【解決手段】コネクタ組立体10は、ハウジング300と、コンタクト400と、ハウジング開口部350側に前記開口部に向けて突出した作動片550を有し、ハウジングの収容部370に沿ってコンタクトの中間部413、423を覆い、当該中間部の弾性変形を規制するように配置された、開閉可能なコンタクト押圧板510と、を備え、FPC基板100の開口部への挿入時に、FPC基板の膨出部150が作動片550に接触して押圧板510を開く方向に変移させることによりコンタクトの中間部の弾性変形に対する規制を解除し、FPC基板が収容部370内に収容された際に、作動片と膨出部との接触が消失することにより押圧板が閉じる方向に変移してコンタクトの中間部の弾性変形を規制する。
挿入端に膨出部を有するフレキシブルプリント回路基板が挿入される開口部、および当該開口部から挿入されたフレキシブルプリント回路基板を収容する収容部、を有するハウジングと、
ハウジングに固定された基部、前記収容部内に露出し前記フレキシブルプリント回路基板が前記収容部内に収容された際に当該フレキシブルプリント回路基板上に形成された接点に接触する先端部、および前記基部と前記先端部とを接続する弾性変形可能かつ長尺な中間部、を有するコンタクトと、
前記開口部側に前記開口部に向けて突出した作動片を有し、前記収容部に沿って前記コンタクトの前記中間部を覆い、当該中間部の弾性変形を規制するように配置された、開閉可能なコンタクト押圧板と、を備え、
前記フレキシブルプリント回路基板の前記開口部への挿入時に、前記フレキシブルプリント回路基板の挿入端の前記膨出部が前記作動片に接触して前記押圧板を開く方向に変移させることにより前記コンタクトの中間部の弾性変形に対する規制を解除し、前記フレキシブルプリント回路基板が前記収容部内に収容された際に、前記作動片と前記膨出部との接触が消失することにより前記押圧板が閉じる方向に変移して前記コンタクトの中間部の弾性変形を規制することを特徴とする、コネクタ組立体。
前記絶縁体が前記ハウジングの一部であり、前記ハウジングの当該絶縁体部分は前記ハウジングの前記金属シェルが固定された部分に対して可動自在であることを特徴とする、請求項2記載のコネクタ組立体。
前記作動片には、前記フレキシブルプリント回路基板が挿入される側にテーパが形成されるのに対し、前記収容部側にテーパが形成されておらず、前記フレキシブルプリント回路基板の前記開口部への挿入開始時に、前記フレキシブルプリント回路基板の前記膨出部が前記テーパに接触することにより前記押圧板を開く方向に変移させる一方で、前記フレキシブルプリント回路基板が前記収容部に収容された際に、前記作動片の前記収容部側が前記フレキシブルプリント回路基板の前記膨出部に係合されることにより前記フレキシブルプリント回路基板の脱落を防止することを特徴とする、請求項1から3いずれかに記載のコネクタ組立体。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本実施形態におけるコネクタ組立体10を説明する。
図1は、本実施形態のコネクタ組立体10およびこのコネクタ組立体10に接続されるフラットフレキシブル回路基板(以下、「FPC基板」という)100の全体斜視図である。
図1(a)は、本実施形態のコネクタ組立体10とFPC基板100の全体斜視図、
図1(b)は
図1のIB部分の部分拡大図、
図1(c)は本実施形態のコネクタ組立体10の分解斜視図、
図1(d)は
図1(c)のID部分の部分拡大図である。
【0019】
なお、以下の説明においては、FPC基板100がコネクタ組立体10に挿入される方向を「挿入方向」、「挿入方向」と反対方向を「抜去方向」と呼び、「挿入方向」と「抜去方向」を総称してコネクタ組立体10の「長手方向」と呼ぶ。また、FPC基板100の回路が形成されている面に垂直な方向をFPC基板100またはコネクタ組立体10の「高さ方向」と呼び、「長手方向」と「高さ方向」の両方に直交する方向(つまりFPC基板100の先端部が延在する方向)を「幅方向」と呼ぶものとする。また、コネクタ組立体10において、抜去方向側、つまりFPC基板100に近い側を「前」或いは「前方」と呼び、反対に挿入方向側、つまりFPC基板100から遠い側を「後ろ」或いは「後方」と呼んで説明を行う。
【0020】
《FPC基板》
