【解決手段】空中像表示装置2は、表示面28を有する表示ユニット12と、像形成面32と、像形成面32に沿って互いに直交して配置された第1の反射面44a及び第2の反射面44bとを有し、画像を表示領域30に結像させる結像光学パネル14と、結像光学パネル14よりも表示ユニット12側に配置され、結像光学パネル14に入射する光の入射角を制限するためのルーバーフィルム16とを備える。第1の反射面44a及び第2の反射面44bの各々は、表示面28及び像形成面32の各垂線34,50を含む正中面52に対して30°〜60°傾斜して配置されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の空中像表示装置では、結像光学パネルからの光のうち空中像の形成に寄与しない不要光によって、実像である空中像とは別に、いわゆるゴーストが形成される。そのため、空中像の視認性が低下するという課題が生じる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、ゴーストが形成されるのを抑制することにより、空中像の視認性を高めることができる空中像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る空中像表示装置は、画像を表示する表示面を有する表示部と、像形成面と、前記像形成面に沿って互いに直交して配置された第1の反射面及び第2の反射面と、を有し、前記画像を前記像形成面に対して前記表示面と対称な表示領域に結像させる結像部と、前記結像部よりも前記表示部側に配置され、前記結像部に入射する光の入射角を制限するための第1の制限部と、を備え、前記第1の反射面及び前記第2の反射面の各々は、前記表示面及び前記像形成面の各々の垂線を含む正中面に対して30°〜60°傾斜して配置されている。
【0007】
本態様によれば、第1の制限部は、結像部よりも表示部側に配置され、結像部に入射する光の入射角を制限する。これにより、ゴーストの原因となる光を第1の制限部で除去することができ、空中像の視野角内においてゴーストが形成されるのを抑制することができる。その結果、空中像の視認性を高めることができる。また、第1の反射面及び第2の反射面の各々は、正中面に対して30°〜60°傾斜して配置されているので、空中像とゴーストとを効率良く分離することができる。
【0008】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記第1の反射面及び前記第2の反射面の各々は、前記正中面に対して45°傾斜して配置されているように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、空中像とゴーストとをより効率良く分離することができる。
【0010】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記第1の制限部は、第1の方向に沿って長尺状に延び、前記第1の方向に対して直交する第2の方向に間隔を置いて配置された複数の遮光部と、前記複数の遮光部のうち隣接する一対の遮光部の間にそれぞれ配置された複数の透光部と、を有するように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、第1の制限部を、いわゆるルーバー構造で構成することができる。
【0012】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記第1の方向は、前記正中面に対して平行な方向であり、前記第2の方向は、前記正中面に対して垂直な方向であるように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、正中面に対して垂直な方向において、結像部に入射する光の入射角を制限することができる。
【0014】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記第1の制限部は、前記結像部の前記表示部側の面を覆う位置に配置されているように構成してもよい。
【0015】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記第1の制限部は、前記表示部の前記表示面を覆う位置に配置されているように構成してもよい。
【0016】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記表示部は、前面に前記表示面が形成された表示パネルと、前記表示パネルの背面に光を照射するバックライトと、を有し、前記第1の制限部は、前記バックライトに配置されているように構成してもよい。
【0017】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記空中像表示装置は、さらに、前記結像部よりも前記表示部と反対側に配置され、前記結像部から出射した光の出射角を制限する第2の制限部を備えるように構成してもよい。
【0018】
本態様によれば、空中像の視野角外においてゴーストが形成されるのを抑制することができる。
【0019】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記空中像表示装置は、さらに、前記表示部及び前記結像部を収容する筐体を備え、前記結像部の前記像形成面は、前記筐体の側面に沿って配置されているように構成してもよい。
【0020】
本態様によれば、結像部は外光を真正面から受けなくなるため、外光が結像部に映り込むのを抑制することができる。また、空気中に浮遊している塵埃等の異物は、結像部に沿って落下するので、異物が結像部に付着するのを抑制することができる。
【0021】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記空中像表示装置は、さらに、前記結像部を前記筐体の前記側面に対して傾動させる調節機構を備えるように構成してもよい。
【0022】
本態様によれば、結像部を筐体の側面に対して傾動させることにより、空中像表示装置の斜め上方からの外光を真正面から受けなくなるため、外光が結像部に映り込むのを抑制することができる。また、結像部を筐体の側面に対して傾動させることにより、空中像の位置を調節することができる。
【0023】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記調節機構は、前記像形成面の前記筐体の前記側面に対する角度を0°〜45°の範囲で調節するように構成してもよい。
【0024】
本態様によれば、筐体の内部における結像部の可動範囲を小さく抑えることができるので、筐体が大型化するのを抑制することができる。
【0025】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記空中像表示装置は、さらに、前記筐体の前記側面から前方に突出した一対の側壁部を備えるように構成してもよい。
【0026】
本態様によれば、一対の側壁部により、横方向からの外光が結像部に映り込むのを抑制することができる。
