【課題】物件を示す間取り図画像を用いることなく、物件を構成する部屋等に相当する三次元モデルを表す室内空間画像を簡便に又は手軽に生成することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】室内空間の内部に設置された全天球カメラCにより全方位で撮像されたパノラマ画像を物件情報サーバSVで取得する。物件情報サーバSVは、取得したパノラマ画像から、室内空間を構成する天井、床及び壁それぞれ同士の境界線を抽出し、抽出された境界線に基づいて天井画像、床画像及び壁画像をパノラマ画像から抽出する。その後、抽出された天井画像等における歪みを補正し、補正後の天井画像等を組み合わせて、室内空間に相当する三次元モデルを表す室内空間画像を生成する。
前記生成手段は、前記抽出された境界線に基づいて、前記補正天井画像、前記補正床画像及び前記補正壁画像を組み合わせて前記室内空間画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
前記生成された室内空間画像に基づいて、前記室内空間を含む物件を検索するための物件情報を生成する物件情報生成手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
複数の前記室内空間画像をそれぞれ構成する前記補正天井画像、前記補正床画像及び前記補正壁画像のいずれか内に撮像された被撮像物の、当該被撮像物が撮像されている前記いずれかにおける配置を検出する配置検出手段と、
前記検出された配置に基づいて、前記複数の前記室内空間画像に共通する前記被撮像物である共通撮像物を検出する撮像物検出手段と、
を更に備え、
前記生成手段は、前記検出された共通撮像物を用いて、当該共通撮像物が撮像された前記室内空間画像同士を接続し、隣接する前記複数の前記室内空間に相当する前記三次元モデルを表す接続室内空間画像を生成することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
前記生成手段は、一軒家又は集合住宅の一室について検出された前記共通撮像物を用いて、当該一軒家又は当該一室を構成する各前記室内空間にそれぞれ相当する前記三次元モデルをそれぞれ表す前記室内空間画像同士を接続して、当該一軒家又は当該一室に相当する前記三次元モデルを表す集合室内空間画像を生成することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の情報処理装置。
前記生成された集合室内空間画像に基づいて、前記一軒家又は前記一室を検索するための物件情報を生成する物件情報生成手段を更に備えることを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、間取り図画像を用いることが前提とされており、当該間取り図画像が取得できない場合は、その物件についての三次元モデルを生成することが困難である。
【0006】
そこで、本発明は、上記の点等に鑑みてなされたものであり、物件を示す間取り図画像を用いることなく、当該物件を構成する部屋等に相当する三次元モデルを表す室内空間画像を簡便に又は手軽に生成することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、室内空間の内部に設置された撮像手段により全方位で撮像された当該内部のパノラマ画像を取得するパノラマ画像取得手段と、前記取得されたパノラマ画像から、前記室内空間を構成する天井、床及び壁それぞれ同士の境界線を抽出する境界線抽出手段と、前記抽出された境界線に基づいて、前記天井に相当する天井画像、前記床に相当する床画像及び前記壁に相当する壁画像を、前記取得されたパノラマ画像から抽出する画像抽出手段と、各前記抽出された天井画像、床画像及び壁画像における歪みを補正し、補正天井画像、補正床画像及び補正壁画像を生成する補正手段と、各前記生成された補正天井画像、補正床画像及び補正壁画像を組み合わせて、前記室内空間に相当する三次元モデルを表す室内空間画像を生成する生成手段と、を備える。
【0008】
この発明によれば、対応する間取り図画像が取得できない場合でも、室内空間の例えば使用者が撮像したパノラマ画像から、その室内空間に相当する三次元モデルを表す室内空間画像を簡便に又は手軽に生成することができる。また、室内空間の内部を全方位で撮像したパノラマ画像を用いて三次元モデルを表す室内空間画像を生成するので、一つの室内空間の全てを一度に撮像して当該室内空間画像を簡便に又は手軽に生成することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記生成手段は、前記抽出された境界線に基づいて、前記補正天井画像、前記補正床画像及び前記補正壁画像を組み合わせて前記室内空間画像を生成するように構成される。
【0010】
この発明によれば、より正確に室内空間画像を生成することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置において、前記補正手段は、前記取得されたパノラマ画像から、前記抽出された境界線の交点を抽出する交点抽出手段と、前記抽出されたパノラマ画像に基づいて、前記撮像手段の位置を通って前記床から立てた垂線と、各前記抽出された交点と、の間の当該床に平行な方向の距離をそれぞれ検出する検出手段と、前記検出された距離と、前記撮像手段の前記床からの高さと、に基づいて、前記撮像手段の位置から各前記抽出された交点までの距離をそれぞれ算出する算出手段と、を備え、前記補正手段は、各前記抽出された交点と、各前記算出された距離と、に基づき、各前記抽出された天井画像、壁画像及び床画像の前記歪みを補正し、前記補正天井画像、前記補正壁画像及び前記補正床画像を生成するように構成される。
【0012】
この発明によれば、各境界線の交点と、各交点までの撮像手段の位置からの各距離と、に基づいて補正天井画像等を生成するので、正確に当該補正を施すことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記生成された室内空間画像に基づいて、前記室内空間を含む物件を検索するための物件情報を生成する物件情報生成手段を更に備える。
【0014】
