(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-108107(P2019-108107A)
(43)【公開日】2019年7月4日
(54)【発明の名称】あおりの水平固定具
(51)【国際特許分類】
B62D 33/027 20060101AFI20190614BHJP
【FI】
B62D33/027 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-255334(P2017-255334)
(22)【出願日】2017年12月15日
(71)【出願人】
【識別番号】513024889
【氏名又は名称】有限会社駒澤インダストリー
(72)【発明者】
【氏名】駒澤 正彦
(57)【要約】
【課題】荷台を有する車両側に特別な加工を施すことなく、荷台の側あおりや後あおりを水平状態に保持することが出来る水平固定具を提供すること。
【解決手段】本発明の水平固定具1は、車両に当接させる当接端部と第1ネジ部4−1を有する内筒2と、一方は内筒2が挿入され、他方は第1ネジ部とは逆螺子に設定された第2ネジ部4−2が設けられた外筒3と、第1ネジ部4−1と第2ネジ部4−2に螺合させた操作部7と、一方を外筒3の第2ネジ部側に固定され、もう一方にはあおりを固定するためのあおり挟持部9が設けられたL字形部材8と、からなり、あおり挟持部9であおりの先端を挟持し、操作部7を回転させて、内筒2の当接端部5を車両に当接させ、内筒2と外筒3の位置を固定させることによって、おありを水平に保持することができるので、荷台での作業を安全に実施することが出来る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側あおりと後あおりがヒンジにより搖動自在に設けられた荷台を有する車両において使用するあおりの水平固定具であって、
一方の端部は車両に当接させる当接端部を有し、他方の端部は固定された第1ネジ部を有する内筒と、
一方の端部は前記内筒が挿入され、他方の端部は前記第1ネジ部とは逆螺子に設定されて固定されている第2ネジ部を有する外筒と、
前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とに螺合させ、外筒の前記第2ネジから内筒と反対方向に突出させた操作部と、
一方を前記外筒の第2ネジ部側に固定され、もう一方にはあおりの先端を挟持するためのあおり挟持部が設けられたL字形部材と、
からなるあおりの水平固定具であり、
L字形部材のあおり挟持部で側あおり又は後あおりの先端を挟持し、操作部を回転させて内筒の前記当接端部を車両の床側面部分に当接させ、内筒の位置を固定することにより、あおりを水平状態に保持させることを特徴とするあおりの水平固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台にヒンジで揺動自在に設けられた側あおり(車両の荷台の両側に設けられているあおり)や後あおり(車両の荷台の後ろ側に設けられたあおり)を水平状態に保持することができる、あおりの水平固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
荷台を有する車両において、荷物を積み下ろしする際、荷台上に作業スペースを十分に確保することが出来ない場合があり、そのような場合には作業員が荷台から転落することもあった。そこで、以前から荷台にヒンジで搖動自在に設けられた側あおりや後あおりを水平状態に保持することにより、作業スペースを確保することが行われている。
【0003】
例えば、特開2015−189452号公報(特許文献1)や特開2017−124767号公報(特許文献2)には、荷台の床組の横根太に固定された筒状体の中に棒状部材を出し入れ自在に設け、あおりを水平状態に保持するには、車両の外側に棒状部材を突出させ、その上にあおりを載せる構成が記載されている。
【0004】
また、特開2009−51421号公報(特許文献3)には、側あおりの前後両端縁に設けられた固定用金具に着脱自在に取り付けられた固定部材と、荷台上に固定された掛止部と、の間に引張部材を取り付けて側あおりを水平に保持する構成が記載されている。
【0005】
また、特開2011−68329号公報(特許文献4)には、爪付の筒を水平固定具とし、車両側に筒の爪部分を挿入するためのステーを設け、ステーに筒の爪部分を挿入して、その上にあおりを載せてあおりを水平に保持する構成が記載されている。なお、この特許文献4には、その水平固定具の筒に挿入するための安全綱取付のための筒が記載されていて、作業者のあおりからの転落防止としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−189452号公報
【特許文献2】特開2017−124767号公報
【特許文献3】特開2009−51421号公報
【特許文献4】特開2011−68329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、現在までいろいろなあおりの水平固定具が考えられているが、特許文献1乃至特許文献4に開示されているように、今までのあおりの水平固定具は車両側になんらかの加工を施す必要がある構成ばかりである。特許文献1、特許文献2の水平固定具では荷台の床組の横根太に、棒状部材を出し入れ自在に設けた筒状体を取り付ける必要があり、特許文献3の水平固定具では側あおりには固定用金具、荷台上には掛止部を設ける必要がある。特許文献4の水平固定具では車両側にステーを設ける必要があり、いずれの場合も結果として車両を改造することになり、車検的にも問題が多かった。
【0008】
また、特許文献3の水平固定具では、側あおりの前後両端縁に設けられた水平固定具だけで長い側あおりを保持することになるので、側あおりの中央部分での作業の安全性が十分ではなかった。特許文献4の水平固定具はあおりを水平に保持するのが筒の設けられている爪部分だけになるので、安全性に関し十分ではなかった。
【0009】
