音声信号の周波数と音圧とを、光の色と明るさとに変換し、変換光を表示する表示領域において、音声信号の下限周波数に第1色を割り付け、音声信号の上限周波数に第1色に比べて波長が短い第2色を割り付け、第1色の表示位置と第2色の表示位置とを、表示領域の中央部に対して対称位置に配置し、前記周波数を下限から上限まで連続的に変化させたとき、表示領域において表示される変換光の色が、第1色の色から第2色の色まで連続的に変化するとともに、変換光の中心位置が、第1色の位置から表示領域の中央部を経て第2色の位置まで連続的に移動し、音声信号がホワイトノイズの場合は、表示領域における変換光を、第1色から第2色までの範囲においてスペクトル状に表示する。
音声信号に含まれる周波数とその音圧とを、光の色とその明るさとに変換する音光変換装置の表示方法であって、前記音声信号を変換した変換光を表示する表示領域において、前記音声信号の下限周波数に、第1色を割り付け、前記音声信号の上限周波数に、前記第1色に比べて光の波長が短い第2色を割り付け、前記第1色の表示位置と、前記第2色の表示位置とを、前記表示領域の中央部に対して対称となる位置に配置し、前記音声信号の周波数を、下限から上限まで連続的に変化させた場合に、前記表示領域において表示される前記変換光の色(波長)が、前記第1色の色(波長)から前記第2色の色(波長)まで連続的に変化するとともに、前記表示領域において表示される前記変換光の中心位置が、前記第1色の位置から、前記中央部を経て、前記第2色の位置まで連続的に移動し、前記音声信号がホワイトノイズの場合は、前記表示領域における変換光を、前記第1色から前記第2色までの範囲において、スペクトル状に表示することを特徴とする、音光変換表示方法。
請求項1または2のいずれか1項に記載の音光変換表示方法において、特定色の明るさを、ユーザの操作によって増減させることができる機能を有することを特徴とする、音光変換表示方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、音楽信号のような複数の周波数成分からなり、そのそれぞれの音圧と全体の音圧とが次々に変化する信号を変換した場合の表示は、前記周波数に対応する複数の色と、そのそれぞれの表示位置と輝度とバーの長さと、全体のバーの長さとが、次々に変化するものとなる。
【0008】
このとき表示の更新時間を、例えばLEDレベルメータ等における一般的な100msとした場合、その更新時間内に、前記の複数の色と、それに関連する複数の要素と、バー全体の長さとを視認して内容を把握しなければならず、そのためには、観察力や理解力が必要となる。
【0009】
前記更新時間を遅く(更新間隔を長く)すれば表示内容を把握しやすくなるが、音声信号(音楽等)への追従感が損なわれる問題が生じる。
【0010】
特許文献2は、音声帯域内において、12の音階変化を12色、10オクターブの変化を10段階の輝度変化に対応させて表示するものである。
例えば表示色が黄色の場合、それに対応する音が「レ」の音であること、および、前記黄色の輝度から属しているオクターブを判断しなければならない。そのためには10段階の光の輝度変化を見分けることができる観察力や、音階とオクターブとを把握できる音の感覚が必要である。
【0011】
また、特許文献2では、音階とオクターブとに色と輝度とが関連付いているため、音圧を色の面積によって表している。そのため、音声信号の変化が2要素(周波数および音圧)なのに対して、変換後の光の構成要素が3要素(色および輝度および面積)となる。音を面積として表現する場合は音の広がり(臨場感やステレオ感)として表すのが適切であるため、人の感覚と相違する恐れがある。
【0012】
特許文献3は、ある特定の時間幅内における周波数の変化を色の変化に変換し、その結果を時間的経緯に対応させて2次元的な色柄模様を表示する方法である。この方法では、時間軸上において、時間の変化に伴う色の変化を色柄模様として表示する方法であるから、当該時間軸上における特定の時間(ある瞬間)に表示される色は1つである。
【0013】
上記のとおり、特許文献1、2の表示方法は、変換の正確性や音の特徴を詳細に表現できることに優れる反面、正確性を重視するあまり、表示内容が複雑になったり細かな変化を見分けたりする必要があり、それを把握するためには観察力や理解力が必要であった。
【0014】
音声信号の変化が音楽信号のように複雑かつ高速になれば、表示変化もそれに伴って複雑かつ高速なものとなる。人の観察力や理解力には個人差や限界があり、複雑かつ高速に変化する表示に対応できず、感覚的な相違や受け入れ難さに繋がる恐れがある。
【0015】
特許文献3の表示方法は、特許文献1のように、サンプリング毎に取得した音声帯域全域に含まれる複数の周波数とその音圧とを、複数の色とその明るさとに変換し、その変換された複数の色と明るさとを同時に表示する用途には適さない。
【0016】
また、上記の特許文献1、2、3では、表示を行うためにカラー液晶などのカラー表示器や、それを駆動するためのドライバ回路などが必要なため、部品コストや開発工数が増加し、低コストに製品化することが難しかった。
【0017】
そこで、本発明に係わる表示は、正確性よりも音の変化や音の傾向を直観的に感じることができるようにすることに重点を置き、音を光に変換した結果の表示を、視認が容易で、分かりやすく、受け入れられやすいものとすることを第1の目的とし、それを低コストに実現することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記第1の目的を達成するために必要な要件は、