この発明によれば、物件の内容を認識し易い状態で、その物件の物件情報を生成することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の情報処理装置において、前記物件情報が前記室内空間画像を含むように構成される。
【0016】
この発明によれば、物件の内容をより認識し易い状態で、その物件の物件情報を生成することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、複数の前記室内空間画像をそれぞれ構成する前記補正天井画像、前記補正床画像及び前記補正壁画像それぞれの一部又は全部の特徴量を検出する特徴量検出手段と、各前記検出された特徴量に基づいて、前記補正天井画像、前記補正床画像及び前記補正壁画像のいずれか内に撮像された被撮像物であって前記複数の前記室内空間画像に共通する被撮像物である共通撮像物を検出する撮像物検出手段と、を更に備え、前記生成手段は、前記検出された共通撮像物を用いて当該共通撮像物が撮像された前記室内空間画像同士を接続し、隣接する前記複数の前記室内空間に相当する前記三次元モデルを表す接続室内空間画像を生成するように構成される。
【0018】
この発明によれば、隣接する複数の室内空間に相当する接続室内空間画像をパノラマ画像から簡便に又は手軽に生成することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、複数の前記室内空間画像をそれぞれ構成する前記補正天井画像、前記補正床画像及び前記補正壁画像のいずれか内に撮像された被撮像物の、当該被撮像物が撮像されている前記いずれかにおける配置を検出する配置検出手段と、前記検出された配置に基づいて、前記複数の前記室内空間画像に共通する前記被撮像物である共通撮像物を検出する撮像物検出手段と、を更に備え、前記生成手段は、前記検出された共通撮像物を用いて、当該共通撮像物が撮像された前記室内空間画像同士を接続し、隣接する前記複数の前記室内空間に相当する前記三次元モデルを表す接続室内空間画像を生成するように構成される。
【0020】
この発明によれば、隣接する複数の室内空間に相当する接続室内空間画像をパノラマ画像から簡便に又は手軽に生成することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の情報処理装置において、前記生成手段は、一軒家又は集合住宅の一室について検出された前記共通撮像物を用いて、当該一軒家又は当該一室を構成する各前記室内空間にそれぞれ相当する前記三次元モデルをそれぞれ表す前記室内空間画像同士を接続して、当該一軒家又は当該一室に相当する前記三次元モデルを表す集合室内空間画像を生成するように構成される。
【0022】
この発明によれば、当該集合室内空間画像を簡便に又は手軽に生成することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の情報処理装置において、前記生成された集合室内空間画像に基づいて、前記一軒家又は前記一室を検索するための物件情報を生成する物件情報生成手段を更に備える。
【0024】
この発明によれば、当該一軒家等の物件の内容を認識し易い状態で物件情報を生成することができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の情報処理装置において、前記物件情報が前記集合室内空間画像を含むように構成される。
【0026】
この発明によれば、一軒家等の内容をより認識し易い状態で物件情報を生成することができる。
【0027】
請求項11に記載の発明は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、室内空間の内部に設置された撮像手段により全方位で撮像された当該内部のパノラマ画像を取得するステップと、前記取得されたパノラマ画像から、前記室内空間を構成する天井、床及び壁それぞれ同士の境界線を抽出するステップと、前記抽出された境界線に基づいて、前記天井に相当する天井画像、前記床に相当する床画像及び前記壁に相当する壁画像を、前記取得されたパノラマ画像から抽出するステップと、各前記抽出された天井画像、床画像及び壁画像の歪みを補正し、補正天井画像、補正床画像及び補正壁画像を生成するステップと、各前記生成された補正天井画像、補正床画像及び補正壁画像を組み合わせて、前記室内空間に相当する三次元モデルを表す室内空間画像を生成するステップと、を含む。
【0028】
請求項12に記載の発明は、コンピュータに、室内空間の内部に設置された撮像手段により全方位で撮像された当該内部のパノラマ画像を取得するステップと、前記取得されたパノラマ画像から、前記室内空間を構成する天井、床及び壁それぞれ同士の境界線を抽出するステップと、前記抽出された境界線に基づいて、前記天井に相当する天井画像、前記床に相当する床画像及び前記壁に相当する壁画像を、前記取得されたパノラマ画像から抽出するステップと、各前記抽出された天井画像、床画像及び壁画像の歪みを補正し、補正天井画像、補正床画像及び補正壁画像を生成するステップと、各前記生成された補正天井画像、補正床画像及び補正壁画像を組み合わせて、前記室内空間に相当する三次元モデルを表す室内空間画像を生成するステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、対応する間取り図画像が取得できない場合でも、室内空間の例えば使用者等が撮像したパノラマ画像から、その室内空間に相当する三次元モデルを表す室内空間画像を簡便に又は手軽に生成することができる。また、室内空間の内部を全方位で撮像したパノラマ画像を用いて三次元モデルを表す室内空間画像を生成するので、室内空間の全てを一度に撮像して当該室内空間画像を簡便に又は手軽に生成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、一軒家又はマンションの一室等の物件に関する情報を、ユーザが使用する端末に提供する物件情報提供システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0032】
[I.物件情報提供システムの全体構成]
はじめに、本実施形態の物件情報提供システムの全体構成について、