まず、本実施形態においてコネクタ組立体10に接続されるFPC基板100について説明する。FPC基板100は、長手方向および幅方向に広がる所定肉厚かつ平板状の屈曲性のある絶縁体で形成され、上面110、下面120、コネクタ組立体10に挿入される幅方向に延在する先端部130、長手方向に延在する側端部140を有する。FPC基板100の上面110には、導体箔の回路パターン200が形成され、先端部130付近には、それぞれ複数の第1の接点210、第2の接点220が交互に形成される。第1の接点210は先端部130により近い位置に等間隔で配置され、第2の接点210は先端部130から第1の接点210よりも遠い位置に等間隔で配置される。結果として、第1の接点210と第2の接点220は、ジグザグに配置されることになる(
図1(b))。
【0021】
FPC基板100の先端部130の両側部には、FPC基板100の面内において、FPC基板100の幅方向外側に突出した膨出部150が形成される。膨出部150は方形状であり、挿入方向側の端面は先端部130と一続きとなった先端面160をなし、膨出部150の抜去方向側の端面は近位端面170をなす。
【0022】
コネクタ組立体10は、絶縁性の材料で形成されたハウジング300、複数のコンタクト400、金属シェル500を含む。
《ハウジング》
ハウジング300は、
図1(c)に示すように、FPC基板100が挿入される側(つまり、前方側)に幅方向および高さ方向に広がる端面である挿入端310、挿入端310の幅方向の両側からコネクタ組立体10の高さ方向および後方に向けて延在する両側板320、挿入端310の上端および両側板320の上端を接続し幅方向および後方に延在する上板330、挿入端310の下端および両側板320の下端を接続し幅方向および後方に延在する底板340、および両側板320の後方端部において挿入端310と平行に延在する背面360を有する。
【0023】
挿入端310には、膨出部150を有するFPC基板100が挿入される開口部350がコネクタ組立体10の幅方向に沿って形成される。この開口部350の幅は、FPC基板100の両側に設けられた膨出部150間の幅と略等しくされ、高さは、FPC基板100の高さ(肉厚)よりわずかに大きくされ、この開口部350からFPC基板100をコネクタ組立体10に挿入可能とする。この開口部350は、上板330と底板340の間を後方に向けて貫通する。さらに、上板330の長手方向の長さは底板340の長さよりも短くされ、上板330の後面、底板340、両側板320によって囲まれる収容部370が形成される。収容部370は、開口部350と導通し、開口部350から挿入されたFPC基板100を収容することになる。
【0024】
さらに、ハウジング300の両側板320の幅方向内側には、収容部370から挿入端310に向けて(つまり前方に向けて)所定幅のスリット380が形成される。このスリット380は挿入端310には貫通しないものの、高さ方向に開口部350の内部に貫通しており、後述する金属シェル500の作動片を受け入れる。なお、このスリット380は、FPC基板100がコネクタ組立体100の開口部350に挿入された際に、平面視でFPC基板100の側端部140の幅よりも外側であって、膨出部150の側端よりも内側となる位置に形成される。つまり、FPC基板100がコネクタ組立体100の開口部350に挿入された際に、FPC基板100の膨出部150は、ちょうどスリット380の高さ方向下方を通過することになる。
【0025】
ハウジング300の底板340には長手方向に延在するコンタクト装着溝が幅方向に所定の間隔で平行に複数形成され、それぞれのコンタクト装着溝にはコンタクト400が装着され、固定される。なお、それぞれのコンタクト400は、ハウジング300が形成される際に、底板340にインサート成形によって埋め込まれる構造としてもよい。コンタクト400は、
図2(a)、
図2(b)にその詳細を示すように、それぞれ複数の第1のコンタクト410と、第2のコンタクト420の2種類から構成される。
図2(a)は第1のコンタクト410を、長手方向に平行な面で切断した場合の側断面図、
図2(b)は第2のコンタクト420を、長手方向に平行な面で切断した場合の側断面図である。これらの第1のコンタクト410と第2のコンタクト420は、所定の間隔、具体的には、FPC基板100に設けられた、第1の接点210と第2の接点220の幅方向における間隔で交互に配置される。
