【解決手段】製管機10は、既設管100の内面に沿って螺旋状に巻き回した帯板状部材12の隣り合う側縁部同士を連結することで管体102を形成する。製管機10は、製管機本体50を備え、製管機本体には、形成する管体102の径方向に延びかつ周方向に回転可能なアーム58が設けられ、アーム58の先端部には、帯板状部材12の連結部分を内面側および外面側から挟み込んで押圧する一対の押圧ローラ70が設けられる製管機10。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、螺旋状に巻き回した帯板状部材の連結部分の嵌合は、既設管またはスペーサをバックアップとして、連結部分の内面をローラ等で既設管側に向かって押圧することで行われる。しかしながら、既設管の凹凸部分、接続部分(曲り、屈曲または段差がある部分)、またはスペーサの両側部分などの、既設管またはスペーサからの反力を得難い部分(つまり帯板状部材が浮いた状態となる部分)では、嵌合が不十分となって適切に連結できない場合があった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、製管機、管体の製管方法および帯板状部材を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、帯板状部材の隣り合う側縁部同士を確実に連結できる、製管機、管体の製管方法および帯板状部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、既設管の内面に沿って螺旋状に巻き回した帯板状部材の隣り合う側縁部同士を連結することで管体を形成する製管機であって、製管機本体、製管機本体に設けられ、形成する管体の径方向に延びかつ周方向に回転可能なアーム、およびアームの先端部に設けられ、帯板状部材の連結部分を内面側および外面側から挟み込んで押圧する一対の押圧ローラを備える、製管機である。
【0008】
第1の発明では、製管機は、螺旋状に巻き回した帯板状部材の隣り合う側縁部同士を連結することで管体を形成するものであって、製管機本体を備える。製管機本体には、管体の径方向に延び、かつ周方向に回転可能なアームが設けられる。アームの先端部には、管体の径方向に所定間隔をあけて設けられる一対の押圧ローラが設けられる。この押圧ローラは、帯板状部材の連結部分を内面側および外面側から挟み込んで押圧する。なお、帯板状部材の側縁部同士は、接続部材を用いて連結されてもよいし、直接連結されてもよい。つまり、一対の押圧ローラが挟み込む帯板状部材の連結部分には、接続部材を含む場合と含まない場合とがある。
【0009】
第1の発明によれば、帯板状部材の連結部分を内面側および外面側から挟み込んで押圧するので、既設管などからの反力の有無に関係なく、帯板状部材の隣り合う側縁部同士を確実に連結できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、一対の押圧ローラのうち、帯板状部材の連結部分の外面側を押圧する外ローラは、既設管の内面上を転動する。
【0011】
第2の発明によれば、外ローラが既設管の内面上を転動するので、アームおよび一対の押圧ローラを安定的に回転させることができる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明に係る製管機を用いた管体の製管方法であって、(A)既設管の内面に沿って帯板状部材を螺旋状に巻き回して仮製管するステップ、および(B)ステップ(A)の後、製管機が備える一対の押圧ローラによって帯板状部材の連結部分を内面側および外面側から挟み込んで押圧することで、連結部分を嵌合させて管体を形成するステップを含む、管体の製管方法である。
【0013】
第3の発明では、一対の押圧ローラを備える製管機を用いて既設管内に管体を形成する。先ず、ステップ(A)では、既設管の内面に沿って帯板状部材を螺旋状に巻き回すことによって、螺旋管を仮製管する。そして、ステップ(B)では、仮製管した帯板状部材の隣り合う側縁部同士を連結して管体を形成する。この際には、帯板状部材の連結部分を、一対の押圧ローラによって内面側および外面側から挟み込んで押圧することで、帯板状部材の連結部分を嵌合させる。
