【解決手段】軸方向に延びる中心軸に沿って配置される第1部分32、および第1部分から軸方向一方側に延びる第2部分33を有するスプールバルブ30と、オイルが流れる油路10a、および少なくとも軸方向一方側に開口して軸方向に延び、内部にスプールバルブが軸方向に移動可能に配置されるスプール穴23を有する油路ボディ20と、スプールバルブに固定されるマグネット50と、油路ボディに取り付けられ、マグネットの磁界を検出する磁気センサ41と、スプール穴内において第1部分の軸方向一方側に配置され、第1部分に軸方向他方側向きの弾性力を加える弾性部材70と、油路ボディに取り付けられ、スプール穴内において弾性部材の軸方向一方側の端部を支持する支持部材71と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図においてZ軸方向は、上下方向Zとする。X軸方向は、上下方向Zと直交する水平方向のうちの左右方向Xとする。Y軸方向は、上下方向Zと直交する水平方向のうち左右方向Xと直交する軸方向Yとする。上下方向Zのうちの正の側を「上側」と呼び、負の側を「下側」と呼ぶ。軸方向Yのうちの正の側を「前側」と呼び、負の側を「後側」と呼ぶ。前側は、軸方向一方側に相当し、後側には、軸方向他方側に相当する。なお、上側、下側、前側、後側、上下方向、および左右方向とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0010】
<第1実施形態>
図1および
図2に示す本実施形態のバルブ装置10は、例えば、車両に搭載されるコントロールバルブである。バルブ装置10は、油路ボディ20と、スプールバルブ30と、マグネット50と、センサモジュール40と、弾性部材70と、支持部材71と、を備える。
【0011】
図3に示すように、油路ボディ20は、オイルが流れる油路10aを内部に有する。
図3において指し示す油路10aの部分は、後述するスプール穴23の一部である。各図においては、例えば、油路ボディ20の一部を切り出した状態を示す。
図1に示すように、油路ボディ20は、下部ボディ21と、上部ボディ22と、を有する。図示は省略するが、油路10aは、例えば、下部ボディ21と上部ボディ22との両方に設けられる。
【0012】
下部ボディ21は、下部ボディ本体21aと、下部ボディ本体21aの上側に重ねて配置されるセパレートプレート21bと、を有する。本実施形態において下部ボディ21の上面は、セパレートプレート21bの上面に相当し、上下方向Zと直交する。上部ボディ22は、下部ボディ21の上側に重ねて配置される。上部ボディ22の下面は、上下方向Zと直交する。上部ボディ22の下面は、下部ボディ21の上面、すなわちセパレートプレート21bの上面と接触する。
【0013】
図3に示すように、上部ボディ22は、軸方向Yに延びるスプール穴23を有する。本実施形態においてスプール穴23の軸方向Yと直交する断面形状は、中心軸Jを中心とする円形状である。中心軸Jは、軸方向Yに延びる。なお、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0014】
スプール穴23は、少なくとも前側に開口する。本実施形態においてスプール穴23の後端は、閉塞される。すなわち、スプール穴23は、前側に開口し底部を有する穴である。なお、スプール穴23は、例えば、軸方向Yの両側に開口してもよい。スプール穴23の少なくとも一部は、油路ボディ20内の油路10aの一部を構成する。
【0015】
スプール穴23は、スプール穴本体23aと、導入穴部23bと、を有する。図示は省略するが、スプール穴本体23aの内周面には、油路ボディ20のうちスプール穴23以外の部分に設けられる油路10aが開口する。導入穴部23bの内径は、スプール穴本体23aの内径よりも大きい。導入穴部23bは、スプール穴本体23aの前側の端部に繋がる。導入穴部23bは、スプール穴23の前側の端部であり、前側に開口する。
【0016】
