(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-103493(P2019-103493A)
(43)【公開日】2019年6月27日
(54)【発明の名称】炭酸飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20190607BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20190607BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20190607BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20190607BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20190607BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20190607BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20190607BHJP
A61P 3/04 20060101ALN20190607BHJP
【FI】
A23L2/00 T
A23L2/00 F
A61K9/08
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/18
A61K47/02
A61P3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-227772(P2018-227772)
(22)【出願日】2018年12月5日
(31)【優先権主張番号】特願2017-238934(P2017-238934)
(32)【優先日】2017年12月13日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健太
(72)【発明者】
【氏名】山地 麻里江
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 貴則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茜
【テーマコード(参考)】
4B117
4C076
【Fターム(参考)】
4B117LC04
4B117LC14
4B117LE10
4B117LK01
4B117LK04
4B117LK08
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4B117LK13
4B117LK14
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4B117LP18
4C076AA12
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4C076FF35
4C076FF54
4C076FF61
(57)【要約】
【課題】飲む前は通常の水性炭酸飲料であるが、飲んだ後に胃の中で胃酸と反応してゲル化し、胃の中で浮遊したまま滞留し、従来品よりもさらに満腹感が得られ、腹持ちがよいという性質を有する水性炭酸飲料を提供する。
【解決手段】飲料中0.1w/v%以上のLMペクチンを含有し、飲料1.85容量部に対し0.5容量部のpH1.2の塩酸・塩化ナトリウム緩衝液と混合後、37℃で10分インキュベートした際の体積膨張率が175%以上であり、pHが2.5〜7.0であって、LMペクチンがゲル化せずに溶解していることを特徴とする水性炭酸飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料中0.1w/v%以上のLMペクチンを含有し、飲料1.85容量部に対し0.5容量部のpH1.2の塩酸・塩化ナトリウム緩衝液と混合後、37℃で10分インキュベートした際の体積膨張率が175%以上であり、pHが2.5〜7.0であって、LMペクチンがゲル化せずに溶解していることを特徴とする水性炭酸飲料。
【請求項2】
ゼラチン、アルギニン及びアルギニンの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1に記載の水性炭酸飲料。
【請求項3】
飲料中0.01w/v%以上のLMペクチン、並びにゼラチン、アルギニン及びアルギニンの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有し、pHが2.5〜7.0であって、LMペクチンがゲル化せずに溶解していることを特徴とする水性炭酸飲料。
【請求項4】