1、音と光との特徴が互いに関連付けられ、その関連性が理解しやすいものであること。
2、表示要素や変動要素が少ないこと。
3、親しみをもてること。
である。そして、第2の目的を達成するための要件は、低コスト部品によって実現できる構成にすることである。
【0019】
まず、上記1の要件を満たすために、音の特徴を表す最適な表示形態と、光の特徴を表す最適な表示形態とを、関連付ければよいと考えた。音の特徴を表すものとして広く知られているのは、周波数を横軸、音圧(音の強さ)を縦軸とした2次元のグラフである。光の特徴を表すものとして広く知られているのは、光の波長(色)を横軸、光の強さを縦軸とした2次元のスペクトル図(分光分布図)である。音と光との関連付けを分かりやすいものとするには、両方の共通点を互いに関連付ければよい。
【0020】
そこで、波の周期に関連する横軸同士(音の周波数軸と光の波長軸と)を関連付けるようにした。なお、周波数と波長とは、周波数=伝播速度/波長、の関係性をもつものである。
そして、音圧や光の強さは、2次元的な表現の場合は縦軸で表す必要があるが、表示装置では光の強さを光の明るさとして表現できるため、音圧を光の明るさに関連付けるようにした。
【0021】
上記関連付けによれば、その表示は、音の周波数軸に対応する光の波長軸上における色と、音圧に対応する当該色における明るさとの、必要最小限の要素によって構成され、当該波長軸は固定されていて変動しない。また、前記波長軸に対して表示されるスペクトルは、虹の模様を連想させるものであり、親しみを感じられるものである。したがって、上記1の要件を満たせば、上記2の要件と上記3の要件とを、同時に満たすことができる。
そのため本発明に係る表示は、以下のように行うものである。
【0022】
本発明に係る音光変換表示方法は、音声信号に含まれる周波数とその音圧とを、光の色とその明るさとに変換して表示する方法であり、前記音声信号を変換した変換光を表示する表示領域において、前記音声信号の下限周波数に、第1色を割り付け、前記音声信号の上限周波数に、前記第1色に比べて光の波長が短い第2色を割り付け、前記第1色の表示位置と、前記第2色の表示位置とを、前記表示領域の中央部に対して対称となる位置に配置し、前記音声信号の周波数を、下限から上限まで連続的に変化させた場合に、前記表示領域において表示される前記変換光の色(波長)が、前記第1色の色(波長)から前記第2色の色(波長)まで連続的に変化するとともに、前記表示領域において表示される前記変換光の中心位置が、前記第1色の位置から、前記中央部を経て、前記第2色の位置まで連続的に移動し、前記音声信号がホワイトノイズの場合は、前記表示領域における変換光を、前記第1色から前記第2色までの範囲において、スペクトル状に表示する。
【0023】
本発明に係る音光変換表示方法の別の形態では、前記色の明るさは、前記周波数における音圧の平均値を変換したものである。
【0024】
本発明に係る音光変換表示方法の別の形態では、特定色の明るさを、ユーザの操作によって増減させることができる機能をもつ。
【0025】
本発明に係る音光変換表示装置は、上記の表示方法を用いた装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係わる表示方法は、音声信号の周波数を光の色に変換し、当該周波数における音の強さを当該色の明るさに変換し、当該色の表示位置は光の波長軸に対応した位置である。これによって、音および光の特徴の共通点が互いに関連付けられ、その関連性は単純明快なものである。
【0027】
また、本方法による表示は色の変化が連続的で滑らかであり、複数の異なる周波数からなる音声信号を変換した際、表示される異なる色の間に明瞭な区切り(境界)がない。また、前記波長軸は固定されていて変動しない。特許文献1では、色の種類や、その組み合わせや、それぞれの色の位置や、それぞれの色の明るさなどの情報を見逃さないように観察に集中し、その内容を把握しなければならなかったが、本方法による表示は変動要素が少なく、大まかな表示であるため視認が容易であり、観察力や理解力をほとんど必要としない。そのため感覚的に捉えやすい。
【0028】
そして、前記第1色を赤色、前記第2色を紫色、にすることによって、前記表示領域における変換光の色配列が虹と同じ色配列となり、ホワイトノイズのような各周波数におけるレベル分布が均一な音声信号を変換すると、虹模様のようなスペクトル状の表示結果が得られる。また、音声信号の変化に伴って虹模様が変化しているような様相を見ることができる。それによって親しみや美しさなどを感じることができる。
【0029】
本方法の表示はカラー表示器よりも安価な発光体によって実現できるため、部品コストおよび開発コストを抑えることができる。また、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)を用いて制御を行う場合の演算処理において、従来用いていた離散フーリエ変換のような演算負荷の高い処理を用いない。そのため、比較的低速(低コスト)のマイコンであっても処理速度に問題を生じることなく処理を行うことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
実施形態1.
