特開2019-109612(P2019-109612A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-109612(P2019-109612A)
(43)【公開日】2019年7月4日
(54)【発明の名称】遠隔運動指導システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20190614BHJP
   A63B 69/00 20060101ALI20190614BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20190614BHJP
【FI】
   G06Q50/22
   A63B69/00 C
   A61B5/10 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-240886(P2017-240886)
(22)【出願日】2017年12月15日
(71)【出願人】
【識別番号】500440728
【氏名又は名称】株式会社卯野薬房
(74)【代理人】
【識別番号】100136113
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寿浩
(72)【発明者】
【氏名】家高 敏彰
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA11
4C038VA12
4C038VB35
4C038VC05
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】通信ネットワークを介して利用者の運動能力の維持・向上を利用者の画像を見ながら遠隔地において指導者が指導できる遠隔運動指導システムを提供する。
【解決手段】利用者端末10と、撮影手段11と、指導者端末20と、サーバ30とが、それぞれ通信ネットワークNを介して互いに接続されている。撮影手段11によって利用者の動きを撮影し、この撮像情報が基準運動能力情報と共に利用者端末10及び指導者端末20に表示される。指導者は、指導者端末20に表示された撮像情報を基準運動能力情報も参照しながら遠隔地から使用者へ運動方法等を指導し、利用者は、利用者端末10に表示された撮像情報及び基準運動能力情報を確認しながら、指導者の指導に基づいて運動を行うことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が使用する利用者端末と、
利用者の動きを撮影する撮影手段と、
指導者が使用する指導者端末と、
種々の情報を記憶・演算・処理するサーバとを有し、
前記利用者端末、前記撮影手段、前記指導者端末、及び前記サーバが、それぞれ通信ネットワークを介して互いに接続された、遠隔運動指導システムであって、
前記サーバは、
前記撮影手段によって撮影された画像情報を記憶する撮像記憶手段と、
年齢等に応じた平均的な運動能力である基準運能力情報を予め記憶している基準運動能力記憶手段と、
前記撮像情報及び前記基準運動能力情報を、前記通信ネットワークを介して前記指導者端末及び前記利用者端末へ同時に送信する送信手段とを含み、
前記利用者端末及び前記指導者端末は、前記サーバから送信された各情報を表示する表示手段を含み、
前記撮影手段によって利用者の動きを撮影し、この撮像情報が前記基準運動能力情報と共に前記利用者端末及び前記指導者端末へ送信され、指導者は、前記指導者端末に表示された前記撮像情報を前記基準運動能力情報も参照しながら前記通信ネットワークを介して遠隔地から使用者へ運動方法等を指導し、前記利用者は、前記利用者端末に表示された前記撮像情報及び前記基準運動能力情報を確認しながら、指導者の指導に基づいて運動を行う、遠隔運動指導システム。
【請求項2】
前記サーバは、前記撮像情報と前記基準運動能力情報とを比較し、その比較情報を前記通信ネットワークを介して前記利用者端末及び前記指導者端末へ通知する比較情報通知手段を備える、請求項1に記載の遠隔運動指導システム。
【請求項3】
前記使用者端末と前記指導者端末は、前記通信ネットワークを介して音声通話可能な、請求項1または請求項2のいずれかに記載の遠隔運動指導システム。
【請求項4】
前記撮影手段は、前記使用者端末に内蔵されている、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の遠隔運動指導システム。
【請求項5】
前記比較情報通知手段は、前記撮像情報と前記基準運動能力情報との差分に基づき、使用者の運動能力レベルとして通知する、請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の遠隔運動指導システム。
【請求項6】
使用者は、身体に複数のマーキングポイントを付けた状態で撮像し、
