーク4側の半径は大きく、下側、即ち、図1におけるカメラ3側の半径は小さい。開口部17Eの内壁は円錐台の錐体面をなす。この錐体面は、拡散板16がなす円錐台の錐体面に対応する。開口17Eの錐体面は拡散板16の錐体面を保持する。
【0040】
拡散板ガイド18は、例えばABS樹脂、即ち、アクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合合成樹脂からなる円環板状の部品である。拡散板ガイド18は拡散板ガイド17のねじ穴17Dに対応するねじ穴18Dを備える。
【0041】
拡散板ガイド18の開口18Aは、拡散板ガイド17の開口部17Eの上側よりもわずかに小さい。図5を参照すると、開口18Aの内側の半径をRaとし、開口部17Eの内側、上側の半径をRbとし、拡散板16をなす板材の厚さをTとする。拡散板16がなす円錐台に対応する円錐の頂点Oから、その円錐の底面に垂線を下し、錐体面と垂線がなす角度をθとする。この垂線は光軸7と一致する。このとき次の不等式が成り立つようにRa、Rb、T、θを定める。
Ra≦Rb−T/cosθ…(式1)
【0042】
式1の関係を満たすようにすれば、開口18Aの内径は、拡散板ガイド17が保持した拡散板16の内径よりも小さくなる。このため、拡散板16は、光軸7の方向については、拡散板ガイド14と拡散板ガイド18によって固定される。光軸7に垂直な面の方向については、拡散板16は拡散板ガイド14の溝14Bと、拡散板ガイド17の開口部17Eによって固定される。
【0043】
次に、拡散板16を板材から切り出して円錐台に丸める過程について説明する。図6に示すように、円環をなす2つの円、内円21と外円22のうち、外円22の2本の半径を外半径R1、R2と呼ぶとき、内円21、外円22、外半径R1、R2で囲まれたC字型の領域を円環扇形23と呼ぶものとする。このとき、拡散板板材から円環扇形23を切り出す。
【0044】
拡散板板材は、アクリル樹脂、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等からなる透明材料に、例えばシリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリコーン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂の微粒子のような拡散剤を充填して製造した板材である。これらの拡散板板材は弾性を有し、外力を加えることにより弾性変形する。
【0045】
切り出した直後の拡散板板材は、図7に示すように円環扇形23の平板である。図8に示すようにこの平板を弾性変形させて曲げる。円環扇形23の端部24、25を互いに近づけて、図9に示すように両端を接合することにより、円錐台の錐体面を形成して、拡散板16を形成する。拡散板16は2つの開口を有する。対応する円錐の頂点側の開口を小円側開口26と呼び、同じく対応する円錐の底面側の開口を大円側開口27と呼ぶものとする。
【0046】
次に、リング照明装置2の組み立て方法について説明する。
【0047】
LEDブラケット12に、LED基板15、熱伝導シート13を固定し、そのLEDブラケット12をベースプレート11に固定する。
【0048】
次に、拡散板ガイド14をベースプレート11に固定する。
【0049】
次に、図7−9を参照して説明したように、円環扇形23を丸めて、円錐台の錐体面を形成した拡散板16を、小円側開口26を先にして、拡散板ガイド17の開口部17Eから挿入し、小円側開口26を拡散板ガイド14の溝14Bに嵌め込む。この嵌め込みにより拡散板ガイド14は拡散板16の変形を維持しながら保持する。このため、弾性体の復元力によって端部24、25の小円側開口26側が開いてしまい、その結果、円錐台の錐体面をなす拡散板16が元の平板状の円環扇形23に戻るのを防ぐことができる。また、拡散板ガイド14は光軸7の下側に拡散板16が移動するのを抑制する。
【0050】
ここまでで、ベースプレート11の上に、LED基板15及び熱伝導シート13を固定したLEDブラケット12と、拡散板ガイド14とが固定されている。これらを覆うようにして、拡散板ガイド17を被せて、ベースプレート11に固定する。
【0051】
拡散板ガイド17をベースプレート11に固定する際、大円側開口27を拡散板ガイド17の開口部17Eに嵌め込む。これにより、拡散板ガイド17は拡散板16の変形を維持しながら、大円側開口27を保持する。拡散板ガイド17は、弾性体の復元力によって端部24、25の大円側開口27側が開いてしまい、その結果、円錐台の錐体面をなす拡散板16が元の平板状の円環扇形23に戻るのを防ぐことができる。
【0052】
拡散板16の高さ、及び、拡散板ガイド17の高さは、拡散板ガイド17をベースプレート11に固定したとき、大円側開口27の縁の高さと、円環部17Bの表面とが一致するように構成される。これにより、拡散板ガイド17をベースプレート11に固定したとき、上側において、拡散板16と拡散板ガイド17の間に段差が生じない。
【0053】
上述のように、開口部17Eは、拡散板16がなす円錐台の錐体面に対応する斜面を有するので、拡散板ガイド17が拡散板16を保持する際、開口17Eと拡散板16の間には隙間が生じない。
【0054】
最後に、拡散板ガイド17の上側に拡散板ガイド18を固定する。図5を参照して説明したように、開口18Aの内径は、拡散板ガイド17が保持した拡散板16の内径よりも小さくなる。拡散板ガイド18は、ちょうど拡散板16の大円側開口27に上から蓋をしたように作用して、拡散板16が光軸7の上側に移動するのを抑制する。一方、拡散板16の光軸7の下側への移動については、拡散板ガイド14が抑制する。このため、拡散板16の光軸7方向の移動は、拡散板ガイド14と拡散板ガイド18に挟まれて抑制され、リング照明装置2の中に固定される。尚、拡散板16の光軸7に対して垂直な面の方向への移動については、拡散板ガイド14の溝14Bと、拡散板ガイド17の開口部17Eによって抑制される。
