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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-107923(P2019-107923A)
(43)【公開日】2019年7月4日
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
   B60R 3/02 20060101AFI20190614BHJP
【FI】
   B60R3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-240464(P2017-240464)
(22)【出願日】2017年12月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】内藤 雄一
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022AA01
3D022AC10
3D022AD01
3D022AD05
3D022AE07
(57)【要約】
【課題】乗降用ステップが点検扉の正面に設置されていても、その乗降用ステップの収納機構を必要とせず、簡単な操作で点検扉を開放可能にできる搬送車を提供すること。
【解決手段】搬送車1の乗降用ステップ7は、点検扉5aの正面に設置され、スライド機構8によって、乗降用ステップ7が引出位置に配置されることで、引出位置での点検扉5aが開放可能となる。これにより、点検扉5aの開放を必要とする定期点検時等において、乗降用ステップ7をクレーンで吊り上げて取り外したり、逆にクレーンで吊り下げて再取り付けしたりという煩雑な作業が不要となる。即ち、乗降用ステップ7が点検扉5aの正面に設置されていても、乗降用ステップ7を引出位置へスライドさせるという簡単な操作で点検扉5aを開放可能にできる。更にスライドさせた乗降用ステップ7を収納する機構も必要としない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室と、その運転室の下方側に設けられた機械室と、その機械室を閉鎖する点検扉と、その点検扉の正面に設置されると共に前記運転室へ乗り込むために用いられる乗降用ステップとを備えた搬送車において、
前記点検扉の正面に設置される前記乗降用ステップを、前記点検扉が開放可能となる位置にスライドさせるスライド機構を有していることを特徴とする搬送車。
【請求項2】
前記スライド機構は、前記乗降用ステップが前記点検扉の正面に設置される乗降位置と、前記乗降位置にある前記乗降用ステップを前記点検扉が開放可能となる引出位置とにスライド自在にするものであり、
前記乗降用ステップをスライドさせるキャスタは、前記乗降用ステップの前記乗降位置側と前記引出位置側とに少なくとも2組設けられ、前記乗降位置側のキャスタは前記乗降用ステップに取り付けられ、前記引出位置側のキャスタは前記搬送車に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の搬送車。
【請求項3】
前記スライド機構は、前記乗降位置にある前記乗降用ステップを降りる方向へ引き出す或いは前記引出位置にある前記乗降用ステップを昇る方向へ押し出すことにより、前記乗降用ステップを前記乗降位置と前記引出位置とにスライド自在にするものであることを特徴とする請求項2記載の搬送車。
【請求項4】
前記乗降用ステップが前記乗降位置にある場合に、前記乗降用ステップを前記乗降位置に固定する第1ロック部材を有し、
その第1ロック部材は、前記乗降位置側のキャスタ上方に設けられた上部ロック部材と、前記引出位置側のキャスタ近傍に設けられた下部ロック部材とを有していることを特徴とする請求項3記載の搬送車。
【請求項5】
前記下部ロック部材は、前記乗降用ステップを前記引出位置から前記乗降位置へスライドさせた場合に当接して前記乗降用ステップの衝突時の衝撃を緩和する第1緩衝部材を有していることを特徴とする請求項4記載の搬送車。
【請求項6】
前記乗降用ステップが前記引出位置にある場合に、前記乗降用ステップと前記搬送車とに掛止されて、前記乗降用ステップを前記引出位置に固定する第2ロック部材を有し、
その第2ロック部材は、前記乗降用ステップを前記引出位置に固定している場合に、前記乗降用ステップの乗降スペースに配置されて乗降時の障害物となるものであることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の搬送車。
【請求項7】
前記乗降用ステップを前記乗降位置から引き出す場合に、前記乗降用ステップが浮き上がるのを防止する浮上防止部材を有していることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の搬送車。
【請求項8】
前記浮上防止部材は、前記乗降用ステップを前記引出位置へスライドさせた場合のスライド量を制限するストッパ部材を有し、