前記比較情報通知手段は、前記マーキングポイントの動きによって差分を算出する、請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の遠隔運動指導システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介して利用者の筋力や体力等の運動能力の維持・向上を利用者の画像を見ながら遠隔地において指導できる遠隔運動指導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人は加齢に伴い筋力や体力などの運動能力が低下する。運動能力の低下は日常生活に大きく影響し、徐々に行動障害が生じてくる。特に高齢者は運動能力の低下が顕著であり、歩行、階段の昇降、立ったり座ったり等の姿勢変更・荷物の上げ下ろしや運搬など、日常生活における基本的動作でも困難になってくる。このように運動能力が低下すると、転倒等に基づき打撲や骨折など怪我をする危険性が高まるばかりか、寿命にも影響し得る。
【0003】
そのため、従来から、特に高齢者に対して運動能力の維持、低下した運動能力の回復向上の重要性が注目されている。しかし、運動に関する専門的知識に乏しい高齢者が自ら運動能力の維持・向上を図ることは困難である、したがって、利用者は何らかの指標や運動モデルを参照しなければ、適切に運動能力を維持ないし回復向上することはできない。
【0004】
そこで、専門的知識に乏しい利用者でも、モデル動作を参照しながら自ら運動能力の維持ないし向上を図ることができる運動支援システムとして、例えば下記特許文献1が開示されている。特許文献1は、利用者を撮像する撮影手段と、複数組の画像が記憶された記憶手段と、記憶手段に記憶された複数組の画像を予め設定された順に読み出す制御手段と、撮影手段で撮像された画像と制御手段により記憶手段から読み出された画像とを表示する表示手段とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−215177公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では自らの撮像情報と予め記憶されている基準指標動作とを対比しながら行うが、あくまで利用者自らが一人で運動することを前提とした運動支援システムである。したがって、専門的知識を有する医者やトレーナーなどの指導者から直接指導を受けることができない。これでは、どのようにすれば基準指標動作と同じ動きができるか、各動作において気をつけるべきポイント、現状の運動レベルに応じたアドバイスなどの指導を受けられないため、運動能力を維持ないし向上する実効性に欠ける。
【0007】
しかし、高齢者等の運動弱者が専門知識を有する指導者の元に出向いて指導を受けたり、逆に指導者が高齢者の元に出向くことは煩雑である。
【0008】
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、通信ネットワークを介して利用者の筋力や体力等の運動能力の維持・向上を利用者の画像を見ながら遠隔地において指導者が指導できる遠隔運動指導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段として、本発明は、利用者が使用する利用者端末と、利用者の動きを撮影する撮影手段と、指導者が使用する指導者端末と、種々の情報を記憶・演算・処理するサーバとを有し、前記利用者端末、前記撮影手段、前記指導者端末、及び前記サーバが、それぞれ通信ネットワークを介して互いに接続された、遠隔運動指導システムである。前記サーバは、前記撮影手段によって撮影された画像情報を記憶する撮像記憶手段と、年齢等に応じた平均的な運動能力である基準運能力情報を予め記憶している基準運動能力記憶手段と、前記撮像情報及び前記基準運動能力情報を、前記通信ネットワークを介して前記指導者端末及び前記利用者端末へ同時に送信する送信手段とを含む。前記利用者端末及び前記指導者端末は、前記サーバから送信された各情報を表示する表示手段を含む。そのうえで、前記撮影手段によって利用者の動きを撮影し、この撮像情報が前記基準運動能力情報と共に前記利用者端末及前記指導者端末へ送信され、指導者は、前記指導者端末に表示された前記撮像情報を前記基準運動能力情報も参照しながら前記通信ネットワークを介して遠隔地から使用者へ運動方法等を指導し、前記利用者は、前記利用者端末に表示された前記撮像情報及び前記基準運動能力情報を確認しながら、指導者の指導に基づいて運動を行うことができる。
【0010】
前記サーバは、前記撮像情報と前記基準運動能力情報とを比較し、その比較情報を前記通信ネットワークを介して前記利用者端末及び前記指導者端末へ通知する比較情報通知手段を備えることが好ましい。
【0011】
前記使用者端末と前記指導者端末は、前記通信ネットワークを介して音声通話可能であることがこのましい。
【0012】