ゼラチンの含有量が飲料中0.0001〜0.5w/v%である請求項2又は3に記載の水性炭酸飲料。
【請求項5】
アルギニン又はアルギニンの塩の含有量が飲料中0.0001〜3w/v%である請求項2又は3に記載の水性炭酸飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性の炭酸飲料に関し、医薬品、医薬部外品及び食品等の分野において利用されうる。
【背景技術】
【0002】
肥満はメタボリックシンドロームに至る深刻な社会問題である。肥満を予防するための有効な手段としては、食事摂取量を制限してのダイエットが挙げられるが、これによって生じる空腹感のため、長続きしないというのが実状であった。そこで、空腹感を解消するために、香料又は香料化合物を主成分とする空腹感緩和剤(特許文献1参照)、シリアル食品(特許文献2参照)、可食性リンタンパクと金属の炭酸塩(特許文献3参照)などが提供されている。
【0003】
そうした空腹感を改善するための方法の1つとして、寒天を用い、胃液に一定時間浸された後の寒天のゲル強度を向上させる方法(特許文献4参照)が報告されている。しかしながら、固いゲルを咀嚼して飲みこむ必要があるため、実用性が高いとは言いがたい。ゲル化剤を含む胃内ラフト組成物を用いる方法(特許文献5参照)も報告されているが、ゲルの強度が低く胃の蠕動運動で容易に消化されるため、空腹感を長時間抑制するには至っていない。
【0004】
また、水性の酸と接触した際に非毒性ガスを生成し得るガス生成物質を含む胃内ラフト組成物を用いる方法(特許文献6参照)も報告されている。これは、生じたガスの影響で胃内を浮遊する性質を有し、胃の蠕動運動で消化されにくいが、粉末又は錠剤を多量に摂取することになるため、服用性が良くないという課題があった。
【0005】
これら技術に対し、本発明者らは酸性ゲル化剤を用いて飲む前は通常の水性炭酸飲料であるが、飲んだ後に胃の中で胃酸と反応してゲル化し、胃の中で浮遊したまま滞留して腹持ちがよいという性質を有する水性炭酸飲料を(特許文献7参照)発明するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−7427号公報
【特許文献2】特開2007−53929号公報
【特許文献3】特開2010−94085号公報
【特許文献4】特開2008−110923号公報
【特許文献5】特表2009−530254号公報
【特許文献6】特表2005−507409号公報
【特許文献7】特許第5748114号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、飲む前は通常の水性炭酸飲料であるが、飲んだ後に胃の中で胃酸と反応してゲル化し、胃の中で浮遊したまま滞留し、従来品よりもさらに満腹感が得られ、腹持ちがよいという性質を有する水性炭酸飲料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、飲料中0.01w/v%以上のLMペクチンを含有し、飲料1.85容量部に対し0.5容量部のpH1.2の塩酸・塩化ナトリウム緩衝液と混合後、37℃で10分インキュベートした際の体積膨張率が175%以上である水性の炭酸飲料は、飲む前は通常の液体であるが、飲んだ後は胃の中で胃酸と反応してゲル化し、胃の中で浮遊したまま滞留して腹持ちがよいという性質を有することを見いだした。
【0009】
かかる知見により得られた本発明の態様は次のとおりである。
(1)飲料中0.1w/v%以上のLMペクチンを含有し、飲料1.85容量部に対し0.5容量部のpH1.2の塩酸・塩化ナトリウム緩衝液と混合後、37℃で10分インキュベートした際の体積膨張率が175%以上であり、pHが2.5〜7.0であって、LMペクチンがゲル化せずに溶解していることを特徴とする水性炭酸飲料。
(2)ゼラチン、アルギニン及びアルギニンの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする(1)に記載の水性炭酸飲料。
(3)飲料中0.01w/v%以上のLMペクチン、並びにゼラチン、アルギニン及びアルギニンの塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有し、pHが2.5〜7.0であって、LMペクチンがゲル化せずに溶解していることを特徴とする水性炭酸飲料。
(4)ゼラチンの含有量が飲料中0.0001〜0.5w/v%である(2)又は(3)に記載の水性炭酸飲料。
