(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-99492(P2018-99492A)
(43)【公開日】2018年6月28日
(54)【発明の名称】熱源保持器具およびそれを用いた温眼器
(51)【国際特許分類】
A61H 39/06 20060101AFI20180601BHJP
【FI】
A61H39/06 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-257938(P2016-257938)
(22)【出願日】2016年12月20日
(71)【出願人】
【識別番号】517013597
【氏名又は名称】秋保 良子
(72)【発明者】
【氏名】秋保 良子
【テーマコード(参考)】
4C101
【Fターム(参考)】
4C101CA04
4C101CB12
4C101CB14
4C101CB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】熱源を簡易に固定することで、体を動かしても安全性、温熱効果が十分に発揮される熱源保持器具およびそれを用いた温眼器を提供する。
【解決手段】筒部aの一端に接する略半円状の網部bと、網部の筒部と接する反対側を覆う取り外し可能な蓋部cを有し、網部は略同一の2つの網部から構成され、その間に挟み込むことで熱源dを固定することが可能であり、熱源は筒部の他端から露出しない内側の位置に固定される熱源保持器具。および、眼鏡フレームの形状を有した土台部に、従来はレンズが配置される位置に前記熱源保持器具が2つ固定されて成る温眼器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部の一端に接する略半円状の網部と、網部の筒部と接する反対側を覆う取り外し可能な蓋部を有し、前記網部は略同一の2つの網部から構成され、その間に挟み込むことで熱源を固定することが可能であり、熱源は筒部の他端から露出しない内側の位置に固定される熱源保持器具
【請求項2】
前記筒部は長さ調節ができる機構を有し、前記筒部の他端と熱源との距離を調節可能な請求項1に記載の熱源保持器具
【請求項3】
土台部に請求項1または2に記載の熱源保持器具が2つ固定されて成る温眼器
【請求項4】
土台部は眼鏡フレームの形状を有し、従来はレンズが配置される位置に熱源保持器具が2つ固定されて成る請求項3に記載の温眼器
【請求項5】
前記筒部の他端にクッション部を有する請求項4に記載の温眼器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、安全で取り扱い容易な熱源保持器具、温眼器、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
近年、健康に関する意識の高まりから、お灸を活用した「冷え対策」「疲労回復」「体質改善」などに注目が集まっている。従来のもぐさを山にして火をつけるタイプのお灸だけでなく、テープで固定可能な台座が付いた使いやすいお灸や、おなかや腰などを広範囲に暖める箱タイプのお灸、特殊な筒状の器具の中でお灸が燃えて目の周りを穏やかに暖める目のお灸など、様々なタイプが提案されている(非特許文献1参照)。
特に、目のお灸は、眼精疲労やドライアイ、肩こり、目のクマ、くすみなどに有効と言われており、オフィスワーカーの抱える多くの悩みを解消することに役立つことが期待される一方、「目にお灸ができるの」「熱くないの」「怖い」というイメージもあり、普及が阻害されているという問題がある。それらの懸念を解消する手段として、間接的に目の回りを暖めるような工夫が提案されている(非特許文献2参照)。
類似の技術として、「蒸気でホットアイマスク」や「レンジで温めた小豆で目を温める」ものもあるが、メイクが崩れるという大きな問題があると共に、比較的長い拘束時間が必要となる。それに対して、お灸で目を温める方法は、直接目に触れることがないため、メイクが崩れることもなく比較的短時間(5分程度)で終了するため、特に、女性が手軽に活用する上で画期的である(非特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【非特許文献1】http://okyudo.com/?page_id=45
