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特開2019-104024枠付き鋳型の枠合わせずれ検出方法及び検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-104024(P2019-104024A)
(43)【公開日】2019年6月27日
(54)【発明の名称】枠付き鋳型の枠合わせずれ検出方法及び検出装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 46/00 20060101AFI20190607BHJP
   B22C 21/12 20060101ALI20190607BHJP
   B22C 23/00 20060101ALI20190607BHJP
   B22C 9/02 20060101ALI20190607BHJP
【FI】
   B22D46/00
   B22C21/12
   B22C23/00 H
   B22C9/02 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-237387(P2017-237387)
(22)【出願日】2017年12月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長坂 政彦
(72)【発明者】
【氏名】牧野 泰育
(72)【発明者】
【氏名】小田木 克明
【テーマコード(参考)】
4E094
【Fターム(参考)】
4E094BB02
4E094CC71
(57)【要約】
【課題】鋳造用鋳枠の自動枠合わせ装置において、枠合わせ時のずれを自動検出する方法と装置を提供する。
【解決手段】自動枠合わせ装置において、枠合わせ時に上鋳枠付き上鋳型M1に加わる外力を物理量検出センサ60によって検出し、演算記憶判定装置61により数値化して正常時の数値と比較判定することで、枠合わせが正常に完了したか否か判定し枠合わせずれを検出する。なお、物理量検出センサとして力覚センサを用いることが好ましい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型造型機により造型された上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型を自動で枠合わせする際に、
上鋳枠および下鋳枠に設けられたピンとブシュとの嵌合によって発生する力を、少なくとも2軸以上の方向に検出可能な物理量検出センサによって検出し、
前記物理量検出センサの出力から演算された嵌合力に基づいて、枠合わせがずれ無く正常に完了したか否かを判定することを特徴とする枠付き鋳型の枠合わせずれ検出方法。
【請求項2】
鋳型造型機により造型された上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型を自動で枠合わせする際に、
上鋳型と下鋳型との組合せによって発生する力を少なくとも2軸以上の方向に検出可能な物理量検出センサによって検出し、
前記物理量検出センサによって検出された組合せ力に基づいて、枠合わせがずれ無く正常に完了したか否かを判定することを特徴とする枠付き鋳型の枠合わせずれ検出方法。
【請求項3】
物理量検出センサとして、力覚センサを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の枠付き鋳型の枠合わせずれ検出方法。
【請求項4】
鋳型造型機により造型された上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型を自動で枠合わせする自動枠合わせ装置に組み込まれる枠付き鋳型の枠合わせずれ検出装置であって、
前記上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型は、ピンとブッシュとからなる位置決め手段を備えたものであり、
前記上鋳枠付き上鋳型を前記下鋳枠付き下鋳型に向けて下降させ、ピンとブッシュとを嵌合させる際に発生する嵌合力を、少なくとも2軸以上の方向に検出する物理量検出センサと、
前記物理量検出センサによって測定された嵌合力を演算する演算手段と、
この演算手段の演算結果に基づいて、枠合わせが正常に完了したか否かを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする枠付き鋳型の枠合わせずれ検出装置。