(5)アルギニン又はアルギニンの塩の含有量が飲料中0.0001〜3w/v%である(2)又は(3)に記載の水性炭酸飲料。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、飲んだ後に胃の中で胃酸と反応してゲル化し、そのゲルが胃内を浮遊したまま滞留し、従来品よりもさらに満腹感が得られ、腹持ちがよいという性質を有する水性の炭酸飲料を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「ペクチン」とはα−1,4−結合したポリガラクツロン酸が主成分の水溶性多糖類であり、リンゴや柑橘類から抽出される。本発明のペクチンは、リンゴ由来、柑橘類由来の何れのものであってもよいが、ペクチンの構成糖であってフリーの酸若しくはメチルエステルとして存在するガラクツロン酸がメチルエステルであるものの比率が50%未満の「LMペクチン」であることが必要である。因みに、メチルエステルの比率が50%以上のペクチンをHMペクチンというが、酸性域でゲル化せず、本発明には適さない。
【0012】
LMペクチンの含有量は、飲料中0.01w/v%以上であり、ゲルの強度及び服用性という点から、0.025〜5w/v%が好ましく、膨張率が大きいという点から、0.25〜2w/v%がより好ましく、0.3〜1w/v%が最も特に好ましい。
【0013】
本発明において、飲料の体積は通常の方法で測定することができる。例えば、飲料をメスシリンダーや予め目盛りを記載したビーカーに投入し、その液面と目盛りの位置から体積を読み取る。また、体積膨張率は175%以上のものが、課題を解決するものであり、服用性の観点から、好ましくは175〜500%であり、より好ましくは180〜400%、特に好ましくは185〜300%である。なお、500%を超える場合、膨満感が強く、全量を飲用するのが困難になるため飲用には適さない。
【0014】
「ゼラチン」とは水に不溶性のコラーゲンを前処理し、熱加水分解して可溶化したものである。ゼリー等のゲル化剤として、あるいはヨーグルト等の増粘安定剤など食品において広く利用されている。ゼラチンはコラーゲンの由来(豚皮、牛皮、牛骨)および前処理方法(酸処理、アルカリ処理)により物性の異なるゼラチンが得られるが、本発明では、何れのゼラチンを用いてもよく、市販品(新田ゼラチン社製のAPH−100,APH−150,APH−200,APH−250,GBH−100,GBH−150,GBH−200,GBH−250,♯100,♯150,♯200,♯250,FGL−250TS,ニッピ社製のAP−50, AP−100,BP−160,BP−230,FGS−100,FGS−230,KY30,森永製菓社製のクックゼラチン、ゼライス社製のゼラチン エーユーアルファ等)を使用することもできる。
【0015】
ゼラチンの含有量は、特に限定されないが、好ましくは飲料中0.0001〜0.5w/v%であり、ゲルの強度及び服用性という点から、0.001〜0.2w/v%がより好ましく、0.001〜0.1w/v%が特に好ましい。
【0016】
「アルギニン」は塩基性アミノ酸であり、滋養強壮効果などの栄養成分として飲料、サプリメント等食品において広く利用されている。アルギニンの塩は、特に限定されないが、塩酸、りん酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、フィチン酸等の酸とアルギニンを反応させて生成する生理学的に許容しうる塩を用いることができる。アルギニン又はアルギニンの塩としては、好ましくは、アルギニン、アルギニン塩酸塩である。本発明で用いるアルギニン又はアルギニンの塩は、一種を単独で用いても二種以上を組み合わせても良く、L体、D体、それらの混合物でも良く、公知の方法により製造できるほか、市販品(中原社製のL-アルギニン、 協和発酵バイオ社製のアルギニン、アクセスワン社製のL-アルギニン、サンクト社製のL-アルギニン塩酸塩、味の素ヘルシーサプライ社製のL-アルギニン等)を用いることができる。
【0017】
アルギニン又はアルギニンの塩の含有量(アルギニン又はアルギニンの塩のうちの2種以上が含有される場合にはそれらの合計含有量)は、特に限定されないが、好ましくは飲料中0.0001〜3w/v%であり、ゲルの強度及び服用性という点から、0.001〜1w/v%がより好ましく、0.005〜1w/v%が特に好ましい。
【0018】
本発明において、「水性炭酸飲料」とは、炭酸ガスが封入された飲料であり、飲料自体がゲル化していないものを指す。すなわち、本願発明に係るLMペクチンやゼラチンはゲル化していない。水性炭酸飲料は、服用性を高めるために適宜pHやガスボリューム、甘味度、酸度等を調整や、その他成分を溶解や分散させて調製する。なお、溶解とは、液体に気体、液体、固体が混合され均一な液相を形成する現象であり、分散とは、ある物質が他の媒質中に細粒として浮遊する現象である。
【0019】