【非特許文献2】http://89−daimaru.com/eye灸治療
【非特許文献3】http://www.kao.co.jp/megrhythm/eye/products/
【非特許文献4】http://www.kiribai.co.jp/products/category/detail.html?pr=8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
従来報告されている方法では、網状の閉空間の中に熱源を閉じ込め、目と熱源の距離を一定以上に保ち安全を確保すること、目を含む一定範囲を箱状のもので覆うことでその範囲全体を緩やかに暖めることができることなどの工夫が施されている。しかし、熱源が固定されていないため、暖めたい場所をピンポイントで指定できないこと、体を動かすと熱源が動くためお灸中は身動きが取れないこと、熱源が動く事により恐怖を感じること、などの問題があり、その解決が望まれている。
【課題を解決するための手段】
上記事情に鑑み、本発明者は温眼器に熱源を簡易に固定する検討を進めた結果、略半円状のフレキシブルな網部を2つ用意し、凸部を同一方向に向けて重ね、その間に熱源を挟み込むことにより、任意の位置に熱源を固定することに成功した。本方法を用いると熱源の除去も非常に容易である。さらに、温眼器を顔に固定するためにメガネフレームのような構造を持たせると、顔を左右に振ったり、立ち上がったりしても目と熱源の位置関係が変化しないようにすることができる。
すなわち、本発明は、筒部の一端に接する略半円状の網部と、網部の筒部と接する反対側を覆う取り外し可能な蓋部を有し、前記網部は略同一の2つの網部から構成され、その間に挟み込むことで熱源を固定することが可能であり、熱源は筒部の他端から露出しない内側の位置に固定される熱源保持器具である。
また、前記筒部は長さ調節ができる機構を有し、前記筒部の他端と熱源との距離を調節可能になっていると、温度の調節ができるようになるため、より好適に用いられる。
さらに、眼鏡フレームの形状を有した土台部に上記熱源保持器具が2つ固定されていると、お灸をしたまま体勢を変える事が可能になるため、より好適に用いられる。
さらに、記筒部の他端にクッション部を有すると顔に接する部分が柔らかくなるため、より好適に用いられる。
【発明の効果】
本発明によれば、熱源と目の位置が固定された温眼器が提供されるので、ピンポイントで患部を温めることができるようになると共に、お灸をしたまま体勢を変える事も可能になり、施術の容易性、安全性を向上させることができると同時に、被施術者の恐怖心を大幅に軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【
図1】a.筒部 二重になっておりスライドする。b.網部 同一の網を2個使用し重ね合わせている。c.蓋部 紙で作成 d.熱源 炭を使用 e.クッション部 肌に接する部分(布製で弾力もある) f.熱源保持器具
【
図2】a.筒部 2重構造(スライドして距離を調節可能) b.網部 同一の網を2個使用している c.蓋部 d.熱源 e.土台部 メガネフレーム f.熱源保持器具 h.温眼器
【
図3】a.筒部 b.網部 c.土台部 d.クッション部 肌に接する部分(布製で弾力がある) e.熱源保持器具 f.温眼器
【発明を実施するための形態】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の熱源保持器具は、筒部、網部、蓋部を含む。また、本発明の温眼器は、前記熱源保持器具、土台部を含む。この網部に熱源が固定され温眼器としての機能が発揮される。
<筒部>
本発明の筒部は、筒状であれば断面形状は特に限定されないが円形や四角形などが好適に用いられる。前記形状が維持できれば、材質は特に限定されないが、例えば、紙、プラスチック、有機フィルム、繊維、金属、木、無機材料などが好適に用いられる。
<網部>
本発明の網部は、空気や熱を通す必要があるため網状であって、一定の耐熱性を有する材質で構成される。例えば、金属網、耐熱性樹脂網などを用いることができる。また、様々な形の熱源を2つの網部で挟み込んで固定するため、ある程度の柔軟性があった方がよく、略半円状の形状を有するようにすると良い。