【請求項5】
鋳型造型機により造型された上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型を自動で枠合わせする自動枠合わせ装置に組み込まれる枠付き鋳型の枠合わせずれ検出装置であって、
前記上鋳枠付き上鋳型を前記下鋳枠付き下鋳型に向けて下降させ、枠合わせする際に発生する組合せ力を、少なくとも2軸以上の方向に検出する物理量検出センサと、
前記物理量検出センサによって測定された組合せ力を演算する演算手段と、
この演算手段の演算結果に基づいて、枠合わせが正常に完了したか否かを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする枠付き鋳型の枠合わせずれ検出装置。
【請求項6】
物理量検出センサが、力覚センサであることを特徴とする請求項4または5に記載の枠付き鋳型の枠合わせずれ検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠付き鋳型の枠合わせにおいて枠合わせのずれを検出する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鋳造用鋳枠の枠合わせのために、鋳型造型機により造型された上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型を自動で枠合わせする方法が用いられている。
【0003】
上述の方法で鋳造用鋳枠の自動枠合わせをするために、一般に上鋳枠付き上鋳型を自動枠合わせ装置によって引き上げたうえで、その直下に下鋳枠付き下鋳型を搬送し、下鋳枠付き下鋳型の上に上鋳枠付き上鋳型を重ね合せて枠合わせする方法がとられている。この時、上下鋳枠は鋳枠に設けられたピンとブシュによって位置決めされ鋳型がずれないように枠合わせされる方法が提案されている。(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−160219号公報
【特許文献2】実開昭58−061347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2に記載の技術では、焼き入れなどにより高硬度に仕上げられているピンとブシュであったとしても繰り返しの嵌合による摩擦や鋳造工場特有の砂粉塵による摩擦による摩耗は避けることができない。ピンとブシュが摩耗すると当然枠合わせの精度に問題が生じ、グイチ、ハグミ、型ずれ、鋳バリなどの鋳造欠陥の原因となる問題があった。
また、枠合わせ時に上鋳型と下鋳型との干渉あるいは鋳型と中子との干渉により鋳型や中子が損傷することが有り、一度枠合わせをしたのちに上下枠を分離し作業者が目視で鋳型や中子が損傷していないか確認しており、サイクルタイムが長くなるだけでなく作業者の負荷が増えてしまう問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記枠付き鋳型の枠合わせずれの問題を解決するためになされたものであり、枠付き鋳型の枠合わせずれの問題を解決して、枠合わせのずれに起因する鋳造欠陥を予め防止することができるようにすることと共に、枠合わせ時の上鋳型と下鋳型との干渉あるいは鋳型と中子との干渉を自動的に判別できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、請求項1に記載の発明では、鋳型造型機により造型された上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型を自動で枠合わせする際に、上鋳枠および下鋳枠に設けられたピンとブシュとの嵌合によって発生する力を、少なくとも2軸以上の方向に検出可能な物理量検出センサによって検出し、前記物理量検出センサの出力から演算された嵌合力に基づいて、枠合わせがずれ無く正常に完了したか否かを判定する、という技術的手段を用いる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、鋳型造型機により造型された上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型を自動で枠合わせする際に、上鋳型と下鋳型との組合せによって発生する力を少なくとも2軸以上の方向に検出可能な物理量検出センサによって検出し、前記物理量検出センサによって検出された組合せ力に基づいて、枠合わせがずれ無く正常に完了したか否かを判定する、という技術的手段を用いる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、鋳型造型機により造型された上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型を自動で枠合わせする自動枠合わせ装置に組み込まれる枠付き鋳型の枠合わせずれ検出装置であって、前記上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型は、ピンとブッシュとからなる位置決め手段を備えたものであり、前記上鋳枠付き上鋳型を前記下鋳枠付き下鋳型に向けて下降させ、ピンとブッシュとを嵌合させる際に発生する嵌合力を、少なくとも2軸以上の方向に検出する物理量検出センサと、前記物理量検出センサによって測定された嵌合力を演算する演算手段と、この演算手段の演算結果に基づいて、枠合わせが正常に完了したか否かを判定する判定手段と、を備えるという技術的手段を用いる。
【0010】
請求項5に記載の発明では、鋳型造型機により造型された上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型を自動で枠合わせする自動枠合わせ装置に組み込まれる枠付き鋳型の枠合わせずれ検出装置であって、前記上鋳枠付き上鋳型を前記下鋳枠付き下鋳型に向けて下降させ、枠合わせする際に発生する組合せ力を、少なくとも2軸以上の方向に検出する物理量検出センサと、前記物理量検出センサによって測定された組合せ力を演算する演算手段と、この演算手段の演算結果に基づいて、枠合わせが正常に完了したか否かを判定する判定手段と、を備えるという技術的手段を用いる。
【0011】
なお、上記の物理量検出センサとしては、力覚センサを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び請求項4に記載の発明によれば、枠合わせ時のピンとブシュの嵌合によって発生する力を物理量検出センサにより検出し、検出された嵌合力を演算手段で演算し、演算結果を基に上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型との枠合わせがずれ無く正常に完了したか否かを判定手段により判定することができる。これにより、繰り返しの嵌合による摩擦や鋳造工場特有の砂粉塵による摩擦によってピンやブシュが摩耗して、枠合わせの精度に問題が生じることで上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型との枠合わせにずれが発生したとしても即座かつ自動的にずれの発生を把握することができる。
【0013】
請求項2及び請求項5に記載の発明によれば、枠合わせ時の上鋳型と下鋳型との組合せによって発生する力を物理量検出センサにより検出し、検出された組合せ力を演算手段で演算し、演算結果を基に上鋳枠付き上鋳型と下鋳枠付き下鋳型との枠合わせがずれ無く正常に完了したか否かを判定手段により判定することができる。これにより、枠合わせずれによる上鋳型と下鋳型との干渉によって鋳型が損傷したとしても即座かつ自動的に鋳型の損傷を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態にかかわる枠付き鋳型の自動枠合わせ装置の要部正面図である。
図2】本発明の一実施の形態にかかわる枠付き鋳型の自動枠合わせ装置の要部右側面図である。
図3】搬送ローラの加工位置に上枠が搬入した状態を説明する正面図である。
図4】搬送ローラが上枠を持ち上げて上昇位置にあるとともに、この上枠の下方に下枠が搬入した状態を説明する右側面図である。
図5】枠合わせ時の搬送ローラの途中(中間)停止位置状態を説明する正面図である。
図6】物理量検出センサ設置箇所の要部矢視図(A−A矢視図)である。
図7】物理量検出センサ設置方法の変更例の一例を説明する図である。
図8】物理量検出センサ設置方法の変更例の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明について図面を参照して説明する。図3〜5に示されるように、本実施の形態における自動枠合わせ装置1は、鋳型造型機(図示せず)により造型された上枠付き上鋳型M1と下枠付き下鋳型M2をローラコンベヤ2に交互に配置して、図3の紙面右側に配置されるプッシャーシリンダ(図示せず)とクッションシリンダ3によりひと枠送りされる第1搬送ライン4の下流端に配設されている。この自動枠合わせ装置1の上流に配置される上枠付き上鋳型M1と下枠付き下鋳型M2を交互に搬入する前記ローラコンベヤ2には、下枠付き下鋳型M2を載置する第1搬送ライン定盤台車5を案内走行する一対の固定レール6が付設されている。
