(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-100627(P2019-100627A)
(43)【公開日】2019年6月24日
(54)【発明の名称】調理鍋検出スイッチ
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20190603BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20190603BHJP
【FI】
F24C3/12 X
H05B6/12 315
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-232213(P2017-232213)
(22)【出願日】2017年12月3日
(71)【出願人】
【識別番号】511174948
【氏名又は名称】株式会社立山科学センサーテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】久々江 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】鶴山 誠
(72)【発明者】
【氏名】串田 健治
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151BA93
3K151CA24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】調理鍋を検知するためのセンサーの増設、交換及び並設に便宜であり、且つ耐久性及び精度に優れた調理鍋検出スイッチの提供。
【解決手段】ケーブルCを保持するトリガ2と、トリガホルダ5と、定端子ホルダ6を備え、前記定端子ホルダ6は、同じ有効長を備える一対の定端子8,8をトリガ2に向けて平行に備え、前記トリガ2は、前記一対の定端子8,8間を導通させる接続端子3と、前記ケーブルCを保持し前記トリガホルダ5の長手方向に沿って進退するケーブルホルダを備え、相連結した前記トリガホルダ5及び前記定端子ホルダ6は、前記ガイド部Bの末端部を挟持すると共に、前記トリガ2の両側縁を前記定端子8と一定の距離を保ちつつその長手方向へ前記一対の定端子8,8間を導通させ遮断する長さに亘り進退するように支持する調理鍋検出スイッチ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理鍋の荷重を受けて後退し且つ荷重の解消をもって復帰する可動部と、前記可動部の進退を規制するガイド部を備え、前記可動部は、調理鍋の鍋底に当接する受圧部と、当該受圧部から引き出されたケーブルを備えるセンサーに装着する調理鍋検出スイッチであって、
前記ケーブルを保持するトリガと、トリガホルダと、定端子ホルダを備え、
前記定端子ホルダは、同じ有効長を備える一対の定端子をトリガに向けて平行に備え、
前記トリガは、前記一対の定端子間を導通させる接続端子と、前記ケーブルを保持し前記トリガホルダの長手方向に沿って進退するケーブルホルダを備え、
相連結した前記トリガホルダ及び前記定端子ホルダは、前記ガイド部の末端部を挟持すると共に、前記トリガの両側縁を前記定端子と一定の距離を保ちつつその長手方向へ前記一対の定端子間を導通させ遮断する長さに亘り進退するように支持することを特徴とする調理鍋検出スイッチ。
【請求項2】
前記ケーブルを保持するトリガと、トリガホルダと、定端子ホルダと、トリガホルダ及び定端子ホルダの連結状態を維持する箍を備え、
前記トリガホルダ及び前記定端子ホルダは、相互の接合部に、前後摺動をもって噛み合うロック溝を備え、両者の同位置に、前記箍を定位置に保持する胴溝を備えることを特徴とする請求項1に記載の調理鍋検出スイッチ。
【請求項3】
前記ケーブルを保持するトリガと、トリガホルダと、定端子ホルダと、トリガホルダ及び定端子ホルダの連結状態を維持する箍を備え、
前記トリガホルダ及び定端子ホルダは、前記トリガの両側縁を保持する位置において開閉可能となる様に連結して備えることを特徴とする請求項1に記載の調理鍋検出スイッチ。
【請求項4】