【0014】
第3の発明によれば、帯板状部材の連結部分を内面側および外面側から挟み込んで押圧するので、既設管などからの反力の有無に関係なく、帯板状部材の隣り合う側縁部同士を確実に連結できる。
【0015】
第4の発明は、既設管の内面に沿って螺旋状に巻き回されると共に、製管機を用いて隣り合う側縁部同士を連結されることで管体を形成する帯板状部材であって、帯板状の基体、および基体の外面側に長手方向に延びるように形成され、当該基体と既設管との間に、製管機が備える外ローラが通る通路を形成可能な突出高さを有する複数のリブを備える、帯板状部材である。
【0016】
第4の発明では、帯板状部材は、一対の押圧ローラを備える製管機を用いて既設管内に管体を形成する製管方法に用いられる。帯板状部材は、帯板状の基体を備える。基体の外面側には、基体の長手方向に延びる複数のリブが形成される。複数のリブは、基体と既設管との間に、帯板状部材の連結部分の外面側を押圧する外ローラが通る通路を形成可能な突出高さを有する。
【0017】
第4の発明によれば、製管時において、製管機が備える一対の押圧ローラが移動し易くなるので、製管機による帯板状部材の側縁部同士の連結をより適切に実行できる。また、既設管と帯板状部材とを密着させることが可能となる。
【0018】
第5の発明は、既設管の内面に沿って螺旋状に巻き回されると共に、製管機を用いて隣り合う側縁部同士を連結されることで管体を形成する帯板状部材であって、帯板状の基体、基体の外面側に長手方向に延びるように形成される複数のリブ、および基体の外面側に取り付けられ、当該基体と既設管との間に、製管機が備える外ローラが通る通路を形成可能な高さを有する補強部材を備える、帯板状部材である。
【0019】
第5の発明では、帯板状部材は、一対の押圧ローラを備える製管機を用いて既設管内に管体を形成する製管方法に用いられる。帯板状部材は、帯板状の基体を備える。基体の外面側には、基体の長手方向に延びる複数のリブが形成されると共に、補強部材が取り付けられる。補強部材は、基体と既設管との間に、帯板状部材の連結部分の外面側を押圧する外ローラが通る通路を形成可能な高さを有する。
【0020】
第5の発明によれば、製管時において、製管機が備える一対の押圧ローラが移動し易くなるので、製管機による帯板状部材の側縁部同士の連結をより適切に実行できる。また、既設管と帯板状部材とを密着させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、帯板状部材の連結部分を内面側および外面側から挟み込んで押圧するので、既設管などからの反力の有無に関係なく、帯板状部材の隣り合う側縁部同士を確実に連結できる。
【0022】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の一実施例である製管機を用いて既設管内に管体を形成するときの様子を模式的に示す図解図である。
【
図2】
図1の図解図を製管機の前方から見た様子を模式的に示す図解図である。
【
図5】帯板状部材の側縁部同士を接続部材で接続した様子を示す断面図である。
【
図7】製管機が備える嵌合ユニットを示す斜視図である。
【
図8】移動方向前方側から見た嵌合ユニットを示す図解図である。
【
図9】
図8のIX-IX線における嵌合ユニットの断面を示す断面図である。
【
図10】嵌合ユニットが帯板状部材の連結部分を嵌合させるときの様子を示す図解図である。
【
図11】嵌合ユニットが帯板状部材の連結部分を嵌合させるときの様子を示す図解図である。
【
図12】帯板状部材の他の一例を示す断面図である。
【
図13】嵌合ユニットが帯板状部材の連結部分を嵌合させるときの様子を示す図解図である。
【
図14】帯板状部材のさらに他の一例を示す断面図である。
【
図15】嵌合ユニットが帯板状部材の連結部分を嵌合させるときの様子を示す図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および
