特開2019-102805(P2019-102805A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-102805(P2019-102805A)
(43)【公開日】2019年6月24日
(54)【発明の名称】環状磁気パワーユニット
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20190603BHJP
   H01F 17/06 20060101ALI20190603BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20190603BHJP
   H01F 37/00 20060101ALI20190603BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20190603BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20190603BHJP
   H01F 27/30 20060101ALI20190603BHJP
   H01F 5/00 20060101ALI20190603BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20190603BHJP
【FI】
   H01F27/00 R
   H01F17/06 A
   H01F17/06 F
   H01F17/06 Z
   H01F30/10 C
   H01F30/10 A
   H01F37/00 A
   H01F37/00 C
   H01F27/24 E
   H01F27/28 K
   H01F27/28 195
   H01F27/30 160
   H01F5/00 E
   H05K1/16 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-214497(P2018-214497)
(22)【出願日】2018年11月15日
(31)【優先権主張番号】17382811.2
(32)【優先日】2017年11月30日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516044978
【氏名又は名称】プレモ・エセ・ア
【氏名又は名称原語表記】PREMO,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ・カニェテ・カベサ
(72)【発明者】
【氏名】ラケール・ロドリゲス
(72)【発明者】
【氏名】マリナ・アルコス・モレノ
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・エセキエル・ナバロ・ペレス
(72)【発明者】
【氏名】エクトル・ペルドモ・ディアス
(72)【発明者】
【氏名】フアン・マヌエル・コデス・トロヤノ
【テーマコード(参考)】
4E351
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
4E351BB09
4E351BB15
4E351BB19
4E351GG06
4E351GG20
5E043BA01
5E070AA05
5E070AA11
5E070BA14
5E070CA13
5E070DA17
5E070DB02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電源トランスを提供する中空環状磁気コアと内側通路内の内側コイル及び磁気コアの周囲に巻かれた二つの独立外側コイルとを含む環状磁気パワーユニットを提供する。
【解決手段】重なり合い互いに向き合う第一の部分磁気コア10及び第二の部分磁気コア20を含む環状磁気コア1を包含し、第一及び第二の部分磁気コア10、20が二つの平行空隙50によって第一及び第二の中心磁気コア部11、21と、第一及び第二の左側コア部13、23と、第一及び第二の右側コア部14、24とに分割され、環状パワーユニットが環状磁気コア1の環状溝5内に包含される少なくとも一つの導電性内側コイル30も包含し、左右独立導電性外側コイル43、44が第一及び第二の左側コア部13、23並びに第一及び第二の右側コア部(14、24)の周囲にそれぞれ巻かれる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状磁気パワーユニットであって、:
環状磁気コア(1)が重なり合い互いに向き合う第一の部分磁気コア(10)および第二の部分磁気コア(20)を含み、少なくとも第一の部分磁気コア(10)が第二の部分磁気コア(20)と向き合う第一の部分磁気コア(10)の表面を通じてアクセス可能な環状溝(5)から成る第一の環状溝(15)を有し、第一の環状溝(15)が内側通路(2)を囲む、内側通路(2)および環状溝(5)を画定する環状磁気コア(1)と;
環状溝(5)内に包含される少なくとも一つの導電性内側コイル(30)と;
環状磁気コア(1)の周囲に巻かれ、内側通路(2)を通じて通る少なくとも一つの導電性外側コイル(40)とを包含し;
少なくとも一つの導電性外側コイル(40)が左および右独立導電性外側コイル(43、44)と名付けられた二つの独立導電性外側コイルであり;
第一の部分磁気コア(10)が二つの平行空隙(50)によって、二つの平行空隙(50)の間に画定された第一の中心磁気コア部(11)と、第一の中心磁気コア部(11)の両方の側に設置された第一の左側コア部(13)および第一の右側コア部(14)とに対応する三つの独立部分に分割され;
第二の部分磁気コア(20)も前記二つの平行空隙(50)によって、前記二つの平行空隙(50)の間に画定された第二の中心磁気コア部(21)と、第二の中心磁気コア部(21)の両方の側に設置された第二の左側コア部(23)および右側コア部(24)とに対応する三つの独立部分に分割され;
二つの平行空隙(50)が第二の部分磁気コア(20)と向き合う第一の部分磁気コア(10)の表面に垂直な二つの平行ギャップ平面によって画定され、両方の平行ギャップ平面が内側通路(2)を通じて通り;
第一の中心磁気コア部(11)および第二の中心磁気コア部(21)が内側通路(2)を挟んで対応する第一のおよび第二のブリッジ(12)を画定し、内側通路(2)を左内側通路(3)と右内側通路(4)とに分割し;左導電性外側コイル(43)が左内側通路(3)を通じて通り、第一のおよび第二の左側コア部(13、23)を囲み;右導電性外側コイル(44)が右内側通路(4)を通じて通り、第一のおよび第二の右側コア部(14、24)を囲む
ことを特徴とする環状磁気パワーユニット。
【請求項2】
導電性内側コイル(30)が交互的絶縁層流部材を持つ一連のステーキングされた巻線によって成されたプレーナトランスを含み、ステーキングされた巻線が互いに接続される、請求項1記載の環状磁気パワーユニット。
【請求項3】
一連のステーキングされた巻線が可変数の積層プリント回路基板巻線および/または銅巻線を含む、請求項2記載の環状磁気パワーユニット。
【請求項4】
各銅巻線が波状スリットを有する銅シートまたは巻かれた銅糸である、請求項2または3記載の環状磁気パワーユニット。
【請求項5】
各プリント回路基板巻線がプリント回路基板巻線の一つまたは両方の側上にプリントされた波状導電回路を包含する、請求項2、3または4記載の環状磁気パワーユニット。
【請求項6】
積層巻線間の接続がプリント回路基板巻線および銅巻線の位置合わせされた穴を通じて挿入されたピン(31)を接続することによってもたらされる、請求項2、3、4または5記載の環状磁気パワーユニット。
【請求項7】
第二の部分磁気コア(20)が第一の部分磁気コア(10)と向き合う第二の部分磁気コア(20)の表面を通じてアクセス可能なまたも環状溝(5)から成る第二の環状溝(25)を有し、第二の環状溝(25)が内側通路(2)を囲む、先行請求項のいずれかに記載の環状磁気パワーユニット。
【請求項8】
第一のおよび第二の部分磁気コア(10、20)が互いに対称である、請求項7記載の環状磁気パワーユニット。
【請求項9】
左導電性外側コイル(43)が右導電性外側コイル(44)とは異なる、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の環状磁気パワーユニット。