【0016】
また、前記第1搬送ライン4には上枠付き上鋳型M1を反転させる反転機(図示せず)が設置されている。そして、前記上枠付き上鋳型M1と下枠付き下鋳型M2を枠合わせしたのち、当該枠合わせされた枠付き上下鋳型Mは図3の紙面の垂直方向に設置される注湯機(図示せず)への第2搬送ライン7(図2)に送り出される。本実施の形態では、枠合わせされた枠付き上下鋳型を第2搬送ライン7に送り出すために、前記固定レールの延長線上において第2搬送ライン定盤台車8上部に一体可動となるように固定された一対の定盤台車上部レール9が付設されている。前記第2搬送ライン定盤台車8は前記第1搬送ライン定盤台車5と前記枠付き上下鋳型Mとともにアクチュエータ(図示せず)により前記第2搬送ライン7へ送り出される。
【0017】
前記上枠付き上鋳型M1の上枠F1は、対向する両端部に上枠突起部Ffが形成されている。そして、この上枠突起部Ffの上下両面は、上枠付き上鋳型M1を搬送させるローラコンベヤ2のローラ2aが転走するために加工されている。この上下両面に加工された上枠突起部上面加工面Ffaおよび上枠突起部下面加工面Ffbのうち、上枠突起部下面加工面Ffbに後述する搬送ローラ49が、第1昇降シリンダ31の昇降動作と開閉シリンダ46の開閉動作により着脱可能にされる。
【0018】
本発明の一実施の形態にかかわる自動枠合わせ装置は、第1昇降シリンダ31と、該第1昇降シリンダ31のロッド31aの先端に固定される昇降テーブル32および該昇降テーブル32に設けられる支持機構33からなる昇降部34と、を備えている。
【0019】
前記第1昇降シリンダ31は、ロッド31aの変位位置を検出できるように検出器としてエンコーダ(図示せず)が付設されており、床面に立設する4本の支柱37の上方に掛け渡される四方のフレーム38aと中央フレーム38bのうち、この中央フレーム38bに下向きに載置されている。また、この第1昇降シリンダ31の両側には、ガイドロッド39が設けられている。なお、前記エンコーダに代えてロッド31aの変位を計測するために、検出器として、例えばリニアスケール(図示せず)を用いることができる。また、第1昇降シリンダ31としては、油圧シリンダ、エアシリンダまたは電動シリンダを用いることができる。
【0020】
図1図2に示すように、前記支持機構33は、上枠付き上鋳型M1、下枠付き下鋳型M2の搬入する方向(以下、単に搬入方向という)に直交する方向に沿って前記昇降テーブル32の下面に形成される支持部材41に固着される一対の水平部材42と、該水平部材42の両先端に形成されるガイドピン43に嵌着されるホルダー44を有する一対の移動部材45と、該一対の移動部材45の中央内側に両端がピン結合される開閉シリンダ46と、前記ホルダー44に垂設される4個のアーム47と、搬入方向に沿って隣接するアーム47の下端に固着される一対のローラフレーム48と、それぞれのローラフレーム48の内面に回転自在に軸支される搬送ローラ(フリーローラ)49と、から構成されている。なお、ガイドピン43の先端には、ホルダー44のストッパーナット43aが螺着されている。
【0021】
また、本実施の形態では、前記一対のローラフレーム48のうち、一方のローラフレーム48に上枠付き上鋳型M1の位置決めを行う上枠クランプ50が取り付けられている。該上枠クランプ50は、クランプシリンダと、該クランプシリンダのロッドの先端に固定された楔部材とで構成されている。前記クランプシリンダのロッドを伸長させることにより、上枠付き上鋳型M1の上枠F1に装着されたライナ間に楔部材が挿入され、ローラフレーム48の搬送ローラ49上の上枠付き上鋳型1が位置決めされて固定されるようになっている。
【0022】
図6に示すようにローラフレーム48には高剛性の取り付け部材63が堅固に接合されており、取り付け部材63と上枠クランプ50が物理量検出センサ60を介して連接するように取り付けられている。この物理量検出センサとしては、力覚センサを用いることができるが、これに限定されるものではない。物理量検出センサ60は信号配線62を介して演算記憶判定処理装置61に接続されている。前記演算記憶判定処理装置61は前記物理量検出センサ60から出力された信号を演算することで値を導出し、あらかじめ記憶された値と比較判定する機能を有する。
