【解決手段】ポリオレフィン樹脂と;平均外径が8〜50nmであり、平均内径が前記平均外径の40%以上である複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ集合体;および発泡剤を含む樹脂組成物からなり、平均直径が10〜200μmである複数のセルを含む導電性発泡ビーズ。
ポリオレフィン樹脂;平均外径が8〜50nmであり、平均内径が前記平均外径の40%以上である複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ集合体;および発泡剤を含む樹脂組成物からなり、
平均直径が10〜200μmである複数のセルを含む、導電性発泡ビーズ。
前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、ポリプロピレンおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つである、請求項1に記載の導電性発泡ビーズ。
前記ポリエチレン共重合体は、エチレンビニルアセテート、エチレンブチルアクリレート、エチレンエチルアクリレートおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つである、請求項2に記載の導電性発泡ビーズ。
前記発泡剤は、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロブタン、シクロヘキサン、メチルクロリド、エチルクロリド、メチレンクロリド、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、窒素、二酸化炭素、アルゴンおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つである、請求項1に記載の導電性発泡ビーズ。
(a)平均外径が8〜50nmであり、平均内径が前記平均外径の40%以上である複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ集合体とポリオレフィン樹脂を混合して、マスターバッチを製造する段階と;
(b)前記マスターバッチおよびポリオレフィン樹脂を混合して、樹脂組成物を製造する段階と;
(c)前記樹脂組成物を発泡させて、平均直径が10〜200μmである複数のセルを含むビーズを製造する段階と;を含む、導電性発泡ビーズの製造方法。
前記(c)段階で前記発泡は、水、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノールおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つの分散媒の存在下で行われる、請求項16に記載の導電性発泡ビーズの製造方法。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、加熱すると、軟化して可塑性を示し、冷却すると、固化する樹脂を指す。このような熱可塑性樹脂は、加工性および成形性に優れていて、各種生活用品、事務自動化機器、電気・電子製品、車両用部品などに広範囲に適用されている。また、このような熱可塑性樹脂が使用される製品の種類および特性によって、特殊な性質を付加して高付加価値の素材として使用しようとする試みが持続的に行われている。
【0003】
特に、樹脂製品間、または他の素材との摩擦が発生する分野に熱可塑性樹脂を適用する場合、帯電現象による製品の損傷および汚染が発生するので、熱可塑性樹脂に電気伝導性を付与する必要性がある。
【0004】
このように、従来、熱可塑性樹脂に電気伝導性を付与するために、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属粉末、金属コーティング無機粉末または金属繊維などの導電性フィラーが使用されてきた。ただし、電気伝導性の付与に有意味な結果を導き出すためには、熱可塑性樹脂対比約20重量%以上の導電性フィラーを添加しなければならず、これは、結果的に熱可塑性樹脂の耐摩耗性のような機械的物性の低下を招くこととなる。
【0005】
このような問題を解決するために、最近には、導電性フィラーとしてカーボンナノチューブを使用して熱可塑性樹脂の機械的物性と電気伝導性を同時に具現するための多様な試みが行われている。ただし、熱可塑性樹脂、特に、ポリオレフィン樹脂に電気伝導性を付与するために、カーボンナノチューブを添加する場合、他の素材を使用する場合に比べて十分な電気伝導性が具現されず、添加量も、過量が要求される。
【0006】
なお、ポリオレフィン発泡体は、特有のクッション感によって建築材、自動車内蔵材、その他産業用運搬材として広く用いられている。特に、ポリオレフィン発泡体は、ディスプレイパネルの製造に用いられる基板ガラスの包装および移送用ボックス素材として多く用いられるが、このような基板ガラスの包装および移送用ボックスは、他の物質との摩擦または周辺の電気的な外力により容易に帯電しないように、帯電防止機能または電気伝導性を有するようにしなければならない。これは、摩擦などにより生成された静電気が長時間蓄積される場合、静電気による塵埃などの異物が製品内に流入されて、工程中に不良を惹起させるからである。
【0007】