前記撮影手段は、前記使用者端末に内蔵されていることが好ましい。
【0013】
前記比較情報通知手段は、前記撮像情報と前記基準運動能力情報との差分に基づき、使用者の運動能力レベルとして通知することが好ましい。
【0014】
使用者は、身体に複数のマーキングポイントを付けた状態で撮像し、前記比較情報通知手段は、前記マーキングポイントの動きによって差分を算出することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の遠隔運動指導システムによれば、筋力や体力等の運動能力の維持、回復、又は向上が必要な利用者が、自らの動きや基準運動能力情報を画像として比較参照しながら、通信ネットワークを介して遠隔地にいる専門的知識を有する指導者の指導も受けながら運動することができる。したがって、利用者が指導者の元へ出向いたり、指導者が利用者の下へ出張するなどの移動を必要とせず、手軽に運動することができる。また、指導者の指導をリアルタイムで受けられるので、間違った動作や実効性に欠ける動作を行うことを避けられるばかりか、どのようにすれば基準運動と同じ動きができるか、各動作において気をつけるべきポイント、現状の運動レベルに応じたアドバイスなどを受けられるため、運動能力の維持、回復、又は向上を適切且つ効率よく図ることができる。
【0016】
利用者の撮像情報と基準運動能力情報との比較情報を利用者及び指導者が確認しながら行えば、現状の運動能力レベルに応じた指導を行い易く、指導の的確性や実効性が向上する。
【0017】
使用者端末と指導者端末が通信ネットワークを介して音声通話可能であれば、わざわざ電話をかけたりチャットなどタイピングしながら指導する必要が無いので、効率的である。
【0018】
撮影手段が使用者端末に内蔵されていれば、わざわざ撮影手段を別に用意したり、その撮影手段を別途通信ネットワークに接続する手間を省ける。
【0019】
比較情報通知手段が運動能力レベルとして通知すれば、利用者の動き(撮像情報)と基準運動能力との差分を観念的に把握することができる。
【0020】
使用者の身体に複数のマーキングポイントを付けた状態で撮像し比較すれば、利用者の動き(撮像情報)と基準運動能力との差分を正確に算出することができる。また、マーキングポイントを身に着けていることで、利用者が動いた距離、幅、速度、角度等の運動機能を測定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】遠隔運動指導システムの通信ネットワークの概念図である。
図2】利用者端末のブロック図である。
図3】指導者端末のブロック図である。
図4】サーバのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の遠隔運動指導システムは、図1に示すように、利用者が使用する利用者端末10と、利用者の動きを撮影する撮影手段11と、指導者が使用する指導者端末20と、種々の情報を記憶・演算・処理するサーバ30とを有し、これら利用者端末、撮影手段、指導者端末、サーバ、及びこれらに内蔵されている各手段が、それぞれ通信ネットワークNを介して互いに接続されている。
【0023】
利用者としては、筋力や体力を維持、回復又は向上したい者や、日常の基本動作を身に着けたい者など、身体の動きに関して専門的知識を有する指導者から指導を受けたい者であれば、老若男女問わず全ての者が対象となる。具体的には、健全者に限らず、怪我人、病人、及び身体障害者等も対象となる。健全者であれば、筋力や体力の低下が顕著な高齢者や、運動不足の中年などに好適である。怪我人、病人、身体障害者であれば、リハビリ用としても使用できる。
【0024】
指導者としては、運動や身体機能等に関して専門知識を有するものであれば、特に制限は無い。代表的には、医者、理学療法士、作業療法士、及び運動トレーナーなどが挙げられる。
【0025】
通信ネットワークNは、インターネットに代表されるIP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするための複数のアクセス網とから構成される。アクセス網としては、例えばDSL(Digital Subscriber Line)や光伝送路を使用する有線加入者網、CATV(Cable Television)網、無線LAN(Local Area Network)網、移動通信網、専用線網が用いられる。
【0026】
撮影手段11としては、通信ネットワークNに接続可能なものであれば特に限定されない。例えば、デジタルビデオカメラ、デジタルカメラ、ウェアラブルカメラのほか、スマートフォンやフィーチャーホンのカメラ機能も使用可能である。これら撮影手段11は、別個独立して通信ネットワークNへ直接接続することもできるが、利用者端末10へ接続し、間接的に通信ネットワークNへ接続することもできる。特に、利用者端末10に元々内蔵されている、又は一体化されているカメラが最も好ましい。独自の設定や別個接続する手間が省けることに加え、省スペースであるからである。以下には、撮影手段11が接続又は内蔵された利用者端末10を例に挙げて説明する。