【0026】
《コンタクトの構造》
図2(a)に示すように、第1のコンタクト410は導電性の金属平板から打ち抜かれて形成される。第1のコンタクト410は、長手方向に直線状に延在し、上述したハウジング300のコンタクト装着溝に装着し固定される第1基部411、収容部370内前方部分に露出し、FPC基板100が収容部370に収容された際に、FPC基板100上に形成された第1の接点210に接触する第1接点部412、第1基部411と第1先端部412とを接続する弾性変形可能かつ長手方向に長尺な第1中間部413、第1基部411の前端部に形成された第1端子部414を含む。
【0027】
第1接点部412は、高さ方向収容部側に向けて突出した形状となっており、その表面には金メッキ処理、或いは錫メッキ処理が施される。第1中間部413は、側方から見た場合にU字形状をしており、第1基部411の後端部から高さ方向に向けて突出し、次いで前方に湾曲して第1基部411に対して収容部370を挟んで第1基部411に対して略平行に延在し(第1基部側中間部413a)、さらに、わずかに第1基部411に対して近づく方向に延在(第1先端側中間部413b)している。さらに、第1端子部414は、第1のコンタクト410がハウジング300のコンタクト装着溝に装着された際にハウジング300の挿入端310から前方および高さ方向基板側に向けて突出し、コネクタ組立体10が取り付けられる基板上の配線パターンに対してはんだ付けにより固定するのに用いられる。
【0028】
図2(b)に示すように、第2のコンタクト420も第1のコンタクト410と同様に、導電性の金属平板から打ち抜かれて形成される。第2のコンタクト420は、長手方向に直線状に延在し、上述したハウジング300のコンタクト装着溝に装着し固定される第2基部421、収容部内前方部分に露出し、FPC基板100が収容部370に収容された際に、FPC基板100上に形成された第2の接点220に接触する第2先端部422、第2基部421と第2先端部422とを接続する弾性変形可能かつ長手方向に長尺な第2中間部423、第2基部421の後端部に形成された第2端子部424を含む。
【0029】
第2接点部422は、高さ方向収容部側に向けて突出した形状となっており、その表面には金メッキ処理、或いは錫メッキ処理が施される。第2中間部423は、側方から見た場合にU字形状またはコの字形状をしており、第2基部412の後端部から高さ方向に向けて突出し、次いで前方に向きを変えて突出することにより第2基部421に対して収容部370を挟んで第2基部421に対して略平行に延在し(第2基部側中間部423a)、さらに、わずかに第2基部421に対して近づく方向に延在(第2先端側中間部423b)している。さらに、第2端子部424は、第2のコンタクト420がハウジング300のコンタクト装着溝に装着された際にハウジング300の背面360から後方および高さ方向基板側に向けて突出し、コネクタ組立体10が取付けられる基板上の配線パターンに対してはんだ付けにより固定するのに用いられる。
【0030】
なお、本実施形態においては、第1のコンタクト410の第1中間部413の長手方向の長さは第2のコンタクト420の第2中間部423の長手方向の長さよりも短くなるように形成されている。その結果、FPC基板100がコネクタ組立体10の収容部370に収容された際に、第1のコンタクト410はFPC基板100上の先端部130のより近くに形成された第1の接点210に接触し、第2のコンタクト420は先端部130から若干遠くに形成された第2の接点220に接触する。
【0031】
《金属シェルの構造》
図3(a)は、金属シェル500を上下逆さまにした場合の全体斜視図である。また、
図3(b)は
図3(a)のIIIB部分の部分拡大図である。
図3(a)に示すように、金属シェル500は、導電性の金属板を打ち抜いて所定の形状に形成したものであり、コネクタ組立体10の長手方向および幅方向に広がる平板状のコンタクト押圧板510、コンタクト押圧板510の後端部からさらに後方向けて延出した解除フラップ520、解除フラップ520の幅方向両側において、コンタクト押圧板510の後端部から高さ方向にU字形状に延出した弾性を有するヒンジ部530、ヒンジ部530の先端から前方に向けて延出し、ハウジング300に固定される固定部540、およびコンタクト押圧板510の幅方向両側の前端部付近、つまり開口部側において開口部に向けて高さ方向に突出した作動片550を有する。したがって、ヒンジ部530はコンタクト押圧板510と固定部540とを接続する。