従来、ポリオレフィン発泡体に帯電防止機能を付与するために、カーボンナノチューブおよび/または導電性高分子などの導電性物質で構成された帯電防止組成物を製造し、これをポリオレフィン発泡体にコートする方法が用いられた。ただし、このような帯電防止組成物をコートする方法の場合、導電性物質がポリオレフィン発泡体から剥離しないように、ポリオレフィン発泡体の表面に接着剤をあらかじめ塗布しなければならない工程上の煩わしさがある。
【0008】
最近、バインダー物質の開発に伴い、別途の接着剤を塗布する必要のない一液型帯電防止組成物に対する技術も報告されているが、帯電防止組成物をコートする方法で製造されたポリオレフィン発泡体は、依然として導電性物質の剥離に起因して帯電防止機能が不可避に低下するという問題がある。
【0009】
このような方法の問題を解消するために、カーボンナノチューブなどの導電性物質をポリオレフィン樹脂と直接コンパウンドする内添型ポリオレフィン発泡体が開発されたこともあるが、前記内添型ポリオレフィン発泡体は、カーボンナノチューブのポリオレフィン樹脂内における低い分散性に起因して、カーボンナノチューブの表面を酸化剤で改質する場合にのみ、ポリオレフィン発泡体に帯電防止機能を付与することができた。また、カーボンナノチューブの帯電防止機能を補完するために、カーボンブラック、炭素繊維などの炭素化合物を共に使用しなければならないという問題があるので、これに対する解決方案が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述したような従来技術の問題点を解決するためのものであって、その目的は、帯電防止特性に優れた導電性発泡ビーズを提供することにある。
【0011】
また、本発明は、帯電防止組成物をポリオレフィン発泡体にコートする方法に比べて簡単で且つ経済的に導電性発泡ビーズを製造できる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、ポリオレフィン樹脂;平均外径が8〜50nmであり、平均内径が前記平均外径の40%以上である複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ集合体;および発泡剤を含む樹脂組成物からなり、平均直径が10〜200μmである複数のセルを含む導電性発泡ビーズを提供する。
【0013】
一実施例において、前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、ポリプロピレンおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つであってもよい。
【0014】
一実施例において、前記ポリエチレン共重合体は、エチレンビニルアセテート、エチレンブチルアクリレート、エチレンエチルアクリレートおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つであってもよい。
【0015】
一実施例において、前記カーボンナノチューブのラマン分光強度比(I
G/I
D)は、1.0以上であってもよい。
【0016】
一実施例において、前記カーボンナノチューブの炭素純度は、95%以上であってもよい。
【0017】
一実施例において、前記カーボンナノチューブの見かけ密度は、0.01〜0.2g/mlであってもよい。
【0018】
一実施例において、前記カーボンナノチューブ集合体の平均束線径(bundle diameter)は、1〜10μmであってもよい。
【0019】
一実施例において、前記カーボンナノチューブ集合体の平均束長さ(bundle length)は、30〜100μmであってもよい。
【0020】
一実施例において、前記カーボンナノチューブの含量は、前記樹脂組成物の総重量を基準として1〜10重量%であってもよい。
【0021】
一実施例において、前記発泡剤は、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロブタン、シクロヘキサン、メチルクロリド、エチルクロリド、メチレンクロリド、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、窒素、二酸化炭素、アルゴンおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つであってもよい。
【0022】
本発明の他の態様は、(a)平均外径が8〜50nmであり、平均内径が前記平均外径の40%以上である複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ集合体とポリオレフィン樹脂を混合して、マスターバッチを製造する段階と;(b)前記マスターバッチおよびポリオレフィン樹脂を混合して、樹脂組成物を製造する段階と;(c)前記樹脂組成物を発泡させて、平均直径が10〜200μmである複数のセルを含むビーズを製造する段階と;を含む導電性発泡ビーズの製造方法を提供する。
【0023】
一実施例において、前記マスターバッチのうち前記カーボンナノチューブの含量は、5〜30重量%であってもよい。
【0024】
一実施例において、前記樹脂組成物のうち前記カーボンナノチューブの含量は、1〜10重量%であってもよい。
【0025】
一実施例において、前記(a)段階で前記混合は、200〜250℃の温度で行われ得る。
【0026】
一実施例において、前記(b)段階で前記混合は、180〜250℃の温度で行われ得る。
【0027】
一実施例において、前記(c)段階で前記発泡は、130〜150℃の温度および20〜40kgf/cm
2の圧力で行われ得る。
【0028】
一実施例において、前記(c)段階で前記発泡は、水、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノールおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つの分散媒の存在下で行われ得る。
【0029】
一実施例において、前記(a)から(c)のうち少なくとも一つの段階で発泡剤をさらに混合する。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様による導電性発泡ビーズは、ポリオレフィン樹脂に直径、長さ、結晶性、純度などが一定の範囲に調節されたカーボンナノチューブを含むことにより、前記ポリオレフィン樹脂から製造された発泡ビーズのセルサイズを一定の範囲に調節することができ、これにより、前記発泡ビーズに向上した電気伝導性と帯電防止特性を付与することができる。
【0031】
また、本発明の他の態様による導電性発泡ビーズの製造方法は、カーボンナノチューブとポリオレフィン樹脂を混合して、高含量のカーボンナノチューブを含むマスターバッチを製造し、これを前記ポリオレフィン樹脂と同種または異種のポリオレフィン樹脂と混合して発泡することにより、前記ポリオレフィン樹脂から製造された発泡ビーズのセルサイズを一定の範囲に調節することができ、これにより、前記発泡ビーズに向上した電気伝導性と帯電防止特性を付与することができる。
【0032】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、添付の図面を参照して本発明を説明することとする。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現され得、したがって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。
【0035】
明細書の全体で、任意の部分が他の部分と「連結」されているというとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を介して「間接的に連結」されている場合をも含む。また、任意の部分が或る構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えることができることを意味する。
【0036】
導電性発泡ビーズ
本発明の一態様は、ポリオレフィン樹脂と;平均外径が8〜50nmであり、平均内径が前記平均外径の40%以上である複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ集合体;および発泡剤を含む樹脂組成物からなり、平均直径が10〜200μmである複数のセルを含む導電性発泡ビーズを提供する。
【0037】
前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、ポリプロピレンおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つであってもよく、好ましくは、ポリプロピレンであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0038】
前記ポリエチレン共重合体は、エチレンビニルアセテート、エチレンブチルアクリレート、エチレンエチルアクリレートおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つであってもよく、好ましくは、エチレンビニルアセテートであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0039】
前記カーボンナノチューブは、不導体である熱可塑性樹脂、特に、ポリオレフィン樹脂に電気伝導性を付与するための物質であって、前記カーボンナノチューブが混練された樹脂組成物を発泡、成形して製造された製品の表面抵抗を顕著に減少させて、電気伝導性と帯電防止特性を向上させることができる。
【0040】
前記カーボンナノチューブを合成する方法は、アーク放電法(Arc−discharge)、熱分解法(Pyrolysis)、レーザー蒸着法(Laser vaporization)、プラズマ化学気相蒸着法(Plasma chemical vapor deposition)、熱化学気相蒸着法(Thermal chemical vapor deposition)等があるが、合成方法に制限なしに製造されたすべてのカーボンナノチューブが使用できる。
【0041】
