【解決手段】情報収集システム1は選択部11、送信部12、受信部13、および格納部14を備える。選択部は、商品に関するアンケート回答を会話を通じてユーザから得るためのアンケート項目と、アンケート回答を得るために用いられない非アンケート項目とのいずれか一方についての次の台詞を選択する。送信部は次の台詞をユーザ端末20に送信する。受信部は、次の台詞に対応する応答をユーザ端末から受信する。格納部は、その応答がアンケート項目に対応する場合にはアンケート回答を回答データベース32に格納する。選択部は、会話において、アンケート項目についての次の台詞と、非アンケート項目についての次の台詞とのそれぞれを、少なくとも一回選択する。
商品に関するアンケート回答を会話を通じてユーザから得るために用いられる1以上のアンケート項目と、前記アンケート回答を得るために用いられない1以上の非アンケート項目とを含む会話データを記憶する会話データベースを参照して、前記アンケート項目および前記非アンケート項目のいずれか一方についての次の台詞を選択する選択部と、
前記選択部により選択された次の台詞をユーザ端末に送信する送信部と、
前記送信部により送信された次の台詞に応じて前記ユーザにより入力された応答を前記ユーザ端末から受信する受信部と、
前記受信部により受信された応答が前記アンケート項目に対応する場合には該応答に基づいて前記アンケート回答を回答データベースに格納し、前記受信部により受信された応答が前記非アンケート項目に対応する場合には該応答を前記アンケート回答として回答データベースに格納しない格納部と
を備え、
前記選択部が、前記会話において、前記アンケート項目についての次の台詞と、前記非アンケート項目についての次の台詞とのそれぞれを、少なくとも一回選択する、
情報収集システム。
前記選択部が、前記会話の途中で所定のアンケート終了条件が満たされた場合は、残りの前記アンケート項目を選択することなく、前記非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは前記会話を終了する、
請求項1に記載の情報収集システム。
商品に関するアンケート回答を会話を通じてユーザから得るために用いられる1以上のアンケート項目と、前記アンケート回答を得るために用いられない1以上の非アンケート項目とを含む会話データを記憶する会話データベースを参照して、前記アンケート項目および前記非アンケート項目のいずれか一方についての次の台詞を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにおいて選択された次の台詞をユーザ端末に送信する送信ステップと、
前記送信ステップにおいて送信された次の台詞に応じて前記ユーザにより入力された応答を前記ユーザ端末から受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信された応答が前記アンケート項目に対応する場合には該応答に基づいて前記アンケート回答を回答データベースに格納し、前記受信ステップにおいて受信された応答が前記非アンケート項目に対応する場合には該応答を前記アンケート回答として回答データベースに格納しない格納ステップと
をコンピュータシステムに実行させ、
前記選択ステップでは、前記会話において、前記アンケート項目についての次の台詞と、前記非アンケート項目についての次の台詞とのそれぞれを、少なくとも一回選択する、
情報収集プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
[システムの構成]
実施形態に係る情報収集システム1は、商品に関するアンケート回答をユーザから得るためのコンピュータシステムである。「商品」とは有償または無償で取引される有体物または無体物であり、したがってサービスを含む概念である。商品の種類は何ら限定されず、例えば飲食物であってもよい。「商品に関するアンケート」とは、商品に対する人の考え、意見、印象、評価などを収集するために用意される1以上の質問の集合である。「アンケート回答」とは、アンケートでの質問に対する回答であり、以下では単に「回答」ともいう。「ユーザ」とは、アンケートに回答する人である。
【0013】
情報収集システム1の特徴の一つは、ユーザに向けて単にアンケートを送信して回答を得るのではなく、アンケートとは関係のない会話をユーザと交わしながらその会話中に質問を差し込むことでアンケート回答を得る点にある。したがって、情報収集システム1は、会話を自動的に行うチャットボットを採用しつつアンケート回答を収集する機能を持つということができる。端的に言うと、情報収集システム1は、商品に関するアンケート回答を会話を通じてユーザから得る。