前記一対の定端子を、前記定端子ホルダに対して離脱可能に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の調理鍋検出スイッチ。
【請求項5】
前記接続端子は、前記定端子の各々に対する接点としてそれぞれ複数の独立した摺動接点を備える請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の調理鍋検出スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンロなどの加熱調理機器上に調理鍋が存在するか否かを検出する調理鍋検出スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンロでは、調理鍋の鍋底に当接する受熱部を備え、当該受熱部で検出された温度が所定温度以上か否かを監視し、鍋底温度を所定温度以上と判定した場合に、過熱防止制御を行うシステムが採用されている(例えば下記特許文献1参照)。
近年では、更に、五徳上に調理鍋が検出されない場合にバーナの点火を禁止し、五徳上に調理鍋を検出した場合に調理時における安全機能を有効にするシステムも採用されている(例えば下記特許文献2参照)。
【0003】
従来、五徳上の調理鍋を検出するスイッチは、五徳上に載せられた調理鍋の荷重を受ける直線的可動操作部品をもつ鍋底温度センサーの感熱ヘッドが押し下げられたときにオンするものが知られている(特許文献3及び4参照)。
例えば、特許文献3のマイクロスイッチは、調理鍋の荷重を受けての直線的進退によって接点を開閉するものである。
また、特許文献4に記載のスイッチは、磁界を発生する磁石と、磁界の作用で開閉するリードスイッチと、前記磁界を遮断する磁性体で構成され、感熱ヘッド(受熱部)が調理器具の荷重によって上下摺動する作用を利用して磁性体を連動させることにより、当該リードスイッチ接点に対する磁界の作用を変化させることで接点を開閉するものである。
スイッチの接点としては、特許文献5乃至8を例とする種々の構成が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−179859号公報
【特許文献2】特開2010−139189号公報
【特許文献3】特開平8−86445号公報
【特許文献4】特開2010−25420号公報
【特許文献5】特開2013−160457号公報
【特許文献6】実開昭63−82327号公報
【特許文献7】実開昭61−146817号公報
【特許文献8】実開平7−34530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンロなど、加熱調理機器は、その用途上、水、油又は調味汁の飛沫、こぼれ汁又はミストが大量に浮遊する雰囲気(油煙)など(以下「汚れ」という)に曝される環境で用いられるため、調理鍋検出スイッチの内部へ汚れが侵入し定端子や接続端子や接点に付着することとなる。
かかる分野では、この様な問題を回避し耐用期間を確保することが大きな課題となる。
【0006】
例えば、特許文献3に記載の構成にあっては、煮こぼれによって故障しやすいという問題があり、カバー等による対策ではコストがかかるという問題があり、特許文献5に記載の構成にあっては、煮こぼれの心配はないが、高度な加工技術が必要になり、コストがかかり実現性が低いという問題があり、特許文献6に記載の構成にあっては、導通領域が狭いために故障が生じやすく、特許文献7に記載の構成にあっては、いずれか一方の定端子や接続端子の不具合で導通不良が生じ、特許文献8に記載の構成にあっては、定端子と接続端子を確実に導通させる際に比較的強い荷重を要するという問題がある。
【0007】
一方、磁力で接点を開閉する構成を持つスイッチ(特許文献4参照)は、汚れに悪影響を及ぼされる虞は小さいものの、スイッチ部品の磁石が熱減磁するという問題がある。
この様な熱減磁を回避するためには、熱の影響を減らすためにバーナから距離をおく必要がある他、コンロ内で磁性に配慮する設計が必要となる。