【0032】
コンタクト押圧板510は上面511と下面512を有し、下面512には平板状の絶縁体600が貼り付けられる。固定部540はハウジング300の底板340に形成された固定溝(図示せず)に挿入されることにより金属シェル500をハウジング300に装着させる。ヒンジ部530は上述したようにU字形状をしており、固定部540がハウジング300の底板340の固定溝に装着された際にコンタクト押圧板510をハウジング300の収容部370に沿って第1のコンタクト410の第1中間部413および第2のコンタクト420の第2中間部423上を覆い、当該第1中間部413および第2中間部423の弾性変形を規制するように保持する。また、ヒンジ部530は、その弾性力によりコンタクト押圧板510がハウジング300の底板340と平行になるように付勢する一方で、外力が加わった際にはヒンジ部530を支点としてコンタクト押圧板510が高さ方向上方へ開くことが可能となるように構成されている。
【0033】
作動片550は、
図3(b)に示すように、コンタクト押圧板510の幅方向両側の前端をさらに前端に突出させた突出部551の幅方向内側を高さ方向に向けて折り曲げることによって形成される。この作動片550の前端側(FPC基板100が挿入される側)には前端を斜めに取り除いたテーパ面552が形成されるのに対し、後端側(収容部側)にはテーパ面は形成されておらず、高さ方向に略鉛直に延在した垂直面553が形成される。さらに、作動片550のテーパ面552と垂直面553の間には長手方向と平行な頂部554が形成される。
【0034】
絶縁体600は、金属シェル500の下面511の略前面に貼り付けられ、金属シェル500がハウジング300に装着されて収容部370を覆った際に、コンタクト押圧板510が第1のコンタクト410および第2のコンタクト420と直接接触しないようにする。なお、絶縁体600は、絶縁性の材料で形成された板状の部材であればよい。また、絶縁体600は、絶縁性の材料で形成された柔軟な絶縁シートであってもよい。
【0035】
《動作》
次に、本実施形態のコネクタ組立体10にFPC基板100を接続する際の動作について
図4〜
図6を参照して説明する。なお、
図4(a)は、FPC基板100がコネクタ組立体10の開口部350に挿入されていない状態における
図1(a)の
図1(a)のIVA平面で切断した場合の断面図であり、
図4(b)は、同状態における
図1(a)のIVB平面で切断した場合の断面図であり、
図4(c)は、同状態における
図1(a)のIVC平面で切断した場合の断面図である。また、
図5(a)〜(c)は、それぞれFPC基板100を開口部350に挿入したものの収容部370にはまだ到達していない状態における、
図4(a)〜(c)の位置に対応した断面図である。また、
図6(a)〜(c)は、それぞれFPC基板100を収容部370まで完全に挿入した状態における、
図4(a)〜(c)の位置に対応した断面図である。
【0036】
まず、FPC基板100がコネクタ組立体10のハウジング300の開口部350に挿入されていない場合の状態について
図4(a)〜
図4(c)を参照して説明する。金属シェル500には外力がかかっていない状態であり、金属シェル500のコンタクト押圧板510は、ヒンジ部530の付勢力によりハウジング300の底板340と略平行に相対している。このとき、コンタクト押圧板510の下面511に貼り付けられた絶縁体600は第1のコンタクト410の第1基部側中間部413aの上面、および第2のコンタクト420の第2基部側中間部423aと接触している(
図4(a)および(b))。
【0037】
このとき、第1のコンタクト410の第1先端側中間部413b、および第2のコンタクト420の第2先端側中間部423bはそれぞれわずかに高さ方向収容部側に向けて延在しているため、コンタクト押圧板500の下面511に貼り付けられた絶縁体600は、第1のコンタクト410の第1先端側中間部413b、および第2のコンタクト420の第2先端側中間部423bとは接触していない。また、第1のコンタクト410の第1接点部412、第2のコンタクト420の第2接点部422はハウジング300の開口部350後方の収容部370内に位置する。