【0014】
図1は情報収集システム1の機能構成を示す図である。情報収集システム1はサーバ10と、少なくとも一つのユーザ端末20と、データベース群30とを備える。データベース群30は会話データベース31および回答データベース32を含む。これらの装置はインターネットやイントラネットなどの通信ネットワークを通じて互いにデータを送受信することができる。例えば、ユーザ端末20とサーバ10とは通信ネットワークを介してデータを送受信する。また、サーバ10は通信ネットワークを介してデータベース群30にアクセスすることで、データの読み出しまたは書き込みを実行する。通信ネットワークの具体的な構成、すなわち装置間の具体的な接続の態様は何ら限定されない。サーバ10の管理者はデータベース群30の各データベースの管理者と同じであってもよいし互いに異なってもよい。データベース群30内の各データベースの管理者は同一であってもよいし互いに異なってもよい。
【0015】
サーバ10は、ユーザと会話を交わしながら該ユーザからアンケート回答を収集するコンピュータである。サーバ10は1台のコンピュータで構成されてもよいし、複数台のコンピュータで構成されてもよい。複数台のコンピュータを用いる場合には、これらのコンピュータがインターネットやイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に一つのサーバ10が構築される。
【0016】
サーバ10は機能要素として選択部11、送信部12、受信部13、および格納部14を備える。選択部11は、会話データベース31を参照して、ユーザに向けて出力する次の台詞を選択する機能要素である。選択部11は次の台詞を選択するためのルールと、会話を終了させるか否かを判定させるためのルールとを含む選択ルールを予め保持する。選択部11はその選択ルールに基づいて会話データベース31を参照することで、アンケート項目および非アンケート項目のいずれか一方についての台詞を選択する。なお、選択ルールは会話データベース31などの他の装置に記憶されてもよく、この場合には選択部11はその装置にアクセスして選択ルールを取得する。送信部12は、選択部11により選択された次の台詞をユーザ端末20に送信する機能要素である。受信部13は、送信部12により送信された次の台詞に応じてユーザにより入力された応答をユーザ端末20から受信する機能要素である。格納部14は、その応答に基づいてアンケート回答を回答データベース32に格納する機能要素である。
【0017】
図2は、サーバ10として機能するコンピュータ100の一般的なハードウェア構成を示す図である。コンピュータ100は、オペレーティングシステムやアプリケーション・プログラムなどを実行するプロセッサ(例えばCPU)101と、ROMおよびRAMで構成される主記憶部102と、ハードディスクやフラッシュメモリなどで構成される補助記憶部103と、ネットワークカードまたは無線通信モジュールで構成される通信制御部104と、キーボードやマウスなどの入力装置105と、モニタなどの出力装置106とを備える。
【0018】
サーバ10の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上に所定のソフトウェアを読み込ませてそのソフトウェアを実行させることで実現される。プロセッサ101はそのソフトウェアに従って、通信制御部104、入力装置105、または出力装置106を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを行う。処理に必要なデータまたはデータベースは主記憶部102または補助記憶部103内に格納される。
【0019】
ユーザ端末20は、ユーザが所有または利用するコンピュータである。ユーザ端末20の具体的な種類は限定されない。例えば、ユーザ端末20は携帯端末またはスマートデバイスであってもよく、具体的には、タブレット端末、高機能携帯電話機(スマートフォン)、またはスマートウォッチなどでもよい。あるいは、ユーザ端末20は据置型または携帯型のパーソナルコンピュータであってもよい。あるいは、ユーザ端末20は、通信機能と音声操作の支援機能とを備えるスマートスピーカ(例えばAIスピーカ)であってもよい。情報収集システム1内のユーザ端末20の台数は限定されない。
【0020】
データベース群30は、1以上のデータベースの集合である。「データベース」とは、プロセッサまたは外部のコンピュータからの任意のデータ操作(例えば、抽出、追加、削除、上書きなど)に対応できるようにデータ集合を記憶する機能要素(記憶部)である。データベースの実装方法は限定されず、例えばデータベース管理システムでもよいし、テキストファイルでもよい。上述したように、本実施形態では、データベース群30は会話データベース31および回答データベース32を含む。