【0027】
利用者端末10としては、PC(Personal Computer)、スマートフォン、フィーチャーホンなどが挙げられる。利用者端末10は利用者の自宅にあることが最も好ましいが、老人ホーム、スポーツセンター、保険センター、又は医療機関など、専用のシステムを構築している自宅外の施設等に設置することもできる。利用者端末10としてスマートフォン又はフィーチャーホンを使用する場合は、利用者自身のものを使用すると場所を選ばないため、最も手軽である。
【0028】
そのうえで、利用者端末10は、図2に示すように、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)101を備える。このCPU101には、プログラムメモリ103、通信インターフェイス(通信I/F)105、カメラインターフェイス(カメラI/F)106、表示インターフェイス(表示I/F)107、音声入出力インターフェイス(音声入出力I/F)108、及び入力インターフェイス(入力I/F)109がそれぞれ接続されている。
【0029】
プログラムメモリ103には、利用者端末10の基幹プログラムに加え、本発明の遠隔運動指導システムに係るアプリケーション・プログラム等が格納されている。このアプリケーション・プログラムは、通信ネットワークNを介してサーバ30からダウンロードし、利用者端末10へインストールされる。又は、当該アプリケーション・プログラムをCD−ROMやメモリカード等の外部記録媒体から読み込んでインストールすることもできる。
【0030】
通信I/F105は、CPU101の制御の下で、サーバ30との間で通信ネットワークNにより規定される通信プロトコルに従って双方向の通信を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。
【0031】
カメラI/F106は、CPU101の制御の下で、撮影手段11により撮像された利用者の画像データを取り込む。
【0032】
表示I/F107は、CPU101の制御の下で、撮影手段11によって撮像された利用者の運動画像データと、サーバ30から受信された基準運動能力情報とを、同時にディスプレイ12に表示する。ディスプレイ12としては、利用者端末10に内蔵ないし付属するディスプレイでもよいが、別に設けられたテレビジョン受像機やビデオプロジェクタ等を用いてもよい。また、利用者の撮像情報と基準指標動作を、AR(Augmented Reality 拡張現実)技術を用いて表示すると、リアルな情報として認識できる。
【0033】
音声入出力I/F108は、CPU101の制御の下、利用者の送話音声をマイクロホン13から取り込むと共に、通話相手となる指導者端末20から送られた受話音声信号をスピーカ14から出力する。スピーカ14は、利用者端末10に内蔵ないし付属するスピーカでもよいが、別に接続した独立スピーカを用いてもよい。
【0034】
入力I/F)109は、CPU101の制御の下、利用者が利用者端末10において利用者の年齢、性別、体重などの個人身体情報と共に、運動能力の維持、回復、又は向上などの運動目的と、その目的とする身体部位などを入力デバイス15によって入力した入力情報を、サーバ30へ送信する。入力デバイス15としては、キーボード、マウス、タッチパネル等が挙げられる。
【0035】
指導者端末20としても、PC(Personal Computer)、スマートフォン、フィーチャーホンなどが挙げられる。指導者端末20も、指導者の自宅、老人ホーム、スポーツセンター、保険センター、又は医療機関などに設置することができ、指導者が最も指導し易い場所に設置すればよい。指導者端末20としてスマートフォン又はフィーチャーホンを使用すれば、場所を選ばないため最も手軽である。
【0036】
指導者端末20は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)201を備える。このCPU201には、プログラムメモリ203、通信インターフェイス(通信I/F)205、表示インターフェイス(表示I/F)207、及び音声入出力インターフェイス(音声入出力I/F)208がそれぞれ接続されている。
【0037】
プログラムメモリ203には、指導者端末20の基幹プログラムに加え、本発明の遠隔運動指導システムに係るアプリケーション・プログラム等が格納されている。このアプリケーション・プログラムは、通信ネットワークNを介してサーバ30からダウンロードし、指導者端末20へインストールされる。又は、当該アプリケーション・プログラムをCD−ROMやメモリカード等の外部記録媒体から読み込んでインストールすることもできる。
