特開2019-101383(P2019-101383A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-101383(P2019-101383A)
(43)【公開日】2019年6月24日
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20190603BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20190603BHJP
   G02B 26/02 20060101ALI20190603BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20190603BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20190603BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20190603BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G02F1/1333
   G02B26/02 B
   G09G3/34 J
   G09G3/20 642E
   G09G3/20 612U
   G09G3/20 680H
   G09F9/00 323
   G09F9/00 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-235899(P2017-235899)
(22)【出願日】2017年12月8日
(71)【出願人】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】能年 智治
【テーマコード(参考)】
2H141
2H189
5C006
5C080
5G435
【Fターム(参考)】
2H141MA02
2H141MA04
2H141MB04
2H141MB63
2H141MD03
2H141MD05
2H141ME23
2H141ME25
2H141MF12
2H141MF15
2H141MG03
2H141MZ16
2H189AA27
2H189AA35
2H189CA36
2H189HA16
2H189LA07
2H189LA14
2H189LA17
5C006AA22
5C006AF45
5C006BB16
5C006BB29
5C006BC06
5C006EA01
5C006FA54
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD01
5C080FF11
5G435AA02
5G435BB12
5G435DD11
5G435DD13
5G435FF05
(57)【要約】
【課題】高コントラスト比かつ画像品位に優れた画像を表示することができる画像表示装置を提供する。
【解決手段】画像表示装置1は、入力映像信号に基づいて画像を形成する画像形成部10と、画像形成部10に光を照射するバックライト20とを備え、画像形成部10は、マトリクス状に配列された複数の第1画素PX1によって区画された液晶表示部11と、複数の第1画素PX1に対応してマトリクス状に配列された複数の第2画素PX2によって区画されたMEMSシャッタ部12とを有し、MEMSシャッタ部12は、複数の第2画素PX2の各々に配置されたMEMSシャッタ213によって、複数の第2画素PX2の各々を透過するバックライト20の光を入力映像信号に基づいて制御し、液晶表示部11は、MEMSシャッタ部12を透過したバックライトの光20を入力映像信号に基づいて制御することによって画像を生成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力映像信号に基づいて画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に光を照射するバックライトとを備え、
前記画像形成部は、マトリクス状に配列された複数の第1画素によって区画された液晶表示部と、前記複数の第1画素に対応してマトリクス状に配列された複数の第2画素によって区画されたMEMSシャッタ部とを有し、
前記MEMSシャッタ部は、前記複数の第2画素の各々に配置されたMEMSシャッタによって、前記複数の第2画素の各々を透過する前記バックライトの光を前記入力映像信号に基づいて制御し、
前記液晶表示部は、前記MEMSシャッタ部を透過した前記バックライトの光を前記入力映像信号に基づいて制御することによって画像を生成する、
画像表示装置。
【請求項2】
前記MEMSシャッタ部は、前記液晶表示部と前記バックライトとの間に位置している、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記液晶表示部は、液晶セルであり、
前記MEMSシャッタ部は、MEMSセルであり、
前記液晶セルと前記MEMSセルは、接合部材を介して接合されている、
請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
さらに、前記液晶セルの前面側に貼り合わされた第1偏光板と、前記液晶セルの背面側に貼り合わされた第2偏光板とを有し、
前記接合部材は、前記第2偏光板と前記MEMSセルとを接合している、
請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
さらに、前記液晶セルの前面側に貼り合わされた第1偏光板と、前記MEMSセルの背面側に貼り合わされた第2偏光板とを有し、
前記接合部材は、前記液晶セルの背面側の面と前記MEMSセルの前面側の面とを接合している、
請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記液晶セルは、前記複数の第1画素の各々と一対一に対応して設けられたカラーフィルタを有する、
請求項3〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
1つの前記第2画素に対して、3×n(nは自然数)の前記第1画素が対応している、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記液晶表示部は、前記MEMSシャッタ部と前記バックライトとの間に位置している、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記液晶表示部は、液晶セルであり、
前記MEMSシャッタ部は、MEMSセルであり、
前記液晶セルと前記MEMSセルとは、接合部材を介して接合されている、
請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記MEMSセルは、前記複数の第2画素の各々と一対一に対応して設けられたカラーフィルタを有する、
請求項9に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記画像形成部は、前記複数の第1画素に各々に設けられた複数の第1薄膜トランジスタを有する第1基板と、前記複数の第2画素の各々に設けられた複数の第2薄膜トランジスタ及び複数の前記MEMSシャッタを有する第2基板と、複数のカラーフィルタを有する第3基板とを有し、