また、前記カーボンナノチューブは、壁の個数によって単一壁カーボンナノチューブ(Single wall carbon nanotube)、二重壁カーボンナノチューブ(Double wall carbon nanotube)、多重壁カーボンナノチューブ(Multi wall carbon nanotube)、切頭された円錐型のグラフェン(truncated graphene)が多数積層された中空管形態の炭素ナノ繊維(cup−stacked carbon nanofiber)、およびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択される一つであってもよく、好ましくは、製造の容易性および経済性に優れた多重壁カーボンナノチューブであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記カーボンナノチューブ集合体は、平均外径が8〜50nmであり、平均内径が前記平均外径の40%以上、好ましくは40〜90%である複数の一本鎖カーボンナノチューブが相互凝集して束(bundle)形態で存在することができる。前記外径は、カーボンナノチューブの壁を成すグラファイト層が含まれたカーボンナノチューブの横断面の直径を意味し、前記内径は、グラファイト層が除外された中空横断面の直径を意味する。
【0043】
この際、前記カーボンナノチューブの一本鎖の平均外径が8nm未満であるか、または50nmを超過すると、これらが凝集して形成されたカーボンナノチューブ集合体の平均束線径が後述する範囲に調節されないので、前記のような外径の範囲を有するカーボンナノチューブを使用することが好ましい。本明細書で使用された用語「束(bundle)」は、複数のカーボンナノチューブが並んで配列されるか、絡み合った状態のバンドルあるいはロープ形態を意味し、これとは異なって、複数のカーボンナノチューブが一定の形状を成すことなく存在する場合、「非バンドル型」と呼ぶことがある。
【0044】
前記束形態のカーボンナノチューブ集合体は、基本的に、複数のカーボンナノチューブ、好ましくは複数の多重壁カーボンナノチューブが相互凝集した形態で存在することができる。それぞれのカーボンナノチューブおよびその集合体は、直線型、曲線型、またはこれらが混合された形態であってもよい。
【0045】
また、前記カーボンナノチューブの一本鎖、すなわち、多重壁カーボンナノチューブの平均内径が前記平均外径の40%未満であれば、カーボンナノチューブの内部容積が減少して、電気伝導性が低下することがあるので、前記カーボンナノチューブの平均内径が前記平均外径の40%以上であってもよい。
【0046】
なお、前記カーボンナノチューブの構造を分析するための方法のうち、カーボンナノチューブの表面状態を分析するラマン分光法(Raman Spectroscopy)が有用に使用できる。本明細書で使用された用語「ラマン分光法」は、レーザー光のような単色の励起光に曝されたとき、分子の振動数ぐらいの差異がある散乱光が生じる現象であるラマン効果(Raman effect)で分子の振動数を求める分光法を意味するものであって、このようなラマン分光法を用いてカーボンナノチューブの結晶性を数値化して測定することができる。
【0047】
前記カーボンナノチューブのラマンスペクトルのうち波数1580±50cm
−1の領域に存在するピークをGバンドと言い、これは、カーボンナノチューブのsp
2結合を示すピークであって、構造的欠陥がない炭素結晶を示すものである。また、波数1360±50cm
−1の領域に存在するピークをDバンドと言い、これは、カーボンナノチューブのsp
3結合を示すピークであって、構造的欠陥を含有する炭素を示すものである。
【0048】
さらに、前記GバンドおよびDバンドのピーク値をそれぞれI
GおよびI
Dと言い、両者間比率であるラマン分光強度比I
G/I
Dを用いてカーボンナノチューブの結晶性を数値化して測定することができる。すなわちラマン分光強度比が高い値を示すほど、カーボンナノチューブの構造的欠陥が少ないことを意味するので、前記ラマン分光強度比が高い値を示すカーボンナノチューブを使用する場合、より優れた電気伝導性を具現することができる。
【0049】
具体的に、前記カーボンナノチューブのラマン分光強度比I
G/I
Dが1.0以上であってもよい。前記カーボンナノチューブのI
G/I
D値が1.0未満であれば、非晶質炭素が多量含有されて、カーボンナノチューブの結晶性が不良であり、これにより、熱可塑性樹脂組成物と混練時に電気伝導性の向上効果が非常に弱いことがある。
【0050】
また、カーボンナノチューブは、炭素含量が高いほど触媒のような不純物が少ないため、優れた電気伝導性を具現することができるので、前記カーボンナノチューブの炭素純度が95%以上、好ましくは95〜98%、さらに好ましくは96.5〜97.5%であってもよい。
【0051】
前記カーボンナノチューブの炭素純度が95%未満であれば、カーボンナノチューブの構造的欠陥が誘発されて結晶性が低下することがあり、カーボンナノチューブが外部刺激により容易に切断、破壊され得る。
【0052】
前記のような一本鎖カーボンナノチューブが束形態で凝集して形成されたカーボンナノチューブ集合体の平均束線径が1〜10μm、好ましくは3〜5μm、より好ましくは3.5〜4.5μmであってもよく、平均束長さが30〜100μm、好ましくは40〜60μm、より好ましくは45〜55μmであってもよい。
【0053】
前記カーボンナノチューブ集合体は、ポリオレフィン樹脂内に分散および相互接触、連結されて、3次元ネットワーク構造を形成することができ、このようなネットワーク構造が堅固に形成されるほど電気伝導性が向上することができる。特に、前記カーボンナノチューブ集合体の平均束線径と平均束長さを一定の範囲に調節することにより、前記ネットワーク構造を堅固に形成することができる。
【0054】
