【実施例】
【0012】
図1に示すように、実施例に係るインストルメントパネル10には、助手席の前側に対応する部分に、装飾部20が設けられており、装飾部20により該インストルメントパネル10の一部領域が構成されている。
図2に示すように、装飾部20は、車室に露出する表面を構成する表皮材22と、表皮材22を支持する導光部24とを備えている。装飾部20は、該装飾部20の意匠形状に合わせて予め成形された導光部24の表面に沿わせて、表皮材22が接合された複層構造の板状体である。装飾部20は、導光部24の形状によって該装飾部20のおおよその意匠形状が形作られると共に、表皮材22によって意匠面が構成される。インストルメントパネル10における装飾部20以外の本体部分は、インストルメントパネル10の剛性を担保する基材12と、基材12の表側を覆って該インストルメントパネル10における車室に臨む表面を構成する本体表皮材14とから構成されている(
図1参照)。なお、装飾部20を構成する表皮材22と、インストルメントパネル10の本体部分を構成する本体表皮材14とは、素材や構成等が同じであっても、異なっていても、何れであってもよい。
【0013】
図2に示すように、導光部24は、表皮材22の裏側に重ねて配置されて、可撓性を有する表皮材22を支持する基材としても機能している。導光部24は、透明や半透明など、光を透過可能な合成樹脂で構成されており、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、PET樹脂、ポリカーボネートなどの硬質な合成樹脂が用いられる。導光部24は、例えば2.5mm程度の厚さに設定される。
図2および
図3に示すように、導光部24は、表皮材22が重なる表面と交差するように延在する端面に、光入射部26が設けられ、光入射部26に向けて照射される光によって該表面が面発光可能に構成されている。導光部24における表面の面発光を可能とする構成としては、例えば、光透過可能な合成樹脂中に光を拡散する微細な拡散材を分散させる構成がある。また、導光部24の裏面に光を反射する金属箔や金属蒸着膜等の反射面を形成する構成や、導光部24の表面に梨地等の凹凸を形成するなどにより該表面を粗面化する構成なども、導光部24の面発光可能な構成として採用可能であり、前述した構成を組み合わせてもよい。
図2および
図4に示すように、導光部24には、光入射部26が設けられた端面と反対側の端面に、光を反射する反射部28が設けられている。インストルメントパネル10の裏側には、LEDなどの光源30aを有する発光手段30が設置されており、光入射部26と対向配置された光源30aから該光入射部26に向けて照射した光によって、導光部24の表面全体が発光するようになっている。
【0014】
図2に示すように、表皮材22は、装飾部20の表面を形作る表層32と、表層32の裏側に積層された緩衝層34とを備えている。表皮材22は、表層32と緩衝層34とをフレームラミや接着剤などで貼り合わせて接合することや、表層32上で緩衝層34を発泡成形することなどで、表層32と緩衝層34とが一体化されている。表皮材22は、厚み方向に押した際に撓み、元の形状に戻ろうとする弾力性を有している。
【0015】
表層32は、光を透過しないソリッドの合成樹脂が用いられ、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)等の柔軟性を有する合成樹脂から形成される。表層32は、例えば、0.5mm〜0.8mm程度の厚みとされ、表層32を介して緩衝層34の弾力性などの特性が発揮されるように設定される。
【0016】
緩衝層34は、発泡体が用いられている。緩衝層34は、発泡体の中でも軟質発泡体を用いるとよく、例えば、ポリウレタンフォームや、ポリプロピレンフォームや、ポリエチレンフォームなどの発泡体を用いることができる。発泡体の気泡構造は、気泡が互いに連通する連続気泡構造または気泡が互いに独立している独立気泡構造の何れでもよいが、光の通り易さの観点から連続気泡構造のほうが好ましく、このような発泡体としては、例えば、ポリウレタンフォームのスラブ発泡品が挙げられる。また、緩衝層34をなす発泡体は、光の通り易さの観点から低密度品であることが望ましく、例えば、9kg/m