【0055】
拡散板ガイド14、17、18は例えば3Dプリンタによって製造することができる。3Dプリンタを用いると、様々な大きさの拡散板ガイド14、17、18を容易に製造することができる。本発明の拡散板16も様々な大きさのものを容易に製造することができる。特に、ワーク4が大きくなると、リング照明装置2も大きくなり、拡散板16も大型化する。従来の拡散板の製造方法では、金型が必要になるため、大型化が困難だったが、本発明の拡散板は平板を円環扇形に切り出した後、丸めて成形するため、金型が不要であり、大型化が容易である。
【0056】
(変形1)
リング照明装置2の一変形であるリング照明装置30について説明する。図10を参照すると、リング照明装置30は、リング照明装置2に、ライトコントロールフィルム(Light Control Film、以下LCFとも記す)31を追加したものである。
【0057】
図10に示すように、LCF31は拡散板16の内側に載置され、拡散板16と共に、拡散板ガイド14、17、18によって支持される。LCF31は、特定方向を通過した光の拡散を抑制し、光の平行度を高める効果を有する。
【0058】
上述のように、拡散板16は、LED基板15のLEDが発する光を拡散して、光の照射範囲を広げると共に、照射範囲内の明るさを均一化する。光を拡散することにより、拡散板16は様々な方向に向かって光を出射するので、ワーク4の表面には様々な方向からの光が到来する。その結果、ワーク4の表面の陰影が不鮮明になる恐れがある。LCF31は、拡散板16から出射した光の平行度を高め、ワーク4表面の陰影を強調する機能を有する。
【0059】
LCF31は、16枚のLCF片32−1〜32−16からなる。以下、LCF片32−1〜32−16を総称してLCF片32とも記す。図11に示すように、LCF片32は、ライトコントロールフィルムのフィルム材を、円環扇形に切り出したものである。
【0060】
LCF31からの出射光は方向性を有する。このため、ワーク4に対して所望の方向から光を当てるためには、出射光の方向を考慮してLCF31を拡散板16上に配置する必要がある。LCF31は16枚のLCF片32に分割されているので、LCF片32の一片毎に方向を最適化して配置することができる。
【0061】
(変形2)
リング照明装置2、30では、弾性体である拡散板の平板板材を丸めて、円錐台の錐体面を形成したものを拡散板16として用いた。その際、拡散板ガイド14、18によって、拡散板16が光軸7方向に移動するのを抑制する一方、拡散板ガイド14、17によって、平板板材に戻ろうとする復元力を抑制しつつ、光軸7に対して垂直な方向に拡散板16が移動するのを抑制した。
【0062】
このように、拡散板ガイド14、17、18は、拡散板16の移動と復元力による変形を抑制するが、本発明では、拡散板の形状は必ずしも円錐台の錐体面を形成する必要はない。
【0063】
例えば、円錐台を二等分したものの一方の錐体面を考える。円錐台の上下の2つの底面が共に半円となるように、光軸7を含む面に沿って円錐台を二等分する。図12に示すように、こうしたいわば半円錐台の錐体面を形成するように、拡散板板材を曲げて弾性変形させたものを、拡散板40として拡散板16の代わりに用いることとしてもよい。
【0064】
この場合、拡散板16を拡散板40に単に置き換えるだけではなく、ベースプレート11、LEDブラケット12、熱伝導シート13、拡散板ガイド14、LED基板15、拡散板16、拡散板ガイド17、18についても、例えば図4、10において光軸7を含む面に沿って二等分した半円形状、半円柱形状、或いは、半円錐台の錐体面状にすることが好ましい。
【0065】
本発明は上記の実施の形態やその変形に限定されるものではないことはいうまでもなく、目的や用途に応じて適宜設計変更可能である。
【0066】
例えば、変形2では、光軸7を含む平面で円錐台を二等分し、その一方の錐体面をなす拡散板を用いたが、必ずしも円錐台を二等分する必要はない。光軸7を含み、かつ、光軸7で互いに角度φで交わる2平面を考える。この2平面によって二分した円錐台の一方の錐体面をなすような拡散板を用いることとしてもよい。角度φは0度より大きく180度以下の任意の角度である。角度φが180度のとき上述の二等分に相当する。この場合、ベースプレート11、LEDブラケット12、熱伝導シート13、拡散板ガイド14、LED基板15、拡散板16、拡散板ガイド17、18についても、それぞれがなす円弧の中心角が角度φとなるようにすればよい。
【符号の説明】
【0067】
1、50 撮影システム
2、30、51 リング照明装置
3 カメラ
4 ワーク
5 開口
6 撮影台
7 光軸
11 ベースプレート
11A、11B、11C ねじ穴
12 LED(Light Emitting Diode)ブラケット
13 熱伝導シート
14、17、18 拡散板ガイド
14B 溝
15 LED基板
16、40 拡散板
17A 円筒部
17B 円環部
17D ねじ穴
17E 開口部
18A 開口
21 内円
22 外円
23 円環扇形
24、25 端部
26 小円側開口
27 大円側開口
31 ライトコントロールフィルム(LCF)
32 ライトコントロールフィルム(LCF)片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13