上部ボディ22は、上部ボディ22の前側の端部に、貫通孔22a,22bを有する。貫通孔22aは、上部ボディ22における上部ボディ22の上面から導入穴部23bの内周面までの部分を上下方向Zに貫通する。貫通孔22bは、上部ボディ22における上部ボディ22の下面から導入穴部23bの内周面までの部分を上下方向Zに貫通する。すなわち、貫通孔22bは、上部ボディ22の下側の面からスプール穴23の内周面まで上下方向Zに延びる貫通孔に相当する。
図2に示すように、貫通孔22aおよび貫通孔22bは、上側から視て円形状である。貫通孔22aと貫通孔22bとは、上側から視て互いに重なり合う。
【0017】
図3に示すように、貫通孔22bは、大径部22cと、小径部22dと、を有する。大径部22cは、上部ボディ22の下側の面から上側に窪み、底面22eを有する部分である。底面22eは、下側を向き、上下方向Zと直交する面である。小径部22dは、底面22eからスプール穴23の内周面まで延び、大径部22cよりも内径が小さい部分である。
【0018】
図1に示すように、上部ボディ22におけるスプール穴23が設けられる部分は、上部ボディ22の他の部分よりも上側に突出する。この突出する部分のうち前側の端部における上面は、上側に凸となる半円弧状の曲面である。貫通孔22aは、この半円弧状の曲面の上端部に開口する。下部ボディ本体21aとセパレートプレート21bと上部ボディ22とは、例えば、それぞれ単一の部材である。下部ボディ本体21aとセパレートプレート21bと上部ボディ22とは、非磁性体製である。
【0019】
図3に示すように、スプールバルブ30は、上下方向Zと交差する軸方向Yに延びる。スプールバルブ30は、油路ボディ20に取り付けられる。スプールバルブ30は、スプール穴23の内部に軸方向Yに移動可能に配置される。本実施形態においてスプールバルブ30は、例えば、金属製の単一の部材である。スプールバルブ30は、スプールバルブ本体部31と、マグネット固定部32と、突出部33と、を有する。
【0020】
スプールバルブ本体部31は、スプール穴本体23a内を軸方向Yに移動して、スプール穴本体23aの内周面に開口する油路10aの開口部を開閉する。図示は省略するが、スプールバルブ本体部31の後側の端部には、オイルの油圧あるいはソレノイドアクチュエータ等の駆動装置から前側向きの力が加えられる。スプールバルブ本体部31は、複数の大径部31aと、複数の小径部31bと、を有する。スプールバルブ30の各部は、中心軸Jを中心として軸方向Yに延びる円柱状である。
【0021】
複数の大径部31aと複数の小径部31bとは、マグネット固定部32の後側の端部に繋がる大径部31aから後側に向かって交互に連続して配置される。大径部31aの外径は、小径部31bの外径よりも大きい。大径部31aの外径は、スプール穴本体23aの内径とほぼ同じであり、スプール穴本体23aの内径よりも僅かに小さい。大径部31aは、スプール穴本体23aの内周面に対して滑りながら軸方向Yに移動可能である。大径部31aは、スプール穴本体23aの内周面に開口する油路10aの開口部を開閉する弁部として機能する。
【0022】
マグネット固定部32は、スプールバルブ本体部31の軸方向Yの端部に繋がる。より詳細には、マグネット固定部32の後側の端部は、複数の大径部31aのうち最も前側に配置される大径部31aの前側の端部に繋がる。マグネット固定部32は、導入穴部23bの内部に、軸方向Yに移動可能に配置される。マグネット固定部32の外径は、大径部31aの外径よりも大きい。マグネット固定部32の外径は、導入穴部23bの内径とほぼ同じであり、導入穴部23bの内径よりも僅かに小さい。
【0023】
マグネット固定部32は、導入穴部23bの内周面に対して滑りながら軸方向Yに移動可能である。すなわち、マグネット固定部32は、スプール穴23の内周面に対して滑りながら軸方向Yに移動可能な滑り部を有する。本実施形態において滑り部は、マグネット固定部32全体である。マグネット固定部32の後側の面のうち径方向外縁部は、スプール穴本体23aと導入穴部23bとの間に生じる段差における前側を向く段差面に、接触可能である。これにより、スプールバルブ30が
図3に示すマグネット固定部32と段差面とが接触する位置から後側に移動することを抑制でき、スプールバルブ30の最後端位置を決めることができる。
【0024】