また、リードスイッチ、永久磁石及び磁性体が必要となり、コストが高くなるという不都合がある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、調理鍋を検知するためのセンサーの増設(あと付け)及び交換に便宜であり、且つ耐久性及び精度に優れた低コストの調理鍋検出スイッチの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた調理鍋検出スイッチは、調理鍋の荷重を受けて後退し且つ荷重の解消をもって復帰する可動部と、前記可動部の進退を規制するガイド部を備え、前記可動部は、調理鍋の鍋底に当接する受圧部と、当該受圧部から引き出されたケーブルを備えるセンサーに装着する調理鍋検出スイッチである。
【0010】
そして、その特徴とするところは、前記ケーブルを保持するトリガと、トリガホルダと、定端子ホルダを備え、前記定端子ホルダは、同じ有効長を備える一対の定端子をトリガに向けて平行に備え、前記トリガは、前記一対の定端子間を導通させる接続端子と、前記ケーブルを保持し前記トリガホルダの長手方向に沿って進退するケーブルホルダを備え、相連結した前記トリガホルダ及び前記定端子ホルダは、前記ガイド部の末端部を挟持すると共に、前記トリガの両側縁を前記定端子と一定の距離を保ちつつその長手方向へ前記一対の定端子間を導通させ遮断する長さに亘り進退するように支持することにある。
【0011】
その一態様として、前記ケーブルを保持するトリガと、トリガホルダと、定端子ホルダと、トリガホルダ及び定端子ホルダの連結状態を維持する箍を備え、前記トリガホルダ及び前記定端子ホルダは、相互の接合部に、前後摺動をもって噛み合うロック溝を備え、両者の同位置に、前記箍を定位置に保持する胴溝を備える調理鍋検出スイッチとして構成することが可能である。
【0012】
一方、前記ケーブルを保持するトリガと、トリガホルダと、定端子ホルダと、トリガホルダ及び定端子ホルダの連結状態を維持する箍を備え、前記トリガホルダ及び定端子ホルダは、前記トリガの両側縁を保持する位置において開閉可能となる様に連結して備える調理鍋検出スイッチとして構成することも可能である。
【0013】
尚、前記一対の定端子は、前記定端子ホルダに対して離脱可能に備える構成を採ることができ、前記接続端子に、前記定端子の各々に対する接点としてそれぞれ複数の独立した摺動接点を備える構成を採ることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による調理鍋検出スイッチは、大量の汚れに曝される環境で用いられ、定端子や接続端子の表面が汚染されたとしても、容易に交換することができ、前記受圧部への加圧を他の用途のための入力とするものであっても増設を容易に行うことができる。
【0015】
また、前記一対の定端子を、前記定端子ホルダに対して離脱可能に備える構成を採ることによって、部材単位で交換を行うことも可能となり、保守に要するコストの削減にも寄与する。
更に、前記定端子の各々に対する接点としてそれぞれ複数の独立した摺動接点を備える構成を採ることによって、接触を安定させるための過大な荷重が不要となる他、摺動による清掃作用で汚れが剥離し、異物や酸化皮膜等による故障発生確率を減少させ、長期にわたって機能不全を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による調理鍋検出スイッチの一例を示す(A)OFF時及び(B)ON時における正面から観た断面図である。
【
図2】本発明による調理鍋検出スイッチの一例を示す(A)OFF時及び(B)ON時における側方から観た断面図である。
【
図3】本発明による調理鍋検出スイッチ(OFF時)の一例を示す斜視透視図である。
【
図4】本発明による調理鍋検出スイッチ(ON時)の一例を示す斜視透視図である。
【