図1は、実施形態1における回路ブロック図である。
図2は、実施形態1における音声信号と帯域とを示す図である。
図3は、実施形態1における発光体の配置を示す正面図である。
図4は、実施形態1における拡散透過板の配置を示す上面図である。
図5は、実施形態1における表示の例を示す正面図である。
【0032】
まず初めに、実施形態1の構成概要を説明する。
音声信号S1は、
図1に示す入力回路4を経由し、帯域フィルタ(FR、FG、FB)によって、
図2に示す帯域(BR、BG、BB)に分割される。
図1に示す発光体(LR、LG、LB)は、前記帯域フィルタ(FR、FG、FB)の出力レベルに応じて、制御回路(CR、CG、CB)によって発光が制御される。前記発光体(LR、LG、LB)は、
図3に示すパネル基板1に、LR、LG、LBの順に配置される。その並び順は、前記の帯域(BR、BG、BB)の並び順に対応している。そして、
図4に示すように、前記発光体(LR、LG、LB)の前面側に拡散透過板2を備え、その位置は、隣り合う前記発光体同士の混合色が、隣り合う前記発光体同士の中間部分に発現する位置である。
【0033】
本実施形態において、前記第1色は、周波数が最も低い帯域BRに対応する前記発光体LRから発する色であり、前記第2色は、周波数が最も高い帯域BBに対応する前記発光体LBから発する色であり、前記拡散透過板2が、前記の変換光を表示する表示領域となる。
【0034】
さらに、
図1に基づき詳細を説明する。
音声信号S1は、入力端子3から入力され、入力回路4を経由し、帯域フィルタ(FR、FG、FB)に入力される。前記入力回路4は、前記音声信号S1を前記帯域フィルタの入力に適した信号に、変換や増幅や調整をするための回路である。例えば、平衡信号を不平衡信号に変換したり、インピーダンスを変換したり、音声信号以外の不要な信号(ノイズ)を除去したり、低レベル信号を増幅したり、信号レベルを調整したりする作用を、必要に応じてもつ回路である。
【0035】
次に、前記帯域フィルタ(FR、FG、FB)は、前記入力回路4の出力信号(音声信号S2)を、前記発光体(LR、LG、LB)毎の帯域に分割するフィルタである。音声信号S2は、
図2に示すように、低い周波数から高い周波数の順に、前記帯域BR、前記帯域BG、前記帯域BB、に分割される。前記分割された帯域の遷移域が、隣り合う帯域の遷移域と交差するように、前記帯域フィルタの遮断周波数を設定する。前記帯域フィルタの減衰傾度は、例えば6dB/oct、であるが、さらに急峻な減衰傾度でもよい。
(前記octは、周波数が2倍、または、1/2倍になった場合を示す。)
前記帯域フィルタは、受動部品(抵抗・コイル・コンデンサ)によって構成してもよいし、オペアンプなどと組み合わせてアクティブフィルタを構成してもよい。前記アクティブフィルタの場合は、増幅作用をもたせたり、ダイオード部品などを加えることによって、整流作用をもたせたりすることもできる。
また、最も低い帯域を受け持つ前記帯域フィルタFRは、ローパスフィルタであってもよく、最も高い帯域を受け持つ前記帯域フィルタFBは、ハイパスフィルタであってもよい。
【0036】
次に、前記発光体(LR、LG、LB)は、その明るさを制御することが可能な、LEDやランプなどの発光体であり、前記帯域(BR、BG、BB)に対して、異なる色光の発光体を、波長が長い順に(前記制御回路を経由して)割り付ける。例えば、前記帯域BRには赤色の発光体LRを、前記帯域BGには緑色の発光体LGを、前記帯域BBには青色の発光体LBを割り付ける。前記発光体は、前記パネル基板1に、前記帯域の並び順と同じ、前記赤色の発光体LR(帯域BRに対応)、前記緑色の発光体LG(帯域BGに対応)、前記青色の発光体LB(帯域BBに対応)、順に配置する。この場合、前記第1色は赤色、前記第2色は青色となる。
なお、前記変換光における色は、発光体の光を、色フィルタを通して発した色であってもよい。また、前記発光体は、前記パネル基板1に配置せず、装置筺体などに直接取り付けてもよい。
【0037】
次に、前記制御回路(CR、CG、CB)は、前記帯域フィルタ(FR、FG、FB)の出力電圧に応じて前記発光体(LR、LG、LB)を駆動および制御する回路である。前記発光体の明るさが印加電圧に比例して変化しない場合や、前記帯域フィルタの出力電圧が低く、前記発光体を直接駆動することができない場合は、前記帯域フィルタの出力電圧を、前記発光体に適した駆動電圧や駆動波形に変換する必要が生じる。そのようなときに、前記発光体に適した駆動および制御を行うための回路である。例えば、前記発光体にLEDを用いて、0Vから直線的に変化する出力電圧に対応させて明るさを制御しようとした場合は、前記出力電圧をPWM変換して発光制御を行ったほうがよく、当該PWM変換は、入力信号をPWM出力に変換することが可能な集積回路や、A/D入力とPWM出力とをもつマイコンなどを用いて行うことができる。その場合のPWM出力の更新間隔(表示の更新間隔)は短いほうがよく、30ms以下とするのが望ましい。
図1では、前記発光体をGNDに対して正電圧で駆動しているが、電源に対して負電圧で駆動してもよい。また、前記制御回路に、入力に対して補正や変換を行う機能や、他の付加機能をもたせてもよい。それらの機能は、前記マイコンを用いればソフトウェアによって実現できる。(後述の実施形態4) なお、前記帯域フィルタの出力によって前記発光体を直接駆動する場合は、前記制御回路は不要である。
【0038】
次に、抵抗(RR、RG、RB)は、前記発光体(LR、LG、LB)に対して、電流を制限したり明るさを調整したりするための抵抗である。例えば、前記発光体(LR、LG、LB)がLEDの場合であれば、前記抵抗(RR、RG、RB)における抵抗値は、前記制御回路(CR、CG、CB)の出力が最大の時に、前記LED(LR、LG、LB)に流す最大電流と「最大明るさ」とを定めるために設定するものである。前記最大電流は、前記LED(LR、LG、LB)の最大定格内においてディレーティングを考慮して任意に定めるものであり、前記「最大明るさ」は、前記最大電流時における前記LED(LR、LG、LB)の明るさである。
