特開2019-10048(P2019-10048A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-10048(P2019-10048A)
(43)【公開日】2019年1月24日
(54)【発明の名称】魚釣り用の錘
(51)【国際特許分類】
   A01K 95/00 20060101AFI20181221BHJP
【FI】
   A01K95/00 Z
   A01K95/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-128762(P2017-128762)
(22)【出願日】2017年6月30日
(71)【出願人】
【識別番号】598139184
【氏名又は名称】福山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】福山 明彦
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307JA01
2B307JA09
2B307JA12
2B307JA24
(57)【要約】
【課題】
本発明は、投げ釣りの錘に大きな浮力体を付加することなく、錘の重さを利用した魚の針掛かりを損なうことなく、また高価なタングステンを使用することなく、安価に引き釣りでの引き重りを軽減できる魚釣り用の錘を提供することを課題としている。
【解決手段】
本発明は、魚釣り用の錘において、大きな浮力体を付加することなく、引き釣りでの引き重りが軽減できる魚釣り用の錘を提供するため、複合錘の外周面を超高分子量ポリエチレンの被覆することによって解決している。超高分子量ポリエチレンは、摩擦係数が極めて小さく、自己潤滑性があり、耐摩耗性や耐衝撃性にも優れており、投げ釣りの錘としての使用環境に対して極めて適したものであった。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り糸に繋げられて用いる魚釣り用の錘であって、全体形状として紡錘形をなす複合錘に吊り手を備えており、その複合錘は、金属製の錘体と、錘体の外周面を超高分子量ポリエチレンの被覆体で被覆されている複合錘であって、その被覆体で被覆される範囲が、魚釣り用の錘全体での重心での重さと、浮心での浮力において、魚釣り用の錘が横たわる釣り合い条件を満たす位置での外周面が、少なくとも被覆されている範囲に含まれていることを特徴とする魚釣り用の錘。
【請求項2】
釣り糸に繋げられて用いる魚釣り用の錘であって、全体形状として軸対象の棒状であり長手方向の断面がオーバル形状である複合錘に吊り手を備えており、その複合錘は、釣り糸側に位置する浮力体と、その浮力体から反釣り糸側に位置する金属製の錘体と、それらの外周面を超高分子量ポリエチレンの被覆体で被覆されている複合錘であって、その被覆体で被覆される範囲が、魚釣り用の錘全体の重心での重さと、浮心での浮力において、魚釣り用の錘が横たわる釣り合い条件を満たす位置での外周面が、少なくとも被覆されている範囲に含まれていることを特徴とする魚釣り用の錘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主には投げ釣りにおける引き釣りでの引き重りが軽減される魚釣り用の錘に関する。
【背景技術】
【0002】
投げ釣りの引き重りが軽減される魚釣り用の錘として、比重が水より小さい浮力体を錘の釣り糸側に付加することで、浮力によって水中での錘全体の重さを軽減し、引き重りを軽減しているものが知られている。引き重りに対して浮力体の浮力を活用するためには、浮力体は大きな容積を有する必要があった。そのため魚のアタリによって錘の釣り糸側が回転しやすくなるという傾向があった。
【0003】
投げ釣りでは、魚からアタリがあった際に、錘の重さを利用して魚に針掛かりをさせる狙いがあることがあり、そのような狙いがある場合には、大きな容積を有する浮力体が錘の釣り糸側に付加されたことによって、魚からのアタリによって錘の釣り糸側が容易に回転してしまうことは、魚が針掛かりし難いといった問題があった。
【0004】
投げ釣りの錘に大きな浮力体が付加されているものとしては、特許文献1に開示のものが知られている。
【0005】