【0021】
会話データベース31は、ユーザとの会話(すなわち、チャット)に用いられる会話データを記憶するデータベースである。会話データは、ユーザに向けて出力する1以上のアンケート項目および1以上の非アンケート項目についての台詞の集合である。アンケート項目はアンケートを構成する質問であり、アンケート回答を得るために用いられる。一方、非アンケート項目はアンケートとは関係の無い話し言葉で構成され、アンケート回答を得るために用いられない。したがって、非アンケート項目はアンケートの構成要素ではない。
【0022】
アンケート項目および非アンケート項目の内容は限定されない。商品が飲料であるとして、アンケート項目は例えば、「缶を開けて飲んでください。おいしいですか?」「香りはどうですか?」「この商品にどのような印象を持ちますか?」「この商品を購入したいですか?」などであってもよい。アンケート項目は回答の選択肢を含んでもよい。一方、非アンケート項目は例えば、「こんにちは」「今日は暑いですね」「風邪をひいていませんか?」「いま周りに友達がいますか?」などの日常会話であってもよい。あるいは、非アンケート項目は、「グラスを用意してください」「商品を冷蔵庫で8時間以上冷やしましたか?」「つまみを用意してください」などの、アンケートの実施に必要な行為をユーザに促すための指示であってもよい。アンケート項目および非アンケート項目の表現方法は限定されず、例えばテキスト、音声、静止画、動画、またはこれらから選択される任意の2以上の表現方法の組合せであってもよい。
【0023】
図3は、会話データベース31の構成の一例を示す図である。例えば、ある1商品についての会話データは、その商品を一意に特定する商品ID(例えば型番、商品名など)と、1以上のアンケート項目と、1以上の非アンケート項目とを含む。一つの商品についてのアンケート項目の個数と非アンケート項目の個数は何ら限定されず、双方の個数は異なっても同じでもよい。情報収集システム1が1商品についてのみアンケートを収集する場合には、会話データは商品IDを含まなくてもよい。
【0024】
図4は、アンケート項目の例を示す図である。アンケート項目の形式は限定されず、例えば、アンケート項目に対する回答の方法は選択肢であってもよいし、ユーザが自由に文章を作成する自由回答であってもよい。
図4の例は、商品がビールである場合のアンケート項目の集合を示す。したがって、情報収集システム1は、ビールに関するアンケート回答をユーザから収集してもよい。
【0025】
回答データベース32は、ユーザのアンケート回答を示す回答データを記憶するデータベースである。
図5は、回答データベース32の構成の一例を示す図である。例えば、ある1商品についての1ユーザの回答データは、その商品の商品IDと、そのユーザを一意に特定するユーザID(例えばユーザアカウントなど)と、1以上のアンケート項目と1以上の回答との組合せとを含む。情報収集システム1が1商品についてのみアンケートを収集する場合には、回答データは商品IDを含まなくてもよい。
【0026】
データベース群30内の各データベースおよび各レコードの構成は上記の例に限定されない。例えば、各データベースに対して任意の正規化または冗長化が行われてもよいし、会話データおよび回答データの少なくとも一方が他のデータ項目を含んでもよい。あるいは、回答データはユーザIDを含まなくてもよく、この場合には無記名のアンケート回答が得られる。
【0027】
[システムの動作]
図6を参照しながら、情報収集システム1の動作を説明するとともに本実施形態に係る情報収集方法について説明する。
図6は情報収集システム1(特にサーバ10)の動作を示すフローチャートである。
【0028】
ステップS11では、選択部11が最初の台詞を選択する。例えば、ユーザIDおよび商品IDを含むチャット開始要求をユーザ端末20から受信すると、選択部11は指定された商品に関してユーザに発する最初の台詞を選択ルールに基づいて選択する。選択部11は挨拶などの非アンケート項目についての台詞を選択してもよいし、アンケート項目についての台詞を最初に選択してもよい。
【0029】
ステップS12では、送信部12が、選択された台詞を次の台詞としてユーザ端末20に送信する。ユーザ端末20はその台詞を受信して出力する。ユーザ端末20における次の台詞の出力方法は限定されず、例えば、ユーザ端末20はその台詞を画面上に表示してもよいしスピーカから出力してもよい。
【0030】
