【解決手段】原料として麦原料及びホップを含まず、色度が7以上18以下であり、プリン体含有量が0.20mg/100mL以上である、ビールテイスト飲料。原料として、大豆原料及びエンドウ原料からなる群より選択される少なくとも1種を含有し、また、カラメルを含む、ビールテイスト飲料。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として麦原料及びホップを含まないビールテイスト飲料であって、色度が7以上18以下であり、プリン体含有量が0.20mg/100mL以上である。
【0014】
本明細書において、ビールテイスト飲料とは、ビール様の香味を有する飲料を意味する。ビールテイスト飲料は、アルコール度数が1v/v%以上であるアルコール飲料(ビールテイストアルコール飲料)であってもよく、アルコール度数が1v/v%未満であるノンアルコール飲料(ノンビールテイストアルコール飲料)であってもよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、ビールテイスト飲料としてのアルコール感を担保する観点から、アルコール度数が1v/v%以上であるビールテイストアルコール飲料であることが好ましい。ビールテイストアルコール飲料は、例えば、蒸留アルコールを添加したものであってもよい。なお、アルコール度数とは、ビールテイスト飲料に含まれるエタノールの含有量を意味する。
【0015】
ビールテイストアルコール飲料としては、これに限られるものではないが、例えば、酒税法(平成二八年三月三一日法律第一六号)上のビール、発泡酒、その他の発泡性酒類、リキュールに分類されるものが挙げられる。本実施形態に係るビールテイストアルコール飲料は、上記例示したものに限られない。
【0016】
ビールテイストアルコール飲料のアルコール度数の下限は、豆臭及び焦げ臭がより抑制されるという観点、及び味の厚みがより優れたものとなるという観点から、例えば、1v/v%以上、2v/v%以上、3v/v%以上、4v/v%以上、又は5v/v%以上であってもよい。また、ビールテイストアルコール飲料のアルコール度数の上限は、例えば、20v/v%以下、15v/v%以下、10v/v%以下、9v/v%以下、8v/v%以下、7v/v%以下、6v/v%以下、5v/v%以下、4v/v%以下、又は3v/v%以下であってもよい。
【0017】
ノンアルコールビールテイスト飲料は、実質的にアルコールを含有しないビールテイスト飲料である。ノンアルコールビールテイスト飲料のアルコール度数は、1v/v%未満であればよく、0.5v/v%以下であってよく、0.1v/v%以下であってよく、0.005v/v%未満(0.00v/v%)であってもよい。また、ノンアルコールビールテイスト飲料のアルコール度数は、0.1v/v%以上、0.3v/v%以上、又は0.5v/v%以上であってもよい。
【0018】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、発泡性であってもよく、非発泡性であってもよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、焦げ臭がより抑制されるという観点、及び味の厚みがより優れたものとなるという観点から、発泡性であることが好ましい。本明細書において発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm
2)以上であることをいい、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm
2)未満であることをいう。発泡性とする場合、ガス圧の上限は0.294MPa(3.0kg/cm
2)程度であってもよく、0.235MPa(2.4kg/cm
2)程度であってもよい。
【0019】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の色度は、7以上18以下であればよい。ビールテイスト飲料の色度は、麦様の香りにより優れるという観点から、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上又は14以上であってよく、焦げ臭がより抑制されるという観点から、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下又は10以下であってよい。ビールテイスト飲料の色度は、味の厚み及び麦様の香りがより優れたものとなるという観点から、8以上17以下、9以上16以下、9以上15以下、又は9以上12以下であってよい。
【0020】
色度は、例えば改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.8 色度 8.8.2 吸光度法」に記載されている方法によって測定することができる。色度は、例えば、ビールテイスト飲料に着色料(例えば、カラメル(カラメル色素)、ベニバナ色素、カカオ色素、クチナシ色素、パプリカ色素、マリーゴールド色素、トマト色素、赤キャベツ色素、エルダーベリー色素、紫芋色素、赤ダイコン色素)を配合し、その配合量を調整することにより、上記範囲内に適宜設定することができる。
【0021】