また、前記以外のものとしては、投げ釣りの引き重りが軽減される魚釣り用の錘として、タングステンのように逆に比重が大きい材質で錘を構成することにより錘全体の容積が減り、錘の断面積も小さくなることから、その結果、飛距離が伸びると同時に、海底面との抵抗も軽減され、引き重りが軽くなることが知られている。しかしながらタングステンは高価なものとなるため費用対効果が得られにくいものであった。
【0006】
さらに、投げ釣りの錘で樹脂製のキャップを錘の釣り糸側に最小限に付加しているものが知られているが、特には樹脂製のキャップの浮力による引き重りの軽減を図ったものではなく、水との比重に拘らず、錘の主材料の比重と、樹脂製キャップの比重の差を利用して、錘全体の重心移動による飛行姿勢の安定が目的であったり、根掛り防止対策としてのキャップであって、引き釣りにおける引き重りの軽減に対して、大きな効果を期待できるものではなかった。
【0007】
錘に樹脂製のキャップを最小限に付加しているものとして、特許文献2に開示のものが知られている。
【0008】
投げ釣りの錘は、主には砂浜で使用され、錘が接する対象面は主には砂であるが、その砂に対して摩擦係数が極めて小さい材料で錘を被覆し、引き重りの軽減を図ることは長い間なされていなかった。引き重りに対する従来技術は、上述のように、錘に大きな浮力体を付加した浮力によるもの、もしくは、錘の主材料を比重が大きいタングステンとし、錘の体積を小さくすることで飛距離を得ると同時に、結果的に引き重りも軽減されているものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014−147334号公報
【特許文献2】特開2004−275181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、主には投げ釣りの錘において、大きな浮力体を付加することなく、引き釣りでの引き重りが軽減できる魚釣り用の錘を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(第一の発明)
本発明における第一の発明は、上述の課題を解決するために、すなわち、魚釣り用の錘において、大きな浮力体を付加することなく、引き釣りでの引き重りが軽減できる魚釣り用の錘を提供するため、複合錘(2)の外周面を超高分子量ポリエチレンの被覆することによって解決している。超高分子量ポリエチレンは、摩擦係数が極めて小さく、自己潤滑性があり、耐摩耗性や耐衝撃性にも優れており、投げ釣りの錘としての使用環境に対して極めて適したものであった。
【0012】
(効果1)
このように、魚釣り用の錘の表面を摩擦抵抗が小さい超高分子量ポリエチレンとすることのみで引き重りの軽減を解決することにより、例えば、魚からアタリがあった際に、錘の重さを利用して魚に針掛かりをさせる狙いがある場合では、大きな浮力体が錘の釣り糸側に付加された錘に比べて、錘の釣り糸側は回転しにくいため魚が針掛かりしやすくなるものである、このように錘の重さを利用した魚の針掛かりの効果を損なうことなく、引き重りの軽減を解決しており、浮力体が付加されていない形態や、飛行安定性のための最小限の浮力体しか付加されていない錘の特性を残すことが可能となっている。
【0013】
(効果2)
錘体(3)の材料は安価な金属で構成することが可能であり、例えば鉛合金、亜鉛合金、鉄合金で良く、高価なタングステンでなくとも、複合錘(2)の外周面だけを摩擦係数が小さい超高分子量ポリエチレンの被覆体(5)で被覆することによって、投げ釣りにおける引き釣りでの引き重りを軽減することが可能であり、安価に課題を解決できるものとなっている。
【0014】
(超高分子量ポリエチレンの効果的な被覆範囲)
複合錘(2)の外周面を超高分子量ポリエチレンの被覆体(5)で被覆する範囲は、魚釣り用の錘(1)全体の重心での重さとなるベクトルF1(10)と、浮心での浮力となるベクトルF2(11)において、魚釣り用の錘が横たわる釣り合い条件を満たす位置での外周面が、少なくとも被覆体(5)で被覆されている範囲に含まれて構成とすることにより、複合錘(2)と海底(9)との摩擦抵抗を効果的にできるものとしている。
【0015】
(用語の説明)