<蓋部>
本発明の蓋部は、酸素を遮断することなく熱が逃げないようにするためのものであり、熱源に接することもないので、材質形状等は特に問わないが、概ね筒の一端を覆っていたほうが良い。材質は特に限定されないが、例えば、紙、プラスチック、有機フィルム、繊維、金属、木、無機材料などが好適に用いられる。
<熱源>
離散し難い熱源であれば良い。例えば、炭、ペレット木材、圧縮して錠剤化したもぐさなどが好適に用いられる。
<熱源保持器具>
本発明の熱源保持器具は、筒部の一端に前記網部が固定されている。固定方法は、各種接着剤、各種粘着テープ、ホッチキス、縫い付け、などを用いることができる。2つ目の網部は凸な方向を同じ側にして重ねられており、その間に熱源を挟み込むように設置されている。同一の網部を二つ用いれば、摩擦力でしっかりと固定することもできる。そうでない場合でも、テープ等で固定することができる。熱源は筒部の他端から露出しない内側の位置に固定されるように配置されている。
さらに網部の側に蓋部が取り付けられているが、これは、逆さにしても落ちてこない程度に固定されていれば良く、テープ等で固定されていてもよいが、単に摩擦力で固定されている程度でも良い。
加えて、筒を2重にしてスライドさせる構造を持たせると、熱源を固定した網部と筒部他端の距離を調節することが可能になる。このようにすると前記筒部他端の温度を調節することができる。
<土台部>
本発明の土台部は、前記熱源保持部を土台部に固定した上で、被施術者の顔に接して固定される。
熱源保持部の固定方法は、各種接着剤、各種粘着テープ、ホッチキス、縫い付け、などを用いることができる。土台部の材質は特に限定されないが、例えば、紙、プラスチック、有機フィルム、繊維、金属、木、無機材料などが好適に用いられる。形状は顔に接して固定できる形状であれば特に限定されないが、柔軟性のある板状やメガネフレーム状などが好適に用いられる。
<クッション部>
本発明のクッション部は、前記筒部の顔に接する側の端面に設けられる。材質は特に限定されないが、例えば、紙、プラスチック、有機フィルム、繊維など柔らかいものが好適に用いられる。筒部への固定方法は、各種接着剤、各種粘着テープ、ホッチキス、縫い付け、などを用いることができる。
<温眼器>
本発明の温眼器は、土台部に前記熱源保持器具が2つ固定されて成る。固定方法は、各種接着剤、各種粘着テープ、ホッチキス、縫い付け、などを用いることができる。固定する位置は、両目のそれぞれの位置をカバーするようにする必要がある。例えば、眼鏡フレーム状の土台部を用いた場合、従来レンズが配置される位置に固定すると良い。このようにすると、熱源と目の位置関係が固定されるため、大きく姿勢を動かした場合でも適切な状態が保持される。したがって、ピンポイントで患部を温めることができるようになると共に、お灸をしたまま体勢を変える事も可能になり、施術の容易性、安全性を向上させることができると同時に、被施術者の恐怖心を大幅に軽減させることができる。
【実施例1】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
本実施例の熱源保持器具は、筒部、網部、蓋部から構成される。また、本発明の温眼器は、前記熱源保持器具が土台部に2つ固定されている。前記網部に熱源が固定され温眼器としての機能が発揮される。
また、温眼器と眼との間にティッシュや布などを挟むことにより、熱量の調整も可能である。
<筒部>
本実施例の筒部は、厚紙を円筒状に丸め、ホッチキスで固定することにより形成される。円筒の直径を50mm、長さを60mmとした。
熱気を循環させるために円筒を円錐台にしても良いが、実施例1では、円筒にして台に固定せずに顔に出来るだけフィットするようにした。
<網部>
本実施例の網部は、網状の金属を用いた茶漉しを利用した(メーカー:有限会社カネコプレス。品番:18−8ステンレス製 急須茶漉し)。上記筒部の一端に、凸部が円筒に収まる様に、前記網部を一つ、粘着テープで固定した。ホッチキスの芯で怪我をしないように、また網部の固定を強固にするためにテープを二重にした。二つの網部は同一形状のものを用いたので、単にしっかりと重ねれば、摩擦力で中心部に十分固定できる。網部は筒部の他端からはみ出ないように配置しなければならない。はみ出すと熱源が人体に接触してしまう恐れがあるためである。熱源は円筒部の他端から30mm〜60mm内側に位置するようにすると適切な温度を伝えられるため好ましい。