【0027】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記一対の側壁部の各々の上端部は、前記画像が前記表示領域に結像された空中像に対して平行な位置にあるように構成してもよい。
【0028】
本態様によれば、ユーザは、一対の側壁部の各々の上端部の稜線を目印として、空中像の位置を容易に捉えることができる。
【0029】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記空中像表示装置は、さらに、前記画像が前記表示領域に結像された空中像の全周の少なくとも一部を囲む枠部を備えるように構成してもよい。
【0030】
本態様によれば、ユーザは、枠部を目印として、空中像の位置を容易に捉えることができる。
【0031】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記空中像表示装置は、さらに、前記枠部の外部に配置され、前記表示領域を含む検出領域に光を出射する光源と、前記検出領域に存在する物体で反射した光を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づいて、前記検出領域における前記物体の位置を判定する制御部と、を備え、前記枠部は、前記光源からの光を前記検出領域に導くための切り欠き部を有するように構成してもよい。
【0032】
本態様によれば、空間像表示装置を仮想的なユーザインターフェースであるVUI(Virtual User Interface)として用いることができる。また、光源からの光を、枠部の切り欠き部を通して検出領域に導くことができる。
【0033】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記空中像表示装置は、さらに、前記表示領域を含む第1の検出領域に光を出射する第1の光源と、前記第1の検出領域に存在する物体で反射した光を検出する第1のセンサと、前記第1のセンサの検出結果に基づいて、前記第1の検出領域における前記物体の位置を判定する制御部と、を備えるように構成してもよい。
【0034】
本態様によれば、空間像表示装置をVUIとして用いることができる。
【0035】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記空中像表示装置は、さらに、前記第1の検出領域に対向する位置に配置された第2の検出領域に光を出射する第2の光源と、前記第2の検出領域に存在する前記物体で反射した光を検出する第2のセンサと、を備え、前記制御部は、さらに、前記第2のセンサの検出結果に基づいて、前記物体の押し込み操作を判定するように構成してもよい。
【0036】
本態様によれば、VUIにおいていわゆるホバー機能を実現することができる。
【0037】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記結像部は、2面コーナーリフレクタアレイであり、前記結像部は、第1の主面及び前記第1の主面と反対側に配置された第2の主面を有し、透光性を有するベース部と、前記ベース部の前記第1の主面に並んで配置され、前記第1の反射面及び前記第2の反射面が形成された複数の2面コーナーリフレクタと、前記ベース部の前記第2の主面のうち前記複数の2面コーナーリフレクタにそれぞれ対応する複数の領域以外の領域を覆う遮光層と、を有するように構成してもよい。
【0038】
本態様によれば、ゴーストの原因となる不要光の発生を抑制することができる。
【0039】
例えば、本発明の一態様に係る空中像表示装置において、前記結像部は、第1の積層方向に積層された複数の第1の透光プレートを有する第1の光制御パネルと、前記第1の積層方向に対して垂直な第2の積層方向に積層された複数の第2の透光プレートを有する第2の光制御パネルと、を有し、前記複数の第1の透光プレートの各々は、前記第1の反射面が形成された第1の主面と、前記第1の主面と反対側に配置された第2の主面と、前記第2の主面に形成された第1の遮光層と、を有し、前記複数の第2の透光プレートの各々は、前記第2の反射面が形成された第3の主面と、前記第3の主面と反対側に配置された第4の主面と、前記第4の主面に形成された第2の遮光層と、を有するように構成してもよい。
【0040】
本態様によれば、ゴーストの原因となる不要光の発生を抑制することができる。
【0041】
なお、本発明は、空中像表示装置に含まれる特徴的な処理部としてコンピュータを機能させるためのプログラム又は空中像表示方法に含まれる特徴的なステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなプログラムを、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)等のコンピュータ読取可能な非一時的な記録媒体やインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
【発明の効果】
【0042】
本発明の一態様に係る空中像表示装置によれば、ゴーストが形成されるのを抑制することにより、空中像の視認性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0045】
(実施の形態1)
[1−1.空中像表示装置の全体構成]
まず、
図1及び
図2を参照しながら、実施の形態1に係る空中像表示装置2の全体構成について説明する。
図1は、空中像表示装置2の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1のII−II線による空中像表示装置2の断面図である。
【0046】
図1及び
図2に示すように、空中像表示装置2は、空中像4を表示する空中ディスプレイとしての機能を有している。空中像表示装置2は、筐体6と、一対の側壁部8及び10と、表示ユニット12(表示部の一例)と、結像光学パネル14(結像部の一例)と、ルーバーフィルム16(第1の制限部の一例)とを備えている。
【0047】
筐体6は、例えば中空の直方体状に形成されている。筐体6の正面側(ユーザ18側)における側面20には、矩形状の開口部22が形成されている。なお、筐体6の側面20は、鉛直方向(Z軸方向)に沿って延びている。
【0048】
一対の側壁部8及び10はそれぞれ、筐体6の開口部22に配置された結像光学パネル14を左右両側から仕切るように、筐体6の側面20の左右の両端部から前方に突出している。一対の側壁部8及び10により、横方向からの外光が結像光学パネル14に映り込むのを抑制することができる。また、
図2に示すように、一対の側壁部8及び10の各々の上端部は、水平方向(Y軸方向)に対して傾斜しており、空中像4に対して平行に延びている。これにより、ユーザ18は、一対の側壁部8及び10の各々の上端部の稜線を目印として、空中像4の位置を容易に捉えることができる。なお、一対の側壁部8及び10の各々の上端部は、空中像4の高さ位置(Z軸方向における位置)と同じ高さ位置において、水平方向に延びていてもよい。また、横方向からの外光が発生しない環境下では、一対の側壁部8及び10を省略してもよい。