図1を用いて説明する。なお、
図1は、本実施形態の物件情報提供システムの全体構成を示すブロック図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の物件情報提供システムSは、例えば不動産仲介業者に使用される全天球カメラC1、全天球カメラC2、…、全天球カメラCn(nは自然数)と、物件情報の提供を受ける各ユーザにそれぞれ使用される端末T1、端末T2、…、端末Tm(mは自然数)と、物件情報サーバSVと、が、例えばインターネット等のネットワークNWを介してデータ等の授受が可能に接続されて構成されている。なお、以下の説明において、全天球カメラC1、全天球カメラC2、…、全天球カメラCnに共通の構成及び動作等を説明する場合、これらを纏めて単に「全天球カメラC」と称する。また、端末T1、端末T2、…、端末Tmに共通の構成及び動作等を説明する場合、これらを纏めて単に「端末T」と称する。また、上記物件情報サーバSVが本発明の「情報処理装置」の一例に相当する。
【0034】
図1に示す構成において、全天球カメラCは、それが使用される不動産仲介業者等により、販売又は賃貸の対象となる上記物件内の室内空間の一つ内に設置される。このとき、当該「室内空間」とは、その物件を構成する部屋、廊下又は玄関等のいずれかをいう。そして、全天球カメラCは、それが設置されている室内空間を全方位で撮像したパノラマ画像(即ち全天球画像)に相当する室内画像データを生成し、ネットワークNW経由で物件情報サーバSVに送信する。このとき、送信される室内画像データには、その物件を他の物件から識別するための物件識別データと、パノラマ画像撮像時における全天球カメラCの設置位置(特に、撮像対象たる室内空間の床からの、全天球カメラCの後述するカメラ部の高さ)を示す設置位置データと、が付加される。なお、室内画像データの生成及び送信は、その物件内の一つの室内空間のみについて行われてもよいし、全天球カメラCを設置し直すことでその物件内の複数の室内空間について行われてもよい。ここで、一つの物件内の複数の室内空間について室内画像データがそれぞれ生成される場合は、上記物件識別データと共に、当該室内画像データに映っている室内空間をその物件内の他の室内空間から識別するための室内空間識別データも併せて付加されて送信される。これにより、物件情報サーバSVは、送信されてきた室内画像データを用いて、その室内画像データに映っている室内空間の三次元モデルを表わす室内空間画像を、物件ごと及び室内空間ごとに生成して記録(蓄積)する。
【0035】
一方、各端末Tは、ユーザが所望する物件を検索する場合、当該物件を検索するための検索条件データを含む検索情報(検索クエリ)を、当該端末Tを他の端末Tから識別するための端末識別データを付加して、ネットワークNW経由で物件情報サーバSVに送信する。これにより、物件情報サーバSVは、送信されてきた検索情報に含まれている検索条件データに基づき、当該検索条件を満たす物件を物件情報サーバSV内又は外部サーバ内で検索すると共に、当該検索結果に含まれる物件について記録されている上記室内空間画像を物件情報サーバSV内で検索する。その後、物件情報サーバSVは、検索された室内空間画像に対して必要な他の物件情報を付加し、上記端末Tから送信された検索情報に対応する物件情報として、当該検索情報を送信した端末Tに送信(返信)する。この場合の他の物件情報とは、例えば、その物件の住所やその物件に関連する価格(より具体的には、販売価格や賃貸価格)を示すテキスト情報等である。そして、端末Tは、送信されてきた物件情報を表示等することにより、当該物件情報をユーザに提供する。
【0036】
[II.物件情報提供システムSの細部構成及び動作等]
次に、本実施形態の物件情報提供システムSの細部構成及び動作等について、
図2を用いて説明する。なお、
図2は、本実施形態の全天球カメラの構成等を示すブロック図である。
【0037】
図2(a)に示すように、本実施形態の物件情報提供システムSに含まれる全天球カメラCはそれぞれ、例えば魚眼レンズを含むカメラ部30と、CPU(Central Processing Unit)等からなる制御部31と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる記録部32と、ネットワークNWに接続可能な無線通信部33と、シャッタボタン、電源ボタン及び必要なインジケータ等からなる操作表示部34と、により構成されている。そして、カメラ部30、制御部31、記録部32、無線通信部33及び操作表示部34は、システムバス35及び入出力インターフェース36を介して、相互にデータ等の授受が可能とされている。このとき、全天球カメラCが本発明の「撮像手段」の一例に相当する。この構成において、操作表示部34の電源ボタンが操作されて全天球カメラCが起動されると、制御部31は、カメラ部30を制御して、全天球カメラCが設置されている室内空間の、全方位のパノラマ画像としての撮像を開始する。その後、制御部31は、操作表示部34のシャッタボタンの操作の有無を監視する。そして、シャッタボタンが操作されると、制御部31は、シャッタボタンが操作されたタイミングで撮像されているパノラマ画像に相当する室内画像データを、システムバス35を介して記録部32に記録させる。制御部31は、物件内の各室内空間における上記パノラマ画像の撮像及びそれに相当する室内画像データの生成及び記録を、当該室内空間ごとに繰り返す。そして、制御部31は、例えば操作表示部34において送信ボタン等が操作されると、当該操作に基づき、記録部32に記録されている室内画像データを、上記物件識別データ及び上記設置位置データ並びに上記室内空間識別データと共に、無線通信部33及びネットワークNW経由で物件情報サーバSVに送信する。
【0038】
次に、
