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特開2019-104761直打法によるイミダフェナシンを含有する錠剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-104761(P2019-104761A)
(43)【公開日】2019年6月27日
(54)【発明の名称】直打法によるイミダフェナシンを含有する錠剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4174 20060101AFI20190607BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20190607BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190607BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20190607BHJP
【FI】
   A61K31/4174
   A61P13/10
   A61P43/00 111
   A61K9/20
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-71190(P2019-71190)
(22)【出願日】2019年4月3日
(62)【分割の表示】特願2017-67518(P2017-67518)の分割
【原出願日】2017年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000001395
【氏名又は名称】杏林製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今水 賢
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA37
4C076BB01
4C076CC17
4C076DD41
4C076EE31
4C076EE32H
4C076EE38
4C076EE53H
4C076GG14
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC38
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA35
4C086NA20
4C086ZA81
4C086ZC42
(57)【要約】
【課題】製造工程が簡便な直打法を用いながら、イミダフェナシンの含量均一性が優れた錠剤の製造方法を提供することが、本発明が解決しようとする課題である。
【解決手段】イミダフェナシンの倍散粉末を直打法の製造工程に用いることで、イミダフェナシンの含量均一性が優れた錠剤を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)イミダフェナシンと薬学的に許容される1または2以上の賦形剤とを混合し、イミダフェナシン倍散を製造する工程、
(ii)上記イミダフェナシン倍散と薬学的に許容される1または2以上の添加剤とを混合し、調整混合粉末を製造する工程、および
(iii)上記調整混合粉末を圧縮成型する工程
を含む、イミダフェナシンを含有する錠剤の製造方法。
【請求項2】
イミダフェナシン倍散が10〜1600倍散である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
薬学的に許容される賦形剤が部分アルファー化デンプンおよび/または結晶セルロースである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
薬学的に許容される添加剤が滑沢剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
工程(i)が、以下の(i−1)および(i−2)の工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法
(i−1)イミダフェナシンと薬学的に許容される1または2以上の賦形剤とを混合し、10〜20%イミダフェナシン散を製造する工程
(i−2)必要により、上記10〜20%イミダフェナシン散と薬学的に許容される1または2以上の賦形剤とを混合し、イミダフェナシン10〜1600倍散を製造する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダフェナシンを含有する錠剤の新規製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イミダフェナシンはムスカリンM1受容体及びM3受容体を選択的に阻害する抗コリン薬であり、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁の治療薬として広く使用されている。現在、イミダフェナシンを有効成分とする医薬品としては、フィルムコーティング錠(FC錠)と口腔内崩壊錠(OD錠)が市販されている(非特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、イミダフェナシンを有効成分とするFC錠やその製造方法が開示されている。また、特許文献2〜8には、イミダフェナシンを有効成分とするOD錠やその製造方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1〜8には、イミダフェナシンを含有する錠剤の製造方法として、湿式顆粒圧縮法(湿式法)の例しか開示されておらず、その他の製造方法によりイミダフェナシンを含有する錠剤を製造した報告はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ウリトス錠0.1mg、ウリトスOD錠0.1mg 添付文書、2014年6月改訂(第11版)