マグネット固定部32は、マグネット固定部32の外周面から径方向内側に窪む第1凹部32aを有する。上述したように、本実施形態では、マグネット固定部32全体が滑り部に相当するため、第1凹部32aは、滑り部の外周面から径方向内側に窪む。
図3では、第1凹部32aは、マグネット固定部32の上端部から下側に窪む。第1凹部32aの内側面は、軸方向Yに対向する一対の面を含む。
【0025】
図2に示すように、突出部33は、マグネット固定部32から前側に延びる。突出部33は、中心軸Jよりも左右方向一方側に配置される。突出部33は、軸方向Yに延び、左右方向一方側に凸となる半円柱状である。すなわち、突出部33は、軸方向Yに沿って視て、左右方向一方側に凸となる半円形状である。
図2では、左右方向一方側は、X軸の正の側である。
【0026】
なお、本明細書において「半円形状」とは、円形の一部を直線で切断した形状、すなわち弧と弦とから構成される形状であればよく、弧の中心角が180°以外の角度となる形状であってもよい。本実施形態の突出部33を軸方向Yに沿って視た形状において、弧の中心角は、180°よりも小さい。
【0027】
突出部33は、マグネット固定部32の外周面よりも径方向内側に配置される。
図4に示すように、突出部33の側面は、導入穴部23bの内周面よりも径方向内側に離れて配置される。
図3に示すように、突出部33の前側の端部は、貫通孔22a,22bよりも前側に配置される。突出部33は、支持部材71の左右方向一方側を通って、支持部材71よりも前側に突出する。
【0028】
図2に示すように、突出部33は、中心軸Jの径方向と直交する平坦な面である対向部34を有する。対向部34は、マグネット固定部32の前側の端面から前側に延びる。対向部34は、軸方向Yに長い長方形状の面である。対向部34は、突出部33の左右方向Xの側面のうち中心軸J側の側面である。
図2では、対向部34は、突出部33におけるX軸の負の側の側面である。
図4に示すように、対向部34は、導入穴部23bの内周面と径方向に隙間を介して対向する。対向部34は、突出部33を軸方向Yに沿って視た半円形状において、弦に相当する。
【0029】
本実施形態においてスプールバルブ本体部31とマグネット固定部32とを合わせた部分は、軸方向Yに延びる中心軸Jに沿って配置される第1部分に相当する。突出部33は、第1部分から軸方向一方側、すなわち前側に延びる第2部分に相当する。
【0030】
図2に示すように、マグネット50は、略直方体状である。マグネット50の上面は、例えば、周方向に沿って円弧状に湾曲する面である。
図3に示すように、マグネット50は、第1凹部32a内に収容されて、マグネット固定部32に固定される。これにより、マグネット50は、スプールバルブ30に固定される。マグネット50は、例えば、接着剤により固定される。マグネット50の径方向外側面は、例えば、マグネット固定部32の外周面よりも径方向内側に位置する。マグネット50の径方向外側面は、導入穴部23bの内周面と径方向に隙間を介して対向する。
【0031】
上述したように、第1凹部32aが設けられるマグネット固定部32はスプール穴23の内周面に対して滑りながら移動する滑り部である。そのため、マグネット固定部32の外周面とスプール穴23の内周面とは、接触する、あるいは僅かな隙間を介して対向する。これにより、第1凹部32a内にはオイルに含まれる金属片等の異物が入り込みにくい。したがって、第1凹部32aに収容されるマグネット50に、オイルに含まれる金属片等の異物が付着することを抑制できる。
【0032】
センサモジュール40は、筐体42と、磁気センサ41と、を有する。すなわち、バルブ装置10は、筐体42と、磁気センサ41と、を備える。筐体42は、磁気センサ41を収容する。
図1に示すように、筐体42は、例えば、上下方向Zに扁平の直方体箱状である。筐体42は、上部ボディ22の上面のうち、貫通孔22aが設けられる半円弧状の曲面の後側に位置する平坦面に固定される。
【0033】
図3に示すように、磁気センサ41は、筐体42の内部において筐体42の底面に固定される。これにより、筐体42を介して、磁気センサ41は、油路ボディ20に取り付けられる。磁気センサ41は、マグネット50の磁界を検出する。磁気センサ41は、例えば、ホール素子である。なお、磁気センサ41は、磁気抵抗素子であってもよい。