この際、前記カーボンナノチューブ集合体の平均束線径が1μm未満であるか、または平均束長さが100μm超過であれば、分散性が低下して、前記樹脂組成物の部位別の電気伝導性が不均一になり得、平均束線径が10μm超過であるか、または平均束長さが30μm未満であれば、ネットワーク構造が不安定になり、電気伝導性が低下することがある。
【0055】
また、前記カーボンナノチューブ集合体内の酸素含量が高いほど電気伝導性が減少するので、酸素含量が低いカーボンナノチューブが使用できる。具体的に、前記カーボンナノチューブ集合体の酸素含量が、前記カーボンナノチューブ集合体の総重量を基準として0.5重量%以下、好ましくは0.1〜0.5重量%であってもよい。
【0056】
前記カーボンナノチューブの含量は、前記樹脂組成物の総重量を基準として1〜10重量%であってもよい。前記カーボンナノチューブの含量が1重量%未満であれば、ポリオレフィン樹脂に対する電気伝導性の付与効果が非常に弱いことがあり、10重量%超過であれば、樹脂組成物の加工性、成形性および機械的物性が低下することがある。
【0057】
また、前記カーボンナノチューブは、粉末状のものを機械的、物理的に打錠して、ペレット形態で加工したものであって、加工後にカーボンナノチューブの見かけ密度が0.01〜0.2g/ml、好ましくは0.05〜0.2g/mlであってもよい。
【0058】
前記カーボンナノチューブの見かけ密度が前記範囲を外れる場合、カーボンナノチューブを5重量%以上含む高濃度のマスターバッチを製造することが困難である。また、ペレット形態で加工されたカーボンナノチューブは、作業間粉末が飛散するのを防止して、作業環境を改善することができる。
【0059】
前記発泡剤は、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロブタン、シクロヘキサン、メチルクロリド、エチルクロリド、メチレンクロリド、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、窒素、二酸化炭素、アルゴンおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つであってもよく、好ましくは、二酸化炭素であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0060】
前記導電性発泡ビーズは、平均直径が10〜200μmである複数のセルを含むことができる。本明細書に使用される用語「セル」は、通常の発泡体において観察される樹脂からなる構造以外の空いた空間、すなわち孔隙を意味するものであって、閉鎖されたセル(closed cell)および開放されたセル(open cell)を含む概念として理解することができる。前記セルの平均直径が10μm未満であれば、発泡ビーズとこれから製造された製品のクッション感が低下することがあり、200μm超過であれば、電気伝導性および帯電防止特性が低下することがある。
【0061】
導電性発泡ビーズの製造方法
本発明の他の態様は、(a)平均外径が8〜50nmであり、平均内径が前記平均外径の40%以上である複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ集合体とポリオレフィン樹脂を混合して、マスターバッチを製造する段階と;(b)前記マスターバッチおよびポリオレフィン樹脂を混合して、樹脂組成物を製造する段階と;(c)前記樹脂組成物を発泡させて、平均直径が10〜200μmである複数のセルを含むビーズを製造する段階と;を含む導電性発泡ビーズの製造方法を提供する。
【0062】
一般的に、樹脂組成物に電気伝導性を付与するためには、一定水準の機械的物性と成形性を有する樹脂、およびこれに導電性を付与できる導電性物質、例えば、金属、その他無機物などを混合するための工程が伴う。
【0063】
従来、樹脂組成物の電気伝導性を向上させるために前記導電性物質の含量を増加させる技術が提案された。ただし、同種の導電性物質、特に、カーボンナノチューブの含量を一定の水準以上に増加させると、樹脂自体の機械的物性だけでなく、加工性、作業性などが低下する問題があった。これを解消するために、カーボンナノチューブに比べて電気伝導性の付与効果は非常に弱いが、加工性や作業性に優れたカーボンブラックなどを併用して、樹脂組成物のうち導電性物質の総含量を増加させるための試みが行われたことがある。
【0064】
ただし、このような方式は、導電性物質の種類と含量を相異に調節したことに過ぎず、樹脂と導電性物質の混合が単一の工程により行われたという点で共通している。
【0065】
これに対して、前記(a)段階で、導電性フィラーであるカーボンナノチューブ(またはカーボンナノチューブ集合体)とポリオレフィン樹脂を混合、押出して、高濃度のカーボンナノチューブのマスターバッチを製造することができる。本明細書で使用された用語「マスターバッチ(master batch)」は、樹脂組成物を製造する場合、高濃度の添加剤を事前に混合、分散させたものであって、このようなマスターバッチの製造を通じてポリオレフィン樹脂内カーボンナノチューブの分散性を向上させることができ、これにより、前記樹脂組成物の全領域に対して均一な電気伝導性および帯電防止特性を付与することができる。
【0066】
前記マスターバッチは、球形(sphere)、ペレット(pellet)等で製造され得るが、以後の段階でポリオレフィン樹脂と配合されて、前記カーボンナノチューブの分散性を向上させることができると、その形態に制限されずに製造され得る。