「ベクトルF1(10)」とは、複合錘(2)の重心からの重さを示すベクトルである。「ベクトルF2(11)」とは、複合錘(2)の水中での浮心の浮力を示すベクトルである。「釣り合い条件を満たす位置」とは、前記のベクトルF1(10)とベクトルF2(11)との釣り合い条件を満たすベクトルF3(12)の位置を示すものである。
【0016】
(第二の発明)
本発明における第二の発明もまた、複合錘(2)の外周面を摩擦係数が小さい超高分子量ポリエチレンの被覆体(5)で被覆することにより課題の解決を図っているものであるが、複合錘(2)全体の形状や重心位置も課題に対して最適とした上で解決するための手段として、魚釣り用の錘(1)において、全体形状として軸対象の棒状であり長手方向の断面がオーバル形状である複合錘(2)に吊り手(6)を備えており、その複合錘(2)は、釣り糸側に位置する浮力体(4)と、その浮力体(4)から反釣り糸側に位置する金属製の錘体(3)と、それらの外周面を超高分子量ポリエチレンの被覆体(5)で被覆されるものであり、その被覆体(5)で被覆される範囲は、魚釣り用の錘(1)全体の重心での重さとなるベクトルF1(10)と、浮心での浮力となるベクトルF2(11)において、魚釣り用の錘が横たわる釣り合い条件を満たす位置での外周面が、少なくとも被覆体(5)で被覆されている範囲に含まれて構成とすることにより、複合錘(2)と海底(9)との摩擦抵抗を効果的に軽減できるものとしている。
【0017】
(本発明の吊り手(6)のバリエーション)
第一および第二の発明における吊り手(6)は、以下のようなバリエーションを提供することも出来る。
【0018】
(吊り手(6)のバリエーション1)
複合錘(2)の錘体(3)に吊り手(6)が固定され、吊り手(6)の釣り糸側の端部にリング(6a)を有し、そのリング(6a)が複合錘(2)の端部に近接して備えられているものであり、別途に取り付ける天秤との組み合わせが自由に選べるものである。
【0019】
(吊り手(6)のバリエーション2)
複合錘(2)の錘体(3)に吊り手(6)が固定され、吊り手(6)は、釣り糸の道糸側に連結する吊り手(6)となる部位と、仕掛け側に連結する天秤の腕となる腕体(8)の部位が一本の線材で構成されており、すなわち錘と天秤が一体で構成されるL型天秤付き魚釣り用錘となるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、主には投げ釣りの錘において、大きな浮力体を付加することなく、錘の重さを利用した魚の針掛かりを損なうことなく、また高価なタングステンを使用することなく、安価に引き釣りでの引き重りを軽減することが可能な魚釣り用の錘を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態を示す概略斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態を示す概略断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態を示す概略斜視図である。
図4】本発明の第2の実施形態を示す概略断面図である。
図5】本発明の吊り手(6)のバリエーションを示す斜視図である。
図6】本発明の被覆体(5)の被覆範囲の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
第1の実施形態として、図1に概略斜視図を示しており、図2に概略断面図を示している。
【0024】
図1図2において、本発明の魚釣り用の錘(1A)は、全体形状として紡錘形をなす複合錘(2)に吊り手(6)を備えており、複合錘(2)は、金属製の錘体(3)と、錘体(3)の外周面を超高分子量ポリエチレンの被覆体(5)で被覆する部位で構成され、吊り手(6)は錘体(3)に鋳込まれており、リング6aは道糸と繋がれる部位であり、抜け止め部6bは鋳込まれた吊り手3の抜け防止の部位である。
【0025】
複合錘(2)が被覆体(5)で被覆される最適な範囲として、図6において、その効果的な被覆範囲の物理的な説明を示しており、魚釣り用の錘(1A)全体での重心での重さとなるベクトルF1(10)と、浮心での浮力となるベクトルF2(11)において、魚釣り用の錘(1A)が横たわる釣り合い条件を満たすベクトルF3(12)の位置を示している。その位置での外周面が少なくとも被覆される範囲に含まれて構成することにより、複合錘(2)と海底(9)との摩擦抵抗を効果的に軽減できるものとしている。