図2(b)に示すように、本実施形態の物件情報提供システムSに含まれる端末Tはそれぞれ、CPU等からなり且つ画像処理部50を含む制御部5と、ROM及びRAM等からなる記録部6と、ネットワークNWに接続可能な無線通信部7と、タッチパネル及びディスプレイ等からなる操作表示部8と、により構成されている。そして、制御部5の画像処理部50、記録部6、無線通信部7及び操作表示部8は、システムバス20及び入出力インターフェース21を介して、相互にデータ等の授受が可能とされている。この構成において、例えば物件検索サイトが操作表示部8のディスプレイ上に表示されている状態で上記検索条件が操作表示部8のタッチパネルを用いてユーザにより入力されると、制御部5は、当該検索条件に相当する上記検索条件データに対して当該端末Tを識別するための端末識別データを付加した上で、無線通信部7及びネットワークNW経由で上記検索情報として物件情報サーバSVに送信する。
【0039】
次に、制御部5は、上記検索情報に含まれている検索条件データの検索条件を満たす物件情報が、対応する室内空間画像と共に物件情報サーバSVから送信されてきたら、これを無線通信部7経由で受信し、例えば一時的に記録部6に記録させる。そして、画像処理部50は、上記タッチパネルを用いたユーザの表示要求操作に対応させて、当該記録されている物件情報に含まれている室内空間画像を操作表示部8のディスプレイに表示する。また、上記室内空間画像を上記ディスプレイに表示中において、その室内空間内で視点及び視線を移動させる旨のユーザの移動操作が上記タッチパネルを用いて行われると、画像処理部50は、その移動操作に対応して、室内空間画像内における視点及び視線を移動させるように室内空間画像を表示する。更に、上記室内空間画像を上記ディスプレイに表示中において、他の室内空間に移動する旨のユーザの室内空間移動操作が上記タッチパネルを用いて行われると、画像処理部50は、その室内空間移動操作に対応して室内空間画像を切り替えて上記ディスプレイに表示する。更にまた、物件情報に含まれている上記他の物件情報のユーザの表示要求操作が上記タッチパネルを用いて行われた場合、画像処理部50は、その表示要求操作に対応して必要な他の物件情報を上記ディスプレイに表示する。以上の物件情報表示処理については、後ほど
図9を用いて詳述する。
【0040】
最後に、
図2(c)に示すように、本実施形態の物件情報提供システムSに含まれる物件情報サーバSVは、CPU等からなる制御部1と、ネットワークNWに接続可能な無線通信部2と、HDD(Hard Disc Drive)、ROM及びRAM等からなる記録部3と、により構成されている。また、制御部1は、画像処理部10と、境界線抽出部11と、画像抽出部12と、交点抽出部13と、水平距離検出部14と、距離算出部15と、により構成されている。そして、制御部1の画像処理部10、境界線抽出部11、画像抽出部12、交点抽出部13、水平距離検出部14及び距離算出部15、無線通信部2並びに記録部3は、システムバス16及び入出力インターフェース17を介して、相互にデータ等の授受が可能とされている。このとき、制御部1が本発明の「物件情報生成手段」の一例に相当し、無線通信部2が本発明の「パノラマ画像取得手段」の一例に相当する。また、画像処理部10が、本発明の「補正手段」の一例、「生成手段」の一例、「特徴量検出手段」の一例、「撮像物検出手段」の一例及び「配置検出手段」の一例にそれぞれ相当する。更に、境界線抽出部11が本発明の「境界線抽出手段」の一例に相当し、画像抽出部12が本発明の「画像抽出手段」の一例に相当する。更にまた、交点抽出部13が本発明の「交点抽出手段」の一例に相当し、水平距離検出部14が本発明の「検出手段」の一例に相当し、距離算出部15が本発明の「算出手段」の一例に相当する。
【0041】
この構成において、いずれかの全天球カメラCから上記室内画像データが送信されてくると、制御部1は、これを無線通信部2経由で受信する。そして、制御部1の画像処理部10、境界線抽出部11、画像抽出部12、交点抽出部13、水平距離検出部14及び距離算出部15は、上記受信した室内画像データを用いて、当該室内画像データに映っている室内空間の三次元モデルを表わす上記室内空間画像を、物件ごと及び室内空間ごとに生成する。このときの画像処理部10、境界線抽出部11、画像抽出部12、交点抽出部13、水平距離検出部14及び距離算出部15による室内空間画像の生成については、後ほど
図5乃至
図8を用いて詳述する。その後、制御部1は、生成された室内空間画像を、上記物件識別データ及び上記室内空間識別データに関連付けて記録部3に記録する。
【0042】
次に、制御部1は、上記検索情報がいずれかの端末Tから送信されてくると、送信されてきた検索情報に含まれている上記検索条件データに基づき、当該検索条件を満たす物件を検索すると共に、当該検索結果に含まれる物件について記録されている上記室内空間画像を記録部3内で検索する。その後、制御部1は、検索された室内空間画像に対して必要な上記他の物件情報を付加し、上記端末Tから送信された検索情報に対応する物件情報として、上記端末識別データに基づき、その検索情報を送信した端末Tに送信する。
【0043】
[III.物件情報提供処理]
次に、本実施形態の物件情報提供処理について、より具体的に、
図3及び
図4を用いて説明する。なお、
図3は本実施形態の物件情報提供処理を示すフローチャートであり、
図4は本実施形態の室内画像を例示する図である。
【0044】
図3に示すように、先ず全天球カメラCが物件内の一の室内空間に例えば不動産仲介業者により設置されてその電源ボタンがオンとされると、全天球カメラCの制御部31は、カメラ部30を制御して、全天球カメラCが設置されている室内空間内の全方位をパノラマ画像(即ち全天球画像)として撮像する(ステップS1)。そして、制御部31は、操作表示部34のシャッタボタンが操作されたか否かを監視する(ステップS2)。ステップS2の監視において、シャッタボタンが操作されないうちは(ステップS2:NO)、制御部31はステップS1に戻って引き続き全天球画像の撮像を継続する。一方、ステップS2の監視において、シャッタボタンが操作されたら(ステップS2:YES)、次に制御部31は、当該シャッタボタンが操作されたタイミングで撮像されている全天球画像を、全天球カメラCが設置されている室内空間の室内画像として記録部32に記録させる(ステップS3)。
【0045】