【請求項10】
環状磁気コア(1)、左および右独立導電性外側コイル(43、44)および導電性内側コイル(30)がアセンブリをカバーするひと塊の絶縁ポリウレタン樹脂に埋め込まれる、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の環状磁気パワーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、そこを通っている内側通路を有する中空環状磁気コアと、前記中空環状磁気コアの周囲に巻かれ、二つの独立インダクタを提供する二つの独立外側コイルと、例えば電源トランスを提供する中空環状磁気コアの内側通路の周囲に巻かれた一つまたは複数の内側コイルとを含む一体型環状磁気パワーユニットに関する。
【0002】
一つのまたは複数の内側コイルは、中空環状磁気コア内に完全に密閉されており、よりよい性能とコンパクトな構造を達成し、言及された内側通路内に磁界が閉じ込められたままになるため、インダクタンス漏れを有意に低減させる。
【0003】
本発明の目的は、非常に小さいサイズで、層間、具体的には、巻線間の絶縁のために大きい容積を持つプレーナトランスを提供し、それらが経済的に製造され得るさらなる可能性を与えることでもある。このプレーナトランスは、言及された内側通路内に設置される。
【0004】
この磁気パワーユニットは、とりわけ昨今大変急速に成長しているハイブリッドおよび電気自動車(HEV)の分野で使用可能な、例えば、高電力電気装置を動作させるのに好適な、電力分野における電源トランスまたはインダクタとして使用されるように特に適応されている。電気自動車の新たなモデルは、速度およびトルク制御を持つ電気モータ供給のためのみならず、高圧(HV)バッテリー充電器および安定した車内継続的低圧(LV)電力供給のために、内部により多くのパワーエレクトロニクスを要する。実施形態では、提案された磁気パワーは、電気自動車のHVバッテリーとHVコンポーネントとの間の相互接続ボックスのために設計された。
【0005】
本発明の中空環状磁気パワーユニットは、W/cmで非常に高い性能を提供する磁気ユニットに関する新たな体積効率コンセプトに応じる。
【0006】
本明細書に沿って、幾何学的位置、例えば、平行、垂直、正接などへの言及がこの用語によって定義される理論的位置からの±5°までの偏差を許すことが理解される。
【0007】
技術水準
米国特許第4210859号は、コア内の全てのポイントで二つの(図1〜3を参照)実質的に直交する磁界をもたらすための、磁気コアおよび巻線を含むインダクティブデバイスを開示している。典型的なポットコアが図1に図示される。フェライト、磁鉄鋼または他の何らかの強磁性材料で作られ得るコアは、外側円筒ポット壁30、センターポスト32およびポットカバー34を含む。環状空間40は、ポット壁30とセンターポスト32との間に形成される。この空間に、好適に寸法取りされた電線の一つまたは複数のコイルを支持するボビン(図示せず)が配置される。ポスト孔36およびカバー孔38がトロイドの中心孔と考えられ得るため、一つの方向において中心孔を通じて通りポット壁30の外部を回って戻る追加の巻線をポットコアに提供することが可能である。そのような巻線は、ポットコア材料で完全には密閉されていないため、タイプA巻線である。
【0008】
この引用文献は、いかにして環状磁気コアの周囲の多数の外側巻線を包含し、前記外側巻線によって生成された磁界間の干渉を防ぐかを記載していない。
【0009】
本出願の出願時にまだ公開されていない同出願人の欧州特許出願であるEP16002354(図5)およびEP17382450は、その内部にコイルが巻かれる内側ハウジングを持つ環状ポット状の磁気コアを有するコンパクトな磁気パワーユニットを開示している。
【0010】
同出願人の欧州特許出願であるEP17382450は、環状磁気コアの向かい合った部位に外から磁気コアの周囲に巻かれた二つのコイルと、磁気コアの周囲に巻かれた両方の外側コイル間の磁気干渉を低減させる隔壁をその中に有する(図7の符号5を参照)環状磁気コアの内側通路とを記載している。しかし、一方の外側コイルが巻かれる部位と他方の外側コイルが巻かれる他方の部位との間に遮断のない磁気コアを有するため、磁気干渉がもたらされ、効率が低減する。