【0049】
なお、本明細書において、平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行、例えば、完全な平行に対して数%程度の差異を含むことも意味する。同様に、垂直とは、完全に垂直であることを意味するだけでなく、実質的に垂直、例えば、完全な垂直に対して数%程度の差異を含むことも意味する。
【0050】
表示ユニット12は、空中像4の元となる画像を表示するためのユニットであり、筐体6の内部に配置されている。
図2に示すように、表示ユニット12は、表示パネル24と、バックライト26とを有している。表示パネル24は、例えば液晶ディスプレイパネルである。表示パネル24の前面には、画像を表示するための表示面28が形成されている。表示パネル24の表示面28は、鉛直方向に対して傾斜して配置されている(例えば45°)。バックライト26は、表示パネル24の背面(表示面28と反対側の面)に光を照射する。
【0051】
結像光学パネル14は、表示パネル24の表示面28に表示された画像を、空中の表示領域30に空中像4として結像させる光学デバイスである。結像光学パネル14は、例えば透光性を有する樹脂材料で形成された平板状のプレートであり、筐体6の開口部22に配置されている。結像光学パネル14は、像形成面32を有している。
図2において一点鎖線で示すように、像形成面32は、結像光学パネル14の厚み方向(Y軸方向)における中央部を通る仮想的な平面であって、結像光学パネル14の入射面14a及び出射面14bに対して平行な平面である。像形成面32は、筐体6の側面20に沿って鉛直方向に配置されている。これにより、
図2に示すように、結像光学パネル14は、例えば室内の天井等に設置された照明器具60からの外光を真正面から受けなくなるので、外光が結像光学パネル14に映り込むのを抑制することができる。また、空気中に浮遊している塵埃等の異物62は、結像光学パネル14に沿って落下するので、異物62が結像光学パネル14に付着するのを抑制することができる。
【0052】
また、像形成面32は、表示パネル24の表示面28に対して傾斜するように配置されている(例えば45°)。結像光学パネル14の入射面14aは筐体6の内部を向くように配置され、出射面14bは筐体6の外部を向くように配置されている。結像光学パネル14の具体的な構成については、後述する。
【0053】
なお、
図2に示すように、像形成面32と表示面28との距離Lは、例えば30mm〜200mmが好ましい。距離Lが30mmよりも短い場合には、空中像4が筐体6の側面20に近付き過ぎるため、空中像4の浮遊感が低下する。一方、距離Lが200mmよりも長い場合には、空中像4の分解能が低下する。また、表示面28の垂線34と像形成面32とのなす角度Tは、例えば30°〜60°が好ましい。角度Tが30°よりも小さい場合には、空中像4の視野角が狭くなり過ぎる。一方、角度Tが60°よりも大きい場合には、空中像4とゴースト36(後述する)との分離が悪くなる。
【0054】
ルーバーフィルム16は、結像光学パネル14の入射面14aに入射する光の入射角を制限するための光学フィルムである。ルーバーフィルム16は、結像光学パネル14よりも表示ユニット12側に配置されている。具体的には、ルーバーフィルム16は、結像光学パネル14の入射面14a、すなわち結像光学パネル14の表示ユニット12側の面を覆う位置に配置されている。ルーバーフィルム16の具体的な構成については、後述する。
【0055】
上述した空中像表示装置2では、結像光学パネル14の像形成面32に対して表示パネル24の表示面28と面対称な空中の表示領域30に、表示パネル24の表示面28に表示された画像の実像である空中像4が形成される。空中像4は、平面視で矩形状であり、鉛直方向に対して傾斜して表示されている(例えば45°)。なお、表示面28に表示された画像と空中像4とは、結像光学パネル14を対称軸として1:1の関係にある。すなわち、像形成面32から表示面28上の画像までの距離と、像形成面32から表示領域30上の空中像4までの距離とは等しい。
【0056】
[1−2.結像光学パネルの構成]
次に、
図3〜
図5を参照しながら、実施の形態1に係る結像光学パネル14の構成について説明する。
図3は、結像光学パネル14の出射面14b側を示す図である。
図4は、結像光学パネル14の入射面14a側の一部を切り出して示す断面斜視図である。
図5は、結像光学パネル14の出射面14b側の一部を切り出して示す断面斜視図である。
【0057】
図3〜
図5に示すように、結像光学パネル14は、2面コーナーリフレクタアレイである。結像光学パネル14は、ベース部38と、複数の2面コーナーリフレクタ40と、遮光層42とを有している。
【0058】
ベース部38は、平板状に形成されている。ベース部38は、第1の主面38aと、第1の主面38aと反対側に配置された第2の主面38bとを有している。ベース部38の第2の主面38bは、結像光学パネル14の出射面14bとして機能する。
【0059】
図4の(a)に示すように、複数の2面コーナーリフレクタ40は、ベース部38の第1の主面38aにアレイ状に並んで配置されている。複数の2面コーナーリフレクタ40の各々は、直方体状に形成された微小ミラーである。2面コーナーリフレクタ40の一辺の大きさは、例えば0.1mm〜1mmである。
図4の(b)に示すように、複数の2面コーナーリフレクタ40の各々の隣接する2つの側面40a及び40bにはそれぞれ、第1の反射面44a及び第2の反射面44bが形成されている。第1の反射面44a及び第2の反射面44bは、像形成面32に沿って互いに直交して配置されている。複数の2面コーナーリフレクタ40の各々の天面40cは、結像光学パネル14の入射面14aとして機能する。なお、
図3では、複数の2面コーナーリフレクタ40の各々の第1の反射面44aと、複数の2面コーナーリフレクタ40の各々の第2の反射面44bとを、網目状にクロスした複数の破線で表現してある。
【0060】
また、
図4の(b)において矢印46で示すように、2面コーナーリフレクタ40の天面40c(結像光学パネル14の入射面14a)に入射した光(表示面28からの画像を表す光)のうち、第1の反射面44a及び第2の反射面44bでそれぞれ1回ずつ計2回反射(全反射)した光は、2面コーナーリフレクタ40の底面40d(結像光学パネル14の出射面14b)から出射して、空中像4の形成に寄与する。一方、
図4の(b)において矢印48で示すように、2面コーナーリフレクタ40の天面40cに入射した光のうち、第1の反射面44a及び第2の反射面44bのいずれか一方のみで計1回反射した光は、2面コーナーリフレクタ40の底面40dから出射して、空中像4の形成に寄与しない不要光となる。仮に、後述するルーバーフィルム16が存在しない場合、