ステップS13では、受信部13が、次の台詞に応じてユーザにより入力された応答をユーザ端末20から受信する。ユーザ端末20は、ユーザがタッチパネル、キーボードなどから入力されたテキストデータを送信してもよいし、ユーザがマイクを介して入力した音声をテキストデータに変換した上でそのテキストデータを送信してもよいし、音声データを送信してもよい。いずれにしても、受信部13はユーザ端末20から送信されたデータを、次の台詞に対する応答として受信する。音声データを受信した場合には、サーバ10がその音声データをテキストデータに変換する。
【0031】
ステップS14では、格納部14が、その応答がアンケート項目に対応する回答であるか否かを判定する。選択部11がアンケート項目についての次の台詞を選択した場合には、格納部14は応答が回答であると判定し(ステップS14においてYES)、処理がステップS15に移る。一方、選択部11が非アンケート項目についての次の台詞を選択した場合には、格納部14は応答が回答ではないと判定し(ステップS14においてNO)、ステップS15の処理が省略される。
【0032】
ステップS15では、格納部14が回答を回答データベース32に格納する。格納部14はチャット開始要求に基づいてユーザIDおよび商品IDを特定することができ、選択部11により選択された台詞に基づいてアンケート項目を特定することができる。したがって、格納部14は商品ID、ユーザID、アンケート項目、および回答が互いに関連付けられたレコードを回答データベース32に格納することができる。上述した通り、ユーザIDは格納されなくてもよい。
【0033】
ステップS16では、選択部11が会話を終了するか否かを判定する。例えば、選択部11は、商品に関するすべてのアンケート項目に対する回答が得られた場合に会話を終了してもよい。あるいは、選択部11は、すべてのアンケート項目に対する回答を得る前であっても、会話の途中でその会話を終了するか否かを判定してもよい(すなわち、アンケートを途中で終了させてもよい)。会話を終了する場合には(ステップS16においてYES)、サーバ10はユーザとの会話を終了させるための処理を実行する。例えば、選択部11が最後の台詞を会話データベース31から選択して送信部12がその台詞をユーザ端末20に送信することで会話が終了してもよい。会話を終了させない場合には(ステップS16においてNO)、処理がステップS17に進む。
【0034】
ステップS17では、選択部11が選択ルールに基づいて次の台詞を選択する。この選択については様々な手法が考えられ、したがって、選択ルールの内容は限定されない。
【0035】
例えば、台詞の順序が固定された選択ルールが用いられてもよい。この場合には、選択部11は常に決まった順序で次の台詞を選択し、したがって、ユーザとの会話は固定ストーリーであるといえる。固定ストーリーの場合には、選択部11は、すべてのアンケート項目に対する回答が得られた場合に会話を終了する。
【0036】
あるいは、ユーザの応答とユーザの周辺の状況との少なくとも一方に基づいて台詞の順序を動的に変更し得る選択ルールが用いられてもよい。この場合には、選択部11はその応答または状況と選択ルールとに基づいて次の台詞を動的に選択し、したがって、ユーザとの会話は動的ストーリーであるといえる。動的ストーリーを提供するための選択ルールは、例えば、ユーザから誠実な回答を得ることができるように設定されてもよい。言い換えると、選択ルールは、ユーザが回答のために正常な判断をできないと推定されるような場合には、アンケートを打ち切って、その後は非アンケート項目についての台詞のみを次の台詞として選択し続けてもよい。
【0037】
このように、選択部11は、会話の途中でアンケート終了条件が満たされた場合には、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了する。一方、アンケート終了条件が満たされない場合は、選択部11は、選択ルールに従って、アンケート項目または非アンケート項目についての台詞を選択し、この場合にはアンケートが実施され続ける。選択ルールの一部であるアンケート終了条件については様々な例が考えられる。
【0038】
会話の開始時刻が所定の時間帯内であることがアンケート終了条件であってもよい。例えば選択部11は、23時〜翌日10時までの間に会話が始まった場合に、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了してもよい。
【0039】
非アンケート項目についての台詞に対する応答が所定の内容であることがアンケート終了条件であってもよい。例えば選択部11は、「今は飲み会の後ですか?」という非アンケート項目についての台詞に対する応答が「はい」である場合に、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了する。一方、その応答が「いいえ」であれば、選択部11はアンケート項目または非アンケート項目についての台詞を選択する。