【0011】
同出願人の二つの引用文献のどちらも、いかにして環状磁気コアの周囲に複数の外側巻線を包含し、前記複数の外側巻線によって生成された磁界間の干渉を防ぐかについては記載していない。
【0012】
文献スペイン特許第2197830号は、非常に小さいサイズで、プリント回路基板巻線および銅巻線のステーキングされた層で作られる層間の絶縁のために大きい容積を持つプレーナトランスを記載している。
【0013】
本発明は、さらに、前記実施形態の提案を展開し、分離されて電気的に絶縁され、中空環状磁気コアの周囲に巻かれた二つの環状軸コイルによる実施形態を包含する。
【0014】
発明の簡単な説明
本発明は、環状磁気パワーユニットに対応する。
【0015】
技術水準に従って、かつ、同出願人の言及したEP17382450の教示により、このタイプの環状磁気パワーユニットは、:
・内側通路および環状溝を画定する環状磁気コアであって、前記環状磁気コアは、重なり合い互いに向き合う第一の部分磁気コアおよび第二の部分磁気コアを含み、少なくとも前記第一の部分磁気コアは、第二の部分磁気コアと向き合う第一の部分磁気コアの表面を通じてアクセス可能な前記環状溝から成る第一の環状溝を有し、前記第一の環状溝は内側通路を囲む環状磁気コアと;
・環状溝内に包含される少なくとも一つの導電性内側コイル(30、図3)と;
・環状磁気コアの周囲に巻かれ、内側通路(2、図3)を通じて通る少なくとも一つの導電性外側コイル(40、図3)と
を包含する。
【0016】
環状磁気コアは、高透磁率を持つ材料で作られ、磁界を閉じ込めてガイドする能力を伴う要素であり、内側通路と名付けられた貫通孔を有し、前記内側通路の周囲に環状構成を有する。
【0017】
環状磁気コアは、その中に環状溝を包含し、前記少なくとも一つの導電性内側コイルが封入され、環状磁気コアによって囲まれ、チョーク構成を提供する。
【0018】
この環状溝をその組み立て中にアクセス可能にするために、環状磁気コアは、第一のおよび第二の部分磁気コアに対応し、層状構成に作成されたコアとしてアタッチメントによって一緒に組み立てられ、第一のおよび第二の部分磁気コアが切り離されるときにアクセス可能な環状溝の内部にある、少なくとも二つの異なる部分磁気コアによって形成される。
【0019】
各外側コイルは、各巻きを内側通路を通じて通し、環状磁気コアを囲んで巻かれ、インダクタ構成を提供するコイルである。
【0020】
環状磁気コアの周囲に巻かれた二つの外側コイルの存在は、それらが共有する磁界束がごく少量であり、それらが図3の二つの独立トロイダル巻線43および44として働き、閉磁気回路が図3の半コア20と10との両方によって形成されるトロイダルチョークとして働くため、異なる独立回路機能を持つ前記インダクタ構成の使用を許す。
【0021】
図3のプレーナ巻線30は、図3の上部コアブロック10および図3の下部コアブロック20と共に、低漏れインダクションプレーナトランスとして働く。
【0022】
図3の上部コアブロック13および11ならびに図3の下部コアブロック23および21で構築された環状コアの周囲に巻かれた図3の外巻線43は、独立トロイダルインダクタ/チョークとして働く。同じように、図3の上部コアブロック14および図3の11ならびに図3の下部コアブロック24および図3の21で構築された環状コアの周囲に巻かれた図3の外巻線44は、独立トロイダルインダクタ/チョークとして働く。
【0023】
もう一つの実施形態では、巻線44もしくは巻線43または両方は、複数の巻線によって再設置されることができ、したがって、一つのもしくは両方のトランスまたはその代わりに連結したインダクタを構築する。
【0024】
内側コイルおよび外側コイルによって生成された磁界は、それらが互いに垂直であるため、互いに干渉しない。
【0025】
前記基本構造物において、本発明は、さらに以下の特徴を提案する:
・前記少なくとも一つの導電性外側コイルが左および右独立導電性外側コイルと名付けられた二つの独立導電性外側コイルである。
・第一の部分磁気コアは、二つの平行空隙によって、前記二つの平行空隙の間に画定された第一の中心磁気コア部と、前記第一の中心磁気コア部の両方の側に設置された第一の左側コア部と第一の右側コア部とに対応する三つの独立部分に分割される。両方の言及した平行空隙は、コアの磁気抵抗を最大化し、図1の両方の外トロイダルコイル44と46との間の相互結合を低減させることを意図する。
・第二の部分磁気コアも、前記二つの平行空隙(50)によって、前記二つの平行空隙の間に画定された第二の中心磁気コア部と、前記第二の中心磁気コア部の両方の側に設置された第二の左側コア部と右側コア部とに対応する三つの独立部分に分割される。
・二つの平行空隙は、第二の部分磁気コアと向き合う第一の部分磁気コアの表面に垂直なギャップ平面上に画定され、両方の平行空隙が内側通路と連通される。
・第一の中心磁気コア部および第二の中心磁気コア部は、内側通路を挟んで対応する第一のおよび第二のブリッジを画定し、前記内側通路を左内側通路と右内側通路とに分割し;左導電性外側コイルが左内側通路を通じて通り、第一のおよび第二の左側コア部を囲み;右導電性外側コイルが右内側通路を通じて通り、第一のおよび第二の右側コア部を囲む。
【0026】
換言すると、第一のおよび第二の部分磁気コアは、各々、三つの部分に分割され、前記部分が二つの平行ギャップ平面によって画定された二つの平行空隙によって隔てられる。前記二つのギャップは、二つの独立外側コイルによって環状磁気コアに生成された磁路を遮断し、互いに生成される干渉および非効率を防ぐ。それ故に、この配置は、干渉せず、中空環状磁気コアの内側通路に収容された内側コイルの磁界に垂直な、二つの接線および平行磁界を提供する。
【0027】
さらに、空隙の配置は、抵抗も増加させて、独立外側コイルの磁界の各々がそれらの間で干渉することなく閉じる。
【0028】
第一のおよび第二の左側コア部の周囲に巻かれた左外側コイルがその中に磁界を生成し、第一のおよび第二の右側コア部の周囲に巻かれた右外側コイルがその中に磁界を生成し、第一のおよび第二の磁気コア部は、中間に、前記二つの空隙によって左および右側コア部から隔てられて設置され、両方の磁界を分離し、干渉を防ぐ。同時に、前記二つの平行空隙は、内側コイルによって生成された磁界では干渉しない、なぜならば前記空隙が前記内側コイルによって生成された磁界と平行であるからである。
【0029】
二つの平行ギャップ平面は、環状磁気コアに作り出されるギャップが前記内側通路と連通するような方法で、内側通路と部分的に一致する。
【0030】
第一のおよび第二の中心磁気コア部の各々は、内側通路を横断するブリッジを、前記第一のまたは第二の中心磁気コア部が一体であるように有する。前記ブリッジは、内側通路を左内側通路と右内側通路とに分割する。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によると、導電性内側コイルは、同出願人の国際公開公報WO2004003947に開示される技術的解決策を有利に適用するプレーナトランスを提供し、この目的のために、それは、巻線の全ての表面と接触する交互的絶縁層流部材を持つ可変数の積層プリント回路基板巻線および/または銅巻線を含む一連の巻線によって成され、前記ステーキングされた巻線が一緒に接続される。中空環状磁気コア内の内側コイルのこの構造および配置は、高性能でコンパクトかつプレーナな巻線を保証し、インダクション漏れを有意に低減させる。
【0032】
各銅巻線は、波状スリットを有する銅シートまたは巻かれた銅コイルであることができる。波状スリットを持つ銅シートは、シートから型抜きされ、巻線構成をもたらすことができる。
【0033】
各プリント回路基板巻線は、前記プリント回路基板の一つのまたは両方の側上にプリントされた巻線として構成された波状導電回路を包含することができる。
【0034】
前記積層巻線間の接続は、好ましくは、プリント回路基板巻線および銅巻線の位置合わせされた穴を通じて挿入されたピンを接続することによってもたらされる。
【0035】