図1に示すように、この不要光は、実像である空中像4とは別にゴースト36を形成する。ゴースト36は、空中像4の視野角内において、例えば空中像4に対して左右対称な位置に形成され、ユーザ18によって視認される。具体的には、第1の反射面44aのみで計1回反射した光により形成される左側のゴースト36と、第2の反射面44bのみで計1回反射した光により形成される右側のゴースト36とが、空中像4に対して左右対称な位置に形成される。
【0061】
また、
図3に示すように、第1の反射面44a及び第2の反射面44bの各々は、表示面28の垂線34及び像形成面32の垂線50を含む正中面52に対して、角度Rだけ傾斜して配置されている。
図2において二点鎖線で示すように、正中面52は、YZ平面に平行な仮想的な平面である。角度Rは、30°〜60°が好ましく、45°がより好ましい。これにより、結像光学パネル14の入射面14aに入射した光のうち、空中像4を形成する光の入射角と、ゴースト36を形成する光の入射角とを効率良く分離することができる。なお、本実施の形態では、表示面28及び像形成面32の各々が平面である場合について説明したが、表示面28及び像形成面32の各々が曲面である場合には、正中面52は、表示面28の法線及び像形成面32の法線を含む平面となる。
【0062】
図5に示すように、遮光層42は、例えば遮光性を有する材料で形成されており、ベース部38の第2の主面38bのうち複数の2面コーナーリフレクタ40の各底面40dにそれぞれ対応する複数の領域以外の領域を覆っている。すなわち、遮光層42には、複数の2面コーナーリフレクタ40の各々の第1の反射面44a及び第2の反射面44bでそれぞれ1回ずつ計2回反射した光のみを通過させるための矩形状の開口部54が複数形成されている。
【0063】
これにより、複数の2面コーナーリフレクタ40の各々の第1の反射面44a及び第2の反射面44bのいずれか一方のみで計1回反射した光は、遮光層42によって遮光され、結像光学パネル14の出射面14bから出射しない。その結果、上述した不要光の発生を抑制することができる。また、遮光層42を形成した分だけ、結像光学パネル14の出射面14bのうち外光が反射する領域の面積が減少するので、ユーザ18側から見た外光の映り込みを抑制することができる。
【0064】
[1−3.ルーバーフィルムの構成]
次に、
図6及び
図7を参照しながら、実施の形態1に係るルーバーフィルム16の構成について説明する。
図6は、結像光学パネル14の入射面14a側を示す図である。
図7は、
図6のVII−VII線による、ルーバーフィルム16の断面図である。
【0065】
図7に示すように、ルーバーフィルム16は、ルーバー構造を有している。具体的には、ルーバーフィルム16は、複数の遮光部56と、複数の透光部58とを有している。複数の遮光部56は、正中面52に対して平行なZ軸方向(第1の方向の一例)に沿って長尺状に延び、且つ、正中面52に対して垂直なX軸方向(第2の方向の一例)に間隔を置いて配置されている。複数の遮光部56の各々は、遮光性を有する材料で形成されている。また、複数の透光部58は、複数の遮光部56のうち隣接する一対の遮光部56の間にそれぞれ配置されている。複数の透光部58の各々は、透光性を有する材料で形成されている。なお、
図6では、複数の遮光部56を、平行に配置された複数の実線で表現してある。
【0066】
図7に示すように、ルーバーフィルム16は、正中面52に対して垂直なX軸方向において、結像光学パネル14の入射面14aに入射する光の入射角を制限角θ以下に制限する。ここで、複数の遮光部56の配置間隔をp、複数の遮光部56の各々の高さをhとしたとき、制限角θは、tanθ=p/hの関係式を満たす。すなわち、制限角θが所望の角度となるように、配置間隔p及び高さhを適宜設定すればよい。制限角θは、例えば30°である。
【0067】
図7に示すように、ルーバーフィルム16に入射した光のうち、入射角が制限角θ以下である光は、透光部58を透過して結像光学パネル14の入射面14aに入射する。入射面14aに入射した光は、複数の2面コーナーリフレクタ40の各々の第1の反射面44a及び第2の反射面44bでそれぞれ1回ずつ計2回反射した後に、結像光学パネル14の出射面14bから出射して、空中像4を形成する。
【0068】
一方、ルーバーフィルム16に入射した光のうち、入射角が制限角θよりも大きい光は、遮光部56で遮光されるため、結像光学パネル14の入射面14aに入射しない。仮にルーバーフィルム16が存在しない場合には、入射角が制限角θよりも大きい光は、複数の2面コーナーリフレクタ40の各々の第1の反射面44a及び第2の反射面44bのいずれか一方のみで計1回反射した後に、結像光学パネル14の出射面14bから出射して不要光となり、ゴースト36を形成する。本実施の形態では、ルーバーフィルム16に入射した光のうち、入射角が制限角θよりも大きい光をルーバーフィルム16で除去するので、ゴースト36の原因となる不要光の発生を抑制することができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、複数の遮光部56を正中面52に対して垂直なX軸方向に間隔を置いて配置したが、これに限定されず、X軸方向に対して傾斜した方向に間隔を置いて配置してもよい。
【0070】
[1−4.効果]
次に、
図8及び
図9を参照しながら、上述した空中像表示装置2により得られる効果について説明する。
【0071】
図8は、結像光学パネル14の入射面14aに入射する光の入射角の分布を示すシミュレーションマップである。
図8の(a)は、実像である空中像4を形成する光の入射角の分布を示すシミュレーションマップであり、
図8の(b)は、ゴースト36を形成する光の入射角の分布を示すシミュレーションマップである。なお、上述したように、空中像4に対して左側のゴースト36と右側のゴースト36とが形成されるが、説明の都合上、
図8の(b)では、空中像4に対して右側のゴースト36を形成する光の入射角の分布を省略してある。
【0072】
図9は、結像光学パネル14の第1の反射面44aの正中面52に対する角度Rを変更した場合における、ゴースト36を形成する光の入射角の分布を示すシミュレーションマップである。
図9の(a)〜(d)はそれぞれ、角度Rが20°、30°、45°及び60°である場合における、ゴースト36を形成する光の入射角の分布を示すシミュレーションマップである。なお、上述したように、空中像4に対して左側のゴースト36と右側のゴースト36とが形成されるが、説明の都合上、
図9の(c)及び(d)では、空中像4に対して右側のゴースト36を形成する光の入射角の分布を省略してある。
【0073】
図8及び
図9に示すシミュレーションマップでは、
図2に示す構成の空中像表示装置2(ルーバーフィルム16を除く)において、像形成面32と表示面28との距離Lを70mm、表示面28の垂線34と像形成面32とのなす角度Tを45°、結像光学パネル14の大きさを120mm×120mmとした。また、
図8に示すシミュレーションマップでは、結像光学パネル14の第1の反射面44aの正中面52に対する角度Rを45°とした。
【0074】