図2を参照して、この発明の一実施例である製管機10は、既設管100の内面に沿って螺旋状に巻き回した帯板状部材12の隣り合う側縁部同士を連結することで管体102を形成する。この実施例では、帯板状部材12の隣り合う側縁部同士は、接続部材14を用いて連結される。
【0025】
なお、この発明に係る製管機10を用いた管路更生方法は、鉄筋コンクリート管、合成樹脂管および金属管などの種々の既設管100の更生に利用可能であり、特に、800mm−3000mmの中大口径を有する下水管の更生に適している。
【0026】
先ず、管体102を構成する管更生部材である帯板状部材(ストリップ)12および接続部材(ジョイナ)14の一例について説明する。
【0027】
図3に示すように、帯板状部材12は、管体102の主構成要素となる長尺の部材であって、帯板状の基体20を含む。基体20の内面20aは、管体102の内面を構成する面であり、平滑面となっている。また、基体20の外面20b側には、幅方向に所定間隔で配置されて、長手方向に延びる複数のリブ22が形成される。リブ22は、略T字状の第1リブ22aと基体20の両側縁部に配置される略L字状の第2リブ22bとを含み、後述する充填材(裏込材)に埋め込まれることでアンカ機能を発揮する。
【0028】
また、基体20の両側縁部には、後述する接続部材14の第2嵌合部32と嵌め合わされる第1嵌合部24が形成される。第1嵌合部24は、基体20の内面20a側に向かって開口する略U字状に形成されており、幅方向外側に配置される縦片24aには、幅方向内側および外側に向かって突出する2つの係止爪が形成される。
【0029】
帯板状部材12は、たとえば、硬質塩化ビニル等の合成樹脂の押出成形によって一体成形され、リブ22および第1嵌合部24は、基体20の長手方向の全長に亘って形成される。帯板状部材12の幅は、たとえば250mmであり、その高さは、たとえば17.5mmである。
【0030】
図4に示すように、接続部材14は、帯板状部材12の側縁部同士を連結するための長尺の部材であって、帯板状の基板30を備える。基板30の内面30aは、帯板状部材12の内面20aと共に管体102の内面を構成する。また、基板30の両側縁部には、帯板状部材12の第1嵌合部24と嵌め合わされる第2嵌合部32が形成される。第2嵌合部32は、基板30の外面30bから突出して長手方向に延びる2つの突条32aを含み、各突条32aの先端部には、係止爪が形成される。また、2つの突条32aの間には、止水材34が設けられる。
【0031】
また、基板30の中央部には、外面30bから突出するU字状の溝部36と、溝部36全体を覆うように外面30b同士を連結する波形状のフレキシブル部38とを含む伸縮部が形成される。このような伸縮部は、溝部36の変形に応じて伸縮可能であると共に、溝部36が幅方向に破断(分割)することで、フレキシブル部38の変形に応じた大きな伸縮が可能となる。
【0032】
接続部材14の基板30、第2嵌合部32および溝部36は、たとえば、硬質塩化ビニル等の合成樹脂の押出成形によって一体成形される。また、フレキシブル部38は、たとえば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂などによって形成されて、基板30に固着される。第2嵌合部32、止水材34、溝部36およびフレキシブル部38は、基板30の長手方向の全長に亘って形成される。接続部材14の幅は、たとえば55mmである。
【0033】
図5に示すように、接続部材14を用いて隣り合う帯板状部材12の側縁部同士を連結する際には、帯板状部材12の第1嵌合部24と接続部材14の第2嵌合部32とを嵌め合わせる。すると、第2嵌合部32の各係止爪が第1嵌合部24の各係止爪に係止されて、帯板状部材12に対して接続部材14が抜け止め固定された状態で、帯板状部材12の側縁部同士が接続部材14によって連結される。
次に、
図6−
図9を参照して、製管機10の構成について具体的に説明する。
図6に示すように、製管機10は、筒状に形成される製管機本体50を備える。製管機本体50の下部には、複数の車輪54を有する走行ユニット52が設けられる。走行ユニット52は、製管機本体50の左右両側から斜め下方に突き出すように設けられ、図示しないモータ等の駆動源からの動力によって車輪54を回転させることにより、製管機10を管体102(既設管100)の管軸方向に走行させる。