【0038】
また、金属シェル500の作動片550は、ハウジング300に形成されたスリット380内に受入れられ、さらにスリット380を超えてハウジング300の開口350と収容部370の間に高さ方向に延在する。このとき、金属シェル500のテーパ面552は開口350の後方最奥部に面しており、垂直面553は収容部370の最前部に面している。(
図4(c))
【0039】
次いで、FPC基板100の先端部130がコネクタ組立体10のハウジング300の開口部350に挿入され、かつ収容部370には到達していない状態(非完全嵌合状態)について説明する。FPC基板100の先端部130がハウジング300の開口部350に挿入されると、FPC基板100の膨出部150の先端面160がハウジング300のスリット380を超えて開口350と収容部370の間に突出している金属シェル500の作動片550のテーパ面552に接触する。FPC基板100をさらに挿入方向に向けて移動させると、FPC基板100の膨出部150の先端面160が金属シェル500の作動片550のテーパ面552を押すことによって、作動片550が高さ方向上方へ押し上げられ、作動片550の頂部554がFPC基板100の膨出部150の上面に乗り上げる。
【0040】
このとき、金属シェル500のコンタクト押圧板510はヒンジ部530を支点として高さ方向に開く方向に変移、つまり回動させられた状態となる。したがって、コンタクト押圧板510の下面511に貼り付けられた絶縁体600は第1のコンタクト410の第1基部側中間部413aおよび第2のコンタクト420の第2基部側中間部423aから離開する。なお、第1のコンタクト410の第1基部側中間部413aの第1基部411に近い部位、第2のコンタクト420の第2基部側中間部423aの第2基部421に近い部位がコンタクト押圧板510の下面511に貼り付けられた絶縁体600に接触していてもよい。いずれにしても、コンタクト押圧板510の下面511の絶縁体600と第1のコンタクト410の第1基部側中間部413a、第2のコンタクト420の第2基部側中間部423aとの接触面積が減少する。その結果、金属シェル500のコンタクト押圧板510による第1のコンタクト410の中間部413および第2のコンタクト420の中間部423の弾性変形に対する規制が解除される(
図5(a)、(b))。
【0041】
FPC基板100をさらに挿入方向、つまりハウジング300内の収容部370へ挿入すると、FPC基板100の先端部130が第2のコンタクト420の第2接点部422に接触し、第2接点部422を高さ方向上方へ押し上げる。このとき、第2のコンタクト420の第2中間部423は金属シェル500のコンタクト押圧板510および絶縁体600による規制が解除された状態となっているため、第2のコンタクト420は第2基部側中間部423aの基部421に近い部位を支点として弾性変形する。そのため、第2のコンタクト420の第2接点部422はわずかな力で高さ方向上方へ押し上げられることが可能となる。FPC基板100の先端部130は第2のコンタクト420の中間部423とハウジング300の底板340の上面との間の領域に進入する。
【0042】
次いで、FPC基板100をさらに挿入方向へ挿入すると、FPC基板100の先端部130が第1のコンタクト420の第1接点部412に接触し、第1接点部412を高さ方向上方へ押し上げる。このとき、第1のコンタクト410の第1中間部413は金属シェル500のコンタクト押圧板510および絶縁体600による規制が解除された状態となっている。そのため、第1のコンタクト410は第1基部側中間部413aの基部411に近い部位を支点として弾性変形する。そのため、第1のコンタクト410の第1接点部412はわずかな力で高さ方向上方へ押し上げられることが可能となる。FPC基板100の先端部130は第1のコンタクト410の中間部413とハウジング300の底板340の上面との間の領域に侵入する。
【0043】