そのストッパ部材または前記乗降用ステップには、前記乗降用ステップを前記引出位置へスライドさせた場合に当接して前記乗降用ステップの衝突時の衝撃を緩和する第2緩衝部材が設けられていることを特徴とする請求項7記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車に関し、特に、乗降用ステップが点検扉の正面に設置されていても、その乗降用ステップの収納機構を必要とせず、簡単な操作で点検扉を開放可能にできる搬送車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運転室が比較的高い位置に設けられた搬送車では、運転室への乗降のための乗降用ステップが設けられる。運転者は、乗降用ステップを上って運転室へ乗り込み、運転室から出る際には乗降用ステップを下って搬送車から降りる。運転室の下方には機械室が設けられ、その入口は点検扉で閉鎖されている。機械室の点検(メンテナンス)は定期的に行われるが、その際に点検扉は開放される。
【0003】
ここで、乗降用ステップが点検扉の正面に設置されていると、そのままでは乗降用ステップが邪魔になって点検扉を開放できない。よって、かかる場合には、乗降用ステップを取り外さなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−287384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、乗降用ステップは相当な質量(例えば60kg超)を有するので、手作業で取り外すことは困難であった。そこで、定期的な点検(メンテナンス)毎に、乗降用ステップをクレーンで吊り上げて取り外さなければならなかった。また、点検終了後には、取り外した乗降用ステップを再度クレーンで吊り上げ、元の状態に取り付けなければならなかった。その際、取り付け不良があると、運転者の乗降中にステップが外れるなどの危険があった。
【0006】
なお、特許文献1には、運転室9へ乗降するためのサイドステップ30を備えた建設用機械が開示されている。かかる建設用機械では、サイドステップ30をステッププロテクター20の本体21内に収納する機構が必要となる(特許文献1の図3図8等参照)。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、乗降用ステップが点検扉の正面に設置されていても、その乗降用ステップの収納機構を必要とせず、簡単な操作で点検扉を開放可能にできる搬送車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明の搬送車は、運転室と、その運転室の下方側に設けられた機械室と、その機械室を閉鎖する点検扉と、その点検扉の正面に設置されると共に前記運転室へ乗り込むために用いられる乗降用ステップとを備えており、前記点検扉の正面に設置される前記乗降用ステップを、前記点検扉が開放可能となる位置にスライドさせるスライド機構を有している。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の搬送車によれば、点検扉の正面に設置される乗降用ステップは、スライド機構によって、点検扉が開放可能となる位置にスライド可能に構成される。よって、点検扉の開放を必要とする定期点検時等において、乗降用ステップをクレーンで吊り上げて取り外したり、逆にクレーンで吊り下げて再取り付けしたりという煩雑な作業が不要となる。即ち、乗降用ステップが点検扉の正面に設置されていても、乗降用ステップをスライドさせるという簡単な操作で点検扉を開放可能にできる。更にスライドさせた乗降用ステップを収納する機構も必要としない。
【0010】
請求項2記載の搬送車によれば、請求項1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。乗降用ステップは、点検扉の正面に設置される乗降位置と、点検扉が開放可能となる引出位置との間でスライド自在に構成される。ここで、乗降用ステップをスライドさせるキャスタは、乗降用ステップの乗降位置側と引出位置側とに少なくとも2組設けられ、乗降位置側のキャスタは乗降用ステップに取り付けられ、引出位置側のキャスタは搬送車に取り付けられている。
【0011】
よって、乗降用ステップが乗降位置にある場合には、前記2組のキャスタ間の間隔を広く保って乗降用ステップを広範囲に支持することができる。従って、モーメントの発生を抑制し、乗降用ステップへ加わる荷重をしっかりと支えることができる。一方、乗降用ステップを引出位置へスライドさせ、乗降用ステップの一部が搬送車からはみ出した場合にも、引出位置側のキャスタは搬送車に取り付けられているので、点検扉側のキャスタだけで乗降用ステップを支える片持ち状態とはならず、前記2組のキャスタで乗降用ステップを支持することができる。更に、乗降位置側のキャスタは乗降用ステップに取り付けられているので、乗降用ステップを引出位置へスライドさせると、該キャスタは乗降用ステップと共に移動し、搬送車の点検扉前には残らない。よって、点検扉の開放や点検扉内の機械室へのアクセス時に邪魔になることはない。