本実施形態に係るビールテイスト飲料のプリン体含有量は、ビールテイスト飲料全量基準で、0.20mg/100mL以上であればよい。ビールテイスト飲料のプリン体含有量は、ビールテイスト飲料全量基準で、味の厚みがより優れたものとなるという観点から、0.25mg/100mL以上、0.30mg/100mL以上、0.35mg/100mL以上、又は0.40mg/100mL以上であってよく、豆臭がより抑制されるという観点から、3.0mg/100mL以下、1.5mg/100mL以下、1.0mg/100mL以下、0.80mg/100mL以下、0.60mg/100mL以下、0.50mg/100mL以下、又は0.40mg/100mL以下であってよい。ビールテイスト飲料のプリン体含有量は、ビールテイスト飲料全量基準で、麦様の香りがより優れたものとなるという観点から、0.20mg/100mL以上1.0mg/100mL以下、0.20mg/100mL以上0.80mg/100mL以下、0.25mg/100mL以上0.80mg/100mL以下、0.25mg/100mL以上0.60mg/100mL以下、又は0.25mg/100mL以上0.50mg/100mL以下であってよい。
【0022】
プリン体含有量は、アデニン、キサンチン、グアニン、及びヒポキサンチンのプリン体塩基4種の含有量の総量である。ビールテイスト飲料中のプリン体含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定することができる。
【0023】
プリン体含有量は、例えば、原料の種類及び使用量を調整することにより、調整することができる。より具体的には、例えば、植物由来の原料(大豆ペプチド、エンドウタンパク分解物等)を配合し、その配合量を調整することにより、調整することができる。
【0024】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として麦原料を含んでいないものである。本明細書において麦原料とは、麦又は麦加工物をいう。麦としては、例えば、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦、エン麦が挙げられる。麦加工物としては、例えば、麦エキス、麦芽、モルトエキスが挙げられる。麦エキスは、麦から糖分及び窒素分を含む麦エキス分を抽出することにより得られる。麦芽は麦を発芽させることにより得られる。モルトエキスは、麦芽から糖分及び窒素分を含むエキス分を抽出することにより得られる。
【0025】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料としてホップを含んでいないものである。ホップには、乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキスが含まれ、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ、イソ化ホップエキス等のホップ加工品も含まれる。
【0026】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、大豆原料を含んでいてよい。本明細書において、大豆原料とは、大豆又は大豆加工物をいう。大豆加工物は、例えば、大豆タンパク質又はその分解物が挙げられる。大豆原料は、好ましくは大豆タンパク質又はその分解物であり、より好ましくは大豆タンパク質分解物(大豆ペプチド等)である。大豆原料は、市販品を用いることができる。例えば、市販の大豆タンパク質分解物の例としては、ハイニュート−DC6(不二製油株式会社製)等が挙げられる。
【0027】
例えば、本実施形態に係るビールテイスト飲料が大豆原料として大豆ペプチドを含有する場合、大豆ペプチドの含有量は、ビールテイスト飲料の色度及びプリン体含有量が上記範囲内であれば特に制限されないが、ビールテイスト飲料全量基準で、0.7g/350mL以上、0.9g/350mL以上、1.1g/350mL以上、又は2.7g/350mL以上であってよく、3.9g/350mL以下、2.7g/350mL以下、1.2g/350mL以下、又は1.0g/350mL以下であってよい。ビールテイスト飲料の大豆ペプチド含有量は、例えば、ビールテイスト飲料全量基準で、0.7g/350mL以上3.9g/350mL以下であってよい。
【0028】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、エンドウ原料を含んでいてよい。本明細書において、エンドウ原料とは、エンドウ又はエンドウ加工物をいう。エンドウ加工物は、例えば、エンドウタンパク質又はその分解物が挙げられる。エンドウ原料は、好ましくはエンドウタンパク質及びその分解物からなる群より選択される少なくとも1種である。エンドウ原料としては、市販品を用いることができる。
【0029】
本実施形態に係るビールテイスト飲料がエンドウ原料を含有する場合、エンドウ原料の含有量は、ビールテイスト飲料の色度及びプリン体含有量が上記範囲内であれば特に制限されないが、例えば、ビールテイスト飲料全量基準で、1.4g/350mL以上、1.7g/350mL以上、2.1g/350mL以上、3.1g/350mL以上、又は4.9g/350mL以上であってよく、5.6g/350mL以下、4.9g/350mL以下、3.2g/350mL以下、2.1g/350mL以下、又は1.8g/350mL以下であってよい。エンドウ原料の含有量は、例えば、ビールテイスト飲料全量基準で、1.4g/350mL以上5.6g/350mL以下であってよい。