FPC基板100がさらに挿入方向に挿入され、FPC基板100がハウジング300の収容部370に収容されると、FPC基板100の膨出部150の近位端面170が金属シェル500の作動片550の垂直面553を超えて挿入方向へ移動する。それまで膨出部150によって作動片550は高さ方向上方に持ち上げられていたが、膨出部150が作動片550を通過したため、作動片550の頂部554と膨出部150との接触が消失することにより、作動片550はヒンジ部530の弾性力による高さ方向下向きの付勢力によってハウジング300のスリット380内下方に移動し、その頂部554は、ハウジング300の底板340の上面に当接する。
【0044】
同時に、金属シェル500のコンタクト押圧板510もヒンジ部530を支点として高さ方向下方、つまり閉じる方向に変位、つまり回動し、コンタクト押圧板510下面に貼り付けられた絶縁体600が、第1のコンタクト410の第1基部側中間部413aおよび第2のコンタクト420の第2基部側中間部423aに当接する。これにより、第1のコンタクト410の第1基部側中間部413aおよび第2のコンタクト420の第2基部側中間部423aの弾性変形が規制される。したがって、第1のコンタクト410の中間部413は第1先端側中間部413bのみが弾性変形可能であり、同様に第2のコンタクト420の中間部423は第2先端側中間部423bのみが弾性変形可能となる。
【0045】
これにより、第1のコンタクト410の第1接点部412、および第2のコンタクト420の第2接点部422はより大きな付勢力でFPC基板100の第1の接点210、および第2の接点220に対して押圧され、それぞれ電気的に導通状態となる(
図6(a)〜(c))。なお、この状態、つまりFPC基板100が収容部370に収容された状態のとき、FPC基板100を抜去方向に移動させたとしても、膨出部150の近位端面170が金属シェル500の作動片550の収容部側の垂直面553に係合されており、いわばロック状態となっているため、FPC基板100の抜去方向への移動が阻止され、FPC基板100の収容部370からの脱落が防止される。
【0046】
FPC基板100とコネクタ組立体10との嵌合状態を解除するためには、
図6(a)〜(c)の状態のコネクタ組立体10の金属シェル500の解除フラップ520を手指などで高さ方向下方に向けて押し下げる。すると、金属シェル500のコンタクト押圧板510はヒンジ部530を中心として固定部540に対して開く方向に変位、つまり回動する。この回動により、金属シェル500の作動片550はハウジング300のスリット380内を上方に移動し、作動片550の垂直面553はFPC基板100の膨出部150の抜去方向への移動を妨げない状態となる。
【0047】
さらに、金属シェル500のコンタクト押圧板510がヒンジ部530を中心として固定部540に対して開く方向に変位するため、コンタクト押圧板510の下面511に貼り付けられた絶縁体600が第1のコンタクト410の第1基部側中間部413aおよび第2のコンタクト420の第2基部側中間部423aから離開し、第1のコンタクト410の第1中間部413および第2のコンタクト420の第2中間部423の弾性変形に対する規制が解除される。この状態において、第1のコンタクト410の第1接点部412のFPC基板100の第1の接点210に対する接触圧力、また第2のコンタクト420の第2接点部422のFPC基板100の第2の接点220に対する接触圧力は非常に小さくなるため、FPC基板100はほんの僅かな力でコネクタ組立体10のハウジング300の収容部370から引き抜くことが可能となる。
【0048】
《変形例》
次に、本発明のコネクタ組立体10’の変形例を、
図7、8を参照して説明する。上述の実施形態においては、コンタクト押圧板510が金属シェル500の一部であり、このコンタクト押圧板510と第1のコンタクト410の第1中間部413、第2のコンタクト420の第2中間部423との間に絶縁体600が設けられた例を説明したが、本発明は上記の構成に限定されず、絶縁体600がハウジング300の一部として形成されるようにしてもよい。以下に、その場合の構成について説明する。なお、変形例のコネクタ組立体10’は、実施形態のコネクタ組立体10とハウジングの構造が相違し、加えて絶縁体600を不要とした他は、コンタクト400、金属シェル500の構造は同一であるので、同一部分についての説明は省略する。