【0034】
また、製管機本体50には、製管方向の前方に向かって突出するシャフト56が回転可能に設けられる。シャフト56の先端部には、管体102の径方向に延びる棒状の第1アーム58が固定的に設けられる。この第1アーム58の先端部には、嵌合ユニット60が設けられる。また、シャフト56の先端部には、第1アーム58とは反対方向に突出する棒状の第2アーム62が固定的に設けられる。この第2アーム62の先端部には、嵌合ユニット60よりも後方位置に、内接ローラ64が設けられる。駆動源からの動力を受けてシャフト56がその軸周りに回転することによって、第1アーム58および第2アーム62は、管体102の周方向に回転する。つまり、製管機10は、走行ユニット52によって管軸方向に移動しつつ、第1アーム58および第2アーム62を周方向に回転させることによって、嵌合ユニット60および内接ローラ64を螺旋状に移動させることが可能である。
【0035】
嵌合ユニット60は、詳細は後述するように、帯板状部材12の連結部分を内面側および外面側の双方から押圧して、帯板状部材12の第1嵌合部24と接続部材14の第2嵌合部32とを嵌め合わせるためのユニットである。一方、第2アーム62および内接ローラ64は、第1アーム58および嵌合ユニット60をバランス良く安定的に回転させるためのバランサである。また、内接ローラ64は、形成された管体102の連結部を内面側から押圧することで、管体102の形状を整える機能も有する。ただし、第2アーム62および内接ローラ64は、必ずしも設けられる必要はない。
【0036】
図7−
図9に示すように、嵌合ユニット60は、一対の押圧ローラ70、複数の案内ローラ72、およびこれらローラ70,72を回転可能に保持するフレーム74を備える。
【0037】
一対の押圧ローラ70は、管体102の径方向に所定間隔(具体的には、帯板状部材12の厚み分の間隔)で配置される内ローラ70aと外ローラ70bとを含み、帯板状部材12の連結部分を内面側および外面側から挟み込んで押圧する。つまり、一対の押圧ローラ70は、帯板状部材12の隣り合う側縁部と接続部材14とを含む帯板状部材12の連結部分を内面側および外面側の双方から押圧することで、帯板状部材12の第1嵌合部24と接続部材14の第2嵌合部32とを嵌め合わせる嵌合ローラである。各押圧ローラ70の軸方向長さは、接続部材14の幅と略同じ大きさに設定され、たとえば55mmである。また、帯板状部材12の連結部分の外面側を押圧する外ローラ70bは、螺旋状に移動する際に、既設管100の内面上を転動する位置に配設される。 案内ローラ72は、帯板状部材12および接続部材14を一対の押圧ローラ70間に円滑に導くためのガイドであって、接続部材14を案内する第1ローラ72aと、帯板状部材12の側縁部を案内する2つの第2ローラ72b,72cとを含む。第1ローラ72aは、内ローラ70aよりも移動方向前方側に配置され、2つの第2ローラ72b,72cは、外ローラ70bよりも移動方向前方側において直線状に並ぶように配置される。この際、第1ローラ72aとこれに対向する第2ローラ72bとの間隔は、一対の押圧ローラ70間の間隔よりも少し大きくされる。この第1ローラ72aおよび第2ローラ72bは、一対の押圧ローラ70の前に、帯板状部材12の第1嵌合部24と接続部材14の第2嵌合部32とを軽度に嵌め合わせる予備嵌合ローラでもある。各案内ローラ72の軸方向長さは、接続部材14の幅と略同じ大きさに設定され、たとえば55mmである。
【0038】
フレーム74は、一体的に形成される内フレーム76、外フレーム78および連結フレーム80を含む。内フレーム76は、内ローラ70aおよび第1ローラ72aの各軸の両端部を支持し、外フレーム78は、外ローラ70bおよび第2ローラ72b,72cの各軸の両端部を支持する。また、連結フレーム80は、矩形板状に形成され、内フレーム76および外フレーム78の移動方向前方側の端部同士を連結する。この連結フレーム80には、帯板状部材12の隣り合う側縁部を所定間隔で通過させる2つの切欠き82が形成される。また、連結フレーム80には、切欠き82よりも径方向内側に、接続部材14を通過させる開口84が形成される。開口84は、接続部材14の外形に沿う形状を有し、第1ローラ72aと共に、接続部材14を一対の押圧ローラ70間に円滑に導くためのガイドとして機能する。