【0038】
通信I/F205は、CPU201の制御の下で、サーバ30との間で通信ネットワークNにより規定される通信プロトコルに従って双方向の通信を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。
【0039】
表示I/F207は、CPU201の制御の下で、撮影手段11によって撮像された利用者の運動画像データと、サーバ30から受信された基準運動能力情報とを、同時にディスプレイ22に表示する。ディスプレイ22としては、指導者端末20に内蔵ないし付属するディスプレイでもよいが、別に設けられたテレビジョン受像機やビデオプロジェクタ等を用いてもよい。また、利用者の撮像情報と基準指標動作を、AR(Augmented Reality 拡張現実)技術を用いて表示すると、リアルな情報として認識できる。
【0040】
音声入出力I/F208は、CPU201の制御の下、指導者の送話音声をマイクロホン23から取り込むと共に、通話相手となる利用者端末10から送られた受話音声信号をスピーカ24から出力する。スピーカ24は、指導者端末20に内蔵ないし付属するスピーカでもよいが、別に接続した独立スピーカを用いてもよい。
【0041】
接続されたサーバ30も、CPU301を備える。このCPU301には、プログラムメモリ303、データメモリ304、通信インターフェイス(通信I/F)305が接続されている。
【0042】
プログラムメモリ303には、本発明の遠隔運動指導システムに係るアプリケーション・プログラム303aと、情報比較プログラム303bが記憶されている。アプリケーション・プログラム303aは、CPU301の制御の下で、撮影手段11から送信された利用者の撮像情報、サーバ30に格納された基準運動能力情報、及び情報比較プログラム303bによって算出された比較情報を、利用者端末10と指導者端末20へ同時に配信する。
【0043】
情報比較プログラム303bは、CPU301の制御の下、撮影手段11から送信された利用者の撮像情報とサーバ30に格納された基準運動能力情報とを比較し、その差分を算出する。その比較方法としては、例えば利用者の撮像情報及び基準指標動作をそれぞれメッシュ状に細分化(座標化)し、これらの座標ごとに比較してその差分を算出する。座標としては、例えば頭、首、手、肩、足、膝、腰など、できるだけ細分化して細かく取ることが好ましい。なお、利用者は、身体に複数のマーキングポイントを身に着けておき、情報比較プログラム303bはこのマーキングポイントの動きに基づいて差分を算出すると、精度よく算出できる。
【0044】
また、情報比較プログラム303bは、利用者の撮像情報に対し、基準指標動作を示す模擬人物像をCG(Computer Graphic)技術等を用いて利用者の撮像情報と身長や体型とできるだけ一致させる。
【0045】
データメモリ304は、ハードディスクやフラッシュメモリ、RAM等を記憶媒体として使用したもので、基準運動能力情報が記憶されている。基準運動能力情報には、運動能力の維持、回復、向上など目的に応じた所定の動作に関する基準指標動作と共に、情報比較プログラム303bによって得られた利用者の動き(撮像情報)と基準指標動作との差分から求められる運動レベル等が記憶されている。基準指標動作や運動レベルは、年齢や性別に応じて複数種記憶されている。
【0046】
通信I/F305は、CPU301の制御の下で、利用者端末10と指導者端末20との間で通信ネットワークNにより規定される通信プロトコルに従って画像情報や音声情報等の各情報の双方向通信を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。
【0047】
次に、遠隔運動指導システムの使用方法について説明する。この遠隔運動指導システムを利用する場合、利用者は利用者端末10において専用アプリケーションを起動する。すると、CPU101がブラウザを起動してプログラムメモリ103から利用者端末10のディスプレイ12に個人データ入力画面を表示する。そして、この個人データ入力画面へ入力デバイス15を介して自身の性別や年齢、利用目的、及び動作部位などを入力する。すると、CPU101がこれらの入力情報を通信I/F105から通信ネットワークNを介してサーバ30へ送信する。同時に、指導者端末20には、利用者端末10が起動されたことが通信ネットワークNを介して通知され、指導者も指導者端末20において専用アプリケーションを起動しておく。
【0048】
利用者の個人情報等がサーバ30へ入力されると、これに応じた基準指標動作がデータメモリ304から取り出され、その初期静止姿勢が利用者端末10及び指導者端末20の双方へ通信ネットワークNを介して送信され、利用者端末10及び指導者端末20の各ディスプレイ12・22に表示される。このとき、利用者画像は実像として表示され、基準指標動作は模擬人間像として表示されるが、利用者画像や基準指標動作像は、イラスト化して表示することも好ましい。