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4610834公報
【特許文献2】特許4656672公報
【特許文献3】特許4524502公報
【特許文献4】特開2010−229075公報
【特許文献5】特開2010−229076公報
【特許文献6】特開2011−32183公報
【特許文献7】特開2011−68640公報
【特許文献8】特開2014−172855公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまでに、イミダフェナシンを含有する錠剤の製造に、湿式顆粒圧縮法(湿式法)以外の製造方法が使用できるか否かについてはわかっていなかった。イミダフェナシンは薬理活性が高いため、錠剤中の含量が極めて少なく、例えば、市販されているFC錠およびOD錠に含まれるイミダフェナシンは0.1mgにすぎない。本発明者らは、このような極微量のイミダフェナシンを含有する錠剤を直打法により製造する場合、イミダフェナシンと添加剤とを均一に混合することが難しく、錠剤ごとのイミダフェナシンの含量にばらつきが生じやすいという課題(含量均一性の課題)があることを見出した。そこで、製造工程が簡便な直打法を用いながら、イミダフェナシンの含量均一性が優れた錠剤の製造方法を提供することが、本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、イミダフェナシンの倍散粉末を直打法の製造工程に用いることで、イミダフェナシンの含量均一性が優れた錠剤を製造することができることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1](i)イミダフェナシンと薬学的に許容される1または2以上の賦形剤とを混合し、イミダフェナシン倍散を製造する工程、
(ii)上記イミダフェナシン倍散と薬学的に許容される1または2以上の添加剤とを混合し、調整混合粉末を製造する工程、および
(iii)上記調整混合粉末を圧縮成型する工程
を含む、イミダフェナシンを含有する錠剤の製造方法。
[2]イミダフェナシン倍散が10〜1600倍散である、[1]に記載の製造方法。
[3]薬学的に許容される賦形剤が部分アルファー化デンプンおよび/または結晶セルロースである、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]薬学的に許容される添加剤が滑沢剤である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の製造方法。
[5]工程(i)が、以下の(i−1)および(i−2)の工程を含む、[1]〜[4]のいずれか一つに記載の製造方法
(i−1)イミダフェナシンと薬学的に許容される1または2以上の賦形剤とを混合し、10〜20%イミダフェナシン散を製造する工程
(i−2)必要により、上記10〜20%イミダフェナシン散と薬学的に許容される1または2以上の賦形剤とを混合し、イミダフェナシン10〜1600倍散を製造する工程。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、イミダフェナシンの倍散粉末を直打法の製造工程に用いることで、錠剤中のイミダフェナシンの含量均一性が優れた錠剤を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、イミダフェナシンとは4−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−2,2−ジフェニルブタンアミドを表す。
【0011】
本発明において、錠剤中のイミダフェナシンの含量は0.025〜2mgが好ましく、0.05〜0.25mgが更に好ましく、0.1mgが特に好ましい。
【0012】
本発明の錠剤は、任意の薬学的に許容される添加剤を含むことができる。添加剤は有効成分(イミダフェナシン)以外の成分を表し、医薬品添加物事典[日本医薬品添加剤協会、薬事日報社(2016年)]に記載されているものを適宜使用できる。例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、光沢剤などが挙げられる。
【0013】
本発明において、薬学的に許容される賦形剤としては、乳糖および白糖などの糖類、D−ソルビトールおよびマンニトールなどの糖アルコール類、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類、部分アルファー化デンプンおよびトウモロコシデンプンなどのデンプン類などが挙げられる。本発明においては、結晶セルロースおよび/または部分アルファー化デンプンが好ましく、結晶セルロースと部分アルファー化デンプンの両方を配合する場合、結晶セルロースと部分アルファー化デンプンの配合比率は流動性と成形性の観点から4:1が好ましい。