前記液晶表示部は、前記第1基板と、前記第1基板の前記バックライト側に配置された前記第3基板と、前記第1基板及び前記第3基板の間に配置された液晶層と、により構成され、
前記MEMSシャッタ部は、前記第3基板と、前記第3基板の前記バックライト側に配置された前記第2基板と、により構成され、
前記第1基板の前面側には、第1偏光板が配置され、
前記第2基板の背面側には、第2偏光板が配置される、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記画像形成部は、前記複数の第1画素に各々に設けられた複数の第1薄膜トランジスタを有する第1基板と、前記複数の第2画素の各々に設けられた複数の第2薄膜トランジスタ及び複数の前記MEMSシャッタを有する第2基板と、複数のカラーフィルタを有する第3基板とを有し、
前記液晶表示部は、前記第3基板と、前記第3基板の前記バックライト側に配置された前記第1基板と、前記第3基板及び前記第1基板の間に配置された液晶層と、により構成され、
前記MEMSシャッタ部は、前記第1基板と、前記第1基板の前記バックライト側に配置された前記第2基板と、により構成され、
前記第3基板の前面側には、第1偏光板が配置され、
前記第2基板の背面側には、第2偏光板が配置される、
請求項1に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルを用いた画像表示装置は、テレビ又はモニタ等のディスプレイとして利用されている。しかしながら、液晶表示パネルを用いた画像表示装置は、有機EL(Electro Luminescence)表示装置と比べてコントラスト比が低い。
【0003】
そこで、従来、画像表示装置のコントラスト比を向上させる技術として、2枚の液晶表示パネルを重ね合わせて、それぞれの液晶表示パネルに画像を表示させる技術が提案されている(例えば特許文献1)。この技術は、前後に配置された2枚の液晶表示パネルのうちメインパネルとなる前方側(観察者側)の液晶表示パネルにカラー画像を表示し、サブパネルとなる後方側(バックライト側)の液晶表示パネルにカラー画像と同期したモノクロ画像を表示することにより、コントラスト比の向上を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−076107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液晶表示パネルは、液晶セルと液晶セルを挟む一対の偏光板とによって構成されているため、2枚の液晶表示パネルを重ね合わせると透過率が低下する。また、液晶は応答速度が遅いため、2枚の液晶表示パネルを用いて互いの画像を同期させると、動画先鋭度が低下する。しかも、1つの液晶表示パネルには2枚の偏光板が用いられているので、2枚の液晶表示パネルを重ね合わせると、4枚の偏光板を用いることになり、視差が大きくなる。このように、2枚の液晶表示パネルを用いた画像表示装置では、コントラスト比を向上させることができるものの、画像品位が低下するおそれがある。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、高コントラスト比かつ画像品位に優れた画像を表示することができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示に係る画像表示装置の一態様は、入力映像信号に基づいて画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に光を照射するバックライトとを備え、前記画像形成部は、マトリクス状に配列された複数の第1画素によって区画された液晶表示部と、前記複数の第1画素に対応してマトリクス状に配列された複数の第2画素によって区画されたMEMSシャッタ部とを有し、前記MEMSシャッタ部は、前記複数の第2画素の各々に配置されたMEMSシャッタによって、前記複数の第2画素の各々を透過する前記バックライトの光を前記入力映像信号に基づいて制御し、前記液晶表示部は、前記MEMSシャッタ部を透過した前記バックライトの光を前記入力映像信号に基づいて制御することによって画像を生成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、高コントラスト比かつ画像品位に優れた画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る画像表示装置の概略構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る画像表示装置において、液晶表示部の第1画素とMEMSシャッタ部の第2画素との関係を示す図である。
図3】実施の形態1に係る画像表示装置の構成を示す断面図である。
図4】実施の形態1に係る画像表示装置の制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
図5】実施の形態1の変形例1に係る画像表示装置の構成を示す断面図である。
図6】実施の形態1の変形例2に係る画像表示装置の構成を示す断面図である。
図7】実施の形態2に係る画像表示装置の構成を示す断面図である。
図8】実施の形態2の変形例に係る画像表示装置の構成を示す断面図である。
図9】変形例に係る画像表示装置において、液晶表示部の第1画素とMEMSシャッタ部の第2画素との関係を示す図である。
図10】変形例の画像表示装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、及び、構成要素の配置位置や接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0012】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る画像表示装置1について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る画像表示装置1の概略構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、画像表示装置1は、入力映像信号に基づいて画像を形成する画像形成部10と、画像形成部10に光を照射するバックライト20とを備える。
【0014】
画像形成部10は、複数の画素によって区画されており、入力映像信号に基づいてバックライト20から照射される光を各画素で制御することによって、ユーザ(観察者)が視認する表示画像を形成する。画像形成部10は、例えば、表示画像として静止画像又は動画像を形成する。
【0015】
画像形成部10は、液晶層を有する液晶表示部11と、MEMS(Micro Electro Mechanical System)シャッタを有するMEMSシャッタ部12とを有する。液晶表示部11とMEMSシャッタ部12とは、バックライト20の前方に積層されている。本実施の形態では、液晶表示部11の方がMEMSシャッタ部12よりも観察者に近い位置に配置されている。つまり、液晶表示部11、MEMSシャッタ部12及びバックライト20は、この順で前方から後方に向かって配置されており、MEMSシャッタ部12は、液晶表示部11とバックライト20との間に位置している。
【0016】