【0034】
スプールバルブ30の軸方向Yの移動に伴って、マグネット50の軸方向Yの位置が変化すると、磁気センサ41を通るマグネット50の磁界が変化する。そのため、磁気センサ41によってマグネット50の磁界の変化を検出することで、マグネット50の軸方向Yの位置、すなわちスプールバルブ30の軸方向Yの位置を検出することができる。
【0035】
磁気センサ41とマグネット50とは、上下方向Zに重なる。すなわち、マグネット50の少なくとも一部は、磁気センサ41と、径方向のうちの上下方向Zと平行な方向に重なる。そのため、マグネット50の磁界を磁気センサ41によって検出しやすい。したがって、センサモジュール40によって、スプールバルブ30の軸方向Yの変位をより精度よく検出できる。
【0036】
なお、本明細書において「マグネットの少なくとも一部が磁気センサと径方向に重なる」とは、マグネットが直接的に固定されたスプールバルブが軸方向に移動する範囲内の少なくとも一部の位置において、マグネットの少なくとも一部が磁気センサと径方向に重なればよい。すなわち、例えば、スプールバルブ30が
図3の位置から軸方向Yに変位した際に、マグネット50が磁気センサ41と上下方向Zに重ならなくなってもよい。本実施形態では、マグネット50は、スプールバルブ30が軸方向Yに移動する範囲内であれば、いずれの位置においても、一部が磁気センサ41と上下方向Zに重なる。
【0037】
図2に示すように、支持部材71は、軸方向Yと交差する方向に延びる円柱状である。本実施形態において支持部材71は、軸方向Yと直交する上下方向Zに延びる。
図3に示すように、支持部材71は、油路ボディ20に取り付けられる。支持部材71は、貫通孔22bに通される。支持部材71は、延伸部71aと、引掛け部71bと、を有する。
【0038】
延伸部71aは、上下方向Zに延びる。
図1および
図3に示すように、延伸部71aは、貫通孔22bを介して導入穴部23bの内部に挿入される。延伸部71aの上端部は、貫通孔22aに挿入される。これにより、支持部材71は、軸方向Yと交差する方向に延びてスプール穴23の内部を貫通する。延伸部71aは、導入穴部23bの前側の開口の一部を塞ぐ。
【0039】
引掛け部71bは、延伸部71aの下端に繋がる。引掛け部71bは、支持部材71の下側の端部である。引掛け部71bの外径は、延伸部71aの外径よりも大きい。引掛け部71bの外径は、小径部22dの内径よりも大きい。
図3および
図4に示すように、引掛け部71bは、大径部22cに挿入される。引掛け部71bは、底面22eの下側に対向して配置される部分である。これにより、引掛け部71bが上側に移動することを抑制できる。
【0040】
図3に示すように、支持部材71は、弾性部材70の前側に配置される。これにより、支持部材71は、スプール穴23内において弾性部材70の前側の端部を支持する。
図4に示すように、支持部材71は、軸方向Yに沿って視て、中心軸Jと重なる。そのため、支持部材71によって、弾性部材70の中心を支持することができ、弾性部材70を安定して支持できる。また、上述したように支持部材71はスプール穴23の内部を貫通するため、支持部材71のうち弾性部材70を支持する部分を径方向に大きくできる。これにより、弾性部材70をより安定して支持できる。本実施形態では、支持部材71のうち延伸部71aが、軸方向Yに沿って視て、中心軸Jと重なる。本実施形態において支持部材71の左右方向Xの中心は、導入穴部23bの左右方向Xの中心と同じ位置に配置される。
【0041】
図3に示すように、支持部材71は、弾性部材70から前側向きの弾性力を受け、延伸部71aが貫通孔22a,22bの内周面のうち前側の部分に押し付けられる。支持部材71は、支持部材71の軸周りに回転可能である。本実施形態において支持部材71の軸は、上下方向Zに延びる。
【0042】
本実施形態において支持部材71は、上部ボディ22と下部ボディ21とを重ね合わせる前に、上部ボディ22の下面に開口する貫通孔22bの開口部から、貫通孔22bおよび導入穴部23bを介して貫通孔22aまで挿入される。そして、上部ボディ22と下部ボディ21とが上下方向Zに積層されて組み合わされることで、大径部22cに挿入された引掛け部71bが下部ボディ21の上面によって下側から支持される。これにより、支持部材71を油路ボディ20に対して取り付けることができる。