第二の部分磁気コアは、第一の部分磁気コアと向き合う第二の部分磁気コアの表面を通じてアクセス可能なまたも前記環状溝から成る第二の環状溝を有し、前記第二の環状溝が内側通路を囲んでいることが提案される。この提案によると、環状溝は、第一のおよび第二の環状溝の重ね合わせによって形成される。好ましくは、第一のおよび第二の部分磁気コアは、互いに対称である。
【0036】
もう一つの実施形態によると、左導電性外側コイルは、右導電性外側コイルとは異なり、それ故に、異なる性能を有する。左外側コイル、右外側コイルまたは両方を同時に使用して、環状磁気パワーユニットの異なる性能を達成することができる。
【0037】
環状磁気コア、左および右独立導電性外側コイルならびに導電性内側コイルは、好ましくは、アセンブリをカバーするひと塊の絶縁ポリウレタン樹脂に埋め込まれる。この特徴によると、環状磁気パワーユニットは、完全に電気的に絶縁され、適切でない変形または偶発的な分解を防ぐ。
【0038】
二つの独立外側コイルの使用は、一方、他方または両方の外側コイルを使用して、とりわけ両方の外側コイルが互いに異なる場合、異なるレベルの性能を持つインダクタとしての環状磁気パワーユニットの使用を可能にする。以下に開示される具体的な実施形態では、外側コイルの一つが共振インダクタとして動作する一方で、第二の外側コイルは、平行外インダクタとして動作し、内側通路は、プレーナトランスを収容する。
【0039】
内側コイルおよび二つの外側コイルを包含するこの構成は、柔軟な磁気コアを使用し、より効果的には、三つの独立コンポーネントが従来技術では各々一つの独立磁気コアを使用するであろうところを、三つの独立電気コンポーネント(この実施形態では、一つのトランスと2つの独立した、実質的には連結されていないインダクタ)として機能する一つのみの磁気装置に巻かれる。
【0040】
発明の他の特徴は、実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】左外側コイルが右外側コイルよりもより少ない巻線を有する、絶縁ポリウレタン樹脂の塊で作られたカバーを伴わない環状磁気パワーユニットの斜視図を示す;
図2】左および右内側通路を挟んで作られた断面である、図1上に示された実施形態の縦断面を示す;
図3】矢印で外側コイルおよび内側トランスの各々と関連する磁界を指し示す、図1上に示された環状磁気パワーユニットの分解図を示す。
【0042】
実施形態の詳細な説明
前述および他の効果および特徴は、添付図面を参照しながら、制限的ではなく、例証的に考慮されるべき、実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解される。
【0043】
本発明は、図1、2および3上に示された好ましい実施形態によると、強磁性材料で作られ、環状磁気コア1内部に画定される環状溝5内に封入された一つの導電性内側コイル30と、環状磁気コア1の周囲に巻かれ、各巻かれたものを内側通路2を通じて通す二つの導電性外側コイル40とを包含する、内側通路2の周囲に画定された環状磁気コア1を包含する環状磁気パワーユニットに対応する。
【0044】
前記環状溝5を作り出し、それを内側コイル30の挿入のためにアクセス可能にするために、環状磁気コア1は、重なり合った第一の部分磁気コア10および第二の部分磁気コア20によって作成される。
【0045】
第一の部分磁気コア10は、第二の部分磁気コア20と向き合う第一の部分磁気コア10の表面を通じてアクセス可能な内側通路2を囲む第一の環状溝15(図2)を包含する。
【0046】
第二の部分磁気コア20は、第一の部分磁気コア10に関して対称であり、第一の部分磁気コア10と向き合う第二の部分磁気コア20の表面を通じてアクセス可能な内側通路2を囲む第二の環状溝25(図2)を包含する。
【0047】
内側コイル30は、第一のおよび第二の環状通路15および25に設置され、環状磁気コア1内で内側通路2を囲む。
【0048】
また、環状磁気コア1は、二つの平行空隙50によって隔てられた三つの部位に分割される。各空隙50は、第二の部分磁気コア20と向き合う第一の部分磁気コア10の表面に垂直なギャップ平面に画定され、それ故に、前記空隙50は、内側コイル30によって生成された磁界B3を干渉しない。