液晶表示部11は、入力映像信号に基づいてバックライト20の光を液晶によって制御することによって画像を生成する画像生成部である。本実施の形態では、液晶表示部11とバックライト20との間にMEMSシャッタ部12が配置されているので、液晶表示部11は、MEMSシャッタ部12を透過したバックライト20の光を入力映像信号に基づいて制御することによって画像を生成する。
【0017】
液晶表示部11は、液晶表示部11によって生成された画像が表示される画像表示領域DSP(アクティブ領域)を有する。液晶表示部11の画像表示領域DSPは、マトリクス状に配列された複数の第1画素PX1によって構成されている。このように、液晶表示部11は、複数の第1画素PX1によって区画されている。
【0018】
本実施の形態において、各第1画素PX1は、赤色光を透過する赤色用画素PXR(R画素)、緑色光を透過する緑色用画素PXG(G画素)及び青色光を透過する青色用画素PXB(B画素)のいずれかであり、画像表示領域DSPにおける全第1画素PX1は、赤色用画素PXR、緑色用画素PXG及び青色用画素PXBの3つのサブピクセルを一組のメインピクセルとしてマトリクス状に配列されている。これにより、画像表示領域DSPにはカラー画像が表示される。つまり、液晶表示部11によって生成される画像は、カラー画像である。これにより、画像形成部10には、表示画像としてカラー画像が形成されることになる。
【0019】
なお、本実施の形態では、観察者側に位置する液晶表示部11の第1画素PX1が、画像形成部10の画素を構成している。つまり、液晶表示部11の第1画素PX1と画像形成部10の画素とが一対一に対応している。
【0020】
MEMSシャッタ部12は、MEMSシャッタによってバックライト20の光を制御する光制御部である。例えば、MEMSシャッタ部12は、バックライト20の光の制御の一例として、MEMSシャッタ部12に入射するバックライト20の光を透過させたり遮断させたりしてもよいし、MEMSシャッタ部12を透過する光の透過量を制御してもよい。
【0021】
また、MEMSシャッタ部12は、マトリクス状に配列された複数の第2画素PX2によって区画されている。各第2画素PX2には、MEMSシャッタが設けられている。これにより、MEMSシャッタ部12は、MEMSシャッタ部12に入射するバックライト20の光を第2画素PX2の画素単位で制御することができる。
【0022】
本実施の形態において、MEMSシャッタ部12は、各第2画素PX2に配置されたMEMSシャッタによって、複数の第2画素PX2の各々を透過するバックライト20の光を、液晶表示部11に入力される入力映像信号と同じ入力映像信号に基づいて制御している。つまり、MEMSシャッタ部12と液晶表示部11とは、共通の入力映像信号(共通映像ソース)によって駆動制御される。
【0023】
具体的には、MEMSシャッタ部12は、各第2画素PX2に設けられたMEMSシャッタを駆動することによって、各第2画素PX2を透過するバックライト20の光を、液晶表示部11で生成される画像に同期させて制御している。
【0024】
本実施の形態では、液晶表示部11とバックライト20との間にMEMSシャッタ部12が配置されているので、液晶表示部11に入射するバックライト20の光は、MEMSシャッタ部12で制御された光である。つまり、MEMSシャッタ部12は、液晶表示部11で画像を生成するためのバックライト20の光を第2画素PX2毎に個別に制御している。
【0025】
MEMSシャッタ部12における複数の第2画素PX2は、液晶表示部11における複数の第1画素PX1に対応して配列されている。本実施の形態では、図2に示すように、複数の第1画素PX1と複数の第2画素PX2とは、1つの第2画素PX2に対して3つの第1画素PX1が対応するように配列されている。具体的には、1つの第2画素PX2は、赤色用画素PXR、緑色用画素PXG及び青色用画素PXBの3つの第1画素PX1に対応している。
【0026】
バックライト20は、画像形成部10に向けて光を照射する。具体的には、バックライト20から出射する光は、MEMSシャッタ部12に入射し、MEMSシャッタ部12を透過した後、液晶表示部11に入射する。
【0027】
本実施の形態において、バックライト20は、平面状の均一な拡散光(散乱光)を照射する面光源ユニットである。バックライト20は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を光源とするLEDバックライトであるが、これに限るものではない。一例として、バックライト20は、複数のLEDが二次元的に配置された直下型バックライトであるが、これに限るものではない。例えば、バックライト20は、エッジ型バックライトであってもよい。また、バックライト20は、光源(LED)からの光を拡散させるために拡散板及び光の配光を制御するプリズムシート等の光学部材を有していてもよい。
【0028】
なお、詳細は後述するが、画像表示装置1には、2つの偏光板が配置されている。2つの偏光板は、液晶層の前面側と背面側とに1つずつ設けられ、互いにクロスニコルの関係を満たすように配置されている。具体的には、2つの偏光板は、画像形成部10の前面側、画像形成部10の内部(液晶表示部11とMEMSシャッタ部12との間)、及び、画像形成部10の背面側の3箇所のうちのいずれか2箇所に1つずつ配置されている。
【0029】
次に、本実施の形態における画像表示装置1の具体的な構造について、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態1に係る画像表示装置1の構成を示す断面図である。
【0030】
図3に示すように、本実施の形態において、液晶表示部11は、液晶セル100であり、MEMSシャッタ部12は、MEMSセル200である。つまり、画像表示装置1は、液晶表示部11として液晶セル100を有するとともに、MEMSシャッタ部12としてMEMSセル200を有する。さらに、画像表示装置1は、第1偏光板310及び第2偏光板320と、接合部材400とを備える。
【0031】
液晶セル100は、TFT(Thin Film Transistor)基板110と、TFT基板110に対向する対向基板120と、TFT基板110及び対向基板120の間に配置された液晶層130とを備える液晶パネルである。
【0032】
本実施の形態において、液晶セル100は、対向基板120がTFT基板110よりも前方に位置するように配置されている。つまり、対向基板120が観察者側に配置され、TFT基板110がバックライト20側に配置されている。
【0033】
TFT基板110(第1TFT基板)は、基板111に複数のTFT112(第1薄膜トランジスタ)が形成されたTFTアレイ基板である。基板111は、ガラス製又は樹脂製の透明基板である。本実施の形態において、基板111は、ガラス基板である。TFT112は、複数の第1画素PX1の各々に設けられている。TFT112は、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有しており、液晶層130の液晶を駆動する第1画素PX1を選択するためのスイッチング素子として機能する。
【0034】