【0030】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として、大豆原料及びエンドウ原料からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、大豆原料を含むことがより好ましい。
【0031】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として麦原料、大豆原料及びエンドウ原料以外の植物原料(他の植物原料)を含んでいてもよい。他の植物原料としては、例えば、とうもろこし、米類、コウリャン等の穀類;馬鈴薯、サツマイモ等のイモ類等が挙げられる。他の植物原料としては、1種を単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料としてスターチ、グリッツ等の澱粉原料を含んでいてもよい。
【0032】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、カラメルを含んでいてよい。カラメルは、でん粉加水分解物、糖蜜又は糖類の食用炭水化物を熱処理して得られるものであり、食品添加物として利用されている。カラメルは、製造方法に応じて、カラメルI、カラメルII、カラメルIII及びカラメルIVに分類されるが、本実施形態に係るビールテイスト飲料において、カラメルを使用する場合には、いずれを用いてもよい。カラメルは、粉末状、ペースト状又は液体状のいずれの形態のものであってもよい。カラメルは市販品を用いることができる。
【0033】
本実施形態に係るビールテイスト飲料がカラメルを含有する場合、カラメルの含有量は、ビールテイスト飲料の色度及びプリン体含有量が上記範囲内であれば特に制限されないが、例えば、0.03g/350mL以上0.30g/350mL以下、又は0.05g/350mL以上0.30g/350mL以下であってよい。
【0034】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、カラメル以外の着色料(他の着色料)を含んでいてよい。他の着色料としては、ベニバナ色素、カカオ色素、クチナシ色素、パプリカ色素、マリーゴールド色素、トマト色素、赤キャベツ色素、エルダーベリー色素、紫芋色素、赤ダイコン色素が挙げられる。他の着色料の含有量は、本実施形態に係るビールテイスト飲料の色度及びプリン体含有量が上記範囲内であれば、適宜設定することができる。
【0035】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の苦味価は、麦様の香りがより優れたものとなるという観点から、5未満、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、1.0以下、0.5以下又は0であってよく、0.5以上、1.0以上、1.5以上、2.0以上、2.5以上、3.0以上であってよい。
【0036】
苦味価は、例えば改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.15 苦味価」に記載されている方法によって測定することができる。苦味価は、例えば、原料の種類及び使用量を調整することにより、上記範囲で適宜設定することができる。
【0037】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量は、0.5g/100ml未満であってよい。本明細書における糖質とは、食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)に基づく糖質をいう。具体的には、糖質は、食品から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、水分及びアルコール分を除いたものをいう。また、食品中の糖質の量は、当該食品の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、水分及びアルコール分の量を控除することにより算定される。タンパク質、脂質、灰分、水分の量は、栄養表示基準に掲げる方法により測定する。アルコール分の量は、水分量とともに測定することができる。具体的には、タンパク質の量は改良デュマ法による全窒素(タンパク質)の定量法で測定し、脂質の量はエーテル抽出法、クロロホルム・メタノール混液抽出法、ゲルベル法、酸分解法又はレーゼゴットリーブ法で測定し、灰分の量は酢酸マグネシウム添加灰化法、直接灰化法又は硫酸添加灰化法で測定し、水分及びアルコール分の量はカールフィッシャー法、乾燥助剤法、減圧加熱乾燥法、常圧加熱乾燥法又はプラスチックフィルム法で測定する。
【0038】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量は、0.4g/100mL未満、0.3g/100mL未満、0.2g/100mL未満、又は、0.1g/100mL未満であってもよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量は0.1g/100mL以上、0.2g/100mL以上、又は、0.3g/100mL以上であってもよい。ビールテイスト飲料の糖質含有量は、公知の方法によって調整することができ、例えば、製造工程における酵素(特に多糖分解酵素)の添加量、原料の種類及び使用量等を調整することによって所望の程度に低減することができる。