【0023】
また、上枠付き上鋳型M1の位置決めに対して、下枠付き下鋳型M2の位置決めのための下枠クランプ(図示せず)51は支柱37に取り付けられている。
【実施例1】
【0024】
本発明における枠付き鋳型の枠合わせずれ検出方法の実施例1について説明するが、本発明はかかる実施例1に限定されるものではない。
【0025】
上記のように構成された自動枠合わせ装置1において、まず図3に示されるように、第1搬送ライン4から自動枠合わせ装置1側に送り出された上枠付き上鋳型M1は、あらかじめ第1昇降シリンダ31の伸長により下降している昇降テーブル32の下部の支持機構33における搬送ローラ49上に搬入される。続いて、上枠クランプ50を作動させることで搬送ローラ49上の上枠付き上鋳型M1が位置決めされて固定される。
【0026】
ついで、図4に示されるように、第1昇降シリンダ31の縮引により昇降テーブル32の下部の支持機構33における搬送ローラ49上の上枠F1が上昇すると、第1搬送ライン定盤台車5に載せた下枠付き下鋳型M2の下枠F2が定盤台車上部レール9上に搬入される。
【0027】
この状態で図5に示されるように、第1昇降シリンダ31を伸長させて搬入された下枠F2上に上枠F1を降ろすとともに、搬送ローラ49を上枠F1の上枠突起部下面加工面Ffbから離脱させて枠合わせを完了する。
【0028】
ここで、第1昇降シリンダ31を伸長させて搬入された下枠F2上に上枠F1を降ろす時に、上枠F1に設けられた位置決めピンF1gと、下枠F2に設けられた位置決めブシュF2gとが嵌合することで上枠付き上鋳型M1と下枠付き下鋳型M2が位置ズレなく枠合わせされる。鋳造ラインにおいて上枠F1と下枠F2の組み合わせは常に同じとなるように操業されているため、枠合わせにおいて上枠F1に設けられた位置決めピンF1gと、下枠F2に設けられた位置決めブシュF2gとが嵌合することで上枠F1に生じる外力は理想状態では一定となる。
【0029】
ライン新設時あるいはラインメンテナンス完了時などの理想近似状態において、あらかじめ、枠合わせにおいて上枠F1に設けられた位置決めピンF1gと、下枠F2に設けられた位置決めブシュF2gとが嵌合することで上枠F1に生じる外力を物理量検出センサ60によって検出し、演算記憶判定処理装置61に記憶しておく。この演算記憶判定処理装置61には、物理量検出センサ60によって測定された組合せ力を演算する演算手段と、この演算手段の演算結果に基づいて、枠合わせが正常に完了したか否かを判定する判定手段とが組み込まれている。一般的な鋳造ラインでは上枠F1と下枠F2は常に同じ組み合わせになるよう操業されているので、各組合せの枠合わせ時の数値を記憶しておく。
【0030】
しかしながら、操業を続けるに従い実際には位置決めピンF1gや位置決めブシュF2gの摩耗が生じてくるため、位置決めピンF1gと位置決めブシュF2gの嵌合にガタを生じ枠合わせ精度が悪くなってくる。すると、枠合わせにおいて上枠F1に設けられた位置決めピンF1gと、下枠F2に設けられた位置決めブシュF2gとが嵌合することで上枠F1に生じる外力は理想状態から乖離して異なった外力が生じるようになる。
【0031】
毎回の枠合わせにおいて上枠F1に設けられた位置決めピンF1gと、下枠F2に設けられた位置決めブシュF2gとが嵌合することで上枠F1に生じる外力を物理量検出センサ60によって検出し、演算記憶判定処理装置61において、検出信号を演算によって数値化し、あらかじめ記憶されている理想状態の数値との比較を行う。この時、物理量検出センサ60における各軸検出外力の比較値が1軸でも200N(約20Kgf)以上の乖離を生じている場合、あるいは、物理量検出センサ60における各軸モーメント検出外力の比較値が1軸モーメントでも200N・m(約20kgf・m)以上の乖離を生じている場合に、枠合わせにずれが生じた異常状態として判定する。
【0032】
実施例1によれば位置決めピンF1gと位置決めブシュF2gの損耗によって生じる枠合わせ異常を自動検出することができ、枠合わせがずれた枠付き上下鋳型Mにはその後注湯しないなどの対処を取ることができるようになり、鋳物不良の発生率を下げることができる。さらには、位置決めピンと位置決めブシュの損耗を自動検出できるので、位置決めピンと位置決めブシュの交換時期をあらかじめ予測できるようになるなど予知保全が可能となる。