図8の(a)が示すように、空中像4を形成する光は、結像光学パネル14の入射面14aに入射する光のうち、入射角が0°〜10°の光であった。一方、
図8の(b)が示すように、ゴースト36を形成する光は、結像光学パネル14の入射面14aに入射する光のうち、入射角が40°〜50°の光であった。
【0075】
したがって、本実施の形態では、上述したルーバーフィルム16によって、結像光学パネル14の入射面14aに入射する光の入射角を例えば30°以下に制限することにより、ゴースト36の原因となる、入射角が30°よりも大きい光をルーバーフィルム16で除去することができる。その結果、ゴースト36が形成されるのを抑制することができ、空中像4の視認性を高めることができる。
【0076】
さらに、
図9の(a)が示すように、角度Rが20°である場合には、結像光学パネル14の入射面14aに入射する光のうち、ゴースト36を形成する光の入射角の分布は20°〜40°となり、空中像4を形成する光の入射角の分布(0°〜10°)とゴースト36を形成する光との分離が悪くなった。一方、
図9の(b)〜(d)が示すように、角度Rが30°、45°及び60°である場合には、結像光学パネル14の入射面14aに入射する光のうち、ゴースト36を形成する光の入射角の分布は30°以上となり、空中像4を形成する光の入射角の分布(0°〜10°)とゴースト36を形成する光との分離が改善された。
【0077】
したがって、本実施の形態では、結像光学パネル14の第1の反射面44aの正中面52に対する角度Rを30°〜60°にすることにより、結像光学パネル14の入射面14aに入射した光のうち、空中像4を形成する光の入射角と、ゴースト36を形成する光の入射角とを効率良く分離することができる。その結果、空中像4とゴースト36とを効率良く分離することができる。
【0078】
なお、第1の反射面44aの正中面52に対する角度Rが60°よりも大きくなると、第2の反射面44bの正中面52に対する角度R’(図示せず)は30°よりも小さくなる。このとき、空中像4に対して左側のゴースト36の分離は改善されるが、空中像4に対して右側のゴースト36の分離は悪くなる。空中像4に対して左側のゴースト36及び右側のゴースト36の分離をともに改善するためには、第1の反射面44aの正中面52に対する角度Rと、第2の反射面44bの正中面52に対する角度R’とがともに30°〜60°であるのが好ましい。
【0079】
(実施の形態2)
次に、
図10〜
図13を参照しながら、実施の形態2に係る空中像表示装置2Aについて説明する。
図10は、空中像表示装置2Aの外観を示す斜視図である。
図11は、
図10のXI−XI線による空中像表示装置2Aの断面図である。
図12は、結像光学パネル14Aの出射面14b側を示す図である。
図13は、空中像表示装置2Aにより表示される空中像4の一例である。なお、以下の各実施の形態では、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0080】
図10及び
図11に示すように、空中像表示装置2Aでは、筐体6Aの側面20Aの開口部22には、保護プレート64が配置されている。保護プレート64は、透光性を有するガラス又はアクリル等の樹脂で形成されている。
【0081】
また、結像光学パネル14Aの上端部は、筐体6Aの側面20Aの内面にヒンジ66(調節機構の一例)を介して回動可能に支持されている。ヒンジ66は、筐体6Aの側面20Aの内面において、開口部22の上方に配置されている。これにより、結像光学パネル14Aを筐体6Aの側面20Aに対して表示ユニット12側に傾動させることができ、像形成面32の筐体6Aの側面20Aに対する角度φを調節することができる。角度φは、0°〜45°の範囲が好ましく、5°〜35°の範囲がより好ましい。角度φが0°である際には、結像光学パネル14Aの像形成面32は、筐体6Aの側面20Aに沿って鉛直方向に配置される。
【0082】
結像光学パネル14Aを筐体6Aの側面20Aに対して傾動させることにより、空中像表示装置2Aの斜め上方に設置された照明器具60からの外光を真正面から受けなくなる。この構成により、外光が結像光学パネル14Aに映り込むのを抑制することができる。また、結像光学パネル14Aを筐体6Aの側面20Aに対して傾動させることにより、空中像4の位置を調節することができる。特に、角度φを5°〜35°の範囲にすることにより、ユーザ18は、屈むことなく、立ったままの姿勢で空中像4を上から見下ろすことができる。
【0083】
また、
図11及び
図12に示すように、空中像表示装置2Aでは、ルーバーフィルム16Aは、表示パネル24の表示面28を覆う位置に配置されている。ルーバーフィルム16Aの構成は、上記実施の形態1のルーバーフィルム16の構成と同一である。このような配置であっても、上記実施の形態1と同様に、ルーバーフィルム16Aによって、正中面52(
図2参照)に対して垂直なX軸方向において、結像光学パネル14Aの入射面14aに入射する光の入射角を制限角θ(
図7参照)以下に制限することができる。
【0084】
また、ルーバーフィルム16Aを表示パネル24の表示面28に密着させることにより、表示面28からの光がルーバーフィルム16Aを透過する際の光散乱による画像の画質の低下を抑制することができる。さらに、表示パネル24の面積は結像光学パネル14Aの面積よりも小さいため、上記実施の形態1のルーバーフィルム16に比べて、ルーバーフィルム16Aの大きさをより小さく抑えることができる。
【0085】
また、
図10及び
図11に示すように、空中像表示装置2Aでは、枠部68が一対の側壁部8及び10の各々の上端部の間に架け渡されている。枠部68は、プレート状に形成され、矩形状の切り欠き部70を有している。切り欠き部70は、枠部68の一辺(筐体6Aの側面20Aに近い側の辺)から枠部68の他辺(筐体6Aの側面20Aから遠い側の辺)に向けて延びている。切り欠き部70の内側には、空中像4が形成される。また、枠部68の主面は、水平方向(Y軸方向)に対して傾斜しており、空中像4に対して平行に延びている。これにより、空中像4の全周の一部が枠部68により囲まれるので、ユーザ18は、枠部68の切り欠き部70を目印として、空中像4の位置を容易に捉えることができる。
【0086】
また、空中像表示装置2Aは、空中像4を表示する空中ディスプレイとしての機能だけでなく、空中像4に対するユーザ18のタッチ操作を受け付ける空中タッチパネル(VUI)としての機能も有している。
図10及び
図11に示すように、空中タッチパネルとしての機能を実現するために、筐体6Aの内部には、測距センサ72及び制御部74が配置されている。
【0087】
測距センサ72は、発光部76(第1の光源の一例)と、受光部78(第1のセンサの一例)とを有している。発光部76は、赤外線レーザ(光の一例)を、表示領域30を含む扇形状の検出領域80(第1の検出領域の一例)で走査する。なお、
図10、
図11及び