【0043】
このように本実施形態によれば、貫通孔22bが上部ボディ22の下側の面に設けられるため、貫通孔22bに通した支持部材71を、下部ボディ21によって下側から支持でき、支持部材71が下側に移動することを抑制できる。また、引掛け部71bが底面22eの下側に対向して配置されるため、支持部材71が上側に移動することを抑制できる。したがって、支持部材71が上下方向Zに移動して、油路ボディ20から外れることを抑制できる。
【0044】
弾性部材70は、軸方向Yに延びるコイルスプリングである。弾性部材70は、スプール穴23内においてマグネット固定部32の前側、すなわちスプールバルブ30における第1部分の前側に配置される。弾性部材70の内側には、突出部33が通される。そのため、突出部33によって弾性部材70を内側から支持することができる。これにより、弾性部材70が径方向に移動して位置がずれることを抑制できる。
【0045】
弾性部材70の後側の端部は、マグネット固定部32の前側の端面に接触する。弾性部材70の前側の端部は、支持部材71と接触する。より詳細には、弾性部材70の前側の端部は、延伸部71aと接触する。
【0046】
弾性部材70の前側の端部が支持部材71に支持されることで、弾性部材70は、スプールバルブ30のうちの第1部分に後側向きの弾性力を加える。そのため、例えば、スプールバルブ30の後側の端部に加えられるオイルの油圧あるいはソレノイドアクチュエータ等の駆動装置から加えられる力と、弾性部材70の弾性力とが釣り合う位置に、スプールバルブ30の軸方向Yの位置を維持することができる。これにより、スプールバルブ30の後側の端部に加えられる力を変化させることで、スプールバルブ30の軸方向Yの位置を変化させることができ、油路ボディ20の内部の油路10aの開閉を切り換えることができる。
【0047】
本実施形態において支持部材71は、弾性部材70を前側から支持する部材として機能するだけでなく、スプールバルブ30の回転止め部材としても機能する。
図4に示すように、支持部材71と対向部34とは周方向に対向する。本明細書において「ある2つの部分が周方向に対向する」とは、ある2つの部分の両方が周方向に沿った1つの仮想円上に位置し、かつ、互いに対向することを含む。支持部材71と対向部34とは、互いに接触可能である。すなわち、対向部34は、支持部材71と中心軸Jの周方向に対向し支持部材71と接触可能である。
【0048】
そのため、本実施形態によれば、例えば、対向部34が中心軸J周りに回転しようとした場合、対向部34は支持部材71と接触する。これにより、支持部材71によって対向部34の回転が抑制され、スプールバルブ30が中心軸J周りに回転することが抑制される。したがって、スプールバルブ30に固定されるマグネット50の位置が周方向にずれることを抑制できる。そのため、スプールバルブ30の軸方向Yの位置が変化していない場合に、磁気センサ41によって検出されるスプールバルブ30の位置情報が変化することを抑制できる。これにより、スプールバルブ30の軸方向Yの位置を把握する精度を向上できる。なお、
図4においては、対向部34は、対向部34の上端部から対向部34の下端部までにおいて支持部材71と線接触する。
【0049】
また、弾性部材70の前側の端部を支持する支持部材71によって、スプールバルブ30の回転を抑制できるため、別途回転止め部材を設ける必要がない。これにより、バルブ装置10の部品点数が増加することを抑制しつつ、スプールバルブ30の回転を抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、対向部34は、中心軸Jの径方向と直交する平坦な面である。そのため、対向部34を作りやすい。また、本実施形態によれば、突出部33は、軸方向Yに沿って視て、対向部34が弦に相当する半円形状である。