【0014】
本発明において、薬学的に許容される崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムおよびメチルセルロースなどのセルロース類、部分アルファー化デンプンおよびトウモロコシデンプンなどのデンプン類、クロスポビドンなどが挙げられる。
【0015】
本発明において、薬学的に許容される結合剤としては、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロースおよびメチルセルロースなどのセルロース類、ポビドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール完全けん化物、ポリビニルアルコール部分けん化物、カルボキシビニルポリマー、ポリ塩化ビニルなどのビニル系高分子物質、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(E、RS)、メタクリル酸コポリマー(L、S、LD)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液などのアクリル系高分子物質、ステアリルアルコール、ゼラチン、デキストリン、アラビアゴム、プルラン、マクロゴール、デンプン、などが挙げられる。
【0016】
本発明において、薬学的に許容される滑沢剤としては、ステアリン酸およびその金属塩類、タルク、硬化油、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明においては、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0017】
本発明において、薬学的に許容されるコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどのセルロース類、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(E、RS)、メタクリル酸コポリマー(L、S、LD)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液などのアクリル系高分子物質、ポビドン、ステアリルアルコール、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートなどが挙げられる。本発明においては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0018】
本発明において、薬学的に許容される着色剤としては、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。
【0019】
本発明において、薬学的に許容される光沢剤としては、カルナウバロウなどが挙げられる。
【0020】
本発明は、製造工程中にイミダフェナシン倍散を用いることで、イミダフェナシンの含量均一性が良好な錠剤を製造することができる。本発明のイミダフェナシン倍散は、最終的な錠剤中のイミダフェナシンの含量を考慮して、任意の濃度とすることができる。例えば、イミダフェナシンの含量が低い錠剤を製造する場合はイミダフェナシンの濃度が低いイミダフェナシン倍散とし、イミダフェナシンの含量が高い錠剤を製造する場合はイミダフェナシンの濃度が高いイミダフェナシン倍散とすることが好ましい。本発明においては、10〜1600倍散が好ましい。
【0021】
本発明のイミダフェナシン倍散は、例えば、イミダフェナシンと薬学的に許容される賦形剤とを乳鉢または任意の混合機を用いて混合し製造することができる。本発明においては、任意の混合機を用いて混合することが人為的な誤差の少ないことから好ましく、V型混合機または擂潰機を用いて混合することが更に好ましく、擂潰機を用いて混合することが錠剤中のイミダフェナシンの含量均一性が良好なことから特に好ましい。
【0022】
イミダフェナシンの濃度が低いイミダフェナシン倍散を製造する場合は、イミダフェナシンの濃度が高いイミダフェナシン倍散を製造した後、それを薬学的に許容される賦形剤で段階的に希釈し、イミダフェナシンの濃度が低いイミダフェナシン倍散とすることが含量均一性の確保の点から好ましい。例えば、イミダフェナシンと薬学的に許容される賦形剤とを混合して10〜20%イミダフェナシン散(イミダフェナシン5〜10倍散)を製造した後、それと薬学的に許容される賦形剤とを混合してより濃度が低いイミダフェナシン倍散とする工程を繰り返すことにより、イミダフェナシン10〜1600倍散とすることが好ましい。
【0023】
本発明の調整混合粉末は、例えば、上記の方法により製造したイミダフェナシン倍散と薬学的に許容される添加剤とを乳鉢または任意の混合機を用いて混合することで製造することができる。本発明においては、任意の混合機を用いて混合することが好ましく、V型混合機または擂潰機を用いて混合することが更に好ましく、V型混合機を用いて混合することが特に好ましい。
【0024】
本発明の錠剤は、例えば、上記の方法で製造した調整混合粉末を任意の打錠機を用いて圧縮成型することで製造することができる。
【0025】