図13に示すように、筐体6Aの側面20Aには、発光部76からの赤外線レーザを通過させるための開口部82が形成されている。これにより、発光部76からの赤外線レーザは、側面20Aの開口部82と枠部68の切り欠き部70とを通して、検出領域80へと導かれる。測距センサ72は、発光部76から光が照射されてから、検出領域80に位置するユーザ18の手指84(物体の一例)で反射し、反射した光を受光部78が受光するまでの時間及び角度に基づいて、検出領域80における手指84の位置を検出することができる。
【0088】
制御部74は、受光部78の検出結果に基づいて、検出領域80における手指84の位置を判定する。また、制御部74は、手指84の位置の判定結果に基づいて、表示パネル24の表示面28に表示される画像を制御するとともに、外部機器(図示せず)に制御信号を送信する。
【0089】
図13に示す例では、空中像4は、外部機器としての空調装置(図示せず)を操作するためのVUI画面である。空中像4は、例えば、暖房運転に切り替えるための暖房運転ボタン86と、冷房運転に切り替えるための冷房運転ボタン88と、空調温度を上げるための温度上昇ボタン90と、空調温度を下げるための温度低下ボタン92とを含んでいる。例えばユーザ18が手指84で温度上昇ボタン90をタッチした際には、制御部74は、手指84が温度上昇ボタン90の位置に存在すると判定する。これにより、制御部74は、空調装置に対して、空調温度を上げるように指示するための制御信号を送信する。
【0090】
なお、
図13に示すように、検出領域80における空中像4の外部に、複数の操作領域94a〜94eを表示してもよい。受光部78は、複数の操作領域94a〜94eの各々に存在するユーザ18の手指84で反射した光を受光し、検出する。複数の操作領域94a〜94eはユーザ18の目には見えないが、ユーザ18が複数の操作領域94a〜94eの各々を手指84でタッチすることにより、制御部74は、複数の操作領域94a〜94eの各々に割り当てられた操作を実行する。
【0091】
例えば、ユーザ18が手指84で操作領域94aをタッチした際には、操作メニュー画面が空中像4に表示される。また、ユーザ18が手指84で操作領域94bをタッチした際には、空中像4の表示倍率が拡大し、ユーザ18が手指84で操作領域94cをタッチした際には、空中像4の表示倍率が縮小する。また、ユーザ18が手指84で操作領域94dを横方向(X軸方向)にスワイプした際には、空中像4が横方向にスクロールし、ユーザ18が手指84で操作領域94eを縦方向(Y軸方向)にスワイプした際には、空中像4が縦方向にスクロールする。
【0092】
なお、本実施の形態では、測距センサ72を用いたが、測距センサ72に代えて、カメラ又はジェスチャーセンサ等を用いてもよい。また、本実施の形態では、ユーザ18の手指84で空中像4をタッチしたが、手指84に代えて、タッチペン等で空中像4をタッチしてもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、外部機器が空調装置である場合について説明したが、これに限定されない。外部機器は、例えば、医療現場で用いられる手術用機器、又は、食品工場で用いられる食品加工装置等であってもよい。このように、空中像表示装置2Aは、衛生上、タッチパネルに直接手で触れて外部機器を操作するのが好ましくない場面での使用に好適である。
【0094】
(実施の形態3)
次に、
図14を参照しながら、実施の形態3に係る空中像表示装置2Bについて説明する。
図14は、空中像表示装置2Bの一部を拡大して示す断面図である。
【0095】
図14に示すように、空中像表示装置2Bでは、筐体6Aの内部には、上記実施の形態2の測距センサ72に加えて、測距センサ96が配置されている。測距センサ96は、発光部98(第2の光源の一例)と、受光部100(第2のセンサの一例)とを有している。発光部98は、赤外線レーザを、検出領域80の下側に対向する位置に配置された検出領域102(第2の検出領域の一例)で走査する。発光部98からの赤外線レーザは、筐体6Aの側面20Aの開口部82を通して、検出領域102へと導かれる。受光部100は、検出領域102に存在するユーザ18(
図2参照)の手指84で反射した光を受光し、検出する。
【0096】
制御部74Bは、受光部100の検出結果に基づいて、検出領域102において手指84の押し込み操作が行われたと判定する。また、制御部74Bは、手指84の押し込み操作が行われたと判定した際に、表示パネル24(
図11参照)の表示面28に表示される画像を制御するとともに、外部機器(図示せず)に制御信号を送信する。
【0097】
空中像表示装置2Bでは、次のようにしていわゆるホバー機能を実現することができる。ユーザ18が手指84を検出領域80上でホバリングさせている際には、受光部78は、検出領域80に存在するユーザ18の手指84で反射した光を受光し、検出する。これにより、制御部74Bは、受光部78の検出結果に基づいて、検出領域80における手指84の位置を判定する。
【0098】
その後、ユーザ18が手指84を検出領域102に向けて押し込んだ際には、受光部100は、検出領域102に存在するユーザ18の手指84で反射した光を受光し、検出する。これにより、制御部74Bは、受光部100の検出結果に基づいて、検出領域102において手指84の押し込み操作が行われたと判定する。
【0099】
(実施の形態4)
次に、
図15〜
図17を参照しながら、実施の形態4に係る空中像表示装置2Cについて説明する。
図15は、空中像表示装置2Cの外観を示す斜視図である。
図16は、
図15のXVI−XVI線による空中像表示装置2Cの断面図である。
図17は、バックライト26Cの内部構造を模式的に示す図である。
【0100】
図15に示すように、空中像表示装置2Cでは、枠部68Cには、上記実施の形態2の切り欠き部70に代えて、空中像4を全周に亘って囲む矩形状の開口部104が形成されている。これにより、ユーザ18は、枠部68Cの開口部104を目印として、空中像4の位置をより容易に捉えることができる。
【0101】
また、
図15に示すように、空中像表示装置2Cでは、測距センサ72(発光部76及び受光部78を含む)は、枠部68Cの開口部104の隅部に配置されている。これにより、空中像4と測距センサ72との距離を短くしても、空中像4を測距センサ72の検出領域80内に含めることができる。その結果、空中像表示装置2Cの大きさをコンパクトに抑えることができる。
【0102】
また、
図16及び
図17に示すように、空中像表示装置2Cでは、ルーバーフィルム16Cは、表示ユニット12Cのバックライト26Cの内部に配置されている。バックライト26Cは、複数の発光素子106を備えている。ルーバーフィルム16Cは、これらの複数の発光素子106に対向して配置されている。ルーバーフィルム16Cの構成は、上記実施の形態1のルーバーフィルム16の構成と同一である。このような配置であっても、上記実施の形態1と同様に、ルーバーフィルム16Cによって、正中面52(