【0049】
図2に見て取れるように、前記二つの空隙50は、第一の部分磁気コア10を第一の左部分磁気コア13と、第一の右部分磁気コア14と、中間に設置された第一の中心部分磁気コア11とに分割し、第二の部分磁気コア20を第二の左部分磁気コア23と、第二の右部分磁気コア24と、中間に設置された第二の中心部分磁気コア21とに分割する。
【0050】
空隙50を画定する前記二つのギャップ平面の各々は、内側通路2を横断する。第一のおよび第二の中心部分磁気コア11および21は、各々、内側通路2の各側に部位を有し、対応する第一のおよび第二のブリッジ12は、内側通路2を挟んで前記部位を接続する。前記第一のおよび第二のブリッジ12は、内側通路2を左内側通路3と右内側通路4とに分割する。
【0051】
本明細書によると、環状磁気コア1は、六つの異なる部分によって形成され、それらの三つが第一の部分磁気コア10に対応し、他の三つが第二の部分磁気コア20に対応する。
【0052】
環状磁気コア1の周囲に巻かれた先に述べた二つの導電性外側コイル40は、発明の本実施形態によると、左外側コイル43および右外側コイル44である。左外側コイル43は、第一のおよび第二の左部分磁気コア13および23の周囲に巻かれ、各巻かれたものを左内側通路3を通じて通し、右外側コイル44は、第一のおよび第二の右部分磁気コア14および24の周囲に巻かれ、各巻かれたものを右内側通路4を通じて通す。
【0053】
空隙50は、外側コイル40によって環状磁気コア1に生成された磁界B1およびB2を遮断し、干渉および非効率を防ぐ。
【0054】
左外側コイル43が右外側コイル44とは異なるため、その性能も異なり、左、右または両方の外側コイル43、44を使用して、環状磁気ユニットが異なる必要性に適応可能であることを許容する。
【0055】
内側コイル30が言及された国際公開公報WO2004003947に開示される方法のとおりに、交互的絶縁層流部材と一緒にステーキングされた複数の巻線によって作成されるプレーナトランスを提供することも提案される。
【0056】
本実施形態によると、一緒にステーキングされた前記巻線は、可変数の積層プリント回路基板巻線および銅巻線を包含する。
【0057】
各プリント回路基板は、その一つのまたは両方の面上にプリントされた巻線回路を包含し、プレーナ巻線を作り出す。
【0058】
銅巻線は、銅シート上のダイカット工程によってもたらされ、プレーナ巻線を作り出すことができる。あるいは、前記銅巻線は、銅糸の単なる曲げによって作り出されることができる。
【0059】
一緒にステーキングされた巻線の各々は、環状溝5を出て、環状磁気コア1から突き出る延長部を包含する。接続ピン31が挿入される位置合わせされた穴を包含する前記延長部は、一緒にステーキングされた巻線間の接続をもたらす。
【0060】
環状磁気パワーユニットは、好ましくは、コンポーネントを電気的に絶縁する絶縁ポリウレタン樹脂の塊(図示せず)でカバーされる。より好ましくは、前記ポリウレタン樹脂は、環状溝内に浸透し、内側コイル30のステーキングされた巻線間にも浸透する。
【0061】
開示される実施形態では、磁気パワーユニットは、内側通路に閉じ込められたプレーナトランスを包含し、この配置は、このようにして最大値約2μHの非常に低い漏れインダクタンスを確実にし、二つの外インダクタは、一つが平行外インダクタ、第二のものが電気的に絶縁された共振インダクタとして動作する。
【0062】
左内側通路3および右内側通路4は、背景技術で言及されたEP16002354に公表される解決策を使用して熱を排出するために、そこを通じた管の挿入のためにも使用され得ることも述べられるべきである。
【0063】
本発明の一つの実施形態の様々な部分が他の実施形態に記載された部分と自由に組み合わされ得ることが理解され、たとえ前記組み合わせが明示的に記載されていないとしても、そのような組み合わせに害がない限り提供される。
図1
図2
図3
【外国語明細書】
2019102805000001.pdf