図5】本発明による調理鍋検出スイッチ(ON時)の一例を示す横に切断した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による調理鍋検出スイッチ(以下「検出スイッチ」という)の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1に示す例は、ガスコンロなどの加熱調理機器に置かれた調理鍋の荷重を受けて後退し且つ荷重の解消をもって復帰する可動部Aと、前記可動部Aの進退を直線的に規制するガイド部Bを備え、前記可動部Aは、調理鍋の鍋底に当接する受圧部1と、当該受圧部1から引き出されたケーブルCを備えるセンサーモジュールに装着する調理鍋検出スイッチである。
【0018】
この例において、前記可動部Aは、天板で上開口部を封じられた円筒状の前記受圧部1と、当該受圧部1の内空部の中央部に固定される温度センサーTと、当該受圧部1の内空部の周縁部に装填されるコイルバネSと、前記温度センサーTから引き出されたケーブルCを備える(
図1又は
図2参照)。
【0019】
前記受圧部1は、その内空部の底を仕切る底縁1aを備え、当該底縁1aは、その中央部に前記受圧部1の内空部に通じる引き出し孔1bを備えると共に、当該引き出し孔1bを取り囲む前記底縁1aの内縁に続いて下方へ延出する円筒状の摺動環1cを備える。
前記ケーブルCは、前記底縁1aの引き出し孔1b及び前記摺動環1cの中空部を通して前記受圧部1の内空部から引き出される。
【0020】
この例において前記ガイド部Bは、前記受圧部1をその上端部に支持するガイド管4を備える。
この例の前記ガイド管4は、その中空部に前記ケーブルCを通す直線的な中空金属管である。
前記ガイド管4は、その上端部が前記受圧部1に進退自在に挿通されると共に、当該上端部の先端に離脱止めと前記コイルバネSの下端を支持する部位としての機能を兼ねた鍔部4bを備える一方、当該ガイド管4の下端部に、環状のリブ4aを備える。
【実施例1】
【0021】
この例の検出スイッチは、前記ケーブルCを保持するトリガ2と、トリガホルダ5及び定端子ホルダ6からなるスイッチケースと、前記トリガホルダ5及び前記定端子ホルダ6の連結状態を維持する箍7を備える。
【0022】
前記定端子ホルダ6は、前記ガイド管4の下端部を保持する半円柱状の不導体製の分割ケースであって、その内面に、縦に列設された左右一対の支持穴(図示省略)を二列平行に備え、当該支持穴で一対の定端子8,8を支持する。
また、前記定端子ホルダ6は、当該円筒状部材における前記支持穴の上位に、当該支持穴に装着された一対の定端子8,8の表面の上端に続いて当該定端子8,8の裏面側へ向うスロープを有する復帰穴13を備える(
図2参照)。
【0023】
このスロープは、前記定端子8,8上を摺動するコンタクト3aが、当該定端子8,8に接することなく弾性的に復帰した状態(前方へ迫出した状態)で収まるために十分な深さを備える。このため、前記受圧部1に荷重が掛かっていない状態(加熱が行われていない状態)において、コンタクト3aに無用な負荷を掛けることなく、長く放置期間を継続させることができる。
【0024】
この例の前記定端子ホルダ6は、更に、その先端部の内面に、前記ガイド管4を保持する半円筒状の保持部を構成する一部材として、前記ガイド管4の前記リブ4aを収容する保持溝6bを備える。
【0025】
前記定端子8は、当該一対の定端子8,8間を、その長手方向の一定の領域で導通させる様に長さが定められた(有効長が定められた)板状の端子であり、その両側縁に、裏側へ屈曲し前記支持穴に嵌る支持爪8aを間欠的に備え、末端部に導線Dを把持する圧着部8bを備える電導性の高い金属部材である。
【0026】
この例の前記トリガ2は、前記ケーブルCをその長手方向に沿って保持するケーブルホルダ2aと、前記接続端子3を保持する板状の端子台2bと、前記端子台2bの両側縁から端子面側に突出する摺動部2cを一体的に備える(
図3乃至
図5参照)。
前記端子台2bは、前記接続端子3の左右側縁を左右及び表裏から支持する支持片2dと、当該接続端子3の前後不動となるように支持する突起2eを備え、その表面の前記摺動部2cに挟まれた領域に前記一対の定端子8,8間を導通させる接続端子3を保持する。
前記ケーブルホルダ2aは、一方が切欠したU字状の挟持部を備え、当該挟持部で前記ケーブルCを確実に(ズレ・離脱不能に)保持し、当該ケーブルCの進退に伴って前記トリガ2全体を前記トリガホルダ5の長手方向に沿って進退させる。