次に、制御部31は、ステップS3で記録させた室内画像に相当する室内画像データを物件情報サーバSVに送信する旨の送信操作が、操作表示部34において実行されたか否かを監視する3。ステップS4の監視において、当該送信操作が実行されない場合(ステップS4:NO)、制御部31は、ステップS1に戻って全天球画像の撮像を継続する。一方、ステップS4の判定において、送信操作が実行された場合(ステップS4:YES)、制御部31は、ステップS3で記録した室内画像に対して当該室内画像に関連付けられる物件識別データ及び室内空間識別データ並びに上記設置位置データを付加し、無線通信部33及びネットワークNW経由で物件情報サーバSVに送信する(ステップS5)。なお、このとき付加される物件識別データ及び室内空間識別データ並びに設置位置データは、例えば全天球カメラCが設置された段階で、例えば操作表示部34を用いて、その設置を行った不動産仲介業者等により入力されて記録部32に記録されているものである。
【0046】
ここで、上記室内空間データとして物件情報サーバSVに送信される室内画像について、より具体的に、
図4を用いて例示しつつ説明する。
図4に示すように、室内画像Dは、全天球カメラCにより撮像された全天球画像であって、その室内空間の天井に相当する天井画像CLと、その室内空間の四つの壁にそれぞれ相当する壁画像W1乃至壁画像W4と、その室内空間の床に相当する床画像FLと、を含んでいる。このとき、
図4に例示するように、一部の壁画像W2には、
図4に例示するようにその室内空間の窓に相当する窓画像WDが含まれていることがある。また、天井画像CLには、
図4に例示するようにその室内空間の照明に相当する照明画像Lが含まれていることがある。
【0047】
その後、制御部31は、例えば全天球カメラCの電源ボタンがオフとされる等の理由により物件情報提供処理のうち全天球カメラCとしての処理を終了するか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6の判定において、当該全天球カメラCとしての処理を引き続き実行する場合(ステップS6:NO)、制御部31は、上記ステップS1に戻って全天球画像の撮像を行う。一方、ステップS6の判定において、当該全天球カメラCとしての処理を終了する場合(ステップS6:YES)、制御部31は、そのまま当該処理を終了する。
【0048】
次に、物件情報サーバSVの制御部1は、例えば物件情報サーバSVの電源がオンとされると、いずれかの全天球カメラCからの、上記物件識別データ及び室内空間識別データ並びに設置位置データが付加された室内画像データが受信されたか否かを監視する(ステップS10)。ステップS10の監視において、いずれの全天球カメラCからも室内画像データが受信されない場合(ステップS10:NO)、制御部1は、引き続き当該監視を継続する。一方、ステップS10の監視において、いずれかの全天球カメラCからの室内画像データが受信された場合(ステップS10:YES)、制御部1は、画像処理部10等により当該受信した室内画像データに映っている室内空間の三次元モデルを表わす上記室内空間画像を生成すると共に、それに対応する上記他の物件情報を付加して、物件情報を生成する(ステップS11)。このステップS11については、後ほど詳述する。その後、制御部1は、ステップS11で生成された物件情報を、対応する物件識別データ及び室内空間識別データに関連付けて記録部3に記録する(ステップS12)。その後、制御部1は、いずれかの端末Tから上記検索条件データを含む検索情報が送信されてきたか否かを監視する(ステップS13)。ステップS13の監視において、いずれの端末Tからも検索情報が送信されてこない場合(ステップS13:NO)、制御部1は、後述するステップS16に移行する。一方、ステップS13の監視において、いずれかの端末Tから検索情報が送信されてきた場合(ステップS13:YES)、制御部1は、これを受信し、それに含まれる検索条件データに基づき、当該検索条件データに相当する検索条件を満たす物件を記録部3に記録されている図示しない物件情報データベース又は図示しない外部サーバ内で検索し、更に、当該検索結果に含まれる物件について記録されている上記室内空間画像を記録部3内で検索する(ステップS14)。その後、制御部1は、検索された室内空間画像に対して必要な他の物件情報を付加し、ステップS13で受信した検索情報に対応する物件情報として、上記端末識別データに基づき、当該検索情報を送信した端末Tに送信する(ステップS15)。その後、制御部1は、例えば物件情報サーバSVの電源がオフとされる等の理由により物件情報提供処理のうち物件情報サーバSVとしての処理を終了するか否かを判定する(ステップS16)。ステップS16の判定において、当該物件情報サーバSVとしての処理を引き続き実行する場合(ステップS16:NO)、制御部1は上記ステップS10に戻って、次の室内画像データの受信を監視する。他方、ステップS16の判定において、当該物件情報サーバSVとしての処理を終了する場合(ステップS16:YES)、制御部1は、そのまま当該処理を終了する。
【0049】
最後に、端末Tの制御部5は、例えば端末Tの電源がオンとされ、上記検索条件が操作表示部34のタッチパネルを用いてユーザにより入力される(ステップS20)と、当該検索条件に相当する検索条件データに対して当該端末Tを識別するための端末識別データを付加した上で、無線通信部7及びネットワークNW経由で上記検索情報として物件情報サーバSVに送信する(ステップS21)。その後、制御部5は、ステップS21で送信した検索情報に対応する物件情報サーバSVからの物件情報が受信されたか否かを監視する(ステップS22)。ステップS22の監視において、物件情報が受信されない場合(ステップS22:NO)、制御部5は当該物件情報が受信されるまでその監視を継続する。一方、ステップS22の監視において、対応する物件情報が受信された場合(ステップS22:YES)、画像処理部50は当該受信した物件情報に含まれている室内空間画像等を表示する(ステップS23)。このステップS23については、後ほど詳述する。その後、制御部5は、例えば端末Tの電源がオフとされる等の理由により物件情報提供処理のうち端末Tとしての処理を終了するか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24の判定において、当該端末Tとしての処理を引き続き実行する場合(ステップS24:NO)、制御部5は上記ステップS20に戻って、次の検索条件の入力を待機する。他方、ステップS24の判定において、当該端末Tとしての処理を終了する場合(ステップS24:YES)、制御部5は、そのまま当該処理を終了する。