水性炭酸飲料のpHは、飲む前は通常の水性炭酸飲料であるが飲んだ後に胃の中で胃酸と反応してゲル化するという点から、2.5〜7.0であり、好ましくは3.0〜6.5である。また、膨張率が大きいという点から、2.0〜6.5が好ましく、2.5〜5.5がより好ましい。pHを上記範囲に保つために、必要に応じて有機酸等のpH調整剤を配合することができる。
【0020】
本発明の水性炭酸飲料における炭酸ガスのガスボリュームは、特に限定されないが、インキュベート後の体積膨張率が大きいという点において、1.5〜5.0が好ましい。また、膨張率がより大きいという点と飲料としての口当たりの良さという点においては2.0〜4.0が好ましい。なお、ガスボリュームが5.0を超える場合、生成した気泡含有ゲルが破裂して膨張率が低下してしまうため、本発明には不適である。
【0021】
水性炭酸飲料は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、水に、各成分を添加・混合して溶解させ、飲料原液を調製する。そして、必要に応じてpHの調整や加熱殺菌をしてから冷却した後、ガスボリュームが所定の範囲になるように炭酸ガスをガス封入(カーボネーション)し、容器に充填して、殺菌する工程により製造することができる。なお、水性炭酸飲料の製法には、プレミックス法とポストミックス法とがあるが、本発明においてはいずれの方法を用いてもよい。
【0022】
また、水性炭酸飲料にはその他の成分として、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸及びその塩類、生薬、生薬抽出物、カフェイン、ローヤルゼリー、デキストリン等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。さらに必要に応じて、抗酸化剤、着色剤、香料、酸味剤、矯味剤、保存剤、甘味料等の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
【0023】
pH調整剤、酸味剤として、クエン酸やリンゴ酸等の有機酸を添加しうるが、有機酸の含有量としては、通常、1w/v%以下であり、膨張率が大きいという点から、0.75w/v%以下がより好ましい。1w/v%を超えて含有すると胃酸と反応した際にゲル化しなくなるため好ましくない。
【実施例】
【0024】
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
(実施例及び比較例)
下記表1、2に記載の処方および次の方法に従い炭酸飲料を調製した。まず、全量の10%程度の60℃の精製水にLMペクチンを溶解し、LMペクチン濃縮液を作成した。別途、LMペクチンを除く成分を全量の10%程度の水に添加し、基剤溶液を調製した。基剤溶液は塩酸又は水酸化ナトリウムでpHを調整した。基剤溶液とLMペクチン濃縮液を全量(185ml)後に処方量となる割合で混合し、全量の25%量の飲料原液を調製し、80℃で25分の殺菌を行った。最後にこの飲料原液に炭酸水を加えて全量として炭酸飲料を得、190mlのアルミ缶に充填した。
次に、pH1.2の塩酸・塩化ナトリウム緩衝液(日本薬局方溶出試験第1液)50mlを、目盛りが記載された500ml又は1000mlのトールビーカーにあらかじめ準備し、表1〜2に示した比較例1〜6、実施例1〜9の炭酸飲料185mlを、前記塩酸・塩化ナトリウム緩衝液に添加し混合液とした。前記混合液を37℃で10分インキュベートした際の体積を、トールビーカーに記載された目盛りより読み取り、以下の計算式により膨張率として表中に示した。
膨張率(%)=(pH1.2の塩酸・塩化ナトリウム緩衝液(日本薬局方溶出試験第1液)50mlと炭酸飲料185mlの混合液を37℃で10分インキュベートした際の体積(ml)- 50(ml))/185(ml)×100
ガスボリュームの測定は、京都電子工業株式会社製GVA−500、又はGVA−700を用いて行った。pHの測定は、東亜ディーケーケー株式会社製HM−60Gを用いて行った。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
実施例1〜9では膨張率が175%以上となった。
【0028】
(試験例)
比較例1〜3、実施例1及び実施例2について、パネル4名で各炭酸飲料185mLを服用し、VAS(Visual Analogue Scale)法により満腹感を評価した。その結果、比較例1〜3と比較して実施例1及び実施例2でより満腹感が向上することが確認できた。
【0029】
(実施例及び比較例)