【0049】
《ハウジングの構造》
図7(a)は、変形例におけるコネクタ組立体10’を、前方側から俯瞰した場合の分解斜視図であり、
図7(b)は、変形例におけるコネクタ組立体10’を後方側から俯瞰した場合の分解斜視図である。変形例のコネクタ組立体10’のハウジング300’は、FPC基板100が挿入される側に幅方向および高さ方向に広がる端面である挿入端310’、挿入端310’の幅方向の両側からコネクタ組立体10の高さ方向および後方に向けて延在する両側板320’、挿入端310’の上端および両側板320の上端を接続し幅方向および後方に延在する上板330’、挿入端310’の下端および両側板320’の下端を接続し幅方向および後方に延在する底板340’、底板340’の後方端部および両側板320’の後方端部において挿入端310’と平行に延在する背面360’を有する。
【0050】
挿入端310’にはFPC基板100が挿入される開口部350’がコネクタ組立体10’の幅方向に沿って形成される。実施形態においては上板330の長手方向の長さは底板340の長さよりも短くされたが、変形例においては、上板330’の長手方向の長さは底板340’の長手方向の長さと等しくされ、開口部350’は、上板330’と底板340’の間を後方に向けて貫通し、開口部350’の挿入方向後方は収容部370とする。したがって、背面360’において、上板330’と底板340’は離開して状態となっている。
【0051】
ハウジング300’の両側板320’の幅方向内側には、両側板320’と上板330’とを隔てる所定幅のスリット380’が背面360’から挿入端310’に向けて(つまり前方に向けて)形成される。このスリット380’は挿入端310’には貫通しないものの、高さ方向に開口部350’の内部および収容部370’に貫通している。このスリット380’は金属シェル500の作動片550を受け入れる。この構造により、ハウジング300’は、上板330’の長手方向の後方部分(実施形態の絶縁体600に対応する部分)が、ハウジング300’内部に配置されたコンタクト400の動きにともなって、ハウジング挿入端310’側を支点としてわずかに回動可能であり、金属シェル500が固定された部分に対して可動自在となっている。
【0052】
次に、
図8を参照して、変形例におけるコネクタ組立体10’に対してFPC基板100を挿入し、嵌合させる際のコネクタ組立体10’の動作について説明する。なお、
図8(a)は、
図7に示した変形例におけるコネクタ組立体10’を、
図1の
図1(a)のIVA平面に対応した位置で切断した場合の側断面図、
図8(b)は、
図7に示した変形例におけるコネクタ組立体10’を、
図1のIVB平面に対応した位置で切断した場合の側断面図、
図8(c)は、
図7に示した変形例におけるコネクタ組立体10’を、
図1のIVC平面に対応した位置で切断した場合の側断面図である。また、これら
図8(a)〜(c)は、FPC基板100の先端部130が変形例のコネクタ組立体10’のハウジング300’の開口部350’に挿入され、かつ収容部370’の奥まで完全に到達していない状態(非嵌合状態)を示している。
【0053】
FPC基板100の先端部130がハウジング300’の開口部350’に挿入されると、FPC基板100の膨出部150の先端面160が、ハウジング300’のスリット380’を超えて開口350’と収容部370’との間に突出している金属シェル500の作動片550のテーパ面552に接触する。そして、FPC基板100をさらに挿入方向に向けて移動させると、FPC基板100の膨出部150の先端面160が金属シェル500の作動片550のテーパ面552を押すことによって、作動片550が高さ方向上方へ押し上げられ、作動片550の頂部554がFPC基板100の膨出部150の上方に乗り上げる。このとき、金属シェル500のコンタクト押圧板510はヒンジ部530を支点として高さ方向に開く方向に変位、つまり回動させられた状態となる(
図8(c))。
【0054】