【0027】
この例の前記接続端子3は、左右それぞれ一対のコンタクト3aと、当該コンタクト3aの基部を連結する固定板3bを、弾性を持った導電金属により一体成形したものである。
前記コンタクト3aは、それぞれ同様の弓状に成形された弾性片と、その先端部の表面にドーム状に成形された摺動接点3cを備える。
各コンタクト3aはそれぞれ平行に配置され、左右一対のコンタクト3aは、前記一対の定端子8,8の間隔を隔てて存在し、それぞれは、左右各定端子8,8上を滑走する。
前記固定板3bは、前記支持片2d及び前記突起2eを備える前記トリガ2の支持部に弾性的に嵌め入れられ、各コンタクト3aが前記トリガ2の長手方向に沿う様に配置される。
【0028】
尚、前記一対の定端子8,8は、前記定端子ホルダ6に対して着脱可能に備える構成を採ることができ、前記接続端子3に、前記定端子8の各々に対する接点としてそれぞれ三個以上の複数の独立したコンタクト3aを備える構成を採ることもできる。
【0029】
前記トリガホルダ5は、当該ガイド管4の下端部を保持する半円柱状の不導体製の分割ケースであって、その内面中央部に、前記ケーブルホルダ2a及び当該ケーブルホルダ2aに保持されたケーブルCが進退し得る貫通溝9を備える。
また、この例の前記トリガホルダ5は、その先端部の内面に、前記ガイド管4を保持する半円筒状の保持部を構成する一部材として、前記ガイド管4の前記リブ4aを収容する保持溝5bを備える。
【0030】
<センサーモジュールへの装着>
相連結した前記トリガホルダ5及び前記定端子ホルダ6は、前記ガイド管4の末端部を挟持すると共に、前記トリガ2の両側縁の前記摺動部2cを、前記定端子8と一定の距離を保ちつつその長手方向へ進退するように支持する。
【0031】
この例の前記トリガホルダ5及び前記定端子ホルダ6は、相互の接合部に、前後方向への摺動をもって噛み合うロック機構10を備え、両者の同位置に、前記箍7を定位置に保持する胴溝11を備える。
前記ロック機構10の溝と突状が噛み合い、両者のスライドをもって前記胴溝11が、スイッチケースの胴部を一周するように一致した時、当該胴溝11に箍7を嵌めて当該スイッチケースの形態及び内装されている部材の配置を保持する(
図3及び
図4参照)。
【0032】
その際、この例の前記トリガホルダ5及び前記定端子ホルダ6は、相互の接合部の内側に、前記トリガ2の両摺動部2c、2cを前記定端子8と一定の距離を保ちつつその長手方向へ進退するように支持する前記摺動溝12を形成する(
図5参照)。
前記摺動溝12は、前記ガイド管4の延長線と共に、一つの仮想平面を構成するように形成される。
一方、前記定端子ホルダ6は、前記一対の定端子8,8を、両者の表面が前記仮想平面と平行となる様に支持する。
これによって、前記トリガ2は、その表面を、前記定端子8,8と一定の距離を保ちつつ、前記受圧部1の進退に伴い、前記ケーブルCを介してその長手方向へ進退する。
【実施例2】
【0033】
前記トリガホルダ5及び前記定端子ホルダ6は、前記トリガ2の両側縁を保持する位置において閉鎖する様に開閉可能に相連結する単一部材のスイッチケースとして構成することも可能である。
即ち、前記スイッチケースを、前記トリガホルダ5及び定端子ホルダ6を、ヒンジ部(図示省略)を介して開閉自在となるように構成し、前記トリガホルダ5及び前記定端子ホルダ6のヒンジ部の反対側に、両者の閉鎖状態を維持するスナップ式又はスライド式の閉鎖機構を備えるものである。
【0034】
尚、内部への雰囲気の浸入を防止すべく、前記トリガホルダ5又は前記定端子ホルダ6の一方の接合面に前記トリガホルダ5の貫通溝9を取り囲む遮断溝5aを穿設し、他方に、当該遮断溝5aへその全長にわたって嵌る凸条6aを形成することもできる(
図5参照)。
また、前記スイッチケース内の機密性を高めるには、前記スイッチケースの上開口部の内縁部の前記ガイド管4に対する接合部周縁に、シリコン塗布用の溝(図示省略)を形成することが望ましい。
【0035】
この検出スイッチは以上の如く構成され、前記ケーブルCの末端部に、前記トリガ2の前記ケーブルホルダ2aを嵌め、当該トリガ2の摺動部2cを当該トリガホルダ5の摺動溝12に掛けると共に、当該ケーブルホルダ2aを前記トリガホルダ5の貫通溝9に装填する。