下記表3に記載の処方を次の方法に従い炭酸飲料を調製した。まず、全量の10%程度の60℃の精製水にLMペクチンを溶解し、LMペクチン濃縮液を作成した。別途、LMペクチン、ゼラチン、アルギニンを除く成分を全量の10%程度の水に添加し、基剤溶液を調製した。基剤溶液は塩酸又は水酸化ナトリウムでpHを調整した。ゼラチン又はアルギニンを配合する場合は、少量のお湯で別溶解し、基剤溶液に添加した後、塩酸又は水酸化ナトリウムでpHを調整した。基剤溶液(ゼラチン又はアルギニンを配合する場合は、ゼラチン又はアルギニンを含有する基剤溶液)とLMペクチン濃縮液を全量(185ml)後に処方量となる割合で混合し、全量の25%量の飲料原液を調製し、80℃で25分の殺菌を行った。最後にこの飲料原液に炭酸水を加え全量として炭酸飲料を得、190mlのアルミ缶に充填した。
比較例1〜6、実施例1〜9と同様に、体積を測定し、膨張率として表中に示した。
【0030】
【表3】
【0031】
ゼラチン又はアルギニンの配合により膨張率が増加した。
【0032】
下記表4に記載の処方を次の方法に従い炭酸飲料を調製した。まず、全量の10%程度の60℃の精製水にアルギン酸ナトリウム又はジェランガムを溶解した濃縮液を作成した。別途、アルギン酸ナトリウム、ジェランガム、ゼラチン、アルギニンを除く成分を全量の10%程度の水に添加し、基剤溶液を調製した。基剤溶液は塩酸又は水酸化ナトリウムでpHを調整した。ゼラチン又はアルギニンを配合する場合は、少量のお湯で別溶解し、基剤溶液に添加した後、塩酸又は水酸化ナトリウムでpHを調整した。基剤溶液(ゼラチン又はアルギニンを配合する場合は、ゼラチン又はアルギニンを含有する基剤溶液)とLMペクチン濃縮液を全量(185ml)後に処方量となる割合で混合し、全量の25%量の飲料原液を調製し、80℃で25分の殺菌を行った。最後にこの飲料原液に炭酸水を加え全量として炭酸飲料を得、190mlのアルミ缶に充填した。
比較例1〜6、実施例1〜9と同様に、体積を測定し、膨張率として表中に示した。
【0033】
【表4】
【0034】
LMペクチンに替えて、アルギン酸ナトリウム又はジェランガムを配合した処方では、ゼラチン又はアルギニンを配合しても膨張率は増加しなかった。
【0035】
下記表5、6に記載の処方を次の方法に従い炭酸飲料を調製した。まず、全量の10%程度の60℃の精製水にLMペクチンを溶解した濃縮液を作成した。別途、LMペクチンを除く成分を全量の10%程度の水に添加し、基剤溶液を調製した。基剤溶液は塩酸又は水酸化ナトリウムでpHを調整した。アミノ酸や増粘剤を配合する場合は、少量のお湯で別溶解し、基剤溶液に添加した後、塩酸又は水酸化ナトリウムでpHを調整した。基剤溶液(アミノ酸や増粘剤を配合する場合は、アミノ酸や増粘剤を含有する基剤溶液)とLMペクチン濃縮液を全量(185ml)後に処方量となる割合で混合し、全量の25%量の飲料原液を調製し、80℃で25分の殺菌を行った。最後にこの飲料原液に炭酸水を加え全量として炭酸飲料を得、190mlのアルミ缶に充填した。なお、表中の調製可否に×と記載した処方は、炭酸飲料調製後にゲル化しており、評価には適さなかった。
表5、6に示した処方について、比較例1〜6、実施例1〜9と同様に、体積を測定し、膨張率として表中に示した。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
アルギニン又はゼラチンを配合すると配合しない処方よりも膨張率が増加した。アルギニンやゼラチン以外の成分(他のアミノ酸や増粘剤等)には同様の効果はなかった。
【0039】
(製剤例)
下記表7に記載の処方を次の方法に従い炭酸飲料を調製した。まず、全量の10%程度の60℃の精製水にLMペクチンを溶解した濃縮液を作成した。別途、LMペクチンを除く成分を全量の10%程度の水に添加し、基剤溶液を調製した。基剤溶液は塩酸又は水酸化ナトリウムでpHを調整した。基剤溶液とLMペクチン濃縮液を全量(185ml)後に処方量となる割合で混合し、全量の25%量の飲料原液を調製し、80℃で25分の殺菌を行った。最後にこの飲料原液に炭酸水を加え全量として炭酸飲料を得、190mlのアルミ缶に充填した。
表7に示した処方について、比較例1〜6、実施例1〜9と同様に、体積を測定し、膨張率として表中に示した。
【0040】
【表7】
【0041】
製剤例1〜3では、膨張率が大きかった。なお、これら製剤例の満腹感を評価した結果、十分な満腹感があることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明により、飲む前は通常の水性炭酸飲料であるが、飲んだ後に胃の中で胃酸と反応してゲル化し、胃の中で浮遊したまま滞留して腹持ちがよいという性質を有する水性炭酸飲料を提供することが可能となった。よって、本発明を肥満予防のためのダイエットを志向した医薬品、医薬部外品及び食品として提供することにより、これらの産業の発達が期待される。