【0039】
次に、前記拡散透過板2は、樹脂やガラスからなる半透明もしくは乳白色もしくは表面に細かな凹凸をもつ透過板、または、透明板と光の拡散作用をもつフィルムなどとを組み合わせて構成した透過板であり、発光体からの光を拡散する作用をもつ。
前記拡散透過板2を配置する位置は、
図4に示すように、前記発光体(LR、LG、LB)の前面側において、隣り合う前記発光体同士の光が、その発光体間の中間部分において混合される位置であり、かつ、互いの光の全てが混合されることのない位置である。例えばその位置は、前記赤色の発光体LRと前記緑色の発光体LGとを同時に同じ明るさにおいて発光させた場合に、前記赤色の発光体LRと前記緑色の発光体LGとの中間部分から、前記赤色と前記緑色との混合色である黄色が発現するが、前記赤色と前記緑色との光は完全には混じり合わずに、当該黄色と前記赤色との中間色である概橙色へのグラデーションが前記赤色の発光体LR側に現れ、当該黄色と前記緑色との中間色である概黄緑色へのグラデーションが前記緑色の発光体LG側に現れる位置である。前記混合色および前記グラデーションは、前記拡散透過板2がもつ拡散作用によって、前記拡散透過板2に現れるものである。(後述の具体例2)
前記グラデーションを発現させることによって、前記音声信号S1がホワイトノイズの場合は、前記第1色から前記第2色の範囲において、色の変化が連続的なスペクトル状の表示が得られる。(後述の具体例4)
【0040】
次に、本形態の表示について説明する。
前記音声信号S1が単一の周波数からなる信号であって、当該周波数が、前記帯域(BR、BG、BB)のいずれか1つの通過帯域の範囲内にあり、かつ、別の帯域の遷移域に入らない周波数の場合は、前記いずれか1つの帯域に対応する発光体が、前記音声信号S1の信号レベルに応じて発光する。(後述の具体例1)
【0041】
前記音声信号S1が単一の周波数からなる信号であって、当該周波数が、前記帯域(BR、BG、BB)のいずれか2つの遷移域内にある場合は、その2つの帯域に対応する2つの発光体が発光する。それらの発光レベルは信号レベルに応じたものとなるが、その信号レベルは、前記音声信号S1の信号レベルに対して、それぞれの遷移域における減衰量分が減少したレベルとなる。(後述の具体例2)
【0042】
次に、下記条件の場合の、表示の具体例を説明する。
前記発光体LRの色を赤色、前記発光体LGの色を緑色、前記発光体LBの色を青色とする。
前記帯域BRにおける高域側遷移域と前記帯域BGにおける低域側遷移域とのそれぞれが通過帯域から6dB減衰して交差する周波数を160Hz、前記帯域BGにおける高域側遷移域と前記帯域BBにおける低域側遷移域とのそれぞれが通過帯域から6dB減衰して交差する周波数を6kHzとし、前記帯域の減衰傾度を6dB/octとする。また、各帯域における通過帯域のゲインは全て0dBとする。
音声信号S1の最大入力電圧を1Vrms、前記入力回路4のゲインを0dBとする。前記入力回路4は、前記音声信号S1のインピーダンス変換および前記音声信号S1から音声帯域以外の不要ノイズを除去する作用をもつものとする。前記発光体(LR、LG、LB)にLEDを用い、前記制御回路(CR、CG、CB)はPWM制御回路であり、当該PWM周期を、200kHz(5μs)とし、当該PWM出力のデューティ比[%]は、正電圧出力幅/5μsを百分率で表す。前記PWM出力の更新間隔(表示の更新間隔)を10msとし、前記発光体(LR、LG、LB)は、前記PWM出力のデューティ比[%]と同じ比率で明るさが変化するものとする。前記音声信号S1の出力1Vrms〜100mVrmsの範囲に、前記発光体(LR、LG、LB)の明るさ100%〜10%の発光範囲を均等に割り付け、前記音声信号S1が100mVrms未満のときは、前記発光体(LR、LG、LB)の明るさを0%(消灯)とする。このとき、前記音声信号S1が0.5Vrmsであれば、前記発光体(LR、LG、LB)の明るさは50%である。なお、前記100%時の明るさは、前記抵抗(RR、RG、RB)によって定めた、前述の「最大明るさ」であり、前記発光体(LR、LG、LB)の「最大明るさ」は、全て同じ明るさ(輝度)とする。
【0043】
具体例1.入力する音声信号S1を、1kHz、1Vrmsの正弦波とした場合。
この場合の表示様相は、前記帯域BGに対応した前記緑色の発光体LGが、100%の明るさにおいて発光し、前記緑色の明るさは、前記拡散透過板2における前記緑色の発光体LGの正面部分(対向部分)が最も明るく、両端方向にいくにしたがって、次第に明るさが減少する。
【0044】
具体例2.入力する音声信号S1を、160Hz、1Vrmsの正弦波とした場合。
この場合の表示様相は、前記帯域BRに対応する前記赤色の発光体LRの明るさが、前記帯域BRの減衰量(−6dB)に応じて50%となり、前記帯域BGに対応する前記緑色の発光体LGの明るさが、前記帯域BGの減衰量(−6dB)に応じて50%になる。そして、前記発光体から発せられた赤色と緑色とが、前記拡散透過板2において拡散および混合されて、前記赤色と前記緑色との混合色である黄色が、前記赤色の発光体LRと前記緑色の発光体LGとの中間部分を中心にして発現し、その明るさは、ほぼ100%の明るさとなる。このとき、前記赤色と前記緑色とは完全には混合されず、概橙色から前記黄色を経て概黄緑色に変化するようなグラデーションが、前記黄色部を中心にして発現する。
【0045】
具体例3.入力する音声信号S1を、20Hz〜50kHzまで連続的に変化する1Vrmsの正弦波(スイープ信号)とした場合。