そのため、円柱状のスプールバルブ30の一部を切り欠く加工を施すことで、より容易に対向部34を作ることができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、マグネット50は、スプールバルブ本体部31の軸方向Yの端部に繋がるマグネット固定部32に固定される。そのため、スプールバルブ30のうち、スプール穴23の内周面に開口する油路10aの開口部を開閉する部分、すなわちスプールバルブ本体部31以外の部分にマグネット50を設けることができる。したがって、例えば本実施形態のように、マグネット固定部32の外径をスプールバルブ本体部31の外径よりも大きくすることで、マグネット固定部32に固定されるマグネット50をより径方向外側に配置しやすい。これにより、マグネット50を磁気センサ41に近づけて配置しやすく、磁気センサ41によるスプールバルブ30の位置検出精度を向上できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、支持部材71は、支持部材71の軸周りに回転可能である。そのため、スプールバルブ30が軸方向Yに移動することで、対向部34と接触する支持部材71は、支持部材71の軸周りに回転する。これにより、対向部34と支持部材71とが擦れることを抑制でき、スプールバルブ30の軸方向Yの移動が阻害されることを抑制できる。
【0053】
本実施形態のバルブ装置10を組み立てる際、作業者は、まずスプール穴23にスプールバルブ30を挿入する。作業者は、弾性部材70を突出部33に通してスプール穴23内に配置した後、支持部材71を上部ボディ22の下面から貫通孔22a,22bに挿入して、弾性部材70を前側から押さえる。このとき、支持部材71は、弾性部材70から前側向きの力を受けて、貫通孔22a,22bの内周面に押し付けられるため、貫通孔22a,22bから下側に抜け落ちることが抑制される。ここで、本実施形態によれば、支持部材71の他に上部ボディ22の下面から挿入する部材がない。そのため、上部ボディ22の下面を下側に向けた状態であっても、部品が下側に抜け落ちることを抑制できる。これにより、バルブ装置10を組み立てる際に、油路ボディ20を上下方向Zに逆転させる等の手間がなく、バルブ装置10の組み立てを容易にできる。その後、作業者は、上部ボディ22を下部ボディ21の上側に重ね合わせる。このようにして、作業者は、バルブ装置10を組み立てる。
【0054】
(変形例)
図5に示すように、本変形例のバルブ装置110においてスプールバルブ130のうちの第1部分は、第1部分における前側の端部から後側に窪む第2凹部135を有する。スプールバルブ130のうちの第1部分は、スプールバルブ本体部31とマグネット固定部32とを合わせた部分である。第2凹部135は、第1部分における軸方向一方側の端部から軸方向他方側に窪む凹部に相当する。第2凹部135は、マグネット固定部32の前側の端部から後側に窪み、スプールバルブ本体部31まで延びる。図示は省略するが、第2凹部135の内縁は、前側から視て中心軸Jを中心とする円形状である。
【0055】
弾性部材170の少なくとも一部は、第2凹部135内に配置される。そのため、弾性部材170の少なくとも一部をスプールバルブ130の第1部分と径方向に重ねることができ、バルブ装置110の軸方向Yの寸法を小型化しやすい。本変形例では、弾性部材170の後側の部分が、第2凹部135内に配置される。弾性部材170の後側の端部は、第2凹部135の底面に接触する。
【0056】
突出部133は、対向部134から左右方向一方側に窪む第3凹部133aを有する。第3凹部133aは、軸方向Yに延びる。第3凹部133aは、突出部133の前側の端部から突出部133の後側の端部まで延びる。これにより、対向部134は、第3凹部133aによって上下方向Zに分断される。図示は省略するが、第3凹部133aの内側面は、軸方向Yに沿って視て、円弧状であり、第2凹部135の内周面と重なる。第3凹部133aには、弾性部材170の前側の端部のうち左右方向一方側の部分が挿入される。
【0057】
<第2実施形態>
図6に示すように、本実施形態のバルブ装置210において、スプールバルブ230の突出部233は、軸方向Yに延びる板状である。突出部233の板面は、左右方向Xと直交する。突出部233は、マグネット固定部32の左右方向Xの中心から前側に延びる。突出部233の左右方向両側の面は、それぞれ対向部234である。