【0012】
請求項3記載の搬送車によれば、請求項2の奏する効果に加え、スライド機構は、乗降位置にある乗降用ステップを降りる方向へ引き出す或いは引出位置にある乗降用ステップを昇る方向へ押し出すことにより、乗降用ステップを乗降位置と引出位置とにスライド自在にしている。即ち、乗降用ステップの引出位置側に位置する作業者が、乗降用ステップを手前へ引き出す或いは前方へ押し出すという単純な動作によって、乗降用ステップを引出位置または乗降位置へスライドさせることができる。
【0013】
請求項4記載の搬送車によれば、請求項3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。乗降用ステップは乗降位置にある場合に、乗降位置側のキャスタ上方に設けられた第1ロック部材の上部ロック部材と、引出位置側のキャスタ近傍に設けられた第1ロック部材の下部ロック部材とにより固定される。このように乗降用ステップはキャスタ付近に設けられた上部ロック部材と下部ロック部材との2組のロック部材により乗降位置に固定されるので、キャスタ周りのモーメントの発生を抑えて、乗降用ステップを乗降位置において固定することができる。
【0014】
請求項5記載の搬送車によれば、請求項4の奏する効果に加え、下部ロック部材は、乗降用ステップを引出位置から乗降位置へスライドさせた場合に当接して乗降用ステップの衝突時の衝撃を緩和する第1緩衝部材を有している。よって、第1緩衝部材により、乗降用ステップを乗降位置へスライドさせた場合の衝撃音を低減させると共に、その衝撃による搬送車や乗降用ステップの破損を抑制することができる。
【0015】
請求項6記載の搬送車によれば、請求項2から5のいずれかの奏する効果に加え、第2ロック部材は、乗降用ステップが引出位置にある場合に、乗降用ステップと搬送車とに掛止されて乗降用ステップを引出位置に固定すると共に、乗降用ステップの乗降スペースに配置されて乗降時の障害物となる。よって、乗降用ステップの引出位置での固定と、その引出位置に固定された乗降用ステップへの乗り込み防止の注意喚起とを共に行うことができる。
【0016】
請求項7記載の搬送車によれば、請求項2から6のいずれかの奏する効果に加え、乗降用ステップを乗降位置から引き出す場合に、乗降用ステップが浮き上がるのを防止する浮上防止部材を有している。よって、乗降用ステップの引出位置へのスライドを安全に行うことができる。
【0017】
請求項8記載の搬送車によれば、請求項7の奏する効果に加え、浮上防止部材は、乗降用ステップを引出位置へスライドさせた場合のスライド量を制限するストッパ部材を有し、そのストッパ部材または乗降用ステップには、乗降用ステップを引出位置へスライドさせた場合に当接して乗降用ステップの衝突時の衝撃を緩和する第2緩衝部材が設けられている。よって、第2緩衝部材により、乗降用ステップを引出位置へスライドさせた場合の衝撃音を低減させると共に、その衝撃による搬送車や乗降用ステップの破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、本発明の一実施形態における搬送車の側面図であり、(b)は、搬送車の正面図である。
図2】(a)は、乗降位置における乗降用ステップの側面図であり、(b)は、引出位置における乗降用ステップの側面図である。
図3】(a)は、乗降位置における乗降用ステップの正面図であり、(b)は、引出位置における乗降用ステップの正面図である。
図4】(a)は、締結部材の断面図であり、(b)は、乗降用ステップを乗降位置に固定した状態における締結部材の断面図である。
図5】(a)は、浮き上がり防止部材と乗降用ステップとを示した図であり、(b)は、浮上防止部材と第2緩衝部材とが当接した場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本実施形態における搬送車1の概要を説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態における搬送車1の側面図であり、図1(b)は、搬送車1の正面図である。
【0020】
搬送車1は、工場等の構内において、大型の鋼材や製品等の重量物を搬送するための車両である。搬送車1は、搬送車1下部の車両フレーム2と、荷台3と、走行装置4と、機械室5と、作動油タンク21と、運転室6と、乗降用ステップ7とを有する。荷台3は、車両フレーム2上に配設され、搬送物を積載するための装置であり、図示しない油圧シリンダの伸縮によって昇降可能に構成される。走行装置4は、荷台3の下方に複数配設され、運転室6からの運転指示に応じて、搬送車1を走行させるための装置である。本実施形態において走行装置4は、搬送車1の車幅方向に2列配設され、各列に7つずつ設けられる。
【0021】