本発明の錠剤をフィルムコーティング錠とする場合は、例えば、国際公開WO2001/034147に記載の方法により行うことができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0027】
(実施例1)
イミダフェナシン0.05mg素錠の製造
【0028】
(工程1)10%イミダフェナシン散(イミダフェナシン10倍散)の製造
イミダフェナシン15.0gと部分アルファー化デンプン(スターチ1500)60.0gを、乳棒回転数107min−1、乳鉢回転数7min−1、混合時間20分間の条件下、擂潰機(ラボミルUT‐21)を用いて混合し、20%イミダフェナシン散を得た。これに部分アルファー化デンプン(スターチ1500)75.0gを加え、乳棒回転数107min−1、乳鉢回転数7min−1、混合時間20分間の条件下、擂潰機(ラボミルUT‐21)を用いて混合し、10%イミダフェナシン散を得た(バッチ1)。同様にして同量の10%イミダフェナシン散を得た(バッチ2)。バッチ1とバッチ2を合わせ、乳棒回転数107min−1、乳鉢回転数7min−1、混合時間20分間の条件下、擂潰機(ラボミルUT‐21)を用いて混合し、10%イミダフェナシン散を297.8g得た(定量結果:平均含量97.8%、レンジ1.4%)。
【0029】
(工程2)イミダフェナシン0.05mg素錠の製造
工程1で得られた10%イミダフェナシン散10.20gおよび部分アルファー化デンプン(スターチ1500)50.0gを、回転数31min−1、混合時間20分間の条件下、V型混合機(小型V混15)を用いて混合し、イミダフェナシン60倍散を得た。これに結晶セルロース(アビセルPH−301)39.0gおよび部分アルファー化デンプン(スターチ1500)261.0gを加え、回転数31min−1、混合時間20分間の条件下、V型混合機(小型V混15)を用いて混合し、イミダフェナシン360倍散を得た。これに結晶セルロース(アビセルPH−301)1235.0gを加え、回転数31min−1、混合時間20分間の条件下、V型混合機(小型V混15)を用いて混合し、イミダフェナシン1595.2倍散を得た。これにステアリン酸マグネシウム4.8gを加え、回転数31min−1、混合時間10分間の条件下、V型混合機(小型V混15)で調整混合し、調整混合粉末を1598.2g得た(含量均一性試験結果:平均含量99.7%、判定値1.8%)。得られた調整混合粉末1340.1gを、下杵圧774〜825kgの条件下、小型高速打錠機(HT−AP18−SS−II)を用いて圧縮成型し、イミダフェナシン0.05mg素錠を578.4g(80.02mg/錠)得た。
【0030】
(実施例2)
イミダフェナシン0.05mgFC錠の製造
【0031】
(工程1)コーティング液の調整
1Lのステンレス容器に精製水575gを採取し、これにヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5RW)50gを徐々に加えて攪拌し、分散・溶解させた。
【0032】
(工程2)イミダフェナシン0.05mgFC錠の製造
実施例1で得られたイミダフェナシン0.05mg素錠5000錠(400.2g)に、ハイコーター試験機(HCT−MINI)を用いてコーティング液250.0gをコーティングし、イミダフェナシン0.05mgコーティング錠を415.6g(83.15mg/錠)得た。得られたイミダフェナシン0.05mgコーティング錠4998錠に、カルナウバロウ(ポリシングワックス−103)10.02mgを添加、混合し、イミダフェナシン0.05mgFC錠を415.7g(83.15mg/錠)得た。
【0033】
実施例1で得られた素錠および実施例2で得られたFC錠の処方(各成分の量の単位:mg/錠)と物性を表1に示す。なお、表中、HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロースを表す。
【0034】
【表1】
【0035】
得られた錠剤は、含量均一性、硬度、摩損度のいずれも良好な物性を示した。
【0036】
(実施例3)
イミダフェナシン0.25mg素錠の製造
【0037】
実施例1の工程1で得られた10%イミダフェナシン散30.70gおよび部分アルファー化デンプン(スターチ1500)180.0gを、回転数31min−1、混合時間20分間の条件下、V型混合機(小型V混15)を用いて混合し、イミダフェナシン70倍散を得た。これに結晶セルロース(アビセルPH−301)1108.7gおよび部分アルファー化デンプン(スターチ1500)69.0gを加え、回転数31min−1、混合時間20分間の条件下、V型混合機(小型V混15)を用いて混合し、イミダフェナシン462.8倍散を得た。これにステアリン酸マグネシウム3.6gを加え、回転数31min−1、混合時間10分間の条件下、V型混合機(小型V混15)で調整混合し、調整混合粉末を1390.5g得た(含量均一性試験結果:平均含量100.4%、判定値1.9%)。
得られた調整混合粉末1142.6gを、下杵圧510〜531kgの条件下、小型高速打錠機(HT−AP18−SS−II)を用いて圧縮成型し、イミダフェナシン0.25mg素錠を518.7g(115.87mg/錠)得た。
【0038】
(実施例4)
イミダフェナシン0.25mgFC錠の製造
【0039】