【0039】
このような嵌合ユニット60は、
図10および
図11に示すように、帯板状部材12の隣り合う側縁部間を螺旋状に製管方向の前方へ移動しながら、帯板状部材12の隣り合う側縁部同士を連結していく。つまり、帯板状部材12の第1嵌合部24と接続部材14の第2嵌合部32とを嵌め合わせていく。この際、帯板状部材12は、切欠き82を通ることで側縁部同士の間隔を調整されつつ、第2ローラ72b,72cを介して一対の押圧ローラ70間に導かれる。一方、接続部材14は、フレーム74の開口84を通ることで位置決めされつつ、第1ローラ72aを介して帯板状部材12に徐々に近づいて、一対の押圧ローラ70間に導かれる。そして、帯板状部材12の第1嵌合部24と接続部材14の第2嵌合部32とは、第1ローラ72aと第2ローラ72bとの間で軽度に嵌合された後、一対の押圧ローラ70によって内面側および外面側から挟み込まれて押圧されることで確実に嵌合される。
【0040】
続いて、
図1および
図2を参照して、上述のような製管機10を用いた管体102の製管方法、および管体102によって既設管100を更生する管路更生方法の一例について説明する。
【0041】
既設管100を更生するときには、先ず、既設管100の更生区間近傍の地上に、帯板状部材12、接続部材14、スペーサ104および製管機10などの必要な部材および装置を適宜用意しておく。帯板状部材12および接続部材14は、それぞれ個別にロール状に巻き取ったものを用意し、更生区間の開始位置および終了位置の地上に設置する。そして、高圧洗浄機などを用いて既設管100内を洗浄した後、既設管100の内面頂部にスペーサ104を設置する。スペーサ104は、既設管100と管体102との間に充填材の注入ホースを導入するための案内通路を形成する。
【0042】
次に、製管機10を用いて既設管100内に管体102を施工する。ここでは先ず、既設管100内に帯板状部材12を引き込みながら、既設管100の内面に沿って帯板状部材12を螺旋状に巻き回して螺旋管106を仮製管していく。この際、帯板状部材12の隣り合う側縁部間には、接続部材14の嵌め込み代に相当する隙間をあけておく。
【0043】
また、この仮製管作業を進めつつ、仮製管した螺旋管106においては、製管機10を用いて開始位置から順に、帯板状部材12の隣り合う側縁部同士を接続部材14で連結していく。具体的には、帯板状部材12の隣り合う側縁部間に製管機10の嵌合ユニット60をセットする(切欠き82に帯板状部材12の側縁部を嵌め込む)と共に、既設管100内に引き込んだ接続部材14の先端部を嵌合ユニット60の開口84に通す。そしてこの状態で、製管機10を前方へ移動させつつ、第1アーム58および第2アーム62を周方向に回転させることによって、嵌合ユニット60および内接ローラ64を螺旋状に移動させる。すると、帯板状部材12の隣り合う側縁部と接続部材14とを含む帯板状部材12の連結部分が、一対の押圧ローラ70によって内面側および外面側の双方から押圧されて、帯板状部材12の第1嵌合部24と接続部材14の第2嵌合部32とが順次嵌め合わされていく。つまり、管体102が順次製管されていく。
【0044】
この際、帯板状部材12の連結部分を一対の押圧ローラ70によって内面側および外面側から挟み込んで押圧するので、既設管100の凹凸部分、接続部分またはスペーサ104の両側部分などの、既設管100またはスペーサ104からの反力を得難い部分においても、帯板状部材12の隣り合う側縁部同士を確実に連結できる。また、管体102の仕上がり寸法を一定にすることができる。さらに、外ローラ70bが既設管100の内面上を転動することで、第1アーム58および一対の押圧ローラ70(嵌合ユニット60)を安定的に回転させることができる。
【0045】