【0049】
遠隔運動指導システムにおいて行う動作は、健全者が筋力増強を目的とした一般的な筋力トレーニングではなく、日常生活における基本的な動作である。具体的には、行歩、前屈、腕の上げ下げ、膝の上げ下げ、片足立ちなどの動作をした場合の、歩幅、歩速、柔軟性、平衡感覚などを指標とする。
【0050】
そして、利用者が利用者端末10においてスタートを押すと、利用者端末10及び指導者端末20に表示されている基本動作が動き出す。そこで、利用者も、この基本動作と同じ動きをする。このとき、利用者の動きは撮影手段11によって撮影しながら行う。これにより、その撮像情報がカメラI/F106から入力されて利用者端末10のディスプレイ12に表示されると同時に、通信ネットワークNを介して指導者端末20のディスプレイ22にも表示される。このとき、利用者の動作(撮像情報)と基準指標動作は、上下又は左右二画面で表示することもできるが、重ね合わせた状態で表示されることが好ましい。また、AR(拡張現実)空間上に表示することがより好ましい。
【0051】
このように、利用者端末10と指導者端末20には、利用者の動作と基準指標動作が同時に表示されるので、利用者は自分の動きを確認しならが基準指標動作と同じ動きをすることができる。また、利用者及び指導者は、利用者の動作と基準指標動作とのズレ具合の程度を目視によって確認することができる。
【0052】
さらに、利用者の動作がサーバ30に入力されると、サーバ30では、情報比較プログラム303bによって、利用者の動作と基準指標動作とが比較対比される。そして、利用者の動作と基準指標動作とにズレがあれば、その差分を検出し、その程度を数値化して利用者端末10及び指導者端末20へ表示する。これにより、利用者及び指導者は、利用者の動作と基準指標動作とのズレを数値によって確認することもできる。
【0053】
そのうえで、指導者は指導者端末20を通して遠隔地から利用者の動作をリアルタイムで確認でき、運動中でも音声通話によって利用者に動作のアドバイス指導を行うことができる。これにより、利用者は、運動能力の維持や回復などの実効性を上げることができる。
【0054】
そして、所定時間運動を行ったら基準指標動作が停止するので、利用者も運動を止める。すると、サーバ30では運動中における利用者の動作と基準指標動作との差分数値を平均化し、その数値に基づき利用者の現状における運動能力レベルを利用者端末10及び指導者端末20へ表示する。運動能力レベルの表示例としては、例えば標準より大きく劣る場合をレベル1、標準よりやや劣る場合をレベル2、標準的なレベルであればレベル3、標準よりやや優れる場合をレベル4、標準より大幅に優れる場合をレベル5とするなど、複数段階に分けた数値レベルで表示することができる。又は、優、良、可、やや不可、不可など、優劣レベルで表示することもできる。さらには、優れている場合はブルー、標準的であればグリーン、劣っていればレッドなど、色で表示することもできる。また、体力年齢など仮想年齢として表示することもできる。
【0055】
また、利用者が身体に複数のマーキングポイントを身に着けていた場合は、このマーキングポイントの動きを検知することで、利用者が動いた距離、幅、速度、角度等の運動機能が測定され、その測定結果も利用者端末10及び指導者端末20に表示される。
【0056】
このように、運動後には運動能力レベルや運動機能の測定結果も参考にしながら、指導者は、利用者に対して今後の課題、日常生活において気をつけること、どの部位を重点的に動かすかなど、次回の運動までのアドバイスや指導、対策等も行うことができる。
【0057】
指導者による指導が一通り終わったら、最後に利用者端末10及び指導者端末20においてアプリケーションをOFFにすることで、そのときの運動は終了する。そして、この遠隔運動指導システムを定期的に繰り返し行うことで、利用者は筋力や体力などの運動能力の維持、回復、向上などを図ることができる。定期的に行う頻度としては、毎日決まった時間に行うことが好ましいが、二日に1回、三日に1回、一週間に1回など、数日置きに行ってもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 利用者端末
11 撮影手段
20 指導者端末
30 サーバ
101・201・301 CPU
103・203・303 プログラムメモリ
105・205・305 通信インターフェイス
106 カメラインターフェイス
107・207 表示インターフェイス
108・208 音声入出力インターフェイス
109 入力インターフェイス
12・22 ディスプレイ
13・23 マイクロホン
14・24 スピーカ
15 入力デバイス
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4