機械室5は、荷台3の車長方向における前方側であって、車両フレーム2上に設けられ、上述の荷台3の油圧シリンダ等に作動油を送るための油圧ポンプや、油圧ポンプを駆動するためのエンジン(いずれも図示せず)等を収納するためのスペースである。機械室5における搬送車1の車幅方向左側には、機械室5を閉鎖し、また、作業者Hが油圧ポンプやエンジン等の整備を行う際に開放される点検扉5a(図2参照)が設けられる。作動油タンク21は、点検扉5a側に機械室5と隣接して設けられ、上述の作動油を貯蔵するためのタンクである。
【0022】
運転室6は、機械室5の上方に設けられ、作業者Hによる荷台3に対する昇降指示や、走行装置4に対する運転指示等を搬送車1に行うための制御室である。運転室6における搬送車1の車幅方向左側には、作業者Hが運転室6に出入りするための出入扉6aが設けられる。なお、車両フレーム2,荷台3,走行装置4,機械室5,作動油タンク21,運転室6は公知の構成なので、詳細な説明は省略する。
【0023】
乗降用ステップ7は、車両フレーム2上における点検扉5aの正面かつ作動油タンク21に隣接する位置に設置され、作業者Hが車両フレーム2上から運転室6へ乗り込むための階段である。図2図5を参照して、乗降用ステップ7について説明する。図2(a)は、乗降位置における乗降用ステップ7の側面図であり、図2(b)は、引出位置における乗降用ステップ7の側面図である。また、図3(a)は、乗降位置における乗降用ステップ7の正面図であり、図3(b)は、引出位置における乗降用ステップ7の正面図である。図1〜5において、矢印U−D,L−R,F−Bは、乗降用ステップ7の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0024】
図2(a)に示す通り、乗降用ステップ7は、6枚の段板7aと、段板7aを挟持する左右一対のステップフレーム7bと、そのステップフレーム7bの上面に亘って配設され、作業者Hが乗降用ステップ7の昇降時に把持する手すり7cとを有する。段板7aは、作業者Hが乗降用ステップ7を昇降するための踏み板である。以下、段板7aにおける下からN段目の踏み板(Nは1〜6の整数)のことを「段板7aN」と称す(例えば、1段目の踏み板は「段板7a1」と称す)。
【0025】
作業者Hは、段板7aを昇ることで、車両フレーム2上から、運転室6の出入扉6aまで移動し、運転室6へ乗り込むことができる。以下、ステップフレーム7b等、乗降用ステップ7の左右に設けられる部材について、それぞれ区別する場合は、左側の部材に対する符号には「L」を付加し、右側の部材に対する符号には「R」を付加する。
【0026】
さて、上述した通り、運転室6は機械室5の上方に設けられ、点検扉5aの正面には乗降用ステップ7が位置するので、そのままでは乗降用ステップ7が干渉して、作業者Hは点検扉5aを開放できず、機械室5の油圧ポンプやエンジンの定期点検や整備等をすることができない。そこで、乗降用ステップ7を前後方向(即ち矢印F−B方向)に移動(スライド)するためのスライド機構8を設け、乗降用ステップ7を点検扉5aの正面で且つ乗降用ステップ7を昇降した作業者Hが運転室6にアクセス可能な「乗降位置」と、点検扉5aが開放可能な「引出位置」とにスライド可能としている。
【0027】
スライド機構8は、乗降用ステップ7を搬送車1の車幅方向にスライドさせるための機構であり、乗降用ステップ7の下部および車両フレーム2に設けられる。スライド機構8の下部フレーム8aは、ステップフレーム7bにおける、下から2枚目の段板7a2の下方から、乗降用ステップ7の前方側に延設される部材である。第1支持部材8bは、ステップフレーム7bの下面であって最上の段板7a6の下方と、下部フレーム8aとを接続するための部材である。
【0028】
第1支持部材8bの下方かつ、下部フレーム8aの下面には、回転自在なキャスタである前輪8cが取り付けられる。また、その前輪8cが車両フレーム2上を移動するためのレールである前輪レール部材8dが、車両フレーム2における機械室5の下部から、乗降用ステップ7の後方側に対して延設される。
【0029】
ここで、前輪8c及び前輪レール部材8dの形状について、図5(a)を用いて説明する。図5(a)は、浮上防止部材11と乗降用ステップ7とを示した図である。図5(a)に示す通り、右側の前輪8cRの車輪における踏面には、溝8cR1が設けられる。また、右側の前輪レール部材8dRの断面形状は、円形とされ、その径は溝8cR1の幅よりも小さいとされる。よって、前輪8cRが前輪レール部材8dR上を移動する場合は、溝8cR1の側面は、前輪レール部材8dRの上面に当接する。これにより、乗降用ステップ7に左右方向の荷重がかかっても、左右方向へのブレの発生を抑えることができる。
【0030】
ここで、左右の前輪レール部材8dの断面形状をともに円形とした場合は、前輪8cを前輪レール部材8dを滑らかに移動させるために、左右の前輪レール部材8dの断面形状を、前輪レール部材8dの全長に亘って均一にし、また、左右の前輪レール部材8dを平行に配設する必要があるので、前輪レール部材8dの製造には高い精度が必要となり、製造コストが増加してしまう。