図2参照)に対して垂直なX軸方向において、バックライト26Cから出射する光の出射角を制限角以下に制限することができる。また、ルーバーフィルム16Cをバックライト26Cの内部に配置することにより、ルーバーフィルム16Cに起因する画像の画質の低下及び光量の低下を抑制することができる。
【0103】
なお、本実施の形態では、ルーバーフィルム16Cをバックライト26Cの内部に配置したが、これに限定されず、例えばルーバーフィルム16Cをバックライト26Cの出射面に配置してもよい。
【0104】
(実施の形態5)
次に、
図18〜
図20を参照しながら、実施の形態5に係る空中像表示装置2Dについて説明する。
図18は、空中像表示装置2Dの一部を拡大して示す斜視図である。
図19は、
図18のXIX−XIX線による空中像表示装置2Dの断面図である。
図20は、結像光学パネル14の出射面14b側を示す図である。
【0105】
図18に示すように、空中像表示装置2Dでは、測距センサ72Dは、複数の第1の発光部108と、複数の第2の発光部110と、複数の第1の受光部112と、複数の第2の受光部114とを有している。
【0106】
複数の第1の発光部108は、枠部68Cの開口部104の第1の辺104aに沿って間隔を置いて配置されている。複数の第1の受光部112は、枠部68Cの開口部104の第1の辺104aに対向する第2の辺104bに沿って間隔を置いて配置されている。すなわち、複数の第1の発光部108はそれぞれ、複数の第1の受光部112に対応して配置されている。複数の第1の発光部108はそれぞれ、複数の第1の受光部112に向けて赤外線を直線状に照射する。複数の第1の受光部112はそれぞれ、複数の第1の発光部108からの赤外線を受光する。
【0107】
複数の第2の発光部110は、枠部68Cの開口部104の第3の辺104cに沿って間隔を置いて配置されている。複数の第2の受光部114は、枠部68Cの開口部104の第3の辺104cに対向する第4の辺104dに沿って間隔を置いて配置されている。すなわち、複数の第2の発光部110はそれぞれ、複数の第2の受光部114に対応して配置されている。複数の第2の発光部110はそれぞれ、複数の第2の受光部114に向けて赤外線を直線状に照射する。複数の第2の受光部114はそれぞれ、複数の第2の発光部110からの赤外線を受光する。
【0108】
以上のようにして、枠部68Cの開口部104のほぼ全域に亘って、測距センサ72Dの検出領域116が形成される。ユーザ18(
図11参照)が手指84で空中像4の所定位置にタッチした際には、当該所定位置に対応する第1の発光部108及び第2の発光部110からの光はそれぞれ、手指84によって遮断されるため、当該所定位置に対応する第1の受光部112及び第2の受光部114により受光されなくなる。制御部74は、第1の受光部112及び第2の受光部114の検出結果に基づいて、検出領域116における手指84の位置を判定する。
【0109】
なお、ユーザ18が2本の手指84で空中像4をタッチする、いわゆるマルチタッチをした場合であっても、制御部74は、検出領域116における2本の手指84の各位置を判定することができる。
【0110】
また、
図19及び
図20に示すように、空中像表示装置2Dでは、上記実施の形態2と同様に、ルーバーフィルム16Aは、表示パネル24の表示面28に配置されている。さらに、結像光学パネル14の出射面14b、すなわち結像光学パネル14よりも表示ユニット12と反対側には、ルーバーフィルム118(第2の制限部の一例)が配置されている。ルーバーフィルム118は、結像光学パネル14の出射面14bから出射する光の出射角を制限するための光学フィルムであり、ルーバーフィルム16Aの構成と同一の構成を有している。ルーバーフィルム118は、正中面52(
図2参照)に対して垂直なX軸方向において、結像光学パネル14の出射面14bから出射する光の出射角を制限角以下に制限する。
【0111】
上述したルーバーフィルム118が存在しない場合、結像光学パネル14の出射面14bから出射した光のうち、制限角よりも大きい出射角の光は、不要光としてゴーストを形成する。このゴーストは、空中像4の視野角外において、例えば空中像4に対して左右対称な位置に形成され、ユーザ18によって視認される。上述したルーバーフィルム118によって、結像光学パネル14の出射面14bから出射する光の出射角を制限角以下に制限することにより、ゴーストの原因となる、出射角が制限角よりも大きい光をルーバーフィルム118で除去することができる。その結果、空中像4の視野角外においてゴーストが形成されるのを抑制することができる。
【0112】
(実施の形態6)
次に、
図21〜
図24を参照しながら、実施の形態6に係る結像光学パネル14Eについて説明する。
図21は、結像光学パネル14Eを示す斜視図である。
図22は、結像光学パネル14Eの第1の透光プレート124及び第2の透光プレート132を抜き出して示す斜視図である。
図23は、
図21のXXIII−XXIII線による結像光学パネル14Eの要部断面図である。
図24は、
図21のXXIV−XXIV線による結像光学パネル14Eの要部断面図である。なお、
図21〜
図24におけるXYZ軸は、
図1〜
図20におけるXYZ軸とは異なる座標系である。
【0113】
図21に示すように、結像光学パネル14Eは、上記実施の形態1の結像光学パネル14と構成が異なっている。結像光学パネル14Eは、第1の光制御パネル120と、第2の光制御パネル122とを有している。第1の光制御パネル120と第2の光制御パネル122とは、Z軸方向に積層されている。第1の光制御パネル120は光の入射側に配置され、第2の光制御パネル122は光の出射側に配置されている。
【0114】
第1の光制御パネル120は、複数の第1の透光プレート124を有している。複数の第1の透光プレート124の各々は、X軸方向に延びる長尺状のプレートであり、例えば透光性を有するガラス等で形成されている。複数の第1の透光プレート124は、それらの厚み方向(Y軸方向)である第1の積層方向に積層されている。
図23に示すように、複数の第1の透光プレート124は、透光性を有する接着層126を介して相互に接着されている。複数の第1の透光プレート124の各々の第1の主面124aには、第1の反射面128が形成されている。また、複数の第1の透光プレート124の各々の第2の主面124b(第1の主面124aと反対側の面)には、第1の遮光層130が形成されている。第1の遮光層130は、遮光性を有する材料で形成されている。隣接する一対の第1の透光プレート124において、一方の第1の透光プレート124の第1の反射面128は、他方の第1の透光プレート124の第1の遮光層130に接着層126を介して接着されている。
【0115】
第2の光制御パネル122は、複数の第2の透光プレート132を有している。複数の第2の透光プレート132の各々は、Y軸方向に延びる長尺状のプレートであり、例えば透光性を有するガラス等で形成されている。複数の第2の透光プレート132は、それらの厚み方向(X軸方向)である、第1の積層方向に対して垂直な第2の積層方向に積層されている。複数の第2の透光プレート132は、透光性を有する接着層134を介して相互に接着されている。