その際、前記可動部Aの受圧部1に荷重が加わらない状態において、例えば、前記トリガ2に支持された前記コンタクト3aの表面が前記復帰穴13のスロープに復帰状態で接するように、又は前記コンタクト3aの背面が前記復帰穴13の上端に当接するように位置決めする。
これによって、面倒な位置決め作業を要することなく均一なストロークで対をなす定端子8,8の開閉が行われるように、前記スイッチケースに対するトリガ2の位置の調整を行うことができる。
【0036】
次に、前記定端子ホルダ6に、出力検出用の導線Dを接続した前記一対の定端子8,8
を装着し、当該定端子ホルダ6と前記トリガホルダ5の内空部を合わせて前記ロック機構10を相互にスライドさせ、前記定端子ホルダ6と前記トリガホルダ5の前記胴溝11,11が一連となったところで前記箍7を嵌め、前記スイッチケースを一体化する。
【0037】
前記検出スイッチは、上記構成により、前記コイルバネSが前記ガイド管4に対して受圧部1を上方に付勢する結果、調理鍋による荷重の解消時において、前記受圧部1の上端が加熱調理機器における鍋載置面よりも突出する復帰状態となる。
鍋載置面に調理鍋が置かれると、調理鍋の底が前記受圧部1に当接し、当該受圧部1に内蔵された温度センサーTは、調理鍋の温度の検出が可能となる。
【0038】
その際、両定端子8,8間を導通させる前記接続端子3を保持する前記トリガ2は、前記スイッチケースの中央に安定配置されて滑らかに進退し、前記受圧部1に負荷が掛かっていない時は、前記一対の定端子8,8間が開放され、前記受圧部1が調理鍋に押されて所定長落ち込んだ時は、前記ケーブルCに押されたトリガ2の接続端子3が前記一対の定端子8,8間を確実に導通させ、その状態変化を調理鍋の有無として感知することができる。
【0039】
このように、前記受圧部1を弾性的に進退させる前記ガイド管4を保持するスイッチケースは、前記挟持部を分割する前記トリガホルダ5及び前記定端子ホルダ6を分割自在に備えることによって、既存のガイド管4に調理鍋検出スイッチを後付することによるグレードアップを容易に行うことができる。
【0040】
また、機械式に接点を開閉する構造(以下「機械式接点」という)を採ることによって、高温の熱気に曝される環境下にあっても特性がほとんど変化することの無い安定した動作を得ることができる。
加えて、前記ケーブルホルダ2a、前記摺動部2c及び前記端子台2bを連続的に備える前記トリガ2の構造によって横ズレや傾斜を抑制し、上下移動の円滑さ、位置精度が改善されることによって、前記トリガ2が進退する際の前記接続端子3の姿勢の安定性が高まり、機械式接点のスイッチ精度の高さとも相俟って、動作精度の高い調理鍋検出スイッチを提供することができる。
【0041】
尚、上記検出スイッチは、上記例に限らず、前記トリガホルダ5及び前記定端子ホルダ6が、前記トリガ2の両側縁を前記定端子8,8の表面と一定の距離を保ちつつその長手方向へ当該トリガ2の位置に応じて前記一対の定端子8,8間を導通させ遮断する長さに亘って進退するように支持する形態を採り、且つ当該トリガ2に、当該一対の定端子8,8を導通させる前記接続端子3を保持する構成を有する限りにおいて、その構成要素の態様及びそれらの組立態様は、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0042】
A 可動部,B ガイド部,C ケーブル,D 導線,
S コイルバネ,T 温度センサー,
1 受圧部,
1a 底縁,1b 引き出し孔,1c 摺動環,
2 トリガ,
2a ケーブルホルダ,2b 端子台,2c 摺動部,2d 支持片,2e 突起,
3 接続端子,
3a コンタクト,3b 固定板,3c 摺動接点,
4 ガイド管,
4a リブ,4b 鍔部,
5 トリガホルダ,
5a 遮断溝,5b 保持溝,
6 定端子ホルダ,
6a 凸条,6b 保持溝,
7 箍,
8 定端子,8a 支持爪,8b 圧着部,
9 貫通溝,10 ロック機構,11 胴溝,12 摺動溝,
13 復帰穴,