3〜80kg/m
3の範囲にあるような低い密度(JIS K 7222)であるとよい。緩衝層34をなす発泡体は、骨格が比較的細く、気泡を区切る膜がある場合でも該膜が薄いことが好ましい。
【0017】
図2〜
図4に示すように、表皮材22は、導光部24の表側に重なる位置に、表層32および緩衝層34を貫通するように形成された通光部36を有している。表皮材22は、面発光した導光部24の光を、通光部36を介して厚み方向へ通過を許容し、表層32で阻んで通光部36以外から光が漏れないようになっている。
図5に示すように、通光部36は、円形などの開口形状で形成されている。また、通光部36は、導光部24からの光が入射していない状態において視認しにくい開口寸法で形成され、例えば、直径1mm〜1.5mm程度に設定される。通光部36は、表皮材22の厚み方向へ亘って同じ開口寸法で形成しても(
図2〜
図4)、裏側が表側と比べて大きくなるように開口しても、表側が裏側と比べて大きくなるように開口しても、何れであってもよい。この中でも、裏側から表側に向かうにつれて開口が小さくなる通光部36は、表側から内側が見えることを防止できると共に、通光部36に導光部24からの光を集めやすいので好ましい。通光部36は、表皮材22に複数設けられ、何れの通光部36も同じ開口寸法であっても、異なる開口寸法の通光部36を組み合わせても(
図5)、何れであってもよい。
【0018】
表皮材22には、複数の通光部36が所定パターンの配列(
図5)またはランダムに配置されている。複数の通光部36の配置は、例えば、縦横に規則的に並ぶ態様や、三角形等の多角形状や円形状などの図形状に並ぶ態様や、数字や文字などの情報を表すように並ぶ態様など、様々な態様を選択可能である。装飾部20は、複数の通光部36の配置に応じて、通光部36が光ることによる単なる発光装飾だけでなく、例えば、通光部36の発光により車両のロゴなどを表示するなどを行うことができ、発光装飾の自由度が高い。このように、前述した装飾部(車両内装部材)20と発光手段30とにより、車両の装飾装置が構成されているともいえる。
【0019】
前述した装飾部20は、光入射部26に向けて光源30aから光が照射されると、導光部24の表面全体が面発光し、面発光の光が前側に重なる緩衝層34および表皮材22を貫通する通光部36に入る。緩衝層34は、多数の気泡で構成された発泡体であるので、入射した光の一部を通光部36に入射するように通したり、通光部36に入った光の一部が緩衝層34に入ったりするなど、光を拡散するように作用する。このように、装飾部20は、面発光する導光部24の光が緩衝層34によって拡散されるので、通光部36から前側に漏れる光を弱めて、通光部36を淡く光らせることができる。従って、装飾部20によれば、乗員の目を刺すような強い発光ではなく、眩しさを抑えた独特の風合いの発光装飾が得られる。特に、連続気泡構造の発泡体からなる緩衝層34を用いることで、緩衝層34において光を拡散し易くすることができるので好適である。装飾部20は、光入射部26が設けられた端面と反対側の端面に設けた反射部28によって、光入射部26に向けて入射される光を反射して、導光部24を効率よく面発光させることができる。
【0020】
(変更例)
前述した実施例の構成に限らず、例えば以下のように変更してもよい。
(1)実施例では、導光部を裏側全体に配置したが、発光装飾する部分のみに導光部を設け、その他の部分に不透明な硬質樹脂からなる基材を設ける構成であってもよい。
(2)複数の導光部を設けて、複数の導光部に対応して設置された光源により、各導光部が面発光する構成であってもよい。
(3)例えば、表皮材の表層に透明なフィルムを積層するなど、表皮材の層構成は適宜変更可能である。
(4)実施例では、表皮材の表層をソリッドの合成樹脂で形成したが、表層に本革を使用してもよい。
(5)車両内装部材としては、インストルメントパネルに限らず、ドアトリムやループパネルなど、その他であってもよい。