【0031】
そこで、本実施形態においては、左側の前輪8cLの車輪における踏面は、平坦であり、左側の前輪レール部材8dLの断面形状は、矩形状とされる。乗降用ステップ7の左右方向のブレは、上述の前輪8cRと前輪レール部材8dRとによって十分に抑えられるので、前輪8cLに、踏面が平坦な車輪を用いることで、前輪8cL及び前輪レール部材8dLの製造コストを低減させ、更には乗降用ステップ7の製造コストを低減させることができる。
【0032】
図2に戻る。車両フレーム2における車幅方向側の端部には、回転自在なキャスタである後輪8eが取り付けられる。また、その後輪8eをガイドするためのレールである後輪レール部材8fが、ステップフレーム7bの下面から、乗降用ステップ7の前方側に対して延設される。第2支持部材8gは、その後輪レール部材8fの乗降用ステップ7の前方側における端部と、下部フレーム8aにおける段板7a2付近とを接続するための部材である。
【0033】
よって、乗降用ステップ7は、乗降用ステップ7の前輪8c及び車両フレーム2の前輪レール部材8dと、車両フレーム2の後輪8e及び乗降用ステップ7の後輪レール部材8fとで支持される。そして、作業者Hが乗降用ステップ7に対して前後方向へ力をかけた場合は、前輪8cのキャスタは前輪レール部材8d上を移動し、後輪レール部材8fは、後輪8eのキャスタ上を移動する。これにより、乗降用ステップ7は、スライド機構8によって、乗降位置または引出位置へスライドすることができる。
【0034】
従って、乗降用ステップ7が乗降位置に配置されることで、作業者Hは、乗降用ステップ7の昇降によって運転室6への乗降が可能となる。また、乗降用ステップ7が引出位置に配置されることで、点検扉5aが開放可能となる。これにより、点検扉5aの開放を必要とする定期点検時等において、乗降用ステップ7をクレーンで吊り上げて取り外したり、逆にクレーンで吊り下げて再取り付けしたりという煩雑な作業が不要となる。即ち、乗降用ステップ7が点検扉5aの正面に設置されていても、乗降用ステップ7を引出位置へスライドさせるという簡単な操作で点検扉5aを開放可能にできる。更にスライドさせた乗降用ステップ7を収納する機構も必要としない。
【0035】
スライド機構8には、前輪8cと後輪8eとの計2組のキャスタが取り付けられ、後輪8eは、車両フレーム2における、乗降用ステップ7の後方側の端部に取り付けられる。また、乗降用ステップ7が乗降位置に配置される場合は、前輪8cは点検扉5aの近傍に位置する。よって、かかる場合においては、前輪8cと後輪8eとの距離、即ちホイールベースが長くなるので、前輪8cと後輪8eとによって乗降用ステップ7を広範囲に支持することができる。従って、作業者Hが乗降用ステップ7を昇降する際のモーメントの発生が抑制されるので、乗降用ステップ7へ加わる荷重をしっかりと支えることができる。
【0036】
更に、乗降用ステップ7を引出位置へスライドさせ、乗降用ステップ7の一部が車両フレーム2からはみ出した場合にも、後輪8eは車両フレーム2上に取り付けられているので、前輪8cだけで乗降用ステップ7を支える片持ち状態とはならず、前輪8cと後輪8eとの2組のキャスタで、乗降用ステップ7を支持することができる。加えて、前輪8cは乗降用ステップ7に取り付けられているので、乗降用ステップ7を引出位置へスライドさせると、前輪8cは乗降用ステップ7と共に移動し点検扉5a側には残らない。よって、点検扉5aの開放や点検扉5a内の機械室5に対するアクセス時に邪魔になることはない。
【0037】
ここで、スライド機構8によるスライド方向は搬送車1の車幅方向であり、作業者Hが乗降用ステップ7を昇降するために、段板7a上を歩行する方向も搬送車1の車幅方向である。従って、作業者が乗降用ステップ7を降りる方向(本実施形態では、搬送車1の車幅方向外側)へ引き出すことにより、乗降用ステップ7は引出位置へスライドされ、乗降用ステップ7を昇る方向へ押し出すことにより、乗降用ステップ7は乗降位置へスライドされる。よって、図2(b)に示す通り、乗降用ステップ7の後方側に位置し、乗降用ステップ7と正対する作業者Hが、手すり7c等を把持し、そのまま手前へ引き出す又は前方に押し出すという極めて単純な動作によって、乗降用ステップ7を前後方向へスライドさせることができる。
【0038】
次に、乗降用ステップ7のロック機構について説明する。乗降用ステップ7は、上述したスライド機構8によって、前後方向へスライド可能である。しかし、前輪8c及び後輪8eは回転自在であるので、例えば、作業者Hが段板7aを昇降する衝撃で、乗降用ステップ7が動き出してしまう虞がある。そこで、乗降用ステップ7を乗降位置に固定する第1ロック機構9と、引出位置に固定する第2ロック機構10とを設け、スライド後の乗降位置または引出位置で、乗降用ステップ7を固定可能としている。
【0039】