また、図示されていないが、TFT基板110には、TFT112に電圧を供給するための配線として、行方向に延在する複数のゲート線と、列方向に延在する複数のソース線(映像信号線)とが形成されている。ゲート線は、行方向に配列された第1画素PX1のTFT112のゲート電極に接続され、ソース線は、列方向に配列された第1画素PX1のTFT112のソース電極に接続されている。
【0035】
さらに、TFT112を覆う平坦化層(不図示)の上には、TFT112のドレイン電極に接続された画素電極が第1画素PX1毎に形成されている。また、TFT基板110には画素電極に対向する共通電極(不図示)も形成されている。
【0036】
対向基板120(第1対向基板)は、基板121にブラックマトリクス122及びカラーフィルタ123が形成されたCF基板である。基板121は、ガラス製又は樹脂製の透明基板である。本実施の形態において、基板121は、ガラス基板である。ブラックマトリクス122は、各第1画素PX1に対応して形成された複数の開口部を有する。カラーフィルタ123は、ブラックマトリクス122の各開口部に形成されている。本実施の形態において、カラーフィルタ123は、複数の第1画素PX1の各々と一対一に対応して設けられている。具体的には、カラーフィルタ123として、赤色用画素PXRに対応する赤色カラーフィルタ123R、緑色用画素PXGに対応する緑色カラーフィルタ123G、及び、青色用画素PXBに対応する青色カラーフィルタ123Bが設けられている。
【0037】
液晶層130は、TFT基板110と対向基板120との間に封止されている。液晶層130は、例えば、TFT基板110及び対向基板120の外周端部に沿ってシール部材を額縁状に形成することで封止される。液晶層130の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。
【0038】
このように構成される液晶セル100は、例えばIPS(In Plane Switching)方式又はFFS(Fringe Field Switching)方式等の横電界方式で駆動されるが、これに限るものではなく、液晶セル100の駆動方式は、VA(Vertical Alignment)方式又はTN(Twisted Nematic)方式等であってもよい。
【0039】
なお、図示されていないが、液晶セル100には、ソースドライバが実装されたプリント配線基板とゲートドライバが実装されたプリント配線基板とがそれぞれフレキシブル配線基板を介して接続されている。
【0040】
液晶セル100に対向するMEMSセル200は、MEMSパネルであり、TFT基板210と、TFT基板210に対向する対向基板220とを有するMEMSパネルである。本実施の形態において、MEMSセル200は、対向基板220がTFT基板210よりも前方に位置するように配置されている。つまり、対向基板220が観察者側に配置され、TFT基板210がバックライト20側に配置されている。
【0041】
TFT基板210(第2TFT基板)は、基板211に複数のTFT212(第2薄膜トランジスタ)が形成されたTFTアレイ基板である。本実施の形態において、基板211には、複数のMEMSシャッタ213も形成されている。
【0042】
基板211は、ガラス製又は樹脂製の透明基板である。本実施の形態において、基板211は、ガラス基板である。TFT212は、複数の第2画素PX2の各々に設けられている。TFT212は、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有しており、各第2画素PX2のMEMSシャッタ213を駆動するためのスイッチング素子として機能する。
【0043】
また、図示されていないが、TFT基板210には、TFT212に電圧を供給するための配線として、行方向に延在する複数のゲート線と、列方向に延在する複数のソース線とが形成されている。ゲート線は、行方向に配列された第2画素PX2のTFT212のゲート電極に接続され、ソース線は、列方向に配列された第2画素PX2のTFT212のソース電極に接続されている。TFT212のドレイン電極は、MEMSシャッタ213をスライドさせるための電極等に接続されている。
【0044】
MEMSシャッタ213は、各第2画素PX2に設けられている。各MEMSシャッタ213には、スリット状の開口部213aが形成されている。各MEMSシャッタ213は、TFT212によって駆動されることで第2画素PX2の行方向又は列方向にスライドする。本実施の形態において、各MEMSシャッタ213は、図3の矢印で示すように、行方向にスライドするように構成されている。なお、MEMSシャッタ213の開口部213aの形状は、スリット状に限らない。
【0045】
また、基板211には、スリット状の開口部214aが形成されたシャッタ基板214が設けられている。開口部214aは、各第2画素PX2に設けられている。なお、シャッタ基板214の開口部214aの形状は、スリット状に限らない。
【0046】
MEMSシャッタ213をスライドさせることによって、シャッタ基板214の開口部214aの開閉を制御することができる。具体的には、MEMSシャッタ213の開口部213aがシャッタ基板214の開口部214aに重なることで、シャッタ基板214の開口部214aが開いた状態となり、MEMSシャッタ213のシャッタ部分(板部分)がシャッタ基板213の開口部213aに重なることで、シャッタ基板214の開口部214aが閉じた状態となる。このように、MEMSシャッタ213を駆動することで、開口部214aを透過するバックライト20の光を制御することができる。
【0047】
本実施の形態において、MEMSシャッタ213は、液晶表示部11で生成される画像に同期させて制御される。つまり、MEMSシャッタ213は、液晶表示部11と共通の入力映像信号によって駆動される。
【0048】
対向基板220は、ガラス製又は樹脂製の透明基板である基板221を有する。本実施の形態において、基板221は、ガラス基板である。対向基板220は、TFT基板210と対向基板220との間に充填されたシリコンオイル等の充填材を封止する封止基板である。充填材は、例えば、TFT基板210及び対向基板220の外周端部に沿ってシール部材を額縁状に形成することで封止される。なお、充填材は、液体に限るものではなく、気体であってもよい。
【0049】
液晶セル100は、第1偏光板310と第2偏光板320とに挟まれている。第1偏光板310は、液晶セル100の前面側に貼り合わされている。第2偏光板320は、液晶セル100の背面側に貼り合わされている。本実施の形態において、第1偏光板310は、液晶セル100の対向基板120の外面に貼り合わされており、第2偏光板320は、液晶セル100のTFT基板110の外面に貼り合わされている。
【0050】
第1偏光板310と第2偏光板320とは、偏光軸が互いに直交するように配置されている。つまり、第1偏光板310と第2偏光板320とは、クロスニコルの位置関係となるように配置されている。第1偏光板310及び第2偏光板320は、例えば樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムであり、一例として、TAC(Triacetylcellulose:トリアセチルセルロース)フィルム等の支持フィルムと支持フィルムに積層された偏光子とによって構成されている。
【0051】