【0050】
[IV.物件情報生成処理]
次に、物件情報生成処理(
図3ステップS11)について、
図5乃至
図8を用いてより具体的に説明する。なお、
図5は本実施形態の物件情報生成処理を示すフローチャートであり、
図6は本実施形態の境界線抽出を例示する図等であり、
図7は本実施形態の歪み補正前の画像を例示する図等であり、
図8は本実施形態の室内空間画像を例示する図等である。
【0051】
即ち、いずれかの全天球カメラCから送信されてきた室内画像データに対して物件情報の生成処理を行う場合(
図3ステップS11)、先ず、物件情報サーバSVの制御部1は、当該室内画像データに映っている室内空間の三次元モデルを表わす上記室内空間画像を生成する(ステップS110乃至ステップS116)。より具体的に、先ず、制御部1の境界線抽出部11は、当該室内画像データに相当する室内画像から、対応する室内空間の天井に相当する天井画像と各壁に相当する壁画像との境界線、当該各壁に相当する壁画像同士の境界線、及び室内空間の床に相当する床画像と各壁に相当する壁画像との境界線を、それぞれ抽出する(ステップS110)。より具体的に、境界線抽出部11は、例えば
図6(a)に例示する室内画像Dから、天井画像CLと各壁画像W1乃至壁画像W4との境界線BCW1乃至BCW4をそれぞれ抽出する。また、境界線抽出部11は、室内画像Dから、各壁画像W1乃至壁画像W4同士の境界線BW12、境界線BW23、境界線BW34及び境界線BW14をそれぞれ抽出する。更に、境界線抽出部11は、室内画像Dから、床画像FLと各壁画像W1乃至壁画像W4との境界線BFW1乃至BFW4をそれぞれ抽出する。このとき、各境界線BCW1等の抽出自体は、従来と同様の画像内の面同士の境界線の抽出方法を用いることができる。
【0052】
ステップS110で各境界線BCW1等が室内画像Dから抽出されたら、次に、制御部1の画像抽出部12は、上記各境界線BCW1等に基づいて、各境界線BCW1等で囲まれる面(
図6(a)参照)を、上記天井画像CL、上記壁画像W1乃至壁画像W4及び上記床画像FLとして抽出する(ステップS111)。このとき、天井画像CL等の抽出自体は、従来と同様の画像抽出方法を用いることができる。
【0053】
ステップS111で天井画像CL等が抽出されたら、次に、制御部1の交点抽出部13は、上記各境界線BCW1等に基づいて、各境界線BCW1等が交わる交点を、当該室内空間の部屋角CN(
図6(a)に一例を示す)としてそれぞれ抽出する(ステップS112)。このときの部屋角CNの抽出自体は、従来と同様の線分の鋭角の交点抽出方法を用いることができる。
【0054】
ステップS112で部屋角CNが抽出されたら、次に、制御部1の水平距離検出部14は、室内画像Dに基づいて、ステップS112で抽出された各部屋角CNへの、全天球カメラCからの水平距離を検出する(ステップS113)。即ち水平距離検出部14は、全天球カメラCの位置P(
図6(b)参照)を通って床から立てた垂線と、ステップS112で抽出された各部屋角CNと、の間の当該床に平行な方向の距離をそれぞれ検出する。このときの各水平距離の検出自体は、従来と同様の全天球カメラCを用いた当該水平距離の検出方法を用いることができる。
【0055】
ステップS113で各部屋角CNまでの全天球カメラCからの水平距離が検出されたら、次に、制御部1の距離算出部15は、ステップS112で抽出された各部屋角CNへの、全天球カメラCのカメラ部30からの距離Lを算出する(ステップS114)。即ち距離算出部15は、
図6(b)に示すように、ステップS113で検出されている各水平距離PLと、室内画像データに付加されていた上記設置位置データにより示されるカメラ部30の床からの高さHと、に基づいて、上記距離Lを部屋角CNごとに算出する。このとき、カメラ部30の位置及び撮像方向は、室内空間内のユーザの視点の位置及び視線の方向にそれぞれ対応している
【0056】
ステップS114で各部屋角CNへのカメラ部30からの距離Lがそれぞれ算出されたら、次に、制御部1の画像処理部10は、ステップS111で抽出されている各天井画像CL等に対して、当該算出された距離Lを用いた伸縮処理及び膨張処理を施し、各天井画像CL等における歪みを補正する(ステップS115)。より具体的に、画像処理部10は、例えば境界線BCW1、境界線BW14、境界線BFW1及び境界線BW12で囲まれた壁画像W1(
図6(a)参照)について、カメラ部30の位置から(つまり室内空間の一点の位置から)各部屋角CNまでの距離Lを用いた伸縮処理及び膨張処理を含む補正処理を施し、
図7(a)に例示する歪みを含んだ壁画像W1から、
図7(b)に例示する歪みのない(方形の)補正壁画像MW1を生成する。更に、画像処理部10は、同様の歪み補正処理を天井画像CL、壁画像W2乃至壁画像W4及び床画像FLに対してそれぞれ施し、補正天井画像MCL、補正壁画像MW2乃至補正壁画像MW4及び補正床画像MFLをそれぞれ生成する。
【0057】
その後、画像処理部10は、ステップS115でそれぞれ生成された補正壁画像MW1等を、
図7(c)に例示するように室内空間に相当する六面図として組み合わせることで、
図8(a)に示すような、上記ステップS10で受信した室内画像データに映っている室内空間の三次元モデルを表わす上記室内空間画像Rを生成する(ステップS116)。この室内空間画像Rを用いることにより、例えば元の室内画像データに付加されていた設置位置データに基づいて観る者(例えば端末Tのユーザ)の視点及び視線を変えることで、その室内空間画像Rで三次元モデルが表わされている室内空間を移動しながら、観る者の視点でその室内空間を観察することができる。
【0058】