この場合は、前記音声信号S1が、前記帯域(BR、BG、BB)の通過帯域や遷移域を連続的に移動する。そのため、前記音声信号S1の周波数が、最初の20Hzの場合は、前記帯域BRに対応した前記赤色の発光体LRのみが発光し、当該周波数が高くなるにつれて、前記赤色の発光体LRの明るさが次第に暗くなり、それとともに、前記緑色の発光体LGの明るさが次第に明るくなり、160Hzを境にして、前記赤色の発光体LRと、前記緑色の発光体LGとの明るさが逆転し、さらに当該周波数が高くなると、今度は前記緑色の発光体LGの明るさが次第に暗くなり、それとともに、前記青色の発光体LBの明るさが次第に明るくなり、6kHzを境にして、前記緑色の発光体LGと、前記青色の発光体LBとの明るさが逆転し、さらに当該周波数が高くなり、最終的に当該周波数が50kHzになると、前記帯域BBに対応した前記青色の発光体LBのみが発光した状態となる。そのため、前記拡散透過板2において発現する色は、赤色から始まり、緑色を経て青色に至るまでに、その間の混合色(中間色)を経由しながら、赤色→橙色→黄色→緑色→水色→青色、への連続的な変化となる。このとき、前記拡散透過板2における各色の発現位置の中心は、前記赤色の発光体LRの正面位置から、色の変化に伴って、前記緑色の発光体LGの正面を経由し、前記青色の発光体LBの正面位置まで移動する。また、各色の明るさは、ほぼ100%の明るさとなる。
【0046】
具体例4.入力する音声信号S1を、ホワイトノイズ、1Vrmsとした場合。
この場合の表示様相は、前記帯域BRに対応した前記赤色の発光体LRと、前記帯域BGに対応した前記緑色の発光体LGと、前記帯域BBに対応した前記青色の発光体LBとが、均一に発光し、それぞれの発光色が前記拡散透過板2において拡散および混合されて、それぞれの発光色およびそれぞれの発光色間の混合色が発現する。
本実施形態では、前記音声信号S1の分割帯域数およびそれに対応する発光体数が3つであるため、1回の表示において多くの色を表現すことはできない。しかし、表示の更新間隔を短くして人の目の残像現象を利用すれば、見かけ上多くの色を表現できるため、色の変化をより滑らかに見せることができる。本具体例における表示の更新間隔は前記残像現象が現れるとされる時間条件を満たす10ms間隔である。それにより、
図5に示すような、前記の赤色、緑色、青色の各色と、それぞれの中間色とが均一に現れたスペクトル状の表示を行うことができる。また、明るさは、表示領域全体において平均的にほぼ100%の明るさである。
【0047】
なお、前記音声信号S1がピンクノイズの場合は、ホワイトノイズと同様にスペクトル状の表示様相となるが、赤色が最も明るく、緑色、青色、になるに従い、明るさが減じたものとなる。その表示様相は、ピンクノイズの特徴が表されたものであると言える。
【0048】
このように、本実施形態によれば、前記発光体(色)の位置を光の波長軸に対応させ、音の周波数軸を当該波長軸に関連付け、当該周波数における音圧を色の明るさに関連付けて表示することができる。また、表示されるそれぞれの色間に明確な境界がなく、色の変化が滑らかである。そのため、細かな表示内容に気を捉われず、視認が容易であり、音の変化や音の傾向を直感的に感じ取ることができる。また、その表示は、時に虹模様に似たスペクトル状の表示様相となり、親しみを感じられるものである。
【0049】
実施形態2
図6は、実施形態2における発光体の配置の例を示す上面図である。
図7は、実施形態2における帯域の例を示す図である。
実施形態2は、実施形態1に対して、表示できる色の範囲を広げたり、中間色の発色を明瞭にしたりすることを目的として、実施形態1に、新たな色の発光体や中間色用の発光体、および、それに対応した帯域フィルタと制御回路とを追加した形態である。
【0050】
前記の新たな色は紫色であり、前記の中間色は、橙色、黄色、水色、である。その中から、いずれか1色、または、いずれか2色、または、いずれか3色、または、4色全てを追加してもよい。その場合は、赤色・橙色・黄色・緑色・水色・青色・紫色、の順に、発光体および対応する帯域フィルタと制御回路とを並べるものとする。ただし、追加しない色(存在しない色)は省いて並べるものとする。
【0051】
実施形態1に対して帯域フィルタを追加する場合は、追加する帯域とそれに隣接する帯域とは、帯域幅を狭くして減衰傾度を急峻にする必要がある。異なる帯域間において遷移域の交差領域が増えると、当該帯域に対応する発光色間において混合色が発現する割合が増え、それによって色相の明瞭度が低くなるためである。
【0052】
なお、前記紫色は、例えば、
図6に示すように、赤色の発光体LR2を青色の発光体LBの隣(外側)に備え、当該赤色の発光体LR2と前記青色の発光体LBとの混合色として発現させてもよい。その場合は、前記赤色の発光体LR2用の帯域フィルタを追加して、
図7に示すように帯域BR2を設け、前記青色の発光体LBに対応する帯域BBの高域側と当該帯域BR2とを重ねて、当該帯域BR2内において、前記青色の発光体LBと前記赤色の発光体LR2とを同時に発光させ、前記青色と前記赤色との混合色である紫色を発現させればよい。
【0053】
また、本実施形態とは反対に、色の範囲を狭めて音声信号の種類に応じて使い分けるようにしてもよい。例えば、楽器モニタやスピーカの付属装置として用いる場合に、異なる色範囲の表示装置を複数用いれば、音色や再生帯域の違いを差別化して表示することができる。
【0054】
実施形態3
図8は、実施形態3における回路ブロックの例を示す図である。
図9は、実施形態3における複合発光体の配置の例を示す上面図である。