本実施例では、35mm内側に配置した。
<蓋部>
本実施例の蓋部は、市販の折り紙で四角い蓋を作成した。網部の凸部に熱源が固定されているので、その反対側の網部に接するように蓋をしても、蓋が燃えてしまうことはない。従来のように網部の中のどこに熱源が移動するか分からないような場合には、耐熱性の材料で作る必要があるためコストが高くなるという問題があった。また、本実施例の蓋部は、密閉した構造にはならないため、ある程度空気を通しつつ、熱が逃げるのを抑制する効果をバランスよく発揮することが期待できる。
また、蓋部を簡単に取り外し出来るようにしたため、付けたり外したりする事で熱量の調節が出来る。
さらに、紙の素材変更や、紙を重ねて使うことにより、強度や保温作用を増強させることができる。
<熱源>
本実施例において熱源は、直径10mmの円筒形の炭を用いた(メーカー:株式会社釜屋もぐさ。品番:温暖)。蓋部を外して使用することで、筒部に煙が充満しない様になるため、熱源を通常のもぐさに変更することも可能になる。
<熱源保持器具>
以上より、本実施例の熱源保持器具が、作成できる。
続いて、土台部に上記熱源保持器具を2つ固定することで、本実施例の温眼器を作成してゆく。
熱気を筒外部に出来るだけ漏らさないようにするため、顔にフィットするように筒部を土台部に完全には固定せずにある程度可動範囲を持たせた。
<土台部>
本実施例の土台部は、メガネフレームの形状を有している。プラスチック製のサングラス(メーカー:株式会社大創産業。品番:パーティ・2次会グッズ3)のレンズ部を取り外し土台部とした。
プラスチック製のメガネフレームを採用することにより、ある程度頭の大きな人から小さな人まで、一種類の器具で融通して固定できるようになり、汎用性を高くする事ができる。何種類かの器具を準備する必要がないので、経済的にも優れている。
<クッション部>
本実施例のクッション部は、前記筒部の顔に接する側の端面に、厚さ7mmの繊維ひもをテープで固定し形成した。柔らかいクッションにすることにより顔に円筒の型が付きにくくなることと同時に、顔にフィットして熱が逃げにくくなる。クッション部が筒部よりやや直径が大きくなることにより、可動性を維持しつつ円筒部がメガネフレームから外れることを防いでいる。
<温眼器>
本発明の温眼器は、土台部に前記熱源保持器具が2つ固定されて成る。メガネフレームの従来レンズのあった場所に、上記熱源保持器具を一個づつ固定する。熱源保持器具のクッション部を顔に接する側に向け、メガネフレームに挿入し、クッション部が筒部よりやや直径が大きくなることにより、可動性を維持しつつ円筒部がメガネフレームから外れず固定されている。
その後、眼鏡をかけるようにし、クッション部が両目のそれぞれの位置をカバーし、顔にちょうど接するように位置調整して温眼器が完成する。
このようにすると、熱源と目の位置関係が固定されるため、大きく姿勢を動かした場合でも適切な状態が保持される。したがって、ピンポイントで患部を温めることができるようになると共に、お灸をしたまま体勢を変える事も可能になり、施術の容易性、安全性を向上させることができると同時に、被施術者の恐怖心を大幅に軽減させることができる。
また、温眼器と眼の間にティッシュや布などを挟むことにより熱源を見ずに目を温められるので、熱源が燃えているところを見る恐怖からも解放される。
【実施例2】
実施例2の温眼器は、実施例1に加えて、筒を2重にしてスライドさせる構造を有している。
本実施例では、円筒状に固定した厚紙の上に、もう一度厚紙を重ねて円筒を作り、2重構造を形成する。その一方に網部を、他方にクッション部を、それぞれ実施例1と同様の方法で固定した。
このようにすると、熱源を固定した網部と筒部他端の距離をスライドによって調節することができるため、前記筒部他端(およそ目の位置)の温度を調節することができるようになる。
人により、その時の体調により、熱さの感じ方が異なるため心地よい熱さは千差万別だが、筒部をスライドさせることにより、容易に使用中に熱量の調整が出来るようになり、多くの人に対応できるようになる。