【0040】
ユーザ端末20の現在位置が所定の位置であることがアンケート終了条件であってもよい。この場合には、ユーザ端末20は全地球測位システム(GPS)や基地局情報などから求めた、自機の現在位置を示す位置情報をサーバ10に送信し、選択部11がその位置情報を用いる。選択部11は、その位置情報を用いて地図データベース(図示せず)を検索することでユーザの現在位置を推定する。そして、選択部11はその現在位置が所定の位置(例えば、飲食店、ユーザの自宅以外の位置、屋外など)である場合に、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了する。
【0041】
ユーザ端末20の現在位置の気象が所定の気象であることがアンケート終了条件であってもよい。選択部11は、上記のようにユーザ端末20から位置情報を受信し、この位置情報を用いて地図データベースおよび気象データベース(図示せず)の双方を参照して、ユーザの現在位置の気象を推定する。そして、選択部11はその気象が所定の条件(例えば、晴れ、曇り、雨など)を満たす場合に、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了する。
【0042】
応答に要した時間が所定の範囲の外であることがアンケート終了条件であってもよい。選択部11はタイマを用いてその時間を計測することができる。例えば選択部11は、応答時間が10秒〜60秒という範囲ではない場合に、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了してもよい。あるいは、選択部11は、応答時間が所定の範囲の外である状況が複数回連続して続いた場合に、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了してもよい。
【0043】
ユーザ端末20から受信したユーザの生体情報(例えば表情、脈拍、音声など)が所定の条件を満たすことがアンケート終了条件であってもよい。この場合には、ユーザ端末20はその生体情報(例えば、表情を映した画像データ、脈拍のデータ、音声データなど)をサーバ10に送信し、選択部11がその生体情報を用いる。選択部11はその生体情報を解析することでユーザの状況を推定する。そして、選択部11は、生体情報が所定の条件を満たす場合に、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了してもよい。例えば選択部11は、目の開きが閾値未満である場合、脈拍が閾値以上である場合、音の高さが閾値以上である場合などに、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了してもよい。この例は、ユーザが眠そうであるかまたはアルコール飲料を摂取していると推定してアンケートを打ち切る処理であるともいえる。
【0044】
ユーザが1日に2回目のアンケートを行おうとしたことがアンケート終了条件であってもよい。あるいは、会話の最初から取得してきた応答の集合がストーリーに合っていない(例えば、ユーザが勝手に商品を使い始めた場合、応答間に矛盾があるなど)ことがアンケート終了条件であってもよい。
【0045】
選択部11は、上述した会話の開始時刻、非アンケート項目についての台詞に対する応答、ユーザ端末20の現在位置、該現在位置の気象、応答時間、生体情報、ユーザによる複数回のアンケートの試み、およびストーリーとの不整合から選択される任意の2以上の判定要素で構成されるアンケート終了条件を用いてもよい。すなわち、選択ルールは、上記の様々なアンケート終了条件の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0046】
ステップS17の後に処理はステップS12に移り、送信部12が、選択された次の台詞をユーザ端末20に送信する。そして、ステップS13以降の処理が繰り返される。ユーザとの会話を進めながらアンケート回答を得るために、選択部11はアンケート項目についての次の台詞と、非アンケート項目についての次の台詞とのそれぞれを、少なくとも一回は選択する。したがって、送信部12は、これら2種類の台詞のそれぞれを少なくとも一回は送信する。また、受信部13は、アンケート項目に対応する応答(アンケート回答)と非アンケート項目に対応する応答(これはアンケート回答ではない)とのそれぞれを少なくとも一回は受信する。アンケート終了条件に合致しない限り、ステップS12〜S17の処理が繰り返されることで、1商品についての1ユーザの回答の集合が得られる。情報収集システム1が複数ユーザに対してアンケートを実行することで、様々なアンケート回答が回答データベース32に蓄積される。