液晶セル100とMEMSセル200とは、接合部材400を介して接合されている。本実施の形態において、接合部材400は、液晶セル100の背面側に貼り合わされた第2偏光板320とMEMSセル200とを接合している。
【0052】
接合部材400は、例えばアクリル樹脂系の粘接着剤であり、フィルム状の光学透明粘着シート(OCA:Optically Clear Adhesive)、又は、光学透明接着樹脂(OCR:Optically Clear Resin)等である。また、接合部材400として液状の粘接着剤を用いる場合、熱硬化型の粘接着剤を用いてもよいし、紫外線硬化型の粘接着剤を用いてもよい。
【0053】
このように、本実施の形態では、液晶セル100とMEMSセル200とを接合部材400で接合することによって、画像形成部10として1つの画像表示パネルが構成されている。
【0054】
したがって、画像形成部10を作製する場合、まず、液晶セル100とMEMSセル200とをそれぞれ作製する。その後、接合部材400を介して液晶セル100とMEMSセル200とを重ね合わせることで、液晶セル100とMEMSセル200とを接合部材400によって貼り合わせる。これにより、液晶セル100とMEMSセル200とが一体化された画像形成部10を作製することができる。
【0055】
次に、本実施の形態に係る画像表示装置1の動作について、図1図3を用いて説明する。
【0056】
画像表示装置1が外部から入力映像信号を受信すると、画像表示装置1内の画像処理部(不図示)で画像処理が実行される。
【0057】
そして、画像処理部から液晶セル100には、入力映像信号に対応したカラー画像用信号が、液晶セル100に接続されたゲートドライバ及びソースドライバを介して入力される。具体的には、ゲートドライバは、入力映像信号に応じたデータ電圧を書き込む先の第1画素PX1を選択するためのゲートオン電圧を走査線に供給する。また、ソースドライバは、ゲートドライバから走査線を介して供給されるゲートオン電圧によって選択された第1画素PX1のTFT112に、入力映像信号に応じたデータ電圧をソース線に供給する。
【0058】
これにより、TFT112を介してソース線から画素電極にデータ電圧が供給される。そして、画素電極に供給されたデータ電圧と共通電極に供給された共通電圧との差により液晶層130に電界が生じる。この電界により第1画素PX1毎に液晶層130の液晶分子の配向状態が変化し、液晶セル100を通過するバックライト20の光の透過率が第1画素PX1毎に制御される。これにより、液晶セル100には、入力映像信号に対応したカラー画像が表示される。
【0059】
一方、画像処理部からMEMSセル200には、入力映像信号に対応したMEMSシャッタ駆動用信号が、MEMSセル200に接続されたゲートドライバ及びソースドライバを介して入力される。これにより、MEMSセル200では、入力映像信号に対応してバックライト20の光が制御される。
【0060】
このとき、MEMSセル200では、各第2画素PX2に配置されたMEMSシャッタ213によって、各第2画素PX2を透過するバックライト20の光が、画像処理部に入力される入力映像信号に基づいて制御される。具体的には、各第2画素PX2に設けられたMEMSシャッタ213が駆動されることで、各第2画素PX2を透過するバックライト20の光は、液晶セル100で生成されるカラー画像に同期して透過量が制御される。
【0061】
これにより、バックライト20から出射した光は、液晶セル100で生成されるカラー画像と同期した透過量で、MEMSセル200の第2画素PX2を選択的に透過することになる。この結果、MEMSセル200を透過するバックライト20の光は、液晶セル100で生成されるカラー画像と同じ図柄のモノクロ画像のような光となって液晶セル100に入射することになる。
【0062】
したがって、従来の2枚の液晶表示パネルによってカラー画像とモノクロ画像とを重ね合わせて表示する場合と同様に、MEMSセル200によって制御されたバックライト20の光(モノクロ画像のような光)によって、液晶セル100に表示されるカラー画像の黒を引き締めることができる。これにより、コントラスト比が高い表示画像を得ることができる。例えば、液晶セル100で生成されるカラー画像のコントラスト比が1000:1以上で、MEMSセル200を透過するバックライト20の光で得られるモノクロ画像のコントラスト比が5000:1以上であるので、500万:1以上の高いコントラスト比の表示画像を容易に実現することができる。
【0063】
一例として、バックライト20の光を出射させるタイミングと、バックライトの光による、MEMSシャッタ部12(MEMSセル200)、液晶表示部11(液晶セル100)及び画像形成部10の各透過率を、図4に示す。
【0064】
MEMSシャッタ部12のMEMSシャッタ213は、液晶表示パネルの液晶と比べて応答速度が高速である。例えば、液晶の応答速度が10ms程度であるのに対して、MEMSシャッタ213の応答速度は100μs程度である。このような応答特性の差を利用し、先ず、第1画素PX1のTFT112にゲートオン電圧を供給し、ゲートオン電圧によって選択されたTFT112に入力映像信号に応じたデータ電圧を供給してから、液晶表示部11の透過率(応答)が飽和する期間に合わせて、第2画素PX2のTFT212にゲートオン電圧を供給し、ゲートオン電圧によって選択されたTFT212に入力映像信号に応じたデータ電圧を供給する。
【0065】
これにより、本実施の形態における画像表示装置1では、図4に示すように、液晶表示部11の透過率(応答)が飽和している期間のみにおいてシャッタ基板214の開口部214aを開けることができ、それ以外の期間ではシャッタ基板214の開口部214aを閉じることができる。したがって、本実施の形態における画像表示装置1では、2枚の液晶表示パネルのみで構成される画像表示装置で見られる残光や画像ぼけを抑制することができる。特に、動画応答性を向上させることができる。
【0066】
このように、本実施の形態に係る画像表示装置1によれば、バックライト20の前方に液晶セル100(液晶表示部11)とMEMSセル200(MEMSシャッタ部12)とが重ね合わされて配置されている。そして、MEMSセル200は、複数の第2画素PX2の各々に配置されたMEMSシャッタ213によって、複数の第2画素PX2の各々を透過するバックライト20の光を、画像表示装置1に入力される入力映像信号に基づいて制御している。また、液晶セル100は、MEMSセル200を透過したバックライト20の光を、MEMSセル200と同じ入力映像信号に基づいて制御することによって画像を生成している。
【0067】
これにより、MEMSセル200とバックライト20とを、複数の第2画素PX2に分割された高分割の1つのバックライトに見立てることができるので、高効率且つ高分解能でローカルディミング制御することができる。したがって、画像品位に優れた画像表示装置1を実現することができる。
【0068】
また、MEMSセル200は、カラーフィルタを有する液晶セルと液晶セルを挟む一対の偏光板とによって構成された液晶表示パネルとは異なり、MEMSセル200には、光を吸収する光学部材であるカラーフィルタ及び偏光板が用いられていない。これにより、本実施の形態における画像表示装置1は、2枚の液晶表示パネルを重ね合わせた画像表示装置と比べて、透過率を高くすることができる。したがって、画像品位をさらに向上させることができる。