図24に示すように、複数の第2の透光プレート132の各々の第3の主面132aには、第2の反射面136が形成されている。また、複数の第2の透光プレート132の各々の第4の主面132b(第3の主面132aと反対側の面)には、第2の遮光層138が形成されている。第2の遮光層138は、遮光性を有する材料で形成されている。隣接する一対の第2の透光プレート132において、一方の第2の透光プレート132の第2の反射面136は、他方の第2の透光プレート132の第2の遮光層138に接着層134を介して接着されている。
【0116】
図21及び
図22に示すように、複数の第2の透光プレート132はそれぞれ、複数の第1の透光プレート124に対して直交するように配置されている。すなわち、第1の反射面128及び第2の反射面136は、像形成面32に沿って互いに直交するように配置されている。
【0117】
図22において矢印140で示すように、第1の光制御パネル120に入射した光のうち、第1の反射面128及び第2の反射面136でそれぞれ1回ずつ計2回反射(全反射)した光は、第2の光制御パネル122から出射して、空中像4(
図1参照)の形成に寄与する。
【0118】
仮に、第1の遮光層130及び第2の遮光層138が存在しない場合、第1の光制御パネル120に入射した光のうち、第1の透光プレート124の第2の主面124b、又は、第2の透光プレート132の第4の主面132bで反射した光は、第2の光制御パネル122から出射して、空中像4の形成に寄与しない不要光となる。
【0119】
本実施の形態では、第1の透光プレート124の第2の主面124bに第1の遮光層130が形成され、第2の透光プレート132の第4の主面132bに第2の遮光層138が形成されている。これにより、第1の光制御パネル120に入射した光が、第1の透光プレート124の第2の主面124b又は第2の透光プレート132の第4の主面132bで反射するのを抑制することができ、上述した不要光の発生を抑制することができる。
【0120】
(実施の形態7)
次に、
図25及び
図26を参照しながら、実施の形態7に係る空中像表示装置2Fについて説明する。
図25は、空中像表示装置2Fの外観を示す斜視図である。
図26は、空中像表示装置2Fにより表示される空中像4の一例である。
【0121】
空中像表示装置2Fは、上記実施の形態2と同様に、空中タッチパネルとしての機能を有している。
図25及び
図26に示すように、筐体6Fの内部に配置された測距センサ72Fは、X軸方向に延びる横長のセンサ(いわゆるエアバー)である。測距センサ72Fは、発光部76Fと、受光部78Fとを有している。発光部76Fは、赤外線を矩形状の検出領域80Fに照射する。
【0122】
図25及び
図26に示すように、筐体6Fの側面20Fには、発光部76Fからの赤外線を通過させるための横長の開口部82Fが形成されている。これにより、発光部76Fからの赤外線は、側面20Fの開口部82Fを通して、検出領域80Fへと導かれる。測距センサ72Fは、上記実施の形態2と同様に、検出領域80Fにおけるユーザ18の手指84(
図11参照)の位置を検出することができる。
【0123】
なお、
図26に示すように、検出領域80Fにおける空中像4の外部には、上記実施の形態2と同様に、複数の操作領域94a〜94eが表示されている。上述したように、検出領域80Fは矩形状に形成されているので、例えばユーザ18が操作領域94d及び94eでスワイプ操作等を行うための領域を検出領域80Fにおいて十分に確保することができる。
【0124】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態1〜7に係る空中像表示装置について説明したが、本発明は、これらの実施の形態1〜7に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0125】
上記各実施の形態では、表示ユニット12(12C)は、表示パネル24及びバックライト26(26C)で構成したが、これに限定されず、例えばプロジェクタ、有機EL(Electro Luminescence)又は無機EL等で構成してもよい。
【0126】
また、上記各実施の形態では、結像光学パネル14(14A,14E)がルーバー構造を有するように構成したが、これに限定されず、ルーバー構造以外の入射角を制限するための構造を有するように構成してもよい。
【0127】
(他の変形例等)
また、上記の各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、ディスプレイユニット、キーボード及びマウス等から構成されるコンピュータシステムとして構成されてもよい。RAM又はハードディスクドライブには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0128】
さらに、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM及びRAM等を含んで構成されるコンピュータシステムである。RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0129】
さらにまた、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM及びRAM等から構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0130】
また、本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、本発明は、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、上記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0131】
さらに、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD、半導体メモリ等に記録したものとしてもよい。また、これらの非一時的な記録媒体に記録されている上記デジタル信号であるとしてもよい。
【0132】
また、本発明は、上記コンピュータプログラム又は上記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0133】
また、本発明は、マイクロプロセッサ及びメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0134】
また、上記プログラム又は上記デジタル信号を上記非一時的な記録媒体に記録して移送することにより、又は、上記プログラム又は上記デジタル信号を上記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0135】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。