実施形態3は、実施形態1に対して、複合発光体を追加、または、実施形態1の発光体の一部もしくは全てを複合発光体に置き換えた形態である。前記複合発光体を用いることによって、帯域フィルタを追加せずに、異なる色間の中間色を発色させることを目的としたものである。なお、ここでの「複合発光体」は、異なる2色以上の発光体からなり、そのそれぞれの発光体を単独および同時に発光させることができる発光体のことであり、例えば、2色LEDやフルカラーLEDである。
【0055】
本実施形態は、例えば、
図9に示すように、赤色の発光体LRと緑色の発光体LGとの間に、赤色と緑色との複合発光体LRGを備える。
図8に示すように、前記複合発光体LRGにおける赤色の発光体は、帯域フィルタFRに対応する制御回路CR2によって駆動および制御され、前記複合発光体LRGにおける緑色の発光体は、帯域フィルタFGの出力レベルに対応する制御回路CG2によって駆動および制御される。
なお、制御回路CRに発光体を並列駆動できる出力能力があれば、前記制御回路CR2を省略し、前記制御回路CRによって、前記複合発光体LRGにおける赤色の発光体を駆動してもよい。前記制御回路CG2も同様に、制御回路CGに発光体を並列駆動できる出力能力があれば省略できる。
また、前記緑色の発光体LGと青色の発光体LBとの間に、緑色と青色とからなる複合発光体を備えてもよい。
【0056】
その他の組み合わせとして、赤・[赤緑]・[緑青]・青や、実施形態2と組み合わせることによって種々の組み合わせを行うことができる。それによって色相の変化を明瞭にしたり、中間色を強調したりすることができる。また、[赤緑]・[緑青]・[青赤]、の組み合わせのように、全ての発光体を複合発光体によって構成してもよい。その場合は、表示する色の範囲が同じであれば、単色の発光体のみを用いて構成する場合に比べて、発光体の部品点数を減らすことができる。そのため、表示面積が狭く、部品の配置スペースが限られる場合などに有効である。
なお、前記[]内の色は、複合発光体における色の組み合わせを示している。
【0057】
実施形態4
本実施形態は、前記制御回路に、A/D入力とPWM出力とを有するマイコンを用いた形態である。
本実施形態の目的は、前記マイコンを用いることによって、前記制御回路に、入力信号(音声信号)に対する判定機能や補正機能や変換機能、ユーザの好みに合わせて表示を変えることができる付加機能などをもたせられるようにすることである。
【0058】
前記機能は、より具体的には、例えば、入力信号(音声信号)に対する「閾値判定」や「平均化」や「対数変換」、前記マイコンの入力端子に接続したスイッチ操作によって、特定の色の明るさをユーザが「増減」させることができる付加機能などである。なお、前記「平均化」は、入力信号(音声信号)を平均化することにより、当該入力信号の変化による表示のちらつきを抑えることを目的とするものである。
【0059】
次に、本形態の実施例について説明する。
図10は、実施形態4の実施例における回路図である。
図11は、実施形態4の実施例におけるタイマ割込み処理のフロー図である。
図12は、実施形態4の実施例における外部割込み処理1のフロー図である。
図13は、実施形態4の実施例における外部割込み処理2のフロー図である。
図14は、実施形態4の実施例におけるメイン処理のフロー図である。
図15は、実施形態4の実施例におけるフィルタ部の変形例を示す回路図である。
図10に示すように、本実施例におけるマイコンM1は、少なくとも3つのA/D入力と、少なくとも3つのPWM出力と、少なくとも2つの外部割込み入力(EXTI)と、内部タイマ割込みと、内部電源リセット機能と、内部メモリと、内部クロックと、を有し、A/D入力に対して、上記の「閾値判定」、「平均化」、「増減」、処理をソフトウェアによって行う。前記「平均化」処理と「増減」処理とは、その動作を、前記マイコンM1外部に接続されたスイッチ(SW1、SW2)によって切り替える。また、本実施例では、A/D入力から音声信号の読込みを93μs毎に行い、当該読込み100回毎に表示を更新(PWM出力を更新)し、A/D入力に対して前記「平均化」機能がオンの場合は、当該読込み100回分の平均値を求め、前記「平均化」機能がオフの場合は、当該読込み100回における最大値を取得する。
【0060】
次に、本実施例における帯域フィルタ部について説明する。
図10に示すように、本実施例の帯域フィルタ部F1は、フィルタ回路と全波整流回路とを併せもち、出力段に平滑回路を備える。
前記フィルタ回路は、コンデンサC1によって帯域の低域側を、コンデンサC2によって帯域の高域側を、減衰させ、前記全波整流回路は、主に、ダイオードD1、ダイオードD2、オペアンプOP1、オペアンプOP2、および周辺抵抗によって構成され、前記平滑回路は、ダイオードD3、コンデンサC3、抵抗R6によって構成される。前記フィルタ回路はC・Rによる1次フィルタとなり、その減衰傾度は6dB/octである。
【0061】
なお、帯域フィルタ部は、
図15に示すような、A/D入力に、抵抗R7と抵抗R8とによる中点バイアス回路を構成して、入力信号(音声信号)を交流信号のまま扱う簡易な回路を用いることもできる。このとき、ソフトウェアの処理において、A/D入力電圧と中点バイアス電圧との差を絶対値に変換すれば、交流信号を全波整流した場合と同じ作用をもたせることができる。この場合のサンプリング周期(A/D入力データの読込み間隔)は、音声信号における上限周波数を検出できる周期であることが望ましい。なお、A/D入力の分解能は実質的に半分になる。
【0062】
次に、フロー図に基づいて詳細を説明する。最初にサブ処理から説明する。(なお、下記のnは、前記発光体の色に対応し、色毎に処理を行うものとする。)
【0063】
図11に示す「93μsタイマ割込」処理は、93μs毎の内部タイマ割込み発生時に行われる、A/D入力データの読込み処理である。93μsタイマ割込S200から開始され、A/Dデータ取得S201において、A/D[n]入力からデジタル変換された音声信号の値をAin[n]配列変数に格納し、閾値判定S202の判定において、当該Ain[n]を任意に定めたTH(閾値)と比較し、当該Ain[n]が当該TH(閾値)以上の場合は、閾値処理S203に進み、当該Ain[n]が当該TH(閾値)に満たない場合は、零化処理S204に進む。