【0069】
さらに、MEMSセル200には偏光板が用いられていないので、MEMSセル200と液晶セル100とを重ね合わせることによって、2枚の液晶表示パネルを重ね合わせる場合と比べて、使用する偏光板の枚数を3乃至4枚から2枚に削減することができる。この結果、視差を軽減することができ、画像品位をさらに向上させることができる。
【0070】
しかも、液晶セル100とMEMSセル200との接合部分に用いられる偏光板の枚数が削減されることで、液晶セルの厚さのムラに起因する画像品位の低下を抑制することができる。この点について、以下説明する。
【0071】
偏光板を製造する過程又はアンチグレア処理等の表面処理を行うときに、偏光板の表面には微小凹凸が形成される。このため、両面に偏光板が貼り合わされた2枚の液晶セルを、OCA等の比較的に固めの接合部材で接合すると、接合部材では偏光板の微小凹凸を吸収することができず、接合部材の貼り合わせ時の応力によって液晶セルの透明基板が偏光板の微小凹凸で押さえ付けられる。この結果、液晶セルの透明基板に歪みが発生し、液晶セルの厚さにムラが生じて表示画像の品質が低下する。
【0072】
これに対して、MEMSセル200の方には偏光板が存在しないので、本実施の形態のように、液晶セル100とMEMSセル200とをOCA等の接合部材400で接合した場合であっても、偏光板の微小凹凸に起因して生じる液晶セル100の厚さのムラを軽減することができる。これにより、画像品位をさらに向上させることができる。
【0073】
また、MEMSセル200のMEMSシャッタ213は、液晶セルの液晶分子と比べて応答速度が速い。これにより、本実施の形態のように、液晶セル100で生成される画像に同期させてMEMSセル200のMEMSシャッタ213を駆動させた場合には、2枚の液晶表示パネルを重ね合わせた画像表示装置と比べて、動画先鋭度を高くすることができる。したがって、画像品位をさらに向上させることができる。
【0074】
また、2枚の液晶セルを重ね合わせるのではなく、本実施の形態のように、液晶セル100にMEMSセル200を重ね合わせることによって、液晶セル100とMEMSセル200とを紫外線硬化型の接合部材400によって接合することができる。つまり、液晶表示パネルは紫外線を通さないため、紫外線硬化型の接合部材を用いて2枚の液晶表示パネルを接合することは難しいが、MEMSシャッタ213をスライドさせて開口部214aを開けておくことによって、MEMSセル200に紫外線を透過させることができる。これにより、液晶セル100とMEMSセル200とを紫外線硬化型の接合部材400によって容易に接合することができる。
【0075】
しかも、紫外線硬化型の接合部材400は、液晶セル100とMEMSセル200とを接合する時の紫外線照射によって重合反応が促進することから経時的変化が少なく安定しており、また、後発的に気泡が入り込みにくい。したがって、液晶セル100とMEMSセル200とを紫外線硬化型の接合部材400によって接合することで、信頼性の高い画像表示装置1を実現することができる。なお、紫外線硬化型の接合部材400としては、紫外線硬化型のOCRを用いることができる。
【0076】
また、本実施の形態における画像表示装置1では、MEMSセル200(MEMSシャッタ部12)が液晶セル100(液晶表示部11)とバックライト20との間に位置している。つまり、液晶セル100がメインパネルとなり、MEMSセル200がサブパネルとなっている。
【0077】
この構成により、液晶セル100をMEMSセル200とバックライト20との間に配置する場合と比べて、コストダウンを図れるとともに、色再現性に優れた画像表示装置1を実現することができる。
【0078】
具体的には、MEMSセル200の基板211としてガラス基板を用いて、この基板211が外郭部材となる場合には、基板211(ガラス基板)を保護するために飛散防止フィルム等の保護部材を基板211の表面に別途貼り合わせる必要があるが、液晶セル100をMEMSセル200の前面側に配置することで、液晶セル100がMEMSセル200の保護部材として機能するので、飛散防止フィルム等の保護部材をMEMSセル200の前面側に別途貼り合わせる必要がなくなる。したがって、コストダウンを図ることができる。
【0079】
なお、本実施の形態とは異なり、液晶セル100をMEMSセル200とバックライト20との間に配置すると、液晶セル100で先にカラー画像を生成してからMEMSセル200によって透過量を調整することになり、カラー画像の光がMEMSセル200のメカ機構を透過するときに散乱し、混色が発生して色再現性が低下する。
【0080】
これに対して、本実施の形態のように、MEMSセル200を液晶セル100とバックライト20との間に配置することで、MEMSセル200によってバックライト20の光の透過量を調整した後に液晶セル100でカラー画像が生成されるので、カラー画像の光がMEMSセル200のメカ機構によって散乱して混色することを回避できる。これにより、色再現性に優れた画像表示装置1を実現することができる。
【0081】
ただし、図5に示される画像表示装置1Aのように、液晶セル100Aではなく、メインパネルとなるMEMSセル200Aの方にカラーフィルタ223を設ける場合には、液晶セル100A(液晶表示部11)をMEMSセル200A(MEMSシャッタ部12)とバックライト20との間に配置していてもよい。
【0082】
具体的には、画像表示装置1Aでは、MEMSセル200Aの対向基板220Aが、基板221にブラックマトリクス222及びカラーフィルタ223が形成されたCF基板となっている。また、液晶セル100Aの対向基板120Aは、カラーフィルタが形成されていない基板121となっている。
【0083】
このように、液晶セル100Aではなく、MEMSセル200Aの方にカラーフィルタ223を設けることによって、液晶セル100AをMEMSセル200Aとバックライト20との間に配置した場合であっても、カラー画像の光がMEMSセル200Aのメカ機構によって散乱して混色することを回避できるので、図3に示される画像表示装置1と同様に、色再現性に優れた画像表示装置1Aを実現することができる。
【0084】
しかも、図5に示される画像表示装置1Aのように、MEMSセル200Aによってカラー画像を生成することで、図3に示される画像表示装置1と比べて、視野角特性を向上させることができる。
【0085】
なお、図5に示される画像表示装置1Aにおいて、カラーフィルタ223は、複数の第2画素PX2の各々と一対一に対応して設けられている。具体的には、カラーフィルタ223として、赤色用画素PXRに対応する赤色カラーフィルタ223R、緑色用画素PXGに対応する緑色カラーフィルタ223G、及び、青色用画素PXBに対応する青色カラーフィルタ223Bが設けられている。
【0086】
また、図5では、複数の第1画素PX1と複数の第2画素PX2とは、1つの第1画素PX1に対して3つの第2画素PX2が対応するように配列されている。具体的には、1つの第1画素PX1は、赤色用画素PXR、緑色用画素PXG及び青色用画素PXBの3つの第2画素PX2に対応している。
【0087】
なお、図5に示される画像表示装置1Aについても、図3に示される画像表示装置1と同様に、2枚の液晶表示パネルを重ね合わせた画像表示装置と比べた場合の優れた効果を奏する。