【0058】
支持部材271は、板面が左右方向Xと平行な板状である。支持部材271は、延伸部271aと、引掛け部271bと、を有する。延伸部271aは、上下方向Zに延びる。延伸部271aは、前側から視て上下方向Zに長い長方形状である。延伸部271aの板面は、軸方向Yと直交する。引掛け部271bは、延伸部271aの下側の端部から前側に屈曲する。引掛け部271bは、貫通孔22bの大径部22cに挿入される。
【0059】
支持部材271は、支持部材271を軸方向Yに貫通するスリット271cを有する。スリット271cは、延伸部271aを軸方向Yに貫通する。スリット271cは、上下方向Zに延びる。スリット271cは、上側に開口する。スリット271cが設けられることで、延伸部271aの上側部分は、二股に分かれる。これにより、支持部材271には、上下方向Zに延び、左右方向Xに隙間を介して対向する一対の柱部271dが設けられる。
【0060】
スリット271cには、第2部分としての突出部233が通される。これにより、一対の柱部271dが対向部234と対向し、スプールバルブ230の回転が抑制される。また、スリット271cの左右方向両側面によって、突出部233の対向部234を支持することができる。これにより、スプールバルブ230が左右方向Xにずれることを抑制でき、スプールバルブ230の軸方向Yの移動を安定化させることができる。
【0061】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。対向部の構成は、支持部材と周方向に対向し支持部材と接触可能であれば、特に限定されない。対向部は、曲面であってもよい。第2部分としての突出部の形状は、対向部を有するならば、特に限定されない。第2部分としての突出部は、複数設けられてもよい。支持部材は、軸方向と交差する方向のうち、軸方向と直交する方向以外の方向に延びてもよい。
【0062】
また、マグネットの構成は、特に限定されない。マグネットは、例えば、円環状でスプールバルブに嵌め合わされてもよい。マグネットは、複数のマグネットが組み合わされて構成されてもよい。また、磁気センサによってマグネットの磁界を検出できるならば、磁気センサとマグネットとは径方向に重ならなくてもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、油路ボディが有するスプール穴は、上部ボディに設けられる構成としたが、これに限られない。スプール穴は、下部ボディに設けられてもよい。セパレートプレートは設けられなくてもよい。油路ボディは、上部ボディと下部ボディとに分かれていなくてもよい。また、中心軸Jが延びる軸方向は、上下方向Zと直交せずに交差してもよいし、上下方向Zと平行であってもよい。
【0064】
また、油路ボディは、油路ボディ本体と、油路ボディ本体と別部材であり、油路ボディ本体に取り付けられるセンサ取付部材と、を有してもよい。センサ取付部材には、磁気センサ41が取り付けられる。センサ取付部材は、例えば、上述した上部ボディ22のうち、センサモジュール40が固定される前側の部分である。すなわち、上述した上部ボディ22の前側の部分は、別部材として構成されて、油路ボディ本体に取り付けられてもよい。この構成において油路ボディ本体は、上部ボディ22のうちのセンサ取付部材以外の部分と、下部ボディ21と、を有する。この構成においてスプール穴23は、油路ボディ本体とセンサ取付部材とに跨って設けられる。この場合、導入穴部23bは、センサ取付部材に設けられる。そのため、スプール穴23のうちセンサ取付部材に設けられた部分の内部には、マグネット50が収容される。この構成によれば、センサ取付部材を交換することのみによって、マグネット50が収容される導入穴部23bの構成を容易に変更することができる。
【0065】
また、上述した実施形態のバルブ装置の用途は、特に限定されず、車両以外に搭載されてもよい。また、上記の各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。