前記閾値処理S203は、前記Ain[n]から前記TH(閾値)を減算し、それを新たなAin[n]とする処理である。前記零化処理S204は、前記Ain[n]が前記TH(閾値)に満たない場合、Ain[n]を0にする処理である。なお、前記TH(閾値)は、ノイズによる誤検出を防止するために設定するものである。
次に、カウントアップS205において、カウント用のtc変数をインクリメントし、タイマフラグセットS206において、タイマフラグ(TM_FLAG)を1にセットし、復帰S207において、メイン処理に復帰する。
【0064】
次に、
図12に示す「外部割込1」処理は、前記マイコンM1に接続されたスイッチSW1が押されて、外部割込1のトリガを検出した時に行われる処理である。前記スイッチSW1は、A/D[n]入力データを平均化する機能のオン/オフを切り替えるスイッチである。前記スイッチSW1が押されると、「外部割込1」S300から処理を開始し、平均モードS301の判定において、現在の平均モードがオフ(AVGMが1以外)であった場合は、平均モードオンS302において、平均モードをオン(AVGMを1)にセットして次ぎに進む。
現在の平均モードがオン(AVGMが1)であった場合は、平均解除処理S303において、平均値を保持しているAD[n]を、その時のAin[n]に書き換え、次の平均モードオフS304において、平均モードをオフ(AVGMを0)にする。そして、復帰S305において、メイン処理に復帰する。
【0065】
次に、
図13に示す「外部割込2」処理は、前記マイコンM1に接続されたスイッチSW2が押されて、外部割込2のトリガを検出した時に行われる処理である。前記スイッチSW2は、特定色における明るさの増減機能を切り替えるスイッチである。
前記増減機能の初期状態はオフ(MODE=0)であり、前記スイッチSW2を押す毎に、明るさ増モード(MODE=1)→明るさ減モード(MODE=2)→機能オフ(MODE=0)、の動作を繰り返し行う。
【0066】
前記スイッチSW2が押されると、「外部割込2」S400から処理を開始し、モード判定S401において、現在のモード番号(MODE)が1より大きくなければ、モード変更S403の処理において、モード番号(MODE)をインクリメントして次に進み、現在のモード番号(MODE)が1より大きければ、モードオフS402の処理において、モードをオフ(MODEを0)にして次に進む。そして、復帰S404において、メイン処理に復帰する。
【0067】
次に、
図14に示す「メイン処理」について説明する。前記マイコンM1は、電源が投入され、内部電源リセット機能によってリセットされ、レジスタやポートやPWM出力などが初期化された後、メイン処理S100からプログラムを開始する。その後、変数初期化S101において、変数およびフラグを0に初期化する。その変数およびフラグは、tc(タイマ割込み時に更新するカウント用変数)、TM_FLAG(タイマ割込みを示すタイマフラグ)、Ain[n](A/D[n]入力からデジタル変換された値を読込み処理毎に一時的に格納する配列変数)、AD[n](Ain[n]を処理条件に基づいて格納する配列変数)、AVGM(平均モードを示すフラグ)、MODE(モード番号用の変数)、である。
【0068】
次に、タイマ割込S102の判定において、タイマフラグ(TM_FLAG)が0の間は待機状態(ループ)となり、前記タイマフラグ(TM_FLAG)が1であれば、タイマフラグクリアS103において、前記タイマフラグをクリア(TM_FLAGを0)して次に進む。
【0069】
そして次の、平均モードS104の判定において、平均モードがオン(AVGMが1)に設定されていれば、平均化処理S105に進み、前記平均モードがオフ(AVGMが1以外)であれば、データ比較S106に進む。
前記平均モードがオンの場合は、前記平均化処理S105において、AD[n]の値を、(AD[n]×(tc−1)+Ain[n])/tc、によって求めた平均値に書き換える。この処理は、カウント判定S108の条件を満たすまで(tcが1〜100まで)繰り返される。
前記平均モードがオフ(AVGMが1以外)の場合は、データ比較S106の判定において、Ain[n]がAD[n]より大きければ、データ格納S107において、当該AD[n]を当該Ain[n]に書き換え、それ以外の場合、当該AD[n]は更新されない。これによって、前記AD[n]は、tcが1〜100までの、Ain[n]の最大値となる。
なお、平均化の切り替えを行う前記スイッチSW1が、tcのカウント途中(1〜100間)に押された場合は、途中のカウントから切り替えが行われる。
【0070】
次に、カウント判定S108において、tc(タイマ割込み回数)を判定し、当該tcが100未満の場合は、前記変数初期化S101後に戻り、その後の処理を実行し、当該tcが99より大きい場合は次に進み、カウントクリアS109において、当該tcを0に戻す。
【0071】
次に、データ変換処理S110において、前記AD[n]を、PWM[n]出力に変換する処理(PWM[n]出力値の計算)を行う。この処理において、「対数変換」などのレベル変換を行うことができる。
PWM出力値の計算方法は、前記音声信号S1の最大時におけるAin[n](THを減算した値)を、Ain[n]の最大入力値とし、その値をPWM出力の最大値100[%]に割り付け、それを基に、前記AD[n]に対するPWM出力値[%]を求めるものである。
【0072】
この変換処理におけるPWM[n]出力値[%]の計算に係る値は、前記音声信号S1の最大入力電圧や、前記マイコンM1のA/D入力端子の定格(入力電圧範囲や分解能)によって異なるため、それに応じた値を用いる必要がある。