【0039】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、非発酵飲料(ビールテイスト非発酵飲料)であってもよい。非発酵飲料は、酵母等による発酵を行わずに製造されるものである。
【0040】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、飲料に通常配合される香料を含んでいてよい。香料としては、例えば、ビール香料が挙げられる。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、豆臭がより抑制され、麦様の香り及び味の厚みがより優れたものとなるという観点から、香料を含むことが好ましく、ビール香料を含むことがより好ましい。
【0041】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、飲料に通常配合される甘味料、酸味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、塩類等の添加剤を含んでいてもよい。
【0042】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、容器に入れて提供することができる。容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
【0043】
本実施形態に係る原料として麦原料及びホップを含まないビールテイスト飲料の製造方法は、ビールテイスト飲料の色度が7以上18以下、ビールテイスト飲料のプリン体含有量が0.20mg/100mL以上となるように調整することを含む。
【0044】
以下、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法の一例を説明する。当該製造方法は、水と、麦原料及びホップ以外の原料と、必要に応じて蒸留アルコールと、を原料タンクに配合する配合工程を含む。配合工程は、各成分がよく混ざるよう、撹拌機等により撹拌しながら混合してもよい。
【0045】
本実施形態に係る製造方法において、色度及びプリン体含有量は、使用する原料及びその使用量を調整することにより調整することができる。具体的には、例えば、ビールテイスト飲料の色度は、原料として着色料(例えば、カラメル、ベニバナ色素、カカオ色素、クチナシ色素、パプリカ色素、マリーゴールド色素、トマト色素、赤キャベツ色素、エルダーベリー色素、紫芋色素、赤ダイコン色素)を使用し、その使用量を調整することにより、上記範囲内に調整することができる。また、ビールテイスト飲料のプリン体含有量は、例えば、原料として、麦原料以外の植物原料(例えば、大豆原料、エンドウ原料)を使用し、その使用量を調整することにより、上記範囲内に調整することができる。
【0046】
本実施形態に係る製造方法は、配合工程以外の工程(他の工程)を含んでいてよい。他の工程としては、例えば、後述する、ろ過工程、充填工程、第一の殺菌工程(充填前殺菌工程)、第二の殺菌工程(充填後殺菌工程)が挙げられる。以下、これらの工程について説明する。
【0047】
ろ過工程では、配合工程において各成分を混合して得た混合液をろ過する。ろ過工程は、一般的なフィルター又はストレーナーによって行うことができる。
【0048】
充填工程では、ろ過液をビン、缶、ビン、ペットボトル等の容器に充填する。充填工程は、飲料品の製造において通常行われる程度にクリーン度を保ったクリーンルームにて充填してもよい。
【0049】
第一の殺菌工程(充填前殺菌工程)では、充填前に殺菌を行う。第一の殺菌工程では、ろ過工程でろ過したろ過液に対して殺菌を行ってもよく、配合工程において各成分を混合して得た混合液に対して殺菌を行ってもよい。すなわち、第一の殺菌工程は、濾過工程後に実施してもよく、濾過工程前に実施してもよい。第一の殺菌工程は、処理速度等の観点から、プレート殺菌によって行ってもよく、同様の処理を行うことができるのであれば、これに限定されることなく適用可能である。
【0050】
第二の殺菌工程(充填後殺菌工程)では、充填液(充填工程で容器に充填されたろ過液)を容器ごと殺菌する。第二の殺菌工程は、所定の温度及び所定の時間で充填液を容器ごと加熱することにより行うことができる。
【0051】
第一及び第二の殺菌工程は、ビールテイスト飲料の香味を維持しやすいという観点から、実施しなくてもよい。例えば、第一の殺菌工程及び第二の殺菌工程を行わない無殺菌充填を行うことも可能である。また、発泡性のビールテイスト飲料とする場合は、例えば、第一の殺菌工程と充填工程の間でカーボネーションを行うとよい。
【0052】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、麦様の香りに優れるという効果を奏する。したがって、本発明の一実施形態として、原料として麦原料及びホップを含まないビールテイスト飲料の麦様の香りを改善する方法であって、ビールテイスト飲料の色度が7以上18以下、ビールテイスト飲料のプリン体含有量が0.20mg/100mL以上となるように調整することを含む、方法が提供される。
【実施例】
【0053】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0054】
[試験例1:色度及びプリン体含有量による効果1]