次に、制御部1は、同一の物件識別データが付加された複数の室内画像データが受信されているか否かを判定する(ステップS117)。ステップS117の判定において、同一の物件識別データが付加された複数の室内画像データが受信されていない場合(ステップS117:NO)、制御部1は、後述するステップS119に移行する。一方、ステップS117の判定において、同一の物件識別データが付加された複数の室内画像データが受信されている場合(ステップS117:YES)、一つの物件について室内画像データが複数送信されている、即ち、当該物件について複数の室内空間があることになる。この場合に、画像処理部10は、各室内画像データに対応する上記室内空間画像Rを接続し、当該複数の室内空間を含む物件全体の三次元モデルを表す室内空間画像を生成する(ステップS118)。より具体的に、画像処理部10は、例えばドアを介して接続されている二つの室内空間があった場合、
図8(b)に例示するように、当該各室内空間を撮像した室内画像データを用いてそれぞれ生成された、当該室内画像データにそれぞれ対応する室内空間画像R1及び室内空間画像R2に共通の部分(
図8(b)に例示する場合はドア画像DR)を検出し、その検出結果が共有されるように、室内空間画像R1と室内空間画像R2とを接続する。ここで、ステップS118において用いられる接続方法としてより具体的には、例えば以下に説明するi)特徴量を利用して室内空間画像同士を接続する方法と、ii)配置を利用して室内空間画像を接続する方法、の二通りが挙げられる。
【0059】
i)
特徴量を利用して室内空間画像同士を接続する方法
特徴量を利用して室内空間画像同士を接続する方法を用いる場合、画像処理部10は、元の室内画像データに映っている室内空間における特徴的な部分(例えば、窓又はその室内空間同士を行き来するためのドア等)の画像の特徴量を、室内空間画像ごとに検出する。より具体的に、画像処理部10は、
図8(b)に例示するドア画像DRについて、室内空間画像R1側から見た場合のその特徴量と、室内空間画像R2側から見た場合のその特徴量と、をそれぞれ検出する。このときの「特徴量」とは、例えばドアの場合は、ドア全体の形状、ドアノブの位置、ドア表面の模様又は色合い等の特徴を定量的に示すパラメータである。また、例えば二つの室内空間に共通の窓の場合の特徴量とは、窓としての全体形状、その構造上の特徴(左右引き戸形式等)、色合い(透明か否かを含む)等の特徴を定量化したパラメータである。そして、画像処理部10は、室内空間画像R1及び室内空間画像R2についてそれぞれ検出した上記特徴量を比較し、それらが同一のドア又は窓等に相当すると判定された場合、それらを間に介して、室内空間画像R1と室内空間画像R2を接続する(ステップS118)。なお、上記特徴量を検出する場合、上記ドア等のように壁等の一部ではなく、当該壁や床等の全体を対象として特徴量を検出するように構成することもできる。
【0060】
ii)
配置を利用して室内空間画像同士を接続する方法
配置を利用して室内空間画像同士を接続する方法を用いる場合、画像処理部10は、元の室内画像データに映っている室内空間における上記特徴的な部分の画像の、それが含まれている室内空間画像の部分(例えば、それが含まれている壁画像)における配置を、室内空間画像ごとに検出する。より具体的に、画像処理部10は、
図8(b)に例示するドア画像DRについて、室内空間画像R1側から見た場合の壁全体におけるその配置と、室内空間画像R2側から見た場合の壁全体におけるその配置と、をそれぞれ検出する。このときの「配置」とは、例えばドアの場合は、ドア全体の寸法、又はそれが含まれている壁におけるその位置(例えば、その壁の端部からの距離や壁全体の広さに対する比率を含む。以下、同様。)を示すパラメータである。また、例えば二つの室内空間に共通の窓の場合は、窓全体の寸法、又はそれが含まれている壁におけるその位置を示すパラメータである。そして、画像処理部10は、室内空間画像R1及び室内空間画像R2についてそれぞれ検出した上記配置を比較し、それらが同一のドア又は窓等に相当すると判定された場合、それらを間に介して、室内空間画像R1と室内空間画像R2を接続する(ステップS118)。
【0061】
次に、制御部1は、上記ステップS110乃至ステップS118により生成された室内空間画像R等に対して、その物件として必要な他の物件情報を付加し、
図3ステップS12で記録部3に記録すべき物件情報を生成する(ステップS119)。その後、制御部1は、
図3ステップS12に移行する。
【0062】
[V.物件情報表示処理]
次に、物件情報表示処理(
図3ステップS23)について、
図9を用いてより具体的に説明する。なお、
図9は本実施形態の物件情報表示処理を示すフローチャートである。
【0063】
即ち、
図3ステップS22において、受信された物件情報を端末Tで表示する場合(
図3ステップS23)、先ず、端末Tの画像処理部50は、
図3ステップS22で受信した物件情報に含まれている室内空間画像を、操作表示部8のディスプレイに表示する(ステップS230)。このとき、画像処理部50は、操作表示部8のタッチパネルを用いた視点及び視線の移動操作が行われた場合、当該移動操作に対応させて視点及び視線が移動するように、室内空間画像の表示態様を制御する。次に、制御部5は、一の室内空間から他の室内空間に移動する旨の移動操作が操作表示部8において実行されたか否かを監視する(ステップS231)。ステップS231の監視において移動操作が実行された場合(ステップS231:YES)、画像処理部50は、その移動操作に対応して室内空間画像を切り替え(即ち、視点を切り替え)、当該移動先の室内空間画像を上記ディスプレイに表示する(ステップS232)。その後、画像処理部50は上記ステップS230に戻って、移動先の室内空間画像の表示を行う。
【0064】
一方、ステップS231の監視において移動操作が実行されない場合(ステップS231:NO)、制御部5は、ステップS22で受信していた物件情報に含まれている他の物件情報を表示する旨の表示操作が操作表示部8のタッチパネルを用いて実行されたか否かを監視する(ステップS233)。ステップS233の監視において表示操作が実行されない場合(ステップS233:NO)、制御部5は
図3ステップS24に移行する。一方、ステップS233の監視において表示操作が実行された場合(ステップS233:YES)、画像処理部50は当該他の物件情報を操作表示部8のディスプレイに表示する(ステップS234)。その後、制御部5は、