例えば、A/D入力の分解能が、入力0〜3069mVの範囲内において10ビット(0〜1023段階)、前記音声信号S1の最大時におけるA/D[n]入力電圧が3030mV、TH(閾値)を30mVとした場合、前記A/D[n]入力電圧をデジタル変換して得たデジタル値の「1010」(10進表記)から、前記TH(閾値)分のデジタル値「10」が減算された、デジタル値「1000」がAin[n]の最大入力値となる。
【0073】
前記音声信号S1に対して、前記PWM[n]の出力変化を単純な比例関係にする場合は、前記Ain[n]の最大入力値「1000」〜0を、前記PWM出力における最大値100[%]〜0[%]に対して均等に割り付ければよく、前記AD[n]に対する前記PWM[n]出力値[%]は、AD[n]/1000×100 となる。
【0074】
前記音声信号S1に対して、前記PWM[n]の出力変化を対数的に変化させる場合は、前記Ain[n]の最大入力値「1000」の対数変換値〜0を、前記PWM出力における最大値100[%]〜0[%]に、均等に割り付ければよい。(前記対数変換は、20×logを用い、logは常用対数とする。)前記「1000」の対数変換値は、20×log(1000)=60 であるため、前記AD[n]に対する前記PWM[n]出力値[%]は、
20×log(AD[n])/60×100 となる。
なお、ここでのPWM[n]出力値[%]は、デューティ比[%]であって、アクティブ出力幅/出力周期幅、を百分率で表したものである。
【0075】
また、別の変換方法として、予めAD値に対するPWM出力値を配列変数に格納しておき、それを参照して前記AD[n]に対する前記PWM[n]出力値を設定するようにしてもよい。
例えば、PWM[n]出力値[%]=PWM_VALUE[AD[n]]などとする。
(PWM_VALUE[]配列変数は、AD値に対するPWMの出力値を格納した配列変数である。)
【0076】
次に、増モードS111の判定において、明るさ増モード(MODEが1)の場合は、UP処理S112に進み、それ以外(MODEが1以外)の場合は、そのまま次に進む。
前記UP処理S112は、特定の色を明るくする処理である。例えば、青色を明るくさせる場合は、上記のPWM[n]出力値(nは青色に対応する)を、任意に定めた増加係数倍にしたPWM[n]出力値に置き換えるなどして、元のPWM[n]出力値より大きくする。(ただし、その値は100[%]を超えない範囲とする。)
次に、減モードS113の判定において、明るさ減モード(MODEが2)の場合は、DOWN処理S114に進み、それ以外(MODEが2以外)の場合は、そのまま次に進む。
前記DOWN処理S114は、特定の色を暗くする処理である。例えば、青色を暗くさせる場合は、上記のPWM[n]出力値(nは青色に対応する)を、任意に定めた減少係数倍にしたPWM[n]出力値に置き換えるなどして、元のPWM[n]出力値より小さくする。
【0077】
この明るさを増減させる処理は、例示した青色以外にも適用できる。また、本実施例の他に、前記スイッチSW2を押す毎に、増減させる色と増減モードとを順次切り替えるようにしてもよく、また、色毎に増減切り替えスイッチを設けてもよい。
【0078】
次に、PWM出力処理S115において、PWM[n]出力[%]を、上記で求めたPWM[n]出力値[%]に更新する処理を行う。
なお、前記PWM[n]出力[%]の初期値(リセット後の状態)は、0(消灯)である。また、出力が更新された後は、次の更新まで出力状態を保持する。
【0079】
次に、AD初期化処理S116において、前記AD[n]を0に初期化し、現在保持している値をクリアする。そして、前記変数初期化S101の後に戻り、その後の処理を再び実行する。
【0080】
このように、前記制御回路に前記マイコンM1を用いれば、種々の機能をもたせることができる。
なお、本形態は、本実施例に限定されるものではない。また、上記の機能の変更や削減、上記以外の付加機能を追加することが可能である。
【0081】
その他の形態
1、前記発光体(LR、LG、LB等)の並び順における先頭は、左を標準とするが、右であってもよい。左右に色の並び順が逆の表示装置を用いれば、ステレオ装置(スピーカなど)の付属装置として用いる場合などにおいて、左右対称に配置することができる。また、縦の表示とする場合は、上下どちらであってもよい。
2、色を発色させるために、連続的に色が変化しているスペクトル状の色フィルタ(色フィルム等)を用いてもよい。その場合の発光体は、全て白色を用いることができる。
3、本方法による表示と、音圧レベルに応じて発光体の発光数を変えて表示するレベルメータとを、組み合わせてもよい。それにより、音圧レベルを正確に把握することができる。
4、前記発光体における色は、ユーザの年齢や性別による嗜好に合わせて類似する色相の色に置き換えてもよい。例えば、女性層向けに、前記赤色をピンク系の色に変えるなどしてもよい。
【0082】
本発明は上記の実施形態に限らず、本発明の範囲内において他の形態であってもよい。
であり、前記音声信号を変換した変換光を表示する表示領域において、前記音声信号の下限周波数に、第1色を割り付け、前記音声信号の上限周波数に、前記第1色に比べて光の波長が短い第2色を割り付け、前記第1色の表示位置と、前記第2色の表示位置とを、前記表示領域の中央部に対して対称となる位置に配置し、前記音声信号の周波数を
前記第1色の色(波長)から前記第2色の色(波長)まで連続的に変化するとともに、前記表示領域において表示される前記変換光の中心位置が、前記第1色の位置から、前記中央部を経て、前記第2色の位置まで連続的に移動し、前記音声信号がホワイトノイズの場合は、前記表示領域における変換光が、前記第1色から前記第2色までの範囲において、