実施例3で得られたイミダフェナシン0.25mg素錠3600錠(417.2g)に、ハイコーター試験機(HCT−MINI)を用いて実施例2の工程1で得られたコーティング液180.0gをコーティングし、イミダフェナシン0.25mgコーティング錠を424.6g(117.9mg/錠)得た。
得られたイミダフェナシン0.25mgコーティング錠3601錠に、カルナウバロウ(ポリシングワックス−103)7.20mgを添加、混合し、イミダフェナシン0.25mgFC錠を424.75g(117.9mg/錠)得た。
【0040】
実施例3で得られた素錠および実施例4で得られたFC錠の処方(各成分の量の単位:mg/錠)と物性を表2に示す。なお、表中、HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロースを表す。
【0041】
【表2】
【0042】
得られた錠剤は、含量均一性、硬度、摩損度のいずれも良好な物性を示した。
【0043】
(実施例5)
イミダフェナシン2mg素錠の製造
【0044】
(工程1)10%イミダフェナシン散(イミダフェナシン10倍散)の製造
イミダフェナシン12.00gと部分アルファー化デンプン(スターチ1500)48.00gを、乳棒回転数106min−1、乳鉢回転数7min−1、混合時間20分間の条件下、擂潰機(ラボミルUT‐21)を用いて混合し、20%イミダフェナシン散を得た。これに部分アルファー化デンプン(スターチ1500)60.00gを加え、乳棒回転数106min−1、乳鉢回転数7min−1、混合時間20分間の条件下、擂潰機(ラボミルUT‐21)を用いて混合し、10%イミダフェナシン散を得た(バッチ1)。同様にして同量の10%イミダフェナシン散を得た(バッチ2)。バッチ1とバッチ2を合わせ、乳棒回転数106min−1、乳鉢回転数7min−1、混合時間20分間の条件下、擂潰機(ラボミルUT‐21)を用いて混合し、10%イミダフェナシン散を238.50g得た(定量結果:平均含量98.9%、レンジ2.2%)。
【0045】
(工程2)イミダフェナシン2mg素錠の製造
工程1で得られた10%イミダフェナシン散202.2g、結晶セルロース(アビセルPH−301)1077.8gおよび部分アルファー化デンプン(スターチ1500)66.0gを、回転数31min−1、混合時間20分間の条件下、V型混合機(小型V混15)を用いて混合した。これにステアリン酸マグネシウム4.00gを加え、回転数31min−1、混合時間20分間の条件下、V型混合機(小型V混15)で調整混合し、調整混合粉末を1349.0g得た(含量均一性試験結果:平均含量100.3%、判定値1.0%)。得られた調整混合粉末1045.0gを、下杵圧538〜569kgの条件下、小型高速打錠機(HT−AP18−SS−II)を用いて圧縮成型し、イミダフェナシン2mg素錠を664.95g(134.90mg/錠)得た。
【0046】
(実施例6)
イミダフェナシン2mgFC錠の製造
【0047】
実施例5で得られたイミダフェナシン2mg素錠3000錠(404.70g)に、ハイコーター試験機(HCT−MINI)を用いて実施例2の工程1で得られたコーティング液187.50gをコーティングし、イミダフェナシン2mgコーティング錠を416.05g(138.75mg/錠)得た。得られたイミダフェナシン2mgコーティング錠2998錠に、カルナウバロウ(ポリシングワックス−103)6.02mgを添加、混合し、イミダフェナシン2mgFC錠を416.00g(138.75mg/錠)得た。
【0048】
実施例5で得られた素錠および実施例6で得られたFC錠の処方(各成分の量の単位:mg/錠)と物性を表3に示す。なお、表中、HPMCはヒドロキシプロピルメチルセルロースを表す。
【0049】
【表3】
【0050】
得られた錠剤は、含量均一性、硬度、摩損度のいずれも良好な物性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、イミダフェナシンの倍散粉末を直打法の製造工程に用いることで、イミダフェナシンの含量均一性が優れた錠剤を製造することができる。
【手続補正書】
【提出日】2019年5月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i−1)イミダフェナシンと薬学的に許容される1または2以上の賦形剤とを混合し、10〜20%イミダフェナシン散を製造する工程、
(i−2上記10〜20%イミダフェナシンと薬学的に許容される1または2以上の賦形剤とを混合し、イミダフェナシン倍散を製造する工程、
(ii)上記イミダフェナシン倍散と薬学的に許容される1または2以上の添加剤とを混合し、調整混合粉末を製造する工程、および
(iii)上記調整混合粉末を圧縮成型する工程
を含む、イミダフェナシンを0.05〜0.25mg含有する錠剤の製造方法。
【請求項2】
イミダフェナシン倍散が10〜1600倍散である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
薬学的に許容される賦形剤がデンプン類および/またはセルロース類である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
薬学的に許容される添加剤が滑沢剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。