【実施例2】
【0033】
本発明における枠付き鋳型の枠合わせずれ検出方法の実施例2について説明するが、本発明はかかる実施例2に限定されるものではない。
【0034】
前記したように、第1昇降シリンダ31を伸長させて搬入された下枠F2上に上枠F1を降ろす時に、上枠付き上鋳型M1と下枠付き下鋳型M2の島部Miなど鋳型同士が干渉することなく枠合わせ完了すれば、枠合わせによって上枠F1に生じる外力は理想状態では一定となる。
【0035】
ライン新設時あるいはラインメンテナンス完了時などの理想近似状態において、あらかじめ、枠合わせにおいて上枠付き上鋳型M1と下枠付き下鋳型M2の島部Miなど鋳型同士が干渉することなく枠合わせ完了したときの、枠合わせによって上枠F1に生じる外力を物理量検出センサ60によって検出し、演算記憶判定処理装置61に記憶しておく。このとき一般的な鋳造ラインでは上枠F1と下枠F2は常に同じ組み合わせになるよう操業されているので各組合せの枠合わせ時の数値を記憶しておく。
【0036】
しかしながら、操業を続けるに従い鋳型造型の不具合などが生じることがあり、枠合わせにおいて上枠付き上鋳型M1と下枠付き下鋳型M2の島部Miなど鋳型同士が干渉することが有る。すると、上枠F1に生じる外力は理想状態から乖離して異なった外力が生じるようになる。
【0037】
毎回の枠合わせにおいて枠合わせ時の上枠F1に生じる外力を物理量検出センサ60によって検出し、演算記憶判定処理装置61において、検出信号を演算によって数値化し、あらかじめ記憶されている理想状態の数値との比較を行う。この時、物理量検出センサ60における各軸検出外力の比較値が1軸でも50N(約5Kgf)以上の乖離を生じている場合、あるいは、物理量検出センサ60における各軸モーメント検出外力の比較値が1軸モーメントでも50N・m(約5kgf・m)以上の乖離を生じている場合に、枠合わせにずれが生じた異常状態として判定する。
【0038】
実施例2によれば上枠付き上鋳型M1と下枠付き下鋳型M2の干渉によって生じる枠合わせ異常を自動検出することができ、異常を検出した枠付き上下鋳型Mにはその後注湯しないなどの対処を取ることができるようになり、鋳物不良の発生率を下げることができる。さらには、鋳型造型の異常による上鋳型M1と下枠付き下鋳型M2の干渉を自動検出できるので、異常の頻度が自動で明らかにすることができるので鋳型造型機のメンテナンス時期をあらかじめ予測できるようになるなど予知保全が可能となる。
【0039】
(変更例)
物理量検出センサ60の設置位置は変更することができる。例えば、図7に示すようにローラフレーム48と上枠クランプ部材50が物理量検出センサ60を介して連接されるように取り付けてもよい。また、図8に示すように第1昇降シリンダ31のロッド31aと昇降テーブル32の間に挟み込みロッド31aと昇降テーブル32が物理量検出センサ60を介して連接されるようにして取り付けるなどしてもよい。さらには、支柱37と下枠クランプ(図示せず)とが物理量検出センサ60を介して連接されるようにして取り付けてもよく、直接間接問わず上枠付き上鋳型にかかる外力を検出できる箇所であれば、自動枠合わせ装置1のどこに取り付けても構わない。
【符号の説明】
【0040】
F1 上枠
Ff 上枠突起部
Ffa 上枠突起部上面加工面
Ffb 上枠突起部下面加工面
F1g 位置決めピン
F2 下枠
F2g 位置決めブシュ
M 枠付き上下鋳型
M1 上枠付き上鋳型
M2 下枠付き下鋳型
Mi 島部
1 自動枠合わせ装置
2 ローラコンベヤ
2a ローラ
3 クッションシリンダ
4 第1搬送ライン
5 第1搬送ライン定盤台車
6 固定レール
7 第2搬送ライン
8 第2搬送ライン定盤台車
9 定盤台車上部レール
31 第1昇降シリンダ
31a ロッド
32 昇降テーブル
33 支持機構
34 昇降部
37 支柱
38a フレーム
38b 中央フレーム
39 ガイドロッド
41 支持部材
42 水平部材
43 ガイドピン
43a ストッパーナット
44 ホルダー
45 移動部材
46 開閉シリンダ
47 アーム
48 ローラフレーム
49 搬送ローラ
50 上枠クランプ
60 物理量検出センサ
61 演算記憶判定処理装置
62 信号配線
63 取り付け部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8