【0047】
蓄積されたアンケート回答を解析することで、商品に対する人の考え、意見、印象、評価などを分析することが可能になる。あるいは、アンケートに回答したユーザに向けて、キャンペーン案内、商品のウェブサイトへの誘導、定期的な情報提供、報酬の付与(例えば、割引、ポイント付与)などのような商品の販促活動を実施することもできる。例えば、複数商品に関する複数のアンケートに回答したユーザに報酬が付与されてもよい。
【0048】
[プログラム]
図7は、コンピュータをサーバ10として機能させるための情報収集プログラムPの構成を示す図である。情報収集プログラムPはメインモジュールP10、選択モジュールP11、送信モジュールP12、受信モジュールP13、および格納モジュールP14を含む。メインモジュールP10は、サーバ10の機能を統括的に管理する部分である。選択モジュールP11、送信モジュールP12、受信モジュールP13、および格納モジュールP14を実行することで、選択部11、送信部12、受信部13、および格納部14が実現する。
【0049】
情報収集プログラムPは、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、情報収集プログラムPは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0050】
[効果]
以上説明したように、本発明の一側面に係る情報収集システムは、商品に関するアンケート回答を会話を通じてユーザから得るために用いられる1以上のアンケート項目と、アンケート回答を得るために用いられない1以上の非アンケート項目とを含む会話データを記憶する会話データベースを参照して、アンケート項目および非アンケート項目のいずれか一方についての次の台詞を選択する選択部と、選択部により選択された次の台詞をユーザ端末に送信する送信部と、送信部により送信された次の台詞に応じてユーザにより入力された応答をユーザ端末から受信する受信部と、受信部により受信された応答がアンケート項目に対応する場合には該応答に基づいてアンケート回答を回答データベースに格納し、受信部により受信された応答が非アンケート項目に対応する場合には該応答をアンケート回答として回答データベースに格納しない格納部とを備え、選択部が、会話において、アンケート項目についての次の台詞と、非アンケート項目についての次の台詞とのそれぞれを、少なくとも一回選択する。
【0051】
本発明の一側面に係る情報収集方法は、プロセッサを備えるコンピュータシステムにより実行される情報収集方法であって、商品に関するアンケート回答を会話を通じてユーザから得るために用いられる1以上のアンケート項目と、アンケート回答を得るために用いられない1以上の非アンケート項目とを含む会話データを記憶する会話データベースを参照して、アンケート項目および非アンケート項目のいずれか一方についての次の台詞を選択する選択ステップと、選択ステップにおいて選択された次の台詞をユーザ端末に送信する送信ステップと、送信ステップにおいて送信された次の台詞に応じてユーザにより入力された応答をユーザ端末から受信する受信ステップと、受信ステップにおいて受信された応答がアンケート項目に対応する場合には該応答に基づいてアンケート回答を回答データベースに格納し、受信ステップにおいて受信された応答が非アンケート項目に対応する場合には該応答をアンケート回答として回答データベースに格納しない格納ステップとを含み、選択ステップでは、会話において、アンケート項目についての次の台詞と、非アンケート項目についての次の台詞とのそれぞれを、少なくとも一回選択する。
【0052】
本発明の一側面に係る情報収集プログラムは、商品に関するアンケート回答を会話を通じてユーザから得るために用いられる1以上のアンケート項目と、アンケート回答を得るために用いられない1以上の非アンケート項目とを含む会話データを記憶する会話データベースを参照して、アンケート項目および非アンケート項目のいずれか一方についての次の台詞を選択する選択ステップと、選択ステップにおいて選択された次の台詞をユーザ端末に送信する送信ステップと、送信ステップにおいて送信された次の台詞に応じてユーザにより入力された応答をユーザ端末から受信する受信ステップと、受信ステップにおいて受信された応答がアンケート項目に対応する場合には該応答に基づいてアンケート回答を回答データベースに格納し、受信ステップにおいて受信された応答が非アンケート項目に対応する場合には該応答をアンケート回答として回答データベースに格納しない格納ステップとをコンピュータシステムに実行させ、選択ステップでは、会話において、アンケート項目についての次の台詞と、非アンケート項目についての次の台詞とのそれぞれを、少なくとも一回選択する。