【0088】
また、図3に示される画像表示装置1では、第2偏光板320が液晶セル100の背面側に貼り合わされていたが、図6に示される画像表示装置1Bのように、第2偏光板320がMEMSセル200の背面側に貼り合わされていてもよい。この場合、接合部材400は、液晶セル100の背面側の面とMEMSセル200の前面側の面とを接合している。具体的には、接合部材400は、液晶セル100のTFT基板110の外面とMEMSセル200の対向基板220の外面とを接合している。
【0089】
このように、図6に示される画像表示装置1Bでも、図3に示される画像表示装置1と同様の効果を奏する。
【0090】
この場合、図6に示される画像表示装置1Bでは、第2偏光板320が、MEMSセル200の背面側に貼り合わされており、液晶セル100とMEMS200との間の接合部分には存在しない。これにより、液晶セル100とMEMS200との間の接合部分に配置された偏光板の微小凹凸に起因して生じる液晶セル100の厚さのムラを無くすことができるので、図3に示される画像表示装置1と比べて、画像品位を一層向上させることができる。
【0091】
さらに、第1偏光板310だけではなく第2偏光板320も画像形成部10の外側に配置することによって、画像品位の低下を抑制し、画像品位を一層向上させることができる。この点について、以下説明する。
【0092】
図3に示される画像表示装置1のように、第1偏光板310及び第2偏光板320の少なくとも一方を画像形成部10の内部に配置すると、画像表示装置1を長時間使用したときに、画像形成部10の内部に配置された偏光板(図3では第2偏光板320)において、周縁部と中央部との間で水分を保持する能力に差異が生じ、液晶セル100の画像表示領域DSPの周辺部にムラが発生して画像品位が低下するおそれがある。
【0093】
これに対して、図6に示される画像表示装置1Bのように、第1偏光板310及び第2偏光板320の両方を画像形成部10の外部に配置することによって、第1偏光板310と第2偏光板320との水分量の差を軽減することができる。これにより、第1偏光板310及び第2偏光板320の水分量の差に起因する画像品位の低下を抑制することができる。
【0094】
しかも、第1偏光板310及び第2偏光板320の両方を画像形成部10の外部に配置することによって、液晶セル100とMEMSセル200とを接合部材400で貼り合わせるときの貼り合わせずれを軽減することもできる。
【0095】
したがって、第1偏光板310だけではなく第2偏光板320も画像形成部10の外側に配置することによって、第1偏光板310及び第2偏光板320の水分量の差による画像品位の低下を抑制できるとともに、液晶セル100とMEMSセル200との貼り合わせずれによる画像品位の低下を抑制することができる。これにより、画像品位を一層向上させることができる。
【0096】
また、図6に示される画像表示装置1Bでは、液晶セル100のTFT基板110とMEMSセル200の対向基板220とを接合部材400で貼り合わせている。つまり、平坦度の高いガラス基板同士を接合部材400で貼り合わせている。これにより、接合部材400として、比較的に硬めのOCA又はTAC等からなる低コストで薄い粘接着剤を用いたとしても、液晶セル100に厚さのムラが発生することを回避できる。したがって、より薄型の画像表示装置1Bを低コストで製造することができる。
【0097】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る画像表示装置2について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態2に係る画像表示装置2の構成を示す断面図である。
【0098】
上記実施の形態1における画像表示装置1では、液晶セル100(液晶表示部11)とMEMSセル200(MEMSシャッタ部12)との2つのセルを接合部材400で貼り合わせることによって画像形成部10が構成されていたが、本実施の形態における画像表示装置2では、図7に示すように、液晶表示部11とMEMSシャッタ部12とが別途接合部材400で貼り合わされることなく、画像形成部10が構成されている。つまり、画像形成部10は、液晶表示部11とMEMSシャッタ部12とが一体化された1つの画像表示パネルとして構成されている。
【0099】
具体的には、第1基板である基板111と第2基板である基板211と第3基板である基板121とによって画像形成部10が構成されている。
【0100】
基板111(第1基板)は、第1TFT基板であり、上記実施の形態1と同様に、複数の第1画素PX1に各々に設けられた複数のTFT112(第1薄膜トランジスタ)を有する。
【0101】
基板211(第2基板)は、第2TFT基板であり、上記実施の形態1と同様に、複数の第2画素PX2の各々に設けられた複数のTFT212(第2薄膜トランジスタ)及び複数のMEMSシャッタ213を有する。また、基板211には、第2画素PX2毎に開口部214aが形成されたシャッタ基板214が設けられている。
【0102】
基板121(第3基板)は、CF基板であり、上記実施の形態1と同様に、ブラックマトリクス122及び複数のカラーフィルタ123を有する。
【0103】
そして、本実施の形態において、液晶表示部11は、基板111と、基板111のバックライト20側に配置された基板121と、基板111及び基板121の間に配置された液晶層130と、により構成される。
【0104】
また、MEMSシャッタ部12は、基板121と、基板121のバックライト20側に配置された基板211と、により構成される。
【0105】
このように構成される画像形成部10は、基板111、基板211及び基板121の3つの基板を重ね合わせることで作製することができる。
【0106】
この場合、カラーフィルタ123を有するMEMSシャッタ部12を作製し、このMEMSシャッタ部12を液晶表示部11の封止部材として用いることで、画像形成部10を作製することができる。
【0107】
具体的には、まず、TFT212、MEMSシャッタ213及びシャッタ基板214が設けられた基板211(第2TFT基板)と、ブラックマトリクス122及びカラーフィルタ123が設けられた基板121(CF基板)とをギャップを介して重ねて、基板211と基板121との間にシリコンオイル等の充填材を充填して封止することで、MEMSセルとしてMEMSシャッタ部12を作製する。このとき、基板211にカラーフィルタ123が対面するように基板121を配置する。
【0108】
次に、TFT112が設けられた基板111(第1TFT基板)の上にギャップを介して、カラーフィルタ123を有するMEMSシャッタ部12(MEMSセル)を配置する。このとき、MEMSシャッタ部12の基板121が基板111に対面するようにMEMSシャッタ部12を配置する。そして、基板111とMEMSシャッタ部12との間に液晶層130を充填して封止することで液晶表示部11を作製する。なお、液晶表示部11を作製する際、基板121と基板111とのギャップを維持するスペーサとしては、柱状スペーサではなく、ガラスビーズ又は樹脂ビーズを用いるとよい。
【0109】