図3ステップS24に移行する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態の物件情報提供処理によれば、室内空間の内部を全方位で撮像したパノラマ画像と、その室内空間を構成する壁、床及び天井それぞれの境界線BCW1等と、に基づいて天井画像CL、壁画像W1等及び床画像FLを抽出し、それらの歪みを補正する(
図5ステップS110乃至ステップS115参照)。その後、補正天井画像MCL、補正壁画像MW1等及び補正床画像MFLを組み合わせて、室内空間に相当する三次元モデルを表す室内空間画像Rを生成する(
図5ステップS116参照)。よって、対応する間取り図画像が取得できない場合でも、例えば不動産仲介業者が撮像したパノラマ画像から、その室内空間に相当する三次元モデルを表す室内空間画像Rを自動的に生成することができ、当該室内空間画像Rを簡便に又は手軽に生成することができる。
【0066】
また、室内空間の内部を全方位で撮像したパノラマ画像を用いて室内空間画像Rを生成するので、一つの室内空間の全てを一度に撮像して室内空間画像Rを簡便に又は手軽に生成することができる。
【0067】
更に、抽出された境界線BCW1等に基づいて、補正天井画像MCL等を組み合わせて室内空間画像Rを生成するので、より正確に室内空間画像Rを生成することができる。
【0068】
更にまた、室内空間が天井、床及び四つの壁から構成されており、境界線BCW1等に基づき、天井画像CL、床画像FL及び四つの壁画像W1等をパノラマ画像から抽出するので、天井、床及び四つの壁の六面からなる室内空間に相当する三次元モデルを表す室内空間画像Rを簡便に又は手軽に生成することができる。なお、上述した実施形態では、天井、床及び四つの壁から構成されている室内空間に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、室内空間が、天井及び床に加えて、三つの壁、或いは五つ以上の壁から構成されている場合に本発明を適用することも可能である。
【0069】
また、パノラマ画像から部屋角CNを抽出し、その部屋角CNと、全天球カメラCの位置を通って床から立てた垂線と、の間の当該床に平行な方向(通常は水平方向)の距離をパノラマ画像に基づいてそれぞれ検出し、その距離と、全天球カメラCの床からの高さHと、に基づいて、全天球カメラCの位置から各部屋角CNまでの距離をそれぞれ算出する。そして、各部屋角CN及び当該各距離に基づき、天井画像CL等の歪みを補正して補正天井画像MCL等を生成する。よって、各部屋角CNと、各部屋角CNまでの全天球カメラCの位置からの各距離と、に基づいて補正天井画像MCL等を生成するので、正確に当該補正を施すことができる。
【0070】
更に、室内空間画像Rに基づいて室内空間を含む物件検索用の物件情報を生成するので(
図5ステップS116及びステップS119参照)、物件の内容を認識し易い状態で、その物件の物件情報を生成することができる。
【0071】
更にまた、物件情報が室内空間画像Rを含むので(
図5ステップS116及びステップS119参照)、物件の内容をより認識し易い状態で、その物件の物件情報を生成することができる。
【0072】
また、複数の室内空間画像Rをそれぞれ構成する補正天井画像MCL、補正壁画像MW1等及び補正床画像MFLそれぞれの一部又は全部の特徴量に基づいて室内空間画像R同士を接続する場合(
図5ステップS118参照)は、隣接する複数の室内空間に相当する室内空間画像をパノラマ画像から簡便に又は手軽に生成することができる。
【0073】
一方、複数の室内空間画像Rをそれぞれ構成する補正天井画像MCL、補正壁画像MW1等及び補正床画像MFLのいずれか内に撮像されたドア等の配置に基づいて室内空間画像R同士を接続する場合(
図5ステップS118参照)でも、隣接する複数の室内空間に相当する室内空間画像をパノラマ画像から簡便に又は手軽に生成することができる。
【0074】
更に、一軒家又は集合住宅の一室について検出されたドア等を用いて、当該一軒家又は当該集合住宅の一室に相当する三次元モデルを表す室内空間画像を生成する場合(ステップS118参照)は、一軒家又は集合住宅の一室についての室内空間画像を簡便に又は手軽に生成することができる。
【0075】
更にまた、一軒家又は集合住宅の一室についての室内空間画像に基づいて当該一軒家又は集合住宅の一室の検索に用いられる物件情報を生成する場合は(
図5ステップS118及びステップS119参照)、当該一軒家等の物件の内容を認識し易い状態で物件情報を生成することができる。
【0076】
また、一軒家又は集合住宅の一室についての室内空間画像を当該物件情報に含ませる場合は(
図5ステップS119参照)、一軒家等の内容をより認識し易い状態で物件情報を生成することができる。
【0077】
なお、以上のように本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記本実施形態から種々構成等に変更を加えてもよく、その場合も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、上述した本実施形態では、全天球カメラCを用いて室内空間の全方位を一度に撮像してパノラマ画像たる室内画像データを得る場合について説明したが、これ以外に、撮像対象たる室内空間内で例えばスマートフォンを移動させながら室内を連続撮影して得られた画像を組み合わせることで、本実施形態の室内画像データとして必要な画像(当該室内空間の全方位画像)を合成するように構成してもよい。この場合は、スマートフォンにより連続撮像された画像を物件情報サーバSVで取得し合成して、当該室内空間の全方位画像を得るように構成するのが好適である。
【0078】
また、
図3及び
図5に示すフローチャートに相当するプログラムを光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークから取得して記録しておき、これを汎用のマイクロコンピュータで読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータを、本実施形態の制御部1、制御部5又は制御部31として機能させることも可能である。