【0067】
前記マスターバッチの母材となるポリオレフィン樹脂は、熱可塑性樹脂のうち相対的に広い温度範囲で物性の変化が小さく、成形性や耐薬品性などに優れている。
【0068】
前記ポリオレフィン樹脂は、同種の単量体が重合された単一の重合体、異種の単量体が重合された共重合体、またはこれらの混合物であってもよい。前記共重合体は、重合形態の制限なしに交互共重合体(alternating copolymer)、ランダム共重合体(random copolymer)、ブロック共重合体(block copolymer)、またはグラフト共重合体(graft copolymer)であってもよい。
【0069】
前記(a)段階で、前記混合は、200〜250℃、好ましくは220〜240℃、より好ましくは230℃の温度で行われ得る。前記温度が200℃未満であれば、ポリオレフィン樹脂が部分的に溶融して、押出成形性とカーボンナノチューブの分散性が低下することがあり、250℃超過であれば、ポリオレフィン樹脂の熱分解または変性が発生し得る。
【0070】
前記(a)段階で、前記ポリオレフィン樹脂を10〜500kg/hr、好ましくは10〜30kg/hrの速度で投入、押出することができる。前記押出速度が10kg/hr未満であれば、生産性が低下することがあり、500kg/hr超過であれば、カーボンナノチューブとポリオレフィン樹脂の混合均一度が低下することがある。
【0071】
前記(a)段階の生成物である前記マスターバッチは、高含量のカーボンナノチューブを含むことができる。例えば、前記マスターバッチに含まれたカーボンナノチューブの含量が5〜30重量%であってもよい。
【0072】
前記マスターバッチに含まれたカーボンナノチューブの含量が5重量%未満であれば、カーボンナノチューブがマスターバッチに濃縮される程度が非常に弱く、30重量%超過であれば、製造されたマスターバッチの組成が不均一になって、加工性が低下することがある。
【0073】
前記マスターバッチの製造時に使用されるカーボンナノチューブは、粉末状のものを機械的、物理的に打錠して、ペレット形態で加工したものであって、加工後にカーボンナノチューブの見かけ密度が0.01〜0.2g/ml、好ましくは0.05〜0.2g/mlであってもよい。
【0074】
前記カーボンナノチューブの見かけ密度が前記範囲を外れる場合、カーボンナノチューブを5重量%以上含む高濃度のマスターバッチを製造することが困難である。また、ペレット形態で加工されたカーボンナノチューブは、作業間粉末が飛散するのを防止して、作業環境を改善することができる。
【0075】
前記(a)段階で混合時に使用される押出器は、一つのスクリューを備えた単軸押出器、または複数のスクリューを備えた多軸押出器であってもよく、好ましくは各成分間均一な混合、押出のために2個のスクリューを備えた二軸押出器(ツインスクリュー押出器)であってもよいが、これに限定されるものではない。この際、前記押出器を利用した混練過程でカーボンナノチューブの破損を抑制するために、好ましくは二軸押出器を使用して、前記ポリオレフィン樹脂を押出器のメインホッパーから投入し、カーボンナノチューブをサイドフィーダを介して供給することにより、溶融混練する方法が使用できる。
【0076】
前記(b)段階では、前記マスターバッチに含まれた高含量のカーボンナノチューブをポリオレフィン樹脂と混合して、希釈(let−down)することができる。前記(b)段階で投入されるポリオレフィン樹脂の量は、生成物である樹脂組成物のうちカーボンナノチューブの含量を1〜10重量%で希釈することができる程度なら充分である。
【0077】
また、前記(b)段階で使用されるポリオレフィン樹脂は、前記(a)段階で使用されたものと同種であってもよく、必要に応じて異種であってもよい。ただし、前記(a)および(b)段階で使用されるポリオレフィン樹脂の種類が異なる場合にも、これら間の相溶性を考慮して、これらの各々に含まれた一つ以上の単量体が同じもの、またはこれらの各々に含まれた一つ以上の樹脂が同じものが使用できる。
【0078】
前記(a)および(b)段階を通じて製造された樹脂組成物は、高粘度のポリオレフィン樹脂を母材として使用しながらも、従来の製造方法、例えばマスターバッチを経ることなく製造された樹脂組成物に比べて、電気伝導性を向上させると同時に、機械的物性を維持して、両者を均衡的に具現することができる。
【0079】
具体的に、前記マスターバッチとポリオレフィン樹脂を混合して、前記樹脂組成物に含まれたカーボンナノチューブの含量が1〜10重量%となるように希釈することができる。前記樹脂組成物に含まれたカーボンナノチューブの含量が1重量%未満であれば、電気導電性が低下することがあり、10重量%超過であれば、機械的物性が顕著に低下することがある。
【0080】
前記(b)段階で前記マスターバッチと前記ポリオレフィン樹脂の混合は、溶融混合法(Melt compounding)、in−situ重合法(In−situ polymerization)、溶液混合法(solution mixing)等が使用できるが、好ましくは押出器などを利用して高温、高せん断力下でカーボンナノチューブを樹脂内に均一に分散させることができ、大容量化および製造費用の節減が可能な溶融混合法が使用できる。前記押出器の種類と特徴、選択基準などについては、前述したものと同じである。