まず、第1ロック機構9について説明する。第1ロック機構は、乗降用ステップ7を乗降位置に固定するための機構であり、後輪8eの近傍において乗降用ステップ7を固定するための下部ロック部材と、前輪8cの上方において乗降用ステップ7を固定するための上部ロック部材とで構成される。
【0040】
最初に、下部ロック部材について説明する。下部ロック部材は、図2に示す通り、段板7a1の下部に配設される当接部材9aと、後輪8eに隣接し、乗降用ステップ7を乗降位置にスライドさせた場合に、当接部材9aと当接する位置に配設される締結部材9bとで構成される。図3(a)に示す通り、当接部材9aの、乗降用ステップ7における左右方向(即ち矢印L−R方向)のそれぞれには、当接部9a1,9a2が設けられ、その当接部9a1,9a2の中央部には、それぞれ孔が穿孔される。
【0041】
次に、図4を参照して、締結部材9bを説明する。図4(a)は、締結部材9bの断面図であり、図4(b)は、乗降用ステップ7を乗降位置に固定した状態における締結部材9bの断面図である。図4(a)に示す通り、締結部材9bの下部には、締結部材9bを車両フレーム2に設置するための設置部材9b1が設けられる。その設置部材9b1上には、後述のボス9b3を支持するための支持部材9b2が立設される。支持部材9b2の上部であって乗降用ステップ7の後方側には、ボルト9cをねじ止めするためのねじ穴が穿孔されるボス9b3が配設される。また、ボス9b3のねじ穴の位置は、締結部材9bが当接部材9aと当接した場合に、当接部9a1,9a2の孔と連通する位置とされる。
【0042】
更に、ボス9b3の外周面には、当接部材9aと締結部材9bとが当接した場合の衝撃を緩和させるための合成ゴム製の部材である、第1緩衝部材9b4が環装される。第1緩衝部材9b4における、ボス9b3のねじ穴方向の高さは、乗降用ステップ7を乗降位置にスライドさせた場合に、当接部9a1,9a2と当接し、第1緩衝部材9b4が弾性変形しても、当接部9a1,9a2がボス9b3に当接しない程度とされる。
【0043】
乗降用ステップ7を乗降位置にスライドさせた場合は、当接部9a1,9a2は、第1緩衝部材9b4と当接する。従って、当接部材9aと締結部材9bとの当接による衝撃は、第1緩衝部材9b4によって緩和される。これにより、当接部材9aが締結部材9bに当接した時の衝撃による、衝撃音を低減させると共に、かかる衝撃により、搬送車1や乗降用ステップ7の破損を抑制することができる。
【0044】
また、締結部材9bは、乗降用ステップ7を乗降位置にスライドさせた場合に、当接部材9aと当接する位置に配設されるので、当接部材9aと締結部材9bとが当接した場合は、乗降用ステップ7は乗降位置で停止する。従って、乗降用ステップ7の前方側へのスライド量が制限されるので、乗降用ステップ7が乗降位置を越えてスライドし、点検扉5aや機械室5等へ衝突することを防止できる。そして当接部材9aと締結部材9bとが当接した状態で、当接部9a1,9a2からボルト9cを挿入し、当接部材9aと締結部材9bとをねじ止めすることで、乗降用ステップ7を、乗降位置に固定できる。
【0045】
更に、当接部材9aと締結部材9bが当接した場合は、第1緩衝部材9b4が弾性変形する。よって、図4(b)に示す通り、当接部9a1,9a2の孔とボス9b3のねじ穴とが接近するので、ボルト9cをボス9b3のねじ穴へ十分に螺入させることができ、当接部材9aと締結部材9bとを確実に締結することができる。加えて、ボルト9cによって当接部材9aと締結部材9bとを固定した場合は、第1緩衝部材9b4は当接部9a1,9a2と密着するので、当接部材9aと締結部材9bとのズレを防ぎ、当接部材9aと締結部材9bとを安定して固定することができる。
【0046】
図2に戻る。次に、第1ロック機構9の上部ロック部材について説明する。上部ロック部材は、ステップフレーム7bの上面かつ、段板7a6の上部に配設されるフック部材9dと、エビカン9eとで構成される。エビカン9eは、機械室5の側壁かつ、点検扉5aの上方であって、乗降用ステップ7を乗降位置にスライドさせた場合に、フック部材9dと一致する位置に配設される、ロック部材である。乗降用ステップ7を乗降位置にスライドさせ、フック部材9dを、エビカン9eで係止させて固定することで、乗降用ステップ7は、乗降位置に固定される。
【0047】
以上より、第1ロック機構9の下部ロック部材および上部ロック部材によって、乗降用ステップ7は乗降位置で固定される。これにより、乗降用ステップ7は乗降位置において前後方向へのスライドが抑制されるので、乗降用ステップ7上を昇降する作業者Hの安全性を確保することができる。
【0048】
加えて、下部ロック部材の当接部材9aと締結部材9bとは、後輪8eの近傍、即ち段板7a1の近傍で固定され、上部ロック部材のフック部材9dとエビカン9eとは、前輪8cの上方、即ち段板7a6の近傍で固定される。従って、第1ロック機構9によって、乗降用ステップ7の最上段および最下段の近傍で乗降位置に固定されるので、作業者Hの乗降用ステップ7の昇降による前輪8c及び後輪8e周りのモーメントの発生を抑えることができる。