このようにして、MEMSシャッタ部12と液晶表示部11とが1つのセルとして構成された画像形成部10を作製することができる。具体的には、基板211と基板121と基板111の3つの基板が互いに所定のギャップをあけて積層された画像形成部10を作製することができる。
【0110】
また、本実施の形態において、第1偏光板310は、基板111(第1基板)の前面側に配置され、第2偏光板320は、基板211(第2基板)の背面側に配置される。具体的には、第1偏光板310は、基板111の外面に貼り合わされ、第2偏光板320は、基板211の外面に貼り合わされている。
【0111】
以上、本実施の形態に係る画像表示装置2では、上記実施の形態1に係る画像表示装置1と同様に、バックライト20の前方に液晶表示部11とMEMSシャッタ部12とが重ね合わされて配置されている。そして、MEMSシャッタ部12は、複数の第2画素PX2の各々に配置されたMEMSシャッタ213によって、複数の第2画素PX2の各々を透過するバックライト20の光を、画像表示装置2に入力される入力映像信号に基づいて制御している。また、液晶表示部11は、MEMSシャッタ部12を透過したバックライト20の光を、MEMSシャッタ部12と同じ入力映像信号に基づいて制御することによって画像を生成している。
【0112】
したがって、本実施の形態に係る画像表示装置2でも、上記実施の形態1に係る画像表示装置1と同様の効果を奏する。
【0113】
また、本実施の形態に係る画像表示装置2では、上記実施の形態1に係る画像表示装置1とは異なり、接合部材400を用いることなく画像形成部10を構成している。
【0114】
これにより、視差を大きく改善することができるとともに、より薄型の画像表示装置2を実現することができる。
【0115】
なお、図7に示される画像表示装置2では、基板111(第1基板)と基板211(第2基板)との間に基板121(第3基板)が配置されていたが、これに限らない。例えば、図8に示される画像表示装置2Aのように、基板121(第3基板)と基板211(第2基板)との間に基板111(第1基板)が配置されていてもよい。図8は、実施の形態2の変形例に係る画像表示装置2Aの構成を示す断面図である。
【0116】
図8に示すように、画像表示装置2Aでは、液晶表示部11は、基板121と、基板121のバックライト20側に配置された基板111と、基板121及び基板111の間に配置された液晶層130とを有する。
【0117】
また、MEMSシャッタ部12は、基板111と、基板111のバックライト20側に配置された基板211とを有する。
【0118】
画像表示装置2Aでは、液晶表示部11を作製し、この液晶表示部11をMEMSシャッタ部12の封止部材として用いることで、画像形成部10を作製することができる。
【0119】
具体的には、まず、TFT112が設けられた基板111(第1TFT基板)と、ブラックマトリクス122及びカラーフィルタ123が設けられた基板121(CF基板)とをギャップを介して重ねて、基板111と基板121との間に液晶層130を充填して封止することで、液晶セルとして液晶表示部11を作製する。このとき、基板111にカラーフィルタ123が対面するように基板121を配置する。
【0120】
次に、MEMSシャッタ213及びシャッタ基板214が設けられた基板211(第2TFT基板)の上にギャップを介して液晶表示部11を配置する。そして、基板211と液晶表示部11との間にシリコンオイル等の充填材を充填して封止することでMEMSシャッタ部12を作製する。
【0121】
このようにして、MEMSシャッタ部12と液晶表示部11とが1つのセルとして構成された画像形成部10を作製することができる。具体的には、基板121と基板111と基板211の3つの基板が互いに所定のギャップをあけて積層された画像形成部10を作製することができる。
【0122】
また、本実施の形態において、第1偏光板310は、基板121(第3基板)の前面側に配置され、第2偏光板320は、基板211(第2基板)の背面側に配置される。具体的には、第1偏光板310は、基板121の外面に貼り合わされ、第2偏光板320は、基板211の外面に貼り合わされている。
【0123】
以上、本変形例に係る画像表示装置2Aでは、上記実施の形態2に係る画像表示装置2と同様に、バックライト20の前方に液晶表示部11とMEMSシャッタ部12とが重ね合わされて配置されている。そして、MEMSシャッタ部12は、複数の第2画素PX2の各々に配置されたMEMSシャッタ213によって、複数の第2画素PX2の各々を透過するバックライト20の光を、画像表示装置2に入力される入力映像信号に基づいて制御している。また、液晶表示部11は、MEMSシャッタ部12を透過したバックライト20の光を、MEMSシャッタ部12と同じ入力映像信号に基づいて制御することによって画像を生成している。
【0124】
したがって、図8に示される画像表示装置2Aについても、上記実施の形態1に係る画像表示装置1と同様の効果を奏する。
【0125】
(変形例)
以上、本開示に係る画像表示装置について、実施の形態1、2に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態1、2に限定されるものではない。
【0126】
例えば、上記実施の形態1では、MEMSシャッタ部12の1つの第2画素PX2に対して、液晶表示部11の3つの第1画素PX1(赤色用画素PXR、緑色用画素PXG、青色用画素PXB)に対応していたが、これに限らない。
【0127】
具体的には、図9及び図10に示される画像表示装置1Cのように、MEMSシャッタ部12の1つの第2画素PX2に対して、液晶表示部11の12個の第1画素PX1(RGB×4)に対応していてもよい。つまり、1つの第2画素PX2に対して、3×n(nは自然数)の第1画素PX1が対応していればよい。
【0128】
図9及び図10に示される画像表示装置1Cは、図3に示される画像表示装置1に対して、コントラスト比の向上効果は幾分低下するものの、MEMSシャッタ部12の回路規模を削減することができるとともに、MEMSシャッタ部12の開口率を向上させることができる。
【0129】
なお、第2画素PX2と第1画素PX1との比率は、1:3×nに限らず、1:2×n等であってもよい。
【0130】
その他、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0131】
1、1A、1B、1C、2、2A 画像表示装置
10 画像形成部
11 液晶表示部
12 MEMSシャッタ部
20 バックライト
100、100A 液晶セル
110、210 TFT基板
111、121、211、221 基板
112、212 TFT
120、120A、220、220A 対向基板
122、222 ブラックマトリクス
123、223 カラーフィルタ
123R、223R 赤色カラーフィルタ
123G、223G 緑色カラーフィルタ
123B、223B 青色カラーフィルタ
130 液晶層
200、200A MEMSセル
213 MEMSシャッタ
213a、214a 開口部
214 シャッタ基板
310 第1偏光板
320 第2偏光板
400 接合部材
DSP 画像表示領域
PX1 第1画素
PX2 第2画素
PXR 赤色用画素
PXG 緑色用画素
PXB 青色用画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10