【0053】
このような側面においては、アンケート項目の台詞と非アンケート項目の台詞との双方が少なくとも一回はユーザに向けて出力される。この仕組みにより、アンケートとは関係のない会話をしながらアンケートが実施されるので、アンケート回答についてユーザに掛かるストレスを低減させつつ、該ユーザにアンケートに答えてもらうことができる。その結果、ユーザから本音に近いアンケート回答を収集することが期待できる。
【0054】
他の側面に係る情報収集システムでは、選択部が、会話の途中で所定のアンケート終了条件が満たされた場合は、残りのアンケート項目を選択することなく、非アンケート項目についての次の台詞を選択し続けるかまたは会話を終了してもよい。アンケートの実施の妥当性を途中で判断することで、精度の低いアンケート結果(例えば、ユーザが誠実に答えていないと推定されるアンケート結果)の記録と、アンケートに関する無駄な処理および通信とを避けることができる。
【0055】
他の側面に係る情報収集システムでは、選択部が、会話の開始時刻が所定の時間帯内である場合に、アンケート終了条件を満たすと判定してもよい。アンケートの実施の妥当性を開始時刻に基づいて判断することで、精度の低いアンケート結果の記録と、アンケートに関する無駄な処理および通信とを避けることができる。
【0056】
他の側面に係る情報収集システムでは、選択部が、ユーザ端末の現在位置が所定の位置である場合に、アンケート終了条件を満たすと判定してもよい。アンケートの実施の妥当性をユーザの現在位置に基づいて判断することで、精度の低いアンケート結果の記録と、アンケートに関する無駄な処理および通信とを避けることができる。
【0057】
他の側面に係る情報収集システムでは、選択部が、ユーザ端末の現在位置の気象が所定の気象である場合に、アンケート終了条件を満たすと判定してもよい。アンケートの実施の妥当性をユーザの現在位置の気象に基づいて判断することで、精度の低いアンケート結果の記録と、アンケートに関する無駄な処理および通信とを避けることができる。
【0058】
他の側面に係る情報収集システムでは、選択部が、応答に要した時間が所定の範囲の外である場合に、アンケート終了条件を満たすと判定してもよい。アンケートの実施の妥当性を応答時間に基づいて判断することで、精度の低いアンケート結果の記録と、アンケートに関する無駄な処理および通信とを避けることができる。
【0059】
他の側面に係る情報収集システムでは、選択部が、ユーザ端末から受信したユーザの生体情報が所定の条件を満たす場合に、アンケート終了条件を満たすと判定してもよい。アンケートの実施の妥当性をユーザの生体情報に基づいて判断することで、精度の低いアンケート結果の記録と、アンケートに関する無駄な処理および通信とを避けることができる。
【0060】
[変形例]
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0061】
格納部14は、非アンケート項目に対応する場合にも応答を任意のデータベースに格納してもよい。ただし、格納部14は非アンケート項目に対応する応答をアンケート回答として格納しないので、その回答は、商品に対する人の考え、意見、印象、評価などを分析するために用いられない。
【0062】
複数のユーザが参加するグループチャットに本発明を適用してもよい。例えば、情報収集システムは、そのグループチャット内で会話が止まった場合に、あるいは会話がアンケート対象の商品に関する話から別の話になった場合に、アンケート項目についての次の台詞をグループチャット内に出力する。一方、グループチャット内でアンケート対象の商品についての会話が為されている場合には、情報収集システムは非アンケート項目についての次の台詞をグループチャット内に出力する。この変形では、情報収集システムはあたかも商品の定性調査のモデレータのような役割を担う。
【0063】
少なくとも一つのプロセッサにより実行される情報収集方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0064】
情報収集システム内で二つの数値の大小関係を比較する際には、「以上」および「よりも大きい」という二つの基準のどちらを用いてもよく、「以下」および「未満」の二つの基準のうちのどちらを用いてもよい。このような基準の選択は、二つの数値の大小関係を比較する処理についての技術的意義を変更するものではない。