そこで、車両を改造する必要がなく、また安全にあおり上で作業ができるようなあおりの水平固定具が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために、本発明のあおりの水平固定具では、一方の端部は車両に当接させる当接端部を有し、他方の端部は固定された第1ネジ部を有する内筒と、一方の端部は前記内筒が挿入され、他方の端部は前記第1ネジ部とは逆螺子に設定されて固定されている第2ネジ部を有する外筒と、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とに螺合させ、外筒の前記第2ネジ部から内筒と反対方向に突出させた操作部と、一方を前記外筒の第2ネジ部側に固定され、もう一方にはあおりの先端を挟持するためのあおり挟持部が設けられたL字形部材と、からなることを特徴としている。
【0011】
あおりの水平固定具をこのように構成することによって、L字形部材のあおり挟持部で側あおり又は後あおりの先端を挟持させた状態で、あおりを水平状態にし、操作部を回転させると、第ネジ部と第2ネジ部が逆螺子に設けられているので、内筒と外筒を相対的に伸縮させて、内筒の当接端部を車両の床側面部分に当接させ、内筒の位置を固定することにより、あおりを水平状態に保持させることができるようになった。
【発明の効果】
【0012】
したがって、本発明のあおりの水平固定具であれば車両の改造をする必要が全くなく、側あおりも後あおりも本発明の水平固定具だけで水平に維持することが出来る。
【0013】
また、本発明の水平固定具は側あおりにおいても後あおりにおいても必要な場所に取り付けることが出来るとともに、内筒と外筒によりあおりの水平状態を保持し続けることが出来るので、安全性を十分に確保して荷物の積み下ろし作業をすることが出来る。
【0014】
さらに、本発明の水平固定具は車両のあおりの高さが異なっていても内筒と外筒の長さを調整するだけで対応できるので、車両ごとに水平固定具を用意する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】本発明の水平固定具の取り付け方を説明した図
【
図4】本発明の水平固定具を車両に取り付けた状態を表した図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の水平固定具について、
図1から
図4を用いて具体的に説明する。なお、説明する構成はあくまでも1実施例であって、これに限定されるものではない。
【0017】
本発明の水平固定具は、
図1の(a)にその正面図、(b)にその左側面図、(c)にその右側面図、
図2の(a)にその平面図が図示されている。
【0018】
水平固定具1は、車両の荷台にヒンジにより搖動自在に設けられた側あおりや後あおりを水平状態に保持するために使用されるものであって、内筒2と外筒3と操作部7とL字形部材8とか構成されている。その構成を
図1と
図2を用いて説明する。
【0019】
内筒2は一方の端部が車両の床側面部分Sに当接させる当接端部5からなり、他方の端部は
図2の(b)に図示されているように第1ネジ部4−1が固定されている。その形状は
図2の(c)に図示されているように四角柱であって、外筒3の中に挿入されている。
【0020】
外筒3は一方の端部に内筒2が挿入されており、他方の端部は
図2の(b)に図示されているように第2ネジ部4−2が固定されている。第2ネジ部4−2は第1ネジ部4−1とはネジが逆に(逆螺子に)設定されている。その形状は
図2の(c)に図示されているように四角柱であって、内筒2が挿入されている。
【0021】
操作部7は螺子切りされた棒状部材であって、
図2の(b)に図示されているように、その先端側は第1ネジ部4−1と第2ネジ部4−2に螺合されている。操作部7は外筒3の第2ネジ部4−2側から内筒2とは反対方向に突出しており、途中に外筒の動きを停止させるための停止部6が設けられている。なお、操作部7を回転させるにあたって、回転しやすいように、T字形ハンドルにしてもよい。
【0022】
L字形部材8は一端が外筒3の第2ネジ部4−2側に固定され、他端はあおりの先端部分を挟持するためのあおり挟持部9が設けられている。なお、図ではL字形部材8は外筒3の第2ネジ部4−2側にアングルを介して固定されている。
【0023】
次に、本発明の水平固定具1の使用方法について
図3を用いて説明する。
【0024】
本発明の水平固定具1をあおり10、11に取り付けるには、先ず
図3の(a)のように、あおり10,11が立っている状態で、L字形部材8のあおり挟持部9を操作して水平固定具1をあおり10,11に固定する。
【0025】
次に、
図3(b)のように、あおり10,11を水平にし、その状態で操作部7を回転させる。そうすると、第2ネジ部4−2は第1ネジ部4−1とは逆螺子で設定されているので、結果的に内筒2は外筒3内をスライドし、内筒2を外筒3から出し入れができるようになっている。停止部6を設けることによって、操作部7の先端が第1ネジ部から外れるのを防止している。
【0026】
あおり10,11を水平にした状態で操作部7を回転させることによって、
図3(C)のように、内筒2の当接端部5が車両の床側面部分Sに当接するまで移動させ、外筒3に対する内筒2の位置を固定させる。このように水平固定具1を取り付けることによって、水平固定具1はあおり10,11の水平状態を確実に保持することが出来る。
【0027】
水平固定具1は
図4に示されているように、あおり10,11の水平状態を維持するのに十分な位置に一つずつ取り付けていく。
【0028】
このように、本発明の水平固定具は車両を改造することなく、水平固定具のみであおりを水平状態に保持することが出来るものであり、また、必要な個所に確実に取り付けることによって作業の安全性が確保できるのである。しかも、内筒と外筒の位置を調整することによってどのような車両にも対応することが出来るので、コスト的にも非常に有効な水平固定具である。
【符号の説明】
【0029】
1 水平固定具
2 内筒
3 外筒
4−1 第1ネジ部
4−2 第2ネジ部
5 当接端部
6 停止部
7 操作部
8 L字形部材
9 あおり挟持部
10 側あおり
11 後あおり
12 床
13 車両
S 車両の床側面部分