FPC基板100をさらに収容部370’の奥の方(つまり、挿入方向)へ移動させると、FPC基板100の先端部130が第2のコンタクト420の第2接点部422に接触し、第2接点部422を高さ方向上方へ押し上げる。第2のコンタクト420は第2基部側中間部423aの基部421に近い部位を支点として弾性変形する。このとき、第2のコンタクト420の第2中間部423の高さ方向上方には、ハウジング300’の上板330’、および金属シェル500のコンタクト押圧板510が存在しているが、ハウジング300’の高さ方向上側に存在していた金属シェル500のコンタクト押圧板510がヒンジ部530を支点として高さ方向に開いており、さらに上板330’の背面360’側の端部331’は、底板340’とつながっておらず、また、上板330’の背面360’側はスリット380’によって両側板320’ともつながっていないため、高さ方向に変位可能な状態となっている。そのため、第2のコンタクト420の第2中間部423が高さ方向に押し上げられると、その上方のハウジング300’の上板330’の背面360’側の端部331’も上方に押し上げられ、結果としてFPC基板100は第2のコンタクト420の接触圧力に妨げられることなく収容部370’挿入し続けることが可能となる。なお、
図8(b)には第2のコンタクト420がハウジング300’の上板330’を高さ方向上方に押し上げている状態が示されている。
【0055】
FPC基板100をさらに挿入方向、つまりハウジング300’内の収容部370’の奥の方向へ挿入すると、FPC基板100の先端部130が第1のコンタクト420の第1接点部412に接触し、第1接点部412を高さ方向上方へ押し上げる。第1のコンタクト410は第1基部側中間部413aの基部411に近い部位を支点として弾性変形する。このとき、第1のコンタクト410と同様に、第1のコンタクト410の第1中間部413の高さ方向上方には、ハウジング300’の上板330’、および金属シェル500のコンタクト押圧板510が存在しているが、ハウジング300’の高さ方向上側に存在していた金属シェル500のコンタクト押圧板510がヒンジ部530を支点として高さ方向に開いており、さらに上板330’の背面360’側の端部331’は、底板340’とつながっておらず、また、上板330’の背面360’側はスリット380’によって両側板320’ともつながっていないため、高さ方向に変位可能な状態となっている。そのため、第1のコンタクト410の第1中間部413が高さ方向に押し上げられると、その上方のハウジング300’の上板330’の背面360’側の端部331’も上方に押し上げられ、結果としてFPC基板100は第1のコンタクト410の接触圧力に妨げられることなく収容部370’へ挿入し続けることが可能となる。なお、
図8(a)には第1のコンタクト410がハウジング300’の上板330’を高さ方向に押し上げている状態が示されている。
【0056】
FPC基板100が収容部370’に完全に挿入されると、FPC基板100の膨出部150の近位端面170が金属シェル500の作動片550の垂直面553を超えて挿入方向へ移動する。それにともなって、作動片550の頂部554と膨出部150との接触が消失し、作動片550はヒンジ部530の弾性力による高さ方向下向きの付勢力によってハウジング300’のスリット380’内下方に移動し、その頂部554は、ハウジング300’の底板340’の上面に当接する。
【0057】
そして、金属シェル500のコンタクト押圧板510もヒンジ部530を支点として高さ方向下方、つまり閉じる方向に変位、つまり回動する。それにより、コンタクト押し押圧板510の下方に存在するハウジング300’の上板330’も高さ方向下方に押し下げられ、第1のコンタクト410の第1基部側中間部413aおよび第2のコンタクト420の第2基部側中間部423aに当接する。その結果、第1のコンタクト410の第1基部側中間部413aおよび第2のコンタクト420の第2基部側中間部423aの弾性変形が規制され、したがって、第1のコンタクト410の中間部413は第1先端側中間部413bのみが弾性変形可能であり、同様に第2のコンタクト420の中間部423は第2先端側中間部423bのみが弾性変形可能となる。
【0058】
これにより、第1のコンタクト410の第1接点部412、および第2のコンタクト420の第2接点部422はより大きな付勢力でFPC基板100の第1の接点210、および第2の接点220に対して押圧され、それぞれ電気的に導通状態となる。