【0049】
次に、乗降用ステップ7を引出位置に固定する、第2ロック機構10について説明する。図3に示す通り、第2ロック機構10は、戻り防止ストッパ10aと、ステップフレーム7bにおける下から3枚目の段板7a3付近に配設され、孔が穿孔される挿通部材10bと、作動油タンク21における乗降用ステップ7と隣接する壁面に形成される凹状の掛止穴10cとで構成される。戻り防止ストッパ10aは、棒状の部材であり、その長さは、左右のステップフレーム7b間の長さよりも長いとされる。また、挿通部材10bの孔および掛止穴10cの位置は、乗降用ステップ7を引出位置にスライドさせた場合に、互いに連通する位置とされる。
【0050】
乗降用ステップ7を引出位置にスライドさせ、戻り防止ストッパ10aを挿通部材10bに挿入し、そのまま掛止穴10cに挿入すると、戻り防止ストッパ10aは挿通部材10bと掛止穴10cとで掛止される。これにより、乗降用ステップ7は、引出位置に固定される。また、戻り防止ストッパ10aは、段板7a3の付近、即ち乗降スペースを横切るように配置されるので、作業者Hが誤って、引出位置に配置されている乗降用ステップ7を昇降しようとした場合の障害物となる。よって、第2ロック機構10は、乗降用ステップ7の引出位置での固定と、その引出位置に固定された乗降用ステップ7への昇降防止の注意喚起とを共に行うことができる。
【0051】
加えて、図3(b)に示す通り、挿通部材10bと掛止穴10cとに掛止された戻り防止ストッパ10aに、「整備中」等と書かれた旗Fを掲げることで、搬送車1の周囲の作業者Hに対して、整備中等であることを注意喚起できる。
【0052】
次に図5を参照して、乗降用ステップ7のスライド時における、浮き上がり防止機構について説明する。乗降用ステップ7が、作業者Hによって乗降位置から引出位置へスライドされた(引き出された)場合に生じる上方向のブレによって、乗降用ステップ7が浮き上がり、乗降用ステップ7の姿勢が不安定になったり、前輪8cが前輪レール部材8dからの逸脱(脱線)したり、後輪8eが後輪レール部材8fからの逸脱したりする虞がある。そこで、下部フレーム8aの浮き上がりを抑える浮上防止部材11を設け、乗降用ステップ7の浮き上がりを防止している。
【0053】
図5(b)は、浮上防止部材11と第2緩衝部材12bとが当接した場合を示す図である。図5に示す通り、浮上防止部材11は、下部フレーム8aにおける左右方向の外側かつ、前輪レール部材8dの後方側に隣接する位置に配設される部材であり、車両フレーム2上に立設される支持部材11aと、支持部材11aの上部に配設されるガード部材11bとで構成される。ガード部材11bは、下部フレーム8aの浮き上がりを防止するための部材であり、支持部材11aの上部であって、下部フレーム8aよりも上方に配設される。また、下部フレーム8aの上面とガード部材11bの下面との間隔は、僅かに保たれる(例えば2mm程度)。
【0054】
乗降用ステップ7の乗降位置から引出位置へのスライド時に、乗降用ステップ7の浮き上がりが生じた場合は、浮き上がった下部フレーム8aの上面が、ガード部材11bの下面に当接し、下部フレーム8aはそれ以上、浮き上がらない。これにより、乗降用ステップ7の浮き上がりが防止されるので、乗降用ステップ7の引出位置へのスライドを安全に行うことができる。また、ガード部材11bの下面と、下部フレーム8aの上面とには僅かな隙間が設けられているので、乗降用ステップ7が浮き上がらない限りは、乗降用ステップ7を滑らかにスライドさせることができる。
【0055】
ここで、支持部材11aは、前輪レール部材8dの後方側に隣接する位置に立設されるので、乗降用ステップ7が引出位置にある場合は、前輪8cは支持部材11aと隣接する。そこで、第1支持部材8bに対して当接部材12を配設し、乗降用ステップ7を引出位置に移動させた場合に、当接部材12が支持部材11aと当接することで、乗降用ステップ7のスライドを引出位置で停止させ、乗降用ステップ7の後方側へのスライド量を制限している。
【0056】
図5(b)に示す通り、当接部材12は、第1支持部材8bに配設され、乗降用ステップ7の後方側へのスライド時に、支持部材11aと当接することで、乗降用ステップ7を引出位置で停止させるための部材であり、ベース部材12aと、第2緩衝部材12bとで構成される。ベース部材12aは、第1支持部材8bにおける、支持部材11a側の側面であって、前輪8cの上方に隣接する位置に配設される部材である。第2緩衝部材12bは、そのベース部材12aにおける支持部材11a側の面に貼付される合成ゴム製の部材である。また、ベース部材12a及び第2緩衝部材12bは、乗降用ステップ7を引出位置にスライドさせた場合に、第2緩衝部材12bが支持部材11aの上部に当接する位置に配設される。
【0057】