【0026】
第一の実施形態では、魚釣り用の錘(1A)の重心の調整は、浮力体による調整を主体としておらず、複合錘(2)を全体形状として紡錘形とし断面形状の変化で魚釣り用の錘(1A)の重心位置の調整をしている実施形態であるため、魚釣り用の錘(1A)の重心と浮心の位置は、ほぼ近接する位置にくる実施形態である。図1図2に示す実施形態では、前記の釣り合い条件を満たす位置、すなわち図6で示されるベクトルF3(12)の位置での外周面が少なくとも被覆体(5)で被覆される範囲に含まれているものである。
【0027】
第二の実施形態として、図3に概略斜視図を示しており、図4に概略断面図を示している。
【0028】
図3図4において、本発明の魚釣り用の錘(1B)は、全体形状として軸対象の棒状であり長手方向の断面がオーバル形状である複合錘(2)に吊り手(6)を備えており、複合錘(2)は、釣り糸側に位置する浮力体(4)と、その浮力体(4)から反釣り糸側に位置する金属製の錘体(2)と、それらの外周面を超高分子量ポリエチレンの被覆体(5)で被覆する部位で構成され、吊り手(6)は錘体(3)に鋳込まれて固定されており、浮力体(4)を貫通して道糸と繋がれるリング6aを有している。抜け止め部6bは鋳込まれた吊り手3の抜け防止の部位である。
【0029】
浮力体4の材質は、樹脂製でも木製でもよく、超高分子量ポリエチレンでもよい。浮力体4は錘体2より比重が小さければよく、必ずしも水に浮くような比重である必要はない。また、浮力体(4)の容積は最小限のものとし、魚釣り用錘1Bの全体での重心位置を調整するだけのものであり、飛行中の飛行姿勢を安定させるための最低限の容積としている。
【0030】
錘体(3)が円柱形状である場合には、被覆体(5)の超高分子量ポリエチレンはパイプ形状となるが、このように錘体(3)が円柱形状である場合には、被覆材(5)は粘着剤付の超高分子量ポリエチレンテープにて外周を巻いて被覆する構成とすることも出来る。
【0031】
第二の実施例においても、第一の実施例と同様に、図6における魚釣り用の錘(1B)全体での重心での重さとなるベクトルF1(10)と、浮心での浮力となるベクトルF2(11)において、魚釣り用の錘(1B)が横たわる釣り合い条件を満たすベクトルF3(12)の位置での外周面が、少なくとも被覆体(5)で被覆される範囲に含まれて構成とすることにより、複合錘(2)と海底(9)との摩擦抵抗を効果的にできるものである。
【0032】
第二の実施形態でも、第一の実施形態と同様に、前記の釣り合い条件を満たす位置、すなわち図6で示されるベクトルF3(12)の位置での外周面が少なくとも被覆体(5)で被覆される範囲に含まれているものである。
【0033】
図5では本発明における吊り手(6)のバリエーションの斜視図を示している。
【0034】
図5(a)のバリエーションは、複合錘(2)の錘体(3)に吊り手(6)が固定され、吊り手(6)の釣り糸側の端部にリング(6a)を有し、そのリング(6a)が複合錘(2)の端部に近接して備えられているものであり、別途、取付ける天秤との組み合わせを自由に選べるものである。
【0035】
図5(b)のバリエーションは、複合錘(2)の錘体(3)に吊り手(6)が固定され、吊り手(6)は、釣り糸の道糸側に連結する吊り手(6)となる部位と、仕掛け側に連結する天秤の腕となる腕体(8)の部位が一本の線材で構成されており、すなわち錘と天秤が一体で構成されるL型天秤付き魚釣り用錘とできるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、投げ釣りにおいて引き重りが軽い錘として活用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 魚釣り用の錘
2 複合錘
3 錘体
4 浮力体
5 被覆体
6 吊り手
6a リング
6b 抜け止め部
8 腕体
9 海底
10 ベクトルF1
11 ベクトルF2
12 ベクトルF3
1A 魚釣り用の錘
1B 魚釣り用の錘
図1
図2
図3
図4
図5
図6