【0081】
前記(b)段階で前記混合は、180〜250℃、好ましくは180〜240℃、より好ましくは200℃の温度で行われ得る。前記温度が180℃未満であれば、ポリオレフィン樹脂が部分的に溶融して、押出成形性とカーボンナノチューブの分散性が低下することがあり、250℃超過であれば、ポリオレフィン樹脂の熱分解または変性が発生し得る。
【0082】
なお、前記(a)から(c)のうち少なくとも一つの段階で、さらに発泡剤を混合する。前記(a)および/または(b)段階で、前記樹脂組成物の使用目的に応じて難燃剤、衝撃補強剤、難燃補助剤、滑剤、可塑剤、熱安定剤、滴下防止剤、酸化防止剤、相溶化剤、光安定剤、顔料、染料、無機物添加剤、およびドリップ防止剤よりなる群から選択される一つ以上の添加剤をさらに混合することができる。
【0083】
前記添加剤の含量は、前記樹脂組成物の総重量を基準として0.1〜10重量%であってもよい。前記添加剤の含量が0.1重量%未満であれば、使用目的に適合した効果を具現することができず、10重量%超過であれば、ポリオレフィン樹脂の固有の物性を低下させることができる。
【0084】
前記(c)段階では、前記樹脂組成物を発泡させて、平均直径が10〜200μmである複数のセルを含むビーズを製造することができる。
【0085】
前記発泡は、通常の方法によるが、130〜150℃の温度および20〜40kgf/cm
2の圧力で行われ得る。前記発泡時に温度および圧力が前記範囲を外れる場合、前記発泡ビーズに含まれたセルの平均直径を10〜200μmに調節することができず、これにより、発泡ビーズとこれから製造された製品のクッション感、電気伝導性および帯電防止特性を均衡的に具現することができない。
【0086】
前記発泡は、水、エチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノールおよびこれらのうち2以上の混合物よりなる群から選択された一つの分散媒、好ましくは、水の存在下で行われ得るが、これに限定されるものではない。
【0087】
前記発泡ビーズとこれから製造された製品の表面抵抗は、10
2〜10
10Ω/sqの範囲で調節され得、特に、帯電防止や優れた電気伝導性が要求される製品では、10
2〜10
8Ω/sq、好ましくは10
2〜10
7Ω/sqの範囲で調節され得る。
【0088】
その他、段階(a)〜(c)で使用された各成分の種類、含量、機能、作用効果については、前述したものと同じである。
【0089】
以下、本発明の実施例に関して詳細に説明することとする。
【0090】
実施例1
平均外径が25.8nmであり、平均内径が13.6nmであり、ラマン分光強度比が1.25であり、炭素純度が96.5%である複数の多重壁カーボンナノチューブ(MWCNT)が束形態からなるカーボンナノチューブ集合体10重量部をツインスクリュー押出器のサイドフィーダに投入し、ポリプロピレン樹脂90重量部をメインホッパーに15kg/hrの速度で投入した後、混練速度300rpmおよび加工温度230℃下で溶融混練して、マスターバッチを製造した。
【0091】
前記マスターバッチとポリプロピレン樹脂をツインスクリュー押出器に15kg/hrの速度で投入し、混練速度300rpmおよび加工温度200℃下で溶融混練して、カーボンナノチューブの含量が3重量%である樹脂組成物を製造した。
【0092】
前記樹脂組成物と二酸化炭素を水で満たされた反応器に投入し、30kgf/cm
2の圧力および140℃の温度で加熱した後、大気中に露出させて、約15倍の割合で膨張した球形の発泡ビーズを製造した。
【0093】
前記発泡ビーズを通常の方法で成形して、基板ガラスの包装および移送用ボックスを製造した。
【0094】
実施例2
樹脂組成物に含まれたカーボンナノチューブの含量が4重量%となるように調節したことを除いて、前記実施例1と同じ方法で樹脂組成物、発泡ビーズおよび基板ガラスの包装および移送用ボックスを製造した。
【0095】
実施例3
樹脂組成物に含まれたカーボンナノチューブの含量が5重量%となるように調節したことを除いて、前記実施例1と同じ方法で樹脂組成物、発泡ビーズおよび基板ガラスの包装および移送用ボックスを製造した。
【0096】
比較例1
平均外径が25.8nmであり、平均内径が13.6nmであり、ラマン分光強度比が1.25であり、炭素純度が96.5%である複数の多重壁カーボンナノチューブ(MWCNT)が束形態からなるカーボンナノチューブ集合体3重量部をツインスクリュー押出器のサイドフィーダに投入し、ポリプロピレン樹脂97重量部をメインホッパーに15kg/hrの速度で投入した後、混練速度300rpmおよび加工温度230℃下で溶融混練して、樹脂組成物を製造した。前記多重壁カーボンナノチューブのラマン分光強度比は、DXRラマン顕微鏡(Thermo Electron Scientific Instruments LLC)を利用してレーザー波長532nmで測定した。
【0097】
前記樹脂組成物と二酸化炭素を水で満たされた反応器に投入し、30kgf/cm
2の圧力および140℃の温度で加熱した後、大気中に露出させて、約15倍の割合で膨張した球形の発泡ビーズを製造した。
【0098】
前記発泡ビーズを通常の方法で成形して、基板ガラスの包装および移送用ボックスを製造した。
【0099】
比較例2