乗降用ステップ7を引出位置にスライドさせた場合、第2緩衝部材12bが支持部材11aと当接することで、乗降用ステップ7のスライドが引出位置で停止される。これにより、前輪8cの前輪レール部材8dからの逸脱や、後輪8eの後輪レール部材8fからの逸脱、さらには、乗降用ステップ7が車両フレーム2から落下することがない。また、第2緩衝部材12bにより、乗降用ステップ7を引出位置へスライドさせた場合の衝撃が緩和されるので、衝撃音を低減させると共に、衝撃による搬送車1や乗降用ステップ7の破損を抑制することができる。
【0058】
以上説明した通り、本実施形態における搬送車1の乗降用ステップ7は、点検扉5aの正面に設置され、スライド機構8によって、乗降用ステップ7が引出位置に配置されることで、引出位置での点検扉5aが開放可能となる。これにより、点検扉5aの開放を必要とする定期点検時等において、乗降用ステップ7をクレーンで吊り上げて取り外したり、逆にクレーンで吊り下げて再取り付けしたりという煩雑な作業が不要となる。即ち、乗降用ステップ7が点検扉5aの正面に設置されていても、乗降用ステップ7を引出位置へスライドさせるという簡単な操作で点検扉5aを開放可能にできる。更にスライドさせた乗降用ステップ7を収納する機構も必要としない。
【0059】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0060】
上記実施形態において、スライド機構8は、乗降用ステップ7を搬送車1の車幅方向へスライドする構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、乗降用ステップ7を、搬送車1の車長方向にスライドする構成としても良い。
【0061】
上記実施形態において、スライド機構8は、前輪8cと後輪8eとの2組の車輪で構成した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、スライド機構8を3組以上の車輪で構成しても良い。
【0062】
上記実施形態において、右側の前輪8cRの踏面に溝8cR1を設け、前輪レール部材8dRの断面形状を円形とする構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、左側の前輪8cLの踏面にも溝を設け、左側の前輪レール部材8dLの断面形状も円形とする構成としても良い。また、左側の前輪8cLの踏面に溝を設け、左側の前輪レール部材8dLの断面形状を円形とし、右側の前輪8cRの車輪の踏面を平坦とし、右側の前輪レール部材8dRの断面形状を、矩形状とする構成としても良い。
【0063】
上記実施形態においては、第1緩衝部材9b4及び第2緩衝部材12bを合成ゴムで構成した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、第1緩衝部材9b4及び第2緩衝部材12bを天然ゴムやシリコンゴム等、他の衝撃を緩和する素材で構成してもよい。
【0064】
上記実施形態においては、締結部材9bには第1緩衝部材9b4を有する構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、締結部材9bから第1緩衝部材9b4を省く構成としても良い。その場合は、当接部材9aの当接部9a1,9a2における、ボス9b3との当接箇所に対して、合成ゴム等の衝撃を緩和する部材を配設する構成とするのが好ましい。
【0065】
上記実施形態においては、当接部材12には第2緩衝部材12bを有する構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、当接部材12から第2緩衝部材12bを省く構成としても良い。その場合は、浮上防止部材11の支持部材11aにおける、ベース部材12aとの当接箇所に対して、合成ゴム等の衝撃を緩和する部材を配設する構成とするのが好ましい。
【0066】
上記実施形態においては、第1ロック機構9は、当接部材9a及び締結部材9bと、フック部材9d及びエビカン9eとの2つのロック機構を有する構成とした。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ロック機構9を、当接部材9a及び締結部材9bのみ、又はフック部材9d及びエビカン9eのみで構成しても良い。
【0067】
上記実施形態に挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 搬送車
5 機械室
5a 点検扉
6 運転室
7 乗降用ステップ
8 スライド機構
8c 前輪(キャスタ)
8e 後輪(キャスタ)
9 第1ロック機構(第1ロック部材)
9a 当接部材(下部ロック部材の一部)
9b 締結部材(下部ロック部材の一部)
9b4 第1緩衝部材
9d フック部材(上部ロック部材の一部)
9e エビカン(上部ロック部材の一部)
10 第2ロック機構(第2ロック部材)
11 浮上防止部材
12 当接部材(ストッパ部材)
12b 第2緩衝部材
図1
図2
図3
図4
図5