既設管100内に管体102が形成されると、続いて、既設管100の内面と管体102の外面との間に充填材を注入し、既設管100と管体102とが一体化した更生管(複合管)を形成する。その後、片付け作業などを適宜実施することによって、既設管100の更生作業が終了する。
【0046】
以上のように、この実施例によれば、帯板状部材12の連結部分を内面側および外面側から挟み込んで押圧する一対の押圧ローラ70を備えるので、既設管100などからの反力の有無に関係なく、帯板状部材12の第1嵌合部24と接続部材14の第2嵌合部32とを確実に嵌合できる。したがって、帯板状部材12の隣り合う側縁部同士を確実に連結でき、スムーズに製管作業を行うことができる。
【0047】
なお、上述した製管機10、帯板状部材12および接続部材14等の具体的構成ないし形状(嵌合ユニット60、リブ22、嵌合部24,32等)は、単なる一例であり、適宜変更可能である。
【0048】
たとえば、
図12および
図13に示すような帯板状部材12を用いることもできる。この帯板状部材12は、帯板状の基体20と、基体20の外面20b側に長手方向に延びるように形成される複数のリブ22とを備える。リブ22は、略T字状の複数の第1リブ22aと、基体20の両側縁部に配置される略L字状の第2リブ22bとを含む。そして、第1リブ22aは、基体20と既設管100との間に、製管機10の外ローラ70bが通る通路を形成可能な突出高さを有している。この実施例では、第1リブ22aの先端面が、第2リブ22bの先端面よりも、外ローラ70bの外径と略同じ大きさの分だけ既設管100の内面側に突出するように、第1リブ22aの突出高さが設定されている。
【0049】
図12に示すような帯板状部材12を用いることで、製管時において、製管機10が備える一対の押圧ローラ70(延いては嵌合ユニット60)が移動し易くなるので、製管機10による帯板状部材12の側縁部同士の連結をより適切に実行できる。また、既設管100と帯板状部材12とを密着させることも可能となる。
【0050】
また、たとえば、
図14および
図15に示すような帯板状部材12を用いることもできる。この帯板状部材12は、帯板状の基体20と、基体20の外面22b側に長手方向に延びるように形成される複数のリブ22とを備える。リブ22は、略T字状の複数の第1リブ22aと、基体20の両側縁部に配置される略L字状の第2リブ22bとを含む。また、基体20の外面20b側には、剛性の高い材料によって形成される補強部材90が長手方向の略全長に亘って取り付けられる。補強部材90は、帯板状の壁部90aを備え、壁部90aの両側縁部には、基体20側に向かって突出する鉤状部90bが形成される。そして、補強部材90は、基体20と既設管100との間に、製管機10の外ローラ70bが通る通路を形成可能な高さを有している。この実施例では、補強部材90の壁部90aが、第2リブ22bの先端面よりも、外ローラ70bの外径と略同じ大きさの分だけ既設管100の内面側に突出するように、補強部材90の高さが設定されている。
【0051】
図14に示す帯板状部材12においても、
図12に示す帯板状部材12と同様に、製管時に一対の押圧ローラ70が移動し易くなるので、製管機10による帯板状部材12の側縁部同士の連結をより適切に実行できる。また、既設管100と帯板状部材12とを密着させることも可能となる。
【0052】
なお、上述の実施例では、嵌合ユニット60は、案内ローラ70を備えているが、必ずしも案内ローラ70を備える必要はなく、案内ローラ70の数および配置なども、適宜変更である。
【0053】
また、上述の実施例では、伸縮部を備える接続部材14を用いるようにしたが、接続部材14は、必ずしも伸縮部を備える必要はない。また、必ずしも接続部材14を用いて帯板状部材12を連結する必要はなく、帯板状部材12の厚み方向(つまり管体102の径方向)に押圧されることで嵌合可能なものであれば、帯板状部材12の側縁部同士を直接連結する構成とすることもできる。すなわち、一対の押圧ローラ70が押圧する帯板状部材12の連結部分には、接続部材14を含む場合と含まない場合とがある。
【0054】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。