水に、大豆ペプチド(ハイニュート−DC6、不二製油株式会社製)と、カラメルS−239(池田糖化工業株式会社製)と、を表1〜3に示す含有量となるように添加し、場合により、ホップエキス、スピリッツ、若しくはビール香料の添加を行い、場合により、炭酸水を用いて、ビールテイスト飲料を製造した。
【0055】
得られたビールテイスト飲料の色度及びプリン体含有量の測定結果を表1〜3に示す。色度は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.8 色度 8.8.2 吸光度法」に記載されている方法によって測定した。また、プリン体含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。
【0056】
得られたビールテイスト飲料について官能評価を行った。結果を表1〜3に示す。官能評価は、選抜された識別能力のある4名のパネルにより、「麦様の香り」、「豆臭」、「焦げ臭」及び「厚み」の評価項目について行った。各評価項目は、5段階で官能評価を行い、その平均値を評価スコアとした。官能評価を行うに際して、パネル間で摺合せを実施し、評価基準を統一させた。
【0057】
麦様の香りの官能評価では、評点が高いほど、麦様の香りが強いことを示し、比較例1−1の評点を1.0点、実施例2−4の評点を5.0点に設定して、評価を実施した。豆臭の官能評価では、評点が低いほど、豆臭が弱いことを示し、実施例1−1の評点を1.0点、実施例1−8の評点を5.0点に設定して、評価を実施した。焦げ臭の官能評価では、評点が低いほど、焦げ臭が弱いことを示し、比較例1−1の評点を1.0点、実施例2−4の評点を5.0点に設定して、評価を実施した。厚みの官能評価では、評点が高いほど、味に厚みがあることを示し、実施例1−1の評点を1.0点、実施例1−8の評点を5.0点に設定して、評価を実施した。
【0058】
参考例1−1のビールテイスト飲料の苦味価(BU)は10であり、他の実施例及び比較例のビールテイスト飲料の苦味価は、いずれも5未満であった。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
原料として麦原料及びホップを含まないビールテイスト飲料において、色度が7以上18以下であり、プリン体含有量が0.20mg/100mL以上である、実施例のビールテイスト飲料は、色度が7未満の比較例のビールテイスト飲料と比べて、麦様の香りに優れていた。色度が7以上18以下であるビールテイスト飲料において、プリン体含有量が0.25mg/100mL以上0.50mg/100mL以下である場合、麦様の香りが特に優れたものとなった。
【0063】
豆臭は、プリン体含有量が増加するにつれて、強くなることが示された。また、焦げ臭は、色度が大きくなるにつれて、強くなることが示された。色度が10であるビールテイスト飲料において、プリン体含有量を増加させると、味の厚みがより優れたものとなることが示された。表2に示すとおり、プリン体含有量が0.30mg/100mLであるビールテイスト飲料において、色度が8以上14以下である場合に味の厚みがより優れたものとなった。
【0064】
苦味価が10未満である、実施例のビールテイスト飲料は、苦味価が10である参考例のビールテイスト飲料と比べ、麦様の香りにより優れていた。アルコール度数5v/v%であるビールテイスト飲料は、味の厚みがより優れたものとなり、豆臭及び焦げ臭がより抑制された(実施例3−2と実施例3−1との比較)。ビールテイスト飲料がビール香料を含む場合、麦様の香り及び味の厚みがより優れたものとなった(実施例3−3と実施例3−1との比較)。ビールテイスト飲料が発泡性である(炭酸ガスを含有する)場合、味の厚みがより優れたものとなった(実施例3−4と実施例3−1との比較)。
【0065】
[試験例2:色度及びプリン体含有量による効果2]
大豆ペプチドの代わりに、エンドウタンパク(オルガノフードテック株式会社製)を用いたこと以外は、試験例1と同様にして、色度及びプリン体含有量が表4〜6に示すとおりであるビールテイスト飲料を調製した。得られたビールテイスト飲料について、試験例1と同様にして、官能評価を行った。結果を表4〜6に示す。官能評価を行うに際して、パネル間で摺合せを実施し、評価基準を統一させた。
【0066】
試験例2においては、麦様の香りの官能評価では、比較例2−1の評点を1.0点、実施例5−4の評点を5.0点に設定した。豆臭の官能評価では、実施例4−1の評点を1.0点、実施例4−6の評点を5.0点に設定し、焦げ臭の官能評価では、比較例2−1の評点を1.0点、実施例5−4の評点を5.0点に設定し、厚みの官能評価では、実施例4−1の評点を1.0点、実施例4−6の評点を5.0点に設定した。
【0067】
参考例2−1のビールテイスト飲料の苦味価(BU)は10であり、他の実施例及び比較例のビールテイスト飲料の苦味価は、いずれも5未満であった。
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
大豆ペプチドの代わりにエンドウタンパク質分解物を用いた場合であっても、試験例1と同様に、原料として麦原料及びホップを含まないビールテイスト飲料において、色度が7以上18以下であり、プリン体含有量が0.20mg/100mL以上である、実施例のビールテイスト飲料は、色度が7未満の比較例のビールテイスト飲料と比べて、麦様の香りに優れていることが示された。