樹脂組成物をツインスクリュー押出器で2回溶融混練して製造したことを除いて、前記比較例1と同じ方法で樹脂組成物、発泡ビーズおよび基板ガラスの包装および移送用ボックスを製造した。
【0100】
比較例3
平均外径が15nmであり、平均内径が4.7nmであり、ラマン分光強度比が0.80であり、炭素純度が94.3%である複数の多重壁カーボンナノチューブが束形態からなるカーボンナノチューブ集合体10重量部をツインスクリュー押出器のサイドフィーダに投入し、ポリプロピレン樹脂90重量部をメインホッパーに15kg/hrの速度で投入した後、混練速度300rpmおよび加工温度230℃下で溶融混練して、マスターバッチを製造した。前記多重壁カーボンナノチューブのラマン分光強度比は、DXRラマン顕微鏡(Thermo Electron Scientific Instruments LLC)を利用してレーザー波長532nmで測定した。
【0101】
前記マスターバッチとポリプロピレン樹脂をツインスクリュー押出器に15kg/hrの速度で投入し、混練速度300rpmおよび加工温度200℃下で溶融混練して、カーボンナノチューブの含量が3重量%である樹脂組成物を製造した。
【0102】
前記樹脂組成物と二酸化炭素を水で満たされた反応器に投入し、30kgf/cm
2の圧力および140℃の温度で加熱した後、大気中に露出させて、約15倍の割合で膨張した球形の発泡ビーズを製造した。
【0103】
前記発泡ビーズを通常の方法で成形して、基板ガラスの包装および移送用ボックスを製造した。
【0104】
比較例4
樹脂組成物に含まれたカーボンナノチューブの含量が4重量%となるように調節したことを除いて、前記比較例3と同じ方法で樹脂組成物、発泡ビーズおよび基板ガラスの包装および移送用ボックスを製造した。
【0105】
比較例5
樹脂組成物に含まれたカーボンナノチューブの含量が5重量%となるように調節したことを除いて、前記比較例3と同じ方法で樹脂組成物、発泡ビーズおよび基板ガラスの包装および移送用ボックスを製造した。
【0106】
比較例6
ポリプロピレン樹脂をツインスクリュー押出器のメインホッパーに15kg/hrの速度で投入した後、混練速度300rpmおよび加工温度230℃下で溶融混練した後、二酸化炭素と共に水で満たされた反応器に投入し、30kgf/cm
2の圧力および140℃の温度で加熱した後、大気中に露出させて、約15倍の割合で膨張した球形の発泡ビーズを製造した。
【0107】
実験例1
前記実施例1および比較例1〜2により製造された基板ガラスの包装および移送用ボックスの表面抵抗(10^Ω/sq.)を表面抵抗測定器(SIMCO、ST−4)で測定し、その結果を下記表1に示した。
【0109】
前記表1を参照すると、高濃度のカーボンナノチューブを含むマスターバッチを希釈して製造された樹脂組成物を発泡、成形して製造された基板ガラスの包装および移送用ボックス(実施例1)の場合、マスターバッチの製造および希釈段階を経ることなく製造されたもの(比較例1)に比べて表面抵抗が顕著に低い。
【0110】
また、マスターバッチの製造および希釈段階を経ることなく、同じ濃度の樹脂組成物を2回溶融混練した後、発泡、成形して製造された基板ガラスの包装および移送用ボックス(比較例2)の場合、実施例1に比べて表面抵抗が増加して、マスターバッチの製造および希釈段階を経て製造されたボックスの電気伝導性および帯電防止特性が相対的に優れていることが分かる。
【0111】
実験例2
前記実施例2および比較例6により製造された発泡ビーズのセル構造を電子走査顕微鏡(FE−SEM)で分析し、その結果をそれぞれ
図1および
図2に示した。
【0112】
図1および
図2を参照すると、一定規格のカーボンナノチューブを一定量含む発泡ビーズ(実施例2)は、カーボンナノチューブを含まない発泡ビーズ(比較例6)に比べて相対的にサイズが小さい複数のセル(直径10〜200μm)を含む。
【0113】
実施例2のように、セルサイズが小さく、単位体積当たりセルの数が多い場合、カーボンナノチューブが発泡ビーズ内で電気伝導性ネットワークを形成するのに有利な構造を提供することができる。
【0114】
実験例3
前記実施例1〜3および比較例3〜5により製造された基板ガラスの包装および移送用ボックスの表面抵抗(10^Ω/sq.)を表面抵抗測定器(SIMCO、ST−4)で測定し、その結果を
図3に示した。
【0115】
図3を参照すると、平均内径が平均外径の40%未満である多重壁カーボンナノチューブを使用して製造されたボックス(比較例3〜5)に比べて、平均内径が平均外径の40%以上であるカーボンナノチューブを使用して製造されたボックス(実施例1〜3)の表面抵抗が顕著に減少して、電気伝導性および帯電防止特性が相対的に優れていることが分かる。
【0116】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で簡単に変形が可能であることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。例えば、単一型と説明されている各構成要素は、分散して実施されてもよく、同様に、分散したものと説明されている構成要素も、結合された形態で実施されてもよい。
【0117】
本発明の範囲は、後述する請求範囲により示され、請求範囲の意味および範囲そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。